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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・カレン糾弾
・スザクとC.C.はルルが大好き設定
・さり気なく、黒の騎士団も糾弾
・暗め?
・捏造満載

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








「いってきまーす!」

朝食を食べる余裕も無く、焼き上がってトースターから飛び出したパンをくわえて家を飛び出す。

カレン・シュタットフェルトではなく、紅月カレンとしてアッシュフォード学園に復帰したカレンは、充実した日々を送っていた。

未だ、世界の情勢は落ち着かないが、“英雄ゼロ”の名の下に、徐々に話し合いの方向へと向かっている。

それは、ルルーシュが残した、最後の希望。

最後の最後で、彼の意図に気付いたカレン。そして、他の黒の騎士団のメンバーも“英雄ゼロ”の登場で、ルルーシュの悪逆非道な行いが、意図されたものだと気付いたらしく、後に皆で集まった時に、何とも言えない気分でそれを話題にしていた。

だが、その事実を、皆は公表しないことで合意した。

一、独裁を赦さず。

一、武力をもって他国に侵略することを赦さず。

身分を放棄し、財団として存在している元ブリタニア皇族も、2度と権力を持つことはないと明言している。

それは、全て、ルルーシュが悪逆皇帝として存在していたことが、反面教師になっていたからだった。

今更なのだ、と皆は言った。カレンも、そう思った。

それに、それが、彼の望みなのだとも思ったのだ。

最後まで、彼は嘘つきだったと、カレンは自嘲する。

「おはよー、カレン」

「おはよ!」

クラスメイトに笑みを向け、カレンは自分の席に座る。

今は落ち着いたが、最初は、黒の騎士団として、悪逆皇帝と戦った英雄の1人だ、と随分ともてはやされた。

自分は、英雄でも何でもない。そうは思ったものの、自分が否定すれば、他のメンバーのことまで否定することになるため、カレンは敢えて黙ってその賛辞を受け入れていた。

授業が始まると、カレンは真剣な眼差しを教師に向けていた。退屈だと思っていた授業が、今ではこんなにも楽しい。学校に通えることが、世界が平和になってきている証だからだ。

こうしていると、昔に戻ったようで、つい、昔の面影を探してしまう。

ルルーシュやスザク、ナナリー、ミレイ、リヴァル、シャーリー、ニーナ・・・生徒会のメンバーは、バラバラになってしまった。

自分が抜けてから、生徒会に入った、元ラウンズの2人も、それぞれの道を進んでいる。そう、ジノに聞いた。

放課後、いつも皆で集まっていたクラブハウスにある生徒会室も、戦後、修復され、昔の面影は無い。

それでも、その場所は、カレンにとって思い出深い場所だった。だから、家に帰る前に、その場で思い出に浸ることが、カレンの日課となっていた。

だから、今日も、カレンはその場で様々なことを思い出していた。

ミレイの思いつく、とんでもないイベントに巻き込まれていたあの時、あの頃が、一番幸せだったのかもしれないと、そう思う。

「ルルーシュってば、いつも、結局会長に振り回されて・・・」

苦笑をうかべ、するりと机に指を走らせる。

「まさか、お前の口から、その名を再び聞くことになるとはなぁ・・・」

冷たい声が背後から聞こえ、カレンはドキっとして振り返る。

「・・・し、C.C.・・・?」

彼女は最初の宣言通り、最後までルルーシュの傍にあった。

カレンは、その美しい黄金の瞳が、自分を責めるような色を宿したことに気付いた。

「お前が、ルルーシュの名を、口にするのか?」

C.C.が、そう問いかけてくる。

「な、何よ・・・思い出に浸ってもいけないって言うの?」

責められるように言われれば、つい、反抗したくなる。カレンがそう言って睨みつければ、思いの外、強い視線で見つめ返される。

「いや、お前の中では“その程度”なのかと思っただけだ」

C.C.の言葉に、カレンは眉を寄せた。

「・・・その程度?」

「ルルーシュに対しての、想いのことだよ」

首を傾げたカレンの耳に、C.C.とは違う、だが、聞き慣れた声が聞こえた。

「・・・ッ、スザク・・・!」

カレンは、もう2度と、彼の仮面を取った姿を見ることはないだろうと思っていただけに、驚きを隠せなかった。

「久しぶりだね、カレン・・・」

その手で親友であり主であった人を殺した青年は、その表情に深みを増し、緑の瞳は悲しみの色をたたえていた。

「ど、して・・・」

言葉が続かないカレンに、スザクは静かに告げた。

「カレン、どうして、君は笑っていられるんだろう?」

「っ!?」

「どうして、ここに来て、思い出に浸れるんだろう?」

スザクの単調な声に、カレンはゾクリとするのを感じる。

「どうして、ルルーシュの名を口にできるんだろう?」

怒るのでもなく、泣くのでもなく、ただ、その悲しみの色をたたえた双眸でカレンを見つめ、スザクは問いかける。

「ねぇ、どうして?カレン」

「っ・・・き、訊きたいのは、こっちよ!・・・どうして、ルルーシュのあんな計画に・・・賛成したのよ!」

「あんな計画?・・・君に、何がわかる?・・・外からしか見ていなかった君に」

「わ、わかるわよ!・・・ルルーシュが徹底的に悪役を演じて、ゼロを英雄に仕立てあげて、世界をまとめようっていう計画だったんでしょ?!」

「・・・知ったような口を」

忌々しげにC.C.が呟く。

明らかに敵意を示すC.C.と、一切の感情を殺いだようなスザク。彼らが何を考えて己の前に現れたのかわからず、カレンはただ、混乱する。

「ルルーシュは、そんな単純な思考の持ち主じゃない・・・わかってるだろ?・・・いや、もう、忘れた?」

スザクが表情を変えないまま、コトリと首を傾げる。その仕草がまるで人形のようで、カレンはゾクリと全身が粟立つのを覚えた。

「忘れているだろうさ、そうでなかったら、こんなにも楽しそうに学校生活を過ごせるわけがないからな」

「キレイなもの以外は、全て忘れる?・・・随分と都合が良い頭だ」

「・・・な、何なのよ!!何が言いたいわけ!?」

持ち前の気の強さが徒となって、素直に怯えることも、気を失うこともできず、カレンは問う。

「別に、何も?」

スザクはあっさりと答えた。

― 何も、お前に伝えることはない。

そう言われた気がして、カレンはカッとなる。

「いきなり来て、訳の分かんないこと言って!・・・一体何しに来たのよっアンタ達!!」

「何って・・・」

「・・・決まっているだろう?お前がアイツの“想い”に応えられるに足る者か、見極めに来た」

無表情でスザクが首を傾げ、C.C.がイライラとしながら告げる。

「・・・な、ナニよ、それ・・・」

「確かに、アイツは争いのない世界を望み、自分を悪役に仕立て・・・必要上“英雄ゼロ”を残した。だが、間もなく“英雄ゼロ”は表舞台から姿を消す。・・・影響力のある人間がいつまでも表舞台に立つのは、独裁と変わらないからな」

突然説明しだしたC.C.に、カレンは目を白黒させる。

「・・・ルルーシュは、そこまで考えてた。・・・僕の考えの足らない部分を補う為に、シュナイゼルを殺さず、ギアスで“ゼロ”に従うように命じた。・・・黒の騎士団とナナリーとシュナイゼルを処刑しようとしたのも、それは全て、自分が悪で、君達が正義と思わせるためだった」

「全てはアイツの思った通りの方向に進んでいる・・・だが、事情を全て知り、残された者は・・・」

C.C.の表情が痛みを耐えるかのように歪む。

「このままじゃ、前に進めない」

スザクがポツリと言う。

「ルルーシュの願いは、争いの無い世界を作ること。その為に悪逆皇帝なんて演じていた。・・・なんて、皆が知る必要はない。・・・でも、ある程度の事情を知りながら、それを“無かったこと”のように扱われるのは“ゼロレクイエム”の執行者たる僕達には、我慢ならないことだ」

「・・・アンタ達は・・・私を、どうしたいのよ・・・」

スザクやC.C.と距離を取るように後退しながら、カレンは問う。

「別に、どうしようとも思ってない」

「そう、お前の行く道に私達が手を出すことはない。・・・それは、アイツの望みに反するからな」

「・・・でも」

「私達の望みは・・・英雄などともてはやされる、裏切り者共が、早くボロを出して失脚してくれないかということだけだ」

スザクが淡々と、C.C.が敵意を露わに、カレンへと寄って来る。

「・・・っ!」

「安心しろ、身体を傷つけるような真似はしないさ」

「そう・・・ちょっとだけ、擬似体験してもらうだけだよ」

「・・・ぎ・・・じ、たいけ、ん?」

トン、と壁に背中がつき、カレンはヒッ、と引き攣ったような声をあげた。

「「ルルーシュの生きて来た時間を味わえ」」

スザクがカレンの腕を押さえ、C.C.がカレンの額に触れる。

「・・・君の精神は、どの程度保つかな?」

スザクの何の感情もうかばない瞳がカレンを見据える。

「そうそう、ちなみに、他の、元・黒の騎士団の面子は、5分と保たなかったぞ」

クツクツと暗い笑みを漏らしたC.C.は、そのままカレンにルルーシュの記憶を垂れ流した。

「っや・・・いやああああぁああっっ!!」

絶叫がクラブハウスの中に響いた。

「・・・呆気ないな」

「ある意味“リフレイン”なんかより、よっぽど効果があるからね、君のは」

一度くらったことのあるスザクは、ようやく表情を動かし、苦々しく呟く。

「アレは、お前の動きを一時止めるためにやっただけだ。・・・それに、自分の後悔を思い出させただけなんだから、別に良いだろうが」

「・・・まぁ、文句は言わないけど・・・」

チラリ、と床に倒れ伏すカレンを見やり、スザクは溜息をついた。

「完全に“壊れて”ないよね?」

「そんなヘマを私がすると思うか?」

「なら良いけど・・・」

「フフ・・・完全に壊れてしまったら、つまらないだろう?これからアイツらがどうやってこの世界で生きていくのか、それを観察するのも一興だな」

「まぁ、表舞台から姿を消すんだから、これくらいの娯楽はないとね」

頷いたスザクに、C.C.はクツクツと笑う。

「娯楽、とは・・・言うようになったな、スザク」

「まぁ、ね・・・持論を翻すようだけど、要は結果が全てだよ・・・最初は味方だった彼等がルルーシュの敵となり、敵だった僕達が味方になった・・・それだけで、僕達は彼等を責められる」

「お前はちゃんとアイツと和解したろう?・・・なのに、アイツらはルルーシュが与えたモノを当たり前のように持っている。その分の代償は払ってもらうさ」

「うん」

頷いたスザクは、C.C.に笑みを向ける。

「じゃあ、これからどこに行く?」

「そうだな・・・まずは、オレンジ畑でも見に行くか」

「それ、いいね」

楽しそうに話しながら、2人はクラブハウスを後にする。

残されたカレンは、のろのろと起きあがり、呆然と天井を見上げた。

「・・・っ」

フラッシュバックする、“ルルーシュの生きて来た時間”。

気が狂いそうなのに“狂わせてもらえない”苦しさ、これを一生抱えていけというのか。

― 断罪

そんな言葉が脳裏に過る。

スザクもC.C.も、ただ、“ルルーシュの記憶を見せただけ”だ。他には何もしていない。

だが、それは、呪いのようにカレンの脳にまとわりつき、離れない。

「お願ぃ・・・もう、止めて・・・赦してぇ・・・」

カレンは手で顔を覆い、泣き崩れた。

時間が巻き戻せるならば、あの選択の時に戻りたいと、そう願いながら。



FIN


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