Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意:
※スレたナルトとサスケですよ??
※最年少暗部シリーズはご覧になりましたか?(前提条件ですよ!)
※CPはサスナルです
※オリジナルキャラが出てきます
※ある意味、いろんな人がスレてます
※暗部設定の捏造は当たり前です。
※二次創作であることをお忘れなく。
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
あいつとの出会いは、アカデミーに入学するより前。暗部の詰め所でだった。
いや、実は違う。どこの建物だかは忘れたが、その貯水タンクの上に座り、月の光に照らされた金色の髪がキラキラと綺麗で。
その顔が見たくて、回り込もうとした瞬間、まるで幻のように消えてしまった。それが始まり。
秋も深まり、木ノ葉の里が紅葉で赤く染まる季節、確かに俺はあいつに恋をしたのだ。
うちは家
「サスケ・・・サスケ!」
「うわ!?」
ボーっと空を眺めていたサスケは、兄、イタチに肩を揺すられて、ギョッとして飛び退く。
「・・・大丈夫か?具合でも・・・。」
「あ、だ、だいじょうぶ、だよ。兄さん。」
ニコ、と笑みをうかべてイタチに答えるサスケだが、兄の気配に気づかなかったことに、内心、舌打ちしていた。
サスケは生まれながらの天才だった。5歳の時には父の書斎に潜り込み、忍術書を読み漁っていた。難しい字は読めなかったが、前後の文脈から当たりを付けるくらいはできた。
どうして自分がこんな才能を持っているのか、サスケはよくわかってはいなかった。ただ、自分は、“うちはの血”に愛されているのだということは知っていた。
だからではないが、サスケは家族に実力を隠していた。自分が物心ついた時には、既に優秀な兄が家を継ぐことが決まっていて、次男であるサスケが出る幕など無い。そう思ったからだった。
兄のことは嫌いではない。むしろ、気難しい父より、良く自分の相手をしてくれる兄の方が好きだった。それに、父よりも兄の方が強いと、サスケにはわかっていた。それが“視えて”いたのだ。
「ボーっとしてたけど、何か、考え事か?」
クス、と笑って尋ねて来るイタチに、サスケはつい、ポロっと昨夜のことを話してしまった。
「昨日、修行の帰りに見たんだ。・・・金色の髪の子。月の光でキラキラしてて、すごい綺麗だった。」
うっとりと言うサスケの様子に、イタチは目を丸くする。それに“金色の髪の子”というのには心当たりがあった。
「サスケ、その子の顔、見たのか?」
イタチの声のトーンがわずかに低くなった。そのことに気付いたサスケは、イタチをマジマジと見つめた。
「兄さん・・・その子のことを知っているのか?」
ざわり。
7歳児の放つ気配ではなかった。細めたサスケの瞳がスゥ、と赤くなるのを見たイタチは、ギョッとしてサスケから離れた。
「・・・サスケ!?」
口の中がカラカラに乾いていた。母は買い物。父は任務でいない。今は、自分とサスケだけ。だからなのか、サスケの気配がだんだんと鋭くなっていく。
「教えてよ、兄さん。・・・知ってるんだろ?」
サスケの瞳にうかぶ、三つ巴の文様。それは、うちは一族の“血継限界”である“写輪眼”が開眼した証。それ自体は何の問題もない。
だが、サスケは現在7歳。いつ頃から開眼していたのかはわからないが、昨日、今日ではないことくらいは、イタチにもわかった。
「・・・あ、暗部で預かっている子だ・・・。」
隠されていた弟の才能に圧倒され、イタチは答える。
イタチが暗部に入隊したのは一昨年のこと。両親と共にそのことを祝ったのは記憶に新しい。
「ふぅん・・・ねぇ、会わせてよ。」
そう言い出すことは予測していたのか、イタチは、今度は驚かず、溜息をついた。
「駄目だ。暗部の中でも古参の者達と、三代目に認められたものにしか“彼”は会わない。」
「へぇ、男なんだ。顔見えなかったし、遠目だったから、男か女かわからなかったんだよな。」
すっかり仮面を被ることをやめてしまったサスケに、イタチはすっかり騙された、と肩を落とす。
「とにかく・・・一体、これがどういうことなのか、説明してくれないか?」
「良いよ。・・・そうしたら、俺を暗部に推薦してくれる?」
「・・・俺の出すテストに、合格したら・・・な。」
イタチの言葉に、サスケはニヤリ、と何かを企むような笑みをうかべた。
暗部詰め所・『陰』
ガタン、と音が鳴り、詰め所にいた暗部達が一斉に入口に視線をやる。
「えっ、イタチ!?」
叫んだのは、イタチとは比較的仲の良い、暗部名“盟破(めいは)”こと不知火ゲンマだった。
冷静で飄々とした雰囲気のゲンマが叫ぶなど何事だ、と詰め所にいた暗部達が集まってくる。
「・・・ど、どうしたんです?イタチ。ボロボロじゃないですか。今日は確か、非番でしたよね?」
恐る恐る尋ねたのは、こちらも同じくイタチとは仲の良い、暗部名“水波(みなみ)”こと月光ハヤテだ。
「ゲンマ・・・ハヤテ・・・カカシさんか、千坐さんは・・・?」
ハヤテの問いには答えず、イタチは詰め所内を見回す。
「2人なら、“表”の暗部詰め所に行ってるよ。」
イタチを囲む輪が崩れ、その割れ目からひょっこりと顔を出したのは、銀髪に赤い瞳、その美しい顔を惜しげもなくさらした青年。
「そ、蒼藍。」
イタチは思わず息を呑んだ。部屋の外にはサスケがいる。サスケの目的は“彼”なのだ。
「どうしたの?・・・すっごい、痣だらけ・・・。」
困ったように自分を見つめて来る“蒼藍”の正体は、暗部の中でも一部の者しか知らない秘密。
“蒼藍”ことうずまきナルト。四代目火影の忘れ形見であり、九尾のチャクラをその身に封じた人柱力であり、己の弟と同じ7つの子ども。そんなことが里中に知れれば、どんなことが起こるのか、想像に難くない。
「これは、その。」
「言っちまえよ、一応、俺ら“兼任者”のリーダーだぜ?蒼藍は。」
実力主義の暗部の中では、力がある者がリーダーとなる。それは当たり前のことだった。
言い淀むイタチの背を押すようにゲンマがそう言い、蒼藍も聞く姿勢になっているので、イタチは観念して事情を説明した。
「・・・つまり、そのお前を負かした奴を暗部に推薦したい、ということか?」
この中で最も冷静な男、暗部名“裂(れつ)”こと山城アオバが確認するかのように尋ねれば、イタチはこっくりと頷いた。
「実力も問題ない。身元も保証する。だから・・・だから、アイツを暗部に入れて欲しい。」
「・・・あのさ、イタチ君、入れるか入れないかは、じいさま次第だよ?」
「わかっている。・・・だから、蒼藍からも・・・推薦してくれないか?」
イタチの懇願ぶりに、ナルトはコトリと首を傾げ、イタチの背後にある扉に視線をやった。
「・・・気配の消し方はマズマズ。カカシ君レベル以上じゃないと見抜けないね。チャクラは・・・ん?イタチ君と質が似てる?」
詰め所の外に問題の人物がいることを見抜いたナルトに、周りの暗部達が気づかなかった、と慌てる。
そして、一番扉に近かった、暗部名“瑠貴(るき)”こと並足ライドウが、扉を開け放つ。そこにいたのはまだ、アカデミーにすら通っていない子ども。
「・・・え?あ、イタチの・・・弟?」
ライドウが呟き、他の暗部達が唖然とする中、ナルトは、ふぅん、と愉快そうに眼を細めた。
「俺以外にもいるもんなんだな。“こういう”ヤツ。」
「・・・俺“以外”って言ったな?つまりお前も俺と同じ・・・。」
「ああ。そうだよ。・・・うちはサスケ君?」
ニコリと笑ったナルトは、暗部達が止める間もなく変化を解いた。ポン、という特有の音が聞こえ、煙が晴れると、その中から現れたのは、サスケが最も会いたかった人物だった。
「金色・・・。」
「ん?」
「昨日、どっかの貯水タンクの上にいたろ?」
ニヤリ、と笑ったその得体のしれない笑みに、ナルトはへぇ、と思う。ただの7歳児の出せる気配ではない。恐らく、相当前から実力を偽っていたのだろうことに気付く。
「・・・ああ、あの時感じた視線は、お前だったんだ。」
笑みを崩さないナルトに、サスケは相当の実力者だと悟った。
「お前に会いたかったんだ。・・・だから、兄さんに頼んで、暗部に入れて貰おうって思って。」
「・・・で、こんなボロボロに?」
「だって、テストで、俺に勝てたらって言うから・・・。」
その辺りは7歳児である。恐らくは、ナルトに会いたい一心で、容赦無しにイタチを叩きのめしたのだろう。そのことに気付いた暗部達は、思わずイタチに同情した。
「イタチ君より強いってすごいな。・・・もしかして、写輪眼使える?」
「ああ、使えるよ。」
そう言ったサスケはあっさりとその両目に写輪眼を開眼させた。
「うわ、完璧。・・・すっげー!」
擬音で表すなら、ぱあああ!だろうか。ナルトの表情が一際輝く。
「っ///・・・ま、まだ、完璧とは言えない・・・実戦で使ったわけじゃないし・・・兄さんも多分・・・手加減してたし・・・。」
「それが自分でわかってるなら大丈夫!お前、もっと強くなるよ!!・・・すごく、強くなる。絶対。」
どうやらサスケをいたくお気に召したらしい。そう言い切ったナルトに、サスケはフッと笑みをうかべた。穏やか笑みにつられるように、ナルトも笑みをうかべる。
「じいさまに推薦する。お前は、実戦で伸びるタイプだよ、俺と同じでね。アカデミーなんかでカチコチに縛られる必要なんてないよ。まぁ、通うに越したことは無いけど。」
「お前は?」
「ん?俺?通ってるよ。もう2年経つかな。」
「2年か。・・・じゃあ、2こ上?」
そう尋ねたサスケに、ナルトはケラケラと笑った。
「俺、両親いないの。だから、5歳からもうアカデミーに入ってんの。」
「・・・あ、そういうことか・・・年少クラス。」
「そ。だから、お前と同じ年。・・・あ、自己紹介まだだったよな?」
笑いの余韻を残し、ナルトはサスケに手を差し出した。
「俺は、うずまきナルト。・・・暗部名は“蒼藍”二つ名は“銀の月”だ。」
その二つ名を聞いた途端、サスケの表情がひび割れた。
わかる、わかるぞ、その気持ち。とは、周りの暗部達の心の声である。誰もが最初はその二つ名に驚くのだ。
最早、生ける伝説とまで言われる忍が、たったの7つの子どもだなんて、実際にその力を目にしなければ、俄かには信じられないだろう。
「~~~っ。成程な・・・だから“古参の暗部と三代目に認められたものにしか会わない”んだな?」
「そういうこと。お前、本当に面白い!最初は皆、信じないのに。」
超ご機嫌のナルトが突然、サスケの服の裾を引っ張った。
「?」
首を傾げたサスケに、ナルトはニッコリと満面の笑みを向けた。
「っ///」
顔を真っ赤にしたサスケに、ナルトは告げる。
「これから、じいさまのとこに行く。お前、大人に変化できる?できれば、今の姿とは違う雰囲気で。」
「・・・あ、ああ。」
サスケは言われるままに、変化の術を発動させる。特有の音がした後、煙が晴れたその場所には、緋色の髪に水面を映したような青の瞳の18歳程の青年。
「おぉ~、すげ~。キレ~w」
パチパチと手を叩き、はしゃぐナルトも“蒼藍”の姿に変化する。
「・・・まぁ、じいさまのとこに一般の忍がいたら、面倒だからね。」
それで変化させたのか、とサスケが納得すると、ナルトはサスケの腕を掴み、片手で短く印を結んだ。
サスケがその印が何かを把握する前に、術が発動する。
「飛雷神の術!」
四代目火影の考案した時空間忍術。嵐が通り過ぎたかのように話が進んでしまってついていけなかった面々はハッと気が付き、忘れ去られてしまっていたイタチを助け起こし、急いで医療忍術を使える仲間を呼びに行ったのだった。
火影の執務室
三代目は突如現れた蒼藍に、特に驚きもせず視線をやり、その隣に見知らぬ忍がいることに眉を寄せた。
「・・・蒼藍、その者は?」
「その前に、三代目、結界を。」
「ああ。そうじゃのう。」
三代目は頷き、短い印を結び、結界を張る。
「・・・して、何用じゃ?」
「こいつを暗部に推薦しに来たんだ。・・・すっごい強いよ。イタチ君が手加減したかもだけど、ボロボロにされたし。」
「なんと!イタチがか。・・・何者じゃ?・・・その姿は変化か?」
目を細めた三代目にサスケは頷き、ちらりとナルトに視線を向ける。
「結界張ったから、変化解いても大丈夫。」
視線の意味に気付いたナルトは、あっさりと変化を解き、サスケも変化を解くように促す。そして、サスケが変化を解くと、三代目は目を丸くした。
「なんと、うちはの・・・イタチの弟か。」
「サスケはさ、写輪眼も開眼してるんだ。」
ニコニコとご機嫌のナルトに、三代目は目を瞠る。こんなに機嫌の良いナルトなど久々に見る。余程、サスケが気に入ったのだろうと思う。
「フガクとミコトは知っておるのか?」
三代目の確認に、サスケはフルフルと首を横に振った。
「父さんも母さんも・・・何も知らない。兄さんにもついさっき知られたばかり。」
「そうか。・・・それが賢明じゃの。」
うちは一族に謀反の疑いあり、とはイタチから知らされた情報である。そんな中で、このような才能が花開いたと知れれば、途端に戦の道具にされてしまっていただろう。
「で、じいさま、サスケを暗部に入れて良い?」
「ん?・・・ああ、お前から見ても実力は申し分ないのじゃろ?」
「うん。気配の消し方も上手だし、それに、チャクラ量も十分。質も良い。」
「そうか、お前がそこまで言うならば“兼任者”に任じよう。」
「“兼任者”?・・・あそこにいた連中もそんなこと言っていたが、それって、何なんだ?」
首を傾げたサスケに、ナルトが説明を買って出た。
「“兼任者”っていうのは、普通の暗部とちょっと違ってて、公には知られていない暗部。じいさまが本当に信頼した忍にしか任命しないんだ。だから、表の姿と裏の姿があって、裏の姿は同じ“兼任者”か、じいさまが信頼している“専任者”しか知らない。」
「ああ、そういうことか。」
「で、その“兼任者”専用の詰め所がさっきの『陰』って所。」
「そんな所に案内したってことは、兄さんは俺が“兼任者”になるとわかってたのかな・・・。」
「そうじゃない?だって、7歳だよ?アカデミー通う年齢じゃん。表立って暗部になるのは不可能だよ。」
「・・・だよな。もうすぐ入学なんだ。」
「へぇ、そっか。じゃあ、アカデミーでも一緒だな。」
ニカッ、と笑うナルトに、サスケも自然と笑みをうかべる。
「じゃあ、じいさま、サスケの暗部名決めないと。」
「・・・そうじゃのう。」
柔らかく笑んだ三代目はじっとサスケを見つめる。
「・・・ふむ。質はイタチに似ておるが、タイプはカカシのような先制タイプか?・・・ナルト、サスケのチャクラの属性は?」
「火と雷だね。俺と相性良い。俺は風だから。」
「火と雷か・・・ならば、うちはサスケ。」
「はい。」
まとう空気を変えた三代目に、サスケも背筋を伸ばした。
「本日付けで暗部兼任部隊に任じる。暗部での任務の際は“焔雷(えんらい)”と名乗るように。良いな?」
「了解しました。」
しっかりと頷いたサスケに、将来有望だと目を細め、今一番に悩まされている問題が脳裏をよぎり、三代目は深く息をついたのだった。
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※スレたナルトとサスケですよ??
※最年少暗部シリーズはご覧になりましたか?(前提条件ですよ!)
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※オリジナルキャラが出てきます
※ある意味、いろんな人がスレてます
※暗部設定の捏造は当たり前です。
※二次創作であることをお忘れなく。
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
あいつとの出会いは、アカデミーに入学するより前。暗部の詰め所でだった。
いや、実は違う。どこの建物だかは忘れたが、その貯水タンクの上に座り、月の光に照らされた金色の髪がキラキラと綺麗で。
その顔が見たくて、回り込もうとした瞬間、まるで幻のように消えてしまった。それが始まり。
秋も深まり、木ノ葉の里が紅葉で赤く染まる季節、確かに俺はあいつに恋をしたのだ。
うちは家
「サスケ・・・サスケ!」
「うわ!?」
ボーっと空を眺めていたサスケは、兄、イタチに肩を揺すられて、ギョッとして飛び退く。
「・・・大丈夫か?具合でも・・・。」
「あ、だ、だいじょうぶ、だよ。兄さん。」
ニコ、と笑みをうかべてイタチに答えるサスケだが、兄の気配に気づかなかったことに、内心、舌打ちしていた。
サスケは生まれながらの天才だった。5歳の時には父の書斎に潜り込み、忍術書を読み漁っていた。難しい字は読めなかったが、前後の文脈から当たりを付けるくらいはできた。
どうして自分がこんな才能を持っているのか、サスケはよくわかってはいなかった。ただ、自分は、“うちはの血”に愛されているのだということは知っていた。
だからではないが、サスケは家族に実力を隠していた。自分が物心ついた時には、既に優秀な兄が家を継ぐことが決まっていて、次男であるサスケが出る幕など無い。そう思ったからだった。
兄のことは嫌いではない。むしろ、気難しい父より、良く自分の相手をしてくれる兄の方が好きだった。それに、父よりも兄の方が強いと、サスケにはわかっていた。それが“視えて”いたのだ。
「ボーっとしてたけど、何か、考え事か?」
クス、と笑って尋ねて来るイタチに、サスケはつい、ポロっと昨夜のことを話してしまった。
「昨日、修行の帰りに見たんだ。・・・金色の髪の子。月の光でキラキラしてて、すごい綺麗だった。」
うっとりと言うサスケの様子に、イタチは目を丸くする。それに“金色の髪の子”というのには心当たりがあった。
「サスケ、その子の顔、見たのか?」
イタチの声のトーンがわずかに低くなった。そのことに気付いたサスケは、イタチをマジマジと見つめた。
「兄さん・・・その子のことを知っているのか?」
ざわり。
7歳児の放つ気配ではなかった。細めたサスケの瞳がスゥ、と赤くなるのを見たイタチは、ギョッとしてサスケから離れた。
「・・・サスケ!?」
口の中がカラカラに乾いていた。母は買い物。父は任務でいない。今は、自分とサスケだけ。だからなのか、サスケの気配がだんだんと鋭くなっていく。
「教えてよ、兄さん。・・・知ってるんだろ?」
サスケの瞳にうかぶ、三つ巴の文様。それは、うちは一族の“血継限界”である“写輪眼”が開眼した証。それ自体は何の問題もない。
だが、サスケは現在7歳。いつ頃から開眼していたのかはわからないが、昨日、今日ではないことくらいは、イタチにもわかった。
「・・・あ、暗部で預かっている子だ・・・。」
隠されていた弟の才能に圧倒され、イタチは答える。
イタチが暗部に入隊したのは一昨年のこと。両親と共にそのことを祝ったのは記憶に新しい。
「ふぅん・・・ねぇ、会わせてよ。」
そう言い出すことは予測していたのか、イタチは、今度は驚かず、溜息をついた。
「駄目だ。暗部の中でも古参の者達と、三代目に認められたものにしか“彼”は会わない。」
「へぇ、男なんだ。顔見えなかったし、遠目だったから、男か女かわからなかったんだよな。」
すっかり仮面を被ることをやめてしまったサスケに、イタチはすっかり騙された、と肩を落とす。
「とにかく・・・一体、これがどういうことなのか、説明してくれないか?」
「良いよ。・・・そうしたら、俺を暗部に推薦してくれる?」
「・・・俺の出すテストに、合格したら・・・な。」
イタチの言葉に、サスケはニヤリ、と何かを企むような笑みをうかべた。
暗部詰め所・『陰』
ガタン、と音が鳴り、詰め所にいた暗部達が一斉に入口に視線をやる。
「えっ、イタチ!?」
叫んだのは、イタチとは比較的仲の良い、暗部名“盟破(めいは)”こと不知火ゲンマだった。
冷静で飄々とした雰囲気のゲンマが叫ぶなど何事だ、と詰め所にいた暗部達が集まってくる。
「・・・ど、どうしたんです?イタチ。ボロボロじゃないですか。今日は確か、非番でしたよね?」
恐る恐る尋ねたのは、こちらも同じくイタチとは仲の良い、暗部名“水波(みなみ)”こと月光ハヤテだ。
「ゲンマ・・・ハヤテ・・・カカシさんか、千坐さんは・・・?」
ハヤテの問いには答えず、イタチは詰め所内を見回す。
「2人なら、“表”の暗部詰め所に行ってるよ。」
イタチを囲む輪が崩れ、その割れ目からひょっこりと顔を出したのは、銀髪に赤い瞳、その美しい顔を惜しげもなくさらした青年。
「そ、蒼藍。」
イタチは思わず息を呑んだ。部屋の外にはサスケがいる。サスケの目的は“彼”なのだ。
「どうしたの?・・・すっごい、痣だらけ・・・。」
困ったように自分を見つめて来る“蒼藍”の正体は、暗部の中でも一部の者しか知らない秘密。
“蒼藍”ことうずまきナルト。四代目火影の忘れ形見であり、九尾のチャクラをその身に封じた人柱力であり、己の弟と同じ7つの子ども。そんなことが里中に知れれば、どんなことが起こるのか、想像に難くない。
「これは、その。」
「言っちまえよ、一応、俺ら“兼任者”のリーダーだぜ?蒼藍は。」
実力主義の暗部の中では、力がある者がリーダーとなる。それは当たり前のことだった。
言い淀むイタチの背を押すようにゲンマがそう言い、蒼藍も聞く姿勢になっているので、イタチは観念して事情を説明した。
「・・・つまり、そのお前を負かした奴を暗部に推薦したい、ということか?」
この中で最も冷静な男、暗部名“裂(れつ)”こと山城アオバが確認するかのように尋ねれば、イタチはこっくりと頷いた。
「実力も問題ない。身元も保証する。だから・・・だから、アイツを暗部に入れて欲しい。」
「・・・あのさ、イタチ君、入れるか入れないかは、じいさま次第だよ?」
「わかっている。・・・だから、蒼藍からも・・・推薦してくれないか?」
イタチの懇願ぶりに、ナルトはコトリと首を傾げ、イタチの背後にある扉に視線をやった。
「・・・気配の消し方はマズマズ。カカシ君レベル以上じゃないと見抜けないね。チャクラは・・・ん?イタチ君と質が似てる?」
詰め所の外に問題の人物がいることを見抜いたナルトに、周りの暗部達が気づかなかった、と慌てる。
そして、一番扉に近かった、暗部名“瑠貴(るき)”こと並足ライドウが、扉を開け放つ。そこにいたのはまだ、アカデミーにすら通っていない子ども。
「・・・え?あ、イタチの・・・弟?」
ライドウが呟き、他の暗部達が唖然とする中、ナルトは、ふぅん、と愉快そうに眼を細めた。
「俺以外にもいるもんなんだな。“こういう”ヤツ。」
「・・・俺“以外”って言ったな?つまりお前も俺と同じ・・・。」
「ああ。そうだよ。・・・うちはサスケ君?」
ニコリと笑ったナルトは、暗部達が止める間もなく変化を解いた。ポン、という特有の音が聞こえ、煙が晴れると、その中から現れたのは、サスケが最も会いたかった人物だった。
「金色・・・。」
「ん?」
「昨日、どっかの貯水タンクの上にいたろ?」
ニヤリ、と笑ったその得体のしれない笑みに、ナルトはへぇ、と思う。ただの7歳児の出せる気配ではない。恐らく、相当前から実力を偽っていたのだろうことに気付く。
「・・・ああ、あの時感じた視線は、お前だったんだ。」
笑みを崩さないナルトに、サスケは相当の実力者だと悟った。
「お前に会いたかったんだ。・・・だから、兄さんに頼んで、暗部に入れて貰おうって思って。」
「・・・で、こんなボロボロに?」
「だって、テストで、俺に勝てたらって言うから・・・。」
その辺りは7歳児である。恐らくは、ナルトに会いたい一心で、容赦無しにイタチを叩きのめしたのだろう。そのことに気付いた暗部達は、思わずイタチに同情した。
「イタチ君より強いってすごいな。・・・もしかして、写輪眼使える?」
「ああ、使えるよ。」
そう言ったサスケはあっさりとその両目に写輪眼を開眼させた。
「うわ、完璧。・・・すっげー!」
擬音で表すなら、ぱあああ!だろうか。ナルトの表情が一際輝く。
「っ///・・・ま、まだ、完璧とは言えない・・・実戦で使ったわけじゃないし・・・兄さんも多分・・・手加減してたし・・・。」
「それが自分でわかってるなら大丈夫!お前、もっと強くなるよ!!・・・すごく、強くなる。絶対。」
どうやらサスケをいたくお気に召したらしい。そう言い切ったナルトに、サスケはフッと笑みをうかべた。穏やか笑みにつられるように、ナルトも笑みをうかべる。
「じいさまに推薦する。お前は、実戦で伸びるタイプだよ、俺と同じでね。アカデミーなんかでカチコチに縛られる必要なんてないよ。まぁ、通うに越したことは無いけど。」
「お前は?」
「ん?俺?通ってるよ。もう2年経つかな。」
「2年か。・・・じゃあ、2こ上?」
そう尋ねたサスケに、ナルトはケラケラと笑った。
「俺、両親いないの。だから、5歳からもうアカデミーに入ってんの。」
「・・・あ、そういうことか・・・年少クラス。」
「そ。だから、お前と同じ年。・・・あ、自己紹介まだだったよな?」
笑いの余韻を残し、ナルトはサスケに手を差し出した。
「俺は、うずまきナルト。・・・暗部名は“蒼藍”二つ名は“銀の月”だ。」
その二つ名を聞いた途端、サスケの表情がひび割れた。
わかる、わかるぞ、その気持ち。とは、周りの暗部達の心の声である。誰もが最初はその二つ名に驚くのだ。
最早、生ける伝説とまで言われる忍が、たったの7つの子どもだなんて、実際にその力を目にしなければ、俄かには信じられないだろう。
「~~~っ。成程な・・・だから“古参の暗部と三代目に認められたものにしか会わない”んだな?」
「そういうこと。お前、本当に面白い!最初は皆、信じないのに。」
超ご機嫌のナルトが突然、サスケの服の裾を引っ張った。
「?」
首を傾げたサスケに、ナルトはニッコリと満面の笑みを向けた。
「っ///」
顔を真っ赤にしたサスケに、ナルトは告げる。
「これから、じいさまのとこに行く。お前、大人に変化できる?できれば、今の姿とは違う雰囲気で。」
「・・・あ、ああ。」
サスケは言われるままに、変化の術を発動させる。特有の音がした後、煙が晴れたその場所には、緋色の髪に水面を映したような青の瞳の18歳程の青年。
「おぉ~、すげ~。キレ~w」
パチパチと手を叩き、はしゃぐナルトも“蒼藍”の姿に変化する。
「・・・まぁ、じいさまのとこに一般の忍がいたら、面倒だからね。」
それで変化させたのか、とサスケが納得すると、ナルトはサスケの腕を掴み、片手で短く印を結んだ。
サスケがその印が何かを把握する前に、術が発動する。
「飛雷神の術!」
四代目火影の考案した時空間忍術。嵐が通り過ぎたかのように話が進んでしまってついていけなかった面々はハッと気が付き、忘れ去られてしまっていたイタチを助け起こし、急いで医療忍術を使える仲間を呼びに行ったのだった。
火影の執務室
三代目は突如現れた蒼藍に、特に驚きもせず視線をやり、その隣に見知らぬ忍がいることに眉を寄せた。
「・・・蒼藍、その者は?」
「その前に、三代目、結界を。」
「ああ。そうじゃのう。」
三代目は頷き、短い印を結び、結界を張る。
「・・・して、何用じゃ?」
「こいつを暗部に推薦しに来たんだ。・・・すっごい強いよ。イタチ君が手加減したかもだけど、ボロボロにされたし。」
「なんと!イタチがか。・・・何者じゃ?・・・その姿は変化か?」
目を細めた三代目にサスケは頷き、ちらりとナルトに視線を向ける。
「結界張ったから、変化解いても大丈夫。」
視線の意味に気付いたナルトは、あっさりと変化を解き、サスケも変化を解くように促す。そして、サスケが変化を解くと、三代目は目を丸くした。
「なんと、うちはの・・・イタチの弟か。」
「サスケはさ、写輪眼も開眼してるんだ。」
ニコニコとご機嫌のナルトに、三代目は目を瞠る。こんなに機嫌の良いナルトなど久々に見る。余程、サスケが気に入ったのだろうと思う。
「フガクとミコトは知っておるのか?」
三代目の確認に、サスケはフルフルと首を横に振った。
「父さんも母さんも・・・何も知らない。兄さんにもついさっき知られたばかり。」
「そうか。・・・それが賢明じゃの。」
うちは一族に謀反の疑いあり、とはイタチから知らされた情報である。そんな中で、このような才能が花開いたと知れれば、途端に戦の道具にされてしまっていただろう。
「で、じいさま、サスケを暗部に入れて良い?」
「ん?・・・ああ、お前から見ても実力は申し分ないのじゃろ?」
「うん。気配の消し方も上手だし、それに、チャクラ量も十分。質も良い。」
「そうか、お前がそこまで言うならば“兼任者”に任じよう。」
「“兼任者”?・・・あそこにいた連中もそんなこと言っていたが、それって、何なんだ?」
首を傾げたサスケに、ナルトが説明を買って出た。
「“兼任者”っていうのは、普通の暗部とちょっと違ってて、公には知られていない暗部。じいさまが本当に信頼した忍にしか任命しないんだ。だから、表の姿と裏の姿があって、裏の姿は同じ“兼任者”か、じいさまが信頼している“専任者”しか知らない。」
「ああ、そういうことか。」
「で、その“兼任者”専用の詰め所がさっきの『陰』って所。」
「そんな所に案内したってことは、兄さんは俺が“兼任者”になるとわかってたのかな・・・。」
「そうじゃない?だって、7歳だよ?アカデミー通う年齢じゃん。表立って暗部になるのは不可能だよ。」
「・・・だよな。もうすぐ入学なんだ。」
「へぇ、そっか。じゃあ、アカデミーでも一緒だな。」
ニカッ、と笑うナルトに、サスケも自然と笑みをうかべる。
「じゃあ、じいさま、サスケの暗部名決めないと。」
「・・・そうじゃのう。」
柔らかく笑んだ三代目はじっとサスケを見つめる。
「・・・ふむ。質はイタチに似ておるが、タイプはカカシのような先制タイプか?・・・ナルト、サスケのチャクラの属性は?」
「火と雷だね。俺と相性良い。俺は風だから。」
「火と雷か・・・ならば、うちはサスケ。」
「はい。」
まとう空気を変えた三代目に、サスケも背筋を伸ばした。
「本日付けで暗部兼任部隊に任じる。暗部での任務の際は“焔雷(えんらい)”と名乗るように。良いな?」
「了解しました。」
しっかりと頷いたサスケに、将来有望だと目を細め、今一番に悩まされている問題が脳裏をよぎり、三代目は深く息をついたのだった。
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