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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・参:守るから・・・の続編です。
・サスケとサクラにスレバレ←2人とも妙に物分かりのいい子
・カカシはナルトが大好きです

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








 集合場所で、遅刻魔のカカシが時間通りにやってきた事に驚き、呆然とするサクラとサスケ。

 しかし、その雰囲気に、息を呑む。

「サクラ、サスケ・・・これから言うことは、口外無用だよ?」

 いつものふざけた様な間延びした口調ではなく、真剣な表情と口調。

 サクラとサスケはいつもと違う様子のカカシを見つめ、そして、未だに現れない“彼”のことを思う。

「・・・あの、先生。まだ、ナルトが・・・。」

「いいんだよ。あの子は・・・もう少し、かかるだろうからね。」

 サクラの言葉に、カカシは苦笑する。

「おい、どういうことだよ、カカシ。・・・てめぇが遅れて来ないのもおかしいが、あいつが遅刻するなんて、もっとおかしいだろうが。」

 サスケが不機嫌にのたまう。

 サスケの言うことも、もっともで。ナルトが遅刻するなど、けしてありえないことだった。

 ナルトは文句を言いつつも、任務に真摯な態度で臨んでいる。だから、遅刻などした事が無かった。・・・アカデミーでは、しょっちゅう遅刻していたというのに。

「んー・・・ナルトはね、別任務。」

「・・・・・・下忍が?単独で?」

 サクラが問うと、カカシは苦笑いを浮かべる。

「サクラ、ずっと気になってたんでしょ?」

 カカシが言えば、サクラはアッと小さく声をあげる。自分がカカシに頼んだことを思い出したのだ。

「・・・ナルトの違和感の事ですか?」

「そ。・・・理由が判明したから。2人には・・・同じ班だし、知らせておこうかと思ってな。」

「・・・まさか、わざと、ナルトが遅れてくるようにしたのか?」

 サスケが問えば、カカシは困ったように眉根を寄せる。

「んー・・・俺が仕組んだわけじゃないんだけど。でも、まあ、ナルトが来る前にとは思ってる。・・・事情が事情だからね。」

― もし、望みと反対の反応が返ってきたら・・・始末をしておかないといけないからね。

 カカシの唯一の感情が表れる右目に、剣呑な光が宿る。

「・・・カカシ?」

 その空気に気付いたのはサスケ。さすがにあの事件を体験しているから、“殺気”には敏感なのだろう。

「・・・落ち着いて聞いてね。」

― ほんの少しでも、忌避するようなら・・・。その時は。

「カカシ先生・・・さっきからおかしいわよ。」

 サクラも不安げに視線を揺らす。カカシのいつにない様子に、怯えているのだ。

「落ち着くのはてめぇだろうが、ウスラトンカチ。・・・さっきからなんで殺気立ってやがる。」

 サスケの呆れた視線と物言いに、カカシは肩を竦める。

「あれ、気付いた?・・・まあ、今から話すことを聞いたら、嫌でもわかるよ。」

 へらりと笑うが、その気配は鋭いまま。

「一体何なんだよ。・・・ナルトの違和感の理由が、そんなにまずい事なのか?」

 サスケは眉根を寄せる。今日のカカシは挙動不審すぎる。

「・・・そうだねぇ。・・・サスケは13年前の事件のことは知ってる?」

「ああ。知ってるぜ。・・・この里の人間なら、誰でも知ってることだろ?・・・四代目火影が九尾を倒した英雄譚。」

 そう。里の誰もが知っている。だが、ある一定の年齢以下の者達は知らない事実。

「そう。英雄だよ。四代目はね。・・・でも、その影にもう1人の英雄がいたことは知らないでしょ?」

「・・・もう1人の英雄?」

「そう。・・・四代目はね。1人で九尾を倒すことができなかったんだ。だから、九尾のチャクラを陰と陽の2つに分けて、陰のチャクラを自らの命をかけて滅ぼし、陽のチャクラをある人物の中に封印した。」

「・・・カカシ先生、それって・・・。」

 話の流れを読んだのはサクラ。

「サクラはわかったみたいだけど・・・その人物こそがナルトなんだよ。」

「・・・ナルトに、九尾が封印された・・・大人どもがナルトに向ける視線の理由はそれか。・・・カカシ、てめぇ、俺達が同じ様な反応を示すとでも思ったのかよ。」

 ジロリ、と睨むサスケの視線を心地よいと感じながら、カカシは素直に頷く。

「そうだ。人の心っていうのは、一番予測しにくいものだからな。・・・でもね、本当に心配してるのは、この続きを聞いたお前達の反応。」

「・・・続きがあるんですか?」

 サクラが促す。どうやら、2人ともナルトに九尾が封印されていること自体は何とも思っていないらしい。

「そう。それが、サクラの感じた違和感の正体だよ。・・・ナルトは・・・実力を偽っている。」

 カカシはポツリポツリと話し出す。

「・・・今ほどに里の復興がなされていない頃。・・・あの子はただ九尾を封じられたというだけで、里人からの憎しみを一身に受けた。・・・一般人だけじゃない。忍もだ。・・・それが、行動に移れば、どんなことになるかは想像がつくだろう?」

 コクリ、と殊勝にも頷く2人をチラリと見、カカシは話を続ける。

「あの子は、自分で自分を守るしかなかった。三代目がどんなに心を砕いていても、限界がある。ちょっと目を放した隙に、血だらけになっていることなんて、しょっちゅうだったそうだよ。」

「・・・そんな・・・ナルトは何もしてないのに。」

 サクラが呻くように呟く。

「そう。・・・でも、だからこそナルトは強くなった。皮肉だね。・・・直接ナルトに力を与えたのは九尾だけれど、間接的に強くしたのはこの里の人間だ。」

 自嘲するカカシ。その様子に、サクラとサスケはうつむく。

 その事に今まで気付かなかった。いや、気付こうとしなかった自分に嫌気がさしている。

「私達、何見てたんだろう・・・里の人がナルトに向ける視線が冷たいことは知ってたのに。」

「・・・そうだねぇ・・・俺も、その事実を知りながらも深くは知ろうとしなかった。だから、気付かなかった。あの子の真実に。」

「・・・実力を偽っているって言ったな?・・・なら、あいつはどれくらい強いんだ?」

 サスケが問う。力を求めるサスケだからこそ、ナルトの実力は気になるのだろう。

「・・・どれくらい、か・・・そう、だねぇ・・・。」

 カカシは答えを渋っているようだった。

「・・・それは、俺が話そうか。」

 背後からかかった声。それは、いつもの彼のトーンではなかった。

「・・・っ、ナルト・・・。」

 目を見開くカカシに、ナルトは苦笑を浮かべる。

「・・・朝っぱらからじっちゃんに呼ばれたかと思ったら、大量の任務にこんにちはーだもんな。・・・しかも、簡単なくせに時間ばっかりかかるヤツ。何かあると思っても当然だろ?」

「・・・任務、全部終わったのか?」

「・・・俺を誰だと思ってる?」

 カカシがおずおずと尋ねると、ナルトはそのカカシを威圧するかのように睥睨する。

「うっ・・・“銀の月”蒼藍様、デス・・・。」

 がっくりと肩を落としたカカシの発言に、サクラとサスケがギョッと目を見開く。

「ぎ、“銀の月”だと!?」

 サスケがあげた声に、ナルトがそちらに視線を向ける。

「ああ、サスケは知ってるか。・・・サクラちゃんは?」

「この里で“銀の月”を知らない人がいたら、もぐりでしょ!」

 間髪いれず返事が返ってきて、ナルトはホケッとする。

「・・・あ・・・そうなんだ。」

「もー・・・ナルト、自分の事知らなすぎだよー。」

 火影と並び称され、敵忍からは恐怖の対象にされている。それが、どういう意味なのか、ナルト自身わかっていない。

「蒼藍様・・・“銀の月”は、皆の憧れなんだよ。」

「・・・憧れ?・・・俺が?」

 クツリ、と笑うその顔は皮肉るように歪んでいる。

「ナルト・・・ホントだよ?」

 苦笑するカカシに、ナルトは大きな溜息をつく。

「・・・だとしたら、カワイソウだな。・・・上層部だって、俺が蒼藍だと知ったら、すぐに抹殺命令を出すに決まってるのに。」

「そんな!!」

「・・・まあ、そうだろうね。」

 サクラの叫びにかぶせるようにカカシが肯定の言葉を吐き出す。

「先生!」

「本当にそうなると思うよ、サクラちゃん。」

「・・・え?」

「・・・なんで未だに、監視の目があるのか・・・それは、九尾の暴走に怯えてるからだ。そんなとこに“実は俺が蒼藍です”なんて言ったら、どうなると思う?」

「・・・九尾の暴走と捉えられて・・・抹殺される、か。」

 黙っていたサスケが口を出す。それに頷くと、ナルトはね?とカカシを振り返る。

「・・・俺は上層部に報告しなーいよー。」

 視線を向けられたカカシは、困ったように眉根を寄せる。

「知ってる。上層部は里一番の業師であるカカシせんせに任せておけば安心だと思ってるんだよ。九尾が暴走したら、被害が広まる前に殺せって言われてるんじゃない?」

「・・・まあ、ね。」

「そんな!上層部の人達は人の命をなんだと思ってるの!?」

「それが現状なんだよ、サクラ。」

 サクラの不満の声に答えたのはカカシ。

「そうなんだろうな。・・・うちはの事件も、あっさりと書類一枚で片付けられた。里の体面が一番なんだ。だから、ヤツに対しての追っ手もおざなりだった。返り討ちにあって、里の戦力が減少することを恐れたんだろう。」

 カカシの肯定を聞いて、サスケは悟りきったような表情を浮かべる。

「・・・ふぅん、意外と冷静なんだな。もうちょっと、突っ走ってると思った。」

 ナルトがニヤリと笑うのを見て、サスケはひょい、と肩をすくめる。

「まあ、な。・・・ちょっと前まではあまり冷静には語れなかっただろうな。・・・今は、復讐より大切なものに気付いたから。」

 思い出すのは、復讐のために生きると誓った思いを打ち払って、命を顧みずにナルトをかばった波の国の一件。

 あの時、己にも“まだ”大切なものがあると気付いた。それを気付かせてくれたのは、目の前にいる“仲間”だった。

「そっか。・・・でも、なんで、皆、俺のこと責めないのかなぁ・・・騙してたのに。」

「ナルト・・・。」

 ナルトの言葉に、カカシが悲しそうに名を呟く。

「・・・ナルト。」

 パンッ

 サクラに硬い声音で呼ばれたかと思ったら、平手が飛んできて右の頬をはたかれた。

「サクラ!」

 ギョッとしてカカシがその名を呼ぶ。

「二度とそんな事、言わないで。事情はわかったわ。・・・簡単に話せる事情ではないことぐらいわかるわよ。“騙した”なんて・・・そんな事・・・っ。」

 その目に浮かぶ涙に、ナルトは困惑する。

「サクラ、ちゃん。・・・どうして、泣いてるの?」

「あんたがっ・・・そんな事、言うからっ・・・。」

 上擦るサクラの言葉に、ますます困惑をするナルト。

 カカシは苦笑を漏らし、その頭を撫ぜる。

「サクラは悔しいんだよ。ナルトにそう思わせてしまう事がね。」

「・・・そうなの?」

「そうなの。」

 ことりと首を傾げるナルトを可愛いと思いつつ、カカシはその頭を撫で続ける。

「そっか・・・。」

「ナルト、俺達は仲間だろ。・・・もう少し、信じろよ。」

 サスケのその言葉に、カカシやナルトはもちろん、泣いていたサクラでさえ涙を引っ込ませてギョッとする。

「・・・なんだよ。」

 むっとするサスケに、カカシが答える。

「いや・・・サスケからそんな言葉を聞くとはねー・・・。」

「・・・サスケに言われたくないってばよ。」

 動揺のあまり、“普段”の口調になっているナルトに、サクラも思わず同意する。

「・・・確かに。」

「・・・おい・・・。」

 サスケはと言うと、眉間にしわを寄せ、口元を引き攣らせる。

「・・・ぷっ・・・あははははっ・・・クックッ・・・。」

 突如笑い出すナルトに、サスケの眉間のしわが更に深くなる。

「笑うな。」

「っふ。・・・はははっ・・・らしくないことっ、・・・言うからだろ?」

「うるせぇ・・・///」

 自覚はあるらしい。頬をほんのりと赤く染めたサスケは、フイっと視線を逸らす。

「・・・まー、これで、一件落着かな?」

 フッと息をつき、カカシは体の力を抜いた。

「これからよ。・・・これから、私達は本当の仲間になっていくんでしょ。・・・ね、ナルト。」

 サクラが赤い目のまま、微笑む。

「・・・うん。・・・そうだね。サクラちゃん。サスケ・・・これからも、よろしくな!!」

 にっこり。

「・・・あーー、もうっ、ナルト、ほんっとに、かわいいんだから!!!」

「ぎゃあっ!」

「はわぇっ!?」

 がばっと抱きついたカカシ。しかし、とっさにナルトはいつものように行動してしまう。すなわち、実力を隠さなくていいという安心感から、本気を出してしまったわけだ。

 軽々と自分の倍はあるカカシを背負い投げ、すばやくクナイをホルダーから引き抜き、その喉元にあてる。

「・・・ひ、一言、忠告しておく・・・後ろから、抱きつくな。」

 今の状況に目をグルグルとさせながら、ナルトが言うと、ガクガクとカカシが首を振る。



「なんか、うまくやっていけるのか・・・すごーく、心配になってきたんだけど・・・。」

「奇遇だな・・・俺もだ。」

 ナルトとカカシを見つめながら、サクラとサスケは、がっくりと肩を落としたのだった。


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