Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります。
・ 時美の写輪眼と白輝の呪印編?
・ 様々オリジナル設定がありますよ~よろしいですね?注意はしましたよ?
・ では、どうぞ・・・↓
白輝達がダンゾウと交渉をしている頃。
木ノ葉病院の病室で昏々と眠り続ける時美。その様子を見た瞬間、綱手は深い溜息をついた。
「・・・イタチ」
「・・・・・・ハイ」
「この子を目覚めさせることは可能だが・・・かなりの覚悟が必要だぞ。この子にも、お前にも」
綱手の言葉に、イタチは俯き加減になりながらも頷く。
「それでも・・・俺は・・・時美に目覚めて欲しいんです」
「・・・支えてやれるんだな?」
「その覚悟はあります」
即答したイタチに、綱手は笑みをうかべた。
「よし。じゃあ、目覚めさせるぞ。・・・言っておくが、最初は錯乱状態に陥る可能性がある。ちゃんと落ち着かせるんだよ?」
「はい」
力強く頷いたイタチから視線を外し、綱手は時美の額と胸に手を当てた。
ボウ、と青白いチャクラの光が綱手の手から時美へと流れ込んでいく。
「くっ・・・白輝から時美の写輪眼のことは聞いてはいたが・・・ここまでとはね」
「あの・・・チャクラを吸収しすぎたんじゃないんですか?」
問いかけるイタチに、綱手は首を振る。
「違うよ。・・・この子が目覚めない主な原因は、チャクラの枯渇だ」
「枯渇!?あれだけ巨大なチャクラを抱え込んだのにですか!?」
「巨大すぎて、逆にチャクラの流れがうまくいっていないんだ。藍の封印術はしっかりしてるが、時美自身が意識を失ったままの状態でかけたからな。・・・ショック状態に近いかもしれないな」
「ショック状態・・・それで、目を覚まさなかったのか」
納得するイタチを見て、綱手は眉間にしわを寄せた。
ショック状態であることには違いないが、綱手の説明はイタチを安心させるためのものだったからだ。詳しくは時美を目覚めさせないと、綱手にもわからない。
「チャクラの流れが安定すれば、時美は目覚める」
チャクラの流れを調整しながら綱手が言えば、イタチは表情を明るくし、時美の手を握った。
「時美・・・頑張れ」
イタチが懸命に祈る脇で綱手はチャクラの流れが安定してくるのを感じる。このまま順調にいけば時美は目覚めるだろう。
が、目覚めたとき、巨大なチャクラをその身に宿したコトがどのように影響しているのか、不安でならなかった。
「・・・う・・・ん」
低く呻き、時美の瞳がゆるゆると開かれる。
「時美!」
イタチが表情を緩めその名を呼ぶ。その瞬間、時美はカッと目を見開く。
「あ・・・っ・・・!!・・・私がッ・・・皆をッ・・・イタチをッ・・・あっ・・・ああああぁアぁぁああアッ!!」
突如暴れ出した時美を押さえ付け、イタチは懸命に呼び掛ける。
「時美!良いんだ!!お前のせいじゃない!!落ち着け時美ッ!!・・・クソッ・・・好きだ!時美!!愛してるッ!!!」
イタチの急な告白に時美がビクリと身体を震わせ、目を丸くしたままイタチの方を向いた。
「・・・・・・・・・イタ・・・チ?」
イタチの言葉に耳を傾ける様子を見せた時美に安堵し、イタチは言葉を続ける。
「・・・皆、時美を心配してる。・・・自分の行動に責任を持つのは大事だ。でも、時美のあの行動は他者からの干渉を受けて意思を奪われた上でのものだ。・・・そこまで責任を感じなくていい」
“死を振りまく獣”に乗っ取られている時の記憶がある時美は自分を責めていた。だが、イタチの言葉に、フッと肩の力が抜ける。
「・・・私は・・・許されるの・・・?」
「決まってるだろう?・・・そもそも、誰も時美を責めたりなんてしないさ」
穏やかなイタチの言葉に、時美は静かに涙をこぼした。
「いつもながら・・・おアツイことだな」
不意に、病室に皮肉気な言葉が響く。
“彼”が入って来ていたことに気付いていた綱手は苦笑をうかべ、その事に気付いていなかったイタチと時美はギョッとして入り口の方へ顔を向けた。
「・・・紅牙(こうが)?」
時美はその声が己の最も親しい友人のものと気付いて、首を傾げた。
「おう。眠り姫はようやくお目覚めか?」
「眠り姫って・・・もう・・・」
困ったような表情をうかべる時美を見て、ニヤリと笑った紅牙は更に言葉を重ねようとして違和感に気付いた。
「・・・・・・時美、こっち見ろ」
「え?」
「こっち見ろって、言ってんだよ」
「・・・こっちって・・・見てる、だろ?」
戸惑う時美の顔の前に紅牙は掌を向けた。
「・・・本当に見てるか?・・・お前の前にあるのは何だ?」
「え?・・・紅牙がいるだろ?」
「・・・・・・お前、見えてないな?」
「・・・ッ・・・何、言って・・・」
時美が答える前にイタチが時美の腕を引き、顔を寄せた。
「・・・・・・イ、タチ?」
「・・・本当は、俺が気付くべきだった・・・」
時美の視線がわずかにずれていることに気付いたイタチは呻くように呟く。
「そうだな。・・・イタチが最初に気付くべきだった。違和感は確かに感じていたんだろう?・・・まぁ、お前も左目はほとんど見えていないようだから、しょうがないかもしれないが」
紅牙の言葉に、イタチは苦虫を噛み潰したような表情をうかべた。
「紅牙・・・観察眼はお前の方が優れていると認めている」
「専門家の治療を受けないとダメだな。・・・時美を“うちは”の医者に診せろ。ついでにお前も診てもらえ、イタチ」
紅牙の言葉に、イタチはグッと黙り込む。
「紅牙、あんたの言うことはもっともだが時美は“特殊”だ。・・・それはお前も知っているだろう」
綱手が思わず助け船を出す。それに対して紅牙は肩を竦める。
「ええ、知ってますよ。だから、診せろって言ってるんですよ」
「しかしな・・・」
「“うちは”じゃなければわからないこともある。・・・時美のような“特殊”な写輪眼なら特に」
「紅牙!・・・そんなことをしたら、たちまち時美は!!」
ガッと紅牙の胸ぐらを掴んだイタチに、紅牙は冷笑をうかべた。
「ふん、時美のためとでも言うつもりか?・・・違うだろ?お前は、一族の掟に縛られ過ぎてるんだ。・・・お前が心配している事なんて、大したことは無い」
「紅牙ッ!!」
「止めてッ!イタチ、紅牙!!」
時美が叫ぶと、2人はハッとして身を離す。
「・・・ったく、病人の前で騒ぐんじゃないよ。少しは落ち着いて話し合ったらどうだい?」
呆れたような綱手の言葉に紅牙が苦笑いをうかべ、イタチは憤りを抑えるように俯いて謝罪の言葉を口にする。
「面目ありません、つい、熱くなりまして」
「・・・・・・申し訳ありません」
「まぁ、それだけお互いに時美のことを大切にしてるってことだろうけどねェ・・・」
綱手は肩を竦め、紅牙に視線を向けた。
「何か、考えがあるんだろう?」
その問いに対し、紅牙はニヤリと笑って頷いた。
「要は、他の連中にバレなきゃいいんですよ」
あっさりと言った紅牙に、綱手は噴き出した。
「アッハハハッ!・・・本当に、お前は“うちは”らしくないねぇ!!」
「まぁ、一族より、友人達の方が大事ですから」
「紅牙、お前・・・」
イタチが凝視してくるのに、紅牙は肩を竦める。
「お前は真面目すぎるんだよ、イタチ。わざわざ当主に知らせてやる必要もない。・・・“うちは”の医者に診せて、その事を医療忍術の使える綱手様なり、白輝さんなりに伝えりゃ良い」
「だが、医者が父上に・・・」
「だ~か~ら~・・・そんなものは、記憶から消してしまえば良いだろうが」
紅牙がいらついたように言うと、イタチは目からウロコが落ちたようにポカンとした。
「・・・・・・あ、ああ・・・そうか」
「ったく、真面目なのは良いが、もう少し融通をきかせられないのか、お前は」
「品行方正《イタチ》と不良《紅牙》で、丁度良いじゃないか・・・ククク・・・」
肩を震わせる綱手の言い様に、2人はバツの悪そうな表情をうかべた。
「不良って・・・別に、俺は・・・」
「俺だって、品行方正というわけでは・・・」
「どっちも“うちは”の規格外だからね、時美の秘密を共有するには丁度良い人材だね」
綱手はクツクツと笑いながら、時美に視線を向けた。
「時美、隠し事は無しだ。具合の悪い所があるならちゃんと答えな。・・・じゃないと・・・白輝に1日中監視させるよ」
「・・・・・・・・・・・・それだけは、絶っ対、イヤですッ!!」
顔を青ざめさせた時美に、綱手は再び噴き出した。
「その反応ッ・・・すっごく見覚えがあるよ。ククッ・・・あたしを見た白輝の反応と一緒だ」
その言葉に、3人はあの白輝でも苦手なものがあるのか、と思わず感心してしまった。
***
その後、全ての身体の不具合を時美から聞き出した綱手は、紅牙とイタチに視線を向けた。
「時美をしばらく見ててやってくれ。あたしは文献を持ってくるから」
「はい」
「わかりました。綱手様」
そして綱手が出て行くと、イタチが時美に訊ねる。
「時美、喉は乾いていないか?売店から買ってくるが」
「じゃあ、しるこ以外で・・・」
任せると言えば、確実にしるこを買ってくるだろうことがわかっている時美は、そう言ってイタチにお使いを頼む。
「わかった。少し待っていろ」
「イタチー、俺はオレンジシュースな」
「・・・・・・・・・・・・・わかった」
誰がお前の分まで買うか、と言いかけたイタチだったが、時美の目の前でもあるためグッと堪えて頷き、売店へと走った。
「クク、イタチのヤツ文句言いたいって顔してたぜ。・・・ったく、サスケの方がまだ可愛げがあるな」
「そう言えば、サスケは紅牙に懐いてたな」
「まぁな。・・・イタチと違って素直だしなー」
時美が苦笑をうかべると、紅牙はそっと時美の頬に触れた。
「・・・写輪眼の能力までは失ってないみたいだな」
「うん。万華鏡と違って反作用は無く、視力を失うだけだしな。それも、眼を酷使したせいだから」
他人事のようにそう言って肩を竦める時美だが、わずかに表情が曇っている。
「・・・大丈夫か?時美」
心配そうな紅牙の声に、時美は首を傾げた。
「大丈夫。紅牙にまで心配されると、調子狂うって。・・・っくしゅっ!」
「!・・・寒いのか?」
「ん~・・・なんか、体温が下がってるみたいだな。植物状態だったんだし、しょうがないんだろうけど」
腕をさする時美を見ていた紅牙は、ふと考え込み、次の瞬間ニヤリと笑った。
「俺が温めてやろうか?」
「え?」
何をしようとしているのか目が見えていない時美は首を傾げる。
紅牙はそれを良いことに、おもむろに上着を脱いで上半身裸になる。
ギシ、とベッドが軋む音がする。
不思議そうにしている時美をまたがるようにして紅牙がベッドの上に乗ったからだ。
「なぁ、時美・・・寒い時はな、人肌が1番効くんだぜ?」
「・・・こ、うが?」
見えてはいないものの、なんとなくいつもと違う雰囲気を感じたのだろう。時美が紅牙から逃げるようにして、ベッドの端に身を寄せる。
とその時、ガラン、ガラン、と何かが落ちる音がし、時美はそちらに顔を向けた。
「・・・お、早かったな、イタチ」
ニヤリと笑った紅牙は、ベッドから降り、イタチに向き直った。
「何を、していた・・・紅牙」
「ああ、時美を温めてやろうと思ってな」
「っ!・・・紅牙ッ!!」
ガッと上半身裸の紅牙の腕を掴み、ギロリと睨みあげるイタチ。
不穏な空気になったことに気付いた時美がオロオロとしていると、呆れたような声が病室に響いた。
「・・・お前達、何やってるんだ・・・?」
「「「綱手様!?」」」
「・・・まったく、お前達は、顔を合わせる度にそんなことをしてるんじゃないだろうな?」
溜息をつきながら言う綱手に、時美が不安そうに訊ねる。
「あの・・・綱手様・・・イタチと紅牙は何を・・・」
「ああ、コイツらは・・・・」
答えかけた綱手はチラリと2人を見て、それからニヤリと笑った。
「・・・時美をそっちのけにして、男同士で抱き合って、イチャイチャしていたんだ。しかも、紅牙なんて、上半身裸だぞ」
「「~~~~~~っっっ!!!」」
「・・・・・・・・・・・・は?」
声にならない悲鳴を上げる紅牙とイタチ、そしてポカンとする時美。
次の瞬間、イタチが時美に駆け寄った。
「冗談だ!!真に受けるな!!!俺が紅牙とそんなことするわけがないだろう!!!・・・綱手様ッ!冗談にも程がありますよ!!」
「ッ・・・そうだっ!!何考えてんだ!!あんたはッッ!!!」
紅牙が綱手に噛みつくようにして言う。
「あっはっは!・・・ったく、あたしが時美を見てろって言ったにも関わらず、そっちのけでケンカしてたあんたたちが悪い」
ケタケタと笑う綱手は、確かに白輝の師匠だと思えた。
「・・・ケンカしてたのか・・・ホントは気が合うクセに、どうしてそう・・・」
はぁ、と溜息をつく時美に、イタチと紅牙は気まずげに視線を逸らす。
「まぁ、大目に見ておやり、お互いに譲れないモノってのがあるみたいだしね」
クツリと笑った綱手に、全てを見透かされているようで、イタチと紅牙は敵わないなと心内で呟き、苦笑をうかべた。
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・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります。
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白輝達がダンゾウと交渉をしている頃。
木ノ葉病院の病室で昏々と眠り続ける時美。その様子を見た瞬間、綱手は深い溜息をついた。
「・・・イタチ」
「・・・・・・ハイ」
「この子を目覚めさせることは可能だが・・・かなりの覚悟が必要だぞ。この子にも、お前にも」
綱手の言葉に、イタチは俯き加減になりながらも頷く。
「それでも・・・俺は・・・時美に目覚めて欲しいんです」
「・・・支えてやれるんだな?」
「その覚悟はあります」
即答したイタチに、綱手は笑みをうかべた。
「よし。じゃあ、目覚めさせるぞ。・・・言っておくが、最初は錯乱状態に陥る可能性がある。ちゃんと落ち着かせるんだよ?」
「はい」
力強く頷いたイタチから視線を外し、綱手は時美の額と胸に手を当てた。
ボウ、と青白いチャクラの光が綱手の手から時美へと流れ込んでいく。
「くっ・・・白輝から時美の写輪眼のことは聞いてはいたが・・・ここまでとはね」
「あの・・・チャクラを吸収しすぎたんじゃないんですか?」
問いかけるイタチに、綱手は首を振る。
「違うよ。・・・この子が目覚めない主な原因は、チャクラの枯渇だ」
「枯渇!?あれだけ巨大なチャクラを抱え込んだのにですか!?」
「巨大すぎて、逆にチャクラの流れがうまくいっていないんだ。藍の封印術はしっかりしてるが、時美自身が意識を失ったままの状態でかけたからな。・・・ショック状態に近いかもしれないな」
「ショック状態・・・それで、目を覚まさなかったのか」
納得するイタチを見て、綱手は眉間にしわを寄せた。
ショック状態であることには違いないが、綱手の説明はイタチを安心させるためのものだったからだ。詳しくは時美を目覚めさせないと、綱手にもわからない。
「チャクラの流れが安定すれば、時美は目覚める」
チャクラの流れを調整しながら綱手が言えば、イタチは表情を明るくし、時美の手を握った。
「時美・・・頑張れ」
イタチが懸命に祈る脇で綱手はチャクラの流れが安定してくるのを感じる。このまま順調にいけば時美は目覚めるだろう。
が、目覚めたとき、巨大なチャクラをその身に宿したコトがどのように影響しているのか、不安でならなかった。
「・・・う・・・ん」
低く呻き、時美の瞳がゆるゆると開かれる。
「時美!」
イタチが表情を緩めその名を呼ぶ。その瞬間、時美はカッと目を見開く。
「あ・・・っ・・・!!・・・私がッ・・・皆をッ・・・イタチをッ・・・あっ・・・ああああぁアぁぁああアッ!!」
突如暴れ出した時美を押さえ付け、イタチは懸命に呼び掛ける。
「時美!良いんだ!!お前のせいじゃない!!落ち着け時美ッ!!・・・クソッ・・・好きだ!時美!!愛してるッ!!!」
イタチの急な告白に時美がビクリと身体を震わせ、目を丸くしたままイタチの方を向いた。
「・・・・・・・・・イタ・・・チ?」
イタチの言葉に耳を傾ける様子を見せた時美に安堵し、イタチは言葉を続ける。
「・・・皆、時美を心配してる。・・・自分の行動に責任を持つのは大事だ。でも、時美のあの行動は他者からの干渉を受けて意思を奪われた上でのものだ。・・・そこまで責任を感じなくていい」
“死を振りまく獣”に乗っ取られている時の記憶がある時美は自分を責めていた。だが、イタチの言葉に、フッと肩の力が抜ける。
「・・・私は・・・許されるの・・・?」
「決まってるだろう?・・・そもそも、誰も時美を責めたりなんてしないさ」
穏やかなイタチの言葉に、時美は静かに涙をこぼした。
「いつもながら・・・おアツイことだな」
不意に、病室に皮肉気な言葉が響く。
“彼”が入って来ていたことに気付いていた綱手は苦笑をうかべ、その事に気付いていなかったイタチと時美はギョッとして入り口の方へ顔を向けた。
「・・・紅牙(こうが)?」
時美はその声が己の最も親しい友人のものと気付いて、首を傾げた。
「おう。眠り姫はようやくお目覚めか?」
「眠り姫って・・・もう・・・」
困ったような表情をうかべる時美を見て、ニヤリと笑った紅牙は更に言葉を重ねようとして違和感に気付いた。
「・・・・・・時美、こっち見ろ」
「え?」
「こっち見ろって、言ってんだよ」
「・・・こっちって・・・見てる、だろ?」
戸惑う時美の顔の前に紅牙は掌を向けた。
「・・・本当に見てるか?・・・お前の前にあるのは何だ?」
「え?・・・紅牙がいるだろ?」
「・・・・・・お前、見えてないな?」
「・・・ッ・・・何、言って・・・」
時美が答える前にイタチが時美の腕を引き、顔を寄せた。
「・・・・・・イ、タチ?」
「・・・本当は、俺が気付くべきだった・・・」
時美の視線がわずかにずれていることに気付いたイタチは呻くように呟く。
「そうだな。・・・イタチが最初に気付くべきだった。違和感は確かに感じていたんだろう?・・・まぁ、お前も左目はほとんど見えていないようだから、しょうがないかもしれないが」
紅牙の言葉に、イタチは苦虫を噛み潰したような表情をうかべた。
「紅牙・・・観察眼はお前の方が優れていると認めている」
「専門家の治療を受けないとダメだな。・・・時美を“うちは”の医者に診せろ。ついでにお前も診てもらえ、イタチ」
紅牙の言葉に、イタチはグッと黙り込む。
「紅牙、あんたの言うことはもっともだが時美は“特殊”だ。・・・それはお前も知っているだろう」
綱手が思わず助け船を出す。それに対して紅牙は肩を竦める。
「ええ、知ってますよ。だから、診せろって言ってるんですよ」
「しかしな・・・」
「“うちは”じゃなければわからないこともある。・・・時美のような“特殊”な写輪眼なら特に」
「紅牙!・・・そんなことをしたら、たちまち時美は!!」
ガッと紅牙の胸ぐらを掴んだイタチに、紅牙は冷笑をうかべた。
「ふん、時美のためとでも言うつもりか?・・・違うだろ?お前は、一族の掟に縛られ過ぎてるんだ。・・・お前が心配している事なんて、大したことは無い」
「紅牙ッ!!」
「止めてッ!イタチ、紅牙!!」
時美が叫ぶと、2人はハッとして身を離す。
「・・・ったく、病人の前で騒ぐんじゃないよ。少しは落ち着いて話し合ったらどうだい?」
呆れたような綱手の言葉に紅牙が苦笑いをうかべ、イタチは憤りを抑えるように俯いて謝罪の言葉を口にする。
「面目ありません、つい、熱くなりまして」
「・・・・・・申し訳ありません」
「まぁ、それだけお互いに時美のことを大切にしてるってことだろうけどねェ・・・」
綱手は肩を竦め、紅牙に視線を向けた。
「何か、考えがあるんだろう?」
その問いに対し、紅牙はニヤリと笑って頷いた。
「要は、他の連中にバレなきゃいいんですよ」
あっさりと言った紅牙に、綱手は噴き出した。
「アッハハハッ!・・・本当に、お前は“うちは”らしくないねぇ!!」
「まぁ、一族より、友人達の方が大事ですから」
「紅牙、お前・・・」
イタチが凝視してくるのに、紅牙は肩を竦める。
「お前は真面目すぎるんだよ、イタチ。わざわざ当主に知らせてやる必要もない。・・・“うちは”の医者に診せて、その事を医療忍術の使える綱手様なり、白輝さんなりに伝えりゃ良い」
「だが、医者が父上に・・・」
「だ~か~ら~・・・そんなものは、記憶から消してしまえば良いだろうが」
紅牙がいらついたように言うと、イタチは目からウロコが落ちたようにポカンとした。
「・・・・・・あ、ああ・・・そうか」
「ったく、真面目なのは良いが、もう少し融通をきかせられないのか、お前は」
「品行方正《イタチ》と不良《紅牙》で、丁度良いじゃないか・・・ククク・・・」
肩を震わせる綱手の言い様に、2人はバツの悪そうな表情をうかべた。
「不良って・・・別に、俺は・・・」
「俺だって、品行方正というわけでは・・・」
「どっちも“うちは”の規格外だからね、時美の秘密を共有するには丁度良い人材だね」
綱手はクツクツと笑いながら、時美に視線を向けた。
「時美、隠し事は無しだ。具合の悪い所があるならちゃんと答えな。・・・じゃないと・・・白輝に1日中監視させるよ」
「・・・・・・・・・・・・それだけは、絶っ対、イヤですッ!!」
顔を青ざめさせた時美に、綱手は再び噴き出した。
「その反応ッ・・・すっごく見覚えがあるよ。ククッ・・・あたしを見た白輝の反応と一緒だ」
その言葉に、3人はあの白輝でも苦手なものがあるのか、と思わず感心してしまった。
***
その後、全ての身体の不具合を時美から聞き出した綱手は、紅牙とイタチに視線を向けた。
「時美をしばらく見ててやってくれ。あたしは文献を持ってくるから」
「はい」
「わかりました。綱手様」
そして綱手が出て行くと、イタチが時美に訊ねる。
「時美、喉は乾いていないか?売店から買ってくるが」
「じゃあ、しるこ以外で・・・」
任せると言えば、確実にしるこを買ってくるだろうことがわかっている時美は、そう言ってイタチにお使いを頼む。
「わかった。少し待っていろ」
「イタチー、俺はオレンジシュースな」
「・・・・・・・・・・・・・わかった」
誰がお前の分まで買うか、と言いかけたイタチだったが、時美の目の前でもあるためグッと堪えて頷き、売店へと走った。
「クク、イタチのヤツ文句言いたいって顔してたぜ。・・・ったく、サスケの方がまだ可愛げがあるな」
「そう言えば、サスケは紅牙に懐いてたな」
「まぁな。・・・イタチと違って素直だしなー」
時美が苦笑をうかべると、紅牙はそっと時美の頬に触れた。
「・・・写輪眼の能力までは失ってないみたいだな」
「うん。万華鏡と違って反作用は無く、視力を失うだけだしな。それも、眼を酷使したせいだから」
他人事のようにそう言って肩を竦める時美だが、わずかに表情が曇っている。
「・・・大丈夫か?時美」
心配そうな紅牙の声に、時美は首を傾げた。
「大丈夫。紅牙にまで心配されると、調子狂うって。・・・っくしゅっ!」
「!・・・寒いのか?」
「ん~・・・なんか、体温が下がってるみたいだな。植物状態だったんだし、しょうがないんだろうけど」
腕をさする時美を見ていた紅牙は、ふと考え込み、次の瞬間ニヤリと笑った。
「俺が温めてやろうか?」
「え?」
何をしようとしているのか目が見えていない時美は首を傾げる。
紅牙はそれを良いことに、おもむろに上着を脱いで上半身裸になる。
ギシ、とベッドが軋む音がする。
不思議そうにしている時美をまたがるようにして紅牙がベッドの上に乗ったからだ。
「なぁ、時美・・・寒い時はな、人肌が1番効くんだぜ?」
「・・・こ、うが?」
見えてはいないものの、なんとなくいつもと違う雰囲気を感じたのだろう。時美が紅牙から逃げるようにして、ベッドの端に身を寄せる。
とその時、ガラン、ガラン、と何かが落ちる音がし、時美はそちらに顔を向けた。
「・・・お、早かったな、イタチ」
ニヤリと笑った紅牙は、ベッドから降り、イタチに向き直った。
「何を、していた・・・紅牙」
「ああ、時美を温めてやろうと思ってな」
「っ!・・・紅牙ッ!!」
ガッと上半身裸の紅牙の腕を掴み、ギロリと睨みあげるイタチ。
不穏な空気になったことに気付いた時美がオロオロとしていると、呆れたような声が病室に響いた。
「・・・お前達、何やってるんだ・・・?」
「「「綱手様!?」」」
「・・・まったく、お前達は、顔を合わせる度にそんなことをしてるんじゃないだろうな?」
溜息をつきながら言う綱手に、時美が不安そうに訊ねる。
「あの・・・綱手様・・・イタチと紅牙は何を・・・」
「ああ、コイツらは・・・・」
答えかけた綱手はチラリと2人を見て、それからニヤリと笑った。
「・・・時美をそっちのけにして、男同士で抱き合って、イチャイチャしていたんだ。しかも、紅牙なんて、上半身裸だぞ」
「「~~~~~~っっっ!!!」」
「・・・・・・・・・・・・は?」
声にならない悲鳴を上げる紅牙とイタチ、そしてポカンとする時美。
次の瞬間、イタチが時美に駆け寄った。
「冗談だ!!真に受けるな!!!俺が紅牙とそんなことするわけがないだろう!!!・・・綱手様ッ!冗談にも程がありますよ!!」
「ッ・・・そうだっ!!何考えてんだ!!あんたはッッ!!!」
紅牙が綱手に噛みつくようにして言う。
「あっはっは!・・・ったく、あたしが時美を見てろって言ったにも関わらず、そっちのけでケンカしてたあんたたちが悪い」
ケタケタと笑う綱手は、確かに白輝の師匠だと思えた。
「・・・ケンカしてたのか・・・ホントは気が合うクセに、どうしてそう・・・」
はぁ、と溜息をつく時美に、イタチと紅牙は気まずげに視線を逸らす。
「まぁ、大目に見ておやり、お互いに譲れないモノってのがあるみたいだしね」
クツリと笑った綱手に、全てを見透かされているようで、イタチと紅牙は敵わないなと心内で呟き、苦笑をうかべた。
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