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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・






ー 出会いはアカデミーの教室

ー 最初の印象は、どーでもいいって感じだった。めんどくせー奴とは関わり合いたくない。

ー いつからだったか。アイツを目で追うようになったのは…。






ー いつからか、視線を感じるようになった。

ー 他の連中からの嫌な視線じゃなくて・・・どこか、観察するような視線。

ー 嫌な感じはしないけれど、落ち着かない。その視線の持ち主が誰か、暗部で鍛えた俺がわからないワケがない。

ー 奈良シカマル。俺の父親の親友、奈良シカクの息子。一瞬、両親から俺のことが漏れたのかとも思ったが、どうやら違うらしい。

ー 変な気分だ。監視される事はあるが、こんなふうにじろじろと見られたことはない。

ー 何、考えてる?シカマル・・・。



「視線ねぇ・・・。」

 ナルトは、シカマルの視線の話を誰かに聞いて欲しくて、暗部の詰め所で暇そうにしていたカカシを捕まえる。

「何考えてるのかな・・・シカマル。」

 カカシはそんなナルトの呟きに、溜息をつく。

「あのさ・・・俺がシカマル君の考えてること、わかるわけ無いでしょ?」

「・・・わかってるけど・・・いいじゃんか!相談にのってくれたって!」

 ムスッとしたナルトに苦笑を浮かべ、カカシはナルトの頭を撫でる。

「のるよ?のるけどさ~・・・ナルトはどうしたいの?」

「生温いこの感覚って、慣れてないから・・・自分がどうしたいのかがわかんないんだよ。」

「ん~・・・嫌じゃないんだ?」

「嫌ではないけど、変な気分なんだよね。」

「シカマル君に聞いてみるとかは?」

「ドベの俺が、いくらじろじろ見られてるからって、その相手まで特定できるっておかしくない?」

「あー、そっかぁ。そうだよねぇ・・・じゃ、ほっとくしかないんじゃない?」

「えー、やっぱり?・・・もう少し優秀な設定にすれば良かったかなぁ。」

 ナルトは肩を落とし、深い溜息をついた。



→ アカデミー


「おーっす!」

「おはよーナルト。今日は早いね。」

 元気一杯に教室に入ってきたナルトに、チョウジがむしゃむしゃとお菓子をほおばりながら挨拶をする。

「俺ってば、毎日誰かに見られてる気がするから、キソクタダシーセイカツをするコトにしたんだってばよ!」

 ニシシ、と笑いながら席につけば、頭上から深い溜息が落ちてくる。

「規則正しい生活くらいちゃんと言えよ。・・・ったく、めんどくせー。」

「ふんっ!俺はチョウジに答えたんだってば!シカマルに言った訳じゃねーってばよ!」

「あはは!ったく、しょーがねぇなあ、お前ら。なぁ?赤丸?」

「わんっ」

 ナルト達3人に歩み寄り、会話の中に自然に入り込んできたキバに、ナルトはムキーッと怒ってみせる。

「キバにとやかく言われたく無いってばよ!!」

「・・・なーナルト。」

 グイッと首根っこを掴まれて、キバに突っ込もうとしていたナルトは、首が絞まるかたちになる。

「ぐえっ!?・・・ちょっ、いきなり何するってば、シカマル!!」

「あ、わりぃ・・・っつーかよ、お前、ほんっとに賑やかだよな。」

「どうしたの、シカマル・・・唐突に改まったりして。」

 お菓子を食べる手を止め、チョウジがシカマルを見つめる。

「あー、いや、何つーか・・・金髪に蒼い目で見た目も派手だし、口開けばこんなだし。」

 シカマルは上から下へと、舐めるようにナルトを見て、溜息をつく。

「忍者に向いてないんじゃねー・・・?」

「!?」

 シカマルの言葉に、ナルトがコチンと固まる。すると、チョウジが珍しくシカマルに反論する。

「シカマル。ナルトだって頑張ってるんだよ?そんなふうに言わなくたって良いじゃない;」

「珍しいなー。シカマルが批判的なことを言うなんて。」

 キバまで目を丸くしたのを見て、シカマルは内心舌打ちをする。

「(やべぇ・・・つい、言っちまった。でも、こんなんで忍者になっても。)」

 チラッと固まっているナルトを見る。相当ショックだったのだろう。立ち直る気配がない。

「(さすがに言い過ぎか・・・そーいや、コイツ、親いないんだったか?忍者にならなきゃ生きてけねーよな・・・;)」
「シカマル!聞いてる?」

 チョウジに肩を揺すられ、シカマルはハッとする。

「おー・・・ナルトが頑張ってるのは知ってるけどよ。なんつーか・・・こんなんでやってけんのかって、心配っつーか。」

 シカマルが言うと、チョウジはその言葉に含まれる意味に気付く。

「シカマル・・・それって。」

「シカマルって、ナルトのことが好きなのか?」

 チョウジの言葉を遮って、キバが躊躇なく言ってのける。  キバがもう少し、他の言い方をしていれば、気付かなかったはずだ。と、後で振り返る時、シカマルはそう思ったらしい。

「キ・・・キバ!!」

 慌てたのはチョウジだ。

 自分自身もなんとなく気づいたが、あの言い方じゃシカマル本人は気づいていなかったはず。成就しそうにない思いを自覚したら。

 そこまで考えて、チョウジはシカマルを見ると、シカマルはポカンとした表情を浮かべていた。

「シ・・・シカマル?」

 おそるおそるチョウジが呼びかけると、シカマルはその表情を激変させた。

「あー・・・なる程な。」

 いつもと変わらない口調で言いながら、口の端を吊り上げてくつくつと笑う。

 初めて見るシカマルの表情にチョウジがギョッとすると、キバがのんびりと聞いてくる。

「何がなる程なんだよ?」

 シカマルの表情はチョウジの体に隠れて、キバには見えなかったようで、キバの表情に変化は無い。

「あー?何でもねー。つーか、キバ、いきなり変なこと言うなよな・・・めんどくせー。」

「ハハっ・・・だよなー?」

 キバはただ単にからかったつもりだったらしい。

 シカマルはいつものやる気のない表情を浮かべながらも、自分の思いを確信する。

「(キバには感謝だな。・・・この感じが何なのか全くわからなかったのにも納得いったぜ。俺は、コイツ、ナルトが好きなんだ。)」

 キバは誤魔化せたが、チョウジには先ほどの表情を見られた。どんな表情を浮かべたのか、自覚があるだけに誤魔化しはきかないと悟る。

「チョウジ・・・。」

「ぼ、ボクは何も知らないよ。」

 チョウジは気付かなかったことにしたらしい。自分を気遣ってのことだろう。シカマルそう思い至る。

「そーか。・・・サンキューな。チョウジ。」

 この優しい幼なじみには、これだけで通じただろう。自分の思いも、これからどうするのかも。

「オイ、ナルト!いつまて固まってんだ。」

 キバがゆさゆさと固まっているナルトを揺すると、ナルトがハッと我に返る。

「し・・・シカマル、俺、忍者に向かないってば?」

 どうやら、好きだ何だという会話は聞かれていなかったらしい。シカマルは内心ほくそ笑むと、ナルトの頭を撫でる。

「今のままじゃな。・・・まずは、その騒がしいのを何とかすんだな。」

 ポンポンと撫でていた頭を軽く叩き、シカマルはさも面倒くさそうに溜息をついた。

「むー・・・努力はするってば。」

 眉間にしわを寄せ、ナルトは前を向いた。

「(確かに。こんな騒がしい忍者もいないわな。)」

 前を向いたナルトは、内心で溜息をつく。

 シカマルの言うことも尤もだと思うのだが、うずまきナルトはこういう設定なのだから仕方がない。

「(しかし・・・キバも突拍子もないこと言うなー。シカマルが俺のこと好きなわけないのに。第一、男同士だっつーの。)」

 固まっている間、しっかりシカマルたちの会話を聞いていたナルトは、キバの発言にギョッとしたものの、当人が否定したことで安堵した。

「(ありえねーもんな。)」

 暗部には散々甘やかされたが、それ以外の他人から好意を向けられた事などないナルトは、すっかりその方面に疎くなってしまった。

 だから、気付かなかったのだ。シカマルの視線が、観察するようなものから、熱っぽく見つめるようなものに変わったことに・・・。



「ただいまー・・・。」

「お帰りなさい、シカマル。」

 母ヨシノが出迎え、シカマルはどうしたのかと目を見開く。

「母ちゃんが出迎えるなんて、何の風の吹き回しだ?」

「失礼ね!いつだって出迎えてあげてるでしょ?」

 ヨシノはこめかみに血管を浮き立たせながらにっこりと笑う。怒りながら笑えるとは、なんと器用なのだろう。などと、思いつつ、母の怒りをかわしながら、シカマルは自室へと戻る。

「ふー・・・。ナルト、視線には気付いてたみてーだな・・・。」

 朝聞いた、ナルトの言葉を思い出す。誰かに見られてるから規則正しい生活をするのだと言っていたが、誰に見られているかまではわからなかったようだ。

「どーすっかな・・・遠まわしに言っても、あいつ、鈍感だからな・・・。」

 自分の思いに気付いてしまった以上、もう、告白するしかないし、告白する以上は、堕とさなければ意味が無い。

「・・・ククク・・・久々におもしれーことになりそうだ。」

 シカマルはそう言って空を見上げた。

「・・・あ、今日はバイトの日か。」

 ふと思い出し、シカマルは重い腰を上げる。

 シカマルは、父親の強い薦めもあり、アカデミー入学と同時に、暗号解析部、通称「解部」でバイトを始めていた。

 もともと、奈良家は薬剤調合をする家系なのだが、シカマルはアカデミー入学前にはすでにその調合をすべて暗記し、更には、新しい調合方法を考え出すなど、才能を遺憾なく発揮していた。

 そこで、シカクは、その才能を無駄遣いさせないために、あらゆる知識を叩き込んだ。時には、火影に黙って、上忍以上にしか見ることが許されない忍術書などを与えたりしていた。

 最初は面倒くさがっていたシカマルだが、その知識が難しければ難しいほど、のめりこんでいくようになった。そこで、もっと面白いモノが見れるとシカクに薦められた、解部のバイトを引き受けることになったのだ。

 このバイトの事は、誰にもバレないようにと、シカクから言い含められていた。何故かと聞いても取り合っては貰えず、シカマルがこのバイトをしているのを知っているのは、家族以外では、三代目火影と解部の長のみであった。

「・・・変化の術を使い続けるのは、結構きついんだよな。」

 シカマルはぼやき、自分専用の部屋を貰えるよう、長に直談判しようと思いつく。

「解部でも、秘密厳守の書物を扱う連中は個室を持ってるっていうしな。」

 準備を整えると、シカマルは変化の印を結ぶ。

「変化の術!」

ぼふん!

 独特の音がして、あたりに煙が充満する。その中から出てきたのは、スラリとした長身に黒い短髪、黒い瞳の青年。顔かたちも元の姿を留めてはいない。

「・・・これでよし。」

 自分の姿を確認し、必要な道具を持つと、居間へと向かう。

「母ちゃん。」

「あら、今日はバイトの日?」

「おー。・・・ちょっと行って来る。」

 ひらひらと手を振り、シカマルはきっちりと玄関から出て行く。



 バイト先へと向かう前に、シカマルは火影の執務室へと向かう。

「とりあえず、三代目に挨拶して、解部への依頼がないか確認してから来いって言われてっからなー・・・。」

 ぶつぶつと呟きつつも、面倒なために、屋根の上を走り、一気に執務室の窓に足を掛ける。

 執務室では、三代目が暗部と見られる者と話しており、まずかったかとその場で立ちすくむ。

「これ、鋭裏(えいり)・・・ドアから入ってきなさい。」

 素性をバラさないために、三代目につけてもらった名を呼ばれ、シカマルはひょい、と肩をすくめる。

「申し訳ありません。」

 反省の色が伺えない声音で答えると、チラッと三代目と向かい合ってたっていた人物に目をやる。

 部屋に入るまで、その存在にすら気が付かなかった。・・・三代目の気配は感じていたというのに。そ れどころか、今、こうして目の前に立っているのを確認しても、気配が感じられないのだ。

「(こいつ、相当強いな。)」

 シカマルがじろじろと上から下まで眺め回すと、その暗部はシカマルの方を向く。

「・・・何か?」

 尋ねられて、シカマルは目を見開く。まさか暗部の方から声を掛けてくるとは思わなかったからだ。

「ああ、いや。すみません。」

 ふるふると首を振り、シカマルは視線を落とす。

「火影様・・・彼は?」

「おお、おぬしは初めて会ったのだったな。・・・少し前より暗号解析部でバイトをしている鋭裏という。・・・なかなかに頭が良くての。IQはいくつじゃったかの?」

「・・・テストでは200でしたが・・・。」

「・・・そうそう、測りきれんかったんじゃったな。」

「測りきれなかった?・・・それはすごい。・・・暗号解析だけじゃもったいないんじゃないですか?」

「蒼藍もそう思うじゃろ?」

 どうやら、この暗部は蒼藍というらしい。会話から暗部の名前を知ったシカマルが、なおもその会話に耳を傾けようとした時、蒼藍と呼ばれた暗部がシカマルの方を向く。

「・・・忍術の方は?」

「知識だけなら・・・チャクラ量が少ないので。」

「へえ、チャクラ量さえ足りてりゃ、結構使えそうですね。」

 声が弾んでいるところから察するに、面の下は笑っているのだろう。何とはなしに、シカマルは面の下を見たいと思ってしまう。

「(暗部に、んなこと言ったら、殺されるっつーの。)」

「火影様、今度暗部に彼を貸してくださいよ。」

「しかしのー・・・。」

「彼の素性を探ったりしないですよ。・・・こっちだって、同じような連中は多いんですから。」

 あっさりとこちらが素性を隠していることを見抜き、蒼藍は肩を竦める。

「まあ、その点は心配しておらんが・・・鋭裏の変化の術が保たんじゃろ。」

 三代目の言う通りだった。つい先ほど、ずっと変化し続けるのに辟易して、その改善策を思いついたばかりなのだ。

 暗部の仕事にも興味はあるが、仕方がない。

「・・・せっかくのお誘いですが・・・三代目の仰る通りなので。」

 シカマルは苦笑を浮かべ、蒼藍を見つめる。

「そうか、残念だ。・・・今度、チャクラ量が上がる方法を探してみる。」

 蒼藍は明らかにトーンダウンした声でそう言うと、三代目に向き直る。

「では、行って参ります。」

「今日は単独だったの・・・気をつけるのじゃぞ。」

「・・・はい。」

 小さく頷き、蒼藍はスタスタと窓に近づき、窓枠に足を掛ける。

「これ!蒼藍!!」

「・・・面倒くさいんですよ。いちいち階段上り下りするの。」

 そう言うやいなや、蒼藍はそのまま飛び降りる。

「・・・すげぇ・・・。」

 思わず素で呟くと、三代目にじと目で見られる。

「鋭裏・・・蒼藍といい、おぬしといい・・・まったく、面倒くさがりにもほどがあるぞ?」

「だから、言ってるじゃないっスか。・・・申し訳ありませんって。」

 ケロリとした表情で言ってのけると、三代目はがくりと脱力する。

「もーいいわい。・・・ほれ、今日の分じゃ。・・・長によろしく言ってくれ。」

「はい。」

 シカマルは書物を受け取ると、今度はドアの方向へと向かう。そうそう何度も怒られるわけにはいかない。このことは、両親に告げられることが間違いないのだから。

「あ、そうだ。・・・あの蒼藍って暗部も、変化してるんスか?」

「ん?・・・わかるか?」

「いや、わかんねーっスけど、会話を聞いててなんとなく。」

「さすがじゃの・・・。あやつも変化している上に、暗部の面で隠し、二重に素性を伏せておるからの・・・探ろうとするなよ?」

「もちろんっスよ。・・・まだ、命は惜しいんで。」

 シカマルは苦笑すると、ドアから出て行く。

 シカマルの出て行ったドアを見つめながら、三代目は溜息をつく。

「やれやれ・・・互いの正体知ったら、大騒ぎになるじゃろうの。・・・シカクめ、それが狙いじゃなかろうな・・・。」

 三代目の心労は増える一方のようだった。



→ 暗号解析部


「お疲れ様です。」

 シカマルこと鋭裏は、解部の仕事場に入ると、まっすぐに長の下へ向かう。

「おお、来たか、鋭裏。」

「三代目より、本日の追加分の依頼を預かってきました。」

 そう言って、シカマルは書物を長に渡す。

「ああ、助かる。・・・ん?これは・・・。」

 長は受け取った書物を見て、イスから体を浮かす。

「こいつはすごいぞ・・・“銀の月”が絡んでる任務のやつだ。」

「“銀の月”って?」

 いつも冷静な長がこうも興奮するとは、一体何なのだろう。思わずシカマルは尋ねる。

「暗部の中で、最も美しい戦い方をする奴だよ。・・・何が美しいかなんて聞くなよ?形容しがたいんだ。・・・ともかく、本当に強いし、美しいんだ。・・・名前はなんていったかな・・・そうだ、蒼藍っていったな。」

「蒼藍!?」

 シカマルが叫ぶと、長が首をひねる。

「お前、蒼藍を知っているのか?」

「あ、いや、さっき、火影執務室で会ったんです。」

「会ったのか!?・・・最近じゃ難しい任務にばかり就いていて、めったには会えないのに。」

 長が目を丸くして驚き、うらやましそうにシカマルを見つめる。

「任務前の挨拶してるとこに入り込んでしまって・・・でも、結構、気さくな感じでしたけど。」

「会話したのか!!??」

 長が仰天し、まわりの解部の面子もぴたりと仕事の手を休める。

「・・・ちょ、ちょっとだけ・・・。」

「一緒の任務についても、一言も話さないで終わる奴もいるっていうのに・・・ちなみに、何を話したんだ?」

「・・・暗部に勧誘されました。」

 もはや、長は絶句するばかり。

 シカマルは思わずめんどくせーと呟きそうになる。

「(相当すげー奴なのはわかったが・・・こんな反応されるって・・・どんだけだよ。)」

「・・・はぁ。お前には驚かされてばかりだな。・・・じゃあ、ついでだ、この書物はお前が解いてみろ。・・・ちょうどお前専用の個室を作ったところだったんだ。」

「!・・・個室頂けるんですか?」

「ああ、お前の能力は充分過ぎるくらいにわかったし、変化に自信が無いんだろう?」

 長はやんわりと微笑み、仕事場の奥の扉を指す。

「15番の部屋をお前の専用にしたから好きに使うといい。」

「はい。」

 自分に与えられた、個室にこもると、変化を解き、シカマルは蒼藍が携わったという仕事で持ち帰った書物を手に取る。

「はー・・・こりゃすげー。」

 書物には複雑なトラップが掛けられていて、なかなか開かない。

「・・・どんだけ重要な情報なんだ、こりゃ。」

 シカマルはきっかけを掴むとさくさくとそのトラップを解き、書物を開く。

「・・・うは、国家機密・・・。」

 シカマルはその書物を読み解いて、息を呑む。

 その内容は“影”クラスの重要機密。こんなものを子供のシカマルに解かせて良いものなのか・・・。

 そのあたりは信用してもらえているのだとしても、この内容はマズイ。

「・・・隠れ里、血継限界の能力・・・人柱力在籍の里・・・作成の・・・っ!」

ぱたん。

 書物を閉じると、シカマルは立ち上がる。

「これ以上は・・・見たらマズイだろ。」

 それでも、優秀なシカマルの頭脳は、半分まで読み取った書物の内容を予測してしまう。

「・・・大人たちのあの視線・・・。」

 書物に書かれていた人柱力の事、10年程前になるだろうあの、九尾の事件。シカマルがはじき出した答えは、最悪の結果だ。

「ナルトが・・・九尾の人柱力・・・?」

 理解してしまった。ぐっとこぶしを作り、握り込む。

「・・・っざけんじゃねえ。」

 空を睨み、シカマルは低く呟く。再び変化したシカマルは、解いた書物を手に、個室を出る。

「・・・ん?鋭裏、もう終わったのか?」

「ええ・・・。」

 いささかトーンの低い声で応じるシカマルに、長はおやと思う。

「・・・終わったのなら、三代目に報告してくると良い。その書物は重要機密のはずだ。俺を通す必要は無い。」

「・・・了解しました。」

 シカマルは答え、解部を出て行く。

「・・・相当マズイ内容みたいだな。」

 ふっと息をついて、長はシカマルが出て行ったドアを見つめた。



「・・・くそ・・・。」

 読み解かなければ良かったと思う。しかし、読み解かなければ、里の真実には気付かなかっただろう。

「あいつが何かを抱えてるって事は知ってたが・・・まさか、こんなにでけーとはな。」

 あまりにも強く握った手に血がにじむ。

「そういや、親父は知ってんのか?・・・確か、四代目の親友だったって、自慢してたよな・・・。」

 ドロドロと渦巻く胸中とは違い、とんとん、と軽いフットワークで火影執務室へと続く階段を上る。



→ 火影執務室


コンコン

「失礼します。」

「入りなさい。」

 三代目の許しを得て、執務室へと入る。

「書物の解読が済みましたので、持って来ました。」

 シカマルはそう言って、書物を三代目に渡す。

「・・・ご苦労だったの。・・・やはり、この書物の解読をしたのはおぬしだったか・・・。」

 三代目の声は沈んでいる。いつに無い真剣な視線をよこすシカマルの様子に、すべてを悟ったようだった。

「・・・はい。・・・途中まで読んでしまいました。申し訳ありません。」

「・・・良いんじゃよ。おぬしのことは、信頼しておる。」

「・・・確認してもよろしいですか?」

 シカマルは書物に視線をやる。三代目はその視線の方向を見て、2,3印を結ぶ。

「消音結界をはったから、もう良いぞ。」

「・・・単刀直入に伺います。・・・ナルトは、九尾の人柱力ですね?」

「・・・そうじゃ。ナルトは里の犠牲となってくれた。・・・そこに、ナルトの意思は無かったがの。」

 三代目の肯定に、シカマルはしゃがみこむ。

「シカマル・・・。」

「・・・わかり、ました。」

「のう、シカマル。・・・この事を知っても・・・おぬしはナルトの友人でいてくれるか?」

 シカマルは、顔を上げ、三代目の目を見つめ、力強く頷いた。

「・・・もちろんです・・・!」

「・・・ありがとう。」

 三代目は目元を和ませる。

「ナルトは・・・アイツはどう思ってるんっスか?」

「・・・ナルトは。(言っても良いもんかの?)」

 シカマルの問いに三代目は眉間にしわを寄せる。

「あー・・・そうッスよね。いつか、ナルトに直接聞きますよ。」

 言いにくそうにしていた三代目の心を読んだかのように、シカマルはあっさりと引き下がった。

「そうか。」

「・・・三代目には言っときます。俺、ナルトの事が好きなんです。・・・だから、必ず、ナルトを堕としますから。」

「そうかそうか、ナルトをそこまで好いてくれるか・・・ん?ちょっと待て・・・堕とす?」

「・・・好きだと自覚したからには、どんな手を使ってでも手に入れますから。」

 ニヤリと笑ったシカマルに、三代目の顔面が蒼白になる。

「こ・・・これ、シカマル!!・・・な、何をする気じゃ?」

「いや、さすがにそこまでは教えられねーっスよ。・・・ナルトにバラされたら困るんで。」

 完全に何かを企む表情のシカマルに、三代目は愕然とする。“めんどくせー”が口癖のシカマルが、こんなにやる気になるとは。

 ナルトを好いていることについてはありがたいと思うが、いささか行き過ぎてはいやしないだろうか。

「シカマル・・・まさか、ナルトが人柱力だから、そこまで言うてくれておるのかのぅ?」

 わずかな希望にすがるように尋ねる。

「・・・いや、それを知る前から好きでしたよ。」

「ナルトは、人柱力じゃからのー。じゃが、そんなに気を使わなくても良いのだぞ?」

 どうやら、聞かなかったことにしたいらしい。三代目は遠くを見つめている。

「・・・手に入れますからね?」

「・・・空が青いのー。」

 どこまでも聞かないふりをするつもりらしい三代目に、シカマルは深い溜息をついて三代目に背を向ける。

「・・・ぜってぇ、ナルトが堕ちるまで諦めねー。俺が、ナルトの安らぎになる。・・・毎日、何であんなに気を張ってんのか、ずっと気になってた。・・・それがわかった今、諦められるわけがねー。」

 シカマルの言葉に、三代目がハッとする。

「そうか・・・シカマルには、そう見えたか。」

 三代目はナルトの顔を思い出す。

 暗部の仕事をするようになって、ナルトは表情を作るようになった。最近では、以前のような無邪気な笑顔を見せることもなくなってしまった。

 もし、シカマルがそれを取り戻せるのなら・・・。

「ナルトを堕としてみると良い・・・わしは、一切、その件には目をつぶろう。」

 暗に伝えるのは、ナルトについて調べる事の許可。

「ありがとうございます。」

 シカマルは、背を向けたままそう言い、火影の執務室を出て行った。

「・・・千坐、そこにおるな?」

 シカマルを見送り、三代目はその扉を見つめたままに名を呼ぶ。

「さすが、あの奈良上忍のご子息ですね。」

 のそりと窓から入ってきた千坐は、不機嫌丸出しの顔で呟く。

「あぁ。わしらではもう取り戻せないものを、あやつなら・・・そう思うてしまったよ。」

「腹は立ちますがね。・・・ナルトが気を張っているのを気付くなんて、俺でも無理ですよ。あの子は感情を隠すのが上手になりましたから。」

 肩を落とし、千坐は苦笑する。

 三代目は、小さく頷くと、千坐に言いつけた。

「他の暗部達に伝えよ。・・・けして、奈良シカマルの邪魔をするなとな。」

「御意。」

 瞬身の術で千坐が消えると、三代目は深い溜息をついた。

「あの子が堕ちるかどうかは、シカマル次第。・・・どうなることやら;」


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