Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・1期25話~捏造
・ルルの記憶退行
・天子と星刻がとっても良いポジション
・ルルは皆の癒し+天然
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
向かい合うルルーシュとスザク。そして、互いに向けた銃を撃ちあう。
パァン!!
それは、神の悪戯か、世界の意思か・・・スザクに撃たれたルルーシュの体は、傾ぎながら光に包まれていった。
「っ!・・・ルルーシュッ!!」
スザクの自分を呼ぶ声が聞こえ、そして、ルルーシュの意識はそこで途絶えた。
「・・・?」
目を開くと、白を基調とした病室のような部屋にルルーシュはいた。むくりと起き上がり、辺りを見回すと、今までいた場所、つまり、日本やブリタニアとは違う文化を持つ場所にいることがわかる。
「起きたのね!」
可愛らしい声が聞こえ、ルルーシュは、そちらの方向を見る。そして、パタパタと駆け寄ってくる、幼い銀髪の少女を視界に収める。
「・・・あの。」
「ねぇ!星刻!起きたわ!!」
少女が呼ぶのと同時に、鋭い気配をまとった青年が部屋に入ってくる。
「起きたか・・・ゼロ。」
「・・・ゼロ?」
コトリ、と首を傾げたルルーシュは、心底不思議そうに訊ねた。
「お前がゼロだろう?・・・お前の着ていた服は、間違いなくエリア11を騒がせた黒の騎士団の総司令ゼロのものだった。」
「・・・エリア、11・・・?あの、エリアはまだ、10ヵ所しかなかったように思うんですが・・・日本とブリタニアは開戦したんですか?」
ルルーシュの言葉に、一瞬、呆気にとられた星刻だが、ふざけているようには見えないその様子に、納得の声をあげた。
「成程・・・傷を受けた時の影響か、ここに飛ばされてきた影響か・・・記憶が退行しているようだな。」
星刻の呟きが聞こえなかったルルーシュは、最も大事にしていたモノが傍にいないことに気づいた。
「あの・・・妹は・・・妹を見かけませんでしたか?彼女と同じ年頃の・・・。」
指をさされた少女はキョトンとして、それからパッと破顔した。
「私と同じ年頃の妹さんがいるの!?お友達になれるかしら?」
「天子様・・・彼の記憶は退行しているのです。・・・恐らく、今の彼の記憶は、開戦直前の7年前まで遡っているのでしょう。ですから、天子様と同じ年頃という彼の妹は、今は、14,5歳のはずですよ。」
「えっ・・・じゃあ・・・。」
天子と呼ばれた少女は、困ったような顔をして、ルルーシュを見つめた。その視線を受けたルルーシュも、記憶の退行という言葉に首を傾げた。
「・・・あの・・・記憶の退行とはどういうことです?今は皇歴で言うと何年でしょうか?」
ルルーシュの問いに、星刻は一瞬躊躇してから、答えた。
「・・・今は、皇歴2017年の12月だ。お前は光に包まれてこの朱禁城の中庭に降って来た。天子様は御殿医にけがを状況を見せ、一月もの間、眠り続けていたお前の世話を甲斐甲斐しくされておられた。」
「皇歴20・・・17年!?じゃあ・・・あの子はどこに。」
ショックを隠しきれず、呆然とするルルーシュに、星刻は眉を顰めた。
「(これが世間を騒がせたゼロ。こんな少年だったとは・・・。)」
「ねえ!記憶が戻るまで、ここにいると良いわ!!その代わり、私とお友達になって!!」
「て、天子様!!」
「ね、良いでしょう?星刻。」
キラキラとした視線を向けられ、駄目だと言えなくなってしまった星刻は、フッと溜め息をついた。
「・・・では、記憶が戻るまで・・・。」
「ありがとう、星刻!!・・・ねえ、貴方、お名前はなんていうの?」
ゼロとしての記憶が無い以上、ゼロとは呼べないため、天子は無邪気に名前を問うた。そして、身分を隠すという理由を無くしてしまっていたルルーシュは、あっさりとそれに答えた。
「・・・ルルーシュ。・・・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。」
「「ブリタニア!?」」
天子と星刻の声がハモる。
「では、ブリタニアの皇子か!?」
「はい・・・ブリタニアの第11皇子、第17皇位継承者・・・その継承権は放棄したので、元、ですけど。」
ことりと首を傾げる様子は、本当に幼い子供のようで、星刻は驚きを押さえこんで、事情を把握することに努める。
「今、いくつだ?」
「・・・えっと、皇歴2017年なら、17歳ですね。」
「17!?・・・若いとは思ったが、まだ学校に通う年じゃないか。・・・だから、メディアには出ていなかったのか。いや、だが、皇族が日本にいるなら、コーネリアやユーフェミアは。」
「・・・あの、すみません。・・・よく理解していないので、詳しく教えて貰えますか?僕がやっていたという“ゼロ”のことも・・・。」
呟く星刻に、ルルーシュは真剣な表情で言った。
「・・・わかった。私の知る限りの情報を教えよう・・・。」
頷いて、星刻は、7年間の世界情勢や、ブリタニアのエリア拡大など、複雑な政治的情報をルルーシュに与えた。ルルーシュは星刻の説明にあっさりと理解を示し、途中、質問を交えながら、ものの数十分で、殆どの情報を飲み込んでしまった。
「そうですか・・・何となく、僕がゼロになったわけもわかりました。・・・日本・・・いえ、エリア11にいたのは、何らかの事情で、皇室には戻らなかったんでしょう・・・。でも、まさか・・・スザクが皇族の騎士になるなんて・・・。」
「今は、皇帝の騎士となっているぞ。たしか、ナイト・オブ・ラウンズだったか?・・・黒の騎士団の制圧の手柄で召し上げられたらしいが。」
「・・・父上に・・・?」
「ああ。・・・だが、あまり驚かないのだな。どういった事情があるかは知らないが、お前は、実の父に反逆していたのだぞ?」
「・・・それなら、理由を想像できますよ。・・・僕達は・・・。」
そして、ルルーシュは自分達が日本に来るまでの経緯を天子と星刻に話して聞かせた。そのあまりもの内容に、天子は涙ぐみ、星刻は眉を顰めた。
「そうか。ゼロの行動の理由はよくわかった。・・・最初の話通り、記憶が戻るまでここにいると良い。もちろん、記憶が戻っても、ここにいたければ、我々は構わない。・・・そうですよね、天子様。」
「もちろんよ!・・・ね、ルルーシュ、私とお友達になってね?いっぱいお話をしましょう?」
「・・・うん。」
こくりと頷いたルルーシュに、天子は満面の笑みをうかべる。
「妹君のことも調べてみよう。・・・もしかしたら、本国にいるかもしれんし、エリア11に残っているかもしれん。」
「わかりました・・・お願いします。」
幼い表情をうかべるルルーシュを見ると、守ってやらねばと思ってしまう自分がいることに、星刻は気が付いていた。
だが、その幼さとは別に、ルルーシュの優秀な能力も見抜いていた。本人の申告を信じるのであれば、今現在、10歳程度の知識しかないはずなのに、己の話を完璧に理解し、更には質問をして、補足を促すなど、およそ、10歳の子どもができることではない。
「(環境ゆえ、か。)」
ブリタニア皇室の黒い歴史は、他国の人間である星刻も聞き及んでいる。あの中で身を守る為には、何らかの能力を身につけなければならなかったのだろう。守るモノがあるならば、尚更だ。
楽しそうに天子と話をしているところを見ると、本当に穏やかな光景なのだが、実の父に弓を引いたというのなら、相当、追い詰められていたのだろうと思う。
「ルルーシュ。」
「はい?」
名を呼べば、素直に返事が返ってくる。天子の天真爛漫さが、警戒を解かせているのだろうと思う。きっと、星刻と二人きりになるようなことがあれば、彼は警戒を露わにするはずだった。むしろ、そうしなければならないはずだ。彼の立場ならば。
「君は、知略に自信があるのではないか?」
「・・・チェスで、戦略を学びました。・・・兄に、相手をしてもらって。」
「兄?」
「はい。シュナイゼル兄上です。」
「シュナイゼル・・・そうか。どうりでゼロの戦略は優れていると思った。シュナイゼル直伝だったのか・・・。」
「僕は、まだ、兄に勝ったことはありませんが、それは、経験の差だと思っています。」
つまりは、経験さえ積めば、シュナイゼルに勝つ自信があるということだ。そうはっきり言ってのけたルルーシュに、星刻はニヤリと笑った。
「自信家だな。」
「そうでなければ、あの皇室で生きてはいけませんから。」
予想通りの答えが返ってきて、星刻は頷く。
「そうか。・・・お前さえ良いのなら、少し、意見を聞かせて貰いたい。」
「・・・意見・・・?」
「・・・今の中華連邦は、本来ならば敬われるべき天子様をないがしろにし、宦官共が実権を握っている。・・・我々は、その宦官共に、表舞台を降りて貰いたいと思っている。」
「それは・・・ある程度の荒事は・・・必要になりますよね?」
困ったように眉根を寄せるルルーシュに、星刻は表情を引き締める。
「その覚悟はある。・・・天子様の為にも、我等は留まれぬ。」
「わかりました・・・討って良いのは討たれる覚悟のある奴だけ。僕もきっと、その覚悟を持って、父に反逆したんでしょう。・・・なら、同じ覚悟を持つ貴方に、協力します。・・・お世話になる分くらいは働きますよ。」
そう言って二コリ、と笑ったルルーシュは、とても妖艶に見えた。
ー 1年後・・・
中華連邦でクーデターが起こった。
そのニュースは世界中に報道された。首謀者は、黎星刻とその親衛隊。その鮮やかな手並みは、まるでゼロのようだとブリタニアは危機感を示した。
天子の復権と共に、黎星刻は軍事の全ての実権を握ることになり、その参謀として、素性の知れぬ男が指名された。マスコミには一切情報は降りてこず、中華連邦内でも知っているのは親衛隊の極わずかな者達のみであり、わずかに、容姿の特徴が伝えられるのみだった。
ー エリア11・トウキョウ租界某所
「・・・黒髪の10代後半の少年、か。」
バサリ、と新聞を机に投げ捨て、緑髪の女は口の端を吊り上げる。
「あいつ・・・ルルーシュだと・・・思ってるの?」
その女に問いかけたのは、燃えるような紅い髪の少女。
「間違いないだろうな。・・・ただ、ギアスの気配が薄い。恐らく力は封じられていて使えないのか、力があることを忘れているのか、どちらかだろう。」
緑髪の女が答えると、今度はその場にいた背の高い濃紺の髪の青年が首を傾げた。
「ちょーっと待てよ、忘れてるってのはどういうことだ、C.C.?」
「ギアスが使えなくなる、その状況として有り得るのは、力を封じられているか、その力自体を忘れているかどちらか。・・・恐らく、今のルルーシュには、ゼロとしての記憶、もしくは、ルルーシュとしての記憶自体も無くなっている可能性がある。」
「・・・どうしてそうなる?」
「・・・記憶があり、力が使えないのなら、まず、私を探すはずだからだ。」
C.C.は、自信満々に答える。確かに、あのルルーシュの性格ならばそうするだろう、と思い至り、紅い髪の少女、カレンは頷いた。
「確かに、あんたのことを覚えてるなら、探すでしょうね。・・・で、忘れているということを前提に接触をするとして、どうしますか?卜部さん。」
カレンの視線を受け、濃紺の髪の青年、卜部は溜め息をついた。
「お手上げだろ。・・・相手は、中華連邦の中枢にいるんだぜ?・・・覚えてるんなら、いくらでも接触の方法はあっただろうが。」
「諦めるのはまだ早いぞ、卜部。・・・ものは試しだ。一度、中華連邦に渡ろう。」
C.C.の言葉に、カレンと卜部は頷く。
「ああ。」
「わかったわ。・・・私、神楽耶様達にも知らせてくる。」
「頼んだ。カレン。」
カレンが部屋を出ていくと、C.C.は卜部を見上げた。
「言っておくが・・・もし、ルルーシュが戻りたくないと言ったら、私は、ルルーシュの意思を尊重する。」
「わかってる・・・お前は、元々団員としての扱いを受けていなかったからな。それに、お前こそ、騎士団への義理も何もないだろう。」
「そう言ってもらえると助かる。」
C.C.は苦笑をうかべ、窓の外を見やった。
「・・・ルルーシュ。お前は、今、何を考えている・・・?」
― 中華連邦・朱禁城
「ルルーシュ!」
己の名を呼ぶ少女の声に、ルルーシュはくるりと振り返った。
「天子様・・・。」
「もう、お仕事は終わった?」
ニコニコと訊ねられ、ルルーシュはこくりと頷いた。
「もう終わりましたよ。」
「じゃあ、お話しましょう!ねっ!?」
手を握り、おねだりする天子に、ルルーシュは柔らかな笑みを見せた。
「良いですよ。・・・じゃあ、ついでに、おやつでも作りましょうか?」
「本当!?ルルーシュの作るお菓子はとても美味しいから、好きよ!」
「今日は何を作りましょうか?」
「プリンが良いわ!ルルーシュも好きなのでしょ?」
手をつなぎ、廊下を進む天子とルルーシュの2人。すでに朱禁城では日常の光景、というより、癒しの光景となっていた。
「良いですなぁ・・・。」
「本当に・・・。」
文官達も武官達も、2人を眺めて、ほう、と溜め息をつく。
宦官が天子の周りを固めていた頃は、何ともおぞましくて、直視するのも耐えがたかったのだが、今は、見目麗しい少年が天子の傍にいるので、目の保養になる。だから、誰もが彼のことを知りたがるのだが、全ての事情を知っているらしい、星刻も洪も香凛も、一切口を開こうとしないので、すでに諦めの境地である。
「何をしている?」
ボーっと突っ立って、天子とルルーシュを眺めていた文官、武官達は、その声にハッと我に返った。
「こ、これは、星刻殿。」
「い、いやいや、別に、癒しを求めていたわけではなくて・・・。」
言い訳を始めた文官、武官達に、ああ、天子とルルーシュを見ていたのか、と星刻は苦笑する。
「わかったわかった。・・・気が済んだのなら、それぞれ自分の持ち場に戻ってくれ。」
「「はっ!!」」
ビシッと敬礼をして去っていく官達を見送り、星刻は廊下の先、今は2人でくつろいでいる最中だろう天子の部屋の方角を見つめる。
「・・・ルルーシュのおかげで、天子様も政治に興味を持ち始めた。本当に彼には感謝だな。・・・だが、いつまでも中華連邦で独り占めしているわけにもいかないか・・・。」
そう呟く星刻の手に握られているのは、皇コンツェルンを経由して届けられた手紙。
「・・・黒の騎士団。彼の素顔を知る者がいたか、それとも、我等のクーデターの手法を見て、ゼロと確信したか・・・。」
容姿については情報を伏せてはいないため、メディアで知ることは可能、もちろん、クーデターの手法も隠してはいないのだから、同様だ。
「ルルーシュに伝えるべきなんだろうが・・・。」
星刻はいざ接触されて、握りつぶしてしまおうかと思う自分がいて、戸惑っていた。
「星刻様らしくありませんね。」
クスクスと笑うのは、親衛隊の一人である香凛だ。
「・・・フ。情が移ってしまったかな?・・・それに、天子様にも良い影響を与えてくれる彼の才能は手放し難い。」
「1年間、彼には助けられた・・・まずは、星刻、貴殿が会って、あちらの真意を問うてみてはどうだ?」
星刻と同様に苦笑をうかべた洪の提案に、星刻は頷いて、手紙をもう一度眺めた。
「それが、一番良いのだろうな。・・・香凛、彼等に連絡を。」
「承知しました。」
下がって行った香凛の背を見つめ、星刻は呟く。
「・・・もし、彼等がルルーシュのことを単なる道具として使おうとしているのなら・・・その時は、私自らが引導を渡してくれよう。」
続く
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・1期25話~捏造
・ルルの記憶退行
・天子と星刻がとっても良いポジション
・ルルは皆の癒し+天然
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
向かい合うルルーシュとスザク。そして、互いに向けた銃を撃ちあう。
パァン!!
それは、神の悪戯か、世界の意思か・・・スザクに撃たれたルルーシュの体は、傾ぎながら光に包まれていった。
「っ!・・・ルルーシュッ!!」
スザクの自分を呼ぶ声が聞こえ、そして、ルルーシュの意識はそこで途絶えた。
「・・・?」
目を開くと、白を基調とした病室のような部屋にルルーシュはいた。むくりと起き上がり、辺りを見回すと、今までいた場所、つまり、日本やブリタニアとは違う文化を持つ場所にいることがわかる。
「起きたのね!」
可愛らしい声が聞こえ、ルルーシュは、そちらの方向を見る。そして、パタパタと駆け寄ってくる、幼い銀髪の少女を視界に収める。
「・・・あの。」
「ねぇ!星刻!起きたわ!!」
少女が呼ぶのと同時に、鋭い気配をまとった青年が部屋に入ってくる。
「起きたか・・・ゼロ。」
「・・・ゼロ?」
コトリ、と首を傾げたルルーシュは、心底不思議そうに訊ねた。
「お前がゼロだろう?・・・お前の着ていた服は、間違いなくエリア11を騒がせた黒の騎士団の総司令ゼロのものだった。」
「・・・エリア、11・・・?あの、エリアはまだ、10ヵ所しかなかったように思うんですが・・・日本とブリタニアは開戦したんですか?」
ルルーシュの言葉に、一瞬、呆気にとられた星刻だが、ふざけているようには見えないその様子に、納得の声をあげた。
「成程・・・傷を受けた時の影響か、ここに飛ばされてきた影響か・・・記憶が退行しているようだな。」
星刻の呟きが聞こえなかったルルーシュは、最も大事にしていたモノが傍にいないことに気づいた。
「あの・・・妹は・・・妹を見かけませんでしたか?彼女と同じ年頃の・・・。」
指をさされた少女はキョトンとして、それからパッと破顔した。
「私と同じ年頃の妹さんがいるの!?お友達になれるかしら?」
「天子様・・・彼の記憶は退行しているのです。・・・恐らく、今の彼の記憶は、開戦直前の7年前まで遡っているのでしょう。ですから、天子様と同じ年頃という彼の妹は、今は、14,5歳のはずですよ。」
「えっ・・・じゃあ・・・。」
天子と呼ばれた少女は、困ったような顔をして、ルルーシュを見つめた。その視線を受けたルルーシュも、記憶の退行という言葉に首を傾げた。
「・・・あの・・・記憶の退行とはどういうことです?今は皇歴で言うと何年でしょうか?」
ルルーシュの問いに、星刻は一瞬躊躇してから、答えた。
「・・・今は、皇歴2017年の12月だ。お前は光に包まれてこの朱禁城の中庭に降って来た。天子様は御殿医にけがを状況を見せ、一月もの間、眠り続けていたお前の世話を甲斐甲斐しくされておられた。」
「皇歴20・・・17年!?じゃあ・・・あの子はどこに。」
ショックを隠しきれず、呆然とするルルーシュに、星刻は眉を顰めた。
「(これが世間を騒がせたゼロ。こんな少年だったとは・・・。)」
「ねえ!記憶が戻るまで、ここにいると良いわ!!その代わり、私とお友達になって!!」
「て、天子様!!」
「ね、良いでしょう?星刻。」
キラキラとした視線を向けられ、駄目だと言えなくなってしまった星刻は、フッと溜め息をついた。
「・・・では、記憶が戻るまで・・・。」
「ありがとう、星刻!!・・・ねえ、貴方、お名前はなんていうの?」
ゼロとしての記憶が無い以上、ゼロとは呼べないため、天子は無邪気に名前を問うた。そして、身分を隠すという理由を無くしてしまっていたルルーシュは、あっさりとそれに答えた。
「・・・ルルーシュ。・・・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。」
「「ブリタニア!?」」
天子と星刻の声がハモる。
「では、ブリタニアの皇子か!?」
「はい・・・ブリタニアの第11皇子、第17皇位継承者・・・その継承権は放棄したので、元、ですけど。」
ことりと首を傾げる様子は、本当に幼い子供のようで、星刻は驚きを押さえこんで、事情を把握することに努める。
「今、いくつだ?」
「・・・えっと、皇歴2017年なら、17歳ですね。」
「17!?・・・若いとは思ったが、まだ学校に通う年じゃないか。・・・だから、メディアには出ていなかったのか。いや、だが、皇族が日本にいるなら、コーネリアやユーフェミアは。」
「・・・あの、すみません。・・・よく理解していないので、詳しく教えて貰えますか?僕がやっていたという“ゼロ”のことも・・・。」
呟く星刻に、ルルーシュは真剣な表情で言った。
「・・・わかった。私の知る限りの情報を教えよう・・・。」
頷いて、星刻は、7年間の世界情勢や、ブリタニアのエリア拡大など、複雑な政治的情報をルルーシュに与えた。ルルーシュは星刻の説明にあっさりと理解を示し、途中、質問を交えながら、ものの数十分で、殆どの情報を飲み込んでしまった。
「そうですか・・・何となく、僕がゼロになったわけもわかりました。・・・日本・・・いえ、エリア11にいたのは、何らかの事情で、皇室には戻らなかったんでしょう・・・。でも、まさか・・・スザクが皇族の騎士になるなんて・・・。」
「今は、皇帝の騎士となっているぞ。たしか、ナイト・オブ・ラウンズだったか?・・・黒の騎士団の制圧の手柄で召し上げられたらしいが。」
「・・・父上に・・・?」
「ああ。・・・だが、あまり驚かないのだな。どういった事情があるかは知らないが、お前は、実の父に反逆していたのだぞ?」
「・・・それなら、理由を想像できますよ。・・・僕達は・・・。」
そして、ルルーシュは自分達が日本に来るまでの経緯を天子と星刻に話して聞かせた。そのあまりもの内容に、天子は涙ぐみ、星刻は眉を顰めた。
「そうか。ゼロの行動の理由はよくわかった。・・・最初の話通り、記憶が戻るまでここにいると良い。もちろん、記憶が戻っても、ここにいたければ、我々は構わない。・・・そうですよね、天子様。」
「もちろんよ!・・・ね、ルルーシュ、私とお友達になってね?いっぱいお話をしましょう?」
「・・・うん。」
こくりと頷いたルルーシュに、天子は満面の笑みをうかべる。
「妹君のことも調べてみよう。・・・もしかしたら、本国にいるかもしれんし、エリア11に残っているかもしれん。」
「わかりました・・・お願いします。」
幼い表情をうかべるルルーシュを見ると、守ってやらねばと思ってしまう自分がいることに、星刻は気が付いていた。
だが、その幼さとは別に、ルルーシュの優秀な能力も見抜いていた。本人の申告を信じるのであれば、今現在、10歳程度の知識しかないはずなのに、己の話を完璧に理解し、更には質問をして、補足を促すなど、およそ、10歳の子どもができることではない。
「(環境ゆえ、か。)」
ブリタニア皇室の黒い歴史は、他国の人間である星刻も聞き及んでいる。あの中で身を守る為には、何らかの能力を身につけなければならなかったのだろう。守るモノがあるならば、尚更だ。
楽しそうに天子と話をしているところを見ると、本当に穏やかな光景なのだが、実の父に弓を引いたというのなら、相当、追い詰められていたのだろうと思う。
「ルルーシュ。」
「はい?」
名を呼べば、素直に返事が返ってくる。天子の天真爛漫さが、警戒を解かせているのだろうと思う。きっと、星刻と二人きりになるようなことがあれば、彼は警戒を露わにするはずだった。むしろ、そうしなければならないはずだ。彼の立場ならば。
「君は、知略に自信があるのではないか?」
「・・・チェスで、戦略を学びました。・・・兄に、相手をしてもらって。」
「兄?」
「はい。シュナイゼル兄上です。」
「シュナイゼル・・・そうか。どうりでゼロの戦略は優れていると思った。シュナイゼル直伝だったのか・・・。」
「僕は、まだ、兄に勝ったことはありませんが、それは、経験の差だと思っています。」
つまりは、経験さえ積めば、シュナイゼルに勝つ自信があるということだ。そうはっきり言ってのけたルルーシュに、星刻はニヤリと笑った。
「自信家だな。」
「そうでなければ、あの皇室で生きてはいけませんから。」
予想通りの答えが返ってきて、星刻は頷く。
「そうか。・・・お前さえ良いのなら、少し、意見を聞かせて貰いたい。」
「・・・意見・・・?」
「・・・今の中華連邦は、本来ならば敬われるべき天子様をないがしろにし、宦官共が実権を握っている。・・・我々は、その宦官共に、表舞台を降りて貰いたいと思っている。」
「それは・・・ある程度の荒事は・・・必要になりますよね?」
困ったように眉根を寄せるルルーシュに、星刻は表情を引き締める。
「その覚悟はある。・・・天子様の為にも、我等は留まれぬ。」
「わかりました・・・討って良いのは討たれる覚悟のある奴だけ。僕もきっと、その覚悟を持って、父に反逆したんでしょう。・・・なら、同じ覚悟を持つ貴方に、協力します。・・・お世話になる分くらいは働きますよ。」
そう言って二コリ、と笑ったルルーシュは、とても妖艶に見えた。
ー 1年後・・・
中華連邦でクーデターが起こった。
そのニュースは世界中に報道された。首謀者は、黎星刻とその親衛隊。その鮮やかな手並みは、まるでゼロのようだとブリタニアは危機感を示した。
天子の復権と共に、黎星刻は軍事の全ての実権を握ることになり、その参謀として、素性の知れぬ男が指名された。マスコミには一切情報は降りてこず、中華連邦内でも知っているのは親衛隊の極わずかな者達のみであり、わずかに、容姿の特徴が伝えられるのみだった。
ー エリア11・トウキョウ租界某所
「・・・黒髪の10代後半の少年、か。」
バサリ、と新聞を机に投げ捨て、緑髪の女は口の端を吊り上げる。
「あいつ・・・ルルーシュだと・・・思ってるの?」
その女に問いかけたのは、燃えるような紅い髪の少女。
「間違いないだろうな。・・・ただ、ギアスの気配が薄い。恐らく力は封じられていて使えないのか、力があることを忘れているのか、どちらかだろう。」
緑髪の女が答えると、今度はその場にいた背の高い濃紺の髪の青年が首を傾げた。
「ちょーっと待てよ、忘れてるってのはどういうことだ、C.C.?」
「ギアスが使えなくなる、その状況として有り得るのは、力を封じられているか、その力自体を忘れているかどちらか。・・・恐らく、今のルルーシュには、ゼロとしての記憶、もしくは、ルルーシュとしての記憶自体も無くなっている可能性がある。」
「・・・どうしてそうなる?」
「・・・記憶があり、力が使えないのなら、まず、私を探すはずだからだ。」
C.C.は、自信満々に答える。確かに、あのルルーシュの性格ならばそうするだろう、と思い至り、紅い髪の少女、カレンは頷いた。
「確かに、あんたのことを覚えてるなら、探すでしょうね。・・・で、忘れているということを前提に接触をするとして、どうしますか?卜部さん。」
カレンの視線を受け、濃紺の髪の青年、卜部は溜め息をついた。
「お手上げだろ。・・・相手は、中華連邦の中枢にいるんだぜ?・・・覚えてるんなら、いくらでも接触の方法はあっただろうが。」
「諦めるのはまだ早いぞ、卜部。・・・ものは試しだ。一度、中華連邦に渡ろう。」
C.C.の言葉に、カレンと卜部は頷く。
「ああ。」
「わかったわ。・・・私、神楽耶様達にも知らせてくる。」
「頼んだ。カレン。」
カレンが部屋を出ていくと、C.C.は卜部を見上げた。
「言っておくが・・・もし、ルルーシュが戻りたくないと言ったら、私は、ルルーシュの意思を尊重する。」
「わかってる・・・お前は、元々団員としての扱いを受けていなかったからな。それに、お前こそ、騎士団への義理も何もないだろう。」
「そう言ってもらえると助かる。」
C.C.は苦笑をうかべ、窓の外を見やった。
「・・・ルルーシュ。お前は、今、何を考えている・・・?」
― 中華連邦・朱禁城
「ルルーシュ!」
己の名を呼ぶ少女の声に、ルルーシュはくるりと振り返った。
「天子様・・・。」
「もう、お仕事は終わった?」
ニコニコと訊ねられ、ルルーシュはこくりと頷いた。
「もう終わりましたよ。」
「じゃあ、お話しましょう!ねっ!?」
手を握り、おねだりする天子に、ルルーシュは柔らかな笑みを見せた。
「良いですよ。・・・じゃあ、ついでに、おやつでも作りましょうか?」
「本当!?ルルーシュの作るお菓子はとても美味しいから、好きよ!」
「今日は何を作りましょうか?」
「プリンが良いわ!ルルーシュも好きなのでしょ?」
手をつなぎ、廊下を進む天子とルルーシュの2人。すでに朱禁城では日常の光景、というより、癒しの光景となっていた。
「良いですなぁ・・・。」
「本当に・・・。」
文官達も武官達も、2人を眺めて、ほう、と溜め息をつく。
宦官が天子の周りを固めていた頃は、何ともおぞましくて、直視するのも耐えがたかったのだが、今は、見目麗しい少年が天子の傍にいるので、目の保養になる。だから、誰もが彼のことを知りたがるのだが、全ての事情を知っているらしい、星刻も洪も香凛も、一切口を開こうとしないので、すでに諦めの境地である。
「何をしている?」
ボーっと突っ立って、天子とルルーシュを眺めていた文官、武官達は、その声にハッと我に返った。
「こ、これは、星刻殿。」
「い、いやいや、別に、癒しを求めていたわけではなくて・・・。」
言い訳を始めた文官、武官達に、ああ、天子とルルーシュを見ていたのか、と星刻は苦笑する。
「わかったわかった。・・・気が済んだのなら、それぞれ自分の持ち場に戻ってくれ。」
「「はっ!!」」
ビシッと敬礼をして去っていく官達を見送り、星刻は廊下の先、今は2人でくつろいでいる最中だろう天子の部屋の方角を見つめる。
「・・・ルルーシュのおかげで、天子様も政治に興味を持ち始めた。本当に彼には感謝だな。・・・だが、いつまでも中華連邦で独り占めしているわけにもいかないか・・・。」
そう呟く星刻の手に握られているのは、皇コンツェルンを経由して届けられた手紙。
「・・・黒の騎士団。彼の素顔を知る者がいたか、それとも、我等のクーデターの手法を見て、ゼロと確信したか・・・。」
容姿については情報を伏せてはいないため、メディアで知ることは可能、もちろん、クーデターの手法も隠してはいないのだから、同様だ。
「ルルーシュに伝えるべきなんだろうが・・・。」
星刻はいざ接触されて、握りつぶしてしまおうかと思う自分がいて、戸惑っていた。
「星刻様らしくありませんね。」
クスクスと笑うのは、親衛隊の一人である香凛だ。
「・・・フ。情が移ってしまったかな?・・・それに、天子様にも良い影響を与えてくれる彼の才能は手放し難い。」
「1年間、彼には助けられた・・・まずは、星刻、貴殿が会って、あちらの真意を問うてみてはどうだ?」
星刻と同様に苦笑をうかべた洪の提案に、星刻は頷いて、手紙をもう一度眺めた。
「それが、一番良いのだろうな。・・・香凛、彼等に連絡を。」
「承知しました。」
下がって行った香凛の背を見つめ、星刻は呟く。
「・・・もし、彼等がルルーシュのことを単なる道具として使おうとしているのなら・・・その時は、私自らが引導を渡してくれよう。」
続く
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