Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・貴方と出会った日からシリーズ 続編
・過去捏造:ちびルルと朝比奈はお知り合いなど、いろいろ。
・本編の流れは軽く無視。
・ナナリーは物分かりの良い子w
・ラク&ディートも物分かり良すぎ(笑)
・スザクにちょっぴし厳しい
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
アッシュフォード学園・クラブハウス
あれから数日後。着々と騎士団への入団の準備が進められていた。
電話でのやり取りや、何とか時間を作っての会議で、ルルーシュとナナリーの身の振り方を相談した。ナナリーの事もあるので、キョウトもその計画の一部に携わってもらうことになり、リヴァルやカレンなどは随分と恐縮してしまっていた。
「お兄様・・・。」
今日は1日ナナリーと共に過ごすと決めた日。こんな風に過ごせる日もしばらくは訪れないだろうと、計画に携わる全員に言われて、ルルーシュは自分達の為に動いてくれている皆に申し訳なさを感じつつも、穏やかな一日を過ごしていた。
「なんだい、ナナリー。」
「・・・最近のお兄様は、以前にも増してお忙しそうですけれど、とても楽しそうですね。」
にこり、と笑うナナリーに、ルルーシュは困ったような笑みを浮かべた。本当はナナリーの意思を尊重したいのだが、こればかりは何ともできない。
「・・・ああ。・・・実は、ナナリーに言わなきゃいけないことがあるんだよ。」
「言わなければいけないこと?」
ことり、と首を傾げる愛しい妹に、ルルーシュは目元を緩める。朝比奈とは違う意味でルルーシュを癒す存在である妹。しばし、離れ離れになると言ったら、どんなにか不安がるだろう。そう思い、気分が滅入ってくる。
「・・・実は、アッシュフォードを出ようと思う。」
「まさか・・・お姉様達に見つかって・・・?」
「いや、まだそこまではいっていないけれど、危ないだろうね。・・・スザクがここに出入りしている以上は・・・。」
「スザクさんが・・・そう、ですか・・・。」
恐らくスザクへ淡い恋心を抱いているだろうナナリーには、辛い一言かもしれないが、ルルーシュは敢えてそれを口にする。
「ナナリー・・・俺は、もう、スザクを友人とは思えない。あいつは、俺達を見捨てたんだ。あいつは軍人で・・・皇族の・・・ユフィの騎士になった。・・・だから・・・。」
「お兄様・・・。お兄様がそう仰るのならそうなのでしょう。・・・ですが、アッシュフォードを出て、どこに行くのですか?」
つらそうに眉を顰めてルルーシュの言葉を肯定し、ナナリーは困ったように訊ねた。
「・・・黒の騎士団に行く。」
「えっ!?」
ナナリーの表情が驚愕に染まる。ルルーシュはナナリーの顔色を窺いつつ、ゆっくりと告げる。
「・・・ずっと黙っててごめん。・・・俺は。・・・俺が・・・ゼロ、なんだよ。」
「・・・ゼ・・・ゼロ?・・・お兄様が?・・・じゃあ・・・スザクさんは・・・お兄様は・・・。」
ショックで取り留めもなく呟くナナリーに、ルルーシュは受け入れて貰えなかったらどうしようと焦燥に駆られる。ナナリーに否定されてしまったら、自分に生きる道は無い。それ程に、ナナリーはルルーシュの世界で、生きる意味の根源だったから。
「・・・ああ・・・最初にゼロが出てきた時点で、気づくべきでした・・・ごめんなさいお兄様。ゼロが初めて姿を現した時に行ったのは・・・スザクさんの救出でしたね・・・。」
ナナリーの吐息交じりの言葉に、ルルーシュは眉を顰めた。
「ああ・・・あの時、俺はあいつを黒の騎士団に誘ったんだ。ブリタニアに尽くす意味があるとは思えないと。あいつはその手を振り払った。死に場所に意味を求めるように・・・過程を重視するのだ、と。そう言って・・・。」
「お兄様・・・では・・・スザクさんはお兄様がゼロであることは・・・。」
「知らないよ。・・・ヒントは十分にあったろうに・・・気付きもしない。俺はあんなにもあいつに執着していたというのに・・・。それどころか、あいつはユフィといつの間にか交流を持ち、騎士にまでなってしまった。それが、俺達の箱庭を壊す結果に繋がるとは知りもしないで。・・・これが、あいつの言う、正しい過程なのだろうか・・・。」
「ユフィ姉様はお幸せなのでしょうね・・・スザクさんとお似合いですもの。・・・もう、良いです。お兄様。私もスザクさんを友人とは思いません。・・・私も、スザクさんが騎士になることで、箱庭が壊れる結果となるとは思っていませんでしたが、よくよく思い返してみれば、専任騎士制度はそんな甘いものではありませんでしたね。・・・唯一お父様の勅命より、優先できる己の騎士。・・・リア姉様の騎士を見た時、本当にうらやましかったのを覚えています。」
「ナナリー・・・。」
聡明なナナリーには、言わなかったことも伝わったようだった。それがアッシュフォードを出る原因となったということも。
「黒の騎士団に行くということですが・・・私は・・・活動はできませんし、お兄様のお邪魔になるばかりではないでしょうか・・・?」
「・・・ナナリー・・・神楽耶を覚えてる?」
「・・・はい!覚えてます。スザクさんの従妹で・・・。」
「そう。今は皇コンツェルンの当主だ。・・・キョウト六家の頭目でもあり、黒の騎士団に出資もしてくれている。ナナリーは・・・。」
「神楽耶さんの元に行くということですね?」
「すまない。・・・一緒にいられればいいのに。」
「いえ。・・・大丈夫です。足手まといになるくらいなら、会えない方が幾分かマシです。・・・でも、連絡はくださいね?」
「もちろんだよ。毎日でも電話するから。」
「ふふ・・・はい。楽しみに待ってます。」
嬉しそうなナナリーに、ルルーシュはホッと息をつく。
「・・・それで、お兄様?」
「ん?なんだい?」
「黒の騎士団には、藤堂さんがいらっしゃるんですよね?」
「あ、ああ。うん。」
「じゃあ、省吾さんもいらっしゃるんですね?・・・もう、告白はなさったんですか?」
ガッタン!ガタガタ、ゴトンッ!!
慌てて椅子から立ち上がり、その椅子が倒れ、派手な音をたてる。動揺がそのままもろに行動に出てしまったルルーシュは、クスクスと笑う妹を見つめる。
「な・・・ナナリー?」
「お兄様ったら、まだ、自覚がなかったんですか?・・・昔から、省吾さんにはべったりだったのに。私、いつも省吾さんにやきもちやいてたんですよ?」
ナナリーに悟られるほど、昔から自分が朝比奈に依存していたのだと気づかされて、ルルーシュは愕然とした。
「そうか・・・俺、そんなに、省吾さんのこと・・・。」
ナナリーに言われて気づくなんておかしいと思うが、どうにもそのあたりには疎いと自分でもわかっているので、溜め息が漏れる。
「・・・ナナリー・・・俺・・・もう、省吾さんとは付き合ってる。恋人・・・になったんだ///」
「まぁ・・・・・・素敵・・・おめでとうございます。お兄様。」
「・・・ごめん、ナナリーにはスザクを諦めさせたのに・・・。」
「いいえ。私、スザクさんがユフィ姉様を選んだ時から、諦めていましたし、それに、お兄様が省吾さんを想うようにスザクさんを想っていたわけじゃありませんから。・・・お兄様から話を聞いて、友人じゃないって、あっさり切り捨てられるくらいですもの。」
自分でもびっくりです。と笑うナナリーに、ルルーシュはホッと息をつく。
「そうか・・・。」
「いつ、黒の騎士団には?」
「・・・あっちの準備もあるしな。もう少しかかると思う。・・・それから、俺は、しばらくはゼロであることも伏せて入団するつもりだよ。」
「そうなのですか。・・・大丈夫なんですか?」
「ああ。C.C.もいるし、藤堂さんや省吾さん達、四聖剣もいる。それにね、ナナリー・・・カレンも騎士団の一員なんだ。」
「まぁ、カレンさんも?・・・じゃあ、本当に安心ですね。」
「ああ。・・・それから、ミレイやリヴァルも入ってくれるんだって。」
そう言えば、ナナリーは本当に驚いたようで、絶句してしまう。
「俺もびっくりだよ・・・リヴァルやカレンは俺達が皇族であるということもふまえた上で、守ってくれるって言ったんだ。」
「・・・嬉しい、ですね。お兄様。」
「そうだね、ナナリー・・・嬉しい、な。」
2人は微笑みあう。それは、まるで絵画の一部であるかのような美しい光景だった。
黒の騎士団・ラウンジ
「はい、ちゅーもく!」
朝比奈が突如声をあげたので、幹部達は何事かとそちらを向く。
「今日は珍しく幹部全員が揃っているので、ちょっとお話したいことがありまーす。」
軽いノリの朝比奈に、扇が近寄る。
「幹部は揃っているが、ゼロがいないぞ?」
「大丈夫。ゼロには相談済み。・・・ほら、前の作戦が始まる前に、俺、ゼロに言ってたじゃない。」
「あ~・・・あれか。どうなったんだ?」
扇が促せば、幹部達も興味があるのか、近づいてくる。ラクシャータとディートハルトは興味なさげに、それでも、耳だけはこちらに向けているので、朝比奈は胸を張って、言ってのけた。
「今日から、俺のとってもとってもと~~~~~~っても大事な恋人を、黒の騎士団に入団させることになりました!!しばらくは紅月さんみたいに通いだけど、ちゃんと準備が整ったら、こっちに住まいを移すことになってるのでよろしく~。」
「「「「こっ・・・恋人~~~~!?」」」」
藤堂達とカレン以外の幹部が声を揃える。どういった具合でできた恋人なのだろうか、というか、藤堂さん一筋では無かったのか、とぐるぐると考えが回る。
「その子は、ゼロとも繋がりがあって、藤堂さんや俺とは、昔からの知り合いなんだ。ああ、キョウトの桐原公や神楽耶様とも知り合いでね。今挙げた全員が黒の騎士団への入団を認めたから、後は、扇さん達だけなんだけど。」
「・・・いや、そこまでの面子が・・・イイと言うなら・・・。というか、もう決定なんだろう?」
扇が他の幹部達を振り返るが、皆が皆、戸惑ったように頷く。話についていけていないのだ。
「・・・それで、その人物はどういった人物なのですか?」
ディートハルトが口を開く。ゼロが良いと言ったなら、とあっさりと考えを切り替えたらしい。
「えっと・・・その~、ブリタニア人の・・・学生でぇ・・・。」
「へぇ~ブリタニア人の・・・が、学生~~~!!?」
あ、やっぱり、学生の方がびっくりするんだぁ~。とは朝比奈の感想で、案の定の反応に、藤堂や四聖剣、カレンが深い溜め息をついた。
「ちょ、学生なんて、どこで引っかけたんだよ!!」
玉城が言えば、朝比奈は首を傾げる。
「ん?・・・昔の知り合いって言ったじゃん。」
「だからっ!・・・昔から、ずっと恋人ってわけじゃねーだろ!!学生って事は最低でも5つは歳が離れてるってことだろうがっ!」
「うわ~・・・玉城につっこまれたよ、俺。・・・なんかショック。」
「なんかムカつくな、その言い方。・・・っていうか、はぐらかすなよ!」
玉城が詰め寄ると、朝比奈は溜め息をついた。
「ついこの間再会して~・・・やっぱり好きだな~って実感して、告白しました~。」
はにかんだ笑みを浮かべた朝比奈は本当に幸せそうで、扇達はまあ、ブリタニア人は他にもいるし、本人が幸せそうだし、ゼロが認めてるならならいいか。とそれ以上の追及をやめた。
というより、むしろバカバカしくなったとでも言った方がいいかもしれない。
「・・・で、いつ連れてくるの~?今日って言ったわよねぇ・・・その子、ナイトメアに乗るのぉ?」
ラクシャータがもっともな質問をすると、扇達も、あ、そう言えば、と呟く。きっとここにルルーシュがいたら、大丈夫なのかこんなんで、と思うに違いない。そう考えつつ、朝比奈は二ヘラ、と笑った。
「うん。もうすぐ。連絡が来るはずだから・・・。あ、ナイトメアには乗せるってのは、今ん所考えてないかな。まあ、それなりには乗れると・・・。」
RRRRRRRR・・・
朝比奈の言葉の途中で携帯が鳴りだす。
「もっしもーし。」
通話ボタンを押し、声を発すると、向こうでルルーシュがホッと息をついたようだった。
『あ・・・省吾さん?・・・今、トレーラーの近くまで来たんですけど。』
「ホント?じゃあ、迎えに行くよ。待っててv」
さっさと通話を終えると、朝比奈は満面の笑みで藤堂に告げる。
「というわけで、連れてきますね~。」
「・・・ああ。最初から飛ばすなよ・・・頼むから。」
藤堂がやけに疲れた声を出したのは、生身で会う度に過剰なスキンシップをする朝比奈を見ているから。会議に加わっていたカレンや四聖剣達も同様なので、うんうん、と頷く。
「・・・あれ、もしかして、カレンも知ってるのか?」
扇がようやくそれに気づくと、カレンはこくりと頷いた。
「はい。同じ学校なので。」
びしり、と扇が固まる。
「つ、つまり、高校生・・・か?」
「・・・10歳近く違うじゃねーかよ・・・。」
南と玉城が呟くと、カレンは憐れむようにその2人を見る。きっとこれから、もっとこの人達は驚く羽目になる。そう思うと、憐れみしかうかばない。
「・・・へぇ、じゃあ、朝比奈さんとの関係も知ってたの?」
井上が首を傾げると、カレンはこくりと頷く。
「本人から聞きました。っていうか・・・もう・・・態度だけでわかりますって、朝比奈さんの過剰なスキンシップとか、あいつの甘ったるい視線とか・・・。」
はぁ、と溜め息をつく様子は、もう何度も見せつけられているのだと言わんばかりで、自分達も同じような思いをするのか?と顔を引き攣らせる。
しばらくして、朝比奈が恋人と思われる人物を引き連れて戻ってくる。帽子を目深に被り、その表情は窺えないが、皆があれ?と思う。その人物はどう贔屓目に見ても、男性の体つきなのだ。
「な、なぁ、カレン・・・その・・・ええと・・・。」
扇が戸惑いの声をあげるのを、カレンは、以前の自分を見ているようだと思う。
「わかります。扇さんの聞きたいことは。・・・一応、言っときますが、朝比奈さんの恋人は男です。」
「お・・・おと・・・こ。」
「へぇ~男の子~。」
男性陣は愕然とするが、女性陣はにやりと笑う。なんだかんだ言って、そういうのが好きなのだ。
「帽子、取ったら?」
カレンがスタスタと歩み寄って、“彼”の帽子を掴む。
「か・・・カレン・・・。」
「大丈夫よ。もう、ブリタニア人で学生で、朝比奈さんの恋人で、男だってのは話してあるから。」
戸惑う“彼”にそう言って、カレンはバッと帽子をはぎ取る。
さらりと揺れる、日本人より黒い髪。そして、わずかに細められた紫電の瞳。そして何より、その整った顔立ち。ああ、これじゃ、朝比奈がメロメロになるわけだ。と全員が納得してしまう。
「・・・何と言うか・・・あんたのその顔はどんな説明よりも説得力があるわね。」
「・・・は?」
「わかんなかったらいいの。・・・はぁ・・・とりあえず、紹介するからこっち来て。」
カレンに手を引かれてルルーシュがついていくのを、朝比奈はのんびりとした気持ちで見送る。
これが以前なら、少しは嫉妬もしたのだが、会議中にミレイやリヴァル、カレンにまでそんな態度をとっていたら、ルルーシュにこっぴどく怒られたのだ。自分を信じていないのか、と。だから、余計な嫉妬はしないことにした。成長したな、自分。と朝比奈は遠い目をする。
「えーと、こいつは、ルルーシュ・ランペルージ。17歳。アッシュフォード学園の生徒会副会長で、私のクラスメイト。」
カレンが紹介するが、幹部達は聞いているかどうかもわからないほどにポカンとしている。
「ほ、本当に、朝比奈さんと付き合ってるのか?(っていうか、こんなに顔が良ければ、引く手数多だろうに・・・。)」
扇の問いに、ルルーシュは首を傾げる。
「そう、聞きませんでしたか?・・・カレンは話したって・・・。」
困惑した様子でカレンを振り返れば、カレンは大げさに溜め息をついてみせた。
「至って普通の恋人なら、こんな風には聞かれないわよ。・・・自分だってわかってるでしょ?」
「・・・まぁ、それなりに。」
「ああ、そうだったわよね!!あんたの周りじゃ、日常茶飯事だったわね!!(ほんと、今だって信じらんないわよ。何で朝比奈さん!?いや、悪いわけじゃないけど・・・ゼロの正体がこれなんて知ったら・・・ああああ!!!)」
カレンが頭を抱える。それだけルルーシュがモテるのだと、扇達もなんとか理解したらしく、すっと手を伸ばした。
「俺は扇要、この黒の騎士団の・・・まあ、一応、副司令を任されてる。」
じっとその差し出された手を見て、ルルーシュは一瞬躊躇して、その手を握る。
「よろしく。」
口々に幹部達が自己紹介を始め、そして、残りはブリタニア人のラクシャータとディートハルトだけになる。ここから、皇族だとばれてしまう可能性がある。これは、大きな賭けだった。
皆がそちらに視線を向ける中、ゆっくりとルルーシュはそちらに視線を向ける。瞬間、その紫電の瞳を見たラクシャータが驚愕する。
「・・・っ・・・る、ルルーシュ、様?」
朝比奈をはじめ、事情を知る面子がギョッとする。まずい、と思うが、ここで言葉を遮っても怪しまれる。
「俺を知ってるんですか?」
ルルーシュがとぼけると、ラクシャータは一瞬のうちに驚愕を抑え込み、いつものような人を食ったような笑みを浮かべた。
「貴方のお母様と知り合いだからねぇ。アッシュフォードの研究所にいた頃の。」
「そうでしたか。“初めまして”ルルーシュ・ランペルージです。」
「初めまして・・・ルルーシュ様。」
改めて敬称をつけたラクシャータに、皆が訝しがる。
「様?・・・こいつ、何様だ?」
玉城が案の定口を出すと、ラクシャータは溜め息をついた。
「ルルーシュ様はルルーシュ様。・・・この方のお母様は本国で技術者や軍人、果ては一部の皇族の憧れの的だったからねぇ。必然とこの方にもそういった視線が向けられるわけよ。確か、ルルーシュ様ご自身も研究所にある研究論文を齢9歳にして全部読破したという伝説を残してたような気がするんですけど?」
説明ついでに確認すると、ルルーシュは困ったように笑い、頷いた。
「・・・チェスの参考になるかと思って、戦略関係の論文とか、結構読んだと思う。ついでに、母さんの影響もあって、ナイトメアには興味があったから・・・。」
肯定の言葉に、扇達だけでなく、藤堂達まであんぐりと口を開けた。
「間違いなく、黒の騎士団にとっても、この方の入団はプラスになるわねぇ。いろいろお聞きしてもいいかしら~?」
ラクシャータの態度からして、皇族だとバレたのは間違いない。だが、いろいろと察してくれたのか、それを口にすることなく皆を納得させてしまったのだから、すごい。
「俺が知ってるのは、第3世代まで。その知識が役立つなら・・・。」
「だいじょーぶですよぉ。ほとんどのナイトメアが、ガニメデの孫やひ孫世代のものだから、基本的な部分は変わらないですしぃー。」
ニッコリと笑ったラクシャータは、いつになく機嫌が良い。憧れの女性の面影をはっきりと残した忘れ形見が目の前にいるという現実に、今なら、どんな対象にでも礼拝したい気分なのだ。
「・・・ルルーシュ様・・・。」
もう1人のブリタニア人であるディートハルトが呟く。ルルーシュはこちらも素性を知る可能性があると、危機感を抱いていた。万が一の際は、カレンが気絶させると言っていたが。(←普段の行いのせいで、不審がられもしないだろう。(酷))
「なるほど、アッシュフォードですか。・・・私はディートハルトと申します。先ほどラクシャータが言った伝説共々、お噂はかねがねうかがっておりましたよ。“紫電の君”」
“紫電の君”とは皇子だった頃に、貴族がつけた呼び名だった。社交界に出れば、そういった二つ名は良くつけられるもの。噂をするにしても実名を呼ぶのは恐れ多いとつけられるのだが、本人を含め、全員に知られているのに、それが果たして意味があるモノなのかと首を捻った覚えがある。
「・・・はぁ、なんで、わかってしまうのかな・・・。」
思わずため息が漏れると、ブリタニア出身の2人は口を揃えた。
「「“閃光”の御子息ですから!!」」
その反応を見て、危機は脱したと判断した朝比奈は、ルルーシュに近寄る。
「よかったねぇ~ルルーシュ君。」
頭をぽんぽん、と撫でると、ルルーシュの頬がボッと赤らむ。
「・・・しょ、省吾さん///」
「「「「省吾さん!!?」」」」
幹部達がまたも固まった。いろいろ聞きたい事はあるのに、もう、どこをどうつっこむべきか、わからない。
「・・・き、聞きたいことは山ほどあるんだけど・・・とりあえず、か、歓迎するよ。ルルーシュ君。」
扇がなんとかフリーズから立ち直って、ひきつった笑みをうかべた。
こうして、事情がうやむやなまま、ルルーシュは黒の騎士団に受け入れられたのだった。
「・・・なんか、ラクシャータとディートハルトが、あんなに協力的なんてなぁ・・・。」
いろいろと想定していたものを使う必要が無かったために、朝比奈がつまらないとぼやいたのは別の話。
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・貴方と出会った日からシリーズ 続編
・過去捏造:ちびルルと朝比奈はお知り合いなど、いろいろ。
・本編の流れは軽く無視。
・ナナリーは物分かりの良い子w
・ラク&ディートも物分かり良すぎ(笑)
・スザクにちょっぴし厳しい
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
アッシュフォード学園・クラブハウス
あれから数日後。着々と騎士団への入団の準備が進められていた。
電話でのやり取りや、何とか時間を作っての会議で、ルルーシュとナナリーの身の振り方を相談した。ナナリーの事もあるので、キョウトもその計画の一部に携わってもらうことになり、リヴァルやカレンなどは随分と恐縮してしまっていた。
「お兄様・・・。」
今日は1日ナナリーと共に過ごすと決めた日。こんな風に過ごせる日もしばらくは訪れないだろうと、計画に携わる全員に言われて、ルルーシュは自分達の為に動いてくれている皆に申し訳なさを感じつつも、穏やかな一日を過ごしていた。
「なんだい、ナナリー。」
「・・・最近のお兄様は、以前にも増してお忙しそうですけれど、とても楽しそうですね。」
にこり、と笑うナナリーに、ルルーシュは困ったような笑みを浮かべた。本当はナナリーの意思を尊重したいのだが、こればかりは何ともできない。
「・・・ああ。・・・実は、ナナリーに言わなきゃいけないことがあるんだよ。」
「言わなければいけないこと?」
ことり、と首を傾げる愛しい妹に、ルルーシュは目元を緩める。朝比奈とは違う意味でルルーシュを癒す存在である妹。しばし、離れ離れになると言ったら、どんなにか不安がるだろう。そう思い、気分が滅入ってくる。
「・・・実は、アッシュフォードを出ようと思う。」
「まさか・・・お姉様達に見つかって・・・?」
「いや、まだそこまではいっていないけれど、危ないだろうね。・・・スザクがここに出入りしている以上は・・・。」
「スザクさんが・・・そう、ですか・・・。」
恐らくスザクへ淡い恋心を抱いているだろうナナリーには、辛い一言かもしれないが、ルルーシュは敢えてそれを口にする。
「ナナリー・・・俺は、もう、スザクを友人とは思えない。あいつは、俺達を見捨てたんだ。あいつは軍人で・・・皇族の・・・ユフィの騎士になった。・・・だから・・・。」
「お兄様・・・。お兄様がそう仰るのならそうなのでしょう。・・・ですが、アッシュフォードを出て、どこに行くのですか?」
つらそうに眉を顰めてルルーシュの言葉を肯定し、ナナリーは困ったように訊ねた。
「・・・黒の騎士団に行く。」
「えっ!?」
ナナリーの表情が驚愕に染まる。ルルーシュはナナリーの顔色を窺いつつ、ゆっくりと告げる。
「・・・ずっと黙っててごめん。・・・俺は。・・・俺が・・・ゼロ、なんだよ。」
「・・・ゼ・・・ゼロ?・・・お兄様が?・・・じゃあ・・・スザクさんは・・・お兄様は・・・。」
ショックで取り留めもなく呟くナナリーに、ルルーシュは受け入れて貰えなかったらどうしようと焦燥に駆られる。ナナリーに否定されてしまったら、自分に生きる道は無い。それ程に、ナナリーはルルーシュの世界で、生きる意味の根源だったから。
「・・・ああ・・・最初にゼロが出てきた時点で、気づくべきでした・・・ごめんなさいお兄様。ゼロが初めて姿を現した時に行ったのは・・・スザクさんの救出でしたね・・・。」
ナナリーの吐息交じりの言葉に、ルルーシュは眉を顰めた。
「ああ・・・あの時、俺はあいつを黒の騎士団に誘ったんだ。ブリタニアに尽くす意味があるとは思えないと。あいつはその手を振り払った。死に場所に意味を求めるように・・・過程を重視するのだ、と。そう言って・・・。」
「お兄様・・・では・・・スザクさんはお兄様がゼロであることは・・・。」
「知らないよ。・・・ヒントは十分にあったろうに・・・気付きもしない。俺はあんなにもあいつに執着していたというのに・・・。それどころか、あいつはユフィといつの間にか交流を持ち、騎士にまでなってしまった。それが、俺達の箱庭を壊す結果に繋がるとは知りもしないで。・・・これが、あいつの言う、正しい過程なのだろうか・・・。」
「ユフィ姉様はお幸せなのでしょうね・・・スザクさんとお似合いですもの。・・・もう、良いです。お兄様。私もスザクさんを友人とは思いません。・・・私も、スザクさんが騎士になることで、箱庭が壊れる結果となるとは思っていませんでしたが、よくよく思い返してみれば、専任騎士制度はそんな甘いものではありませんでしたね。・・・唯一お父様の勅命より、優先できる己の騎士。・・・リア姉様の騎士を見た時、本当にうらやましかったのを覚えています。」
「ナナリー・・・。」
聡明なナナリーには、言わなかったことも伝わったようだった。それがアッシュフォードを出る原因となったということも。
「黒の騎士団に行くということですが・・・私は・・・活動はできませんし、お兄様のお邪魔になるばかりではないでしょうか・・・?」
「・・・ナナリー・・・神楽耶を覚えてる?」
「・・・はい!覚えてます。スザクさんの従妹で・・・。」
「そう。今は皇コンツェルンの当主だ。・・・キョウト六家の頭目でもあり、黒の騎士団に出資もしてくれている。ナナリーは・・・。」
「神楽耶さんの元に行くということですね?」
「すまない。・・・一緒にいられればいいのに。」
「いえ。・・・大丈夫です。足手まといになるくらいなら、会えない方が幾分かマシです。・・・でも、連絡はくださいね?」
「もちろんだよ。毎日でも電話するから。」
「ふふ・・・はい。楽しみに待ってます。」
嬉しそうなナナリーに、ルルーシュはホッと息をつく。
「・・・それで、お兄様?」
「ん?なんだい?」
「黒の騎士団には、藤堂さんがいらっしゃるんですよね?」
「あ、ああ。うん。」
「じゃあ、省吾さんもいらっしゃるんですね?・・・もう、告白はなさったんですか?」
ガッタン!ガタガタ、ゴトンッ!!
慌てて椅子から立ち上がり、その椅子が倒れ、派手な音をたてる。動揺がそのままもろに行動に出てしまったルルーシュは、クスクスと笑う妹を見つめる。
「な・・・ナナリー?」
「お兄様ったら、まだ、自覚がなかったんですか?・・・昔から、省吾さんにはべったりだったのに。私、いつも省吾さんにやきもちやいてたんですよ?」
ナナリーに悟られるほど、昔から自分が朝比奈に依存していたのだと気づかされて、ルルーシュは愕然とした。
「そうか・・・俺、そんなに、省吾さんのこと・・・。」
ナナリーに言われて気づくなんておかしいと思うが、どうにもそのあたりには疎いと自分でもわかっているので、溜め息が漏れる。
「・・・ナナリー・・・俺・・・もう、省吾さんとは付き合ってる。恋人・・・になったんだ///」
「まぁ・・・・・・素敵・・・おめでとうございます。お兄様。」
「・・・ごめん、ナナリーにはスザクを諦めさせたのに・・・。」
「いいえ。私、スザクさんがユフィ姉様を選んだ時から、諦めていましたし、それに、お兄様が省吾さんを想うようにスザクさんを想っていたわけじゃありませんから。・・・お兄様から話を聞いて、友人じゃないって、あっさり切り捨てられるくらいですもの。」
自分でもびっくりです。と笑うナナリーに、ルルーシュはホッと息をつく。
「そうか・・・。」
「いつ、黒の騎士団には?」
「・・・あっちの準備もあるしな。もう少しかかると思う。・・・それから、俺は、しばらくはゼロであることも伏せて入団するつもりだよ。」
「そうなのですか。・・・大丈夫なんですか?」
「ああ。C.C.もいるし、藤堂さんや省吾さん達、四聖剣もいる。それにね、ナナリー・・・カレンも騎士団の一員なんだ。」
「まぁ、カレンさんも?・・・じゃあ、本当に安心ですね。」
「ああ。・・・それから、ミレイやリヴァルも入ってくれるんだって。」
そう言えば、ナナリーは本当に驚いたようで、絶句してしまう。
「俺もびっくりだよ・・・リヴァルやカレンは俺達が皇族であるということもふまえた上で、守ってくれるって言ったんだ。」
「・・・嬉しい、ですね。お兄様。」
「そうだね、ナナリー・・・嬉しい、な。」
2人は微笑みあう。それは、まるで絵画の一部であるかのような美しい光景だった。
黒の騎士団・ラウンジ
「はい、ちゅーもく!」
朝比奈が突如声をあげたので、幹部達は何事かとそちらを向く。
「今日は珍しく幹部全員が揃っているので、ちょっとお話したいことがありまーす。」
軽いノリの朝比奈に、扇が近寄る。
「幹部は揃っているが、ゼロがいないぞ?」
「大丈夫。ゼロには相談済み。・・・ほら、前の作戦が始まる前に、俺、ゼロに言ってたじゃない。」
「あ~・・・あれか。どうなったんだ?」
扇が促せば、幹部達も興味があるのか、近づいてくる。ラクシャータとディートハルトは興味なさげに、それでも、耳だけはこちらに向けているので、朝比奈は胸を張って、言ってのけた。
「今日から、俺のとってもとってもと~~~~~~っても大事な恋人を、黒の騎士団に入団させることになりました!!しばらくは紅月さんみたいに通いだけど、ちゃんと準備が整ったら、こっちに住まいを移すことになってるのでよろしく~。」
「「「「こっ・・・恋人~~~~!?」」」」
藤堂達とカレン以外の幹部が声を揃える。どういった具合でできた恋人なのだろうか、というか、藤堂さん一筋では無かったのか、とぐるぐると考えが回る。
「その子は、ゼロとも繋がりがあって、藤堂さんや俺とは、昔からの知り合いなんだ。ああ、キョウトの桐原公や神楽耶様とも知り合いでね。今挙げた全員が黒の騎士団への入団を認めたから、後は、扇さん達だけなんだけど。」
「・・・いや、そこまでの面子が・・・イイと言うなら・・・。というか、もう決定なんだろう?」
扇が他の幹部達を振り返るが、皆が皆、戸惑ったように頷く。話についていけていないのだ。
「・・・それで、その人物はどういった人物なのですか?」
ディートハルトが口を開く。ゼロが良いと言ったなら、とあっさりと考えを切り替えたらしい。
「えっと・・・その~、ブリタニア人の・・・学生でぇ・・・。」
「へぇ~ブリタニア人の・・・が、学生~~~!!?」
あ、やっぱり、学生の方がびっくりするんだぁ~。とは朝比奈の感想で、案の定の反応に、藤堂や四聖剣、カレンが深い溜め息をついた。
「ちょ、学生なんて、どこで引っかけたんだよ!!」
玉城が言えば、朝比奈は首を傾げる。
「ん?・・・昔の知り合いって言ったじゃん。」
「だからっ!・・・昔から、ずっと恋人ってわけじゃねーだろ!!学生って事は最低でも5つは歳が離れてるってことだろうがっ!」
「うわ~・・・玉城につっこまれたよ、俺。・・・なんかショック。」
「なんかムカつくな、その言い方。・・・っていうか、はぐらかすなよ!」
玉城が詰め寄ると、朝比奈は溜め息をついた。
「ついこの間再会して~・・・やっぱり好きだな~って実感して、告白しました~。」
はにかんだ笑みを浮かべた朝比奈は本当に幸せそうで、扇達はまあ、ブリタニア人は他にもいるし、本人が幸せそうだし、ゼロが認めてるならならいいか。とそれ以上の追及をやめた。
というより、むしろバカバカしくなったとでも言った方がいいかもしれない。
「・・・で、いつ連れてくるの~?今日って言ったわよねぇ・・・その子、ナイトメアに乗るのぉ?」
ラクシャータがもっともな質問をすると、扇達も、あ、そう言えば、と呟く。きっとここにルルーシュがいたら、大丈夫なのかこんなんで、と思うに違いない。そう考えつつ、朝比奈は二ヘラ、と笑った。
「うん。もうすぐ。連絡が来るはずだから・・・。あ、ナイトメアには乗せるってのは、今ん所考えてないかな。まあ、それなりには乗れると・・・。」
RRRRRRRR・・・
朝比奈の言葉の途中で携帯が鳴りだす。
「もっしもーし。」
通話ボタンを押し、声を発すると、向こうでルルーシュがホッと息をついたようだった。
『あ・・・省吾さん?・・・今、トレーラーの近くまで来たんですけど。』
「ホント?じゃあ、迎えに行くよ。待っててv」
さっさと通話を終えると、朝比奈は満面の笑みで藤堂に告げる。
「というわけで、連れてきますね~。」
「・・・ああ。最初から飛ばすなよ・・・頼むから。」
藤堂がやけに疲れた声を出したのは、生身で会う度に過剰なスキンシップをする朝比奈を見ているから。会議に加わっていたカレンや四聖剣達も同様なので、うんうん、と頷く。
「・・・あれ、もしかして、カレンも知ってるのか?」
扇がようやくそれに気づくと、カレンはこくりと頷いた。
「はい。同じ学校なので。」
びしり、と扇が固まる。
「つ、つまり、高校生・・・か?」
「・・・10歳近く違うじゃねーかよ・・・。」
南と玉城が呟くと、カレンは憐れむようにその2人を見る。きっとこれから、もっとこの人達は驚く羽目になる。そう思うと、憐れみしかうかばない。
「・・・へぇ、じゃあ、朝比奈さんとの関係も知ってたの?」
井上が首を傾げると、カレンはこくりと頷く。
「本人から聞きました。っていうか・・・もう・・・態度だけでわかりますって、朝比奈さんの過剰なスキンシップとか、あいつの甘ったるい視線とか・・・。」
はぁ、と溜め息をつく様子は、もう何度も見せつけられているのだと言わんばかりで、自分達も同じような思いをするのか?と顔を引き攣らせる。
しばらくして、朝比奈が恋人と思われる人物を引き連れて戻ってくる。帽子を目深に被り、その表情は窺えないが、皆があれ?と思う。その人物はどう贔屓目に見ても、男性の体つきなのだ。
「な、なぁ、カレン・・・その・・・ええと・・・。」
扇が戸惑いの声をあげるのを、カレンは、以前の自分を見ているようだと思う。
「わかります。扇さんの聞きたいことは。・・・一応、言っときますが、朝比奈さんの恋人は男です。」
「お・・・おと・・・こ。」
「へぇ~男の子~。」
男性陣は愕然とするが、女性陣はにやりと笑う。なんだかんだ言って、そういうのが好きなのだ。
「帽子、取ったら?」
カレンがスタスタと歩み寄って、“彼”の帽子を掴む。
「か・・・カレン・・・。」
「大丈夫よ。もう、ブリタニア人で学生で、朝比奈さんの恋人で、男だってのは話してあるから。」
戸惑う“彼”にそう言って、カレンはバッと帽子をはぎ取る。
さらりと揺れる、日本人より黒い髪。そして、わずかに細められた紫電の瞳。そして何より、その整った顔立ち。ああ、これじゃ、朝比奈がメロメロになるわけだ。と全員が納得してしまう。
「・・・何と言うか・・・あんたのその顔はどんな説明よりも説得力があるわね。」
「・・・は?」
「わかんなかったらいいの。・・・はぁ・・・とりあえず、紹介するからこっち来て。」
カレンに手を引かれてルルーシュがついていくのを、朝比奈はのんびりとした気持ちで見送る。
これが以前なら、少しは嫉妬もしたのだが、会議中にミレイやリヴァル、カレンにまでそんな態度をとっていたら、ルルーシュにこっぴどく怒られたのだ。自分を信じていないのか、と。だから、余計な嫉妬はしないことにした。成長したな、自分。と朝比奈は遠い目をする。
「えーと、こいつは、ルルーシュ・ランペルージ。17歳。アッシュフォード学園の生徒会副会長で、私のクラスメイト。」
カレンが紹介するが、幹部達は聞いているかどうかもわからないほどにポカンとしている。
「ほ、本当に、朝比奈さんと付き合ってるのか?(っていうか、こんなに顔が良ければ、引く手数多だろうに・・・。)」
扇の問いに、ルルーシュは首を傾げる。
「そう、聞きませんでしたか?・・・カレンは話したって・・・。」
困惑した様子でカレンを振り返れば、カレンは大げさに溜め息をついてみせた。
「至って普通の恋人なら、こんな風には聞かれないわよ。・・・自分だってわかってるでしょ?」
「・・・まぁ、それなりに。」
「ああ、そうだったわよね!!あんたの周りじゃ、日常茶飯事だったわね!!(ほんと、今だって信じらんないわよ。何で朝比奈さん!?いや、悪いわけじゃないけど・・・ゼロの正体がこれなんて知ったら・・・ああああ!!!)」
カレンが頭を抱える。それだけルルーシュがモテるのだと、扇達もなんとか理解したらしく、すっと手を伸ばした。
「俺は扇要、この黒の騎士団の・・・まあ、一応、副司令を任されてる。」
じっとその差し出された手を見て、ルルーシュは一瞬躊躇して、その手を握る。
「よろしく。」
口々に幹部達が自己紹介を始め、そして、残りはブリタニア人のラクシャータとディートハルトだけになる。ここから、皇族だとばれてしまう可能性がある。これは、大きな賭けだった。
皆がそちらに視線を向ける中、ゆっくりとルルーシュはそちらに視線を向ける。瞬間、その紫電の瞳を見たラクシャータが驚愕する。
「・・・っ・・・る、ルルーシュ、様?」
朝比奈をはじめ、事情を知る面子がギョッとする。まずい、と思うが、ここで言葉を遮っても怪しまれる。
「俺を知ってるんですか?」
ルルーシュがとぼけると、ラクシャータは一瞬のうちに驚愕を抑え込み、いつものような人を食ったような笑みを浮かべた。
「貴方のお母様と知り合いだからねぇ。アッシュフォードの研究所にいた頃の。」
「そうでしたか。“初めまして”ルルーシュ・ランペルージです。」
「初めまして・・・ルルーシュ様。」
改めて敬称をつけたラクシャータに、皆が訝しがる。
「様?・・・こいつ、何様だ?」
玉城が案の定口を出すと、ラクシャータは溜め息をついた。
「ルルーシュ様はルルーシュ様。・・・この方のお母様は本国で技術者や軍人、果ては一部の皇族の憧れの的だったからねぇ。必然とこの方にもそういった視線が向けられるわけよ。確か、ルルーシュ様ご自身も研究所にある研究論文を齢9歳にして全部読破したという伝説を残してたような気がするんですけど?」
説明ついでに確認すると、ルルーシュは困ったように笑い、頷いた。
「・・・チェスの参考になるかと思って、戦略関係の論文とか、結構読んだと思う。ついでに、母さんの影響もあって、ナイトメアには興味があったから・・・。」
肯定の言葉に、扇達だけでなく、藤堂達まであんぐりと口を開けた。
「間違いなく、黒の騎士団にとっても、この方の入団はプラスになるわねぇ。いろいろお聞きしてもいいかしら~?」
ラクシャータの態度からして、皇族だとバレたのは間違いない。だが、いろいろと察してくれたのか、それを口にすることなく皆を納得させてしまったのだから、すごい。
「俺が知ってるのは、第3世代まで。その知識が役立つなら・・・。」
「だいじょーぶですよぉ。ほとんどのナイトメアが、ガニメデの孫やひ孫世代のものだから、基本的な部分は変わらないですしぃー。」
ニッコリと笑ったラクシャータは、いつになく機嫌が良い。憧れの女性の面影をはっきりと残した忘れ形見が目の前にいるという現実に、今なら、どんな対象にでも礼拝したい気分なのだ。
「・・・ルルーシュ様・・・。」
もう1人のブリタニア人であるディートハルトが呟く。ルルーシュはこちらも素性を知る可能性があると、危機感を抱いていた。万が一の際は、カレンが気絶させると言っていたが。(←普段の行いのせいで、不審がられもしないだろう。(酷))
「なるほど、アッシュフォードですか。・・・私はディートハルトと申します。先ほどラクシャータが言った伝説共々、お噂はかねがねうかがっておりましたよ。“紫電の君”」
“紫電の君”とは皇子だった頃に、貴族がつけた呼び名だった。社交界に出れば、そういった二つ名は良くつけられるもの。噂をするにしても実名を呼ぶのは恐れ多いとつけられるのだが、本人を含め、全員に知られているのに、それが果たして意味があるモノなのかと首を捻った覚えがある。
「・・・はぁ、なんで、わかってしまうのかな・・・。」
思わずため息が漏れると、ブリタニア出身の2人は口を揃えた。
「「“閃光”の御子息ですから!!」」
その反応を見て、危機は脱したと判断した朝比奈は、ルルーシュに近寄る。
「よかったねぇ~ルルーシュ君。」
頭をぽんぽん、と撫でると、ルルーシュの頬がボッと赤らむ。
「・・・しょ、省吾さん///」
「「「「省吾さん!!?」」」」
幹部達がまたも固まった。いろいろ聞きたい事はあるのに、もう、どこをどうつっこむべきか、わからない。
「・・・き、聞きたいことは山ほどあるんだけど・・・とりあえず、か、歓迎するよ。ルルーシュ君。」
扇がなんとかフリーズから立ち直って、ひきつった笑みをうかべた。
こうして、事情がうやむやなまま、ルルーシュは黒の騎士団に受け入れられたのだった。
「・・・なんか、ラクシャータとディートハルトが、あんなに協力的なんてなぁ・・・。」
いろいろと想定していたものを使う必要が無かったために、朝比奈がつまらないとぼやいたのは別の話。
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