Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・1期25話~捏造
・ルルの記憶退行→戻ります
・天子と星刻がとっても良いポジション
・ルルは皆の癒し+天然
・枢木さんが我を忘れてます
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
そして、2日後。
C.C.が知る極秘のラインから中華連邦へと入国した、C.C.と神楽耶と卜部とカレンは、中華連邦側から指定された、屋敷へと赴いていた。
「ゼロ様は、私達のことを覚えていないというのは間違いないのですか?」
「ああ。恐らく、な。・・・それも、これからハッキリするだろうさ。」
記憶の無いルルーシュに会わせることになるだろうと、ここに向かう途中で神楽耶にも説明をしたC.C.だったが、ルルーシュがどのような状態であるか把握できないために、いつものように自信たっぷりな様子は見せない。
コツ、と足音が聞こえ、C.C.達に緊張が走る。
「待たせたな。」
顔を見せたのは、黎星刻。クーデター首謀者であり、現在の中華連邦の軍事責任者である男だ。
「・・・黎星刻・・・か。」
ぽつりと呟く、C.C.を見て、星刻は目を細めた。
「・・・皇神楽耶殿、は?」
「私です。・・・あの、こちらには黎星刻殿しかいらしていないのでしょうか?」
不安そうに問う神楽耶に、星刻は笑みを見せる。
「彼・・・ルルーシュならば、別室に控えさせている。まずは、貴殿等の考えをお聞かせ願いたいと思ってな。」
「・・・私達の考え・・・?」
「やはり、ルルーシュだったか。・・・その様子だと、ルルーシュはゼロとしての記憶が無いとみて良いのだろうか?」
首を傾げる神楽耶の横で、C.Cが納得の声をあげ、星刻に訊ねる。
「・・・素性を知っているのか?」
星刻はそのC.C.の言葉を受けて、眉を顰めた。
「ああ。お前こそ、ルルーシュの素性を?」
「・・・彼は、光に包まれて、朱禁城の中庭に突如現れた。銃で撃たれたらしく、怪我をしていた。・・・丸一月眠った後、目覚めた彼の記憶は、7年前・・・今で言えば、8年前の開戦直前まで退行していた。」
「「「「退行!?」」」」
声を揃えたC.C.達の様子を見て、星刻はこくりと頷いた。
「・・・そうだ。だから、今の彼は、11歳程度の精神年齢となっている。まあ、知識の量とそれを生かす才能は並ではないがな。」
「・・・ルルーシュと話がしたい。・・・今の時点で、戻る気があるのか、それとも、このまま、中華連邦に留まるのか、あいつの意思を確認する。」
C.C.がそう言えば、星刻の気配が鋭いものに変わる。
「・・・もし、ルルーシュがここに残ると言ったら、貴殿等は諦めるのか?」
「・・・ルルーシュの意思を尊重する。・・・無理を強いるつもりはない。」
C.C.が答えれば、神楽耶も卜部もカレンも同様に頷いた。
「そうか。貴殿等の考えはわかった。・・・ルルーシュには、私の知りうる限りの黒の騎士団の情報も伝えてある。何も知らぬというわけではないから、話もスムーズにできるだろう。・・・しばし、待て。」
星刻は驚いた様子で見つめてくるC.C.達を見やり、部屋を後にする。
「ルルーシュ。・・・行ってしまうの?」
一方、別室に天子と控えていたルルーシュは、涙ぐんだ目で天子に見上げられ、困ったように首を傾げた。
「・・・まだ、わかりません。・・・でも、もし、僕が彼等に希望を見せてしまっていたのなら、その責任を果たさなければとも思います。」
「そう。」
しゅん、とする天子の頭を優しく撫でる。と、その時、部屋に星刻が入ってくる。
「・・・星刻。」
「ルルーシュ。一度、彼等と話してみると良い。・・・悪い連中ではなさそうだ。」
「・・・わかりました。」
頷くルルーシュの表情は緊張していた。目ざとくそれに気づいた星刻はぽん、と肩を叩いた。
「安心しろ、お前の意思を尊重すると言っていたから、無理矢理言うことを聞かされることは無いだろう。」
星刻の気遣いに気付いたルルーシュは、ニコリと笑みを見せ、頷く。
「大丈夫です。少し、緊張しているだけですから。」
「そうか、では行こう。」
「星刻!・・・私も、行っても良い?」
天子が言うと、一瞬ためらった後、星刻は頷く。
「構いませんよ。・・・ルルーシュは天子様の友人ですから、無関係ではありませんしね。」
星刻の許可が出ると、天子は花のような笑みをうかべて、ルルーシュの手にすがった。
「私も一緒よ、ルルーシュ!」
「うん。」
天子の笑顔につられるように、ルルーシュも笑みをうかべる。その様子を見て、星刻はホッと息をついた。
天子もルルーシュも互いに良い影響を与えている。だから、最初は警戒していたルルーシュも、天子がいなくても笑みを見せるようになったし、天子も、ルルーシュに影響を受け、懸命に政治を学ぶようになった。
「(だからこそ、ルルーシュを天子様の傍に置いておきたいが・・・それを無理強いすることはできないな。)」
C.C.達の態度は星刻から見ても好意的なものだった。その、彼等が意思を尊重すると言っているのに、こちらがルルーシュの意思を無視することがあってはいけない。
そんなことを考えつつ、先導していた星刻は、C.C.達の待つ部屋の前で立ち止まり、ルルーシュに先に入るように促す。それに頷くと、ルルーシュは部屋の中に入っていった。
「・・・っ!・・・ルルー・・・シュ。」
目を見開く紅い髪の少女に、ルルーシュはぺこりと頭を下げた。
「こんにちは・・・僕は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。一応、はじめましてと言っておきますね。」
丁寧に挨拶されたカレンは、絶句する。その周りにいたC.C.達も何とも言えない表情をうかべる。
「・・・あの?」
何の反応も無いことに不安を覚え、ルルーシュが困ったように首を傾げる。
「すまないな、以前のお前と違っている部分が多すぎて、反応に困ってしまっていたんだ。私はC.C.だ。お前の共犯者とでも言っておこうか。」
「共犯者?」
ルルーシュの目が丸く見開かれる。その隙だらけの表情に、C.C.は苦笑をうかべ、そして、次の瞬間、腕を掴んで己の方へ引き寄せ、唇をルルーシュのそれに押しあてた。
「「「「!!!?」」」」
その場にいる全員がギョッとして固まる中、唇を離したC.C.は、うつむいたルルーシュを静かに見つめた。
「・・・そう、か。」
ぽつり、と呟いたルルーシュが、顔をあげる。その左眼はアメジストではなく、ルビー。
「ルルーシュ、思い出したか?」
「・・・ああ。思い出したよ、C.C.・・・だが、やり方が乱暴すぎる。」
笑みをうかべるC.C.を見やり、ルルーシュは溜め息をついた。
「隙だらけのお前が悪い。」
「悪かったな・・・。」
「悪くは無いさ。・・・どうやら、こいつらのおかげで、人を信じることを覚えたらしいからな。」
ニヤニヤと笑うC.C.を軽く睨み、ルルーシュは肩を竦めた。そして、星刻達を振り返る。
「・・・ルルーシュ。」
星刻の表情は硬く、天子は今にも泣き出しそうになっている。その2人に対して、ルルーシュは穏やかな笑みを見せた。
「天子様、星刻・・・2人には本当に感謝してます。・・・でも・・・。」
もうすでにルルーシュの中で答えは出ているのだとわかる。だが、今までの1年間の記憶が無くなったわけではないこともわかるような言葉に、星刻はホッと息をついた。
「いや、我々こそ、ルルーシュには随分助けられた。・・・もし、ルルーシュが黒の騎士団へと戻るつもりなら、中華連邦は黒の騎士団を支援しよう。」
「星刻・・・でも、ブリタニアと戦うことになったら・・・。」
ルルーシュが眉を顰めると、星刻もわかっているというように頷く。
「中華連邦も無傷というわけにはいくまい。だがな、ルルーシュ、お前は、天子様の友人だ。」
「・・・そうよ!ルルーシュは、私のお友達よ!!・・・ねぇ、お願い、ルルーシュのお手伝いをさせて!!」
天子までそう言い出したので、ルルーシュは柔らかな笑みをうかべた。
「・・・2人とも・・・ありがとう・・・。」
その笑みを見て、直視した星刻と天子はもちろん、脇から見ていた神楽耶やカレン、卜部も顔を真っ赤にする。
「・・・やれやれ、悩殺モード全開じゃないか。」
クツクツと笑うC.C.に、ルルーシュは首を傾げる。
「は?悩殺?・・・なんだ、それは。」
「ククク、一段と磨きがかかったようだな。中華連邦は大丈夫か?」
そんな言葉を口にしたC.C.に、星刻が苦笑する。
「・・・なるほど。記憶を退行させていたからではなく、天然か。」
「ん?お前もオトされたのか?」
その呟きを聞いてニヤニヤと笑うC.C.に、星刻は肩を竦めた。
「私だけではない。・・・連邦政府が・・・いや、むしろ人民達全てか・・・。」
否定しなかった星刻に、C.C.は満足げに頷き、ルルーシュを小突いた。
「やっぱり、お前の素顔が一番の武器だな。」
「・・・良くわからないんだが・・・。」
1人理解できないでいるルルーシュを囲み、皆が笑顔で笑い合う。そこには確かに、信頼の絆が生まれていた。
ー エリア11・トウキョウ租界政庁
囚われていた黒の騎士団員の処刑日が決まり、大々的に報道される中、政庁では、とある計画が進められていた。
「枢木卿、本当に中華連邦のクーデターの参謀を務めたという少年がゼロなのですか?」
軍の高官に訊ねられ、スザクは厳しい表情のまま頷いた。
「間違いない。・・・自分は、ゼロの素顔を見ている。仮面を皇帝陛下に献上し、ゼロの素性をご報告したからこそ、今の立場にある。・・・民間にはそれは伏せられているが。」
対ゼロとして、ラウンズに召し上げられたスザクは、ユーフェミアの仇をとる為、この場に立っている。それは、軍の内部では有名な話であった。
「ゼロの素性・・・お知り合いだったのですか?」
「知り合い?いや、違う・・・彼は最も親しい友だった。」
スザクの言葉に、軍の高官は絶句する。
「・・・以前は様々な状況もあって取り逃してしまったが、今度はそうはいかない。」
その冷たい瞳に宿るのは憎しみの炎。
「く、枢木卿。」
「準備を始めろ。・・・黒の騎士団幹部を囮として、ゼロをおびき寄せる。」
「来るのでしょうか?わざわざ、中華連邦から・・・。」
「来るさ。・・・来ないなら、それはゼロの死を意味する。奇跡を起こさないゼロは、ゼロではないから。」
自信たっぷりに言ったスザクを見つめ、軍の高官は身震いした。スザクは妄執に囚われていた。それが己の身を滅ぼすことになるとは、思いもせずに。
一方、中華連邦のラインでエリア11にやって来たルルーシュは、久々に、ゼロの衣装に袖を通した。
「1年ぶり、か。・・・結果として見捨ててしまったことになるんだな。相当恨まれているはずだ。」
苦笑をうかべるルルーシュの肩をポン、と卜部が叩く。
「事情は俺らや星刻殿が話す。そうすれば、皆、わかってくれる。」
「ああ。俺は、もう、信じることを恐れたりはしない。・・・それを、天子様や星刻達が教えてくれたんだ。」
柔らかな笑みをうかべるルルーシュに、卜部はホッと息をつく。
「中華連邦に飛ばされたのは、ラッキーだったな。」
「ああ。この上もないほどの幸運だったよ。・・・藤堂たちとも、そんな関係が築ければ良いんだが。」
「築ければ、じゃねーよ。・・・築くんだ。少しずつでも良いからよ。」
卜部が大きな手でルルーシュの頭を撫でる。
「・・・そう、だな。」
気持ち良さそうに目を細め、ルルーシュが言うと、卜部は思わずクラリとした。
「(おいおい、犯罪的な可愛さだぞ?・・・抱きしめたら逃げっかな。)」
「不埒なことを考えるなよ、卜部。・・・ルルーシュ、準備はできたか?」
卜部が手を伸ばそうとした瞬間、C.C.がその場に現れる。ぎくりとする卜部の脇で、やはりわかっていない様子のルルーシュが首を傾げる。
「卜部は別に何もしてないぞ?」
「・・・ただの牽制だ。気にするな。それよりも、時間だ。」
「ああ。準備はできている。行こう。」
バサリとマントを翻し、ルルーシュはテーブルに置いてあった仮面を掴む。
「スザクが指揮官か。・・・フ、1年前のようにはいかないぞ。」
ニッと笑い、ルルーシュはゼロの仮面を被った。
処刑日当日。うなだれる黒の騎士団の幹部達の前に、スザクが姿を現す。
「助かりたければ、ゼロが助けに来ることを祈るんだな。」
その冷たい視線に、幹部達は絶句する。まるで別人のようなスザクに、かつての師であった藤堂でさえも目を丸くした。
「来い、ゼロ。・・・奇跡を起こしてみせろ。」
スザクが呟いた瞬間、辺りに爆音が轟く。
「・・・来た!」
スザクは身を翻し、処刑台の傍に配置していたランスロットに飛び乗った。
一方、処刑台を囲むブリタニア軍を見下ろせる位置から、ルルーシュは指示を飛ばす。
「・・・ランスロットの相手は、カレンの紅蓮に任せるぞ。」
「了解!」
「卜部は、とにかく“暁”で処刑台にまっすぐ向かえ。背後からの攻撃は“蜃気楼”の絶対守護領域で守る。前は自分で何とかしろ。」
「承知した。・・・ルルーシュ、気をつけろよ?」
「俺を誰だと思っている?・・・奇跡を起こす男、ゼロだぞ。」
「それは失礼した。」
ルルーシュの言葉に、卜部はにやりと笑った。それにつられる様にルルーシュも笑みをうかべ、タッチパネル式キーボードを出す。
「さぁ、あいさつ代わりだ・・・受け取れ。」
ルルーシュがキーボードを操作すると、胸部の液体金属が発射される。処刑台とは反対側の敵が密集する辺りまで行ったのを確認し、ビームを放つ。
広範囲の敵を一瞬で殲滅する、蜃気楼の兵器・拡散構造相転移砲の一撃。それが合図となり、騎士団の団員達が乗るナイトメア部隊が一気になだれ込んだ。
「邪魔する敵は全てなぎ倒せ!!同胞の救出が最優先だ!」
「「「承知!」」」
ランスロットと対峙し、カレンはその白い機体を睨み据える。
「久しぶりだね、カレン。」
「そうね。・・・あんたは、随分と出世したみたいじゃない。」
厭味のつもりで言えば、かすかにランスロットが傾いだ。
「・・・ゼロを捕えるためだ。」
「そう。でも、ゼロは以前のゼロとは違うわよ。」
「どういうことだ?」
「さぁねっ、自分で確かめなさいよッ!」
カレンの先制攻撃が決まり、ランスロットは吹っ飛ばされた。
その頃、卜部とルルーシュは処刑台まで無事に到着し、処刑台ごと囚われていた者達を救い出していた。
「指揮官が前線に出ちまったら、駄目だろ?」
ぼやく卜部に、クツクツとルルーシュは笑う。
「頭に血がのぼっているんだろう。そのおかげでこんなに簡単に救出が出来たんだ。感謝しないとな?」
「くっくっ・・・感謝してるって声じゃねぇぜぇ?」
楽しそうに卜部が応じると、くぐもった笑い声が蜃気楼から聞こえる。どうやら、仮面を被ったらしいと判断すると、卜部は地上部隊を指揮していたC.C.に回線をつなぐ。
「C.C.、締めだ。処刑台を運ぶのを手伝ってくれ。」
「わかった。今行く。」
すぐに応答があり、卜部の要請に応じて、C.C.の暁が傍に寄ってくる。
「ゼロ、後は私と卜部が運ぶ。」
「ああ。」
ルルーシュはC.C.に答え、そして、蜃気楼のコックピットを開ける。自動操縦なので、安心して身を乗り出す。
「ブリタニアの諸君!囚われし同胞は返してもらった!・・・そして、日本人よ!私は帰ってきた!!」
わあっ!とあちこちから歓声がわく。処刑をハラハラと見守っていた日本人達の声だった。
「私はブリタニアの支配を認めない!今ここに、合衆国日本の建国を宣言する。そして、同盟国、中華連邦の領事館の敷地は、たった今から、合衆国日本の領土となる。」
その宣言に、ブリタニア側はギョッとし、やはり、中華連邦のクーデターはゼロの仕業だったかと納得する。
「ゼロ!お前は、また!」
紅蓮との攻防の中でも、忌々しげにスザクが叫ぶ。
「枢木卿、貴様との決着は今しばらく置いておこう。次に会う時まで、首を洗って待っているが良い。・・・カレン!」
「はい!」
ルルーシュに名を呼ばれ、カレンはゲフィオンネットでランスロットの動きを止める。
「!!・・・そんな、ゲフィオンディスターバーの対策はしてあるのに!」
動かないランスロットの操縦桿を握りしめ、スザクは唸る。
「それでは、一先ずここは引かせてもらおう。さらばだ。」
ルルーシュの言葉にあわせるように、騎士団のナイトメアは潮が引くように退却していく。
「くそ!!」
スザクは、苛立ち紛れに側壁を叩き、歯軋りした。
中華連邦の領事館に着いたルルーシュ達は、早速、処刑台から囚われていた人々を助け出す。
「扇さん!」
「カレン、助かったよ。」
「いえ!みんな、無事で良かった。」
涙ぐむカレンの頭をポンポンと撫で、扇は団員達に指示を与えているゼロに視線を向ける。
「・・・ゼロは、」
「それは後でな。」
問いかけようとする扇を制し、傍に寄ってきた卜部がにやりと笑う。
「卜部、無事で何よりだ。」
藤堂がホッとした様子で言うと、卜部は頷く。
「中佐達もな。いや、俺だけ掴まんなかったからよ。ちょっと後ろめたかったんだが・・・まあ、先にルルーシュ、あ、いけね。・・・ゼロを連れて来なきゃなんなかったし、結構、忙しかったぜ。」
ひょい、と肩を竦める卜部は確信犯らしい。
「卜部、先程から気になっておったが、随分とゼロと仲が良さそうだな?」
仙波に問われ、卜部は首を横に振った。
「いえいえ、俺よりか、紅月の方が仲良いですよ。なぁ、紅月?」
「へっ!?・・・え、ああ、まぁ。」
突然振られたカレンは、ギョッとしたものの、あっさりと頷く。
「まあ、俺達よか、中華連邦の連中の方が更に仲良いけどなぁ。」
卜部が言いながら、視線で示す方を向くと、黎星刻が駆け寄ってくるのが見え、幹部達は身を固くする。いきなりのゼロの領土宣言で絶対怒っていると思ったのだ。
「・・・だ、大丈夫なのかよぉ。」
玉城が呟くと、カレンがあっさりと頷く。
「大丈夫よ。だって、領事館を一番最初の領土にしたらどうだって言ったのは、星刻さんだもの。」
「マジかよ!?」
「マジよ。・・・ほら、その証拠に、にこやかでしょ。」
カレンの言う通り、ゼロと話しこんでいる様子の星刻はにこやかだ。安堵した幹部達が、しばらくその様子を見つめていると、いきなりゼロが仮面に手をかけた。
「「「「!?」」」」
あっさりと外された仮面の下から現れた美貌に、幹部達だけでなく、バタバタと動き回っていた団員達までもが釘付けになってしまう。
「・・・おいおい、ここで外すかぁ?」
さすがに免疫のできた卜部がすぐに我に返ると、ガシガシと頭を掻きながらルルーシュの元へ行く。
「おい、ルルーシュ。・・・いきなり外すな。」
「あ、すまない。・・・どうにも1年間被らずにいたから、鬱陶しくて。」
「そりゃ、まあ、そうだろうが・・・、お前の素顔を知らねえ奴らが固まってるぞ。」
「・・・わからなくもないがな。」
くつくつと笑う星刻に、卜部も違いないと笑う。
「確かに、俺は絶対にあいつらの前で仮面は取らなかったが、ここまで驚くことか?」
「いや、それで驚いてんじゃねーと思うが・・・。まあ、いいか。」
ぼそ、と呟く卜部だが、勘違いをしているルルーシュも可愛いので放っておくことにする。
「さて、後は、事情説明か。」
星刻が言うと、わずかにルルーシュの表情が強張る。
「・・・心配すんな。皆わかってくれるさ。」
「ああ。」
頷くルルーシュの表情はまだ固いが、すぐに、あの笑顔が見れるだろうと確信して、卜部は幹部達を始めとする、ブリタニアに囚われていた者達を集める。
「聞かせて貰おう、ゼロ・・・なぜ、あの時、戦線を離脱した!?」
開口一発、四聖剣の千葉が詰ると、ルルーシュは悲しそうに眉を顰める。それだけで、星刻が幹部達を睨むので、口を開くきっかけを失った他の幹部達は、ルルーシュが千葉の問いに答えるのを待つ。
「肉親が・・・妹が何者かに連れ去られたからだ。・・・コーネリアを撃破した後、俺は、神根島に向かった。そこで・・・枢木スザクと対し、そして、何らかの不思議な力が働いて・・・気付いた時には、中華連邦に飛ばされていた。」
その言葉を星刻が補足する。
「彼は光に包まれて朱禁城の中庭に現れた。・・・銃で撃たれ、深手を負っていた彼は1カ月の間眠り続け、目覚めた時、7年前まで記憶が退行していた。・・・それから1年、我等中華連邦に協力し、クーデターを見事に成功させたのも彼の力だ。」
驚いた幹部達は、事情を知っていた様子のカレンや卜部を見つめる。
「ついこの間、私達が中華連邦まで迎えに行った時は、まだ、記憶が退行している状態でした。・・・でも、C.C.がそれを治したんです。」
「・・・で、とりあえず記憶が戻ったルルーシュを連れて、こっちに帰ってきたら、皆の処刑が行われるってんで、慌てて、計画を立ててこうやって実行したってわけだ。」
2人の話はルルーシュの話を補足するもので、幹部達もようやく納得する。
「・・・もう一度・・・私の下で、戦ってはくれないだろうか。今度こそ、日本を取り戻そう。」
「・・・わかった。俺は、信じるよ、ゼロ。・・・これからも俺達を率いてほしい。」
「今度は、お前に頼り過ぎないように、俺達も気をつけよう。」
扇と藤堂がそう言うので、他の者達も頷いて同意を示す。すると、今まで強張っていたルルーシュの表情が緩み、次の瞬間、花が咲いたような笑みをうかべた。
「・・・ありがとう。これからもよろしく頼む。」
― か、可愛い・・・。
一同、濃い薄いはあれど頬を赤く染める。
「・・・オチたな。」
フッと笑ったC.C.の方を向き、ルルーシュはこてん、と首を傾げた。
「は?誰も落ちてなどいないぞ?」
― 首傾げるの可愛い!!しかも天然!!
皆の心の声が聞こえた気がして、カレンははぁ、と溜め息をついた。
「本当に、無自覚で誑し込むんだから・・・。」
「た、誑かしてなんかいないぞ、カレン!」
「誑かしてるわよ!ほら、皆を見てみなさいよ!」
一同が顔を真っ赤にして己を見つめてくるのを見て、ルルーシュは、ますます混乱したように眉根を寄せた。
「星刻、あれは、俺のせい?」
「いや、ルルーシュのせいではない。自分の感情くらいコントロールできるようにならねばな。・・・鍛錬不足なのだろう。」
ルルーシュにとことん甘いらしい星刻は、あっさりと否定して、責任転嫁をした。
「・・・ルルーシュが一層天然になったのって、星刻さんのせいな気がしてきた。」
「奇遇だな、紅月。・・・俺もだ。」
「・・・確かに。」
カレンの呟きに、卜部とC.C.が同意する。
この後、ルルーシュにオトされた面々が、ルルーシュに甘々になり、更にルルーシュが天然になるのも時間の問題である。
おしまい
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・1期25話~捏造
・ルルの記憶退行→戻ります
・天子と星刻がとっても良いポジション
・ルルは皆の癒し+天然
・枢木さんが我を忘れてます
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
そして、2日後。
C.C.が知る極秘のラインから中華連邦へと入国した、C.C.と神楽耶と卜部とカレンは、中華連邦側から指定された、屋敷へと赴いていた。
「ゼロ様は、私達のことを覚えていないというのは間違いないのですか?」
「ああ。恐らく、な。・・・それも、これからハッキリするだろうさ。」
記憶の無いルルーシュに会わせることになるだろうと、ここに向かう途中で神楽耶にも説明をしたC.C.だったが、ルルーシュがどのような状態であるか把握できないために、いつものように自信たっぷりな様子は見せない。
コツ、と足音が聞こえ、C.C.達に緊張が走る。
「待たせたな。」
顔を見せたのは、黎星刻。クーデター首謀者であり、現在の中華連邦の軍事責任者である男だ。
「・・・黎星刻・・・か。」
ぽつりと呟く、C.C.を見て、星刻は目を細めた。
「・・・皇神楽耶殿、は?」
「私です。・・・あの、こちらには黎星刻殿しかいらしていないのでしょうか?」
不安そうに問う神楽耶に、星刻は笑みを見せる。
「彼・・・ルルーシュならば、別室に控えさせている。まずは、貴殿等の考えをお聞かせ願いたいと思ってな。」
「・・・私達の考え・・・?」
「やはり、ルルーシュだったか。・・・その様子だと、ルルーシュはゼロとしての記憶が無いとみて良いのだろうか?」
首を傾げる神楽耶の横で、C.Cが納得の声をあげ、星刻に訊ねる。
「・・・素性を知っているのか?」
星刻はそのC.C.の言葉を受けて、眉を顰めた。
「ああ。お前こそ、ルルーシュの素性を?」
「・・・彼は、光に包まれて、朱禁城の中庭に突如現れた。銃で撃たれたらしく、怪我をしていた。・・・丸一月眠った後、目覚めた彼の記憶は、7年前・・・今で言えば、8年前の開戦直前まで退行していた。」
「「「「退行!?」」」」
声を揃えたC.C.達の様子を見て、星刻はこくりと頷いた。
「・・・そうだ。だから、今の彼は、11歳程度の精神年齢となっている。まあ、知識の量とそれを生かす才能は並ではないがな。」
「・・・ルルーシュと話がしたい。・・・今の時点で、戻る気があるのか、それとも、このまま、中華連邦に留まるのか、あいつの意思を確認する。」
C.C.がそう言えば、星刻の気配が鋭いものに変わる。
「・・・もし、ルルーシュがここに残ると言ったら、貴殿等は諦めるのか?」
「・・・ルルーシュの意思を尊重する。・・・無理を強いるつもりはない。」
C.C.が答えれば、神楽耶も卜部もカレンも同様に頷いた。
「そうか。貴殿等の考えはわかった。・・・ルルーシュには、私の知りうる限りの黒の騎士団の情報も伝えてある。何も知らぬというわけではないから、話もスムーズにできるだろう。・・・しばし、待て。」
星刻は驚いた様子で見つめてくるC.C.達を見やり、部屋を後にする。
「ルルーシュ。・・・行ってしまうの?」
一方、別室に天子と控えていたルルーシュは、涙ぐんだ目で天子に見上げられ、困ったように首を傾げた。
「・・・まだ、わかりません。・・・でも、もし、僕が彼等に希望を見せてしまっていたのなら、その責任を果たさなければとも思います。」
「そう。」
しゅん、とする天子の頭を優しく撫でる。と、その時、部屋に星刻が入ってくる。
「・・・星刻。」
「ルルーシュ。一度、彼等と話してみると良い。・・・悪い連中ではなさそうだ。」
「・・・わかりました。」
頷くルルーシュの表情は緊張していた。目ざとくそれに気づいた星刻はぽん、と肩を叩いた。
「安心しろ、お前の意思を尊重すると言っていたから、無理矢理言うことを聞かされることは無いだろう。」
星刻の気遣いに気付いたルルーシュは、ニコリと笑みを見せ、頷く。
「大丈夫です。少し、緊張しているだけですから。」
「そうか、では行こう。」
「星刻!・・・私も、行っても良い?」
天子が言うと、一瞬ためらった後、星刻は頷く。
「構いませんよ。・・・ルルーシュは天子様の友人ですから、無関係ではありませんしね。」
星刻の許可が出ると、天子は花のような笑みをうかべて、ルルーシュの手にすがった。
「私も一緒よ、ルルーシュ!」
「うん。」
天子の笑顔につられるように、ルルーシュも笑みをうかべる。その様子を見て、星刻はホッと息をついた。
天子もルルーシュも互いに良い影響を与えている。だから、最初は警戒していたルルーシュも、天子がいなくても笑みを見せるようになったし、天子も、ルルーシュに影響を受け、懸命に政治を学ぶようになった。
「(だからこそ、ルルーシュを天子様の傍に置いておきたいが・・・それを無理強いすることはできないな。)」
C.C.達の態度は星刻から見ても好意的なものだった。その、彼等が意思を尊重すると言っているのに、こちらがルルーシュの意思を無視することがあってはいけない。
そんなことを考えつつ、先導していた星刻は、C.C.達の待つ部屋の前で立ち止まり、ルルーシュに先に入るように促す。それに頷くと、ルルーシュは部屋の中に入っていった。
「・・・っ!・・・ルルー・・・シュ。」
目を見開く紅い髪の少女に、ルルーシュはぺこりと頭を下げた。
「こんにちは・・・僕は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。一応、はじめましてと言っておきますね。」
丁寧に挨拶されたカレンは、絶句する。その周りにいたC.C.達も何とも言えない表情をうかべる。
「・・・あの?」
何の反応も無いことに不安を覚え、ルルーシュが困ったように首を傾げる。
「すまないな、以前のお前と違っている部分が多すぎて、反応に困ってしまっていたんだ。私はC.C.だ。お前の共犯者とでも言っておこうか。」
「共犯者?」
ルルーシュの目が丸く見開かれる。その隙だらけの表情に、C.C.は苦笑をうかべ、そして、次の瞬間、腕を掴んで己の方へ引き寄せ、唇をルルーシュのそれに押しあてた。
「「「「!!!?」」」」
その場にいる全員がギョッとして固まる中、唇を離したC.C.は、うつむいたルルーシュを静かに見つめた。
「・・・そう、か。」
ぽつり、と呟いたルルーシュが、顔をあげる。その左眼はアメジストではなく、ルビー。
「ルルーシュ、思い出したか?」
「・・・ああ。思い出したよ、C.C.・・・だが、やり方が乱暴すぎる。」
笑みをうかべるC.C.を見やり、ルルーシュは溜め息をついた。
「隙だらけのお前が悪い。」
「悪かったな・・・。」
「悪くは無いさ。・・・どうやら、こいつらのおかげで、人を信じることを覚えたらしいからな。」
ニヤニヤと笑うC.C.を軽く睨み、ルルーシュは肩を竦めた。そして、星刻達を振り返る。
「・・・ルルーシュ。」
星刻の表情は硬く、天子は今にも泣き出しそうになっている。その2人に対して、ルルーシュは穏やかな笑みを見せた。
「天子様、星刻・・・2人には本当に感謝してます。・・・でも・・・。」
もうすでにルルーシュの中で答えは出ているのだとわかる。だが、今までの1年間の記憶が無くなったわけではないこともわかるような言葉に、星刻はホッと息をついた。
「いや、我々こそ、ルルーシュには随分助けられた。・・・もし、ルルーシュが黒の騎士団へと戻るつもりなら、中華連邦は黒の騎士団を支援しよう。」
「星刻・・・でも、ブリタニアと戦うことになったら・・・。」
ルルーシュが眉を顰めると、星刻もわかっているというように頷く。
「中華連邦も無傷というわけにはいくまい。だがな、ルルーシュ、お前は、天子様の友人だ。」
「・・・そうよ!ルルーシュは、私のお友達よ!!・・・ねぇ、お願い、ルルーシュのお手伝いをさせて!!」
天子までそう言い出したので、ルルーシュは柔らかな笑みをうかべた。
「・・・2人とも・・・ありがとう・・・。」
その笑みを見て、直視した星刻と天子はもちろん、脇から見ていた神楽耶やカレン、卜部も顔を真っ赤にする。
「・・・やれやれ、悩殺モード全開じゃないか。」
クツクツと笑うC.C.に、ルルーシュは首を傾げる。
「は?悩殺?・・・なんだ、それは。」
「ククク、一段と磨きがかかったようだな。中華連邦は大丈夫か?」
そんな言葉を口にしたC.C.に、星刻が苦笑する。
「・・・なるほど。記憶を退行させていたからではなく、天然か。」
「ん?お前もオトされたのか?」
その呟きを聞いてニヤニヤと笑うC.C.に、星刻は肩を竦めた。
「私だけではない。・・・連邦政府が・・・いや、むしろ人民達全てか・・・。」
否定しなかった星刻に、C.C.は満足げに頷き、ルルーシュを小突いた。
「やっぱり、お前の素顔が一番の武器だな。」
「・・・良くわからないんだが・・・。」
1人理解できないでいるルルーシュを囲み、皆が笑顔で笑い合う。そこには確かに、信頼の絆が生まれていた。
ー エリア11・トウキョウ租界政庁
囚われていた黒の騎士団員の処刑日が決まり、大々的に報道される中、政庁では、とある計画が進められていた。
「枢木卿、本当に中華連邦のクーデターの参謀を務めたという少年がゼロなのですか?」
軍の高官に訊ねられ、スザクは厳しい表情のまま頷いた。
「間違いない。・・・自分は、ゼロの素顔を見ている。仮面を皇帝陛下に献上し、ゼロの素性をご報告したからこそ、今の立場にある。・・・民間にはそれは伏せられているが。」
対ゼロとして、ラウンズに召し上げられたスザクは、ユーフェミアの仇をとる為、この場に立っている。それは、軍の内部では有名な話であった。
「ゼロの素性・・・お知り合いだったのですか?」
「知り合い?いや、違う・・・彼は最も親しい友だった。」
スザクの言葉に、軍の高官は絶句する。
「・・・以前は様々な状況もあって取り逃してしまったが、今度はそうはいかない。」
その冷たい瞳に宿るのは憎しみの炎。
「く、枢木卿。」
「準備を始めろ。・・・黒の騎士団幹部を囮として、ゼロをおびき寄せる。」
「来るのでしょうか?わざわざ、中華連邦から・・・。」
「来るさ。・・・来ないなら、それはゼロの死を意味する。奇跡を起こさないゼロは、ゼロではないから。」
自信たっぷりに言ったスザクを見つめ、軍の高官は身震いした。スザクは妄執に囚われていた。それが己の身を滅ぼすことになるとは、思いもせずに。
一方、中華連邦のラインでエリア11にやって来たルルーシュは、久々に、ゼロの衣装に袖を通した。
「1年ぶり、か。・・・結果として見捨ててしまったことになるんだな。相当恨まれているはずだ。」
苦笑をうかべるルルーシュの肩をポン、と卜部が叩く。
「事情は俺らや星刻殿が話す。そうすれば、皆、わかってくれる。」
「ああ。俺は、もう、信じることを恐れたりはしない。・・・それを、天子様や星刻達が教えてくれたんだ。」
柔らかな笑みをうかべるルルーシュに、卜部はホッと息をつく。
「中華連邦に飛ばされたのは、ラッキーだったな。」
「ああ。この上もないほどの幸運だったよ。・・・藤堂たちとも、そんな関係が築ければ良いんだが。」
「築ければ、じゃねーよ。・・・築くんだ。少しずつでも良いからよ。」
卜部が大きな手でルルーシュの頭を撫でる。
「・・・そう、だな。」
気持ち良さそうに目を細め、ルルーシュが言うと、卜部は思わずクラリとした。
「(おいおい、犯罪的な可愛さだぞ?・・・抱きしめたら逃げっかな。)」
「不埒なことを考えるなよ、卜部。・・・ルルーシュ、準備はできたか?」
卜部が手を伸ばそうとした瞬間、C.C.がその場に現れる。ぎくりとする卜部の脇で、やはりわかっていない様子のルルーシュが首を傾げる。
「卜部は別に何もしてないぞ?」
「・・・ただの牽制だ。気にするな。それよりも、時間だ。」
「ああ。準備はできている。行こう。」
バサリとマントを翻し、ルルーシュはテーブルに置いてあった仮面を掴む。
「スザクが指揮官か。・・・フ、1年前のようにはいかないぞ。」
ニッと笑い、ルルーシュはゼロの仮面を被った。
処刑日当日。うなだれる黒の騎士団の幹部達の前に、スザクが姿を現す。
「助かりたければ、ゼロが助けに来ることを祈るんだな。」
その冷たい視線に、幹部達は絶句する。まるで別人のようなスザクに、かつての師であった藤堂でさえも目を丸くした。
「来い、ゼロ。・・・奇跡を起こしてみせろ。」
スザクが呟いた瞬間、辺りに爆音が轟く。
「・・・来た!」
スザクは身を翻し、処刑台の傍に配置していたランスロットに飛び乗った。
一方、処刑台を囲むブリタニア軍を見下ろせる位置から、ルルーシュは指示を飛ばす。
「・・・ランスロットの相手は、カレンの紅蓮に任せるぞ。」
「了解!」
「卜部は、とにかく“暁”で処刑台にまっすぐ向かえ。背後からの攻撃は“蜃気楼”の絶対守護領域で守る。前は自分で何とかしろ。」
「承知した。・・・ルルーシュ、気をつけろよ?」
「俺を誰だと思っている?・・・奇跡を起こす男、ゼロだぞ。」
「それは失礼した。」
ルルーシュの言葉に、卜部はにやりと笑った。それにつられる様にルルーシュも笑みをうかべ、タッチパネル式キーボードを出す。
「さぁ、あいさつ代わりだ・・・受け取れ。」
ルルーシュがキーボードを操作すると、胸部の液体金属が発射される。処刑台とは反対側の敵が密集する辺りまで行ったのを確認し、ビームを放つ。
広範囲の敵を一瞬で殲滅する、蜃気楼の兵器・拡散構造相転移砲の一撃。それが合図となり、騎士団の団員達が乗るナイトメア部隊が一気になだれ込んだ。
「邪魔する敵は全てなぎ倒せ!!同胞の救出が最優先だ!」
「「「承知!」」」
ランスロットと対峙し、カレンはその白い機体を睨み据える。
「久しぶりだね、カレン。」
「そうね。・・・あんたは、随分と出世したみたいじゃない。」
厭味のつもりで言えば、かすかにランスロットが傾いだ。
「・・・ゼロを捕えるためだ。」
「そう。でも、ゼロは以前のゼロとは違うわよ。」
「どういうことだ?」
「さぁねっ、自分で確かめなさいよッ!」
カレンの先制攻撃が決まり、ランスロットは吹っ飛ばされた。
その頃、卜部とルルーシュは処刑台まで無事に到着し、処刑台ごと囚われていた者達を救い出していた。
「指揮官が前線に出ちまったら、駄目だろ?」
ぼやく卜部に、クツクツとルルーシュは笑う。
「頭に血がのぼっているんだろう。そのおかげでこんなに簡単に救出が出来たんだ。感謝しないとな?」
「くっくっ・・・感謝してるって声じゃねぇぜぇ?」
楽しそうに卜部が応じると、くぐもった笑い声が蜃気楼から聞こえる。どうやら、仮面を被ったらしいと判断すると、卜部は地上部隊を指揮していたC.C.に回線をつなぐ。
「C.C.、締めだ。処刑台を運ぶのを手伝ってくれ。」
「わかった。今行く。」
すぐに応答があり、卜部の要請に応じて、C.C.の暁が傍に寄ってくる。
「ゼロ、後は私と卜部が運ぶ。」
「ああ。」
ルルーシュはC.C.に答え、そして、蜃気楼のコックピットを開ける。自動操縦なので、安心して身を乗り出す。
「ブリタニアの諸君!囚われし同胞は返してもらった!・・・そして、日本人よ!私は帰ってきた!!」
わあっ!とあちこちから歓声がわく。処刑をハラハラと見守っていた日本人達の声だった。
「私はブリタニアの支配を認めない!今ここに、合衆国日本の建国を宣言する。そして、同盟国、中華連邦の領事館の敷地は、たった今から、合衆国日本の領土となる。」
その宣言に、ブリタニア側はギョッとし、やはり、中華連邦のクーデターはゼロの仕業だったかと納得する。
「ゼロ!お前は、また!」
紅蓮との攻防の中でも、忌々しげにスザクが叫ぶ。
「枢木卿、貴様との決着は今しばらく置いておこう。次に会う時まで、首を洗って待っているが良い。・・・カレン!」
「はい!」
ルルーシュに名を呼ばれ、カレンはゲフィオンネットでランスロットの動きを止める。
「!!・・・そんな、ゲフィオンディスターバーの対策はしてあるのに!」
動かないランスロットの操縦桿を握りしめ、スザクは唸る。
「それでは、一先ずここは引かせてもらおう。さらばだ。」
ルルーシュの言葉にあわせるように、騎士団のナイトメアは潮が引くように退却していく。
「くそ!!」
スザクは、苛立ち紛れに側壁を叩き、歯軋りした。
中華連邦の領事館に着いたルルーシュ達は、早速、処刑台から囚われていた人々を助け出す。
「扇さん!」
「カレン、助かったよ。」
「いえ!みんな、無事で良かった。」
涙ぐむカレンの頭をポンポンと撫で、扇は団員達に指示を与えているゼロに視線を向ける。
「・・・ゼロは、」
「それは後でな。」
問いかけようとする扇を制し、傍に寄ってきた卜部がにやりと笑う。
「卜部、無事で何よりだ。」
藤堂がホッとした様子で言うと、卜部は頷く。
「中佐達もな。いや、俺だけ掴まんなかったからよ。ちょっと後ろめたかったんだが・・・まあ、先にルルーシュ、あ、いけね。・・・ゼロを連れて来なきゃなんなかったし、結構、忙しかったぜ。」
ひょい、と肩を竦める卜部は確信犯らしい。
「卜部、先程から気になっておったが、随分とゼロと仲が良さそうだな?」
仙波に問われ、卜部は首を横に振った。
「いえいえ、俺よりか、紅月の方が仲良いですよ。なぁ、紅月?」
「へっ!?・・・え、ああ、まぁ。」
突然振られたカレンは、ギョッとしたものの、あっさりと頷く。
「まあ、俺達よか、中華連邦の連中の方が更に仲良いけどなぁ。」
卜部が言いながら、視線で示す方を向くと、黎星刻が駆け寄ってくるのが見え、幹部達は身を固くする。いきなりのゼロの領土宣言で絶対怒っていると思ったのだ。
「・・・だ、大丈夫なのかよぉ。」
玉城が呟くと、カレンがあっさりと頷く。
「大丈夫よ。だって、領事館を一番最初の領土にしたらどうだって言ったのは、星刻さんだもの。」
「マジかよ!?」
「マジよ。・・・ほら、その証拠に、にこやかでしょ。」
カレンの言う通り、ゼロと話しこんでいる様子の星刻はにこやかだ。安堵した幹部達が、しばらくその様子を見つめていると、いきなりゼロが仮面に手をかけた。
「「「「!?」」」」
あっさりと外された仮面の下から現れた美貌に、幹部達だけでなく、バタバタと動き回っていた団員達までもが釘付けになってしまう。
「・・・おいおい、ここで外すかぁ?」
さすがに免疫のできた卜部がすぐに我に返ると、ガシガシと頭を掻きながらルルーシュの元へ行く。
「おい、ルルーシュ。・・・いきなり外すな。」
「あ、すまない。・・・どうにも1年間被らずにいたから、鬱陶しくて。」
「そりゃ、まあ、そうだろうが・・・、お前の素顔を知らねえ奴らが固まってるぞ。」
「・・・わからなくもないがな。」
くつくつと笑う星刻に、卜部も違いないと笑う。
「確かに、俺は絶対にあいつらの前で仮面は取らなかったが、ここまで驚くことか?」
「いや、それで驚いてんじゃねーと思うが・・・。まあ、いいか。」
ぼそ、と呟く卜部だが、勘違いをしているルルーシュも可愛いので放っておくことにする。
「さて、後は、事情説明か。」
星刻が言うと、わずかにルルーシュの表情が強張る。
「・・・心配すんな。皆わかってくれるさ。」
「ああ。」
頷くルルーシュの表情はまだ固いが、すぐに、あの笑顔が見れるだろうと確信して、卜部は幹部達を始めとする、ブリタニアに囚われていた者達を集める。
「聞かせて貰おう、ゼロ・・・なぜ、あの時、戦線を離脱した!?」
開口一発、四聖剣の千葉が詰ると、ルルーシュは悲しそうに眉を顰める。それだけで、星刻が幹部達を睨むので、口を開くきっかけを失った他の幹部達は、ルルーシュが千葉の問いに答えるのを待つ。
「肉親が・・・妹が何者かに連れ去られたからだ。・・・コーネリアを撃破した後、俺は、神根島に向かった。そこで・・・枢木スザクと対し、そして、何らかの不思議な力が働いて・・・気付いた時には、中華連邦に飛ばされていた。」
その言葉を星刻が補足する。
「彼は光に包まれて朱禁城の中庭に現れた。・・・銃で撃たれ、深手を負っていた彼は1カ月の間眠り続け、目覚めた時、7年前まで記憶が退行していた。・・・それから1年、我等中華連邦に協力し、クーデターを見事に成功させたのも彼の力だ。」
驚いた幹部達は、事情を知っていた様子のカレンや卜部を見つめる。
「ついこの間、私達が中華連邦まで迎えに行った時は、まだ、記憶が退行している状態でした。・・・でも、C.C.がそれを治したんです。」
「・・・で、とりあえず記憶が戻ったルルーシュを連れて、こっちに帰ってきたら、皆の処刑が行われるってんで、慌てて、計画を立ててこうやって実行したってわけだ。」
2人の話はルルーシュの話を補足するもので、幹部達もようやく納得する。
「・・・もう一度・・・私の下で、戦ってはくれないだろうか。今度こそ、日本を取り戻そう。」
「・・・わかった。俺は、信じるよ、ゼロ。・・・これからも俺達を率いてほしい。」
「今度は、お前に頼り過ぎないように、俺達も気をつけよう。」
扇と藤堂がそう言うので、他の者達も頷いて同意を示す。すると、今まで強張っていたルルーシュの表情が緩み、次の瞬間、花が咲いたような笑みをうかべた。
「・・・ありがとう。これからもよろしく頼む。」
― か、可愛い・・・。
一同、濃い薄いはあれど頬を赤く染める。
「・・・オチたな。」
フッと笑ったC.C.の方を向き、ルルーシュはこてん、と首を傾げた。
「は?誰も落ちてなどいないぞ?」
― 首傾げるの可愛い!!しかも天然!!
皆の心の声が聞こえた気がして、カレンははぁ、と溜め息をついた。
「本当に、無自覚で誑し込むんだから・・・。」
「た、誑かしてなんかいないぞ、カレン!」
「誑かしてるわよ!ほら、皆を見てみなさいよ!」
一同が顔を真っ赤にして己を見つめてくるのを見て、ルルーシュは、ますます混乱したように眉根を寄せた。
「星刻、あれは、俺のせい?」
「いや、ルルーシュのせいではない。自分の感情くらいコントロールできるようにならねばな。・・・鍛錬不足なのだろう。」
ルルーシュにとことん甘いらしい星刻は、あっさりと否定して、責任転嫁をした。
「・・・ルルーシュが一層天然になったのって、星刻さんのせいな気がしてきた。」
「奇遇だな、紅月。・・・俺もだ。」
「・・・確かに。」
カレンの呟きに、卜部とC.C.が同意する。
この後、ルルーシュにオトされた面々が、ルルーシュに甘々になり、更にルルーシュが天然になるのも時間の問題である。
おしまい
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