Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意:
※スレたナルトですよ??
※カカスレナル風味ですが、あくまでも保護者的立場です。
※オリジナルキャラー千坐(せんざ)ーが出てきます。彼も保護者です。
※設定の捏造は当たり前です。
※二次創作であることをお忘れなく。
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
土埃の舞う中、千坐はこれでもかというくらいに目を見開いた。
目の前にいる男が、見知った奴だったからか・・・それとも、それが告げた言葉がショックだったのかは、もう、わからなくなっていた。
「もう一度・・・言ってみろ!」
カカシが千坐より幾分か冷静に応対する。
「言っているだろう?・・・蒼藍をこちらによこせ。」
「・・・何を・・・何のために!?」
叫ぶ千坐に、男は肩をすくめる。
「木ノ葉には、引き抜きという概念は無いのか?」
「あいつを引き抜こうって言うのか?・・・それだけのために、ここに?」
千坐は声がかすれていることを自覚しつつ、それでも、男をじっと見つめる。
「・・・あの砦での話をしたら、俺の主がいたく蒼藍を気に入ってな。」
「・・・っつ。」
千坐は息をのみ、カカシは身構える。
なんという殺気だ。ほんの少し、目があっただけだというのに、暗部の中でもトップレベルに入るハズの自分達が、身をすくませるとは・・・。
「蒼藍はどこにいる・・・?」
苛烈なまでの殺気を放ちながら、男はニコリと笑んだ。
ナルト達が駆けつけた時、カカシ達が対峙していたのは、1人の白い装束を身に着けた青年。
「・・・た、樹?」
ナルトの声に殺気を収め、青年は笑顔を向ける。
「やぁ、蒼藍。・・・あの砦の一件以来だね?」
「・・・あぁ。」
予感がしたのはこの事かとナルトが息をつく。
「俺と一緒に来ないか?・・・蒼藍・・・集団の中では生きにくいだろう?・・・俺達のような、異端者は特に。」
異端者。その言葉に反応したのは、イタチ。
「蒼藍は異端者ではない!」
「いいや。俺と同じ異端者だ。・・・利用されるだけされ、疎まれ、憎まれ・・・挙げ句の果てに、排除される。・・・それが、俺達にある未来だ。」
“だからこそ・・・”
樹は、ナルトを見つめる。
「迎えに来たんだよ。・・・蒼藍。」
ナルトはただ、ジッと樹を見つめる。周りにいる者達の方が慌ててしまう程に大人しいナルトに、樹はたたみかけるように話しかける。
「里の連中が醜く感じないか?・・・奴らが俺達を見つめるその目、今にも罵る言葉が出てきそうな口・・・ウンザリだろう?・・・あの方はそのような事はしない。俺達の全てを認めて下さる。・・・だから!」
「・・・行かない。」
樹の言葉を遮り、ナルトは首を振る。
「俺には味方がいる。だから、行かない。」
はっきりとナルトは口にして、印を組む。
「・・・なぜ・・・味方と言いきれる!?・・・特殊な力を持つ者は、疎外される!どこの里も、そうそう変わらないハズだ!」
「木ノ葉にはたくさんの特殊な力を持つものがいる。・・・血継限界を持つ日向、うちは。虫を体に飼う油女、満腹の呪縛の秋道。どれもがそれぞれの特性を生かし、里に貢献している。・・・里は異端を疎外しない。」
“たった1人を除いては”その言葉をかみ殺し、イタチは樹を睨みつける。
「ふ・・・ふふ・・・。そうか・・・なら、仕方ない。」
ヒュン、と風を切る音が鳴る。
「・・・銀糸!」
カカシが叫ぶ。この糸に捕まれば、肉体はバラバラにされてしまう。
「仲間に引き込めないのなら・・・殺せ。・・・それが我が主のご命令だ!」
樹が狙うのは、ナルトただ一人。他の者には目もくれず、銀糸を操る。
「つっ・・・。」
ナルトは忍刀で銀糸をはねのけながら、周りを探る。カカシが一歩離れた所から、何とかしようとしているのを確認し、そして、目の端にシカクを捉える。
「(何をするつもりだ・・・?)」
「よそ見をしている場合か?」
一瞬の隙をついて、樹が目の前に迫る。
「(しょうがない・・・)」
ナルトは印を途中で組むのを諦め、別の術を発動させる。
「(飛雷神の術!)」
フッとナルトの姿が消え、樹はたたらを踏む。そして、辺りを見回し、カカシの隣に立つナルトを見つける。
「・・・っな!?」
瞬身の術を遥かに超える移動術。それはまさに、神速。
「カカシ君に術式のクナイ渡しておいて良かった。」
ホッと息をついたナルトに、カカシは盛大に溜息をついた。
「使っちゃったねぇ・・・;」
「しょうがないよ。他に方法が無かったんだから。」
呆然と自分を見つめる樹を見つめ、ナルトは肩をすくめる。
「今のは・・・!」
グンッと体を引っ張られるような感覚に樹はピクリと震える。
「・・・っ!」
どんなに腕を動かそうとしても動かない。
「ふー・・・影真似の術成功。やっと捕まってくれたなぁ?」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、シカクは樹を見つめた。
「これはっ・・・。」
樹が必死に術を外そうとするが、シカクはくつくつと笑う。
「無理だぜぇ?この術からは逃れられねえよ。」
ググッと影が伸び、樹の首にかかる。
「影首縛りの術!」
「ぐっ・・・うっ。」
樹が顔を歪め、視線だけをナルトに向ける。
「・・・味方がっ・・・・・・いつまでも・・・・・・味方でいると・・・思うな。」
ニィと笑い、樹は唇を噛む。
「陰陽転化(いんようてんか)の術」
樹は唇から流れ出た血を舐め、術を発動させる。ぐにゃりと体が溶けるように歪み、シカクの影の枷が外れる。
「なんだぁ!?」
シカクが慌てて樹から距離を取る。
ぐにゃぐにゃと溶けきり、白い塊になった樹を、ナルト達はただ見つめ続け、そして、その姿を目に映す。
「豹・・・?」
呟いたのは、イタチ。
「白豹・・・。アレが奴の血継限界か・・・。」
呆然と千坐がそれを見つめる。
『今回は諦めよう。だが・・・次こそは必ず・・・!』
くぐもった声でそう言った樹は、皆が呆然と見つめる中、走り去った。
「・・・逃がして良かったのか?」
シカクが溜息をつきながら、ナルト達のいる方へ移動してくる。
「ま・・・しょうがないでしょ。・・・あんな能力があるとは思わなかったですし。」
ヘラっと笑い、カカシがシカクへ応対する。
「あんな能力ねぇ・・・。」
樹の消えた方を見て、シカクが呟く。
「特殊能力者は疎外される、か。・・・木ノ葉でさえ畏怖される対象だからな。他の里じゃ、相当ひでぇんだろうなぁ。」
「でしょうね。」
カカシが頷くと、シカクはナルトを見つめる。
「・・・ずっと、お前から懐かしい感じがしてたんだ。・・・久々にあの術を拝めて、嬉しかったぜ。蒼藍。」
ニッと笑い、シカクはぐしゃぐしゃとナルトの髪を掻き回す。
「っ・・・うわっ?!」
カカシ達がギョッとする中で、シカクは呵々と笑う。
「安心しな!・・・誰にも言わねーよ。」
“ナルト”
ギクリと身を強ばらせたナルトに優しく笑いかけ、シカクはきびすをかえす。
「さて、任務も無事終了したな?・・・俺は正規部隊の連中を迎えに行ってから帰る。・・・先に火影様への報告を頼めるか?」
「・・・わ、わかりました。」
カカシが頷くと、シカクは満足げに笑い、瞬身の術を使った。
「あー・・・。」
シカクが行った瞬間に、カカシがしゃがみ込む。
「厄介な相手に知られたなぁ・・・;」
「あの人は、危害を加えてくるようには見えないけど?」
ナルトがかがみ込んで、カカシの頭をヨシヨシと撫でる。
「その辺は心配してないのー。・・・奈良サンに知られたら、猪鹿蝶の他の2人にも自動的に知られちゃうんだよー。」
カカシは更に頭を抱え込んでしまう。
「だって、誰にも言わないって・・・。」
困惑してナルトが首を傾げると、千坐がその頭を撫でる。
「・・・奈良上忍はね、一度、ナルトの庇護を名乗り出たんだよ。親友の息子だからってね。・・・だけど、奈良家に非難が集中する事を懸念した火影様が、それを断ったんだ。」
「それに・・・何の関係が・・・?」
イタチが問うと、カカシが盛大な溜息と共に答える。
「ずーっと、ナルトに会わせろって、夫婦して火影様を脅してたんだよ?あの人達。・・・奈良サンにバレたら、そのまま、奥さんにバレたも同然。そして、猪鹿蝶の奥さん方は大の仲良しで・・・“ナルト君に会わせろ同盟”を組んでるらしいし。つまりは・・・。」
「・・・猪鹿蝶全員にこの話は回るという訳ですね?」
カカシの言葉を継ぎ、イタチが溜息をつく。
「・・・しょうがないよ。・・・危害が無ければ、俺、全然構わないし。」
ナルトがケロッとしているのを見て、安堵した千坐が、カカシに手を貸して、立たせる。
「ナルトもこう言ってるし、とりあえず、火影様に報告だ。」
「あぁ。・・・そもそも、この任務に奈良サンを参加させた火影様が悪い!ここは1つ、火影様に責任をとってもらおう。」
カカシは千坐の手を取り立ち上がると、ナルトの肩に手を置く。
「頼む。」
その意を介し、ナルトは印を組んだ。
「飛雷神の術!」
数日後
火影邸、ゴクリと息をのみ、三代目火影が相対するのは、猪鹿蝶夫妻。
「な、ならん。」
微妙に詰まってしまうのは仕方のないこと。それだけの迫力が彼らにはある。
「あら、火影様?うちの人の話によれば、あの子は随分と強くなったそうじゃありませんか。」
「それに、僕達が信用できないと?」
「言いましたよね、庇護が必要な間は、暗部に身辺警護を任せ、庇護が必要なくなっても、アカデミーに通う歳に達するまでは、信頼に値する人間にしか会わせないと。」
「う・・・うむ。」
「ナルトは五歳ですよねぇ?・・・アカデミーには通えるハズですが?」
「うっ・・・うむ。」
「ましてや、暗部に在籍しているなんて・・・庇護は必要なくなっているのでは?」
「う・・・。」
「なら、私達が会わせていただけない理由を、簡潔におっしゃって下さい。」
言葉責めに三代目がいよいよぐうの音も出なくなった時、控えの間のドアが開く。
カチャリ
「じいさま。」
トタトタと歩み寄って来るのは、金髪に蒼海の色の瞳を持つ幼児。
「ナルト!」
「もー良いってば。・・・じいさまが可哀想になってきたし。」
はぁ、と溜息をつく様子は、その見た目には似つかわしくない。
「奈良上忍。・・・他には、誰にも言ってない?」
「あ・・・あぁ。」
ナルトの視線に非難の色を見つけ、シカクはたじろぐ。
「・・・そ。ならいーんだけど。」
フイッと視線をそらし、ナルトは三代目の側に立つ。
「じいさま、大丈夫?」
「すまんの。・・・ナルトや。」
「・・・別に良いけどさぁ。・・・禁術書3本ね?」
「うっ!・・・1本にまからんかの?」
「・・・3本。」
「せ・・・せめて、2本。」
「はい。成立ー。」
にっこりと笑うのは、とても可愛らしい。が、そのやりとりは、大人顔負けで。呆然と見てくる猪鹿蝶夫妻に、視線をむける。
「俺、父親の事、良く知らないけど、仲が良かったんでしょ?」
「あぁ。」
シカクが頷くのに、ナルトはにっこりと笑う。
「そう。俺、そんなに、四代目に似てる?」
「あぁ。良く似ている。」
「ふぅん・・・。あのさ、お父さんのお友達の皆さんに、お願いがあるんだけど?」
異様に迫力のある笑顔に猪鹿蝶夫妻は、ブンブンと頷いた。
二週間後
「なぁ・・・知ってるか?」
「あぁ。アレだろ?“銀の月”」
「俺の同期が暗部との合同任務で一緒になったんだけどさ・・・すげえらしいぜ。」
「フフン。俺、一緒になったもんねー。」
「えぇーっ!良いなぁ!」
「本当に綺麗だったなぁ。舞ってるみたいだった。」
「っかー!!俺も一緒の任務ついてみてぇ!」
上忍待機所“人生色々”そこで、上忍達の話に耳を傾けるのは、カカシ。
「(はー・・・ナルトのお願いの効力はスゴいねぇ。)」
猪鹿蝶夫妻を笑顔で脅し、当初の目的だった“銀の月”二つ名を広める事に協力させた。
「(いやはや・・・本当に、あの子は。)」
カカシは立ち上がる。三代目に急遽呼び出されたからだ。
「(ま、里もだいふ落ち着いてきたし、この調子なら、大丈夫かな?)」
三代目の呼び出しの理由はわかっている。
「(ナルトもアカデミー入学かぁ・・・。)」
足取りも軽く、カカシは火影邸へと向かった。
あとがき
最年少暗部シリーズはこれで完結
ここからの派生話、スレサスverとスレシカverお好きな方へどうぞv
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※スレたナルトですよ??
※カカスレナル風味ですが、あくまでも保護者的立場です。
※オリジナルキャラー千坐(せんざ)ーが出てきます。彼も保護者です。
※設定の捏造は当たり前です。
※二次創作であることをお忘れなく。
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
土埃の舞う中、千坐はこれでもかというくらいに目を見開いた。
目の前にいる男が、見知った奴だったからか・・・それとも、それが告げた言葉がショックだったのかは、もう、わからなくなっていた。
「もう一度・・・言ってみろ!」
カカシが千坐より幾分か冷静に応対する。
「言っているだろう?・・・蒼藍をこちらによこせ。」
「・・・何を・・・何のために!?」
叫ぶ千坐に、男は肩をすくめる。
「木ノ葉には、引き抜きという概念は無いのか?」
「あいつを引き抜こうって言うのか?・・・それだけのために、ここに?」
千坐は声がかすれていることを自覚しつつ、それでも、男をじっと見つめる。
「・・・あの砦での話をしたら、俺の主がいたく蒼藍を気に入ってな。」
「・・・っつ。」
千坐は息をのみ、カカシは身構える。
なんという殺気だ。ほんの少し、目があっただけだというのに、暗部の中でもトップレベルに入るハズの自分達が、身をすくませるとは・・・。
「蒼藍はどこにいる・・・?」
苛烈なまでの殺気を放ちながら、男はニコリと笑んだ。
ナルト達が駆けつけた時、カカシ達が対峙していたのは、1人の白い装束を身に着けた青年。
「・・・た、樹?」
ナルトの声に殺気を収め、青年は笑顔を向ける。
「やぁ、蒼藍。・・・あの砦の一件以来だね?」
「・・・あぁ。」
予感がしたのはこの事かとナルトが息をつく。
「俺と一緒に来ないか?・・・蒼藍・・・集団の中では生きにくいだろう?・・・俺達のような、異端者は特に。」
異端者。その言葉に反応したのは、イタチ。
「蒼藍は異端者ではない!」
「いいや。俺と同じ異端者だ。・・・利用されるだけされ、疎まれ、憎まれ・・・挙げ句の果てに、排除される。・・・それが、俺達にある未来だ。」
“だからこそ・・・”
樹は、ナルトを見つめる。
「迎えに来たんだよ。・・・蒼藍。」
ナルトはただ、ジッと樹を見つめる。周りにいる者達の方が慌ててしまう程に大人しいナルトに、樹はたたみかけるように話しかける。
「里の連中が醜く感じないか?・・・奴らが俺達を見つめるその目、今にも罵る言葉が出てきそうな口・・・ウンザリだろう?・・・あの方はそのような事はしない。俺達の全てを認めて下さる。・・・だから!」
「・・・行かない。」
樹の言葉を遮り、ナルトは首を振る。
「俺には味方がいる。だから、行かない。」
はっきりとナルトは口にして、印を組む。
「・・・なぜ・・・味方と言いきれる!?・・・特殊な力を持つ者は、疎外される!どこの里も、そうそう変わらないハズだ!」
「木ノ葉にはたくさんの特殊な力を持つものがいる。・・・血継限界を持つ日向、うちは。虫を体に飼う油女、満腹の呪縛の秋道。どれもがそれぞれの特性を生かし、里に貢献している。・・・里は異端を疎外しない。」
“たった1人を除いては”その言葉をかみ殺し、イタチは樹を睨みつける。
「ふ・・・ふふ・・・。そうか・・・なら、仕方ない。」
ヒュン、と風を切る音が鳴る。
「・・・銀糸!」
カカシが叫ぶ。この糸に捕まれば、肉体はバラバラにされてしまう。
「仲間に引き込めないのなら・・・殺せ。・・・それが我が主のご命令だ!」
樹が狙うのは、ナルトただ一人。他の者には目もくれず、銀糸を操る。
「つっ・・・。」
ナルトは忍刀で銀糸をはねのけながら、周りを探る。カカシが一歩離れた所から、何とかしようとしているのを確認し、そして、目の端にシカクを捉える。
「(何をするつもりだ・・・?)」
「よそ見をしている場合か?」
一瞬の隙をついて、樹が目の前に迫る。
「(しょうがない・・・)」
ナルトは印を途中で組むのを諦め、別の術を発動させる。
「(飛雷神の術!)」
フッとナルトの姿が消え、樹はたたらを踏む。そして、辺りを見回し、カカシの隣に立つナルトを見つける。
「・・・っな!?」
瞬身の術を遥かに超える移動術。それはまさに、神速。
「カカシ君に術式のクナイ渡しておいて良かった。」
ホッと息をついたナルトに、カカシは盛大に溜息をついた。
「使っちゃったねぇ・・・;」
「しょうがないよ。他に方法が無かったんだから。」
呆然と自分を見つめる樹を見つめ、ナルトは肩をすくめる。
「今のは・・・!」
グンッと体を引っ張られるような感覚に樹はピクリと震える。
「・・・っ!」
どんなに腕を動かそうとしても動かない。
「ふー・・・影真似の術成功。やっと捕まってくれたなぁ?」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、シカクは樹を見つめた。
「これはっ・・・。」
樹が必死に術を外そうとするが、シカクはくつくつと笑う。
「無理だぜぇ?この術からは逃れられねえよ。」
ググッと影が伸び、樹の首にかかる。
「影首縛りの術!」
「ぐっ・・・うっ。」
樹が顔を歪め、視線だけをナルトに向ける。
「・・・味方がっ・・・・・・いつまでも・・・・・・味方でいると・・・思うな。」
ニィと笑い、樹は唇を噛む。
「陰陽転化(いんようてんか)の術」
樹は唇から流れ出た血を舐め、術を発動させる。ぐにゃりと体が溶けるように歪み、シカクの影の枷が外れる。
「なんだぁ!?」
シカクが慌てて樹から距離を取る。
ぐにゃぐにゃと溶けきり、白い塊になった樹を、ナルト達はただ見つめ続け、そして、その姿を目に映す。
「豹・・・?」
呟いたのは、イタチ。
「白豹・・・。アレが奴の血継限界か・・・。」
呆然と千坐がそれを見つめる。
『今回は諦めよう。だが・・・次こそは必ず・・・!』
くぐもった声でそう言った樹は、皆が呆然と見つめる中、走り去った。
「・・・逃がして良かったのか?」
シカクが溜息をつきながら、ナルト達のいる方へ移動してくる。
「ま・・・しょうがないでしょ。・・・あんな能力があるとは思わなかったですし。」
ヘラっと笑い、カカシがシカクへ応対する。
「あんな能力ねぇ・・・。」
樹の消えた方を見て、シカクが呟く。
「特殊能力者は疎外される、か。・・・木ノ葉でさえ畏怖される対象だからな。他の里じゃ、相当ひでぇんだろうなぁ。」
「でしょうね。」
カカシが頷くと、シカクはナルトを見つめる。
「・・・ずっと、お前から懐かしい感じがしてたんだ。・・・久々にあの術を拝めて、嬉しかったぜ。蒼藍。」
ニッと笑い、シカクはぐしゃぐしゃとナルトの髪を掻き回す。
「っ・・・うわっ?!」
カカシ達がギョッとする中で、シカクは呵々と笑う。
「安心しな!・・・誰にも言わねーよ。」
“ナルト”
ギクリと身を強ばらせたナルトに優しく笑いかけ、シカクはきびすをかえす。
「さて、任務も無事終了したな?・・・俺は正規部隊の連中を迎えに行ってから帰る。・・・先に火影様への報告を頼めるか?」
「・・・わ、わかりました。」
カカシが頷くと、シカクは満足げに笑い、瞬身の術を使った。
「あー・・・。」
シカクが行った瞬間に、カカシがしゃがみ込む。
「厄介な相手に知られたなぁ・・・;」
「あの人は、危害を加えてくるようには見えないけど?」
ナルトがかがみ込んで、カカシの頭をヨシヨシと撫でる。
「その辺は心配してないのー。・・・奈良サンに知られたら、猪鹿蝶の他の2人にも自動的に知られちゃうんだよー。」
カカシは更に頭を抱え込んでしまう。
「だって、誰にも言わないって・・・。」
困惑してナルトが首を傾げると、千坐がその頭を撫でる。
「・・・奈良上忍はね、一度、ナルトの庇護を名乗り出たんだよ。親友の息子だからってね。・・・だけど、奈良家に非難が集中する事を懸念した火影様が、それを断ったんだ。」
「それに・・・何の関係が・・・?」
イタチが問うと、カカシが盛大な溜息と共に答える。
「ずーっと、ナルトに会わせろって、夫婦して火影様を脅してたんだよ?あの人達。・・・奈良サンにバレたら、そのまま、奥さんにバレたも同然。そして、猪鹿蝶の奥さん方は大の仲良しで・・・“ナルト君に会わせろ同盟”を組んでるらしいし。つまりは・・・。」
「・・・猪鹿蝶全員にこの話は回るという訳ですね?」
カカシの言葉を継ぎ、イタチが溜息をつく。
「・・・しょうがないよ。・・・危害が無ければ、俺、全然構わないし。」
ナルトがケロッとしているのを見て、安堵した千坐が、カカシに手を貸して、立たせる。
「ナルトもこう言ってるし、とりあえず、火影様に報告だ。」
「あぁ。・・・そもそも、この任務に奈良サンを参加させた火影様が悪い!ここは1つ、火影様に責任をとってもらおう。」
カカシは千坐の手を取り立ち上がると、ナルトの肩に手を置く。
「頼む。」
その意を介し、ナルトは印を組んだ。
「飛雷神の術!」
数日後
火影邸、ゴクリと息をのみ、三代目火影が相対するのは、猪鹿蝶夫妻。
「な、ならん。」
微妙に詰まってしまうのは仕方のないこと。それだけの迫力が彼らにはある。
「あら、火影様?うちの人の話によれば、あの子は随分と強くなったそうじゃありませんか。」
「それに、僕達が信用できないと?」
「言いましたよね、庇護が必要な間は、暗部に身辺警護を任せ、庇護が必要なくなっても、アカデミーに通う歳に達するまでは、信頼に値する人間にしか会わせないと。」
「う・・・うむ。」
「ナルトは五歳ですよねぇ?・・・アカデミーには通えるハズですが?」
「うっ・・・うむ。」
「ましてや、暗部に在籍しているなんて・・・庇護は必要なくなっているのでは?」
「う・・・。」
「なら、私達が会わせていただけない理由を、簡潔におっしゃって下さい。」
言葉責めに三代目がいよいよぐうの音も出なくなった時、控えの間のドアが開く。
カチャリ
「じいさま。」
トタトタと歩み寄って来るのは、金髪に蒼海の色の瞳を持つ幼児。
「ナルト!」
「もー良いってば。・・・じいさまが可哀想になってきたし。」
はぁ、と溜息をつく様子は、その見た目には似つかわしくない。
「奈良上忍。・・・他には、誰にも言ってない?」
「あ・・・あぁ。」
ナルトの視線に非難の色を見つけ、シカクはたじろぐ。
「・・・そ。ならいーんだけど。」
フイッと視線をそらし、ナルトは三代目の側に立つ。
「じいさま、大丈夫?」
「すまんの。・・・ナルトや。」
「・・・別に良いけどさぁ。・・・禁術書3本ね?」
「うっ!・・・1本にまからんかの?」
「・・・3本。」
「せ・・・せめて、2本。」
「はい。成立ー。」
にっこりと笑うのは、とても可愛らしい。が、そのやりとりは、大人顔負けで。呆然と見てくる猪鹿蝶夫妻に、視線をむける。
「俺、父親の事、良く知らないけど、仲が良かったんでしょ?」
「あぁ。」
シカクが頷くのに、ナルトはにっこりと笑う。
「そう。俺、そんなに、四代目に似てる?」
「あぁ。良く似ている。」
「ふぅん・・・。あのさ、お父さんのお友達の皆さんに、お願いがあるんだけど?」
異様に迫力のある笑顔に猪鹿蝶夫妻は、ブンブンと頷いた。
二週間後
「なぁ・・・知ってるか?」
「あぁ。アレだろ?“銀の月”」
「俺の同期が暗部との合同任務で一緒になったんだけどさ・・・すげえらしいぜ。」
「フフン。俺、一緒になったもんねー。」
「えぇーっ!良いなぁ!」
「本当に綺麗だったなぁ。舞ってるみたいだった。」
「っかー!!俺も一緒の任務ついてみてぇ!」
上忍待機所“人生色々”そこで、上忍達の話に耳を傾けるのは、カカシ。
「(はー・・・ナルトのお願いの効力はスゴいねぇ。)」
猪鹿蝶夫妻を笑顔で脅し、当初の目的だった“銀の月”二つ名を広める事に協力させた。
「(いやはや・・・本当に、あの子は。)」
カカシは立ち上がる。三代目に急遽呼び出されたからだ。
「(ま、里もだいふ落ち着いてきたし、この調子なら、大丈夫かな?)」
三代目の呼び出しの理由はわかっている。
「(ナルトもアカデミー入学かぁ・・・。)」
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