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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・スレサススレナル
・最年少暗部設定(スレサスver)
・バラしネタ!
・サスケはイタ兄よりも強い設定
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








― 出会いは、アカデミーに入学するより前。暗部の詰め所でだった。

― その、強さと美しさに惹かれ、そして、その境遇に怒りを感じ、淡々とその境遇を告げるその姿に、保護欲をそそられた。

― それは、秋も深まり、木ノ葉の里が紅葉で赤く染まる季節だった。



下忍任務の終わった後、川辺でぼーっと月を眺めていたサスケ。その背後に、足音も無く近づく気配があった。

「・・・サスケ?」

声変わりがまだ済んでいない声で名を呼ばれ、サスケは振り返る。

「ナルト。・・・待ってたんだ。」

下忍第7班。2人が所属するカカシを上司に据えるこの班。班編成が決まった時、一つの班に暗部3人とは、随分と力のバランスが偏ったなとナルトとサスケは呆れたものだ。

事情を知る三代目も班編成には口出ししたはずだが、さすがに、表の姿しか知らぬ者たちがいる中で、力のバランス云々とは言えなかったのだろう。

「・・・先に詰め所に行ってれば良かったのに。」

呆れた声を出すナルトは、いつものドベの姿では考えられない、凛とした雰囲気を持っていた。

「いや・・・月が綺麗だったからな。」

「解散してから、ずっとここにいたのか?」

ナルトが聞けば、是と返ってくる。解散したのは、午後6時。今は午後9時だから、3時間はここでボーっとしていたということになる。

「・・・時々、お前が何考えてるかわかんないよ。」

はー、と深く溜息をついて、ナルトはこめかみを押さえる。

「あのな・・・いや・・・出会った時の事を思い出してたんだ。」

「出会った時?・・・ああ、お前がイタチ君に連れられて暗部の詰め所に来た時の事な。」

フッとナルトが笑むと、サスケもつられて笑顔になる。下忍として任務にあたっている時はケンカが絶えない2人だが、こうして他人の目が無い時は穏やかに話す事ができる。

「あの時はびっくりしたなー・・・あのイタチ君が体中に(顔にも)痣こさえて暗部詰め所に来たかと思ったら、お前の事、暗部に入れてくれって懇願すんだもん。」

「いや、兄貴に出来るなら、俺にも出来るかと思って。・・・試験代わりだと言うから、軽く相手してやったつもりだったんだけど。」

だからそれがびっくりだ。とナルトは思ったが、口にはしない。サスケが本気でそう思っている事は充分知っていたから。

実際、実力を測ったところ、ナルトに匹敵する程の力(チャクラ量は除く)を持っていて、あのイタチがこさえていた痣がサスケによるものだと判明した瞬間、サスケの暗部入隊は決まっていた。

「・・・暗部の中でも、俺の全力出しての戦いにフォロー入れられるのは、カカシ君と千坐君とイタチ君とサスケの4人だけだもんなぁ。・・・更にその中でもサスケだけが背中合わせで戦える。ホント、術の相性良いもんな。俺ら。」

「・・・まあな。」

言葉少なに同意するが、実際は全力でそれだけじゃないと訂正したかった。サスケ自身、努力は嫌いではないし、修行だって暇があればやっている。

だが、ナルトの強さを、戦い方の華麗さを見て、追いつきたい。一番近くで、その姿を見ていたいと思うようになった時から、必死になってナルトの動きを写輪眼でトレースし、記憶し、その動きに合わせられるように特訓したのだ。

そして、いつしかナルトの隣に常にいるのはサスケとなり、全幅の信頼を寄せてもらえるようになった。カカシや千坐でさえもサスケの事を認め、ナルトの隣に在る事は、サスケにしかできないとまで言わしめたのだ。

「・・・さてと、じゃあ、詰め所に行くか。」

「ああ。」

立ち上がり、サスケはズボンに付いた草を払う。その様子を眺めながら、ナルトがポツリと呟いた。

「なぁ、サスケ・・・今日貰ったのはさ・・・ちょっと、嫌な任務なんだよ。」

「嫌?」

ナルトが任務を嫌がるのは珍しい。忍として誇りを持っているナルトだから、どんなに汚い仕事でも平気な顔で請け負い、ミス無くこなしてくる。だからナルトが“嫌な任務だ”とハッキリと口にした事に、サスケは驚きを禁じえない。

「うん・・・俺は好きじゃない。・・・多分、サスケも好きじゃないと思う。」

言いよどむ姿も珍しい。一体どんな任務なんだと思うが、それをここで問うてもナルトが答えない事は良くわかっている。

外ではいつ何時、誰が聞いてるかもしれないから、任務内容は口にしない。それだけは暗部の仲間内でも徹底されている事だ。

「そうか。・・・ここじゃ話もできないしな。・・・詰め所に行くか。」

「ああ。」

サスケが促せば、ナルトは素直に従った。



暗部詰め所


「・・・で?もう、任務は貰って来たんだろ?」

「うん。・・・それで時間がかかったんだけど。」

ごそごそと懐を探り、ナルトが依頼書をサスケに渡す。

「・・・見て良いのか?」

確認すれば、ナルトはあっさりと頷く。ナルトは滅多に依頼書を持って来ない。その場で燃やすか、三代目に返すかして、サスケ達には必要事項だけ口頭で伝えるのが常だった。

つまり、それだけ、口にするのが嫌なくらいに嫌悪している任務という事だ。そう考えながら、サスケは依頼書に目を通す。

「・・・って、おい、これ・・・。」

書かれていたのは“暗部と新人下忍の交流会を開く”という、ふざけた依頼。

「な?・・・嫌、だろ?」

「・・・何なんだコレ!?誰の依頼だ!!」

こめかみに青筋をたててサスケが依頼書をぐしゃりと握り潰す。

「・・・じいさまだよ。」

「・・・・・・まさか、解散後、三代目のトコ行って・・・それからずっと、もめてたのか?」

「その、まさか。・・・はー・・・やんなきゃ、自分が仕切るってまで言うから・・・もう、俺、引き受けるしかなくてさ。」

ははは。と疲れたように笑うナルトに、サスケは顔を引き攣らせる。

「・・・良く、粘ったな・・・。」

とりあえず労いの言葉をかけ、ポンポンとナルトの肩を叩く。

「・・・どうしよう?サスケ。」

「頼むから、俺に聞くな。・・・暗部の他の連中は?その日は俺達だけになるのか?」

「ん~・・・カカシ君もいるんじゃない?だって、新人下忍の担当上忍だし。」

「・・・チョイ待て、俺達は、下忍と暗部両方で存在しなきゃなんないわけか?」

暗部のツートップがやる仕事じゃない。そう思いながら、サスケは天を仰ぐ。

「あれ、どうしたの~、2人して。」

どんよりとした空気の中、のんきな声が発せられる。

「・・・カカシ君・・・。」

「・・・カカシ、コレ見ろ。」

声を発した当人であるカカシに、ナルトが疲れたように笑みを見せ、サスケがぐしゃぐしゃになった依頼書を差し出す。

「ん~・・・何々・・・うわ。」

依頼書に目を通したカカシは、ナルトとサスケの置かれた状況を正確に把握した。

「・・・って、俺も巻き込まれるわけ?」

「ったりまえだろうが!・・・新人下忍って言ったら、俺ら第7班も含まれるんだよ!!」

「・・・えぇ~・・・だって、暗部じゃないの、サクラだけじゃない。今更でしょ?」

そう言うカカシだが、三代目の本当の狙いに気付いてはいる。もちろん、ナルトもサスケもわかってはいるが、受け入れたくないというのが本音だ。

「本当に、なんで今更・・・。」

はあ、と溜息をつくのはサスケ。さすがに哀れと思って、カカシは苦笑する。

「ん~・・・今、だからじゃないのか?・・・あの人の動きが怪しいって報告したのは、お前らでしょ。」

「うわー・・・それかー・・・。」

ナルトが頭を抱える。三代目の不安を逆に煽ってしまったらしい。こうなると、ここでバらさずに済ませても、次なる手を打ってくるに違いない。

「・・・大体、俺はともかく、ナルトはマズイだろうが。」

「ん~・・・俺はそうは思わないけど。あの子達なら、大丈夫なんじゃない?」

カカシは困ったように笑いながら首を傾げる。

「じゃあ、カカシ君はじいさまに賛成なんだ。」

「まあ・・・そうなるかな。千坐も賛成に回るんじゃないか?・・・成り行きでバレるよりは、ちゃんと話が出来る状態でバラした方が、良いでしょ。」

「・・・確かにそうだけどさぁ・・・。」

ナルトは納得はするもののまだ渋っている様子。その時、2人の会話を聞いていたサスケがスッとナルトの手を掴む。

「・・・ナルト。腹くくるぞ。」

「サスケ・・・でも・・・。」

「・・・俺達が下忍としての姿のままで、ヤツを退けられるとは思えない。そうだろ?」

「ああ。」

「・・・いずれバレるなら、良いじゃねえか。」

ニヤリ、と笑ったサスケに、ナルトは寒気を覚える。始めて会った時に得体が知れないと思った笑顔。

「・・・サスケ?・・・なんか、企んでる?」

「丁度良いじゃねぇか。・・・サクラには悪りぃが、単調な下忍任務には飽き飽きしてたトコだ。三代目自らの命なワケだし、俺らが班の中で素性を伏せる必要が無くなるってんなら、それはそれで楽になるしな・・・。」

くつくつと笑うサスケの笑みがものすごく黒いような気がして、ナルトとカカシは思わず後ずさる。

「面白くなりそうだぜ。・・・害虫駆除(ナルト狙いの連中に牽制)もできそうだしな。」

その言葉にカカシは遠い目をし、ナルトは首を傾げた。

「あ~・・・。」(←わかった。)

「害虫・・・ゴキブリかなんかいたか??」(←わかってない。)



翌日・・・


「皆集まったな。」

アカデミー前に集まった新人下忍の7・8・10班。ニコニコと彼等を待ち受けたのは、遅刻常習犯のカカシだった。

「・・・カカシ先生が、一番早いなんて・・・!」

ショックを受けているサクラを見て、アスマと紅がカカシをじと目で見つめる。

「お前、どれだけ遅刻してるんだよ。」

「・・・ん~・・・毎度かな?」

「カカシ・・・あんたね・・・。」

こめかみを押さえた紅が深々と溜息をつく。

「ま、いいじゃないの。あっちの準備は整っているみたいだし、そろそろ出発しようか。」

「えっ!・・・カカシ先生が案内するんですか!?」

サクラが驚いた様子で声をあげる。

「・・・サクラ、俺ねぇ、一応、暗部経験者よ?」

― 今もだけど。

心の中でそう言いつつも、ガックリと肩を落とし、そうは見えないのかとしょぼくれてみる。

「ほ、本当なんですか!?」

更に驚いたサクラが取った行動は、アスマと紅に確認する。という事。カカシの言葉が余程信用ならなかったらしい。

「・・・サクラ、ちょっと酷くない?」

本気でガックリとするカカシを横目で眺めながら、アスマは自業自得だと笑う。

「はは。普段の行いが悪いからだぞ。・・・まあ、でも、そうだな。カカシは暗部経験者だぞ。」

「・・・そ、そうなんですか・・・。」

納得しても受け入れがたいのか、じとっとした視線をカカシに向ける。

「そーなの!・・・じゃあ、行くよ。」

軽く返しながらも、カカシは気落ちしたままの様子で皆に背を向ける。

「なぁ、カカシ先生。・・・本当に暗部の詰め所に俺達みてーな“ぺーぺーの下忍”を連れてって良いのかよ?」

だるそうに首を傾げてシカマルが問う。それは何も知らない下忍達と他の担当上忍全ての思いだったものだから、皆、カカシの回答をじっと待つ。

「それが、こっちにとってもあっちにとっても三代目から告げられた任務だしね。・・・ま、見られたらマズい物なんかは置いてないし、普段は暗部以外入れないようにしているから、大丈夫でしょ。」

ひょうひょうと答えると、カカシはさっきから静かなナルトに視線を向ける。すでにナルトとサスケは影分身と入れ替わっているはずだった。

「・・・それにしても、ナルト、今日は静かだね~。」

わざと問えば、非難の混じった視線を向けられる。

おや、と思いチャクラ質を調べてみれば、目の前にいるナルト(ついでにサスケも)は本体の方だとわかる。

「き、きききき、キンチョーしてるわけじゃ、ないってばよ!!」

― ああ、緊張してるんだ。

全員から生暖かい視線を送られて、ナルトは意心地が悪そうに身をよじる。

「・・・ウスラトンカチ。」

サスケが呆れたように言っても、食って掛かるだけの余裕が無い(と思わせる)為に、キッと視線を向けるだけ。

「・・・う、うるせーってばよ。」

「ま、そーだよねぇ。蒼藍(そうらん:ナルト)と焔雷(えんらい:サスケ)が来るって言うんだもん。ナルトにとっちゃ、2人はとっても会いたかった人達だもんねぇ。」

「蒼藍と焔雷!?・・・そんなビッグネームが来るのか!?下忍との交流で!?」

暗部のツートップ。その名は木ノ葉中、いや、他里にまで轟いている。そんな2人が新人下忍と交流会など、想像だにしなかったアスマがギョッとして叫ぶ。

そんなアスマを見て、ニヤリ、と笑ったのはキバだ。

「へ~。おもしれーじゃん。楽しみだなっ、ヒナタ、シノ!」

「う・・・うん。」

「・・・・・・ああ。」

頷くヒナタとシノに満足したのか、キバは満面の笑みを浮かべ、そして、ナルトの方へと近づく。

「なぁ、ナルト。」

「何だってばよ。」

「それでよ、お前、いつ、その2人と知り合ったんだよ?」

誰もがビッグネームに驚いて突っ込まなかった事に、案外鋭いキバは気付いたようだった。ナルトは思わずここで暴露したくなったが、それもまた面倒だと思い直し、コトリと首を傾げる。

「・・・小さい頃、って言っても、アカデミーに上がる前?・・・いっつも俺の側にいたんだってばよ?(嘘じゃないよなー、一応。)」

その言葉に事情を知らない下忍達が疑問符を頭に浮かべる。大人達はなぜそういう状況だったのか、大方の予想が付いたらしく、ああ、と納得する。

「・・・暗部が?ただの子どもにか?」

シカマルがつっこむが、当のナルトは、事の重大性を全くわかっていない。

「そうだってばよ?・・・なんか、おかしーってば?」

首を傾げるナルトに、シカマルは二の句を次げなくなる。ナルトに強く問い質しても無駄だとしか思えなかったからだ。それに、首を傾げるナルトが可愛い。

後ろでサスケが不機嫌そうに睨んでいるのを感じながらも、至近距離でナルトのキョトンとしている表情を眺めるシカマルは役得だと笑う。

「・・・いや、おめーに聞いた俺が悪かった。」

ポンポン、と頭を軽く叩き、シカマルはナルトから離れる。いい加減、サスケからの射殺すような視線に耐えかねたのだ。

「ま、それは、本人達から聞けるでしょ。ほらほら、向こうも待ちかねていると思うし、早く行くよー。」

カカシはそう言ってトントン、と軽く木の上に上り、皆を手招く。その際にチラリと視線を上にやって、空を見る。

「・・・んー・・・どうしようかねぇ。」

誰にも聞かれない程度の小声でぼそりと呟くと、カカシは先へと進み始める。慌てて付いてくる下忍達を確認して、スピードを上げた。



「・・・なあ、カカシ、暗部詰め所って、アカデミーからこんな離れてたか?」

しばらく行くと、屋根の上を進みつつ、アスマがポツリと漏らす。暗部詰め所には行った事があったからだ。

「いーや?・・・コレ、幻術だし。」

「って、おい!」

「・・・歓迎だって。暗部なりの。全然気付かなかったでしょ。紅でも。」

「ええ。・・・言われるまで、気付かなかったわ。」

幻術の得意な紅が嵌るとは、それだけすごいのだと言外に伝える。

ともかく、暗部がこれから先もいたずら半分で忍術を使ってくるのをわからせる事が必要だ。なにせ、その暗部(この場合ナルトとサスケ)がこの趣向を心底嫌がっているのだから、せめてとばかりにいたずらを仕掛けてくるに違いない。

「・・・まさか、ずっと着かないってことはないよね?」

「それはねーだろ。たぶん、暗部って言うのはこういうのなんだぞっていう説明がめんどくせーから、こうやって見せてんだろ。」

「めんどくさいって、シカマルみたいだね。」

バリバリとお菓子を頬張るチョウジとめんどくさげに説明するシカマル。だが、その会話で、ほとんどの下忍が、自分達の置かれた立場に気付いた。

「ちょ、ちょっと待って、ということは、私達、これから、暗部の総攻撃を受けるってコトォ!?(冗談じゃないわよ!!しゃーんなろー!!)」

「最悪ー。・・・アスマ先生、何とかしてよー。」

怯えるサクラに、イノも同調する。

「いや・・・俺だって、暗部の総攻撃受けたら、マジでヤバイから・・・。」

「だいじょーぶっ。・・・もう着いたから。」

ははは。と笑ってカカシが解術の印を組む。すると、景色が歪み、幻術が解ける。

「・・・え?ここ、どこ?」

下忍たちは辺りを見回す。アカデミーから屋根の上をつたって進んでいたはずなのに、実は建物内で、大きな扉が目の前にあった。木ノ葉の里は、それほど入り組んだ造りをしているわけではない。だが、こんな風に幻術にかけられたまま進めば、道順などわからなくなって、当然だ。

「ナルホドな・・・。つまりは、どこにあるかわからなくさせる意味もあったのか。」

シカマルがしたり顔で呟く。

「・・・随分と頭の回る下忍だな。」

くつくつと笑う声が背後から聞こえ、全員がバッと振り向く。

「ようこそ。暗部の詰め所へ。」

緋色の短髪に白虎の面。笑みを含んだ声は意外と柔らかく、下忍達を歓迎しているのだとうかがえる。

「・・・焔雷、さっきの幻術はお前がかけたの?」

カカシが訊ねれば、答えは返って来ず、くつくつと押し殺した笑い声が漏れる。

「焔雷・・・こ、この人が!?」

サクラがギョッとして身を引く。暗部のツートップと言われる位だから、絶対に怒らせてはダメだと身を竦める。そして気付く。自分と班を同じくする同期2人があまりにもおとなしすぎると。

「な、ナルト?サスケ君・・・?」

くるりと振り返り、じっと押し黙るサスケを確認し、そして、ナルトが見当たらない事に不安を感じて、もう一度前を向く。

「~~~っ!!!」

声にならない悲鳴。サクラはそれを実体験する。目の前の光景はあまりにも心臓に悪い。なにせ、ナルトがニコニコ笑顔で焔雷に飛びついているのだから。

「お~、焔雷(の姿見んの)久しぶりだってばよ~!」

「・・・ああ。(確かにこの姿は)久しぶり、だな。」

最近は殲滅指定の任務ばかり請け負っているので、2人は表に姿を見せる時用に作り上げた暗部姿に変化していなかった。その為、こうして変化すること自体久しぶりで、ナルトは思わず走り寄ってしまったというわけだ。

「えっとー。ナルトってー、暗部のツートップとまで言われる、蒼藍さんと焔雷さんが知り合いなワケよねー?」

イノに訊かれ、ナルトは飛びついた格好のまま同期達を振り返り、にこりと笑う。

「そうだってばよー。オトモダチだってば!(うん、嘘じゃないな。)」

「・・・そう、なんですか?」

紅が焔雷を見ると、焔雷はナルトをしっかりと抱えあげる。

「ああ。オトモダチという呼び方で良いかどうかはわからないが、顔見知り以上の関係だな。(まあ、嘘じゃねぇな。)」

心の中では考える事が一緒な2人である。その2人の様子を見ていると、兄と弟のように見える。もっとも、ナルトが一方的にじゃれているとも言えるが。

「・・・はあ、それにしたって、オトモダチはねーだろ。」

溜息をつくアスマに、焔雷は面の下で苦笑した。

「まあ、コイツの境遇とおつむを考えれば、そういう発想になっても仕方ないだろう。・・・それに、オトモダチと言われても別に俺は構わない。(こんな感じで言えば、信じるか?)」

「・・・そう、か。」

納得したらしいアスマの脳内に“監視”という言葉がうかぶ。任務とはいえ、あまり好きになれない仕事の一つだ。特に、ナルトに関しての事ならば。

“オトモダチ”と言われて、焔雷が否定しないのは、そういったメンタル面での部分でナルトに嫌な思いをさせないためでもあるのだろうと思う。紅もそう思ったのか、表情を曇らせる。


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