Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・貴方と出会った日からシリーズ 続編
・過去捏造:ちびルルと朝比奈はお知り合いなど、いろいろ。
・本編の流れは軽く無視。
・お砂糖&砂のご準備を
・シー様のターンw
・幹部達にゼロバレ
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
朝比奈の行動を止めようとした千葉と卜部の行動が裏目に出た。後頭部を雑誌で叩いたために、ぎりぎりまで近付いていた2人の唇が逸れることなくくっついたのは、当たり前とも言えた。
しまったと思った時にはもう取り返しがつかない。習慣って恐ろしい・・・。
「・・・っ・・・んん・・・ん~~~~!!!」
いつまでも唇を離さない朝比奈に、とうとうルルーシュが耐えきれなくなって、バンバンとその背中を叩く。
「・・・あ、ごめん。昇天してた。」
悪びれもせず起き上がった朝比奈を、ルルーシュは真っ赤に染まった頬と潤んだ瞳というダブルで誘っているような状態で睨んだ。
「・・・千葉さんと卜部さんがやったとはいえ、すぐ離れることだってできたでしょう!?絶対今のワザとですよね!!?」
「あは。・・・だって、ルルーシュ君って、なかなかガードが堅いからさ~。今までキス1つするのだって無理繰りだったでしょ?」
あ、一応キスはしてるんだ。的な空気が流れる中、ルルーシュは恥ずかしすぎてもう泣く寸前だ。
「だからって・・・皆の前で・・・。」
「ルルーシュ君はさ、俺とキスするのは嫌?」
真剣な朝比奈の顔に、ルルーシュはぴくり、と震えてから、ふるふると首を振る。
「・・・嫌じゃ、ないです。・・・でもっ。」
「俺ねぇ。独占欲、強いの。知ってるでしょ?・・・だからね、皆の前で堂々といちゃいちゃしたいの。」
「しょ・・・うご、さん?」
朝比奈はルルーシュの両肩を掴み、その顔を見つめる。
「ホントはねぇ、君の顔を晒させるのも嫌なの。・・・だって、ルルーシュ君は可愛いから、こんなオオカミさんがたくさんいる所に置いとく事すら心配なの。・・・わかる?」
言い聞かせるように朝比奈は続ける。
「あと2日、待ちきれないよ。ずっと一緒にいたいんだ。君が傍にいないと、どうにかなっちゃいそうだよ。」
「っ!俺だって!!・・・俺だって、いつ、皇族に見つかるか不安で!!省吾さんがいないと!スザクがいると思うだけで!ずっとずっと、怖くて・・・どうしてこんなに弱くなったのかって・・・前は全然平気だったのに。表情を取り繕うくらい、簡単にできたのに!!・・・省吾さんのせいだ!省吾さんがっ・・・甘やかすからっ・・・。」
すっかり2人の世界のルルーシュと朝比奈に、扇達や他の四聖剣は、赤面してその光景をただ見つめるしかできない。
「うん。そうなるように甘やかしてるんだけどね。・・・だって、君は何でも一人で抱えすぎだから。ちょっとは俺にも分けて欲しいな。」
「・・・分けてるじゃないですか。」
ムッとした声をあげるルルーシュを、朝比奈は抱きしめる。
「足りないよ。全然。・・・もっともっと、君は甘えて良いんだよ。だって、ナナリーちゃんの為に自分のことをずっと二の次にしてきたじゃない。・・・こうやって祖国に刃向かうのだって、ナナリーちゃんの為なんでしょ?」
「・・・っ・・・俺は・・・。」
「頑張らなくて良いんだよ。俺の傍にいる時くらい、甘えてよ。」
柔らかい声で、ルルーシュの耳元で囁かれる甘い言葉。いつもなら突っぱねてしまうはずのその言葉に、ルルーシュは身体中の力を抜いた。
「・・・酷い・・・もう、これで、俺は・・・本当に身も心も脆弱になってしまう・・・。」
トン、と朝比奈の肩に顔を埋めたルルーシュは呟いて、静かに涙を流した。
「・・・やれやれ・・・甘い空気が漂ってると思えば・・・。」
その空気を壊すように声がかかる。
皆がそちらを向けば、黒いスーツと不透明な仮面をつけたリーダーの姿。
「ッゼロ・・・。」
ギョッとしたのは扇達。来るとはわかっていたが、ここで、この空気を壊すとは思わなかったのだ。
「・・・邪魔しないでよ~。」
恨めしげな視線を向けた朝比奈に、“ゼロ”は溜め息をついた。
「邪魔なんかするつもりはなかったんだがな。・・・あんまりにも甘いものだから・・・。」
言いながら仮面に手をかける“ゼロ”に全員がギョッとした。
カシュッという音と共に外される仮面。その中から現れたのは、明るい緑の髪、黄金の瞳。皆が見慣れている、その姿。
「「「「C.C.!!」」」」
“ゼロ”だと思っていた面々は仰天してその名を呼ぶ。
「なんだ、C.C.かよ。・・・ったく、本物はどこにいんだよ?今日は来るはずだろ?」
玉城が肩の力を抜き、C.C.を見やる。
「あいつか?・・・今日は、というか、今日も来る予定ではいたな。」
「今日、も?」
扇が訊けば、朝比奈がハッとしてC.C.を見る。その表情は悪戯を思いついた時のように楽しげなもの。
「ちょっと、C.C.!?」
カレンが慌ててC.C.を睨み、余計な事を言わないようにと言外に告げる。
「ふん。・・・この様子だったら、私達が何も言わなくたって、いずれバレてしまうだろうに。」
C.C.の言葉に、事情を知らない面々が首を傾げる。それを嘲笑しながら見やり、C.C.は朝比奈に抱きついたままのルルーシュに視線を向けた。
「おい、ルルーシュ。」
その声は、呆れが含まれていて。
「・・・C.C.・・・。」
顔をあげたルルーシュの瞳は涙で潤んでいて。先ほどの会話をしっかりと耳にしていたC.C.は苦笑を漏らした。
「カレン・・・この状態で、こいつがこの仮面を被って平常心でいられると思うか?」
C.C.が言えば、カレンはギョッとした。全て暴露するつもりか、と視線で訴えれば、こくりと頷かれる。
確かに今なら扇達もルルーシュを受け入れるだろう。それに、このまま仮面をルルーシュに被せても、平常心なんて絶対に無理だ。今、彼自身が言った通り、心まで脆弱になるほど甘やかされた朝比奈の前で“ゼロ”を演じきることなど、彼にはできはしないはずだ。それに、C.C.が影武者をやるにも限度がある。
「・・・え?・・・ど、どういうことだ?」
扇の戸惑った声が響く。びくり、とルルーシュは身体を震わせ、酷く動揺して、涙に濡れた瞳でC.C.を見つめる。一瞬罪悪感に駆られるが、C.C.はこの時を好機と捉えていたから、迷わずそれを実行した。
「まだわからないのか?・・・つまり、こういうことだ。」
すたすたとルルーシュに歩み寄り、持っていた仮面をルルーシュの頭に被せる。その間、朝比奈は邪魔することなくそれを見つめていた。
「・・・止めると思ったんだが?」
「好機でしょ。・・・少し、びっくりしたけど、君が大丈夫と判断したのなら、俺は止めない。・・・ダメなら・・・捨てるだけだよ。必要ないもの。」
冷めた視線でC.C.を見る朝比奈は、本音を吐露する。
もし、扇達が“ゼロ”を受け入れなければ、ルルーシュを連れて自分は立ち去るだろう。カレンはどうかはわからないが、藤堂達は間違いなく同行してくれるはずだ。もちろん、ラクシャータやディートハルトもついて来るだろう。なにせ、2人はルルーシュの事情を把握しているのだ。“ゼロ”となった理由もピンと来るはず。
そして、キョウトからの支援も打ち切られる。ルルーシュがリーダーであるからこそ、キョウトは騎士団を支援しているのだから。
そう考えた朝比奈はC.C.の行動とその結果を沈黙を持って見守ることにする。
「・・・えっと・・・こういうことって・・・。」
目の当たりにしても、まだ理解が追い付かないのか、扇は戸惑いの声をあげる。
「お前達は馬鹿か?・・・こういうことと言ったら、こういうことだ。」
呆れたC.C.が答えるが、それは答えになっていないだろうと全員が心の中でつっこむ。仮面を被せられた当人はフリーズしているし、朝比奈を含めた四聖剣も沈黙を守っている。
カレンまでもが傍観する風に扇達を見つめるので、もしやという思いがじわじわと幹部達の間に広がっていく。
「・・・どうしたんだ?」
新たな声がラウンジに響く。
「と・・・藤堂さん。」
扇が助かったとばかりにこわばった表情を緩める。それを見た藤堂は不審そうに眉を顰め、視線を巡らせ、朝比奈に抱きついたままの人物の被っているものを見て、ギョッとする。
そして“ゼロ”の姿をしたC.C.がその傍に立っているのを確認すると、事情を把握した。
「C.C.・・・お前の出番はもう少し後だったはずだが?」
「お前はあれを見てないから、そう言うんだ。・・・もう、ルルーシュが演じきることは難しい。朝比奈が考えも無しにとことんまでルルーシュを籠絡したからな。」
「・・・朝比奈。」
こめかみに指をあて、自身の部下の名を呼ぶ。
「だって・・・5日ですよ?この子がここに来て。・・・なのに、まだ怯えてるんです。壁を作ってるんですよ。・・・すんなり馴染むとは思ってなかったですけど、これじゃ、あんまりだ。」
ムッとした声が返ってくると、藤堂は溜め息をついた。
「それは・・・認める。だが、だったら、この事態は何なんだ?」
最初から見ていない藤堂にしてみれば、首を傾げざるを得ない状態だ。
「それは、C.C.に聞いて下さい。どうするつもりかなんて、俺だって知りませんよ。」
朝比奈からは常に無いほどのそっけない返事。きっと、ルルーシュに気を配るので精一杯なのだろう。そう思い、藤堂はC.C.に視線を向けた。
「・・・頃合いと思って、こいつに仮面を被せて、こういうことだ、と言った。」
問うてもいないのにC.Cが憮然と言う。それだけで、扇達の戸惑いがわかった藤堂はやれやれと肩を竦めた。
「お前は言葉が足りん。事情を知るものなら、それだけでも通じるだろうが・・・そうだろう?ラクシャータ。」
「・・・まぁねぇ・・・。まさかとは思ったけど、もっと早く知ってたかったわね。この様子じゃ、藤堂達は勿論、お譲ちゃんも知ってたんでしょぉ?」
ラクシャータは溜め息をつきつつ答え、カレンに視線を向ける。
「・・・まぁ、それなりに。」
どんどんと話から置いていかれている扇達は、カレンの返答にギョッとした。カレンまで知っている、その、事情とは、目の前のこの光景と繋がっているのか、と思う。
「か、カレン・・・。」
縋るような視線が扇達から向けられて、カレンは顔を顰めた。
「すみません。扇さん・・・でも・・・私は・・・。」
ちらり、とルルーシュを見る。妹分として可愛がってくれる扇達には申し訳ないが、ルルーシュの方が多く味方を必要としている。それに、決めてしまったのだ。“ゼロ”にどこまでもついていく、と。
「・・・私は、いつだって、ゼロの味方でありたいんです。」
ルルーシュへ向けられたままの視線と、その言葉で、扇達は確信した。
「・・・そう、か。ルルーシュ君が・・・ゼロ・・・なんだな?」
扇が言葉にすると、仮面をつけたままのルルーシュの体がびくりと跳ねた。いつもどこか壁を作っていたルルーシュ。それは、何も知らない自分達が真実を知った時にどんな態度に出るか不安で、だから、慣れ合わないように、と壁を作っていたのだろう。否定された時の傷を浅くするために・・・。
「おかしいなって、思ってたの。・・・ルルーシュ君は、あんまりにも最初から私達の顔と名前を一致させ過ぎていたわ。」
井上が言えば、ああ、そうか、と幹部達が頷く。
「そうだよなぁ・・・短い自己紹介だけで、俺達の役職までしっかり把握してて・・・いくら藤堂さん達に聞いてたって限度があるよな。」
杉山もうんうんと頷いてルルーシュを見つめる。
「ったくよ~・・・さっさと言っちまえばいいのによー。」
「玉城。お前の反応が一番心配だったんだ。・・・実際、こんな風にルルーシュがお前達の中で馴染む前に、正体を明かしていたら、ガキに従えるか、とか、ブリキの学生がどうとか、言いそうじゃないか。」
呆れたように言った玉城に、C.C.が眉を顰めて言う。
「う・・・。」
言い返せない玉城を見て、ほら、言わんこっちゃないとC.C.は肩を竦める。
「でも、今は違うさ。そうだろ?玉城。」
「お、おう!」
扇がフォローすれば、玉城はコクコクと頷く。
「・・・なあ、ルルーシュ君。君が言ったことに、隠し事はあっても、嘘はないんだろう?・・・だったら、俺達は君を責めたりしないよ。」
扇はできる限り柔らかい声を出す。
「君の能力は、ゼロとしても、そして、ルルーシュ君としても騎士団に貢献してくれたことで証明済みだ。仮面をつけていた理由もわかった。だから・・・もう、俺達を怖がらないで欲しい。全てを明かせなんて言わない。誰だって隠し事の一つや二つはあるさ。」
「・・・それは、お前達の総意か?・・・覚悟も無しにそれを言うことは許さないぞ。こいつの隠し事は、個人的に処理できるようなものじゃない。少なからず、お前達にも影響することだろう。・・・もし、その隠し事を知って、それがお前たちの意に沿わないものだとしたら・・・お前達はそれを許せるのか?」
C.C.の声はいつもの軽い調子ではなく、切実に訴えるような声。
「・・・ゼロが、ルルーシュ君が、俺達の味方であることに変わりがないのなら・・・俺は構わないと思う。」
扇の言葉に、幹部達が頷く。
「こいつがブリタニアと相対する決意が揺らぐことなんて絶対にあり得ない。・・・その身体に流れる血が変えられないのと同様にな。」
C.C.は言って、未だにフリーズしているルルーシュから仮面を取る。
「いつまで現実逃避をしている?・・・お前が意識をはっきりと保ってくれなければ、こいつらを“あそこ”につれていけないだろう?」
“あそこ”とはどこだ?と扇達は揃って首を傾げた。
「・・・お前・・・。」
ルルーシュの口から掠れた声が漏れる。
「日本語で言うだろう?“百聞は一見にしかず”・・・これは諺と言うのだよな?」
C.C.が問えば、朝比奈は頷く。
「そうだよ。それにしても“あそこ”に連れて行くって・・・前に言ってた“あそこ”のこと?俺達の時はやらなかったよね?」
「当たり前だろ?お前達は、もともとルルーシュの一部を知っていたじゃないか。それが昔のことだったり、今のことだったり・・・。否定される要素は限りなく少なかった。」
でも、とC.C.は扇達を見る。
「念には念を。・・・こいつらはお前達とは違う。根柢の部分からルルーシュを信じてるわけじゃない。」
厳しい言葉は、ルルーシュを思えばこそ。だからこそ、扇達は甘んじてその言葉を受けた。
「・・・C.C.、お前がやりたいようにすればいいさ。俺達が信じてもらえるなら何でもする。」
「ほう、言ったな?・・・後悔しなければいいがな?・・・ほら、ルルーシュ、いつまで朝比奈に抱きついてる?」
C.C.の言葉に、ルルーシュはハッと我に返り、ワタワタと朝比奈から離れる。
「あ~・・・もったいない。もうちょっとくっついてたかったのに。」
「うるさい。お前に任せとくと、ルルーシュがダメになるだろ。」
「C.C.こそ、ルルーシュ君にプレッシャーかけ過ぎなんだよ。これじゃ、ルルーシュ君がかわいそうだ。」
「甘い!!」
「甘くて何が悪い!!」
バチバチと火花を散らす2人に、ルルーシュがおろおろとする。
「し、C.C.・・・省吾さん・・・;」
「ルルーシュ、やるぞ。」
「や、やるって・・・でも・・・。」
「問答無用!」
ガシッとルルーシュの腕をC.C.が掴んだ瞬間、どくん、とルルーシュの心臓が波打つ。そして、ラウンジがぐらりと揺れる。
「な、なんだ?」
「地震!?」
幹部達がざわめくが、何が起こるかわかっている面々は顔を顰めた。何が起こっても、これで、全てが決まるはずなのだ。
- キィィイィン
耳障りな音があたりに響いた。
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・本編の流れは軽く無視。
・お砂糖&砂のご準備を
・シー様のターンw
・幹部達にゼロバレ
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
朝比奈の行動を止めようとした千葉と卜部の行動が裏目に出た。後頭部を雑誌で叩いたために、ぎりぎりまで近付いていた2人の唇が逸れることなくくっついたのは、当たり前とも言えた。
しまったと思った時にはもう取り返しがつかない。習慣って恐ろしい・・・。
「・・・っ・・・んん・・・ん~~~~!!!」
いつまでも唇を離さない朝比奈に、とうとうルルーシュが耐えきれなくなって、バンバンとその背中を叩く。
「・・・あ、ごめん。昇天してた。」
悪びれもせず起き上がった朝比奈を、ルルーシュは真っ赤に染まった頬と潤んだ瞳というダブルで誘っているような状態で睨んだ。
「・・・千葉さんと卜部さんがやったとはいえ、すぐ離れることだってできたでしょう!?絶対今のワザとですよね!!?」
「あは。・・・だって、ルルーシュ君って、なかなかガードが堅いからさ~。今までキス1つするのだって無理繰りだったでしょ?」
あ、一応キスはしてるんだ。的な空気が流れる中、ルルーシュは恥ずかしすぎてもう泣く寸前だ。
「だからって・・・皆の前で・・・。」
「ルルーシュ君はさ、俺とキスするのは嫌?」
真剣な朝比奈の顔に、ルルーシュはぴくり、と震えてから、ふるふると首を振る。
「・・・嫌じゃ、ないです。・・・でもっ。」
「俺ねぇ。独占欲、強いの。知ってるでしょ?・・・だからね、皆の前で堂々といちゃいちゃしたいの。」
「しょ・・・うご、さん?」
朝比奈はルルーシュの両肩を掴み、その顔を見つめる。
「ホントはねぇ、君の顔を晒させるのも嫌なの。・・・だって、ルルーシュ君は可愛いから、こんなオオカミさんがたくさんいる所に置いとく事すら心配なの。・・・わかる?」
言い聞かせるように朝比奈は続ける。
「あと2日、待ちきれないよ。ずっと一緒にいたいんだ。君が傍にいないと、どうにかなっちゃいそうだよ。」
「っ!俺だって!!・・・俺だって、いつ、皇族に見つかるか不安で!!省吾さんがいないと!スザクがいると思うだけで!ずっとずっと、怖くて・・・どうしてこんなに弱くなったのかって・・・前は全然平気だったのに。表情を取り繕うくらい、簡単にできたのに!!・・・省吾さんのせいだ!省吾さんがっ・・・甘やかすからっ・・・。」
すっかり2人の世界のルルーシュと朝比奈に、扇達や他の四聖剣は、赤面してその光景をただ見つめるしかできない。
「うん。そうなるように甘やかしてるんだけどね。・・・だって、君は何でも一人で抱えすぎだから。ちょっとは俺にも分けて欲しいな。」
「・・・分けてるじゃないですか。」
ムッとした声をあげるルルーシュを、朝比奈は抱きしめる。
「足りないよ。全然。・・・もっともっと、君は甘えて良いんだよ。だって、ナナリーちゃんの為に自分のことをずっと二の次にしてきたじゃない。・・・こうやって祖国に刃向かうのだって、ナナリーちゃんの為なんでしょ?」
「・・・っ・・・俺は・・・。」
「頑張らなくて良いんだよ。俺の傍にいる時くらい、甘えてよ。」
柔らかい声で、ルルーシュの耳元で囁かれる甘い言葉。いつもなら突っぱねてしまうはずのその言葉に、ルルーシュは身体中の力を抜いた。
「・・・酷い・・・もう、これで、俺は・・・本当に身も心も脆弱になってしまう・・・。」
トン、と朝比奈の肩に顔を埋めたルルーシュは呟いて、静かに涙を流した。
「・・・やれやれ・・・甘い空気が漂ってると思えば・・・。」
その空気を壊すように声がかかる。
皆がそちらを向けば、黒いスーツと不透明な仮面をつけたリーダーの姿。
「ッゼロ・・・。」
ギョッとしたのは扇達。来るとはわかっていたが、ここで、この空気を壊すとは思わなかったのだ。
「・・・邪魔しないでよ~。」
恨めしげな視線を向けた朝比奈に、“ゼロ”は溜め息をついた。
「邪魔なんかするつもりはなかったんだがな。・・・あんまりにも甘いものだから・・・。」
言いながら仮面に手をかける“ゼロ”に全員がギョッとした。
カシュッという音と共に外される仮面。その中から現れたのは、明るい緑の髪、黄金の瞳。皆が見慣れている、その姿。
「「「「C.C.!!」」」」
“ゼロ”だと思っていた面々は仰天してその名を呼ぶ。
「なんだ、C.C.かよ。・・・ったく、本物はどこにいんだよ?今日は来るはずだろ?」
玉城が肩の力を抜き、C.C.を見やる。
「あいつか?・・・今日は、というか、今日も来る予定ではいたな。」
「今日、も?」
扇が訊けば、朝比奈がハッとしてC.C.を見る。その表情は悪戯を思いついた時のように楽しげなもの。
「ちょっと、C.C.!?」
カレンが慌ててC.C.を睨み、余計な事を言わないようにと言外に告げる。
「ふん。・・・この様子だったら、私達が何も言わなくたって、いずれバレてしまうだろうに。」
C.C.の言葉に、事情を知らない面々が首を傾げる。それを嘲笑しながら見やり、C.C.は朝比奈に抱きついたままのルルーシュに視線を向けた。
「おい、ルルーシュ。」
その声は、呆れが含まれていて。
「・・・C.C.・・・。」
顔をあげたルルーシュの瞳は涙で潤んでいて。先ほどの会話をしっかりと耳にしていたC.C.は苦笑を漏らした。
「カレン・・・この状態で、こいつがこの仮面を被って平常心でいられると思うか?」
C.C.が言えば、カレンはギョッとした。全て暴露するつもりか、と視線で訴えれば、こくりと頷かれる。
確かに今なら扇達もルルーシュを受け入れるだろう。それに、このまま仮面をルルーシュに被せても、平常心なんて絶対に無理だ。今、彼自身が言った通り、心まで脆弱になるほど甘やかされた朝比奈の前で“ゼロ”を演じきることなど、彼にはできはしないはずだ。それに、C.C.が影武者をやるにも限度がある。
「・・・え?・・・ど、どういうことだ?」
扇の戸惑った声が響く。びくり、とルルーシュは身体を震わせ、酷く動揺して、涙に濡れた瞳でC.C.を見つめる。一瞬罪悪感に駆られるが、C.C.はこの時を好機と捉えていたから、迷わずそれを実行した。
「まだわからないのか?・・・つまり、こういうことだ。」
すたすたとルルーシュに歩み寄り、持っていた仮面をルルーシュの頭に被せる。その間、朝比奈は邪魔することなくそれを見つめていた。
「・・・止めると思ったんだが?」
「好機でしょ。・・・少し、びっくりしたけど、君が大丈夫と判断したのなら、俺は止めない。・・・ダメなら・・・捨てるだけだよ。必要ないもの。」
冷めた視線でC.C.を見る朝比奈は、本音を吐露する。
もし、扇達が“ゼロ”を受け入れなければ、ルルーシュを連れて自分は立ち去るだろう。カレンはどうかはわからないが、藤堂達は間違いなく同行してくれるはずだ。もちろん、ラクシャータやディートハルトもついて来るだろう。なにせ、2人はルルーシュの事情を把握しているのだ。“ゼロ”となった理由もピンと来るはず。
そして、キョウトからの支援も打ち切られる。ルルーシュがリーダーであるからこそ、キョウトは騎士団を支援しているのだから。
そう考えた朝比奈はC.C.の行動とその結果を沈黙を持って見守ることにする。
「・・・えっと・・・こういうことって・・・。」
目の当たりにしても、まだ理解が追い付かないのか、扇は戸惑いの声をあげる。
「お前達は馬鹿か?・・・こういうことと言ったら、こういうことだ。」
呆れたC.C.が答えるが、それは答えになっていないだろうと全員が心の中でつっこむ。仮面を被せられた当人はフリーズしているし、朝比奈を含めた四聖剣も沈黙を守っている。
カレンまでもが傍観する風に扇達を見つめるので、もしやという思いがじわじわと幹部達の間に広がっていく。
「・・・どうしたんだ?」
新たな声がラウンジに響く。
「と・・・藤堂さん。」
扇が助かったとばかりにこわばった表情を緩める。それを見た藤堂は不審そうに眉を顰め、視線を巡らせ、朝比奈に抱きついたままの人物の被っているものを見て、ギョッとする。
そして“ゼロ”の姿をしたC.C.がその傍に立っているのを確認すると、事情を把握した。
「C.C.・・・お前の出番はもう少し後だったはずだが?」
「お前はあれを見てないから、そう言うんだ。・・・もう、ルルーシュが演じきることは難しい。朝比奈が考えも無しにとことんまでルルーシュを籠絡したからな。」
「・・・朝比奈。」
こめかみに指をあて、自身の部下の名を呼ぶ。
「だって・・・5日ですよ?この子がここに来て。・・・なのに、まだ怯えてるんです。壁を作ってるんですよ。・・・すんなり馴染むとは思ってなかったですけど、これじゃ、あんまりだ。」
ムッとした声が返ってくると、藤堂は溜め息をついた。
「それは・・・認める。だが、だったら、この事態は何なんだ?」
最初から見ていない藤堂にしてみれば、首を傾げざるを得ない状態だ。
「それは、C.C.に聞いて下さい。どうするつもりかなんて、俺だって知りませんよ。」
朝比奈からは常に無いほどのそっけない返事。きっと、ルルーシュに気を配るので精一杯なのだろう。そう思い、藤堂はC.C.に視線を向けた。
「・・・頃合いと思って、こいつに仮面を被せて、こういうことだ、と言った。」
問うてもいないのにC.Cが憮然と言う。それだけで、扇達の戸惑いがわかった藤堂はやれやれと肩を竦めた。
「お前は言葉が足りん。事情を知るものなら、それだけでも通じるだろうが・・・そうだろう?ラクシャータ。」
「・・・まぁねぇ・・・。まさかとは思ったけど、もっと早く知ってたかったわね。この様子じゃ、藤堂達は勿論、お譲ちゃんも知ってたんでしょぉ?」
ラクシャータは溜め息をつきつつ答え、カレンに視線を向ける。
「・・・まぁ、それなりに。」
どんどんと話から置いていかれている扇達は、カレンの返答にギョッとした。カレンまで知っている、その、事情とは、目の前のこの光景と繋がっているのか、と思う。
「か、カレン・・・。」
縋るような視線が扇達から向けられて、カレンは顔を顰めた。
「すみません。扇さん・・・でも・・・私は・・・。」
ちらり、とルルーシュを見る。妹分として可愛がってくれる扇達には申し訳ないが、ルルーシュの方が多く味方を必要としている。それに、決めてしまったのだ。“ゼロ”にどこまでもついていく、と。
「・・・私は、いつだって、ゼロの味方でありたいんです。」
ルルーシュへ向けられたままの視線と、その言葉で、扇達は確信した。
「・・・そう、か。ルルーシュ君が・・・ゼロ・・・なんだな?」
扇が言葉にすると、仮面をつけたままのルルーシュの体がびくりと跳ねた。いつもどこか壁を作っていたルルーシュ。それは、何も知らない自分達が真実を知った時にどんな態度に出るか不安で、だから、慣れ合わないように、と壁を作っていたのだろう。否定された時の傷を浅くするために・・・。
「おかしいなって、思ってたの。・・・ルルーシュ君は、あんまりにも最初から私達の顔と名前を一致させ過ぎていたわ。」
井上が言えば、ああ、そうか、と幹部達が頷く。
「そうだよなぁ・・・短い自己紹介だけで、俺達の役職までしっかり把握してて・・・いくら藤堂さん達に聞いてたって限度があるよな。」
杉山もうんうんと頷いてルルーシュを見つめる。
「ったくよ~・・・さっさと言っちまえばいいのによー。」
「玉城。お前の反応が一番心配だったんだ。・・・実際、こんな風にルルーシュがお前達の中で馴染む前に、正体を明かしていたら、ガキに従えるか、とか、ブリキの学生がどうとか、言いそうじゃないか。」
呆れたように言った玉城に、C.C.が眉を顰めて言う。
「う・・・。」
言い返せない玉城を見て、ほら、言わんこっちゃないとC.C.は肩を竦める。
「でも、今は違うさ。そうだろ?玉城。」
「お、おう!」
扇がフォローすれば、玉城はコクコクと頷く。
「・・・なあ、ルルーシュ君。君が言ったことに、隠し事はあっても、嘘はないんだろう?・・・だったら、俺達は君を責めたりしないよ。」
扇はできる限り柔らかい声を出す。
「君の能力は、ゼロとしても、そして、ルルーシュ君としても騎士団に貢献してくれたことで証明済みだ。仮面をつけていた理由もわかった。だから・・・もう、俺達を怖がらないで欲しい。全てを明かせなんて言わない。誰だって隠し事の一つや二つはあるさ。」
「・・・それは、お前達の総意か?・・・覚悟も無しにそれを言うことは許さないぞ。こいつの隠し事は、個人的に処理できるようなものじゃない。少なからず、お前達にも影響することだろう。・・・もし、その隠し事を知って、それがお前たちの意に沿わないものだとしたら・・・お前達はそれを許せるのか?」
C.C.の声はいつもの軽い調子ではなく、切実に訴えるような声。
「・・・ゼロが、ルルーシュ君が、俺達の味方であることに変わりがないのなら・・・俺は構わないと思う。」
扇の言葉に、幹部達が頷く。
「こいつがブリタニアと相対する決意が揺らぐことなんて絶対にあり得ない。・・・その身体に流れる血が変えられないのと同様にな。」
C.C.は言って、未だにフリーズしているルルーシュから仮面を取る。
「いつまで現実逃避をしている?・・・お前が意識をはっきりと保ってくれなければ、こいつらを“あそこ”につれていけないだろう?」
“あそこ”とはどこだ?と扇達は揃って首を傾げた。
「・・・お前・・・。」
ルルーシュの口から掠れた声が漏れる。
「日本語で言うだろう?“百聞は一見にしかず”・・・これは諺と言うのだよな?」
C.C.が問えば、朝比奈は頷く。
「そうだよ。それにしても“あそこ”に連れて行くって・・・前に言ってた“あそこ”のこと?俺達の時はやらなかったよね?」
「当たり前だろ?お前達は、もともとルルーシュの一部を知っていたじゃないか。それが昔のことだったり、今のことだったり・・・。否定される要素は限りなく少なかった。」
でも、とC.C.は扇達を見る。
「念には念を。・・・こいつらはお前達とは違う。根柢の部分からルルーシュを信じてるわけじゃない。」
厳しい言葉は、ルルーシュを思えばこそ。だからこそ、扇達は甘んじてその言葉を受けた。
「・・・C.C.、お前がやりたいようにすればいいさ。俺達が信じてもらえるなら何でもする。」
「ほう、言ったな?・・・後悔しなければいいがな?・・・ほら、ルルーシュ、いつまで朝比奈に抱きついてる?」
C.C.の言葉に、ルルーシュはハッと我に返り、ワタワタと朝比奈から離れる。
「あ~・・・もったいない。もうちょっとくっついてたかったのに。」
「うるさい。お前に任せとくと、ルルーシュがダメになるだろ。」
「C.C.こそ、ルルーシュ君にプレッシャーかけ過ぎなんだよ。これじゃ、ルルーシュ君がかわいそうだ。」
「甘い!!」
「甘くて何が悪い!!」
バチバチと火花を散らす2人に、ルルーシュがおろおろとする。
「し、C.C.・・・省吾さん・・・;」
「ルルーシュ、やるぞ。」
「や、やるって・・・でも・・・。」
「問答無用!」
ガシッとルルーシュの腕をC.C.が掴んだ瞬間、どくん、とルルーシュの心臓が波打つ。そして、ラウンジがぐらりと揺れる。
「な、なんだ?」
「地震!?」
幹部達がざわめくが、何が起こるかわかっている面々は顔を顰めた。何が起こっても、これで、全てが決まるはずなのだ。
- キィィイィン
耳障りな音があたりに響いた。
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