Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・W副長設定です!
・カップリングはありません(強いて言うならかる~く土ミツ)
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
江戸から帰って来た銀時と伊東を出迎えた土方達は、おや?という顔をした。
「・・・銀時、なんか良いコトでもあったのか?」
近藤がそんなことを聞いてしまったのも仕方のないことだった。
なぜなら、幕府高官に囲まれて嫌な思いをしただろうと考えていたのに、銀時の表情が妙にスッキリしていたからだ。
「ん、まぁな」
緩く微笑んだ銀時は言葉を濁す。
「・・・俺等には言えねェコトか?」
土方が少し不満そうに問えば、銀時は苦笑する。
「いやいや。こんなトコで・・・しかも“しらふ”で話せる内容じゃねェんだよ・・・だから、後でな?十四郎」
「なら良い・・・」
土方が引き下がると、近藤が前に進み出る。
「さぁ、二人とも疲れただろう!とりあえず中に入ろう!!」
ニカリ、と人好きのする笑みをうかべて近藤が家の中へ入るように促す。
と、そこで銀時と伊東は同時に気付いた。いつもなら銀時に一番にひっついてくる“彼”の姿が無いことに。
「・・・なぁ、総悟は?」
銀時が問えば、近藤と土方から沈黙が返ってくる。
「・・・ミツバさんに、何かあったんだね?」
その二人の空気から事情を読み取った伊東が問えば、近藤が沈痛な表情をうかべ、土方は眉間にしわを寄せて視線を落とす。
「・・・・・・お前達が出立したその後にな・・・」
近藤の口が重い。
「急に吐血して倒れたんだ・・・容態はずいぶん良くなったって、医者も言ってたのに・・・」
土方が視線を落としたまま近藤の言葉を補足する。
「・・・沖田くんは、ミツバさんのところに?」
「ああ。あんな弱った総悟の姿は初めて見る・・・俺ァもう、見てられなくてなぁ・・・」
近藤は肩を落としてそう告げる。
付き添ってやりたくとも今の沖田はすべてを拒絶しているようで、何も出来ない己の不甲斐なさに心底嫌気がさしていたのだ。
「・・・仕方ねぇよ・・・大事な大事な姉ちゃんなんだ。他のことに気なんて回せねぇよ」
銀時はそう呟いて、くるりと向きを変えた。
「坂田くん、今はよしたほうが・・・」
「ミツバには引き止めてもらった恩がある。それに、頼みごとされててな・・・その返事をしに行ってくらァ」
引き止めた伊東にそう告げて、銀時はヒラリと手を振って沖田の家へと向かった。
***
もう長くはないとわかってはいた。
けれど容態が良くなっていたから、少しだけ期待していたのだ。
このまま冬を越せるのではないのか、と。
「・・・そーちゃん」
「姉上」
ミツバが手を沖田の頬に添える。ひんやりとしたその手に火照った頬の熱が移っていく。
そうやって自分の元気を姉に渡せたならば、どんなに良いか。
もう止められそうになかった。ポタポタと目から零れ落ちる涙がミツバの手をつたう。
「泣かないで・・・そーちゃん・・・」
「嫌です・・・嫌です姉上・・・僕を置いて逝かないで」
ミツバはその沖田の涙をそっと拭ってやりながら微笑んだ。
「・・・そーちゃんには、素敵な仲間がいるでしょう?私がいなくなっても、きっと、淋しくないわ」
フルフルと首を振る沖田に、なおもミツバは告げる。
「そーちゃん、そーちゃんは強い子でしょ?そーちゃんのその力で、皆を護ってあげて?」
「姉上ッ・・・姉上を護れないならッ・・・こんな力、何の意味もないのに!!」
「そんなことない・・・そうでしょう?ね?坂田さん」
「!?」
ミツバの言葉に、沖田は驚いたように顔をあげた。
気配など微塵も感じないし、影が映りこんでいるわけでもない。
姉の見た白昼夢か、と思ったその時、スーッと静かに銀時が部屋の中に入ってきた。
「銀兄ィ・・・!」
「参ったねェ、気配は完全に消してたつもりなんだけど」
苦笑いをうかべる銀時に、ミツバはクスクスと笑う。
「死期が近い人間っていうのは、色々と鋭くなるんですって・・・」
「・・・そうなんだ?」
銀時は沖田の隣にそっと座る。
沖田を慰めるわけでもなく、ただ隣に。
それが沖田にとってはとてもありがたかった。今は何を言われても拒絶してしまいそうだったからだ。
先程も近藤が慰めようとしてくれていたのに、ちゃんと聞くことができなかった。
「なぁ、前に俺に頼みごとしただろ?覚えてるか?」
「ええ、もちろんです。そーちゃんのことお願いできませんか?って頼みましたよね?」
「!」
いつの間に、と目を見開く沖田。それを横目に銀時は頷いた。
「ああ、そうだ。・・・あの時はちゃんと返事ができなかったからな」
「そういえば、そうでしたね・・・じゃあ、改めてお願いします・・・どうか、そーちゃんをお願いします・・・皆がいれば、兄と慕う坂田さんがいれば、きっと、そーちゃんは淋しくない・・・」
懇願するようにミツバは告げ、銀時はその言葉をしっかりと受け止めた。
「・・・任せとけ。総悟は俺の大事な、護りてぇモンの一人だ」
「・・・・・・・・・よかった・・・ありがとうございます・・・」
ふわりと安堵の笑みをうかべたミツバを確認すると、銀時はすくりと立ち上がる。
「俺の話はそんだけだ。・・・あぁ、そうだ。ミツバ、お前には感謝してる。お前が引き止めてくれたから、俺は決心ができた。ありがとな」
笑みを一つ残し、銀時は部屋を後にした。
「・・・銀兄ィ」
自分の知らない間に、姉と銀時があんな約束をしていたなんて思いもよらなかった沖田は、呆然とその背を見送る。
「そーちゃんが羨ましいな・・・近藤さん、十四郎さん、坂田さん・・・あんな素敵な人達に囲まれて過ごせるのだもの・・・」
「姉上・・・」
「たまにはケンカしてもいいけど・・・ちゃんと仲直りするのよ?・・・誰かが落ち込んでたら、慰めてあげて?その時は慰めの言葉が届かないかもしれないけど、いつか、その言葉がちゃんとその人の心に届く日がくるから・・・他にもたくさんあったのに・・・思い出せないわ・・・」
「姉上ッ・・・もう、喋らなくていいから・・・!」
「あぁ・・・そーちゃんが、真選組一番隊隊長として活躍するところ・・・見たかった・・・」
「見れます!!見れますから・・・だから!!!」
「そーちゃん・・・」
――――――笑って。笑顔で見送ってほしいの。
数日後、彼女は逝った―――。
******
ミツバが倒れた翌々日、土方は一人沖田の家へと向かっていた。
―――姉上が呼んでる。会いに行け。
泣きはらした目で己を見あげて沖田がそう告げてきたからだ。
その沖田は近藤にべったりとひっついて離れず、どうやら二人きりにしてくれるらしいと悟り、置いてきた。
「・・・一体、何を話せば良いんだよ・・・」
江戸から帰って来るなりミツバの容態悪化を聞いた銀時が会いに行っていたので、参考までにどんな話をしたのか探りを入れてみたが、教えてはくれなかった。
お互いにハッキリと気持ちを伝えあったわけではないが、ミツバは土方を好いているし、土方もミツバを好いている。
だが、死を目の前にした彼女に何と言葉をかけたら良いのかわからないのだ。
敷地内に入ってもまだそのことに頭を悩ませながら、土方はゆっくりとミツバの部屋へと歩を進める。
「(・・・着いちまった・・・)」
ピタリ、と彼女の部屋の前で足を止め、土方は眉間にしわを寄せた。
「・・・十四郎さん?」
部屋の中からミツバが呼ぶ。
「・・・・・・ああ」
「そんな所に立ってないで・・・入って?」
黙っているのもどうかと思って返事をすれば、入るように促される。
障子戸を開ければ、ミツバが身体を起こそうとしていた。慌てて駆け寄り、無理をさせないように背を支えた。
「無理して起きてんなら、横になってろ」
ぶっきらぼうになってしまった言葉にも、ミツバは微笑んで首を横に振った。
「いいえ、大丈夫・・・」
そう言いながらもぐらつくミツバの身体を、土方は自分に引き寄せてもたれかかるようにする。
「・・・こうしてりゃ、楽だろ?」
「・・・ええ、ありがとう・・・十四郎さん」
微笑むミツバの顔色は血の気がなく蒼白だ。しかも、彼女がもたれかかっている胸の辺りにもさしたる重さは感じない。
「・・・痩せたな」
「食欲がないの・・・」
思わずもれた言葉に答えを返されて、土方は渋い表情を浮かべた。
「悪い・・・」
「ふふ・・・どうして謝るの?おかしな十四郎さん」
クスクスと笑うミツバに、土方は口を開こうとする。
「・・・俺は・・・」
「十四郎さん、夏祭り・・・楽しかった・・・」
そんな土方の言葉を遮ってミツバが懐かしむように告げる。
「ああ、また行こう。近藤さんや銀時・・・沖田センパイも一緒に」
「ッ・・・十四郎さんと・・・もっと一緒にいたいの・・・貴方と一緒に生きたいッ」
ミツバは土方にすがりついて悲痛な叫びをあげた。
それは、彼女が初めてもらした本音だった。
弟の前では絶対に口にできなかっただろう言葉。そして、土方の前だったからこそもれた本音。
「ミツバ・・・」
彼女の目からあふれ出る涙を拭い、土方はミツバを抱きしめた。
どれくらいそうしていただろうか。
「・・・ごめんなさい・・・」
そう言って身じろいだミツバの身体を放す。
「なんで、謝る?」
「・・・聞かなかったことにして欲しいの・・・私・・・貴方の重荷になりたくない」
「重荷だなんて思わねェよ・・・第一、お前軽すぎるんだよ・・・ちゃんと食えよ。元気にならねェぞ」
「・・・?」
土方のいきなりの話題転換に、ミツバは一瞬ついていけなかった。
だが、すぐにそれが遠まわしにミツバの願いを聞き入れた返事になっていることに気づいた。
聞かなかったことにして―――その願い通り、土方へすがって泣いたことを“なかったこと”としてくれたのだと。
「・・・・・・そうね。ちゃんと、食べなくちゃ」
目元を赤くはらし、ミツバは微笑んだ。
それが土方が見た最後の彼女の笑顔だった。
******
ミツバが息を引き取った翌日、しめやかに葬儀が執り行われた。
若くして逝った彼女の死を悼み、近藤をはじめとした門下生一同は一様に涙した。
松平も葬儀に駆けつけ、彼らと共に泣いた。
銀時はそれらを少し離れた場所から見つめてから、毅然として喪主を勤め上げた沖田の側に歩み寄った。
「・・・銀兄ィ」
銀時が口を開く前に、沖田が名を呼ぶ。
「・・・ん?」
「俺に稽古をつけてよ・・・俺は強くならなくちゃいけない・・・姉上が言ったんだ。皆を護ってあげてって」
そう言って見上げてくる沖田の姿にかつての自分をダブらせる。
「・・・・・・総悟」
「・・・お願い、銀兄ィ・・・俺は強くなりたい」
銀時はほんの一瞬考え、そっとまぶたを伏せた。
姉との約束を守ろうと決めた沖田にダメだとは言えなかった。
「・・・護る強さってのは、ただ単に強けりゃいいってもんじゃねェ・・・俺は、厳しいからな?」
「わかってる」
銀時が思っていた以上に沖田は強い心の持ち主だった。姉の死をしっかりと受け止められている。
「・・・お前は強くなるよ、俺が保証する」
そう銀時が告げれば、沖田は小さく頷いた。
「うん、絶対に強くなる・・・」
決意を口にした沖田は、いつもよりも大人びて見えた。
☆イメージ画☆
↑そーちゃんがミツバさんと会話しているシーン・・・
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「・・・銀時、なんか良いコトでもあったのか?」
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なぜなら、幕府高官に囲まれて嫌な思いをしただろうと考えていたのに、銀時の表情が妙にスッキリしていたからだ。
「ん、まぁな」
緩く微笑んだ銀時は言葉を濁す。
「・・・俺等には言えねェコトか?」
土方が少し不満そうに問えば、銀時は苦笑する。
「いやいや。こんなトコで・・・しかも“しらふ”で話せる内容じゃねェんだよ・・・だから、後でな?十四郎」
「なら良い・・・」
土方が引き下がると、近藤が前に進み出る。
「さぁ、二人とも疲れただろう!とりあえず中に入ろう!!」
ニカリ、と人好きのする笑みをうかべて近藤が家の中へ入るように促す。
と、そこで銀時と伊東は同時に気付いた。いつもなら銀時に一番にひっついてくる“彼”の姿が無いことに。
「・・・なぁ、総悟は?」
銀時が問えば、近藤と土方から沈黙が返ってくる。
「・・・ミツバさんに、何かあったんだね?」
その二人の空気から事情を読み取った伊東が問えば、近藤が沈痛な表情をうかべ、土方は眉間にしわを寄せて視線を落とす。
「・・・・・・お前達が出立したその後にな・・・」
近藤の口が重い。
「急に吐血して倒れたんだ・・・容態はずいぶん良くなったって、医者も言ってたのに・・・」
土方が視線を落としたまま近藤の言葉を補足する。
「・・・沖田くんは、ミツバさんのところに?」
「ああ。あんな弱った総悟の姿は初めて見る・・・俺ァもう、見てられなくてなぁ・・・」
近藤は肩を落としてそう告げる。
付き添ってやりたくとも今の沖田はすべてを拒絶しているようで、何も出来ない己の不甲斐なさに心底嫌気がさしていたのだ。
「・・・仕方ねぇよ・・・大事な大事な姉ちゃんなんだ。他のことに気なんて回せねぇよ」
銀時はそう呟いて、くるりと向きを変えた。
「坂田くん、今はよしたほうが・・・」
「ミツバには引き止めてもらった恩がある。それに、頼みごとされててな・・・その返事をしに行ってくらァ」
引き止めた伊東にそう告げて、銀時はヒラリと手を振って沖田の家へと向かった。
***
もう長くはないとわかってはいた。
けれど容態が良くなっていたから、少しだけ期待していたのだ。
このまま冬を越せるのではないのか、と。
「・・・そーちゃん」
「姉上」
ミツバが手を沖田の頬に添える。ひんやりとしたその手に火照った頬の熱が移っていく。
そうやって自分の元気を姉に渡せたならば、どんなに良いか。
もう止められそうになかった。ポタポタと目から零れ落ちる涙がミツバの手をつたう。
「泣かないで・・・そーちゃん・・・」
「嫌です・・・嫌です姉上・・・僕を置いて逝かないで」
ミツバはその沖田の涙をそっと拭ってやりながら微笑んだ。
「・・・そーちゃんには、素敵な仲間がいるでしょう?私がいなくなっても、きっと、淋しくないわ」
フルフルと首を振る沖田に、なおもミツバは告げる。
「そーちゃん、そーちゃんは強い子でしょ?そーちゃんのその力で、皆を護ってあげて?」
「姉上ッ・・・姉上を護れないならッ・・・こんな力、何の意味もないのに!!」
「そんなことない・・・そうでしょう?ね?坂田さん」
「!?」
ミツバの言葉に、沖田は驚いたように顔をあげた。
気配など微塵も感じないし、影が映りこんでいるわけでもない。
姉の見た白昼夢か、と思ったその時、スーッと静かに銀時が部屋の中に入ってきた。
「銀兄ィ・・・!」
「参ったねェ、気配は完全に消してたつもりなんだけど」
苦笑いをうかべる銀時に、ミツバはクスクスと笑う。
「死期が近い人間っていうのは、色々と鋭くなるんですって・・・」
「・・・そうなんだ?」
銀時は沖田の隣にそっと座る。
沖田を慰めるわけでもなく、ただ隣に。
それが沖田にとってはとてもありがたかった。今は何を言われても拒絶してしまいそうだったからだ。
先程も近藤が慰めようとしてくれていたのに、ちゃんと聞くことができなかった。
「なぁ、前に俺に頼みごとしただろ?覚えてるか?」
「ええ、もちろんです。そーちゃんのことお願いできませんか?って頼みましたよね?」
「!」
いつの間に、と目を見開く沖田。それを横目に銀時は頷いた。
「ああ、そうだ。・・・あの時はちゃんと返事ができなかったからな」
「そういえば、そうでしたね・・・じゃあ、改めてお願いします・・・どうか、そーちゃんをお願いします・・・皆がいれば、兄と慕う坂田さんがいれば、きっと、そーちゃんは淋しくない・・・」
懇願するようにミツバは告げ、銀時はその言葉をしっかりと受け止めた。
「・・・任せとけ。総悟は俺の大事な、護りてぇモンの一人だ」
「・・・・・・・・・よかった・・・ありがとうございます・・・」
ふわりと安堵の笑みをうかべたミツバを確認すると、銀時はすくりと立ち上がる。
「俺の話はそんだけだ。・・・あぁ、そうだ。ミツバ、お前には感謝してる。お前が引き止めてくれたから、俺は決心ができた。ありがとな」
笑みを一つ残し、銀時は部屋を後にした。
「・・・銀兄ィ」
自分の知らない間に、姉と銀時があんな約束をしていたなんて思いもよらなかった沖田は、呆然とその背を見送る。
「そーちゃんが羨ましいな・・・近藤さん、十四郎さん、坂田さん・・・あんな素敵な人達に囲まれて過ごせるのだもの・・・」
「姉上・・・」
「たまにはケンカしてもいいけど・・・ちゃんと仲直りするのよ?・・・誰かが落ち込んでたら、慰めてあげて?その時は慰めの言葉が届かないかもしれないけど、いつか、その言葉がちゃんとその人の心に届く日がくるから・・・他にもたくさんあったのに・・・思い出せないわ・・・」
「姉上ッ・・・もう、喋らなくていいから・・・!」
「あぁ・・・そーちゃんが、真選組一番隊隊長として活躍するところ・・・見たかった・・・」
「見れます!!見れますから・・・だから!!!」
「そーちゃん・・・」
――――――笑って。笑顔で見送ってほしいの。
数日後、彼女は逝った―――。
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ミツバが倒れた翌々日、土方は一人沖田の家へと向かっていた。
―――姉上が呼んでる。会いに行け。
泣きはらした目で己を見あげて沖田がそう告げてきたからだ。
その沖田は近藤にべったりとひっついて離れず、どうやら二人きりにしてくれるらしいと悟り、置いてきた。
「・・・一体、何を話せば良いんだよ・・・」
江戸から帰って来るなりミツバの容態悪化を聞いた銀時が会いに行っていたので、参考までにどんな話をしたのか探りを入れてみたが、教えてはくれなかった。
お互いにハッキリと気持ちを伝えあったわけではないが、ミツバは土方を好いているし、土方もミツバを好いている。
だが、死を目の前にした彼女に何と言葉をかけたら良いのかわからないのだ。
敷地内に入ってもまだそのことに頭を悩ませながら、土方はゆっくりとミツバの部屋へと歩を進める。
「(・・・着いちまった・・・)」
ピタリ、と彼女の部屋の前で足を止め、土方は眉間にしわを寄せた。
「・・・十四郎さん?」
部屋の中からミツバが呼ぶ。
「・・・・・・ああ」
「そんな所に立ってないで・・・入って?」
黙っているのもどうかと思って返事をすれば、入るように促される。
障子戸を開ければ、ミツバが身体を起こそうとしていた。慌てて駆け寄り、無理をさせないように背を支えた。
「無理して起きてんなら、横になってろ」
ぶっきらぼうになってしまった言葉にも、ミツバは微笑んで首を横に振った。
「いいえ、大丈夫・・・」
そう言いながらもぐらつくミツバの身体を、土方は自分に引き寄せてもたれかかるようにする。
「・・・こうしてりゃ、楽だろ?」
「・・・ええ、ありがとう・・・十四郎さん」
微笑むミツバの顔色は血の気がなく蒼白だ。しかも、彼女がもたれかかっている胸の辺りにもさしたる重さは感じない。
「・・・痩せたな」
「食欲がないの・・・」
思わずもれた言葉に答えを返されて、土方は渋い表情を浮かべた。
「悪い・・・」
「ふふ・・・どうして謝るの?おかしな十四郎さん」
クスクスと笑うミツバに、土方は口を開こうとする。
「・・・俺は・・・」
「十四郎さん、夏祭り・・・楽しかった・・・」
そんな土方の言葉を遮ってミツバが懐かしむように告げる。
「ああ、また行こう。近藤さんや銀時・・・沖田センパイも一緒に」
「ッ・・・十四郎さんと・・・もっと一緒にいたいの・・・貴方と一緒に生きたいッ」
ミツバは土方にすがりついて悲痛な叫びをあげた。
それは、彼女が初めてもらした本音だった。
弟の前では絶対に口にできなかっただろう言葉。そして、土方の前だったからこそもれた本音。
「ミツバ・・・」
彼女の目からあふれ出る涙を拭い、土方はミツバを抱きしめた。
どれくらいそうしていただろうか。
「・・・ごめんなさい・・・」
そう言って身じろいだミツバの身体を放す。
「なんで、謝る?」
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だが、すぐにそれが遠まわしにミツバの願いを聞き入れた返事になっていることに気づいた。
聞かなかったことにして―――その願い通り、土方へすがって泣いたことを“なかったこと”としてくれたのだと。
「・・・・・・そうね。ちゃんと、食べなくちゃ」
目元を赤くはらし、ミツバは微笑んだ。
それが土方が見た最後の彼女の笑顔だった。
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ミツバが息を引き取った翌日、しめやかに葬儀が執り行われた。
若くして逝った彼女の死を悼み、近藤をはじめとした門下生一同は一様に涙した。
松平も葬儀に駆けつけ、彼らと共に泣いた。
銀時はそれらを少し離れた場所から見つめてから、毅然として喪主を勤め上げた沖田の側に歩み寄った。
「・・・銀兄ィ」
銀時が口を開く前に、沖田が名を呼ぶ。
「・・・ん?」
「俺に稽古をつけてよ・・・俺は強くならなくちゃいけない・・・姉上が言ったんだ。皆を護ってあげてって」
そう言って見上げてくる沖田の姿にかつての自分をダブらせる。
「・・・・・・総悟」
「・・・お願い、銀兄ィ・・・俺は強くなりたい」
銀時はほんの一瞬考え、そっとまぶたを伏せた。
姉との約束を守ろうと決めた沖田にダメだとは言えなかった。
「・・・護る強さってのは、ただ単に強けりゃいいってもんじゃねェ・・・俺は、厳しいからな?」
「わかってる」
銀時が思っていた以上に沖田は強い心の持ち主だった。姉の死をしっかりと受け止められている。
「・・・お前は強くなるよ、俺が保証する」
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