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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・W副長設定です!
・カップリングはありません(強いて言うならかる~く土ミツ)
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








あの川での一件以来、沖田がべったりと銀時に引っ付いて離れなくなった。

稽古をつけてほしいと事あるごとにせがみ、のらりくらりと銀時が答えを引き伸ばしているとついには目を潤ませて見上げてきた。

「・・・オネガイ、そーちゃん。それは勘弁して・・・」

「銀兄ィ、どうしてもダメ?」

うるうるうる・・・

「う゛っ・・・」

その顔は罪悪感を抱くというか、良心がとてつもなく痛むというか・・・。

「・・・沖田センパイ、絶好調だな」

「・・・ははは・・・いやぁ、ありゃ執念だよな」

遠巻きに見ていた土方が溜息をつけば、その隣にいた近藤が苦笑いをうかべる。

沖田が強くなりたがっていることは二人共に良くわかっていたのだが、ここまでとは思ってもいなかった。

「・・・銀時の奴もさっさと折れりゃァいいのに」

「それがなぁ・・・自分のは殺しの剣だから教えたくないって言うんだよなぁ」

「真剣じゃなけりゃ、大丈夫じゃねぇの?」

首を傾げる土方に、近藤は少し悩むようにしてから答えた。

「急所を狙えば真剣じゃなくても命を奪うことはある。・・・銀時が言ってるのは、確実に急所を狙ってしまう技が多いってことなんだろう」

「・・・沖田センパイにそれを教えるのはマズイってか」

「総悟はまだ子どもだからなァ・・・銀時のように手加減はできないだろ」

少なくとも、手加減ができるようになるまでは沖田に技を教えることはしないつもりだろう。

そう近藤が言えば、土方は首を振った。

「それまでずっとああやって沖田センパイのおねだり攻撃を受け続けんのか、アイツは」

変なところで真面目で、適当に相手をするという考えはないらしい。

「うーん、俺からも総悟に言ってみたんだがなぁ・・・どうしても強くなりたいんだって言って聞かなくてなぁ」

近藤自身も沖田には甘くなってしまいがちだ。

「・・・俺が言ったら、火に油か・・・?」

「だろうなぁ・・・」

苦笑する近藤に、土方はだよな、と返して再び銀時に視線を向けた。

「ごめんッ!!無理ッッ!!!」

「銀兄ィ!!待てぇええええ!!」

「ひぃいいいッ!!!」

「・・・いやいや・・・そりゃねェよ、沖田センパイ・・・」

逃げ出した銀時を鬼の形相で追いかける沖田に、土方は思わずツッコミを入れた。



***



そんな平和な日常が続いていたある日のことだった。

大きな木の下で涼んでいた銀時の隣に、沖田が座る。

「・・・どーした?いつもみてェに稽古つけてって言わねェんだな?」

「うん・・・今日はあちィし」

沖田はそう言うが、それだけではない雰囲気だ。だが銀時は促そうとはせずに空を見上げた。

「確かになァ・・・高地だから涼しいかと思ったんだけど、やっぱ暑いもんは暑いな」

「・・・ねぇ、銀兄ィはさ・・・どうして戦争に出たの?」

ああ、ミツバの入れ知恵かと銀時は納得する。沖田に追いかけられている銀時を見て、何か理由をつけて止めさせようとしたのだろう。

おそらく、戦争での戦いが甘いものではなかったのだと諭して。

「んー・・・その場のノリと勢いかな。ダチが出るっつって、そいつらを護りてェって思って付いて行って・・・俺ァ高尚な理想が有ったわけでも、天人の存在を全否定したかったわけでもなかった」

ただ、護りたかった。

そう告げた銀時に、沖田は真剣な表情を向けた。

「俺も、護りたいんだ・・・姉上を・・・」

「総悟」

初めてまともに名を呼んだ銀時に、沖田は目を丸くする。

「銀兄ィ・・・?」

「お前が急いで大人になろうとしてるのはわかる。俺も同じように護りたかった人がいて、早く大人になりたくて・・・でも、間に合わなかった。その人は俺が大人になる前に死んじまった」

「・・・!」

ハッとする沖田に、銀時は真剣な表情で告げる。

「強くなろうとするのは構わない。普段の練習を見る限りじゃお前は天才肌のすげぇ剣士になる。・・・でも急ぐな。急げば心がついてこないままになっちまう」

「でもっ、姉上はッ・・・長くねェって・・・こないだ、医者に言われてて・・・だから!!」

「総悟、それでもだ。・・・厳しい事を言うが・・・お前が殺しの剣を学んでも姉ちゃんは救えねェぞ」

「わかってるっ・・・わかってるんだよ!!」

とうとう目にいっぱいの涙をためて沖田は銀時にしがみついた。

「皆、俺がガキだから・・・ちゃんと話してくれないんだ。姉上がどんな状態なのか、医者も近藤さんも・・・アイツも知ってるのに!!・・・姉上の肉親は俺だ、俺だけなんだ!!」

だから強くなろうとしたのだろう。強くなれば大人だと認めてもらえると考えたに違いない。

「・・・そうだなァ、知りてェよなァ・・・隠されたり、嘘つかれたり・・・そういうの、嫌だよなァ」

銀時は呟くようにそう言って、沖田の頭を撫でる。

「でもよ・・・お前、そうやって姉ちゃんや近藤さんや・・・十四郎に言ったか?」

そう訊けば、沖田はフルフルと首を横に振る。

「じゃあ言ってこい。十分に現実を受け止められるくらい大人なんだって言って、それでも教えてくんなかったら俺んトコに来い。・・・俺が加勢してやるから」

「・・・あ、ありがと、銀兄ィ!・・・俺、行ってくる!!」

パタパタと走っていく沖田を見送り、銀時は溜息をついた。

「・・・変に聡いガキを誤魔化そうとするから、こんなふうに拗れるんだよ」

「・・・それは近藤さんに言ってやってくれ」

声と共にガサリという音が頭上から聞こえ、ひらり、と黒い物体が降って来る。

「珍しいよなァ・・・総悟が十四郎の気配に気づかないなんて」

「・・・それだけ切羽詰まってたんだろ?」

他人事のように言う土方の表情を見て、銀時はニヤリと笑う。

「心配でたまらねェってツラしてるぞ?」

「うるせぇよ・・・・・・でも、まさかお前に相談するとはな」

「・・・俺だから、だろ。事情もろくに知らねェし、先入観もねェ。アイツにとっちゃ一番相談しやすい相手だったってことだ。・・・いくら懐いてるっていっても近藤さんじゃ相談できねェ内容だろ」

「当事者だしな」

「そういうコト。・・・で、ホントの所、ミツバはどうなんだ?」

「・・・肺を患っててな・・・天人の技術が入ってきたとしても・・・間に合わねェかもな」

「労咳か・・・栄養のあるもん食って、空気の綺麗なトコに住んで・・・それでもちょっと延命出来れば良い方だな」

幼馴染の親が医者だったこともあり、同じ病の人間を見たことがある。一度罹れば手の打ちようのない難病だ。

段々と弱っていく様子を見るのは怖かった。病という見えない敵とは戦うことすらできないのかと愕然とした覚えがある。

「・・・あぁ」

「お前さァ・・・ちったぁ素直に言ってやったら?」

「は?」

「・・・人並にさ、幸せ感じさせてやっても良いんじゃねェの?」

素直になれない自分の感情を見抜かれていることに驚きつつも、土方は迷うように視線を揺らしてその場に座り俯いた。

「・・・お前、サトリかよ・・・」

「人を妖怪扱いすんな・・・ただちょっと遠くから眺めてるぶん、よく見えるってだけだよ」

笑みをうかべた銀時の横顔を恨めしげに見つめ、土方は深い溜息を漏らした。



***



夏も真っ盛りで暑さのこもる道場の中、沖田は凄まじい形相で土方を睨んでいた。

「お前の事情なんか知るか!!何でもイイから姉上誘って行けって言ってるんだよ!!・・・先輩命令だぞ!土方ぁ!!」

道場に響いた沖田の声に、一同がギョッとしてそちらに視線を向ける。

「・・・でも」

「でもも、だってもない!!行けったら行け!!」

地団太を踏んで叫ぶ沖田に、土方は困惑したように視線を向けた。

「行ってくればぁ?・・・そろそろ稽古も終わりだろ?なぁ、近藤さん」

ポン、とその沖田の肩に手を置いて銀時が近藤を振り返る。

「あ、ああ、そうだな。もう終わりにしよう。・・・トシ、せっかくだから行って来い」

その銀時に同意した近藤が慌てた様子で頷いた。

何がせっかくなのかは良くわからないが、この三人が結託して自分をミツバのところへ行かせようとしていることはわかった。

「・・・じゃあ、行ってくる」

ともかく行かないといつまでも言われ続けるだろうことは目に見えているので、土方は溜息混じりにそう告げて道場を後にした。

「・・・はぁ・・・やっと行ったか」

盛大に溜息をついて、近藤がその場にへたり込む。

「近藤さん、演技ヘタだなぁ・・・かなり不自然だったぞ」

「・・・銀時はよくもまぁ、平然としてられるなぁ・・・」

「まぁ、こういう役回りは慣れてるし?・・・というよりも、今回の言いだしっぺが泣きそうになってんだけど」

「ああああああ!!総悟ッ!?泣かないでぇええ!!」

うるうると目を潤ませて床を睨みつけている沖田に、近藤が大慌てで駆け寄る。

「・・・姉ちゃんの望みを叶えてやりてェって言い出したときには驚いたが、まァ、上出来じゃねぇの?」

「・・・・・・でもなぁ・・・トシの奴、ちゃんとミツバ殿を誘えるかなァ・・・」

近藤の呟きにハッとして、銀時と沖田は顔を見合わせた。

「銀兄ィ!」

「総悟!!」

「「それを忘れてたぁああああああ!!!」」

※ 基本装備:土方十四郎は“オクテ”

仲良く二人揃って道場を飛び出す。

「あはは、本当にあの二人は仲良くなったなぁ・・・」

―――いやいや感心してる場合じゃないでしょ近藤さん。

とは、門下生達の心の声なのだが、のほほんとしている近藤にそう言える人間はいなかった。



***



一方、ミツバは非常に困惑していた。

「・・・あの・・・十四郎さん?」

いきなり家にやってきて目の前に立ったかと思ったら、だんまりを決め込んでしまった土方に首を傾げる。

「・・・汗だくじゃないですか。道場から直接いらしたんですか?・・・あの、冷たい飲み物でもお出ししましょうか?」

「・・・いや・・・」

やっと口を開いたかと思えば、またも黙り込んでしまう土方。

「十四郎さん、そーちゃんはどうしたんですか?」

稽古が終わったならすぐに帰ってくるはずだ。

姉の詳しい病状を聞いても気丈に振舞っていた大切な大切な弟。

「まさか、あの子に何か?」

言いにくいことだから、黙っているのだろうかと焦る。

ミツバにそんな勘違いをさせている当人は完全に混乱していた。

「(な、なんで“夏祭りに行こう”の一言が言えねぇんだ!俺はぁああ!!)」

「十四郎さん!!そーちゃんに何かあったんですか!?」

神妙な顔で黙り込んでいる土方と、そんな土方の態度に沖田に何かあったのではと慌てるミツバ。

混乱したこの状況を目にした銀時と沖田は深い溜息をついた。

「・・・おいおい、どこまでお膳立てすりゃいいんだよ、アレ」

「ったく、頼りになんねぇ・・・!」

どれだけの覚悟をして“夏祭りに姉上を誘え”と言ったのか、土方にはわかっていないのだろうか。

「ハァ・・・総悟、もう口出すぞ。いいな?」

「うん、銀兄ィ・・・アレじゃいつまでたっても夏祭りに行けねェよ・・・」

沖田の許可を得た銀時は、わざとらしく大きな足音を立てて土方とミツバに近づいた。

「・・・んんっ・・・よぅ、お前等!」

「そーちゃん!!坂田さん!」

ミツバが安堵したような、それでいて不思議そうな表情をうかべる。

「いやぁ、遅くなって悪りぃな十四郎。・・・さて、そろそろ夏祭り行くか!!な!?」

「・・・あ、ああ・・・」

バシッと背中を叩く力がいつも以上に強かったのは、土方への喝だ。

「姉上!夏祭りに行きましょう!!僕、どうしても今年の夏祭りに行きたいんです!」

銀時だけでなく沖田までもがそう言うので、ミツバは土方の挙動不審を気にしつつも笑顔で頷いた。

「そうね、夏祭り・・・行きましょうか」

「やった!じゃあ、準備して来てください!待ってますから!!」

「わかったわ」

どんな形でも夏祭りに連れて行きさえすれば、後はどうとでもなる。

ミツバが家の中に入っていってしまうと、笑顔だった沖田と銀時の表情が冷たいものに変わった。

「・・・このヘタレ」

「はぁ~ぁ、手のかかる兄ちゃんだねぇ・・・ったく」

「う゛ッ・・・」

二人からの容赦ない言葉を、土方は甘受するしかなかった。

だって、実際に誘い文句のひとつもミツバに言えなかったのだから。

「・・・夏祭りには連れ出してやったんだ。後はうまくお前が案内してやるんだぞ」

銀時がそう言えば、土方は途端に情けない表情になった。

「で、でもよ・・・」

「ったく・・・ちゃんと、離れたトコから見てるっての!!」

「はぁーあ・・・なんでこんな奴に・・・」

呆れる銀時と、深い溜息をつきながらブツブツを文句を言う沖田。

まるで針の筵に座っているような感覚に陥って、土方はもう泣きたくなった。

「(どんな拷問!?これ!!)」

前途多難な夏祭りが始まる・・・。


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