Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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・カップリングはありません(強いて言えばかる~く土ミツ)
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
この村の祭は迎え盆から送り盆までの間行われ、最終日には花火が打ち上げられる。
銀時達は、様々な出店が居並び物売りの声が飛び交う中を歩いていた。
「・・・久々だなァ、こんなん」
賑やかな祭の様子に、銀時は目を細める。
「そういや、銀兄ィって戦争に参加する前はどこにいたの?」
そんな銀時を見上げて沖田が問う。
「ん~?・・・萩ってわかるか?ここからずぅっと西のほうにあるんだ」
「・・・京より西?」
「京より西だなァ・・・」
「じゃあ、すっげー遠いんだ」
「まぁな~」
「ふふっ・・・そーちゃんたら、本当に坂田さんに懐いちゃって」
前を仲良く歩きながら話す二人を見つめ、ミツバが嬉しそうに笑う。
「・・・沖田センパイが銀時に惚れ込む理由もわからなくもない」
そのミツバの横をゆっくりと歩きながら土方が言えば、ミツバが目を細めた。
「それは、十四郎さんも坂田さんに惚れ込んでいるから?」
「・・・・・・そう、だな。近藤さんへとは違った憧れみてぇなもんはあるな」
銀時の強さを垣間見た瞬間自分には無いものを感じた。きっと今の自分には必要ないものなのだろうが、とにかく憧れた。
沖田もそうなのだろう。彼の求める強さはどちらかというと近藤よりも銀時のものの方に近い。
「男の人ってホント・・・そういうの、好きですね」
クスクスと笑うミツバ。
「そういうの?」
「誰かを護るとか、強さを求めるっていうの・・・そーちゃんも、いつも強くなりたいって言って。私を護ってくれるんですって」
「・・・あぁ、強いに越したこたァねェだろ。それに・・・大事なモンを自分の手で護りてェってのは、誰だってそうだろ?」
「・・・そうですね。私だって・・・そーちゃんのことは護ってあげたいって思いますから」
まだ幼い弟を遺していかなければならなくなる日が必ず来る。ここ最近調子が悪くなる日が多くなっている。
次の春を迎えられるかどうかわからない。そう医者に言われて、まず先に脳裏に浮かんだのは弟の身のことだった。
「沖田センパイのことは心配しなくても良い・・・近藤さんもいるし、銀時だっている」
「十四郎さんも、ね?・・・だから、安心してるんですよ」
「そう、か」
土方は視線を前へと向けて、いつの間にか銀時と沖田の姿が消えていることに気づく。
「・・・ぎん、とき?・・・いない?」
「あら?そーちゃんもいないわ。はぐれちゃったのね・・・どうしましょう?」
ミツバが困ったように呟く脇で土方は表情を強張らせた。確実にわざとはぐれたのだとわかったからだ。
「・・・た、たぶん・・・二人一緒にいるだろ。・・・し、心配ねェよ」
「・・・それもそうですね。こんな人出の多さじゃ、探すのも大変ですし・・・はぐれた場合の集合場所もきめてありますものね」
はぐれても心配して探さないようにと、集合場所を決めた銀時の機転は見事に功を奏した。
しかし、土方はそれどころではない。先程まで普通に話していたというのに一度意識してしまうと緊張で硬くなってしまう。
「十四郎さん?」
「あ、ああ?な、なんだ?」
「何か心配事ですか?・・・難しい顔してましたよ?」
「・・・いや・・・別に」
「・・・じゃあ、せっかくだから・・・楽しみませんか?・・・私、嬉しいんです。十四郎さんと・・・夏祭りに来ることができて」
頬をほんのりと赤く染めたミツバに、土方は息を呑む。
自分の想いを伝えようなどとかけらも思ったことが無かったから、ミツバの本音を吐露されてどう答えたら良いものかと困惑する。
その時、トン、とすれ違った男の肩にミツバがぶつかってしまう。
「・・・あ、すみません」
「・・・いえ」
短く応じて男が去って行くのを見送るミツバの腕を掴み、土方はぐい、と自分の傍に導くように引いた。
「っ・・・と、十四郎さん?」
「・・・お、俺達まではぐれたら、大変だろ」
「・・・・・・そ、そう、ですね」
互いに顔が赤いはずだが、日も落ちてぶら下げられた提灯の明かりの下ではよくわからない。
そのまま手をつなぎ、二人は並んで歩いて行く。
はぐれたフリをしてその二人の後を尾行ていた沖田は凶悪な顔をしてぼそりと呟く。
「・・・ちくしょう、土方、死ね」
「まぁまぁ・・・そーちゃん、落ち着いて。っていうか、発案はお前でしょうが」
銀時がなだめるようにそう言えば、やっと合流した近藤も頷いた。
「そうだぞ、総悟。ミツバ殿も嬉しそうじゃないか」
「そーそー」
「うー・・・でもやっぱ死ね」
「あちゃ~・・・こりゃダメだ」
「まぁ、わかってたけどなァ・・・」
銀時と近藤は顔を見合わせ、この先、更に険悪になるだろう土方と沖田を思い浮かべ、苦笑を浮かべた。
***
土方とミツバの後をついて歩いていた銀時が、ふと社殿を取り囲む森の方へ視線を向けた。
「・・・銀兄ィ」
沖田が硬い表情で銀時を見上げてくる。
「総悟も気付いた?」
「うん・・・」
「・・・怨念すら感じる殺気だな」
頷いた沖田の脇で、近藤も眉間にしわを寄せた。
「せっかくの祭なんだけど・・・どこの誰だか知らねェが無粋な真似すんなら、止めなきゃな」
前にいる土方を見れば、彼も気付いたようで森の方へと視線を向けている。
「・・・チッ、十四郎も気付いたな。・・・ミツバと仲良くやっててもらわにゃならねェってのに」
そう毒づいて、銀時は腰に佩いていた木刀に手をやる。
「そーちゃん、ミツバと十四郎の足止めな?」
「・・・うん・・・わかった」
一瞬ためらった様子を見せたが、ミツバの安全の方を選んだ沖田はコクリと頷く。
「近藤さん、武器は?」
「あのオヤジから借りる」
銀時の確認に、近藤が指さしたのはスイカを模造刀で居合い斬りしていた男だった。
「・・・あァ、あれならちったァ丈夫か」
「そーゆーコト!!」
近藤が男に駆け寄るのと同時に、銀時は森の方へ、沖田は土方達の方へと走っていく。
「姉上!」
「あら、そーちゃん。ちゃんと合流できたのね。・・・坂田さんは?」
「あっちでリンゴ飴買ってました!・・・姉上、さ、社殿の方へ行きましょう!土方もな!!」
「・・・あ、ああ」
ギロッと沖田に睨まれ、土方は森の方へ行くことを諦める。おそらくここにはいない銀時が向かったのであれば、大丈夫だろうとふんで。
***
「・・・おいナニやってんだ!テメェ等!!」
銀時が駆け付けてみれば、多勢に無勢、刀を構えた男達が丸腰の壮年の男を取り囲んでいた。
「売国奴を始末しようとしているだけだ!部外者は下がっていろ!!」
叫んだ男の言葉に、銀時はピクリと眉を跳ね上げさせた。
「(売国奴?・・・あのオッサンは幕府関係者か)」
途端に苦々しい気持ちになるが、それはそれ、これはこれ。
今の銀時には祭を邪魔される方が余程腹に据え兼ねる。これほどに平和な村に物騒なモノは必要ない。
「攘夷志士か、オメェら・・・気持ちはわかるが、こんなトコまで戦の空気を持ってくんじゃねェよ」
「貴様に何がわかる!!」
「わかるッつってんだろ!!俺だって攘夷志士だ!!」
銀時の叫びに、男達が一瞬ひるむ。
その瞬間に銀時の木刀が男達を叩き伏せる。
「銀時!!」
その時、やっと模造刀を握り締めて近藤が合流する。
「近藤さん、そのオッサンを頼む!!」
「・・・わかった!!」
近藤は、壮年の男の傍に駆け寄ってその状態を調べる。大きな怪我もなく、本人の意識もハッキリとしていた。
「アンタ、大丈夫か?」
「あァ・・・ヒデェ目にあった」
そう答える壮年の男は銀時を見つめながら呟く。
「・・・あの男達に憎まれるようなコトでもしたのか?」
「ん?ああ・・・アイツ等にとっちゃあ、まァ、似たようなモンだろう。・・・奴さん等は、幕府って聞きゃあ皆憎いのよォ」
その答えを聞いた近藤はピンときた。
「そうか・・・じゃあ、アイツ等は攘夷志士か」
「・・・あの銀髪の兄ちゃんもだろォ?自分で言ってたぞ」
「銀時は・・・元だよ、元・・・頼む!!アンタのコトを助けようとしてんだから、残党狩りに知らせねェで欲しいんだ!」
近藤が頭を思いっきり下げると、壮年の男は溜息をついた。
「オジサンだって、人の子ですよォ・・・んな、恩知らずな真似できるかィ」
「ああ、助かるよ!!」
安堵の表情をうかべる近藤に、壮年の男は好感を抱いたようだった。
「・・・なぁ、兄ちゃん・・・腕に自信があるか?」
「・・・?・・・ま、まぁ、道場主なんてモンをやってるから・・・それなりに」
「ほォ・・・そうかィ」
壮年の男は意味深に笑みをうかべて頷く。そして、銀時の方へと視線を向けた。
近藤達が話している間に男達をのしてしまった銀時は、その場から動かずにこちらを見ていた。
「銀時、大丈夫か?」
近藤が声をかければ、銀時は頷いた。
「・・・あァ・・・大丈夫だよ」
答えた銀時は、ガシガシと頭の後ろを掻きながら近藤達に近寄った。
「・・・オッサン、大丈夫だったか?」
「おかげ様でなァ・・・いやァ、助かった。オジサンさァ、避暑で娘と武州に来たんだけども、まさか攘夷志士の残党に命狙われるなんて思ってもいなかったから、武器とか全部置いてきちまってよォ」
「・・・いくら戦争に巻き込まれなかったとしたって、この辺りも危険だぜ?自分の立場をちゃんと理解してんなら、護身用の武器くらいは携帯しとけよ」
銀時が呆れたように言えば、壮年の男は苦笑した。
「そうだなァ・・・残党狩りが血眼になって攘夷志士を追っかけまわしてんだもんなァ・・・安全なトコなんてねェか」
「そーゆーこった」
「・・・まぁ、次からは気をつけらァ・・・せっかくの祭を邪魔して悪かったなァ」
「いや・・・どっちかってェと、オッサンよりこっちの兄ちゃん等の方が殺気飛ばして邪魔してたから。別に謝んなくったって良いよ」
ぐったりとしている男達を顎で示して、銀時は溜息をつく。
「・・・この件は、上には報告しねェつもりだ・・・そいつらの気持ちもわからんでもないんでなァ」
壮年の男は痛みを堪えるような表情をうかべて呟く。
「・・・じゃ、放置ってことで?」
近藤が訊ねれば、壮年の男は頷いた。
「・・・なぜだ・・・俺達は・・・」
倒れ伏していた男達のうちの一人が、のろのろと頭をもたげて訊ねる。
「俺ァよォ・・・信念貫いて戦ってた攘夷志士ってなァ嫌いになれねェのよ・・・ま、我が身は可愛いし?顔も何も知らねェ連中のために、上に楯突こうなんざ思っちゃいねェがな?」
壮年の男の正直な答えに男は絶句し、スッと視線を落とした。
「・・・襲う相手、間違えたみてェだな」
苦笑いをうかべた銀時が言えば、男は小さく頷く。
「・・・なぁ、行く当て無いんだろう?なら、うちの道場に来い。貧乏道場だが、寝る場所には困らんぞ!」
ニカリ、と笑う近藤の言葉に、男はギョッとする。
「近藤さん・・・」
「イイだろ?銀時。・・・俺ァ、人を見る目はあると思ってる。・・・コイツ等はそんな悪い連中じゃないよ」
近藤は一度言い出したら聞かないというのは短い付き合いだがよくわかっているし、己も同じようにして抱え込まれてしまったクチだから文句の言いようもないというのもある。
銀時は説得を早々に諦めた。
「はァ・・・ったく、本当にお人好しだな、アンタは」
「ガハハ!よく言われる!」
豪快に笑う近藤と、呆れ果てた様子で近藤を見る銀時。両名を黙って見ていた壮年の男はピラリ、と紙片を近藤に向けて差し出す。
「名刺?・・・松平・・・片栗虎?」
「そ、それがオジサンの名前ね、で、兄ちゃん等の名前は?」
「あ、ああ、俺は近藤勲。この近くの道場で道場主をしてる」
近藤が答えると、松平の視線が銀時に移る。
「・・・俺も?」
「そう、そっちの兄ちゃんも」
訊ねれば頷かれ、銀時は渋々自己紹介をした。
「・・・坂田、銀時。・・・近藤さんの道場に世話になってる」
「近藤勲に坂田銀時・・・ね。じゃ、礼は後日改めてさせてもらうよォ」
ひらり、と手を振って背を向けた松平を見送り、近藤と銀時は溜息を漏らした。
「・・・なんだあのオッサン、変なの」
「銀時、お前あのオッサンが幕府関係者だってわかってて、自分も攘夷志士だなんて言ったのか?」
「え?あ、ああ・・・そういえば、言っちゃったカモ?」
「言っちゃったカモ?じゃない!!・・・まったく・・・あの人じゃなかったら、大変なことになってたかもしれないんだぞ?」
近藤が説教を始めてしまったので、銀時は身を竦ませた。
「悪かったって、つい売り言葉に買い言葉っつーか・・・口が滑ったっつーか・・・」
「まったくもぅッ!!この子ったら!!」
「・・・ッて、どこのオカン!!?」
なぜかオカン口調になった近藤にツッコミを入れつつ、銀時は男達を振り返った。
「こんなお人好し、滅多にいねぇぞ?・・・イイ奴に拾われたって、感謝すんだな」
「・・・・・・ああ・・・世話になる・・・」
男の返答に満足し、銀時は笑みをうかべたのだった。
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銀時達は、様々な出店が居並び物売りの声が飛び交う中を歩いていた。
「・・・久々だなァ、こんなん」
賑やかな祭の様子に、銀時は目を細める。
「そういや、銀兄ィって戦争に参加する前はどこにいたの?」
そんな銀時を見上げて沖田が問う。
「ん~?・・・萩ってわかるか?ここからずぅっと西のほうにあるんだ」
「・・・京より西?」
「京より西だなァ・・・」
「じゃあ、すっげー遠いんだ」
「まぁな~」
「ふふっ・・・そーちゃんたら、本当に坂田さんに懐いちゃって」
前を仲良く歩きながら話す二人を見つめ、ミツバが嬉しそうに笑う。
「・・・沖田センパイが銀時に惚れ込む理由もわからなくもない」
そのミツバの横をゆっくりと歩きながら土方が言えば、ミツバが目を細めた。
「それは、十四郎さんも坂田さんに惚れ込んでいるから?」
「・・・・・・そう、だな。近藤さんへとは違った憧れみてぇなもんはあるな」
銀時の強さを垣間見た瞬間自分には無いものを感じた。きっと今の自分には必要ないものなのだろうが、とにかく憧れた。
沖田もそうなのだろう。彼の求める強さはどちらかというと近藤よりも銀時のものの方に近い。
「男の人ってホント・・・そういうの、好きですね」
クスクスと笑うミツバ。
「そういうの?」
「誰かを護るとか、強さを求めるっていうの・・・そーちゃんも、いつも強くなりたいって言って。私を護ってくれるんですって」
「・・・あぁ、強いに越したこたァねェだろ。それに・・・大事なモンを自分の手で護りてェってのは、誰だってそうだろ?」
「・・・そうですね。私だって・・・そーちゃんのことは護ってあげたいって思いますから」
まだ幼い弟を遺していかなければならなくなる日が必ず来る。ここ最近調子が悪くなる日が多くなっている。
次の春を迎えられるかどうかわからない。そう医者に言われて、まず先に脳裏に浮かんだのは弟の身のことだった。
「沖田センパイのことは心配しなくても良い・・・近藤さんもいるし、銀時だっている」
「十四郎さんも、ね?・・・だから、安心してるんですよ」
「そう、か」
土方は視線を前へと向けて、いつの間にか銀時と沖田の姿が消えていることに気づく。
「・・・ぎん、とき?・・・いない?」
「あら?そーちゃんもいないわ。はぐれちゃったのね・・・どうしましょう?」
ミツバが困ったように呟く脇で土方は表情を強張らせた。確実にわざとはぐれたのだとわかったからだ。
「・・・た、たぶん・・・二人一緒にいるだろ。・・・し、心配ねェよ」
「・・・それもそうですね。こんな人出の多さじゃ、探すのも大変ですし・・・はぐれた場合の集合場所もきめてありますものね」
はぐれても心配して探さないようにと、集合場所を決めた銀時の機転は見事に功を奏した。
しかし、土方はそれどころではない。先程まで普通に話していたというのに一度意識してしまうと緊張で硬くなってしまう。
「十四郎さん?」
「あ、ああ?な、なんだ?」
「何か心配事ですか?・・・難しい顔してましたよ?」
「・・・いや・・・別に」
「・・・じゃあ、せっかくだから・・・楽しみませんか?・・・私、嬉しいんです。十四郎さんと・・・夏祭りに来ることができて」
頬をほんのりと赤く染めたミツバに、土方は息を呑む。
自分の想いを伝えようなどとかけらも思ったことが無かったから、ミツバの本音を吐露されてどう答えたら良いものかと困惑する。
その時、トン、とすれ違った男の肩にミツバがぶつかってしまう。
「・・・あ、すみません」
「・・・いえ」
短く応じて男が去って行くのを見送るミツバの腕を掴み、土方はぐい、と自分の傍に導くように引いた。
「っ・・・と、十四郎さん?」
「・・・お、俺達まではぐれたら、大変だろ」
「・・・・・・そ、そう、ですね」
互いに顔が赤いはずだが、日も落ちてぶら下げられた提灯の明かりの下ではよくわからない。
そのまま手をつなぎ、二人は並んで歩いて行く。
はぐれたフリをしてその二人の後を尾行ていた沖田は凶悪な顔をしてぼそりと呟く。
「・・・ちくしょう、土方、死ね」
「まぁまぁ・・・そーちゃん、落ち着いて。っていうか、発案はお前でしょうが」
銀時がなだめるようにそう言えば、やっと合流した近藤も頷いた。
「そうだぞ、総悟。ミツバ殿も嬉しそうじゃないか」
「そーそー」
「うー・・・でもやっぱ死ね」
「あちゃ~・・・こりゃダメだ」
「まぁ、わかってたけどなァ・・・」
銀時と近藤は顔を見合わせ、この先、更に険悪になるだろう土方と沖田を思い浮かべ、苦笑を浮かべた。
***
土方とミツバの後をついて歩いていた銀時が、ふと社殿を取り囲む森の方へ視線を向けた。
「・・・銀兄ィ」
沖田が硬い表情で銀時を見上げてくる。
「総悟も気付いた?」
「うん・・・」
「・・・怨念すら感じる殺気だな」
頷いた沖田の脇で、近藤も眉間にしわを寄せた。
「せっかくの祭なんだけど・・・どこの誰だか知らねェが無粋な真似すんなら、止めなきゃな」
前にいる土方を見れば、彼も気付いたようで森の方へと視線を向けている。
「・・・チッ、十四郎も気付いたな。・・・ミツバと仲良くやっててもらわにゃならねェってのに」
そう毒づいて、銀時は腰に佩いていた木刀に手をやる。
「そーちゃん、ミツバと十四郎の足止めな?」
「・・・うん・・・わかった」
一瞬ためらった様子を見せたが、ミツバの安全の方を選んだ沖田はコクリと頷く。
「近藤さん、武器は?」
「あのオヤジから借りる」
銀時の確認に、近藤が指さしたのはスイカを模造刀で居合い斬りしていた男だった。
「・・・あァ、あれならちったァ丈夫か」
「そーゆーコト!!」
近藤が男に駆け寄るのと同時に、銀時は森の方へ、沖田は土方達の方へと走っていく。
「姉上!」
「あら、そーちゃん。ちゃんと合流できたのね。・・・坂田さんは?」
「あっちでリンゴ飴買ってました!・・・姉上、さ、社殿の方へ行きましょう!土方もな!!」
「・・・あ、ああ」
ギロッと沖田に睨まれ、土方は森の方へ行くことを諦める。おそらくここにはいない銀時が向かったのであれば、大丈夫だろうとふんで。
***
「・・・おいナニやってんだ!テメェ等!!」
銀時が駆け付けてみれば、多勢に無勢、刀を構えた男達が丸腰の壮年の男を取り囲んでいた。
「売国奴を始末しようとしているだけだ!部外者は下がっていろ!!」
叫んだ男の言葉に、銀時はピクリと眉を跳ね上げさせた。
「(売国奴?・・・あのオッサンは幕府関係者か)」
途端に苦々しい気持ちになるが、それはそれ、これはこれ。
今の銀時には祭を邪魔される方が余程腹に据え兼ねる。これほどに平和な村に物騒なモノは必要ない。
「攘夷志士か、オメェら・・・気持ちはわかるが、こんなトコまで戦の空気を持ってくんじゃねェよ」
「貴様に何がわかる!!」
「わかるッつってんだろ!!俺だって攘夷志士だ!!」
銀時の叫びに、男達が一瞬ひるむ。
その瞬間に銀時の木刀が男達を叩き伏せる。
「銀時!!」
その時、やっと模造刀を握り締めて近藤が合流する。
「近藤さん、そのオッサンを頼む!!」
「・・・わかった!!」
近藤は、壮年の男の傍に駆け寄ってその状態を調べる。大きな怪我もなく、本人の意識もハッキリとしていた。
「アンタ、大丈夫か?」
「あァ・・・ヒデェ目にあった」
そう答える壮年の男は銀時を見つめながら呟く。
「・・・あの男達に憎まれるようなコトでもしたのか?」
「ん?ああ・・・アイツ等にとっちゃあ、まァ、似たようなモンだろう。・・・奴さん等は、幕府って聞きゃあ皆憎いのよォ」
その答えを聞いた近藤はピンときた。
「そうか・・・じゃあ、アイツ等は攘夷志士か」
「・・・あの銀髪の兄ちゃんもだろォ?自分で言ってたぞ」
「銀時は・・・元だよ、元・・・頼む!!アンタのコトを助けようとしてんだから、残党狩りに知らせねェで欲しいんだ!」
近藤が頭を思いっきり下げると、壮年の男は溜息をついた。
「オジサンだって、人の子ですよォ・・・んな、恩知らずな真似できるかィ」
「ああ、助かるよ!!」
安堵の表情をうかべる近藤に、壮年の男は好感を抱いたようだった。
「・・・なぁ、兄ちゃん・・・腕に自信があるか?」
「・・・?・・・ま、まぁ、道場主なんてモンをやってるから・・・それなりに」
「ほォ・・・そうかィ」
壮年の男は意味深に笑みをうかべて頷く。そして、銀時の方へと視線を向けた。
近藤達が話している間に男達をのしてしまった銀時は、その場から動かずにこちらを見ていた。
「銀時、大丈夫か?」
近藤が声をかければ、銀時は頷いた。
「・・・あァ・・・大丈夫だよ」
答えた銀時は、ガシガシと頭の後ろを掻きながら近藤達に近寄った。
「・・・オッサン、大丈夫だったか?」
「おかげ様でなァ・・・いやァ、助かった。オジサンさァ、避暑で娘と武州に来たんだけども、まさか攘夷志士の残党に命狙われるなんて思ってもいなかったから、武器とか全部置いてきちまってよォ」
「・・・いくら戦争に巻き込まれなかったとしたって、この辺りも危険だぜ?自分の立場をちゃんと理解してんなら、護身用の武器くらいは携帯しとけよ」
銀時が呆れたように言えば、壮年の男は苦笑した。
「そうだなァ・・・残党狩りが血眼になって攘夷志士を追っかけまわしてんだもんなァ・・・安全なトコなんてねェか」
「そーゆーこった」
「・・・まぁ、次からは気をつけらァ・・・せっかくの祭を邪魔して悪かったなァ」
「いや・・・どっちかってェと、オッサンよりこっちの兄ちゃん等の方が殺気飛ばして邪魔してたから。別に謝んなくったって良いよ」
ぐったりとしている男達を顎で示して、銀時は溜息をつく。
「・・・この件は、上には報告しねェつもりだ・・・そいつらの気持ちもわからんでもないんでなァ」
壮年の男は痛みを堪えるような表情をうかべて呟く。
「・・・じゃ、放置ってことで?」
近藤が訊ねれば、壮年の男は頷いた。
「・・・なぜだ・・・俺達は・・・」
倒れ伏していた男達のうちの一人が、のろのろと頭をもたげて訊ねる。
「俺ァよォ・・・信念貫いて戦ってた攘夷志士ってなァ嫌いになれねェのよ・・・ま、我が身は可愛いし?顔も何も知らねェ連中のために、上に楯突こうなんざ思っちゃいねェがな?」
壮年の男の正直な答えに男は絶句し、スッと視線を落とした。
「・・・襲う相手、間違えたみてェだな」
苦笑いをうかべた銀時が言えば、男は小さく頷く。
「・・・なぁ、行く当て無いんだろう?なら、うちの道場に来い。貧乏道場だが、寝る場所には困らんぞ!」
ニカリ、と笑う近藤の言葉に、男はギョッとする。
「近藤さん・・・」
「イイだろ?銀時。・・・俺ァ、人を見る目はあると思ってる。・・・コイツ等はそんな悪い連中じゃないよ」
近藤は一度言い出したら聞かないというのは短い付き合いだがよくわかっているし、己も同じようにして抱え込まれてしまったクチだから文句の言いようもないというのもある。
銀時は説得を早々に諦めた。
「はァ・・・ったく、本当にお人好しだな、アンタは」
「ガハハ!よく言われる!」
豪快に笑う近藤と、呆れ果てた様子で近藤を見る銀時。両名を黙って見ていた壮年の男はピラリ、と紙片を近藤に向けて差し出す。
「名刺?・・・松平・・・片栗虎?」
「そ、それがオジサンの名前ね、で、兄ちゃん等の名前は?」
「あ、ああ、俺は近藤勲。この近くの道場で道場主をしてる」
近藤が答えると、松平の視線が銀時に移る。
「・・・俺も?」
「そう、そっちの兄ちゃんも」
訊ねれば頷かれ、銀時は渋々自己紹介をした。
「・・・坂田、銀時。・・・近藤さんの道場に世話になってる」
「近藤勲に坂田銀時・・・ね。じゃ、礼は後日改めてさせてもらうよォ」
ひらり、と手を振って背を向けた松平を見送り、近藤と銀時は溜息を漏らした。
「・・・なんだあのオッサン、変なの」
「銀時、お前あのオッサンが幕府関係者だってわかってて、自分も攘夷志士だなんて言ったのか?」
「え?あ、ああ・・・そういえば、言っちゃったカモ?」
「言っちゃったカモ?じゃない!!・・・まったく・・・あの人じゃなかったら、大変なことになってたかもしれないんだぞ?」
近藤が説教を始めてしまったので、銀時は身を竦ませた。
「悪かったって、つい売り言葉に買い言葉っつーか・・・口が滑ったっつーか・・・」
「まったくもぅッ!!この子ったら!!」
「・・・ッて、どこのオカン!!?」
なぜかオカン口調になった近藤にツッコミを入れつつ、銀時は男達を振り返った。
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