Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります。
・ 新章開始です!
・ 様々オリジナル設定がありますよ~よろしいですね?注意はしましたよ?
・ では、どうぞ・・・↓
「そう。ご苦労様・・・ありがとう」
任務を終えた9人が木ノ葉の里に戻り、執務室にて蒼夜から報告を受けたミナトの言葉は少なかった。
結局、犠牲を出してしまったからだ。
「・・・時美の様子は?」
「・・・まだ、目を覚ます様子はありません。・・・自宅療養も考えたんですが、万一のことも考えて木ノ葉病院へ入院させました」
答える蒼夜に、ミナトは視線を落とした。
「・・・そう。イタチは?」
「玖々流さんの治療ですぐに回復しましたから大丈夫です。後遺症もありません。・・・ただ、心の方は・・・」
「・・・カウンセリングを頼むよ、蒼夜」
「・・・一番の特効薬は、時美の笑顔なんでしょうけどね」
苦笑をうかべてそう言った蒼夜に、ミナトも同じように苦笑をうかべて頷いた。
「・・・早く、目覚めてくれると良いね」
「・・・ええ」
それを扉の外で聞いていた白輝は、表情を曇らせたまま執務室に背を向けた。
「白輝」
「・・・千坐」
「大丈夫か?」
「・・・・・・何がよ」
「・・・いや、何がって・・・お前、時美への責任を感じてるんだろう?また、実行部隊辞めるとか、言わないよな?」
「・・・さすがにそこまで自虐的にはならないわよ。ただ、時美が目を覚まさないでいるのは・・・封印のせいだけじゃない気がして」
白輝の言葉に、千坐は首を傾げた。
「封印のせいだけじゃないって、どういうことだ?」
「・・・うん・・・なんとなくなんだけどね」
言葉を濁す白輝に、千坐は何も言えずに口を閉ざす。
「・・・・・・ねぇ、千坐」
「・・・なんだ?」
「・・・・・・大蛇丸って・・・地下牢にいるのよね」
「おい、白輝!?」
焦る千坐に、白輝は肩を竦めた。
「安心してよ。別に、大蛇丸をぶっ殺そうなんて思ってないから」
「じゃあ、どうして・・・」
「写輪眼のことは大蛇丸が一番良く知ってるわ。・・・ずっと昔から研究してるからね」
その言葉に、千坐は目を丸くした。
「・・・白輝・・・」
「時美にあの術を叩きこんだ時から、いつかこんなことが起こるんじゃないかって思ってた。あの子の力は特殊すぎる。・・・あの子に対しての責任は私にある」
白輝はそう言って、地下牢へと向かい出す。
「ま、待てって、白輝!・・・なら、俺も」
「千坐、お願い。私1人で行かせて」
「・・・・・・だが・・・いや・・・わかった」
渋々頷いた千坐に笑みをうかべ、白輝は背を向けた。
「・・・・・・・・・ありがと、千坐」
やるせない思いに駆られた千坐は、白輝の姿が見えなくなるのと同時に白くなるほど握り締めた拳で、壁を殴った。
「・・・・・・・・・っ、くそッ!!!」
***
地下牢の前までやって来た白輝は、捉えられて何重にもかけられた結界の中に閉じ込められている相手を見て心がざわつくのを感じる。
「・・・久しぶりね、大蛇丸」
「・・・・・・白輝・・・大きくなったわねェ・・・」
目を細める大蛇丸に、白輝の眉間のしわが深くなる。
「・・・聞きたいことがある」
「・・・・・・あら、私に聞きたいことだなんて・・・何かしら?」
「写輪眼について聞きたい」
まだ己の中にある激情を抑えるのに全神経を注いでいるため、言葉がぶっきらぼうなまでに短くなる。
「・・・サスケ君のためかしら?それとも、イタチ君のため?」
「・・・・・・いいから、答えろ」
「あら、余裕ないわねェ。・・・ふふ、まぁいいわ。どうせ私は囚われの身。抵抗したって意味のないこと」
クツクツと笑う大蛇丸に白輝の機嫌は急降下していく。殺気すら放ち始めた彼女を見て、さすがの大蛇丸も喉の奥で低く笑いからかうような口調を改めた。
「写輪眼についてといわれても、色々とあるから答えようがないわ。・・・白輝、貴女が知りたいのは写輪眼のどんなことなの?」
「・・・写輪眼の突然変異なんてものが、本当に存在するのか」
「突然変異?」
大蛇丸の表情が変わった。それは研究者の顔だった。
「薄紅色の写輪眼。チャクラを吸い取ったり、白眼以上の洞察力を持つ・・・」
「それは・・・突然変異などではないわ・・・。」
白輝の言葉をさえぎって、大蛇丸が呟くように言った。
「・・・幻の写輪眼・・・それは六道仙人の子ども達が千手とうちはに別れ、しばらくした後に現れたというわ」
「幻の写輪眼?・・・それって・・・」
「・・・言葉の通りの意味よ。・・・希少な写輪眼であることに変わりはないわ。万華鏡写輪眼のように副作用があるわけではないけれど目を酷使することは確か。視力が落ちていくのはしょうがないこととして、1つだけ伝承として残っているものがあるの」
「・・・・・・それは?」
白輝の表情が困惑したものへと変わったことに気付いた大蛇丸は、フー、と軽く息をついた。
「幻の写輪眼は、一定以上のチャクラを吸収すると性質変化を起こす」
「性質変化?」
「そう・・・それが、どのようなものなのかは私も知らないわ・・・でも、おそらくうちは当主なら・・・知っているかもね」
クツリと笑った大蛇丸に白輝は眉根を寄せた。時美の写輪眼のヒミツをうちは当主であるイタチ達の父、フガクは知らない。
かといって、ただ教えろといっても部外者の白輝に教えるとは思えない。
「・・・そう。おまえなら知ってると思ったのに」
フイ、と大蛇丸から視線を外した白輝は、そのまま背を向け地下牢を出て行こうとする。
「・・・ねぇ、白輝」
大蛇丸のからかうような声。それに白輝の肩がピクリと跳ねた。
「その呪印、役に立っているかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ここで、試してやろうか?」
「ふふふ・・・それも、一興」
ますます機嫌を降下させた白輝だったが、大蛇丸の挑発に乗ることはなかった。
「・・・生憎、おまえの挑発に乗ってやるほど、私はもう青くない」
「それは・・・残念。ふふ」
至極楽しそうに笑う大蛇丸の声を必死に無視して、白輝は階段を駆けあがる。
「・・・・・・うちはの当主。うちはフガク、か」
階段をあがりきったところで、白輝はポツリ、と呟いた。
「白輝・・・」
「あれ?千坐、待ってたの?」
キョトン、として首を傾げた白輝に、千坐は脱力した。
「・・・ちょ、ちょっと、大丈夫?」
「・・・意外と平気そうで、力が抜けた・・・」
ずるずると壁に背を預けながらその場にへたり込んだ千坐を見て、白輝は苦笑をうかべた。
「・・・もう、何年経ってると思ってんのよ」
「バカ言え、本当は平気でも何でもないくせに。・・・やせ我慢ばっかしてると、いつか感情が爆発するぞ」
「・・・・・・・・・よくわかってらっしゃる」
白輝は視線を落として口の端をあげた。
「・・・白輝」
「そんな千坐君にお願いでーす」
顔をあげた白輝は、にっこりと笑ってみせる。
「・・・・・・なんだよ」
「一緒に、うちはの集落に行ってくれる?」
「・・・・・・・・・どういうことだ?」
首を傾げた千坐に、白輝は事の説明を始めたのだった。
***
一方、報告を終えた蒼夜は、時美の様子を見に来ていた。
「・・・目は覚まさない、か」
「・・・ええ」
気落ちした様子のイタチに、蒼夜は苦笑をうかべた。
「あんたのせいじゃないって言っても・・・まぁ、そんなに簡単に切り替えられるようなら苦労しないわよね」
そう言う蒼夜に、イタチはコクリと頷く。
「・・・そう、ですね。・・・ただ、藍が言っていたんですが・・・」
「藍?・・・なんて言っていたの?」
「封印はちゃんとされているから、時美が目を覚まさないのは別の理由じゃないかって」
「・・・なるほどね。確かに目を覚まさないのはおかしいわね。藍の封印の術は人を傷つけたりしないもの」
蒼夜が言えば、イタチは表情を曇らせる。
「・・・1つだけ、心当たりがあります」
「・・・・・・どういうこと?」
「・・・当主にのみ伝わる口伝があります。それを父から聞いたことがあって・・・正式に継いだわけではないので一部だけしかわからないんですが、時美の写輪眼によく似ているんです・・・」
「うちは、か。・・・なかなか難しいわね。おたくの一族は」
はぁ、と大きな溜息をついた蒼夜に、イタチは恐縮してしまう。
「申し訳ありません」
「イイのよ。大昔から軋轢(あつれき)はあるんだから。それよりも時美の症状を当主に話すの?」
「・・・危険、だと思います・・・。父は、うちは一族の当主です。私情をはさむことはしません」
「でしょうねぇ・・・じゃあ、まずは四代目に聞いてみましょうか」
「そう、ですね」
頷いたイタチは未だ目を覚まさない時美の手を握り締めて、祈るように目を閉じた。
***
「失礼します」
火影の執務室に入った蒼夜とイタチは、先客がいたことに驚く。
「白輝!?」
「・・・どうしたんですか?・・・すごく・・・殺気立ってますが・・・」
「別に。ちょっと、機嫌が悪いだけ。気にしないで」
気にするなといわれても困る。ビシビシと肌に感じる殺気が痛い。
「蒼夜とイタチは、どんな要件かな」
「・・・実は、うちはフガク様に取り次いで戴きたくて」
「・・・おや、蒼夜達もかい?」
首を傾げるミナトに、蒼夜はハッとして白輝に視線を向けた。
「“も”・・・ってことは・・・」
「・・・大蛇丸から情報を引き出したのよ。当主くらいしか知らないだろうって。・・・イタチも聞いたことはあったのね。・・・ちッ、我慢して損した」
蒼夜とイタチは白輝の機嫌の悪さの理由を知って、背中に冷や汗をかいた。
「蒼夜とイタチを責めるもんでもないだろ。ったく・・・もうちょっと、殺気を抑えろ」
ポフ。と千坐が白輝の頭に手を置けば、白輝はギロリときつい視線を千坐に向け、次いで視線を下に落とした。
「・・・千坐の分際で」
「・・・おい・・・」
「ま、まぁ、白輝が機嫌悪いのはよくわかったけど・・・四代目、取り次いで頂けますか?」
蒼夜が場の空気を変えようとミナトに視線を向ければ、ミナトは苦笑をうかべた。
「・・・ん、そうしてあげたいのは山々なんだけど、上層部がちょっと・・・」
「あ゛~~~~ッッ!!!クソ忌々しい!!今からすぐにでも、奴等をツブす!!!!」
「ちょ、待て待て待て待て!!!!白輝!!」
クナイを取り出して、殺気を膨らませた白輝をガッチリとホールドして、千坐が叫んだ。
「・・・ナルホド、大蛇丸と上層部のダブルパンチで、ブチギレかけてたのねー・・・」
蒼夜が納得すると、千坐が叫ぶ。
「蒼夜ぁ!!納得してないで、白輝を宥めろぉ~~~~!!!」
「はいはい・・・ほらほら白輝、あんまり暴れるとあんたの天敵を呼ぶわよ~」
カチン、と白輝が固まった。
怖いもの無しの二大サドであるはずの白輝が固まる程の衝撃を受ける天敵とはいったい誰なのかと、蒼夜と当人を除くその場の全員が首を傾げた。
「・・・え~?天敵なんて、白輝にいたの?」
のほほん、とした口調で訊ねたのは、いつの間にか、執務室の窓の外にいたカカシだった。
「・・・あんたも知ってるでしょうが、カカシ」
「・・・え~、そんな人、いたかなぁ・・・」
「いるわよ」
「あぁ!・・・もしかして、綱手様?」
カカシがポン、と手を打てば、蒼夜がニヤリと笑った。
「・・・そういうこと。綱手様は白輝の医療忍術の師匠だからねぇ」
「え、ってことは・・・」
千坐が目を丸くする。
「そ。木ノ葉に帰ってきてるらしいわよ。出入り口の見張り番をしてる忍が話をしていたし」
「じゃあ、まずは、綱手様に時美を見てもらったら~?」
カカシが言うと、白輝がハッと我に返った。
「わ、私、綱手様には会えないィ!!!絶対、会えないィ!!!」
今度は違う意味で暴走を始めた白輝を宥めにかかり、千坐は深く溜息をついた。
「伝説の三忍って、良くも悪くも強い影響を人に与えるよなぁ・・・」
「「・・・確かに」」
思わず同意してしまった蒼夜とカカシは互いに視線を合わせ、困ったように笑ったのだった。
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任務を終えた9人が木ノ葉の里に戻り、執務室にて蒼夜から報告を受けたミナトの言葉は少なかった。
結局、犠牲を出してしまったからだ。
「・・・時美の様子は?」
「・・・まだ、目を覚ます様子はありません。・・・自宅療養も考えたんですが、万一のことも考えて木ノ葉病院へ入院させました」
答える蒼夜に、ミナトは視線を落とした。
「・・・そう。イタチは?」
「玖々流さんの治療ですぐに回復しましたから大丈夫です。後遺症もありません。・・・ただ、心の方は・・・」
「・・・カウンセリングを頼むよ、蒼夜」
「・・・一番の特効薬は、時美の笑顔なんでしょうけどね」
苦笑をうかべてそう言った蒼夜に、ミナトも同じように苦笑をうかべて頷いた。
「・・・早く、目覚めてくれると良いね」
「・・・ええ」
それを扉の外で聞いていた白輝は、表情を曇らせたまま執務室に背を向けた。
「白輝」
「・・・千坐」
「大丈夫か?」
「・・・・・・何がよ」
「・・・いや、何がって・・・お前、時美への責任を感じてるんだろう?また、実行部隊辞めるとか、言わないよな?」
「・・・さすがにそこまで自虐的にはならないわよ。ただ、時美が目を覚まさないでいるのは・・・封印のせいだけじゃない気がして」
白輝の言葉に、千坐は首を傾げた。
「封印のせいだけじゃないって、どういうことだ?」
「・・・うん・・・なんとなくなんだけどね」
言葉を濁す白輝に、千坐は何も言えずに口を閉ざす。
「・・・・・・ねぇ、千坐」
「・・・なんだ?」
「・・・・・・大蛇丸って・・・地下牢にいるのよね」
「おい、白輝!?」
焦る千坐に、白輝は肩を竦めた。
「安心してよ。別に、大蛇丸をぶっ殺そうなんて思ってないから」
「じゃあ、どうして・・・」
「写輪眼のことは大蛇丸が一番良く知ってるわ。・・・ずっと昔から研究してるからね」
その言葉に、千坐は目を丸くした。
「・・・白輝・・・」
「時美にあの術を叩きこんだ時から、いつかこんなことが起こるんじゃないかって思ってた。あの子の力は特殊すぎる。・・・あの子に対しての責任は私にある」
白輝はそう言って、地下牢へと向かい出す。
「ま、待てって、白輝!・・・なら、俺も」
「千坐、お願い。私1人で行かせて」
「・・・・・・だが・・・いや・・・わかった」
渋々頷いた千坐に笑みをうかべ、白輝は背を向けた。
「・・・・・・・・・ありがと、千坐」
やるせない思いに駆られた千坐は、白輝の姿が見えなくなるのと同時に白くなるほど握り締めた拳で、壁を殴った。
「・・・・・・・・・っ、くそッ!!!」
***
地下牢の前までやって来た白輝は、捉えられて何重にもかけられた結界の中に閉じ込められている相手を見て心がざわつくのを感じる。
「・・・久しぶりね、大蛇丸」
「・・・・・・白輝・・・大きくなったわねェ・・・」
目を細める大蛇丸に、白輝の眉間のしわが深くなる。
「・・・聞きたいことがある」
「・・・・・・あら、私に聞きたいことだなんて・・・何かしら?」
「写輪眼について聞きたい」
まだ己の中にある激情を抑えるのに全神経を注いでいるため、言葉がぶっきらぼうなまでに短くなる。
「・・・サスケ君のためかしら?それとも、イタチ君のため?」
「・・・・・・いいから、答えろ」
「あら、余裕ないわねェ。・・・ふふ、まぁいいわ。どうせ私は囚われの身。抵抗したって意味のないこと」
クツクツと笑う大蛇丸に白輝の機嫌は急降下していく。殺気すら放ち始めた彼女を見て、さすがの大蛇丸も喉の奥で低く笑いからかうような口調を改めた。
「写輪眼についてといわれても、色々とあるから答えようがないわ。・・・白輝、貴女が知りたいのは写輪眼のどんなことなの?」
「・・・写輪眼の突然変異なんてものが、本当に存在するのか」
「突然変異?」
大蛇丸の表情が変わった。それは研究者の顔だった。
「薄紅色の写輪眼。チャクラを吸い取ったり、白眼以上の洞察力を持つ・・・」
「それは・・・突然変異などではないわ・・・。」
白輝の言葉をさえぎって、大蛇丸が呟くように言った。
「・・・幻の写輪眼・・・それは六道仙人の子ども達が千手とうちはに別れ、しばらくした後に現れたというわ」
「幻の写輪眼?・・・それって・・・」
「・・・言葉の通りの意味よ。・・・希少な写輪眼であることに変わりはないわ。万華鏡写輪眼のように副作用があるわけではないけれど目を酷使することは確か。視力が落ちていくのはしょうがないこととして、1つだけ伝承として残っているものがあるの」
「・・・・・・それは?」
白輝の表情が困惑したものへと変わったことに気付いた大蛇丸は、フー、と軽く息をついた。
「幻の写輪眼は、一定以上のチャクラを吸収すると性質変化を起こす」
「性質変化?」
「そう・・・それが、どのようなものなのかは私も知らないわ・・・でも、おそらくうちは当主なら・・・知っているかもね」
クツリと笑った大蛇丸に白輝は眉根を寄せた。時美の写輪眼のヒミツをうちは当主であるイタチ達の父、フガクは知らない。
かといって、ただ教えろといっても部外者の白輝に教えるとは思えない。
「・・・そう。おまえなら知ってると思ったのに」
フイ、と大蛇丸から視線を外した白輝は、そのまま背を向け地下牢を出て行こうとする。
「・・・ねぇ、白輝」
大蛇丸のからかうような声。それに白輝の肩がピクリと跳ねた。
「その呪印、役に立っているかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・ここで、試してやろうか?」
「ふふふ・・・それも、一興」
ますます機嫌を降下させた白輝だったが、大蛇丸の挑発に乗ることはなかった。
「・・・生憎、おまえの挑発に乗ってやるほど、私はもう青くない」
「それは・・・残念。ふふ」
至極楽しそうに笑う大蛇丸の声を必死に無視して、白輝は階段を駆けあがる。
「・・・・・・うちはの当主。うちはフガク、か」
階段をあがりきったところで、白輝はポツリ、と呟いた。
「白輝・・・」
「あれ?千坐、待ってたの?」
キョトン、として首を傾げた白輝に、千坐は脱力した。
「・・・ちょ、ちょっと、大丈夫?」
「・・・意外と平気そうで、力が抜けた・・・」
ずるずると壁に背を預けながらその場にへたり込んだ千坐を見て、白輝は苦笑をうかべた。
「・・・もう、何年経ってると思ってんのよ」
「バカ言え、本当は平気でも何でもないくせに。・・・やせ我慢ばっかしてると、いつか感情が爆発するぞ」
「・・・・・・・・・よくわかってらっしゃる」
白輝は視線を落として口の端をあげた。
「・・・白輝」
「そんな千坐君にお願いでーす」
顔をあげた白輝は、にっこりと笑ってみせる。
「・・・・・・なんだよ」
「一緒に、うちはの集落に行ってくれる?」
「・・・・・・・・・どういうことだ?」
首を傾げた千坐に、白輝は事の説明を始めたのだった。
***
一方、報告を終えた蒼夜は、時美の様子を見に来ていた。
「・・・目は覚まさない、か」
「・・・ええ」
気落ちした様子のイタチに、蒼夜は苦笑をうかべた。
「あんたのせいじゃないって言っても・・・まぁ、そんなに簡単に切り替えられるようなら苦労しないわよね」
そう言う蒼夜に、イタチはコクリと頷く。
「・・・そう、ですね。・・・ただ、藍が言っていたんですが・・・」
「藍?・・・なんて言っていたの?」
「封印はちゃんとされているから、時美が目を覚まさないのは別の理由じゃないかって」
「・・・なるほどね。確かに目を覚まさないのはおかしいわね。藍の封印の術は人を傷つけたりしないもの」
蒼夜が言えば、イタチは表情を曇らせる。
「・・・1つだけ、心当たりがあります」
「・・・・・・どういうこと?」
「・・・当主にのみ伝わる口伝があります。それを父から聞いたことがあって・・・正式に継いだわけではないので一部だけしかわからないんですが、時美の写輪眼によく似ているんです・・・」
「うちは、か。・・・なかなか難しいわね。おたくの一族は」
はぁ、と大きな溜息をついた蒼夜に、イタチは恐縮してしまう。
「申し訳ありません」
「イイのよ。大昔から軋轢(あつれき)はあるんだから。それよりも時美の症状を当主に話すの?」
「・・・危険、だと思います・・・。父は、うちは一族の当主です。私情をはさむことはしません」
「でしょうねぇ・・・じゃあ、まずは四代目に聞いてみましょうか」
「そう、ですね」
頷いたイタチは未だ目を覚まさない時美の手を握り締めて、祈るように目を閉じた。
***
「失礼します」
火影の執務室に入った蒼夜とイタチは、先客がいたことに驚く。
「白輝!?」
「・・・どうしたんですか?・・・すごく・・・殺気立ってますが・・・」
「別に。ちょっと、機嫌が悪いだけ。気にしないで」
気にするなといわれても困る。ビシビシと肌に感じる殺気が痛い。
「蒼夜とイタチは、どんな要件かな」
「・・・実は、うちはフガク様に取り次いで戴きたくて」
「・・・おや、蒼夜達もかい?」
首を傾げるミナトに、蒼夜はハッとして白輝に視線を向けた。
「“も”・・・ってことは・・・」
「・・・大蛇丸から情報を引き出したのよ。当主くらいしか知らないだろうって。・・・イタチも聞いたことはあったのね。・・・ちッ、我慢して損した」
蒼夜とイタチは白輝の機嫌の悪さの理由を知って、背中に冷や汗をかいた。
「蒼夜とイタチを責めるもんでもないだろ。ったく・・・もうちょっと、殺気を抑えろ」
ポフ。と千坐が白輝の頭に手を置けば、白輝はギロリときつい視線を千坐に向け、次いで視線を下に落とした。
「・・・千坐の分際で」
「・・・おい・・・」
「ま、まぁ、白輝が機嫌悪いのはよくわかったけど・・・四代目、取り次いで頂けますか?」
蒼夜が場の空気を変えようとミナトに視線を向ければ、ミナトは苦笑をうかべた。
「・・・ん、そうしてあげたいのは山々なんだけど、上層部がちょっと・・・」
「あ゛~~~~ッッ!!!クソ忌々しい!!今からすぐにでも、奴等をツブす!!!!」
「ちょ、待て待て待て待て!!!!白輝!!」
クナイを取り出して、殺気を膨らませた白輝をガッチリとホールドして、千坐が叫んだ。
「・・・ナルホド、大蛇丸と上層部のダブルパンチで、ブチギレかけてたのねー・・・」
蒼夜が納得すると、千坐が叫ぶ。
「蒼夜ぁ!!納得してないで、白輝を宥めろぉ~~~~!!!」
「はいはい・・・ほらほら白輝、あんまり暴れるとあんたの天敵を呼ぶわよ~」
カチン、と白輝が固まった。
怖いもの無しの二大サドであるはずの白輝が固まる程の衝撃を受ける天敵とはいったい誰なのかと、蒼夜と当人を除くその場の全員が首を傾げた。
「・・・え~?天敵なんて、白輝にいたの?」
のほほん、とした口調で訊ねたのは、いつの間にか、執務室の窓の外にいたカカシだった。
「・・・あんたも知ってるでしょうが、カカシ」
「・・・え~、そんな人、いたかなぁ・・・」
「いるわよ」
「あぁ!・・・もしかして、綱手様?」
カカシがポン、と手を打てば、蒼夜がニヤリと笑った。
「・・・そういうこと。綱手様は白輝の医療忍術の師匠だからねぇ」
「え、ってことは・・・」
千坐が目を丸くする。
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「じゃあ、まずは、綱手様に時美を見てもらったら~?」
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「わ、私、綱手様には会えないィ!!!絶対、会えないィ!!!」
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