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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・1期25話~捏造
・ルルの記憶退行→戻ります
・天子と星刻がとっても良いポジション
・ルルは皆の癒し+天然
・枢木さんが我を忘れてます
・捏造満載

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








 そして、2日後。


 C.C.が知る極秘のラインから中華連邦へと入国した、C.C.と神楽耶と卜部とカレンは、中華連邦側から指定された、屋敷へと赴いていた。

「ゼロ様は、私達のことを覚えていないというのは間違いないのですか?」

「ああ。恐らく、な。・・・それも、これからハッキリするだろうさ。」

 記憶の無いルルーシュに会わせることになるだろうと、ここに向かう途中で神楽耶にも説明をしたC.C.だったが、ルルーシュがどのような状態であるか把握できないために、いつものように自信たっぷりな様子は見せない。

 コツ、と足音が聞こえ、C.C.達に緊張が走る。

「待たせたな。」

 顔を見せたのは、黎星刻。クーデター首謀者であり、現在の中華連邦の軍事責任者である男だ。

「・・・黎星刻・・・か。」

 ぽつりと呟く、C.C.を見て、星刻は目を細めた。

「・・・皇神楽耶殿、は?」

「私です。・・・あの、こちらには黎星刻殿しかいらしていないのでしょうか?」

 不安そうに問う神楽耶に、星刻は笑みを見せる。

「彼・・・ルルーシュならば、別室に控えさせている。まずは、貴殿等の考えをお聞かせ願いたいと思ってな。」

「・・・私達の考え・・・?」

「やはり、ルルーシュだったか。・・・その様子だと、ルルーシュはゼロとしての記憶が無いとみて良いのだろうか?」

 首を傾げる神楽耶の横で、C.Cが納得の声をあげ、星刻に訊ねる。

「・・・素性を知っているのか?」

 星刻はそのC.C.の言葉を受けて、眉を顰めた。

「ああ。お前こそ、ルルーシュの素性を?」

「・・・彼は、光に包まれて、朱禁城の中庭に突如現れた。銃で撃たれたらしく、怪我をしていた。・・・丸一月眠った後、目覚めた彼の記憶は、7年前・・・今で言えば、8年前の開戦直前まで退行していた。」

「「「「退行!?」」」」

 声を揃えたC.C.達の様子を見て、星刻はこくりと頷いた。

「・・・そうだ。だから、今の彼は、11歳程度の精神年齢となっている。まあ、知識の量とそれを生かす才能は並ではないがな。」

「・・・ルルーシュと話がしたい。・・・今の時点で、戻る気があるのか、それとも、このまま、中華連邦に留まるのか、あいつの意思を確認する。」

 C.C.がそう言えば、星刻の気配が鋭いものに変わる。

「・・・もし、ルルーシュがここに残ると言ったら、貴殿等は諦めるのか?」

「・・・ルルーシュの意思を尊重する。・・・無理を強いるつもりはない。」

 C.C.が答えれば、神楽耶も卜部もカレンも同様に頷いた。

「そうか。貴殿等の考えはわかった。・・・ルルーシュには、私の知りうる限りの黒の騎士団の情報も伝えてある。何も知らぬというわけではないから、話もスムーズにできるだろう。・・・しばし、待て。」

 星刻は驚いた様子で見つめてくるC.C.達を見やり、部屋を後にする。





「ルルーシュ。・・・行ってしまうの?」

 一方、別室に天子と控えていたルルーシュは、涙ぐんだ目で天子に見上げられ、困ったように首を傾げた。

「・・・まだ、わかりません。・・・でも、もし、僕が彼等に希望を見せてしまっていたのなら、その責任を果たさなければとも思います。」

「そう。」

 しゅん、とする天子の頭を優しく撫でる。と、その時、部屋に星刻が入ってくる。

「・・・星刻。」

「ルルーシュ。一度、彼等と話してみると良い。・・・悪い連中ではなさそうだ。」

「・・・わかりました。」

 頷くルルーシュの表情は緊張していた。目ざとくそれに気づいた星刻はぽん、と肩を叩いた。

「安心しろ、お前の意思を尊重すると言っていたから、無理矢理言うことを聞かされることは無いだろう。」

 星刻の気遣いに気付いたルルーシュは、ニコリと笑みを見せ、頷く。

「大丈夫です。少し、緊張しているだけですから。」

「そうか、では行こう。」

「星刻!・・・私も、行っても良い?」

 天子が言うと、一瞬ためらった後、星刻は頷く。

「構いませんよ。・・・ルルーシュは天子様の友人ですから、無関係ではありませんしね。」

 星刻の許可が出ると、天子は花のような笑みをうかべて、ルルーシュの手にすがった。

「私も一緒よ、ルルーシュ!」

「うん。」

 天子の笑顔につられるように、ルルーシュも笑みをうかべる。その様子を見て、星刻はホッと息をついた。

 天子もルルーシュも互いに良い影響を与えている。だから、最初は警戒していたルルーシュも、天子がいなくても笑みを見せるようになったし、天子も、ルルーシュに影響を受け、懸命に政治を学ぶようになった。

「(だからこそ、ルルーシュを天子様の傍に置いておきたいが・・・それを無理強いすることはできないな。)」

 C.C.達の態度は星刻から見ても好意的なものだった。その、彼等が意思を尊重すると言っているのに、こちらがルルーシュの意思を無視することがあってはいけない。

 そんなことを考えつつ、先導していた星刻は、C.C.達の待つ部屋の前で立ち止まり、ルルーシュに先に入るように促す。それに頷くと、ルルーシュは部屋の中に入っていった。

「・・・っ!・・・ルルー・・・シュ。」

 目を見開く紅い髪の少女に、ルルーシュはぺこりと頭を下げた。

「こんにちは・・・僕は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。一応、はじめましてと言っておきますね。」

 丁寧に挨拶されたカレンは、絶句する。その周りにいたC.C.達も何とも言えない表情をうかべる。

「・・・あの?」

 何の反応も無いことに不安を覚え、ルルーシュが困ったように首を傾げる。

「すまないな、以前のお前と違っている部分が多すぎて、反応に困ってしまっていたんだ。私はC.C.だ。お前の共犯者とでも言っておこうか。」

「共犯者?」

 ルルーシュの目が丸く見開かれる。その隙だらけの表情に、C.C.は苦笑をうかべ、そして、次の瞬間、腕を掴んで己の方へ引き寄せ、唇をルルーシュのそれに押しあてた。

「「「「!!!?」」」」

 その場にいる全員がギョッとして固まる中、唇を離したC.C.は、うつむいたルルーシュを静かに見つめた。

「・・・そう、か。」

 ぽつり、と呟いたルルーシュが、顔をあげる。その左眼はアメジストではなく、ルビー。

「ルルーシュ、思い出したか?」

「・・・ああ。思い出したよ、C.C.・・・だが、やり方が乱暴すぎる。」

 笑みをうかべるC.C.を見やり、ルルーシュは溜め息をついた。

「隙だらけのお前が悪い。」

「悪かったな・・・。」

「悪くは無いさ。・・・どうやら、こいつらのおかげで、人を信じることを覚えたらしいからな。」

 ニヤニヤと笑うC.C.を軽く睨み、ルルーシュは肩を竦めた。そして、星刻達を振り返る。

「・・・ルルーシュ。」

 星刻の表情は硬く、天子は今にも泣き出しそうになっている。その2人に対して、ルルーシュは穏やかな笑みを見せた。

「天子様、星刻・・・2人には本当に感謝してます。・・・でも・・・。」

 もうすでにルルーシュの中で答えは出ているのだとわかる。だが、今までの1年間の記憶が無くなったわけではないこともわかるような言葉に、星刻はホッと息をついた。

「いや、我々こそ、ルルーシュには随分助けられた。・・・もし、ルルーシュが黒の騎士団へと戻るつもりなら、中華連邦は黒の騎士団を支援しよう。」

「星刻・・・でも、ブリタニアと戦うことになったら・・・。」

 ルルーシュが眉を顰めると、星刻もわかっているというように頷く。

「中華連邦も無傷というわけにはいくまい。だがな、ルルーシュ、お前は、天子様の友人だ。」

「・・・そうよ!ルルーシュは、私のお友達よ!!・・・ねぇ、お願い、ルルーシュのお手伝いをさせて!!」

 天子までそう言い出したので、ルルーシュは柔らかな笑みをうかべた。

「・・・2人とも・・・ありがとう・・・。」

 その笑みを見て、直視した星刻と天子はもちろん、脇から見ていた神楽耶やカレン、卜部も顔を真っ赤にする。

「・・・やれやれ、悩殺モード全開じゃないか。」

 クツクツと笑うC.C.に、ルルーシュは首を傾げる。

「は?悩殺?・・・なんだ、それは。」

「ククク、一段と磨きがかかったようだな。中華連邦は大丈夫か?」

 そんな言葉を口にしたC.C.に、星刻が苦笑する。

「・・・なるほど。記憶を退行させていたからではなく、天然か。」

「ん?お前もオトされたのか?」

 その呟きを聞いてニヤニヤと笑うC.C.に、星刻は肩を竦めた。

「私だけではない。・・・連邦政府が・・・いや、むしろ人民達全てか・・・。」

 否定しなかった星刻に、C.C.は満足げに頷き、ルルーシュを小突いた。

「やっぱり、お前の素顔が一番の武器だな。」

「・・・良くわからないんだが・・・。」

 1人理解できないでいるルルーシュを囲み、皆が笑顔で笑い合う。そこには確かに、信頼の絆が生まれていた。





ー エリア11・トウキョウ租界政庁


 囚われていた黒の騎士団員の処刑日が決まり、大々的に報道される中、政庁では、とある計画が進められていた。

「枢木卿、本当に中華連邦のクーデターの参謀を務めたという少年がゼロなのですか?」

 軍の高官に訊ねられ、スザクは厳しい表情のまま頷いた。

「間違いない。・・・自分は、ゼロの素顔を見ている。仮面を皇帝陛下に献上し、ゼロの素性をご報告したからこそ、今の立場にある。・・・民間にはそれは伏せられているが。」

 対ゼロとして、ラウンズに召し上げられたスザクは、ユーフェミアの仇をとる為、この場に立っている。それは、軍の内部では有名な話であった。

「ゼロの素性・・・お知り合いだったのですか?」

「知り合い?いや、違う・・・彼は最も親しい友だった。」

 スザクの言葉に、軍の高官は絶句する。

「・・・以前は様々な状況もあって取り逃してしまったが、今度はそうはいかない。」

 その冷たい瞳に宿るのは憎しみの炎。

「く、枢木卿。」

「準備を始めろ。・・・黒の騎士団幹部を囮として、ゼロをおびき寄せる。」

「来るのでしょうか?わざわざ、中華連邦から・・・。」

「来るさ。・・・来ないなら、それはゼロの死を意味する。奇跡を起こさないゼロは、ゼロではないから。」

 自信たっぷりに言ったスザクを見つめ、軍の高官は身震いした。スザクは妄執に囚われていた。それが己の身を滅ぼすことになるとは、思いもせずに。





 一方、中華連邦のラインでエリア11にやって来たルルーシュは、久々に、ゼロの衣装に袖を通した。

「1年ぶり、か。・・・結果として見捨ててしまったことになるんだな。相当恨まれているはずだ。」

 苦笑をうかべるルルーシュの肩をポン、と卜部が叩く。

「事情は俺らや星刻殿が話す。そうすれば、皆、わかってくれる。」

「ああ。俺は、もう、信じることを恐れたりはしない。・・・それを、天子様や星刻達が教えてくれたんだ。」

 柔らかな笑みをうかべるルルーシュに、卜部はホッと息をつく。

「中華連邦に飛ばされたのは、ラッキーだったな。」

「ああ。この上もないほどの幸運だったよ。・・・藤堂たちとも、そんな関係が築ければ良いんだが。」

「築ければ、じゃねーよ。・・・築くんだ。少しずつでも良いからよ。」

 卜部が大きな手でルルーシュの頭を撫でる。

「・・・そう、だな。」

 気持ち良さそうに目を細め、ルルーシュが言うと、卜部は思わずクラリとした。

「(おいおい、犯罪的な可愛さだぞ?・・・抱きしめたら逃げっかな。)」

「不埒なことを考えるなよ、卜部。・・・ルルーシュ、準備はできたか?」

 卜部が手を伸ばそうとした瞬間、C.C.がその場に現れる。ぎくりとする卜部の脇で、やはりわかっていない様子のルルーシュが首を傾げる。

「卜部は別に何もしてないぞ?」

「・・・ただの牽制だ。気にするな。それよりも、時間だ。」

「ああ。準備はできている。行こう。」

 バサリとマントを翻し、ルルーシュはテーブルに置いてあった仮面を掴む。

「スザクが指揮官か。・・・フ、1年前のようにはいかないぞ。」

 ニッと笑い、ルルーシュはゼロの仮面を被った。





 処刑日当日。うなだれる黒の騎士団の幹部達の前に、スザクが姿を現す。

「助かりたければ、ゼロが助けに来ることを祈るんだな。」

 その冷たい視線に、幹部達は絶句する。まるで別人のようなスザクに、かつての師であった藤堂でさえも目を丸くした。

「来い、ゼロ。・・・奇跡を起こしてみせろ。」

 スザクが呟いた瞬間、辺りに爆音が轟く。

「・・・来た!」

 スザクは身を翻し、処刑台の傍に配置していたランスロットに飛び乗った。





 一方、処刑台を囲むブリタニア軍を見下ろせる位置から、ルルーシュは指示を飛ばす。

「・・・ランスロットの相手は、カレンの紅蓮に任せるぞ。」

「了解!」

「卜部は、とにかく“暁”で処刑台にまっすぐ向かえ。背後からの攻撃は“蜃気楼”の絶対守護領域で守る。前は自分で何とかしろ。」

「承知した。・・・ルルーシュ、気をつけろよ?」

「俺を誰だと思っている?・・・奇跡を起こす男、ゼロだぞ。」

「それは失礼した。」

 ルルーシュの言葉に、卜部はにやりと笑った。それにつられる様にルルーシュも笑みをうかべ、タッチパネル式キーボードを出す。

「さぁ、あいさつ代わりだ・・・受け取れ。」

 ルルーシュがキーボードを操作すると、胸部の液体金属が発射される。処刑台とは反対側の敵が密集する辺りまで行ったのを確認し、ビームを放つ。

 広範囲の敵を一瞬で殲滅する、蜃気楼の兵器・拡散構造相転移砲の一撃。それが合図となり、騎士団の団員達が乗るナイトメア部隊が一気になだれ込んだ。

「邪魔する敵は全てなぎ倒せ!!同胞の救出が最優先だ!」

「「「承知!」」」





 ランスロットと対峙し、カレンはその白い機体を睨み据える。

「久しぶりだね、カレン。」

「そうね。・・・あんたは、随分と出世したみたいじゃない。」

 厭味のつもりで言えば、かすかにランスロットが傾いだ。

「・・・ゼロを捕えるためだ。」

「そう。でも、ゼロは以前のゼロとは違うわよ。」

「どういうことだ?」

「さぁねっ、自分で確かめなさいよッ!」

 カレンの先制攻撃が決まり、ランスロットは吹っ飛ばされた。





 その頃、卜部とルルーシュは処刑台まで無事に到着し、処刑台ごと囚われていた者達を救い出していた。

「指揮官が前線に出ちまったら、駄目だろ?」

 ぼやく卜部に、クツクツとルルーシュは笑う。

「頭に血がのぼっているんだろう。そのおかげでこんなに簡単に救出が出来たんだ。感謝しないとな?」

「くっくっ・・・感謝してるって声じゃねぇぜぇ?」

 楽しそうに卜部が応じると、くぐもった笑い声が蜃気楼から聞こえる。どうやら、仮面を被ったらしいと判断すると、卜部は地上部隊を指揮していたC.C.に回線をつなぐ。

「C.C.、締めだ。処刑台を運ぶのを手伝ってくれ。」

「わかった。今行く。」

 すぐに応答があり、卜部の要請に応じて、C.C.の暁が傍に寄ってくる。

「ゼロ、後は私と卜部が運ぶ。」

「ああ。」

 ルルーシュはC.C.に答え、そして、蜃気楼のコックピットを開ける。自動操縦なので、安心して身を乗り出す。

「ブリタニアの諸君!囚われし同胞は返してもらった!・・・そして、日本人よ!私は帰ってきた!!」

 わあっ!とあちこちから歓声がわく。処刑をハラハラと見守っていた日本人達の声だった。

「私はブリタニアの支配を認めない!今ここに、合衆国日本の建国を宣言する。そして、同盟国、中華連邦の領事館の敷地は、たった今から、合衆国日本の領土となる。」

 その宣言に、ブリタニア側はギョッとし、やはり、中華連邦のクーデターはゼロの仕業だったかと納得する。

「ゼロ!お前は、また!」

 紅蓮との攻防の中でも、忌々しげにスザクが叫ぶ。

「枢木卿、貴様との決着は今しばらく置いておこう。次に会う時まで、首を洗って待っているが良い。・・・カレン!」

「はい!」

 ルルーシュに名を呼ばれ、カレンはゲフィオンネットでランスロットの動きを止める。

「!!・・・そんな、ゲフィオンディスターバーの対策はしてあるのに!」

 動かないランスロットの操縦桿を握りしめ、スザクは唸る。

「それでは、一先ずここは引かせてもらおう。さらばだ。」

 ルルーシュの言葉にあわせるように、騎士団のナイトメアは潮が引くように退却していく。

「くそ!!」

 スザクは、苛立ち紛れに側壁を叩き、歯軋りした。





 中華連邦の領事館に着いたルルーシュ達は、早速、処刑台から囚われていた人々を助け出す。

「扇さん!」

「カレン、助かったよ。」

「いえ!みんな、無事で良かった。」

 涙ぐむカレンの頭をポンポンと撫で、扇は団員達に指示を与えているゼロに視線を向ける。

「・・・ゼロは、」

「それは後でな。」

 問いかけようとする扇を制し、傍に寄ってきた卜部がにやりと笑う。

「卜部、無事で何よりだ。」

 藤堂がホッとした様子で言うと、卜部は頷く。

「中佐達もな。いや、俺だけ掴まんなかったからよ。ちょっと後ろめたかったんだが・・・まあ、先にルルーシュ、あ、いけね。・・・ゼロを連れて来なきゃなんなかったし、結構、忙しかったぜ。」

 ひょい、と肩を竦める卜部は確信犯らしい。

「卜部、先程から気になっておったが、随分とゼロと仲が良さそうだな?」

 仙波に問われ、卜部は首を横に振った。

「いえいえ、俺よりか、紅月の方が仲良いですよ。なぁ、紅月?」

「へっ!?・・・え、ああ、まぁ。」

 突然振られたカレンは、ギョッとしたものの、あっさりと頷く。

「まあ、俺達よか、中華連邦の連中の方が更に仲良いけどなぁ。」

 卜部が言いながら、視線で示す方を向くと、黎星刻が駆け寄ってくるのが見え、幹部達は身を固くする。いきなりのゼロの領土宣言で絶対怒っていると思ったのだ。

「・・・だ、大丈夫なのかよぉ。」

 玉城が呟くと、カレンがあっさりと頷く。

「大丈夫よ。だって、領事館を一番最初の領土にしたらどうだって言ったのは、星刻さんだもの。」

「マジかよ!?」

「マジよ。・・・ほら、その証拠に、にこやかでしょ。」

 カレンの言う通り、ゼロと話しこんでいる様子の星刻はにこやかだ。安堵した幹部達が、しばらくその様子を見つめていると、いきなりゼロが仮面に手をかけた。

「「「「!?」」」」

 あっさりと外された仮面の下から現れた美貌に、幹部達だけでなく、バタバタと動き回っていた団員達までもが釘付けになってしまう。

「・・・おいおい、ここで外すかぁ?」

 さすがに免疫のできた卜部がすぐに我に返ると、ガシガシと頭を掻きながらルルーシュの元へ行く。

「おい、ルルーシュ。・・・いきなり外すな。」

「あ、すまない。・・・どうにも1年間被らずにいたから、鬱陶しくて。」

「そりゃ、まあ、そうだろうが・・・、お前の素顔を知らねえ奴らが固まってるぞ。」

「・・・わからなくもないがな。」

 くつくつと笑う星刻に、卜部も違いないと笑う。

「確かに、俺は絶対にあいつらの前で仮面は取らなかったが、ここまで驚くことか?」

「いや、それで驚いてんじゃねーと思うが・・・。まあ、いいか。」

 ぼそ、と呟く卜部だが、勘違いをしているルルーシュも可愛いので放っておくことにする。

「さて、後は、事情説明か。」

 星刻が言うと、わずかにルルーシュの表情が強張る。

「・・・心配すんな。皆わかってくれるさ。」

「ああ。」

 頷くルルーシュの表情はまだ固いが、すぐに、あの笑顔が見れるだろうと確信して、卜部は幹部達を始めとする、ブリタニアに囚われていた者達を集める。

「聞かせて貰おう、ゼロ・・・なぜ、あの時、戦線を離脱した!?」

 開口一発、四聖剣の千葉が詰ると、ルルーシュは悲しそうに眉を顰める。それだけで、星刻が幹部達を睨むので、口を開くきっかけを失った他の幹部達は、ルルーシュが千葉の問いに答えるのを待つ。

「肉親が・・・妹が何者かに連れ去られたからだ。・・・コーネリアを撃破した後、俺は、神根島に向かった。そこで・・・枢木スザクと対し、そして、何らかの不思議な力が働いて・・・気付いた時には、中華連邦に飛ばされていた。」

 その言葉を星刻が補足する。

「彼は光に包まれて朱禁城の中庭に現れた。・・・銃で撃たれ、深手を負っていた彼は1カ月の間眠り続け、目覚めた時、7年前まで記憶が退行していた。・・・それから1年、我等中華連邦に協力し、クーデターを見事に成功させたのも彼の力だ。」

 驚いた幹部達は、事情を知っていた様子のカレンや卜部を見つめる。

「ついこの間、私達が中華連邦まで迎えに行った時は、まだ、記憶が退行している状態でした。・・・でも、C.C.がそれを治したんです。」

「・・・で、とりあえず記憶が戻ったルルーシュを連れて、こっちに帰ってきたら、皆の処刑が行われるってんで、慌てて、計画を立ててこうやって実行したってわけだ。」

 2人の話はルルーシュの話を補足するもので、幹部達もようやく納得する。

「・・・もう一度・・・私の下で、戦ってはくれないだろうか。今度こそ、日本を取り戻そう。」

「・・・わかった。俺は、信じるよ、ゼロ。・・・これからも俺達を率いてほしい。」

「今度は、お前に頼り過ぎないように、俺達も気をつけよう。」

 扇と藤堂がそう言うので、他の者達も頷いて同意を示す。すると、今まで強張っていたルルーシュの表情が緩み、次の瞬間、花が咲いたような笑みをうかべた。

「・・・ありがとう。これからもよろしく頼む。」

― か、可愛い・・・。

 一同、濃い薄いはあれど頬を赤く染める。

「・・・オチたな。」

 フッと笑ったC.C.の方を向き、ルルーシュはこてん、と首を傾げた。

「は?誰も落ちてなどいないぞ?」

― 首傾げるの可愛い!!しかも天然!!

 皆の心の声が聞こえた気がして、カレンははぁ、と溜め息をついた。

「本当に、無自覚で誑し込むんだから・・・。」

「た、誑かしてなんかいないぞ、カレン!」

「誑かしてるわよ!ほら、皆を見てみなさいよ!」

 一同が顔を真っ赤にして己を見つめてくるのを見て、ルルーシュは、ますます混乱したように眉根を寄せた。

「星刻、あれは、俺のせい?」

「いや、ルルーシュのせいではない。自分の感情くらいコントロールできるようにならねばな。・・・鍛錬不足なのだろう。」

 ルルーシュにとことん甘いらしい星刻は、あっさりと否定して、責任転嫁をした。

「・・・ルルーシュが一層天然になったのって、星刻さんのせいな気がしてきた。」

「奇遇だな、紅月。・・・俺もだ。」

「・・・確かに。」

 カレンの呟きに、卜部とC.C.が同意する。

 この後、ルルーシュにオトされた面々が、ルルーシュに甘々になり、更にルルーシュが天然になるのも時間の問題である。


 おしまい


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