Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・スレナルのスレバレ(最年少暗部設定)
・サスケもシカマルも何も知りませーん
・オリジナルキャラ(千坐)が出てきまーす
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
暗部の休憩所
「カカシ君・・・俺、もう、飽きた。」
「・・・は?」
ソファーに深く腰掛け、ぼそりと呟いたナルトに、カカシはポカン、とする。
「だーかーらーぁ、飽きたって言ってるの!」
「・・・あのね、訊いて良い?・・・飽きたって、何に?」
恐る恐る訊ねるカカシに、ナルトはキッパリ答えた。
「決まってんじゃん。下忍の演技するのがだよ。」
「・・・ちょ、ちょっと・・・いきなりなんで・・・。」
「もー面倒~。やだ~。」
いつになく駄々をこねるナルトに、カカシも困りきってしまう。
「ナルト~?」
「・・・どうした?」
そこに、騒ぎを聞きつけて、千坐がやってくる。
「ああ~千坐~お前も何とか言ってやって~!!」
カカシに泣きつかれ、千坐は溜息をつく。
「こんな駄々こねて・・・どうしたんだ?ナルト。」
「サスケとケンカするのヤダ。」
「あ~・・・イタチに似てるしね、あの子。でも、それだけで?」
「違くて~・・・カカシ君の事、遅刻魔みたいに言うのもヤだし、バカやるのも飽きた。とにかく、いろいろヤなの!!」
「・・・そ、そうなのか。」
千坐は言い返すことが出来ずに、思わず納得してしまう。
「ちょっと、千坐~!!?」
焦るカカシに、千坐は悲壮な表情を浮かべ、ポン、と肩を叩く。
「頑張れ、カカシ。」
「ギャ~!!見捨てるな!千坐!・・・というか、ズルイぞ!」
「うるさい!お前が上手く扱ってやらないから、ナルトがストレス溜まって、爆発してるんだろ!」
騒ぐ2人をよそに、ナルトはよしっと小さく呟いて立ち上がり、時空間忍術の印を組む。
「じいさまに言ってこよ~。」
「「はっ!ちょっと待て!!」」
カカシと千坐が止めるのも一瞬遅く、ナルトはその場から姿を消してしまう。
「わ~!!!三代目がナルトの頼みにダメって言えるわけないじゃない!!」
「と、とにかく、三代目の所に!」
ワタワタと慌てて瞬身の術を使い、ナルトを追う。
火影執務室
「ね、じいさま。良いでしょ!?」
完全におねだりモードのナルトに、三代目はただただ唖然とするばかりで、目を白黒させている。
「な、ナルト・・・。」
「ね~ぇ、良いじゃ~ん!」
猫なで声のナルトに、ついつい爺バカの三代目は頷いてしまう。
「わ、わかった。いいじゃろう。お主の好きにしなさい。」
「「ちょ、ちょっと待ったー!!!」」
「ざーんねーん、もう、許可貰っちゃったもんねー!」
にっこりと笑ったナルトは、ぜいぜいと執務室に走り込んできたカカシと千坐に非情にもそう宣言したのだった。
翌日
「・・・今日は雨かしら。」
不信感たっぷりに自分を見つめるサクラに、カカシは深い溜息をつく。
「サクラ・・・あのね。俺だって、いつも遅刻するわけじゃないのよ。」
「フン・・・どういった風の吹き回しだ?」
サスケまでそう言い出したので、流石のカカシも肩をがっくりと落とす。
「・・・可愛くないね、お前ら。」
「自業自得だろ、普段真面目にやってりゃ、こんな事は言われねーだろうがよ。」
くつくつと笑うのはアスマ。
「そうよね。・・・まったく、情けない。」
呆れているのは紅。
なぜか、合同の任務を言い渡された7・8・10班の3班。間違いなく、ナルトが三代目にやらせたのだろうと思うと、なんだかやるせない。
「そーいや、ナルトはどうしたんスか?」
「へっ!?・・・ナ、ナルト!?」
シカマルに訊ねられ、カカシは声を上擦らせる。
「そういえば、遅いわね~。」
イノがのびをすると、バリバリとお菓子を頬張っていたチョウジもコクリと頷く。
「うん・・・(もぐもぐ)。」
カカシは何もナルトから聞かされていない為に、頭を抱えてしまう。
「・・・そのうち来るでしょ。・・・たぶん。」
黄昏てしまうカカシに、その場にいる全員が不審げに視線を向ける。
「おい、カカシ・・・お前、ナルトが何してるのか知ってるのか?」
勘の鋭いサスケがカカシを睨む。
「・・・それは・・・。」
「ちょっと!カカシ先生!?」
何だかんだ言いつつ、ナルトを気にかけているサクラがカカシに掴みかかる。
「・・・し、知らないって、ホントだよ!ナルトは俺になんにも言わないから!・・・なんか、三代目と相談してたみたいだけど、俺は知らないから~!!!」
そこまで言って、カカシはハッと口を手で塞ぐ。
「・・・三代目と相談?」
アスマが訊く。
「どういうことよ、カカシ。」
紅が睨みを利かせて、カカシに詰め寄る。
「(ひー!!)」
カカシは余計な事を口走った自分を呪いながら、じりじりと後退りをして足を縺れさせて、その場に尻餅をつく。その瞬間、一瞬もれた良く知る気配に気付く。どうやら、笑い過ぎて気配を一瞬もらしてしまったらしい。
ちらりとそちらを見れば、腹を抱えて笑う蒼藍(ナルト)の姿。
「(死なばもろとも!)・・・ちょっと!笑ってないで助けてよ!蒼藍!!」
カカシが見上げた先にいた蒼藍は、ギョッとして下を見下ろし、一瞬もらした気配を読み取ったカカシに内心で舌打ちをする。
「・・・しょうがないなぁ。カカシ君は。」
トン、とその場に下りてきた、暗部の面をつけた銀髪の男に、紅もアスマもギョッとする。
「・・・ま、まさか、白狐の面に銀髪って・・・。」
「“銀の月”!?」
アカデミー生でも知っている二つ名だ。下忍達もワラワラと駆け寄ってくる。
「マジで!?スッゲー!」
素直に口に出したのは、キバ。その他の下忍達も蒼藍を見る目はキラキラと輝いている。
「・・・そもそも、蒼藍が悪い!いきなりあんな駄々こねるから!」
ゆらり、と立ち上がったカカシがビシッと蒼藍を指さすと、負けじと蒼藍も言い返す。
「だって、今まで我慢してたんだよ!?・・・いい加減、ウンザリするって!」
突如、言い合いを始めた2人を見て、全員の頭に疑問符が浮かぶ。
「だからって、何コレ!・・・俺に説明があっても良いんじゃない!?」
「説明したら、カカシ君、今みたいにボロ出しかねないもん!」
「うっ・・・そ、それは。」
「下忍担当上忍になったからって、気ィ抜きすぎ!いつも以上にオビトさんの墓参りが長くなってるし!大方、自分が犯したミスを思い出して、長々と黄昏てんだろうけど!!」
「た、黄昏てなんかっ;・・・いるけど。でも、コレとソレとでは、話が別でしょ!」
言い合いが止まらない。なんだか“コピー忍者”と“銀の月”のイメージがガラガラと崩れていく気がするのは、気のせいではないだろうと思う。
「お、おい、カカシ・・・どうなってんだ、こりゃ。」
ついに痺れを切らし勇気ある行動に出たのは、アスマだった。里の実力者である2人の睨み合いのど真ん中に突っ込むのは、命がけなのだから。
「・・・あ、ああ。えーと・・・。」
「こんにちは、アスマさん。紅さんも。・・・こうやってお話するのは始めてですよね?」
しどろもどろのカカシを押し退け、蒼藍が話しかけてくる。
若いとは思っていたが、声音からして、自分達より若いだろうと気付いて、嘆息する。
「あ、ああ。・・・しかし、里最強の忍がこんなに若いとはなー。」
本当はもっと若い。とはカカシの心の中の科白である。が、ナルトが何を考えているのかわからない以上、余計な発言は無用とばかりに先程から口を貝のように閉ざしている。
「フフ、まあ、3歳くらいから、暗部の任務に勝手に着いて行ってましたから、力も自ずとつくでしょう。」
「3歳!?・・・すっげー。」
またもキバが歓声をあげる。その脇で、サスケが思案顔でこちらを見ているのに気付く。
「・・・何か?・・・うちはサスケくん?」
「暗部って事は、現役時代のカカシや・・・イタチの事を知ってるんだな?」
「んー?・・・カカシ君は今でも現役暗部だよ。・・・イタチ君は・・・そうだね、仲が良かったから。よく知ってる。」
イタチの事を言った瞬間、サスケが動揺したのがわかった。だから、このまま続けようと思う。
「ねえ、知りたい?・・・あの事件の真相。」
「蒼藍!!・・・里の重要機密だ!一下忍に話して良いことじゃない!」
カカシが止めるのに、蒼藍は一瞬本気で殺気をカカシに向ける。
「~っ!!」
さすがに、ここまでの殺気を向けられた事が無かった為に、カカシも油断していたものだから堪らない。
がくり、とカカシはその場に膝をつく。蒼藍の本気での殺気は、それこそ、一般人なら、失神どころか、心臓発作でも起こして死にかねない。カカシだからこそ、この程度で済んでいるのだ。
「カカシ君は黙っててよ。・・・じいさまの許可もある。」
「・・・さ、三代目の・・・。」
許可なんて、ナルトが本気で脅せば、いくらだって貰えるじゃない。とは言えなかった。目が本気だ。邪魔するなら、容赦なく叩き潰されそうだった。
カカシとしては、これ以上ナルトを怒らせて、後で仕返しされるのも恐ろしいので、とりあえず降参と両手をあげる。
「ねえ、どうする?・・・知りたいなら、教えてあげる。」
「・・・教えろ・・・。」
ギロリ、とこちらを睨む写輪眼。
「・・・ホント、イタチ君にそっくり。・・・やっぱり、兄弟だね。」
クスと笑い、蒼藍は人前で滅多に外さない面を取る。現れた顔は酷く綺麗で、銀色の髪と赤い瞳が神秘的ですらある。
「教えてあげるよ。俺の知る限りの、真相を。」
蒼藍は語り始める。実は、イタチの親友であった“シスイ”が巨大犯罪組織と繋がっていて、木ノ葉の情報を流していた事。
そして、うちは一族もまた一族総出で、火影に対し反乱を企てていたという事。そして、あの事件を起こしたのは“うちはマダラ”という男で、彼の本当の狙いはサスケだったのだが、イタチ自身が寝返るという事で諦めさせた事。その寝返りも任務の一環である事。
全てを語り終えた蒼藍は、呆然と話を聞いていたサスケを、心配そうに見やる。
「・・・じゃあ、兄さんは。」
幼い頃の呼び方に戻っている。サスケ自身、今の話を理解したという現われだろう。
「そう。イタチ君は何にも悪くない。・・・だから、復讐なんて考えるのはやめておけ。」
柔らかい声と眼差しで言い聞かせるようにサスケに告げる。それを見ていたカカシは、コレがナルトが駄々をこねた一番の理由なのかもしれないと考える。
「・・・サスケ君・・・。」
周りにいた下忍や、一部の事情しか知らなかった担当上忍たちも心配そうにサスケを見つめ、サクラがサスケの腕に触れる。
「・・・わかった。・・・教えてくれて、その・・・ありがとう。」
蒼藍を見上げるサスケの表情は焦りも怒りも悲しみもすべてが消え去って、スッキリとしていた。
「うん。良かった。・・・これで、心置きなく、こちらの事も話せる。」
「ちょっ!・・・イタチの事だけじゃないの!?・・・やっぱり、お前の事まで話しちゃうわけ!?」
カカシがガシッと蒼藍の両肩を掴む。
「あはは!最初から、言ってるじゃん!・・・もう、下忍を演じるのは、めんどくさいって。イタチ君の事はついでだってばよ~。」
― ん?
と全員が耳を疑う。今、何か、すッごく聞きなれた口癖が蒼藍から発せられなかったか?しかも、下忍を演じるとか・・・。
「ちょ、ちょいまて・・・まさか・・・。」
頭が良いシカマルはさっそく気付いたようだった。それにニヤリと笑って見せると、蒼藍は変化の術解の印を結ぶ。
「あ゛~っ!!!!」
カカシの絶叫が辺りに響き渡る。
変化の術特有の煙の中から出てきたのは、この場にいなかった、唯一の同期。
「ナルト?」
サクラが呆然と呟く。サスケはあんぐりと口を開け、チョウジはお菓子の袋を落とし、イノは固まり、ヒナタは真っ赤に顔を染め、キバは目を真ん丸くし、シノは・・・無表情(たぶん、ビックリはしている)。唯一、シカマルのみが、納得したように頷く。
「やっぱりそうか。」
「ん~!良い反応!・・・ってか、シカマルもびっくりしろよ~。つまんないじゃん。」
「あん?なんで、俺が驚かなきゃなんねーんだよ、めんどくせー・・・。」
「ぶー。これだから、頭の良いヤツは。」
ブツブツというナルトに、ようやく皆がのろのろと反応を始める。
「ま、まって・・・話に、ついていけない。」
サクラが頭を抱える。
「・・・3歳から暗部について行ってた?あのドベっぷりは演技?・・・なんでそんな事する必要がある!?」
サスケが叫ぶ。その疑問も最もで、皆がうんうんと頷く。
「・・・俺、強くなっちゃ、いけないんだ。」
ポツリ、とナルトが呟く。訊き出す気満々だった皆がピタリと止まる。
「なんで、暗部と行動を共にしてると思う?俺だって、最初から強かったわけじゃない。・・・暗部は俺の監視と護衛を命じられていた。そんな扱いをされる理由は、俺が、里の中で最も危険な存在だから。いわば、俺は諸刃の剣。使いようによっては、味方すら傷つける。」
それだけで察したのは、担当上忍の2人。同期の下忍たちはまだわかっていない。
「・・・俺が強いと知れると、里の人達が怖がるから。だから、無害な子どもを演じてる。でも、もう、疲れちゃったから・・・だから、せめて、お前達の前だけでもって。」
どんどんと声が小さくなり、ナルトはすっかりとうつむいてしまった。その肩を抱き、カカシは溜息をつく。
「もー、自分で言ってて傷つかないの。・・・だから、やめろって言ったのに。」
その声は心配で堪らないといった風で。カカシは子ども達の様子をちらりと確認する。
「・・・理由は聞かねー方が良いんだな?」
「ごめん、まだ、そこまで言う自信が無い。」
シカマルの問いに頷くナルト。その蒼海を映したような蒼い瞳をゆらゆらと彷徨わせている。
「いつか、話せよ。話せるようになったらな。」
ニッとシカマルが笑う。ナルトはその顔にホッとしたのか、安堵の笑みを浮かべる。その頭をサスケが軽く叩く。
「ウスラトンカチ・・・もう、無理に演じなくて良いからな。」
「・・・ありがと、サスケ。」
にっこりと笑う。それに母性本能をくすぐられた女子達と、可愛い、と顔を真っ赤にした男子達。
「(だから嫌だったんだよ。ナルトはミナト先生に似て、天然たらしなんだから・・・!)」
ぽ~っとする下忍達を見つめながら、ナルトの肩を抱きつつ、不機嫌そうに眉を顰めるカカシがいたとかいなかったとか。
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暗部の休憩所
「カカシ君・・・俺、もう、飽きた。」
「・・・は?」
ソファーに深く腰掛け、ぼそりと呟いたナルトに、カカシはポカン、とする。
「だーかーらーぁ、飽きたって言ってるの!」
「・・・あのね、訊いて良い?・・・飽きたって、何に?」
恐る恐る訊ねるカカシに、ナルトはキッパリ答えた。
「決まってんじゃん。下忍の演技するのがだよ。」
「・・・ちょ、ちょっと・・・いきなりなんで・・・。」
「もー面倒~。やだ~。」
いつになく駄々をこねるナルトに、カカシも困りきってしまう。
「ナルト~?」
「・・・どうした?」
そこに、騒ぎを聞きつけて、千坐がやってくる。
「ああ~千坐~お前も何とか言ってやって~!!」
カカシに泣きつかれ、千坐は溜息をつく。
「こんな駄々こねて・・・どうしたんだ?ナルト。」
「サスケとケンカするのヤダ。」
「あ~・・・イタチに似てるしね、あの子。でも、それだけで?」
「違くて~・・・カカシ君の事、遅刻魔みたいに言うのもヤだし、バカやるのも飽きた。とにかく、いろいろヤなの!!」
「・・・そ、そうなのか。」
千坐は言い返すことが出来ずに、思わず納得してしまう。
「ちょっと、千坐~!!?」
焦るカカシに、千坐は悲壮な表情を浮かべ、ポン、と肩を叩く。
「頑張れ、カカシ。」
「ギャ~!!見捨てるな!千坐!・・・というか、ズルイぞ!」
「うるさい!お前が上手く扱ってやらないから、ナルトがストレス溜まって、爆発してるんだろ!」
騒ぐ2人をよそに、ナルトはよしっと小さく呟いて立ち上がり、時空間忍術の印を組む。
「じいさまに言ってこよ~。」
「「はっ!ちょっと待て!!」」
カカシと千坐が止めるのも一瞬遅く、ナルトはその場から姿を消してしまう。
「わ~!!!三代目がナルトの頼みにダメって言えるわけないじゃない!!」
「と、とにかく、三代目の所に!」
ワタワタと慌てて瞬身の術を使い、ナルトを追う。
火影執務室
「ね、じいさま。良いでしょ!?」
完全におねだりモードのナルトに、三代目はただただ唖然とするばかりで、目を白黒させている。
「な、ナルト・・・。」
「ね~ぇ、良いじゃ~ん!」
猫なで声のナルトに、ついつい爺バカの三代目は頷いてしまう。
「わ、わかった。いいじゃろう。お主の好きにしなさい。」
「「ちょ、ちょっと待ったー!!!」」
「ざーんねーん、もう、許可貰っちゃったもんねー!」
にっこりと笑ったナルトは、ぜいぜいと執務室に走り込んできたカカシと千坐に非情にもそう宣言したのだった。
翌日
「・・・今日は雨かしら。」
不信感たっぷりに自分を見つめるサクラに、カカシは深い溜息をつく。
「サクラ・・・あのね。俺だって、いつも遅刻するわけじゃないのよ。」
「フン・・・どういった風の吹き回しだ?」
サスケまでそう言い出したので、流石のカカシも肩をがっくりと落とす。
「・・・可愛くないね、お前ら。」
「自業自得だろ、普段真面目にやってりゃ、こんな事は言われねーだろうがよ。」
くつくつと笑うのはアスマ。
「そうよね。・・・まったく、情けない。」
呆れているのは紅。
なぜか、合同の任務を言い渡された7・8・10班の3班。間違いなく、ナルトが三代目にやらせたのだろうと思うと、なんだかやるせない。
「そーいや、ナルトはどうしたんスか?」
「へっ!?・・・ナ、ナルト!?」
シカマルに訊ねられ、カカシは声を上擦らせる。
「そういえば、遅いわね~。」
イノがのびをすると、バリバリとお菓子を頬張っていたチョウジもコクリと頷く。
「うん・・・(もぐもぐ)。」
カカシは何もナルトから聞かされていない為に、頭を抱えてしまう。
「・・・そのうち来るでしょ。・・・たぶん。」
黄昏てしまうカカシに、その場にいる全員が不審げに視線を向ける。
「おい、カカシ・・・お前、ナルトが何してるのか知ってるのか?」
勘の鋭いサスケがカカシを睨む。
「・・・それは・・・。」
「ちょっと!カカシ先生!?」
何だかんだ言いつつ、ナルトを気にかけているサクラがカカシに掴みかかる。
「・・・し、知らないって、ホントだよ!ナルトは俺になんにも言わないから!・・・なんか、三代目と相談してたみたいだけど、俺は知らないから~!!!」
そこまで言って、カカシはハッと口を手で塞ぐ。
「・・・三代目と相談?」
アスマが訊く。
「どういうことよ、カカシ。」
紅が睨みを利かせて、カカシに詰め寄る。
「(ひー!!)」
カカシは余計な事を口走った自分を呪いながら、じりじりと後退りをして足を縺れさせて、その場に尻餅をつく。その瞬間、一瞬もれた良く知る気配に気付く。どうやら、笑い過ぎて気配を一瞬もらしてしまったらしい。
ちらりとそちらを見れば、腹を抱えて笑う蒼藍(ナルト)の姿。
「(死なばもろとも!)・・・ちょっと!笑ってないで助けてよ!蒼藍!!」
カカシが見上げた先にいた蒼藍は、ギョッとして下を見下ろし、一瞬もらした気配を読み取ったカカシに内心で舌打ちをする。
「・・・しょうがないなぁ。カカシ君は。」
トン、とその場に下りてきた、暗部の面をつけた銀髪の男に、紅もアスマもギョッとする。
「・・・ま、まさか、白狐の面に銀髪って・・・。」
「“銀の月”!?」
アカデミー生でも知っている二つ名だ。下忍達もワラワラと駆け寄ってくる。
「マジで!?スッゲー!」
素直に口に出したのは、キバ。その他の下忍達も蒼藍を見る目はキラキラと輝いている。
「・・・そもそも、蒼藍が悪い!いきなりあんな駄々こねるから!」
ゆらり、と立ち上がったカカシがビシッと蒼藍を指さすと、負けじと蒼藍も言い返す。
「だって、今まで我慢してたんだよ!?・・・いい加減、ウンザリするって!」
突如、言い合いを始めた2人を見て、全員の頭に疑問符が浮かぶ。
「だからって、何コレ!・・・俺に説明があっても良いんじゃない!?」
「説明したら、カカシ君、今みたいにボロ出しかねないもん!」
「うっ・・・そ、それは。」
「下忍担当上忍になったからって、気ィ抜きすぎ!いつも以上にオビトさんの墓参りが長くなってるし!大方、自分が犯したミスを思い出して、長々と黄昏てんだろうけど!!」
「た、黄昏てなんかっ;・・・いるけど。でも、コレとソレとでは、話が別でしょ!」
言い合いが止まらない。なんだか“コピー忍者”と“銀の月”のイメージがガラガラと崩れていく気がするのは、気のせいではないだろうと思う。
「お、おい、カカシ・・・どうなってんだ、こりゃ。」
ついに痺れを切らし勇気ある行動に出たのは、アスマだった。里の実力者である2人の睨み合いのど真ん中に突っ込むのは、命がけなのだから。
「・・・あ、ああ。えーと・・・。」
「こんにちは、アスマさん。紅さんも。・・・こうやってお話するのは始めてですよね?」
しどろもどろのカカシを押し退け、蒼藍が話しかけてくる。
若いとは思っていたが、声音からして、自分達より若いだろうと気付いて、嘆息する。
「あ、ああ。・・・しかし、里最強の忍がこんなに若いとはなー。」
本当はもっと若い。とはカカシの心の中の科白である。が、ナルトが何を考えているのかわからない以上、余計な発言は無用とばかりに先程から口を貝のように閉ざしている。
「フフ、まあ、3歳くらいから、暗部の任務に勝手に着いて行ってましたから、力も自ずとつくでしょう。」
「3歳!?・・・すっげー。」
またもキバが歓声をあげる。その脇で、サスケが思案顔でこちらを見ているのに気付く。
「・・・何か?・・・うちはサスケくん?」
「暗部って事は、現役時代のカカシや・・・イタチの事を知ってるんだな?」
「んー?・・・カカシ君は今でも現役暗部だよ。・・・イタチ君は・・・そうだね、仲が良かったから。よく知ってる。」
イタチの事を言った瞬間、サスケが動揺したのがわかった。だから、このまま続けようと思う。
「ねえ、知りたい?・・・あの事件の真相。」
「蒼藍!!・・・里の重要機密だ!一下忍に話して良いことじゃない!」
カカシが止めるのに、蒼藍は一瞬本気で殺気をカカシに向ける。
「~っ!!」
さすがに、ここまでの殺気を向けられた事が無かった為に、カカシも油断していたものだから堪らない。
がくり、とカカシはその場に膝をつく。蒼藍の本気での殺気は、それこそ、一般人なら、失神どころか、心臓発作でも起こして死にかねない。カカシだからこそ、この程度で済んでいるのだ。
「カカシ君は黙っててよ。・・・じいさまの許可もある。」
「・・・さ、三代目の・・・。」
許可なんて、ナルトが本気で脅せば、いくらだって貰えるじゃない。とは言えなかった。目が本気だ。邪魔するなら、容赦なく叩き潰されそうだった。
カカシとしては、これ以上ナルトを怒らせて、後で仕返しされるのも恐ろしいので、とりあえず降参と両手をあげる。
「ねえ、どうする?・・・知りたいなら、教えてあげる。」
「・・・教えろ・・・。」
ギロリ、とこちらを睨む写輪眼。
「・・・ホント、イタチ君にそっくり。・・・やっぱり、兄弟だね。」
クスと笑い、蒼藍は人前で滅多に外さない面を取る。現れた顔は酷く綺麗で、銀色の髪と赤い瞳が神秘的ですらある。
「教えてあげるよ。俺の知る限りの、真相を。」
蒼藍は語り始める。実は、イタチの親友であった“シスイ”が巨大犯罪組織と繋がっていて、木ノ葉の情報を流していた事。
そして、うちは一族もまた一族総出で、火影に対し反乱を企てていたという事。そして、あの事件を起こしたのは“うちはマダラ”という男で、彼の本当の狙いはサスケだったのだが、イタチ自身が寝返るという事で諦めさせた事。その寝返りも任務の一環である事。
全てを語り終えた蒼藍は、呆然と話を聞いていたサスケを、心配そうに見やる。
「・・・じゃあ、兄さんは。」
幼い頃の呼び方に戻っている。サスケ自身、今の話を理解したという現われだろう。
「そう。イタチ君は何にも悪くない。・・・だから、復讐なんて考えるのはやめておけ。」
柔らかい声と眼差しで言い聞かせるようにサスケに告げる。それを見ていたカカシは、コレがナルトが駄々をこねた一番の理由なのかもしれないと考える。
「・・・サスケ君・・・。」
周りにいた下忍や、一部の事情しか知らなかった担当上忍たちも心配そうにサスケを見つめ、サクラがサスケの腕に触れる。
「・・・わかった。・・・教えてくれて、その・・・ありがとう。」
蒼藍を見上げるサスケの表情は焦りも怒りも悲しみもすべてが消え去って、スッキリとしていた。
「うん。良かった。・・・これで、心置きなく、こちらの事も話せる。」
「ちょっ!・・・イタチの事だけじゃないの!?・・・やっぱり、お前の事まで話しちゃうわけ!?」
カカシがガシッと蒼藍の両肩を掴む。
「あはは!最初から、言ってるじゃん!・・・もう、下忍を演じるのは、めんどくさいって。イタチ君の事はついでだってばよ~。」
― ん?
と全員が耳を疑う。今、何か、すッごく聞きなれた口癖が蒼藍から発せられなかったか?しかも、下忍を演じるとか・・・。
「ちょ、ちょいまて・・・まさか・・・。」
頭が良いシカマルはさっそく気付いたようだった。それにニヤリと笑って見せると、蒼藍は変化の術解の印を結ぶ。
「あ゛~っ!!!!」
カカシの絶叫が辺りに響き渡る。
変化の術特有の煙の中から出てきたのは、この場にいなかった、唯一の同期。
「ナルト?」
サクラが呆然と呟く。サスケはあんぐりと口を開け、チョウジはお菓子の袋を落とし、イノは固まり、ヒナタは真っ赤に顔を染め、キバは目を真ん丸くし、シノは・・・無表情(たぶん、ビックリはしている)。唯一、シカマルのみが、納得したように頷く。
「やっぱりそうか。」
「ん~!良い反応!・・・ってか、シカマルもびっくりしろよ~。つまんないじゃん。」
「あん?なんで、俺が驚かなきゃなんねーんだよ、めんどくせー・・・。」
「ぶー。これだから、頭の良いヤツは。」
ブツブツというナルトに、ようやく皆がのろのろと反応を始める。
「ま、まって・・・話に、ついていけない。」
サクラが頭を抱える。
「・・・3歳から暗部について行ってた?あのドベっぷりは演技?・・・なんでそんな事する必要がある!?」
サスケが叫ぶ。その疑問も最もで、皆がうんうんと頷く。
「・・・俺、強くなっちゃ、いけないんだ。」
ポツリ、とナルトが呟く。訊き出す気満々だった皆がピタリと止まる。
「なんで、暗部と行動を共にしてると思う?俺だって、最初から強かったわけじゃない。・・・暗部は俺の監視と護衛を命じられていた。そんな扱いをされる理由は、俺が、里の中で最も危険な存在だから。いわば、俺は諸刃の剣。使いようによっては、味方すら傷つける。」
それだけで察したのは、担当上忍の2人。同期の下忍たちはまだわかっていない。
「・・・俺が強いと知れると、里の人達が怖がるから。だから、無害な子どもを演じてる。でも、もう、疲れちゃったから・・・だから、せめて、お前達の前だけでもって。」
どんどんと声が小さくなり、ナルトはすっかりとうつむいてしまった。その肩を抱き、カカシは溜息をつく。
「もー、自分で言ってて傷つかないの。・・・だから、やめろって言ったのに。」
その声は心配で堪らないといった風で。カカシは子ども達の様子をちらりと確認する。
「・・・理由は聞かねー方が良いんだな?」
「ごめん、まだ、そこまで言う自信が無い。」
シカマルの問いに頷くナルト。その蒼海を映したような蒼い瞳をゆらゆらと彷徨わせている。
「いつか、話せよ。話せるようになったらな。」
ニッとシカマルが笑う。ナルトはその顔にホッとしたのか、安堵の笑みを浮かべる。その頭をサスケが軽く叩く。
「ウスラトンカチ・・・もう、無理に演じなくて良いからな。」
「・・・ありがと、サスケ。」
にっこりと笑う。それに母性本能をくすぐられた女子達と、可愛い、と顔を真っ赤にした男子達。
「(だから嫌だったんだよ。ナルトはミナト先生に似て、天然たらしなんだから・・・!)」
ぽ~っとする下忍達を見つめながら、ナルトの肩を抱きつつ、不機嫌そうに眉を顰めるカカシがいたとかいなかったとか。
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