Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・過去捏造:ちびルルと朝比奈はお知り合いなど、いろいろ。
・本編の流れは軽く無視。
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
黒の騎士団・幹部達のラウンジ
珍しくゼロがラウンジのソファーに座り、資料に目を通している。それだけで、空気がピンと張りつめ、幹部達もゼロを意識してか無駄口をたたかない。
大国に反抗する組織としては良い事だと思いつつも、ゼロが本当の意味で受け入れられているわけでは無いと藤堂は感じていた。
「ねぇ、ゼロ。」
朝比奈がゼロの傍に寄り、話しかける。すっと顔(というか仮面)をあげ、ゼロ(=ルルーシュ)は朝比奈の顔を見つめる。
「・・・なんだ?朝比奈。」
「・・・作戦が終わったらさぁ、話、聞いてくれる?」
ルルーシュはもしかしなくても自分の事だろうと考えるが、ここで断っても角が立つだけだと判断し、頷く。
「構わないが、私的な事では無いだろうな?」
「・・・半分私的かもしれないけど・・・でも、騎士団にとっても悪い事じゃないと思う。」
いつになく真剣な表情をうかべる朝比奈に、内心苦笑しつつも、ルルーシュは再度頷いた。
「いいだろう。・・・作戦が終わったら時間をとる。」
「ありがとう。ゼロ。」
それを見つめていたカレンは不思議そうに首を傾げる。
「・・・一体どうしたんですか、朝比奈さん。」
近くにいた千葉に視線をやるが、千葉は曖昧に頷くだけで明確な答えを返さない。
「ああ、少しな。」
「・・・藤堂さん?」
その反応を見て、今度は扇が藤堂を見つめる。
「・・・好きにさせてやってくれ。判断するのはゼロだ。」
藤堂は短く答え、ゼロに身体ごと向き直る。
「ゼロ、朝比奈が進言することは、俺と四聖剣、5人の総意だと思ってくれ。」
「・・・わかった。」
頷きながらも、どうやって却下するか、ルルーシュは考えを巡らせる。
ここにはカレンもいる。その上、ゼロとして存在する自分が、ルルーシュとして騎士団入りをするのは、難しい。
そこまで考えて、ハタ、と止まる。“騎士団入りが難しい”とは何だ。自分の思考にツッコミを入れる。この期に及んで、ルルーシュとして騎士団に入りたいと願っているとでもいうのだろうか。
「ゼロ、見えてきたぞ。」
静かに混乱していたルルーシュは、扇の声に我に返る。
「ああ・・・では、各々準備に取り掛かれ。・・・カレン。」
「はい!」
「紅蓮は今回は陽動及びサポートだ。白兜が出てきたら、徹底的に邪魔してやれ。」
「はい!!」
「朝比奈、千葉。・・・お前達が今回の作戦の核だ。敵に動きを悟らせるなよ。」
「「承知!」」
「藤堂、仙波、お前達は各自の判断で動け。卜部とその他のナイトメア部隊は、紅蓮が陽動と悟らせないように周りを囲め。」
「「「承知!」」」
「「「了解!!」」」
かくして作戦は開始された。
その作戦により、騎士団内に大きな変革がもたらされるとは、誰もが思ってもいなかった。
*
黒の騎士団・作戦室
「・・・どうするつもりだ?」
隣に立つC.C.が突然話しかけてくる。
今は、ポイントへの移動中であり、作戦内容も先ほど話したばかり。つまりは、朝比奈の発言に対しての言葉だろうと判断する。
「どう、とは?」
周りの目を気にする必要はなかった。今、ここにいるのは自分とC.C.のみ。
「お前、朝比奈のお願いに、ダメと言えるのか?」
「・・・俺は・・・黒の騎士団にルルーシュとして入団するつもりは無い。」
「・・・本当に、そう思っているのか?・・・私にはそうは見えないがな。」
「黙れ、魔女。・・・お前に言われるまでもない。」
おや、とC.C.は目を瞠る。徹底して否定すると思っていたのに、ルルーシュは肯定した。これは、脈ありかと思う。
「なんだ、自覚してるのか。」
「・・・省吾さんには諦めてもらう。それが・・・一番良いんだ。」
「ルルーシュ・・・お前、本当にこのままで良いのか?この先ずっと、藤堂達と一線引いた関係のままで?」
「・・・うるさい!」
「心の拠り所にしたいんだろう?・・・お前には頼れるものがいない。朝比奈に、その立場になって欲しいんじゃないのか?」
「うるさいっ!うるさい!!!」
ルルーシュの絶叫。苦しくて苦しくてしょうがないのに、諦めようとする。この子どもが置かれてきた立場を思えば、それも致し方の無い事。ルルーシュはずっと、諦めてきたのだ。自分の事を二の次に、ただ、ナナリーのためだけに存在してきた。
「・・・お前だって、幸せになる権利はあるんだぞ?」
「・・・しー・・・つー・・・?」
C.C.は思わずルルーシュを抱きしめていた。
このままではこの子は壊れてしまう。本当に信頼している相手に全てを受け入れてもらわねば。それが自分でない事を少し残念に思いつつ、C.C.は言い聞かせるように呟く。
「朝比奈は、どんなことがあろうとお前を見捨てない。そうだろう?だって、あいつは、ゼロだという事以外、お前の事情は把握してるんだ。」
「・・・でもっ・・・ゼロだという事を話したら・・・きっと、嫌われる。」
ああ、なんだ。とC.C.は思う。ここまで頑なにゼロだと明かしたがらないのは、朝比奈に嫌われたくないの一心からだったのだから。
「ゼロだと知っても、あいつがお前を嫌うなんてありえないと思うけどな。」
むしろ、狂喜乱舞するんじゃないか?と口には出さず思う。たぶん、ゼロがルルーシュ君なんて最高だ~、ぐらいは言いそうだ。いや、絶対言う。
「・・・そんなの・・・。」
『ゼロ、配置につきました。』
わからないじゃないか、と言いかけて、ルルーシュはカレンからの通信に口を噤み、C.C.を引っぺがす。
「・・・わかった。カレンはそのまま待機。・・・朝比奈、千葉、準備はできているか?」
『・・・こっちはオッケーだよ。』
『こちらも大丈夫だ。』
聞こえた朝比奈の声に、ほんの少し動揺をして、ルルーシュは唇を噛む。
「(何をしている。俺は。・・・この作戦は一歩間違えば、全滅する恐れがある作戦だ・・・しっかりしろ。命じる立場の者が揺らいでは・・・。)」
そんなルルーシュの心の葛藤に気付いてか気付かないでか、朝比奈が声を発する。
『・・・今回、俺は怪我するわけにいかないから。しっかり指示してよね。』
ルルーシュとの約束。次に会うまで、絶対に怪我をしない。 それを果たそうとする朝比奈に、じん、と心が温かくなる。
「・・・わかっている。そちらも、予定外の行動をするなよ。」
『はいはーい。・・・じゃあ、行きますか。』
「・・・作戦を開始する。カレン、派手に動いてやれ!」
『了解しました!!』
ゼロの一言で、作戦が開始される。
ブリタニア軍の駐屯地に所在するナイトメアの破壊及び奪取が目的の今回の作戦。これから、どんどん戦いは大きく、そして、激しくなる。その前に、敵の戦力を削る必要があったのだ。
スザクの乗るランスロット(通称白兜)は現在別の駐屯地にいる。フロートユニットは付いていないはずだから、騒ぎに気付いてこちらに来るまでにも時間はかかる。それまでに、少しでも多くのナイトメアを破壊し、奪取するのだ。
着実に敵戦力を削っていく紅蓮。その間にも朝比奈・千葉の乗る月下が駐屯地の裏に回り、起動していないナイトメアを抑え、歩兵隊がそのナイトメアを奪取していく。
『ゼロ!枢木・・・白兜だ!!』
扇の声でルルーシュは端の画面を見る。
「・・・来たか。・・・カレン!」
『はいっ、行けます!!』
紅蓮弐式に乗ったカレンが、白兜へと向かって行く。がっしりと組み合って、互いに譲らない。その周りに、卜部率いるナイトメア部隊が、こちらがメインであるかのように動き回り、紅蓮弐式の援護をする。
「・・・白兜は抑えた。・・・後は、コーネリアの部隊か・・・。」
呟きながら、グロースターの姿を探す。
「・・・まさか、白兜のみというわけでは無いだろう?」
いくら探しても無い、姉の姿に不安が増す。
『ゼロ!!・・・コーネリアの部隊が!!』
画面の1つが、千葉の月下が写す映像に切り替わる。
「・・・っな!?」
こちらの動きが読まれたわけでは無く、ただ、姉の部隊が、駐屯地の裏から来たという、偶然が起こしたイレギュラーだった。
起動前のナイトメアはほとんどの歩兵部隊が乗り込んで奪取したが、姉やその騎士、グラストンナイツといった主戦力に囲まれる形となってしまった。
「くそ、このままでは・・・。」
― 全滅
その言葉が頭に浮かび、ぞくりと肌が粟立つ。
「朝比奈!千葉!!・・・完全に囲まれる前に、そこを離れろ!!歩兵部隊も同様だ!!ナイトメアが枷になるなら、起動キーだけ持って、散れ!!・・・藤堂、仙波聞こえているな!朝比奈達のフォローへ向かえ!」
「「「「承知!」」」」
「「「了解しました!」」」
指示を飛ばし、ルルーシュは壁に拳を打ち付ける。
「くそ!!なんて運の良い・・・。」
毒づいて、朝比奈達の帰還を待つ間、紅蓮弐式にも指示を飛ばす。
「カレン!・・・駐屯地の裏にコーネリアの部隊が回り込んでいた!適当に白兜の相手をしてやってから、順次後退しろ。」
『はい!』
計画は半分は成功したが、半分は失敗だ。それでも、こちらの被害が少ないうちにと撤退命令を出していく。
最初に卜部達ナイトメア部隊が引き揚げてくる。その後。敵地から奪ったナイトメアに乗った部隊の第1陣が戻ってくる。
「・・・なんとか、囲まれる前に離脱できたか。」
安堵の息をつき、戻ってくる団員達を迎える。
「・・・ゼロッ・・・。」
血相を変えて走り寄る団員に、ルルーシュは嫌な予感を覚える。
「どうした。」
「あ、朝比奈さんがッ!私達歩兵部隊を逃がすためにご自分が囮になられてッ!!」
ぐらりと目眩がした。
なんとか足を踏ん張り、しゃがみこまないようにするのが精一杯で、それでも、団員の報告を受ける。
「コーネリアのグロースターに・・・機体の損傷からでは内部までは・・・千葉さんと仙波さんが・・・!」
言葉が頭に入ってこない。ルルーシュの生返事に怪訝そうにしながらも、団員は最後まで報告する。
「・・・しゃーたを・・・。」
「はい?」
ルルーシュは叫んだ。
「早く、ラクシャータを呼んで来い!治療室に準備するようにと伝えるんだ!」
「・・・っ、はい!!」
重症なのか、軽傷なのか・・・まさか、命に関わるような事になってはいないだろうか・・・。心配ばかりが頭の中を占める。
そうこうしているうちに、藤堂達の月下が戻ってくる。弾かれるように駆け出し、月下の傍に辿りついて、絶句する。
朝比奈の機体は、左腕がもがれ、脇の辺りがランスで貫かれたのか、丸く抉れている。コックピット付近にも、あちこちに裂傷がある。
サーッと血の気が引いていくのを感じながら、機体を見上げる。
「・・・朝比奈を降ろす。誰か、ラクシャータを・・・。」
藤堂も少し声に焦りが含まれている。それだけで、状態が推し量られてしまう。
「ここにいるわよぉ~。・・・早く降ろして頂戴、その様子じゃ自分で動けないんでしょぉ?」
藤堂は無言で返し、朝比奈を抱える。右脇腹から赤いものが滲み出ていて、その右脇腹を左手で押え、荒い息をつく朝比奈が衆目に晒される。
「・・・っ!」
皆が息を呑む中、懸命に冷静さを保とうと、ルルーシュは唇を噛む。ぶち、という音がして、口の中に鉄の味が広がる。
「・・・ラクシャータッ・・・すぐに、治療を。」
「わかってるわよぉ・・・でも、さすが、元軍人なだけはあるわねぇ、すぐに応急処置したみたいだから、出血も少なくて済んでるわぁ。」
ラクシャータは、ふっと息をつき、藤堂が運ぶ朝比奈を見つめ、ルルーシュの傍を離れる。
「ほら、治療室に急いで運んで頂戴~。」
藤堂をせっつきながら、奥へと姿を消す。
「・・・・・そ・・つき。」
「ゼロ?」
紅蓮から降りてきたカレンが、ぼそりと何事かを呟いたゼロを心配そうに見つめる。
「一旦解散だ。・・・他に重傷者はいないな?軽症のものは各自治療を始めろ。道具は揃っているな?」
ルルーシュの脇に立ち、C.C.が指示を飛ばす。
「おい、何でテメーが指示すんだよ。」
玉城が絡んでくるが、C.C.はギロ、と睨んだだけで何も言わず、ルルーシュの腕を引っ張る。
「C.C.ッ・・・何を!」
「いいから来い。」
ぐいぐいと引っ張るC.C.に戸惑いの声をあげながら、連れられて行く仮面の司令官の姿を、団員達は呆然と見送ったのだった。
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黒の騎士団・幹部達のラウンジ
珍しくゼロがラウンジのソファーに座り、資料に目を通している。それだけで、空気がピンと張りつめ、幹部達もゼロを意識してか無駄口をたたかない。
大国に反抗する組織としては良い事だと思いつつも、ゼロが本当の意味で受け入れられているわけでは無いと藤堂は感じていた。
「ねぇ、ゼロ。」
朝比奈がゼロの傍に寄り、話しかける。すっと顔(というか仮面)をあげ、ゼロ(=ルルーシュ)は朝比奈の顔を見つめる。
「・・・なんだ?朝比奈。」
「・・・作戦が終わったらさぁ、話、聞いてくれる?」
ルルーシュはもしかしなくても自分の事だろうと考えるが、ここで断っても角が立つだけだと判断し、頷く。
「構わないが、私的な事では無いだろうな?」
「・・・半分私的かもしれないけど・・・でも、騎士団にとっても悪い事じゃないと思う。」
いつになく真剣な表情をうかべる朝比奈に、内心苦笑しつつも、ルルーシュは再度頷いた。
「いいだろう。・・・作戦が終わったら時間をとる。」
「ありがとう。ゼロ。」
それを見つめていたカレンは不思議そうに首を傾げる。
「・・・一体どうしたんですか、朝比奈さん。」
近くにいた千葉に視線をやるが、千葉は曖昧に頷くだけで明確な答えを返さない。
「ああ、少しな。」
「・・・藤堂さん?」
その反応を見て、今度は扇が藤堂を見つめる。
「・・・好きにさせてやってくれ。判断するのはゼロだ。」
藤堂は短く答え、ゼロに身体ごと向き直る。
「ゼロ、朝比奈が進言することは、俺と四聖剣、5人の総意だと思ってくれ。」
「・・・わかった。」
頷きながらも、どうやって却下するか、ルルーシュは考えを巡らせる。
ここにはカレンもいる。その上、ゼロとして存在する自分が、ルルーシュとして騎士団入りをするのは、難しい。
そこまで考えて、ハタ、と止まる。“騎士団入りが難しい”とは何だ。自分の思考にツッコミを入れる。この期に及んで、ルルーシュとして騎士団に入りたいと願っているとでもいうのだろうか。
「ゼロ、見えてきたぞ。」
静かに混乱していたルルーシュは、扇の声に我に返る。
「ああ・・・では、各々準備に取り掛かれ。・・・カレン。」
「はい!」
「紅蓮は今回は陽動及びサポートだ。白兜が出てきたら、徹底的に邪魔してやれ。」
「はい!!」
「朝比奈、千葉。・・・お前達が今回の作戦の核だ。敵に動きを悟らせるなよ。」
「「承知!」」
「藤堂、仙波、お前達は各自の判断で動け。卜部とその他のナイトメア部隊は、紅蓮が陽動と悟らせないように周りを囲め。」
「「「承知!」」」
「「「了解!!」」」
かくして作戦は開始された。
その作戦により、騎士団内に大きな変革がもたらされるとは、誰もが思ってもいなかった。
*
黒の騎士団・作戦室
「・・・どうするつもりだ?」
隣に立つC.C.が突然話しかけてくる。
今は、ポイントへの移動中であり、作戦内容も先ほど話したばかり。つまりは、朝比奈の発言に対しての言葉だろうと判断する。
「どう、とは?」
周りの目を気にする必要はなかった。今、ここにいるのは自分とC.C.のみ。
「お前、朝比奈のお願いに、ダメと言えるのか?」
「・・・俺は・・・黒の騎士団にルルーシュとして入団するつもりは無い。」
「・・・本当に、そう思っているのか?・・・私にはそうは見えないがな。」
「黙れ、魔女。・・・お前に言われるまでもない。」
おや、とC.C.は目を瞠る。徹底して否定すると思っていたのに、ルルーシュは肯定した。これは、脈ありかと思う。
「なんだ、自覚してるのか。」
「・・・省吾さんには諦めてもらう。それが・・・一番良いんだ。」
「ルルーシュ・・・お前、本当にこのままで良いのか?この先ずっと、藤堂達と一線引いた関係のままで?」
「・・・うるさい!」
「心の拠り所にしたいんだろう?・・・お前には頼れるものがいない。朝比奈に、その立場になって欲しいんじゃないのか?」
「うるさいっ!うるさい!!!」
ルルーシュの絶叫。苦しくて苦しくてしょうがないのに、諦めようとする。この子どもが置かれてきた立場を思えば、それも致し方の無い事。ルルーシュはずっと、諦めてきたのだ。自分の事を二の次に、ただ、ナナリーのためだけに存在してきた。
「・・・お前だって、幸せになる権利はあるんだぞ?」
「・・・しー・・・つー・・・?」
C.C.は思わずルルーシュを抱きしめていた。
このままではこの子は壊れてしまう。本当に信頼している相手に全てを受け入れてもらわねば。それが自分でない事を少し残念に思いつつ、C.C.は言い聞かせるように呟く。
「朝比奈は、どんなことがあろうとお前を見捨てない。そうだろう?だって、あいつは、ゼロだという事以外、お前の事情は把握してるんだ。」
「・・・でもっ・・・ゼロだという事を話したら・・・きっと、嫌われる。」
ああ、なんだ。とC.C.は思う。ここまで頑なにゼロだと明かしたがらないのは、朝比奈に嫌われたくないの一心からだったのだから。
「ゼロだと知っても、あいつがお前を嫌うなんてありえないと思うけどな。」
むしろ、狂喜乱舞するんじゃないか?と口には出さず思う。たぶん、ゼロがルルーシュ君なんて最高だ~、ぐらいは言いそうだ。いや、絶対言う。
「・・・そんなの・・・。」
『ゼロ、配置につきました。』
わからないじゃないか、と言いかけて、ルルーシュはカレンからの通信に口を噤み、C.C.を引っぺがす。
「・・・わかった。カレンはそのまま待機。・・・朝比奈、千葉、準備はできているか?」
『・・・こっちはオッケーだよ。』
『こちらも大丈夫だ。』
聞こえた朝比奈の声に、ほんの少し動揺をして、ルルーシュは唇を噛む。
「(何をしている。俺は。・・・この作戦は一歩間違えば、全滅する恐れがある作戦だ・・・しっかりしろ。命じる立場の者が揺らいでは・・・。)」
そんなルルーシュの心の葛藤に気付いてか気付かないでか、朝比奈が声を発する。
『・・・今回、俺は怪我するわけにいかないから。しっかり指示してよね。』
ルルーシュとの約束。次に会うまで、絶対に怪我をしない。 それを果たそうとする朝比奈に、じん、と心が温かくなる。
「・・・わかっている。そちらも、予定外の行動をするなよ。」
『はいはーい。・・・じゃあ、行きますか。』
「・・・作戦を開始する。カレン、派手に動いてやれ!」
『了解しました!!』
ゼロの一言で、作戦が開始される。
ブリタニア軍の駐屯地に所在するナイトメアの破壊及び奪取が目的の今回の作戦。これから、どんどん戦いは大きく、そして、激しくなる。その前に、敵の戦力を削る必要があったのだ。
スザクの乗るランスロット(通称白兜)は現在別の駐屯地にいる。フロートユニットは付いていないはずだから、騒ぎに気付いてこちらに来るまでにも時間はかかる。それまでに、少しでも多くのナイトメアを破壊し、奪取するのだ。
着実に敵戦力を削っていく紅蓮。その間にも朝比奈・千葉の乗る月下が駐屯地の裏に回り、起動していないナイトメアを抑え、歩兵隊がそのナイトメアを奪取していく。
『ゼロ!枢木・・・白兜だ!!』
扇の声でルルーシュは端の画面を見る。
「・・・来たか。・・・カレン!」
『はいっ、行けます!!』
紅蓮弐式に乗ったカレンが、白兜へと向かって行く。がっしりと組み合って、互いに譲らない。その周りに、卜部率いるナイトメア部隊が、こちらがメインであるかのように動き回り、紅蓮弐式の援護をする。
「・・・白兜は抑えた。・・・後は、コーネリアの部隊か・・・。」
呟きながら、グロースターの姿を探す。
「・・・まさか、白兜のみというわけでは無いだろう?」
いくら探しても無い、姉の姿に不安が増す。
『ゼロ!!・・・コーネリアの部隊が!!』
画面の1つが、千葉の月下が写す映像に切り替わる。
「・・・っな!?」
こちらの動きが読まれたわけでは無く、ただ、姉の部隊が、駐屯地の裏から来たという、偶然が起こしたイレギュラーだった。
起動前のナイトメアはほとんどの歩兵部隊が乗り込んで奪取したが、姉やその騎士、グラストンナイツといった主戦力に囲まれる形となってしまった。
「くそ、このままでは・・・。」
― 全滅
その言葉が頭に浮かび、ぞくりと肌が粟立つ。
「朝比奈!千葉!!・・・完全に囲まれる前に、そこを離れろ!!歩兵部隊も同様だ!!ナイトメアが枷になるなら、起動キーだけ持って、散れ!!・・・藤堂、仙波聞こえているな!朝比奈達のフォローへ向かえ!」
「「「「承知!」」」」
「「「了解しました!」」」
指示を飛ばし、ルルーシュは壁に拳を打ち付ける。
「くそ!!なんて運の良い・・・。」
毒づいて、朝比奈達の帰還を待つ間、紅蓮弐式にも指示を飛ばす。
「カレン!・・・駐屯地の裏にコーネリアの部隊が回り込んでいた!適当に白兜の相手をしてやってから、順次後退しろ。」
『はい!』
計画は半分は成功したが、半分は失敗だ。それでも、こちらの被害が少ないうちにと撤退命令を出していく。
最初に卜部達ナイトメア部隊が引き揚げてくる。その後。敵地から奪ったナイトメアに乗った部隊の第1陣が戻ってくる。
「・・・なんとか、囲まれる前に離脱できたか。」
安堵の息をつき、戻ってくる団員達を迎える。
「・・・ゼロッ・・・。」
血相を変えて走り寄る団員に、ルルーシュは嫌な予感を覚える。
「どうした。」
「あ、朝比奈さんがッ!私達歩兵部隊を逃がすためにご自分が囮になられてッ!!」
ぐらりと目眩がした。
なんとか足を踏ん張り、しゃがみこまないようにするのが精一杯で、それでも、団員の報告を受ける。
「コーネリアのグロースターに・・・機体の損傷からでは内部までは・・・千葉さんと仙波さんが・・・!」
言葉が頭に入ってこない。ルルーシュの生返事に怪訝そうにしながらも、団員は最後まで報告する。
「・・・しゃーたを・・・。」
「はい?」
ルルーシュは叫んだ。
「早く、ラクシャータを呼んで来い!治療室に準備するようにと伝えるんだ!」
「・・・っ、はい!!」
重症なのか、軽傷なのか・・・まさか、命に関わるような事になってはいないだろうか・・・。心配ばかりが頭の中を占める。
そうこうしているうちに、藤堂達の月下が戻ってくる。弾かれるように駆け出し、月下の傍に辿りついて、絶句する。
朝比奈の機体は、左腕がもがれ、脇の辺りがランスで貫かれたのか、丸く抉れている。コックピット付近にも、あちこちに裂傷がある。
サーッと血の気が引いていくのを感じながら、機体を見上げる。
「・・・朝比奈を降ろす。誰か、ラクシャータを・・・。」
藤堂も少し声に焦りが含まれている。それだけで、状態が推し量られてしまう。
「ここにいるわよぉ~。・・・早く降ろして頂戴、その様子じゃ自分で動けないんでしょぉ?」
藤堂は無言で返し、朝比奈を抱える。右脇腹から赤いものが滲み出ていて、その右脇腹を左手で押え、荒い息をつく朝比奈が衆目に晒される。
「・・・っ!」
皆が息を呑む中、懸命に冷静さを保とうと、ルルーシュは唇を噛む。ぶち、という音がして、口の中に鉄の味が広がる。
「・・・ラクシャータッ・・・すぐに、治療を。」
「わかってるわよぉ・・・でも、さすが、元軍人なだけはあるわねぇ、すぐに応急処置したみたいだから、出血も少なくて済んでるわぁ。」
ラクシャータは、ふっと息をつき、藤堂が運ぶ朝比奈を見つめ、ルルーシュの傍を離れる。
「ほら、治療室に急いで運んで頂戴~。」
藤堂をせっつきながら、奥へと姿を消す。
「・・・・・そ・・つき。」
「ゼロ?」
紅蓮から降りてきたカレンが、ぼそりと何事かを呟いたゼロを心配そうに見つめる。
「一旦解散だ。・・・他に重傷者はいないな?軽症のものは各自治療を始めろ。道具は揃っているな?」
ルルーシュの脇に立ち、C.C.が指示を飛ばす。
「おい、何でテメーが指示すんだよ。」
玉城が絡んでくるが、C.C.はギロ、と睨んだだけで何も言わず、ルルーシュの腕を引っ張る。
「C.C.ッ・・・何を!」
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