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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・スレナルコ総受けでバレネタ
・ナルトは女の子だということを隠して暮らしています
・シカマルは暗部での相棒(ナルト的には一番信頼している人、シカマル的には恋愛感情を向ける相手)
・カカシは“世話役兼暗部の同僚”で、ナルはカカシ兄様と呼ぶ
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








「・・・なぁ、ナルト。」

「なあに?シカマル。」

「お前、最近、だいぶ疲れてるよな?」

「・・・そんな事、無いよ?」

「じゃあ、その間はなんだ。その間は。」

「・・・。」

戦闘になれば、こちらの方が実力は上なのに、彼には口では勝てない。

言い負かされて、ナルトはむっつりと黙り込む。

「・・・はー・・・。意地悪で言ってんじゃねー。俺が変化してねーの気付いてないとでも思ってんのか?」

シカマルは盛大に溜息をつく。その言葉に、ナルトはピクリと肩を揺らした。

「気付いてたの?」

パチリ、と空色の瞳を見開いて、首を傾げる。さらりとツインテールの金の髪が揺れて、キラキラと光をこぼした。

「俺を誰だと思ってる。」

「・・・私の暗部の相棒の鋭裏(えいり)君。」

「・・・わかってんじゃねーか。」

ニヤリ、とシカマルは笑い、ナルトを抱き寄せる。

丸みをおびた、女の子の身体。本当のナルトの性別は女。だが、九尾の器として周りの者達から嫌悪されている事情から、万が一の事も考え、三代目はナルトに男へ変化して過ごす様に言い渡した。

その頭脳を買われ暗部に入隊したシカマルは、一番最初にナルトを紹介され、ナルトが女だと知った。その時のショックは大きかったが、側に近づけるように努力した結果、今、こうして一番に信頼され、触れ合える関係になった。それだけでシカマルとしては満足だった。

満足だったのだが・・・。

「ここ最近、部分変化で髪の毛を短くしてるだけだろ?」

「う。・・・だって、ずーッと変化してるの、疲れるんだもん。里の人達だって、そんなに嫌な目で見てくることも少なくなったし、良いかなーって。」

最近、ナルトが可愛いともっぱらの噂だ。

曰く。最近のナルトは、目がパッチリしていて、声も少し高い。身長も少し低くなったように感じる。

とまあ、そもそも、元は女なのだから、それが本来の姿なのだが、自分はとうとう変な方向に目覚めたのかと悪友の1人(某忍犬使いのアイツ)が嘆いていて。

よくよくナルトを観察してみれば、変化は髪の毛の部分変化のみで、はっきり言って、知っている人間が見れば、女の子そのものの姿なのだ。

「ったく、あんだけ大量のチャクラ持ってんのに、変化ごとき、めんどくさがんなよ。」

「シカマルに言われたくないー・・・。」

「あのな。・・・ったく、よく、カカシさんが黙ってるな。」

ナルトの事情を知る大人の1人であるカカシ。シカマル以上に過保護なので、ナルトはカカシにはあまり心配をかけないようにしているらしい。(だって、そうしないと、普通に買い物に出かけることすら許してくれなさそうだから←ナルト談)

「カカシ兄様なら、あっさり許してくれたよ?・・・その代わり、サスケと組むなって言って、サクラちゃんとばっかり組ませるけど。」

「・・・成る程。カカシさん的には、都合が良いってワケだ。」

「何の都合?」

― ほら、やっぱりわかっていない。

そう心の中で溜息をつき、シカマルはニヤリと笑った。

「サスケと一緒に組むと、際限なくケンカして、体力消耗すっだろ?・・・あんまり、お前を疲れさせたくねーんだろ。夜の任務もあるしな。」

適当な理由を告げれば、ふぅんと気の無い返事が返ってくる。

「・・・だったら、もう、良いでしょ?・・・カカシ兄様も良いって言うし、シカマルだって、その理由で納得できるなら、良いじゃない。」

「まあ、な。・・・けど、バレねーように気をつけろよ?俺らの同期は、かつて無いほど優秀だからな。」

新人下忍である7・8・10班。シカマルを含め、いずれも、名家や旧家の出身だったり、特殊な術を継承する一族だったりする。これだけ将来有望な面子が揃ったのは珍しいとさえ言える。

「う~ん・・・。わかった。」

しぶしぶといった様子で頷いたナルトに、不安を感じながらも、シカマルはナルトを放してやった。

「・・・で、綺羅(きら)・・・これは、このままで良いのか?」

ナルトを暗部名で呼び、シカマルは今いる部屋の中をぐるりと見回す。

「・・・えーと・・・あはは?」

そこは暗部の控え室。のはずなのだが、山済みの書類があちこちに散乱しているのだ。

「・・・まさか、報告書とかまで溜めてねーよな?」

「そこまではしてないもん!・・・暗部小隊の人選とか・・・隊長の人事とか。そういうのだけだもん。まだ、期限があるもん!」

ぷくっと頬を膨らませてナルトは答えるが、シカマルは深く溜息をつく。

「わーったよ。手伝ってやっから、少しずつかたづけるぞ?」

ナルトにこれだけの仕事を任せた三代目に心の中で毒づきながら、シカマルは書類を拾い上げる。

「とりあえず、上からかたしていくか。」

そして、2人は書類を無心になってかたづけ始めた。



翌日


「ふぁあ~。」

いつものように集合場所でカカシを待っている間。ナルトは欠伸を漏らす。

「あら、ナルト、寝不足?」

「・・・ん~・・・ちょっと、徹夜したんだってばよ。」

サクラが何気なく訊くと、ナルトは伸びをしながら答える。アレから結局、シカマルと共に夢中になって書類をかたづけているうちに朝を迎えてしまったのだ。

「ちょっと、目の下隈があるわよ?大丈夫なの?」

「だいじょ~ぶっ!・・・サクラちゃん、心配してくれてありがとうってばよ。」

ナルトはにこぉっと笑う。素に近い可愛らしい笑顔を見て、サクラは頬をピンクに染める。

「もう。・・・修行もほどほどにしなさいよね。」

「うん。」

素直に頷けば、サクラもホッとした様子で笑う。

「・・・それにしても、カカシ先生遅いってばねー。(たぶん、暗部の任務が延びたんだろうけど)」

「ちっ・・・ウスラトンカチが。」

先程から黙っていたサスケが、軽く舌打ちをする。最近、サスケのご機嫌はあまりよろしくない。原因はナルトと組ませてもらえない事への苛立ちなのだが、素直じゃないサスケの遠まわしな態度と、ナルトの鈍感さでは、それが当の本人に伝わる事は決して無い。

サクラが少し哀れむようにサスケを見たとき、待ちかねた相手がやって来る。

「悪い悪い。今日はちょっと、橋を渡っていたら高波にのまれてな~。」

「「(ありえないっ!!)・・・ハイ!嘘!!」」

木ノ葉ではありえないような事を言われると、さすがにつっこむ意欲すら奪われそうだったが、なんとかナルトとサクラは声を揃える。

「ははは・・・まーまー。じゃ、三代目のところに行くか。」

コレさえなければ、尊敬されるに値する担当上忍だというのに、とナルトはしょぼしょぼする目をこすり、カカシの後をついていく。





任務が受け渡しをされる所まで来ると、ばったりと10班と出会う。

「あらま。・・・アスマのトコも今から?」

「ああ。・・・ん?うずまき、今日は随分大人しいなぁ。」

「・・・ナルトは、寝不足なんです。修行のしすぎも良くないとは思うんですけど。」

ナルトの変わりにサクラが答えると、カカシの視線が落ちてくる。

「(あ、やばいかも・・・)」

無言でカカシと見つめ合った後、ナルトはニヘラッと笑ってみせる。

「ん~・・・今日の任務、大丈夫?(・・・変化保つのか?)」

そう言うカカシの目は非難色たっぷりで。

「だ、大丈夫だってばよ。(多分;)」

心話術を使って問いかけてくるカカシに、ナルトは自信無さ気に答える。さすがに、眠気がこれ以上強くなるなら、変化を保つだけの集中力が無くなるかもしれない。

「・・・はぁ、しょうがないねぇ。今日の任務が軽いのだったら良いんだけど。ま、疲れそうなのだったら、アスマの班にまわしてもらおう。」

「おい。・・・こっちの都合は聞かないのか;ウチだって、シカマルがいつも以上にボーっとしてて使い物になるかどうか・・・。」

アスマの答えに、7班の全員がシカマルを見つめる。

「・・・・・・ふぁ・・・。」

確かに、いつも以上にだれているようだった。生欠伸を連発している。

「シカマルまで修行でとか言わないわよね?」

サクラが眉を顰めると、シカマルはめんどくさそうに答える。

「ちげーよ・・・。ちょっと、気になる内容の本があって、読んでるうちに朝がきちまったんだよ。」

それを聞いたカカシの目が呆れたような色をうかべる。大方、2人で暗部の控え室で溜まった仕事を片付けていたのだろうと察したからだ。

先程寄った暗部の控え室が妙に片付いていたのを思い出し、その考えでほぼ間違いないと確信する。

「ま~ったく。2人して何やってるの・・・体調管理も忍としては大事な事だよ?」

カカシがまともな事を言ったので、ナルトとシカマル以外の全員がギョッとして見つめる。

「・・・何。」

ムッとするカカシに、アスマはから笑いをする。

「いや、ハハハ・・・さ、とりあえず、今日の任務だ。任務。」

カカシの背中を押しながら、アスマが部屋の扉を開くと、そこには、下忍第8班の姿があった。

「お、紅。お前のトコもか。・・・珍しいなぁ、3班ともが一緒になるなんて。」

「アスマ、カカシ!?・・・本当に珍しいわね。」

フフッと紅が笑う。その脇で、キバが訝しげにナルトを見つめ、隣のヒナタをつつく。

「おい、随分大人しいな、ナルトのヤツ。」

「・・・な、ナルト君、なんだか、ね、眠そう・・・。」

その2人の会話を聞きつけたサクラが答えてやる。

「ナルト、寝不足なんですって。」

「そ、そうなんだ。・・・だ、大丈夫?な、ナルト君。」

もじもじとしながらヒナタが問えば、ナルトは先程からどんどんと強くなってくる眠気と闘いながら、こくん、と頷く。

「だ~いじょう~ぶ。だってばよぅ。」

舌足らずな言葉に、危機感を覚えたのは、カカシとシカマルだ。

まだ、寝不足には耐性があるシカマルだが、ナルトは貫徹の後は必ず休みを取っているから、耐性などほとんど無いに等しい。

「(ナルトのヤツ、やべーな。・・・カカシさんが上手くフォロー出来りゃ良いが。)」

心配そうにナルトを見やり、カカシに視線を向ける。

「(・・・こりゃ、相当だね。今のうちに外した方が良いかも。)」

そんな2人の思いを知ってか知らずか、ナルトは三代目につっこんで行く。

「じっちゃん!今日のに~んむは、何だってばよ~ぅ!」

事情を察している三代目も気が気でない。

「・・・今日は、3班の合同任務じゃ。・・・ランクはD。失せ物探しじゃな。」

「・・・失せ物だってば?」

「そうじゃ。・・・星見の原に大切な指輪を落としたらしい。」

星見の原。だだっ広くて、星の鑑賞にもってこいな有名な木ノ葉の観光名所。それを聴いた瞬間、全員が遠い目をする。

「・・・それって・・・かなり、人手が要りますよね。」

「・・・うむ。しかし、今は人手不足でな。・・・忍犬使いのキバやカカシがいるから、お主らにしたのじゃが。」

三代目の視線はナルトに向いている。

「・・・調子の悪そうなものもおるようじゃが・・・大丈夫か?」

「わかりました。ナルトは俺がフォローしますし、シカマル君もアスマがフォローするでしょう。」

カカシが請け負うと、アスマも紅も異存は無いのか、コクリと頷く。

「では、頼んだぞ。」

「「「はい。」」」

担当上忍達が返事をする中、シカマルは不安げに視線をナルトへ向けた。あんな隠れる場所も何も無いところで、大丈夫か、と。

「じゃ、行くよー。」

カカシがへらりと笑う。すんなり任務を受けたのだから、何か対策は練っているはずだが、シカマルの不安は消える事は無い。当の本人はあまり気にしてはいない様子で、サクラと何かを話している。

「サクラちゃんは、星見の原って行った事があるってば?」

「あるけど・・・小さな頃だから、あんまり覚えてないわね。ナルトは?」

「行った事ないってばよ。・・・通りすがりに見た事はあるけど。」

「・・・そっか。」

ナルトに両親がいないのは周知の事実。そんな状況で、星見の原に1人で行く事もなかっただろうと察する。

聞いてからサクラは後悔したが、ナルトが気にした様子を見せなかったので、微笑んで頷いた。





そして、里外れの星見の原に来た一行は、一旦班ごとに別れる。

「さて、ナルトは寝不足で調子も悪そうだし、俺を手伝って貰うから。・・・サクラとサスケは人海戦術担当ね。」

「わかったってばよ・・・。」

「はい。」

「ああ。」

三人それぞれ返事をすると、サクラとサスケはさっそく動き始める。それを眺め、やがて、声が聞こえない程度に2人が離れた頃、カカシがポツリと漏らす。

「・・・言ったでしょ。下忍の任務があるときは、暗部の仕事も控えめにしなさいって。」

降ってくる視線が痛い。

「・・・ごめんなさい。カカシ兄様。」

素直に謝れば、カカシの大きな手がナルトの頭を撫ぜる。

「素直で大変宜しい。・・・さて、愛犬達に頑張ってもらおうかね。」

カカシは印を組み、口寄せの術を発動した。




一方、シカマル達第10班は、やはりシカマルを残し、イノとチョウジが人海戦術担当になっていた。ちなみに、第8班は班員全員が探索に優れた術を持っているので、すでにバラバラに散った後だった。

「はー・・・めんどくせー・・・。」

「お前はいつもだろ。」

こつん、と頭を小突かれ、シカマルはアスマを見上げる。

「だってよ、これ、マジで人手足りねーぞ。・・・いくら、忍犬使いが2人もいるからって・・・。」

内心、時間がかかればかかるほど、ナルトが耐えられなくなるだろうとわかっているから、非常に焦る。だが、こんなだだっ広い所で、どうやって指輪などという小さな物を探せというのだろうか。

「においだって、金属だったらすでに消えてる可能性の方が高いぜ。」

忍犬が活躍できるとしたら、その嗅覚が最も頼り。しかし、失せ物は貴金属。持ち主のにおいが消えてしまっていれば、即アウトだ。

「まぁ、そうだな。・・・さすがに、寝不足でも頭の回転は速いままか。・・・明け方まで本を読んでるなんて、珍しいな。どんな本を読んでたんだ?」

アスマに聞かれ、シカマルは静かに焦る。

「・・・ああ、薬草の調合方法が書かれてるヤツだな。」

「奈良家の本職か。・・・まあ、程々にしとけよ。」

「わーってるって。」

なんとか誤魔化したシカマルは、チャクラの流れを感じて、ナルトとカカシの方を見る。

「忍犬か。・・・カカシさんとこは大所帯だな。」

「ああ。・・・しかし、お前の言う通りなら、あんまり役にはたたねーかもな。」

「まあ、人海戦術の足しにはなるんじゃねーの?・・・忍犬は、特別な訓練を受けてるって言うしな。」

シカマルの言葉に、アスマも頷く。

「そうだな。・・・さて、こっちもボーっとしてるわけにはいかないしな。カカシ達と合流するか。」

「ああ。」

シカマルとアスマがナルト達のもとへ来ると、カカシが一瞬眉を顰める。

「(・・・やべ、怒ってるよ。)」

その顔を見たシカマルは、背中に冷や汗をかく。暗部に入隊してからの短い付き合いだが、カカシのナルトに対する(過保護すぎな)思いは充分に知っている。

「シカマル君も人海戦術からは外したんだ。」

「ああ。・・・うずまき、大丈夫か?さっきより眠そうだな。」

「う~・・・眠いってばよぅ。」

しょぼしょぼする目を擦りながら見上げてくるナルトに、アスマは心臓が跳ね上がる。

「・・・(なんだ、この生き物は!可愛いだろうが。)」

「(ちっ、アスマの野郎、ナルトに見惚れやがった。)」

シカマルがギロリと睨むのも気付かず、アスマは緩んだ表情でナルトの頭を撫でてやる。

「そうか。・・・じゃあ、寝てろ。この状態で任務やってもしょうがねぇだろ。」

なあ?と話を振られたカカシも、アスマの丸わかりな態度に不機嫌丸出しで頷く。

「そうだねぇ。・・・ほら、ナルト、こっちで休みなさい。」

手招きして自分の影に隠すようにして休ませる。

「・・・大丈夫か?ナルト・・・。」

シカマルがしゃがみこんでナルトの顔を覗き込む。

「ん~・・・キツイ。」

ナルトはくっきりと目の下にくまを作っている。自分が付いていながら、と反省しきりのシカマルだったが、一瞬、ピクリと肩を震わせる。

「(殺気・・・?)」

チラリと上忍の2人を見れば、同じように気付いたようで、辺りを警戒している。

「アスマ、カカシ!」

紅も気付いたらしく、下忍達を引き連れて戻って来る。

「なんだろうねぇ、近くで戦闘でもあったかな・・・?」

里外れではあるが、観光名所のごく近くで戦闘になる事など、滅多に無いハズだ。わかっていても、カカシはそうやって呟く事で、下忍達に今の状況を悟らせる。

「任務は中断したほうが良いわ。・・・味方ならともかく、敵がうろついているようならこの子達をバラバラに動かすのは得策ではない。」

紅が言えば、アスマもカカシも頷く。

「・・・とりあえず、状況を確認する。」

印を組み、カカシは影分身を1つ作る。

「はい。行ってきて頂戴。」

影分身は頷いて、その場を後にする。それを見送り、カカシはナルトを揺する。

「ナルト、ちょっと、状況がわかんないから、起きてくれる?」

「・・・起きてるってばよ。」

むくり、と起き上がったナルトの顔は不機嫌そうに歪んでいる。

「・・・せっかく、休憩できてたのに・・・。侵入者の分際で。」

ぼそり、と不機嫌に呟かれた言葉に、ギョッとしたのが2名、他の者達はいつもの様子と違うナルトを見て、頭に疑問符をくっつける。

「な、ナルト?」

“マズイ。マズイ。マズイ!”カカシの頭はその言葉でいっぱいになっていた。おそらく、シカマルの頭も同様だろう。それくらい、今のナルトの状態はまずかった。

「国境警備の任務についてる奴らは、何やってんのかなぁ?・・・普通さ、気付くよね、気付いたら、追うよねぇ?」

ゆらりと立ち上がったナルトに、同意を求められたアスマは呆然と頷く。

「あ、ああ。そうだな。」

「気付いてなければ暗部解任・・・追っててココまで来られてるなら、再教育だねぇ・・・。今日の当番誰?」

くるりと振り返られ、カカシは内心で悲鳴をあげながら答える。

「(ひーっ;)た、確か、エンジとヒイロだった、かな?」

「ふぅん・・・二人とも暗部に入隊したばっかりだったよねぇ・・・誰が推薦したんだっけぇ?」

視線を向けられたのはシカマル。こちらもまたどうやって止めたものかと悩みながらも答えてやる。(そうしなけりゃ、ぜってー今より機嫌が悪くなる!!←シカマル心の中の叫び)

「あ、ああ。確か・・・カカシさん、かな?」

「そーだよねー。カカシ兄様だよねー?・・・部下の尻拭いは?」

「・・・上司の仕事です;行って来ます!」

ウフフフフ、と黒い笑みを見せられれば、カカシはそう答えて瞬身の術でその場から移動する。曰く、不機嫌なナルトに逆らってはいけない。

それら一連を見ていた仲間達は呆然とその場に立ち竦む。

「あ~・・・ナルト・・・とりあえず、カカシさんが行ったんだから、大丈夫だろ。・・・だから、落ち着け。」

ポン、とシカマルが肩を叩く。すると、ナルトの肩の力が抜け、はあ、と溜息がその口から漏れる。

「だ、大丈夫か。」

「・・・も~ダメ~・・・集中力、切れた。」

ナルトがそう呟いてシカマルにもたれかかった瞬間、ナルトの部分変化が解ける。

サラサラと背中に流れる長い金髪が、初めて事情を知る自分達以外の前で晒される。

「・・・え?・・・今のって、変化したんじゃない、変化が解けた、のよね?」

反応したのは、サクラ。ナルトを凝視している。シカマルは腹をくくり、こくりと頷く。

「ああ。そうだ。・・・これがこいつの・・・ナルトの本当の姿だ。」

「・・・髪が長いだけじゃ・・・ないのねー・・・?」

イノの確認に、シカマルは苦笑する。

「まあ、男でここまで髪を伸ばすってのも、無くはねーが、普通に考えりゃ・・・女だと思うわな。」

「・・・ナルトが、女。・・・女!?」

キバが目を見開く。シカマルは眉間にしわを寄せ、その様子を見つめる。キバの思いは、相談されて知っているから。

「な、ナルト君が、女の子・・・。」

ショックを受けているのか、呆然とヒナタが呟く。ヒナタのナルトへの恋心は周知の事実だ。

「ナルト、ほら、ちゃんとむこう向け。」

くるり、と仲間達の方を向かせれば、部分変化で髪の長さだけでなく、顔の形も変えていたようで、ほんのりと丸くなったナルトの顔が露わになる。

「ん~・・・眠い・・・。」

目を擦り、甘えた声を出す。それだけで男共の顔がだらしなく緩む。(←シカマル視点)元々美形のナルトだ。しかも、眠気のせいでいつもよりとろんとした目と油断しきったその表情は、はっきり言って、誑しこむ要素満点だ。

「・・・か、可愛いわ。」

サクラが呟き、ナルトの両頬を引っ張る。

「ひゃう!・・・ひゃくやひゃん(サクラちゃん)!?」

びっくりしたナルトは、目を丸くしてサクラを見つめる。

「・・・なに、この可愛さ!ちょっと、シカマル!あんた、今までコレを独り占めしてたわけ!?」

非難の目で見つめられ、シカマルはムスッと応じる。

「わりーかよ。俺だって、努力してこの位置を手に入れたんだ。文句は言わせねーぞ。」

「・・・暗部がどうこうって言うのがそうなのねー・・・?」

イノが問えば、シカマルは渋々頷く。

「あ、暗部って、木ノ葉の中でも、せ、精鋭中の精鋭だよね?・・・ナルトく・・・な、ナルトちゃんとシカマル君って、つ、強かったんだね?」

意外とショックを受けていないらしいヒナタの質問に、シカマルは目を瞠る。

「・・・まあ、な。一応、暗部の中でも隊長格だしな。」

「「「「隊長格~!!??」」」」

ようやく反応を始めた男共に、牽制の意味を含めた視線を向ける。

「おう。俺もナルトも、暗部の中じゃ、仕切る方の立場だぜ。・・・ナルトに至っては、人事権まで任されてるしな。」

「・・・すご。」

イノがナルトに視線を向ける。そんな様子は微塵も見せないナルトだが、先程のカカシとの会話を見たせいか、すんなりと納得できる。

「ひゃくやひゃん(さくらちゃん)・・・;;」

涙目のナルトに呼ばれ、自分が頬を引っ張ったままだと気付いたサクラが慌てて手を離す。

「あ、ごめん、ナルト。・・・それにしても、ドベどころか男でもなかったなんて・・・一体どういうことなの?」

サクラに見つめられ、ナルトは俯く。

「・・・えっと・・・私・・・。」

「そんなの、自分で調べろ。努力もしねーで答えを知ろうとするヤツに、ナルトの側にいる権利はねーよ。ってか、やらねー。」

答えようとしたナルトを制し、シカマルが同期達に睨みを利かせる。しばし、睨み合った後、女子達が先に腹をくくる。

「やってやろうじゃない!・・・努力すれば、ナルトの側にいても良いんでしょ!?」

「シカマルだけに良い思いはさせないんだからー!」

「・・・が、頑張る!」

それを見て、黙っている訳にいかなくなった同期の男子達も俄然張り切りだす。

「よっしゃ、男に二言はねーよな!シカマル!・・・こっちは情報収集に優れた能力者が結構いるんだぜ、後悔すんなよ!!」

キバがビシッとシカマルをさせば、シノが無言で頷く。さらに、サスケも写輪眼全開でシカマルを睨む。

唯一興味のなさそうにしていたチョウジが、ふとお菓子を頬張るのを止めてシカマルを見つめる。

「・・・ボク、シカマルとナルトが暗部なの知ってたよ。・・・ついでに、ナルトが女の子なのも。・・・ああ、それから、その事情も知ってたし。」

ギョッと全員がチョウジを見つめる。

「・・・チョウジ・・・。」

ナルトが見つめると、チョウジはにっこりと笑う。

「ナルト、ボク、見てないように見えるかも知れないけど、ちゃんと、二人の事見てたよ?・・・キバは全然気付いてなかったけどね。」

どうやら、かなり早いうちから気づかれていたらしい事を悟ると、シカマルは苦笑を浮かべる。

「さっすが、チョウジ。・・・まいったな。」

チョウジに降参してみせると、シカマルは同期達に向き直り、不敵に笑う。

「ほら、チョウジは条件クリアしたぜ、ここでボーっとしてて良いのかよ?」

その挑発に黙っている同期達ではない。すぐさま行動に移すべく、全員が里に向かってダッシュする。

「・・・おー・・・行った行った。」

眺めるシカマルは、余裕だ。下忍がそう簡単に調べられる事ではないのがわかりきっているからだ。

「で、どうすんだ?この任務は。」

事情を知っているため、ここに残ったアスマと紅とチョウジ。コレだけの人数で指輪を探すのは無理だろう。

「あー・・・どうすっかな。」

「大丈夫だよ。・・・パックン達が見つけてくれるから。」

ナルトがにっこりと笑う。

「カカシ兄様が何にも考えないで任務受けるわけ無いじゃない。依頼人のにおいが消えても、金属のにおいはするんだから、感知した金属のにおい全てを確認して、指輪があったら合図するように、パックン達には言ってあるから。」

オォーーーン!

ナルトの言葉を肯定するかのように、犬の遠吠えが聞こえる。

「ほら。見つけたって。・・・コレで、任務完了だね。」

にっこり。

可愛いナルトの笑顔に、再びやられたアスマがフラフラとナルトの側によって来るが、紅とチョウジに阻まれる。

「ナルト、お前、素で笑うな。素で。」

「え?どうして?」

鈍感なのは治しようがない。シカマルは先が思いやられた。

「大変だね、シカマル。・・・ボクも手伝うからね?(邪魔者排除を)」

「私も牽制くらいは手伝ってあげるわ。(特にこの熊男の)」

チョウジと紅の含みある言葉に苦笑しつつ、シカマルは頷いた。

「・・・おう、頼むぜ。」




それから数週間、下忍達が情報収集に走り回る姿が確認され、更に数週間後、シカマルに詰め寄る姿が見られたらしい。




「誰がお前らにナルトの隣を譲るかー!!!」


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