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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・W副長設定です!
・カップリングはありません
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









「お初にお目もじつかまつります・・・坂田銀時と申します」

ああ、舌を噛みそうだ。そう思いながら銀時は口上を述べた。



***



時を遡ること一時間。

銀時は伊東と共に松平に連れられて江戸へとやってきていた。

「はぁ・・・スゲェなぁ・・・」

江戸の町はすっかり天人製のものであふれかえり、往来を行き来する天人を物珍しそうに見ている者はほとんどいない。

「便利さを求めるのは人としての性なのだろうね。皆、結構アッサリと天人製のものを使い始めたよ」

「うん、自動車も便利だしな~・・・歩きだったら数日かかる所に数時間で着いちまうもんな」

銀時は車の窓に張り付いて外を眺める。

「・・・坂田くん、まるっきり“おのぼりさん”だよ」

「だって、マジでおのぼりさんだし・・・江戸のど真ん中に来るのは、これが初めてだよ」

銀時が答えれば、伊東はああそうかと呟いた。

「君達の戦いは江戸郊外でのゲリラ戦が主だったか」

「まぁね・・・」

江戸の中心部まで入り込むことができないうちに敗戦が決定してしまった。とはいえ、あのまま攻め続けても難しかったかもしれない。

銀時は自嘲し、城の方へと視線を向けた。

「・・・こんな簡単に江戸の中心部に来れるなんざ、あの当時じゃ思いもしなかったな」

複雑な表情をうかべる銀時に、伊東は心配そうに告げる。

「大丈夫かい?・・・もし、我慢できなさそうなら言ってくれ。適当に理由をつけて連れ出すから」

「あぁ、ありがとな。でも・・・大丈夫だ。俺は、上手くやれるよ」

松平から話を聞いた時から腹をくくっていた。それに、土方にも頑張ると約束してきたのだ。

ここでこけるようならば、先は無い。

「坂田くん・・・」

「崖っぷちだからな、俺が立ってるのは。狂った攘夷志士に利用されるか、幕府に利用されるか・・・そのどっちかしか選べねェなら、アイツ等と一緒にいられる幕府の方を選ぶ」

それに、攘夷志士に利用された場合、今度は罪の無い人間まで巻き込んでしまうかもしれない。

それ程に彼等は天人憎しの立場を崩さず、天人と手を結んだ幕府のみならずその恩恵に与る者達まで憎んでいた。

「まぁ、もれなくそういう連中に関わることにはなるんだろうけどなァ・・・」

松平が溜息を漏らす。

武装警察真選組は主にそういった攘夷志士の取り締まりが仕事になると予想されるからだ。

「良いさ、もう覚悟は決めたからな」

例え裏切り者と罵られても、幕府の狗になってかつての仲間を捕らえる。

そうしてでも今の居場所を護りたい。・・・・・・師の遺骸を、取り戻したい。

これ以上欲張れば全てを失ってしまうかもしれない。だから、幼馴染の無事を祈ることしかできない。

「(ヅラも高杉も強いし、自分の信念を持ってる・・・他の連中に流されることはねェと思うけど・・・大丈夫だよな?)」



***



城の中に入ると、明らかに銀時の顔色が悪くなった。

「大丈夫かい?坂田くん」

「大丈夫だってェ・・・ちょっと緊張してるだけだしィ・・・」

気遣う伊東に笑みを向け、銀時は背筋を伸ばす。

今は前を歩く松平の背だけを見つめ、余計なことは考えないように努めるので精一杯だが、幕府高官が相手となれば、ちゃんと演じきる自信があった。

能面を付け替えるように違う人格を引き出す。それは戦争時に否応なしに身に付いた習性だった。

そうして連れて来られた広間で、居並ぶ幕府高官の前に進むなり無表情になった銀時を見た松平と伊東は思わず息を呑んだ。

それは今まで一度も彼が見せたことのない表情だったからだ。

「ほう、これが噂に聞く白夜叉か・・・」

「あぁ、あの時の面影もある」

中にはあの酒宴に参加していた面子もいて、銀時はそちらに向けて微笑んでみせた。

「ッ・・・まるで、売女のようだな・・・」

あの時の屈辱を思い出したらしい幕府高官の一人が罵るが、銀時は涼しい顔をしてその言葉を聞き流した。

「・・・まぁよい、幕府側に白夜叉がついたというだけでも充分な効果があるだろう・・・さぁ、白夜叉、口先だけでも言ってみよ。幕府に生涯忠誠を誓うと」

「・・・幕府に生涯・・・忠誠をお誓い申し上げます」

深々と頭を下げた銀時に嗜虐心を煽られたのか、幕府高官の一人がおもむろに彼に近付いて、額を畳に擦りつけるように頭を押さえた。

「ッ!」

伊東が立ち上がりかけたが松平に押さえられて下唇を噛む。その松平も殺気立っているのがわかったからだ。

「お前が大人しく幕府側に付く理由は、師の遺骸が目的か?」

「・・・はい、おっしゃる通りです」

頭を押さえつけられたまま、銀時は答える。

「ククク・・・それはそれは、涙ぐましい師弟関係だな」

そうは思っていないことはまるわかりだったが、銀時は何も言わずただその所業に耐えていた。

「天人からも恐れられた白夜叉が、すっかり牙を抜かれたか。・・・いや、お前の場合はツノか?なにせ夜叉(おに)だからなァ?」

ゲラゲラと笑う幕府高官に気分が悪くなるのを感じつつ、伊東は銀時を見つめる。

いつ幕府高官に斬りかかってもおかしくないほどのこの場面で、あまりにも静かにそれらに耐えている銀時が痛々しくてならなかった。

「(・・・近藤さん達がこんな場面を見たら・・・血の雨が降りそうだな)」

特に、銀時に懐いている沖田の激昂ぶりは想像に難くない。いや、意外と冷静に見えて熱くなりやすい土方が真っ先にブチギレるかもしれない。

「・・・皆、何をしている?」

その時、僅かに怒気をはらんだ声と共に、若い男が広間の前方から現れる。

「こ、これは、茂々様・・・」

銀時を言葉でいたぶっていた幕府高官がそう口にして慌てて頭を下げたのを見て、ようやく彼が第十四代将軍であることを知る。

「お前達はもう良い、下がっていろ」

建前上はこの国の頂点に立つ茂々の言葉に逆らうことはできず、幕府高官は渋々といった様子で退室していく。

そんな彼等を見送り、茂々は小さく溜息を漏らした。

「まったく、大人げない・・・」

「あの手の輩はさァ、ああすることでしか自分の尊厳を護れないんだよォ、将ちゃん」

「フ、片栗虎の言う通りだな・・・さて、白夜叉・・・は本名ではあるまい?名を名乗ってはくれまいか?」

茂々が柔らかな声で促すと、銀時は額を畳に擦りつけたままで答えた。

「お初にお目もじつかまつります・・・坂田銀時と申します」

舌を噛みそうなほど慇懃なもの言いに、茂々は苦笑をうかべる。

「そこまでかしこまらなくとも良いのに・・・」

「・・・いえ」

「・・・私に対して何か思うところでもあるか?」

「滅相もございません」

一向に顔をあげようとしない銀時に、茂々は悲しげに目を伏せた。

「先代将軍のしたことが憎いか・・・そなたが将軍家に関わる者全てに恨みを抱いていても文句は言えまい」

「・・・銀ちゃん、将ちゃんは違うんだよォ~」

松平が銀時を宥めようとしたその時、銀時がスッと顔をあげて茂々を真っ直ぐ見つめた。

「将軍家自体を恨んだことはありません・・・ただ、お許しいただけるなら、“あの件”の詳細を知りたく存じます」

「・・・すまない、伯父が指示したのだということは知っているが、それ以上のことは・・・」

茂々が申し訳なさそうに答えるのを見て、銀時は溜息をついた。

「・・・そう、ですか」

肩を落とす銀時に、茂々は歩み寄る。

「・・・坂田、そなたいくつになる?」

「・・・17ですが?」

「そうか、私と同い年か。・・・真選組はほぼ同じ年頃の者達で組織されていると聞く、なれば、私達は友にはなれないだろうか?」

「・・・はァア!?と、友ォ!?・・・で、ですか?」

茂々の言葉に、思わず立場も忘れて銀時は聞き返していた。

何馬鹿なコト言ってんだ、とツッコミを入れなかったことをむしろ褒めて欲しかった。

「ごめんねェ~、銀ちゃん・・・オジサン、将ちゃんに真選組とお友達になれるかも~って言っちゃったのよぅ~。てへ☆」

てへ☆じゃねぇよ!!と心の中でツッコミながら、銀時は先程から黙りこんでいる伊東に助けを求めようと視線を向けて、思わず苦笑いをうかべた。

「鳩・・・じゃなくて、鴨が豆鉄砲くらったみてェに呆けてらァ・・・」

さすがの伊東も、茂々のお友達になろう発言に度肝を抜かれたらしい。

「ダメだろうか?」

そして、茂々はしつこかった。

「・・・・・・主従関係と友人関係を同時に持てってか・・・」

そんな話、聞いたことが無い。

銀時は呆れつつも、真摯に見つめてくる茂々に好感を持った。

「ウチは・・・たぶん、無礼な連中が多いぜ?」

「!・・・構わない!!」

目を輝かせた茂々が頷けば、銀時は松平に視線を向けた。

「俺ァ、知らねぇぞ?・・・ダチになりてェっつったのは、将軍だからな?」

「良いんじゃないのォ?オジサン止めないよォ」

むしろそれが狙いで茂々に吹き込んだ。銀時と茂々が仲良くなれば、幕府高官を抑えるのが楽になる。

つまり、銀時が嫌な思いをする回数を減らせる、というわけだ。

「・・・じゃあ、今から俺達は主従で友人だな」

銀時が茂々の顔をのぞきこめば、感動に打ち震え、頬を紅潮させて彼は頷いた。

「ああ!!良き主君、良き友となれるように頑張るぞ!」

「よかったねェ、将ちゃん」

「ああ!・・・ところで、片栗虎。もう、良いだろうか?」

嬉しそうに頷いた茂々は、そわそわとしながら松平に視線を向ける。

「ん~、いいんじゃないのォ?」

その事情を知っている松平が頷けば、表情を輝かせていそいそと隣の部屋に続いているふすまを開け、行李(こうり:衣類を収納するかごのようなもの)を引っ張ってくる。

「?」

「坂田、開けてみてくれ」

首を傾げる銀時に、茂々はニコニコと笑いながら行李を開けるように促す。

「はいはい、開けりゃァ良いんですね?」

主従と友人の間という距離感がつかめずに戸惑いながらも、銀時は茂々の言う通りに行李のふたを開けた。

「・・・えっと・・・ふ、服?」

行李の中に入っていたのは、三つ揃いの服だった。

「そうだ、真選組の隊服だぞ」

どうだ、すごいだろう!と胸を張る茂々に、銀時は曖昧な笑みをうかべた。

「あぁ・・・すごいんだけども・・・これを着せるの?みんなに?」

銀時が松平に視線を向ければ、大きく頷かれた。

「オジサンもそれ着るからねェ。将ちゃんと一緒に呉服屋呼んで、天人にも負けねぇような洒落た隊服作ってもらったしよォ、機能性の方もバッチリだしィ・・・何より、お銀ちゃんとお揃いになるしィ(ポッ」

「だ~か~らぁああああ!!俺はお銀ちゃんが正体じゃねぇの!!こっちがホント!!あっちニセモン!!」

頬を赤らめてそう言った松平に、銀時は総毛立ってドン引きながら叫んだ。

「坂田、坂田」

「え?あ、ハイハイ、なんですか?」

ちょん、と袖を引かれて銀時は将軍の方へ向き直る。

「着てみてくれないか?」

キラキラとした瞳に見つめられて、銀時は小さく呻いた。

こういう期待を向けられると断れない男ランキング(byラン○ング星と交信中の●ゥ太)があったらおそらくNO.1だ。

「・・・か、」

「「か?」」

「鴨ちゃん!!お願い、起きて!!!一緒にこれ着てぇえええ!!!」

「・・・へぁッ!?さ、坂田くん??」

未だに意識を飛ばしていた伊東をたたき起こし、銀時はビシっと行李を指さした。



***



「・・・なるほどね・・・そういうことか」

別室に移動し隊服に着替えながら、意識を飛ばしてからの状況を聞いた伊東は盛大に溜息をついた。

「さすがに、一人で着る勇気は無かったんだよ~・・・」

「わからなくもないよ・・・これはかなり勇気がいるだろうね」

天人の服によく似ているそれを着るのは、着流しや道着と袴に慣れた者にはいささか抵抗があった。

「あれ?え?・・・これ、どうやって巻くんだァ?」

更には、白いスカーフを首に巻くという高度な技(笑)を要求されて、銀時は完全に混乱してしまっていた。

「あぁ、坂田くん。そうじゃないと思う・・・何でも器用な君だけど、こういうのは苦手なんだね」

手ぬぐいのように首にかけてちょうちょ結びをしてしまっている銀時に、伊東は苦笑した。

「え、鴨ちゃん、なんでそんなに上手いわけ?!」

「・・・鴨ちゃんはやめてくれ・・・ああ、もう、仕方ないな、こういうのは見よう見真似でなんとかなるものだろう?」

呼び方にツッコミを入れつつも、見るに見兼ねて伊東が銀時のスカーフを巻いてやる。

「・・・ふーん、こうやンだぁ~」

「もう、自分で結べるだろう?・・・土方くん達も絶対に戸惑うだろうし、今のうちに覚えてくれ」

さすがに伊東一人で彼ら全員のスカーフを巻くのはキツイ。

銀時は頷きながら結んでもらったスカーフを取り、今度は自分ですんなりと巻いてみせる。

「・・・やっぱり、器用だね。もう覚えたのかい?」

「鴨ちゃんが見せてくれたからね~」

「・・・・・・だから、鴨ちゃんはやめてくれって、言ってるのに」

がっくりと肩を落とした伊東に、銀時はニヤリと笑った。



***



「おぉ・・・私が思っていた以上だ!!」

茂々に隊服姿を見せると、大げさだと思うくらいに褒めちぎられた。松平も満足げに頷いて(主に銀時の)隊服姿を眺めた。

「坂田と伊東が着ているのは幹部用の隊服なんだ、一般の隊服はこっち。片栗虎のはその上着がもっとこう、長いものでな?天人の文化に習ってみたんだ」

ご機嫌の茂々はそれぞれの隊服を見せながら説明する。

「・・・まぁ、アイツ等も隊服に関して文句は言わねぇとは思うけど・・・」

銀時はそこで一旦言葉を止めて、茂々と松平を交互に見つめた。

「・・・どうして、こんなに俺達に入れ込む?」

近藤たちが気に入った。という理由なら理解できるが、白夜叉を味方につけたいとか、お銀ちゃんが見たいとか、そんなものが理由とはどうしても思えなかったのだ。

「オジサンも、将ちゃんも・・・“あの時”は無力だった。なーんにも、できなかったワケよォ」

「“あの時”・・・ですか?」

伊東が聞き返せば、松平は苦笑を浮かべた。

「・・・あァ、あの“世紀の大粛清”と言われたあの政策が実行された時のことさァ」

ピクン、と銀時の肩が小さく跳ねる。

「あの時・・・将軍である叔父上を止められる者はいなかった。・・・なんの罪もない者達が次々と殺されていく中、私は子どもながらに何かできないかと殿中を彷徨っていたんだ。そして“彼”に出会った・・・」

茂々のもったいぶった言い方に、銀時は動悸が激しくなるのを感じる。

「“彼”に出会ったのは、本当に偶然だった・・・私は、座敷牢で軟禁状態にあった“彼”のいる部屋の前を通りがかってな・・・ちょうど見張り番の交代時間だったらしく、他には誰もいなくて・・・どうして捕まったのかと訊ねたのだ。そうしたら・・・」

茂々はそこまで言ってから、気遣うように銀時に視線を向ける。

その視線にいよいよもって確信を得た銀時は短く息を吐いて訊ねた。

「・・・将軍さんよォ・・・それって、ウチの先生だったりするのか?」

「ああ、そなたが察している通り、それは吉田松陽その人だった・・・彼は塾で子どもに勉強や剣術を教えていただけだと答えた。間違いないか?」

「間違いねェよ・・・あの人は、決して幕府に逆らおうなんて考えちゃいなかった。俺達を扇動するような真似も一切してねェ」

ここで銀時が激昂しなかったのは、茂々の心底後悔している表情を見ていたから。そうでなければ、例え将軍だろうが誰だろうがぶん殴っていたはずだ。

「・・・止められたかもしれないし、止められなかったかもしれない・・・だが、私はその時・・・彼の無実を訴えることは出来たはずだった」

「それをさァ、当時護衛だったオジサンが止めたんだよォ・・・将ちゃんには未来がある。いくら甥っ子とはいえ、定々公に意見なんぞしたら・・・」

「首が飛んでたかもな・・・とっつぁんの判断は正しいよ」

さすがの銀時も、目の前で猛反省している相手を詰ることは出来なかった。それは、彼等が加害者ではなく、一歩間違えれば被害者になりえたという、非常に危ない立場にいた人間だったからだ。

「私は、彼から君達に伝言を預かったんだ。遺書は遺髪と共に送られたようだが・・・あれも幕府の者が検閲するから、余計なことは書けなかったはず」

「あぁ、俺達への最後の教えが綴られていただけだ・・・一言でも、悔しいって、幕府が憎いって書いてあれば、俺はもっと鬼になれたんだろうけどな・・・」

―――やましい事など何一つしていないのだから、必ず帰る。だから、それまでは銀時に皆を護っていて欲しい。

松陽の言葉に銀時は頷いて、隊を出奔したあの日までずっとその約束を守り続けてきた。銀時の戦いは“護る戦い”だったのだ。

「伝言は、こうだ・・・もし、私の教え子達に会う機会があったなら伝えて欲しい。皆が私の誇りだ・・・と」

「・・・ッ・・・先生」

思わず声を詰まらせる銀時に、茂々は悲しげに告げた。

「片栗虎がそなたを見つけたと嬉しそうに告げてきた時に、私はどうしてもそなたに会いたくなってしまった・・・この言葉を彼の教え子であるそなたに自分の口から伝えたかったのだ」

真選組結成において、銀時が身を寄せていた近藤の道場が母体になるのはそういった理由もあるのだと告げられて、銀時はそっと目を伏せた。

処刑するまでに至った詳細を知ることはできなかったが、松陽の最期の言葉を受け取れたのは充分すぎるほどの収穫だった。

「伝言、確かに受け取ったぜ。ありがとな、将軍」

「・・・いや。やっと肩の荷が下りた気分だ・・・」

ほっとした様子の茂々に、銀時は目元を緩める。

「アンタみたいな将軍なら、気持ち良く仕えることができそうだよ」

「そうか?なら、良かった・・・」

正直言って、将軍家自体を憎んではいなかったが、悪いイメージを抱いていたのは間違いない。

だから、それ相応の覚悟が必要だと思っていた。

しかし、茂々の人柄は良く、本来縛られるのが嫌いな銀時でさえも、仕えても良いと思えるほどだ。

「近藤さん達にもぜひ会ってやってくれ。直接将軍から言葉を貰えればすっげー喜ぶと思うし」

「ああ、もちろんだとも!・・・それで、その者達も友になってくれるだろうか?」

「・・・なってくれるんじゃね?・・・な?鴨ちゃん」

「だから、鴨ちゃんじゃないというのに・・・ま、まぁ・・・坂田くんほどすんなりと友人らしく振る舞えるかはともかくとして、大丈夫だと思いますよ」

そわそわと訊ねる茂々に、銀時と伊東はそう答える。

「・・・将ちゃん、そろそろコイツ等連れて帰るから。続きはまた今度なァ?」

「・・そうか、もう帰るのか・・・」

松平が腰をあげてそう言うと、茂々は途端にしゅんとしてしまう。

「そういう顔はしないんだよォ?・・・今度は江戸に移り住んでからになるだろうが、そしたら、いつだって会えるでしょうがァ」

「・・・そう、だな」

頷いて、茂々は銀時と伊東に微笑みかけた。

「また、いつでも来てくれ。坂田、伊東」

「・・・今度は皆連れてくっから」

「それに、江戸に移り住みましたら、いつでもお呼びいただければ馳せ参じますので」

「ああ、他の者達にもよろしく伝えておいてくれ」

そうして茂々に見送られ、銀時達は城を後にした。


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