Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・完全捏造設定です!
・原作かなり無視しています!
・オリジナルキャラクターがわんさか出ます
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・あ~、でさぁ、最短距離でって言ったんだけどォ~、それもちょっとしぼりにくいなァなんて思ったりしてるんだよね~」
話を戻す銀時に生暖かい視線が向けられるが、銀時は死んだ魚のような目でそれらを受けとめ、曖昧な笑みをうかべた。
「・・・はァ、ま、銀の言う通り、最短距離もいくつかのルートがあるな」
溜息をつきつつ久坂が告げる。
「全てに配置するだけの戦力は無い・・・いくつかに絞るしかないが・・・」
桂がそれに応じて持って来ていた地図を広げた。
「でしょ・・・だからさぁ・・・ちょっとワナを仕掛けない?」
その言葉で幼馴染達はピンと来た。攘夷戦争中も何度も使ってきた手だったからだ。
舌の根も乾かぬうちに何という無茶を言い出すのか、コイツは。
そう言いたかったが、事実その手が一番有効であることは間違いなかった。
「・・・じゃあ、俺の出番ってワケだなァ?」
くるり、とキセルを回し口に咥えながら高杉が問う。
「そ。春雨と“一応”協力関係にある鬼兵隊から情報を流して貰う」
「・・・まァ、あのアホならともかく、ヤツなら上手くやるだろ」
「アホ?」
「ヤツ?」
一斉に首を傾げた幼馴染達に、高杉は一瞬戸惑った表情をうかべた。
「・・・春雨の元提督と、提督に嵌められそうになって返り討ちにしたガキのことだ」
ぼそり、と答えるものの、あまり突っ込んで聞かれたくない部分であるために視線は落とされている。
「ガキ・・・それって、夜兎アルカ?」
春雨=神威のイメージがある神楽がスッと視線を高杉に向けた。
その目を見て、高杉はパカリと口を開けた。
滅多にないというより、子どもの頃に何度か見たきりのそんな表情に、幼馴染達がどよめく。
「うっわ、晋助のあの顔、めっずらし~」
「・・・明日は雪か?」
「相当驚いてるな、晋は」
「高杉?・・・どうした?」
桂が問いかけると、高杉は銀時に視線を向けた。
「・・・おい、この夜兎の娘・・・春雨第7師団の神威の肉親か?」
「・・・ってことは、晋助は第7師団とお付き合いしてる真っ最中ってトコか。ますます吉原の姐ちゃん達は関わらせられねェな」
「おい!」
高杉が眉間に深くしわを寄せると、銀時は神楽に視線を向けた。
「・・・神楽」
「・・・大丈夫アル。片目・・・神威は私の実の兄貴ネ」
「ヤツは・・・」
そこまで言って、高杉は口を噤んだ。
彼が命を狙っている“侍”が銀時であることを知っている。が、それを先送りにしているのは銀時の本来の力があんなものではないということに気付いているからだ。
だが、この戦いで銀時は本来の力を取り戻す。“雪月花”がその手に戻り、過去の愁いが一つ晴れたなら、宇宙最強の戦闘種族・夜兎と1対1になっても良いトコロまで持ち込めるだろう。
そうなればきっと・・・そこまで考えて高杉は溜息を漏らした。
「ったく、テメェの気に入らねェ連中の売ったケンカをあちこちで安く買いやがって・・・」
「え、何ソレ。俺に言ってる?」
「たりめェだ、このクソ天パ・・・自覚あんだろうが」
「あ~・・・いや、別に安くは買ってねェっていうか・・・逆に吉原みてェに得しちゃってる時もあったりとか・・・」
銀時がゴニョゴニョと言い訳めいたものを口にしていると、その隣にいた神楽が必死な様子で高杉を見つめた。
「・・・片目、神威は・・・」
「・・・そうそう簡単には死なねェだろ、テメェの兄貴は」
「べ、別に、心配してるわけじゃないネ!!どうせなら私の手であのクソ兄貴に落とし前つけさせてやりたいだけヨ!」
神楽が慌ててそう言えば、高杉はクツクツと笑った。
「ああ、そうかよ・・・じゃあ、テメェの兄貴にゃそう伝えとくぜェ?」
「し、心配じゃないネ!それだけは勘違いすんなヨ!!」
「あァ、わかってる」
「・・・晋助、神威のこと気に入ってんだな」
ポツリ、と銀時が呟く。
「なんじゃぁ、銀時?」
坂本がその呟きを耳で拾い問いかけると、いつもの曖昧な笑みをうかべて銀時は首を振る。
神威ともう一度巡り会った時、望もうが望むまいが命のやり取りになるのであろうと神威と神楽の父である星海坊主からも言われていた。
「(ますます、やりにくいじゃねェか・・・ったく)」
「・・・あのー、俺達は話についてけてないんだけども・・・」
恐る恐るといった風に近藤が口を開くと、桂がああ、と声をあげた。
「すまん、戦争時は天人共相手によく使った手でな・・・つまり囮作戦だ」
「囮って・・・万事屋をか?」
じろり、と土方が銀時に視線を向ける。
つい先ほど怒られたばかりではなかったか、と。
「実際、囮にするわけではないからな・・・後は、高杉が春雨に情報を流し、春雨から天導衆、ヤツといった具合に流れれば御の字だ」
「そんなにうまく行くもんか?」
「・・・神威は俺に借りがある。訝しんでもそれなりには手を貸すだろうよ」
高杉が土方の戸惑うような視線を受けて答えると、沖田が目を細めた。
「へェ・・・チャイナの兄貴を随分と信用してるみてェじゃねェですかィ・・・一体、どんなヤツなんでィ?」
「・・・ただの戦闘狂だ。まぁ、多少はポリシーがあるみてェだがな」
短く答えると、高杉は立ち上がる。
「高杉・・・」
桂が名を呼ぶと、高杉はガシガシと頭を掻きながら答えた。
「・・・船に戻る。あっちと連絡がついたらヅラに報告すればいいな?」
「ああ・・・というか、ヅラじゃない。桂だ!」
お決まりのセリフにクツリと笑い、高杉はその場を後にする。
「晋助、やっぱり変わったな~・・・昔はああじゃなかったんだけど~」
「しょうがないさ・・・戦争終了後、残党狩りで一番酷い目に遭ったのが晋の鬼兵隊だからな・・・」
入江と久坂が高杉の背中を見送りながらそう言えば、銀時は視線を落とした。
「・・・アイツの中じゃ、未だに幕府への怨嗟の念が消えねェんだろ。先生を邪魔者扱いしたのも、俺達を見捨て残党狩りなんてのをやりだしたのも、天導衆に膝を折った幕府の連中だからな」
もし、幕府が松陽の先見の明を認めていたなら、今頃は天人に支配されるのではなく対等な関係を築けたのではないかと今更ながらに思う。
「なぁ、銀時」
「ん?なんだよ、局長さん」
「・・・保科様達の方は放っておいていいのか?昨日屯所に帰ったら、向こうに付かせた隊士達がやたらと血気盛んになっててなァ・・・」
「・・・へ、へェ~」
たらり、と頬を汗が伝う。暑いわけではない。嫌な予感がヒシヒシとするのだ。
「そうですぜィ、旦那ァ。ヤツ等・・・保科様に何を吹き込まれたんだか、今にも人を斬り殺しそうなくれェに殺気立ってやしたぜィ」
「二言目には“旦那のため”だ。・・・テメェの部下はウチの部下に何を吹き込みやがったんだ?」
近藤に続いて沖田や土方までそんなことを言うので、それが夏霧の仕業であると確信した銀時は、苦笑をうかべて頭を下げた。
「あー、悪かった。つか、アイツは人の心を操るのが上手いんだよ。4人の中じゃ剣の腕も口も断トツで達者でさぁ・・・アイツと春霞が組んじまったら俺でも手ェ付けられねェし・・・まぁ、悪い様にはしねェよ、多分」
「多分て何だ、多分てェッ!!」
「え~、銀さんわかんな~い」
「わかんな~い・・・じゃねぇえええええ!!!」
思いっきり誤魔化そうとした銀時に土方が掴みかかり、その場は再び賑やかになる。
「ふふっ・・・真選組の副長さんって、ホントに銀時に気に入られてんだねェ~」
「本人にとってはハタ迷惑だろうけどな」
入江と古田の言葉に、他の真選組の面子は思わず苦笑をうかべたのだった。
― 江戸某所
「・・・そう、ありがとう。また、動きがあったら教えて」
相手から是、と返ってくると、氷柱は携帯電話を閉じた。
「どうだった?」
「うん、銀時様の方は上手くいってるみたい。晋助様が春雨に情報を流して上手くヤツをおびき寄せるみたいよ」
訊ねた水澄に答えると、氷柱は視線を落とす。
「氷柱?」
「・・・銀時様に怒られるわね、きっと・・・」
「あ~・・・だろうなァ」
いくら銀時のためとはいえ、彼に黙ってこんな大規模な作戦を行うのは初めてだ。全てが終わった後、きっと銀時はすごく怒るだろうとわかっているからこそ気が重い。
「2人とも、こんなところにいたのか」
そこに、軽装に着替えた夏霧がやって来る。
「春霞は?」
水澄の問いに、夏霧は肩を竦めた。
「情報収集。石橋を叩いて渡るくらいに慎重にいかないとな」
「そうか、そうだよな・・・相手は“天導衆”だもんなぁ」
「・・・ねぇ、夏霧・・・絶対に死人は出ないわよね?」
「ああ・・・出すわけにはいかない。銀時様の心の安寧のために犠牲を出すなど本末転倒だ。・・・万が一にでも犠牲が出たらあの方はご自分を責めてしまう」
ちゃらんぽらんなようでいて、いろいろと自分の中に抱え込む癖のある銀時のことを熟知しているからこその夏霧の言葉に、水澄と氷柱はコクリと頷いた。
「ようやく、銀時様にご恩返しの機会がやって来たんだ。・・・絶対に勝つ」
「ああ!」
「もちろんよ!」
3人ともに決意を新たに頷きあったのだが、一つ忘れていたことがあった。
「・・・・・・3人とも、私を除け者にするとはいい度胸じゃありませんか」
ちょうど戻って来た春霞にジロリと睨まれて、3人は竦み上がった。
「しゅ、春霞・・・ちょ、違うって・・・」
水澄が慌てて言えば、春霞は目を細めて口元だけに笑みをうかべた。
「何が違うんです?言い訳は結構ですよ、どうせ私はあなた方にとってはその程度の存在なのでしょう」
「うぁ・・・でた・・・ブラック春霞・・・」
ネガティブで皮肉たっぷりな春霞の言葉に、水澄は思わず身震いする。
「ほらほら春霞、そう拗ねないで。・・・今回の作戦は春霞がいなければ成り立たないんだからな」
「・・・わかってるじゃないですか」
なだめにかかった夏霧に春霞は恨めしげな視線を向ける。
「当然。俺は今回の総大将だからな。・・・真選組の面々もだいぶ使えるようだし、やっぱり実践向きの腕を持った人間がいると楽だな」
「確かにそうね、真選組は幕府側に残された唯一の“侍”という存在なのかも」
夏霧の言葉に氷柱が頷く。
「“侍”か・・・そうですね。銀時様がお気に召されるわけだ」
クツリ、と春霞が笑う。
ようやく機嫌を直してくれたらしい春霞にホッとしながら、六花の面々は今後の作戦について詰めの作業に入った。
「で、真選組は表向きの部分で動いてもらうんだろう?」
水澄が問えば、夏霧は頷く。
「ああ、彼らに責任を取らされるようなコトをさせるわけにはいかないからな」
「真選組は目立つしね」
「確かに~。でも、一番目立つ3人が銀時様の方にいるんだったら、そんなに目立たないんじゃ・・・」
「何言ってるんです、水澄。あの3人が居なくったって目立つでしょうに」
「・・・春霞の言う通りね。あの人達、風体が目立つのよ。あの揃いの制服といい、ハチャメチャな行動といい・・・トップが“ああ”だからそうなるのかは知らないけれど・・・でも、陽動にはもってこいよね」
「そう言うことだ。・・・その間に、俺達は“天導衆”を討つ」
「銀時様の愁いが、それで晴れるんだよな?」
夏霧に水澄が問う。
疑問というよりも確認に近いそれに、夏霧は頷いた。
「・・・ああ。大きな顔で道のど真ん中を闊歩する天人共も“天導衆”がいなくなれば少しは大人しくなるだろう。・・・何よりも“白夜叉”をつけ狙うヤツ等が居なくなる」
それが、重要なのだと夏霧は呟くように言う。
「やっと、銀時様が得た“家族”に手を出させるわけにはいかないしな」
「・・・神楽ちゃんと新八君か。きっと銀時様の心の支えになってるんだろうな」
「私達には無理ね。・・・あの戦いの記憶をよみがえらせてしまうのが関の山・・・あの子達が羨ましいわ」
「まぁ、いいさ。俺達が望むのはあの方の幸せだけ。・・・そのためなら、どんなことだってするのが【六花】だろ?」
決して、銀時にそれを告げることは無いけれど。
「そういうことね」
氷柱が苦笑して頷く。夏霧の考えそうなことは良くわかっているのだろう。
【六花】の名を頂く自分達は運命共同体のようなものだった。銀時に拾われてからは同じ釜の飯を喰らい、何をする時だって一緒だった。
だから、お互いにどんなことを考えているのか言わなくてもわかる。
銀時はそんな自分達を村塾時代の己達に重ねている節があって、時々懐かしそうな、それでいて寂しそうな表情で見ることがあった。
そんな時は決まって高杉が絡んで、その安っぽいケンカを銀時が買って、桂がそれ以上の剣幕で収めようとして、村塾時代からの仲間達が煽ったり止めたり・・・。
戦いの中のわずかなひと時だったけれど、確かに楽しかったと言える思い出がある。
自分達にはそれだけで充分だった。
万事屋の子ども達のような関係を望んでいなかったわけではない。
だが、それは叶わない夢だと知っているから、その思い出だけを胸に秘めて銀時の幸せの邪魔をする者を斬り捨てる。
【六花】にはそれしかできないから。
「・・・さて、じゃあ計画を真選組の面々に伝えてくるとしよう。・・・城内は上様と松平殿が押さえてくれているから安心して任せられるし」
「行こう、これで全てを終わらせるんだ」
「「「ああ(ええ)!」」」
― 全ては、あの方のために。
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「・・・あ~、でさぁ、最短距離でって言ったんだけどォ~、それもちょっとしぼりにくいなァなんて思ったりしてるんだよね~」
話を戻す銀時に生暖かい視線が向けられるが、銀時は死んだ魚のような目でそれらを受けとめ、曖昧な笑みをうかべた。
「・・・はァ、ま、銀の言う通り、最短距離もいくつかのルートがあるな」
溜息をつきつつ久坂が告げる。
「全てに配置するだけの戦力は無い・・・いくつかに絞るしかないが・・・」
桂がそれに応じて持って来ていた地図を広げた。
「でしょ・・・だからさぁ・・・ちょっとワナを仕掛けない?」
その言葉で幼馴染達はピンと来た。攘夷戦争中も何度も使ってきた手だったからだ。
舌の根も乾かぬうちに何という無茶を言い出すのか、コイツは。
そう言いたかったが、事実その手が一番有効であることは間違いなかった。
「・・・じゃあ、俺の出番ってワケだなァ?」
くるり、とキセルを回し口に咥えながら高杉が問う。
「そ。春雨と“一応”協力関係にある鬼兵隊から情報を流して貰う」
「・・・まァ、あのアホならともかく、ヤツなら上手くやるだろ」
「アホ?」
「ヤツ?」
一斉に首を傾げた幼馴染達に、高杉は一瞬戸惑った表情をうかべた。
「・・・春雨の元提督と、提督に嵌められそうになって返り討ちにしたガキのことだ」
ぼそり、と答えるものの、あまり突っ込んで聞かれたくない部分であるために視線は落とされている。
「ガキ・・・それって、夜兎アルカ?」
春雨=神威のイメージがある神楽がスッと視線を高杉に向けた。
その目を見て、高杉はパカリと口を開けた。
滅多にないというより、子どもの頃に何度か見たきりのそんな表情に、幼馴染達がどよめく。
「うっわ、晋助のあの顔、めっずらし~」
「・・・明日は雪か?」
「相当驚いてるな、晋は」
「高杉?・・・どうした?」
桂が問いかけると、高杉は銀時に視線を向けた。
「・・・おい、この夜兎の娘・・・春雨第7師団の神威の肉親か?」
「・・・ってことは、晋助は第7師団とお付き合いしてる真っ最中ってトコか。ますます吉原の姐ちゃん達は関わらせられねェな」
「おい!」
高杉が眉間に深くしわを寄せると、銀時は神楽に視線を向けた。
「・・・神楽」
「・・・大丈夫アル。片目・・・神威は私の実の兄貴ネ」
「ヤツは・・・」
そこまで言って、高杉は口を噤んだ。
彼が命を狙っている“侍”が銀時であることを知っている。が、それを先送りにしているのは銀時の本来の力があんなものではないということに気付いているからだ。
だが、この戦いで銀時は本来の力を取り戻す。“雪月花”がその手に戻り、過去の愁いが一つ晴れたなら、宇宙最強の戦闘種族・夜兎と1対1になっても良いトコロまで持ち込めるだろう。
そうなればきっと・・・そこまで考えて高杉は溜息を漏らした。
「ったく、テメェの気に入らねェ連中の売ったケンカをあちこちで安く買いやがって・・・」
「え、何ソレ。俺に言ってる?」
「たりめェだ、このクソ天パ・・・自覚あんだろうが」
「あ~・・・いや、別に安くは買ってねェっていうか・・・逆に吉原みてェに得しちゃってる時もあったりとか・・・」
銀時がゴニョゴニョと言い訳めいたものを口にしていると、その隣にいた神楽が必死な様子で高杉を見つめた。
「・・・片目、神威は・・・」
「・・・そうそう簡単には死なねェだろ、テメェの兄貴は」
「べ、別に、心配してるわけじゃないネ!!どうせなら私の手であのクソ兄貴に落とし前つけさせてやりたいだけヨ!」
神楽が慌ててそう言えば、高杉はクツクツと笑った。
「ああ、そうかよ・・・じゃあ、テメェの兄貴にゃそう伝えとくぜェ?」
「し、心配じゃないネ!それだけは勘違いすんなヨ!!」
「あァ、わかってる」
「・・・晋助、神威のこと気に入ってんだな」
ポツリ、と銀時が呟く。
「なんじゃぁ、銀時?」
坂本がその呟きを耳で拾い問いかけると、いつもの曖昧な笑みをうかべて銀時は首を振る。
神威ともう一度巡り会った時、望もうが望むまいが命のやり取りになるのであろうと神威と神楽の父である星海坊主からも言われていた。
「(ますます、やりにくいじゃねェか・・・ったく)」
「・・・あのー、俺達は話についてけてないんだけども・・・」
恐る恐るといった風に近藤が口を開くと、桂がああ、と声をあげた。
「すまん、戦争時は天人共相手によく使った手でな・・・つまり囮作戦だ」
「囮って・・・万事屋をか?」
じろり、と土方が銀時に視線を向ける。
つい先ほど怒られたばかりではなかったか、と。
「実際、囮にするわけではないからな・・・後は、高杉が春雨に情報を流し、春雨から天導衆、ヤツといった具合に流れれば御の字だ」
「そんなにうまく行くもんか?」
「・・・神威は俺に借りがある。訝しんでもそれなりには手を貸すだろうよ」
高杉が土方の戸惑うような視線を受けて答えると、沖田が目を細めた。
「へェ・・・チャイナの兄貴を随分と信用してるみてェじゃねェですかィ・・・一体、どんなヤツなんでィ?」
「・・・ただの戦闘狂だ。まぁ、多少はポリシーがあるみてェだがな」
短く答えると、高杉は立ち上がる。
「高杉・・・」
桂が名を呼ぶと、高杉はガシガシと頭を掻きながら答えた。
「・・・船に戻る。あっちと連絡がついたらヅラに報告すればいいな?」
「ああ・・・というか、ヅラじゃない。桂だ!」
お決まりのセリフにクツリと笑い、高杉はその場を後にする。
「晋助、やっぱり変わったな~・・・昔はああじゃなかったんだけど~」
「しょうがないさ・・・戦争終了後、残党狩りで一番酷い目に遭ったのが晋の鬼兵隊だからな・・・」
入江と久坂が高杉の背中を見送りながらそう言えば、銀時は視線を落とした。
「・・・アイツの中じゃ、未だに幕府への怨嗟の念が消えねェんだろ。先生を邪魔者扱いしたのも、俺達を見捨て残党狩りなんてのをやりだしたのも、天導衆に膝を折った幕府の連中だからな」
もし、幕府が松陽の先見の明を認めていたなら、今頃は天人に支配されるのではなく対等な関係を築けたのではないかと今更ながらに思う。
「なぁ、銀時」
「ん?なんだよ、局長さん」
「・・・保科様達の方は放っておいていいのか?昨日屯所に帰ったら、向こうに付かせた隊士達がやたらと血気盛んになっててなァ・・・」
「・・・へ、へェ~」
たらり、と頬を汗が伝う。暑いわけではない。嫌な予感がヒシヒシとするのだ。
「そうですぜィ、旦那ァ。ヤツ等・・・保科様に何を吹き込まれたんだか、今にも人を斬り殺しそうなくれェに殺気立ってやしたぜィ」
「二言目には“旦那のため”だ。・・・テメェの部下はウチの部下に何を吹き込みやがったんだ?」
近藤に続いて沖田や土方までそんなことを言うので、それが夏霧の仕業であると確信した銀時は、苦笑をうかべて頭を下げた。
「あー、悪かった。つか、アイツは人の心を操るのが上手いんだよ。4人の中じゃ剣の腕も口も断トツで達者でさぁ・・・アイツと春霞が組んじまったら俺でも手ェ付けられねェし・・・まぁ、悪い様にはしねェよ、多分」
「多分て何だ、多分てェッ!!」
「え~、銀さんわかんな~い」
「わかんな~い・・・じゃねぇえええええ!!!」
思いっきり誤魔化そうとした銀時に土方が掴みかかり、その場は再び賑やかになる。
「ふふっ・・・真選組の副長さんって、ホントに銀時に気に入られてんだねェ~」
「本人にとってはハタ迷惑だろうけどな」
入江と古田の言葉に、他の真選組の面子は思わず苦笑をうかべたのだった。
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「・・・そう、ありがとう。また、動きがあったら教えて」
相手から是、と返ってくると、氷柱は携帯電話を閉じた。
「どうだった?」
「うん、銀時様の方は上手くいってるみたい。晋助様が春雨に情報を流して上手くヤツをおびき寄せるみたいよ」
訊ねた水澄に答えると、氷柱は視線を落とす。
「氷柱?」
「・・・銀時様に怒られるわね、きっと・・・」
「あ~・・・だろうなァ」
いくら銀時のためとはいえ、彼に黙ってこんな大規模な作戦を行うのは初めてだ。全てが終わった後、きっと銀時はすごく怒るだろうとわかっているからこそ気が重い。
「2人とも、こんなところにいたのか」
そこに、軽装に着替えた夏霧がやって来る。
「春霞は?」
水澄の問いに、夏霧は肩を竦めた。
「情報収集。石橋を叩いて渡るくらいに慎重にいかないとな」
「そうか、そうだよな・・・相手は“天導衆”だもんなぁ」
「・・・ねぇ、夏霧・・・絶対に死人は出ないわよね?」
「ああ・・・出すわけにはいかない。銀時様の心の安寧のために犠牲を出すなど本末転倒だ。・・・万が一にでも犠牲が出たらあの方はご自分を責めてしまう」
ちゃらんぽらんなようでいて、いろいろと自分の中に抱え込む癖のある銀時のことを熟知しているからこその夏霧の言葉に、水澄と氷柱はコクリと頷いた。
「ようやく、銀時様にご恩返しの機会がやって来たんだ。・・・絶対に勝つ」
「ああ!」
「もちろんよ!」
3人ともに決意を新たに頷きあったのだが、一つ忘れていたことがあった。
「・・・・・・3人とも、私を除け者にするとはいい度胸じゃありませんか」
ちょうど戻って来た春霞にジロリと睨まれて、3人は竦み上がった。
「しゅ、春霞・・・ちょ、違うって・・・」
水澄が慌てて言えば、春霞は目を細めて口元だけに笑みをうかべた。
「何が違うんです?言い訳は結構ですよ、どうせ私はあなた方にとってはその程度の存在なのでしょう」
「うぁ・・・でた・・・ブラック春霞・・・」
ネガティブで皮肉たっぷりな春霞の言葉に、水澄は思わず身震いする。
「ほらほら春霞、そう拗ねないで。・・・今回の作戦は春霞がいなければ成り立たないんだからな」
「・・・わかってるじゃないですか」
なだめにかかった夏霧に春霞は恨めしげな視線を向ける。
「当然。俺は今回の総大将だからな。・・・真選組の面々もだいぶ使えるようだし、やっぱり実践向きの腕を持った人間がいると楽だな」
「確かにそうね、真選組は幕府側に残された唯一の“侍”という存在なのかも」
夏霧の言葉に氷柱が頷く。
「“侍”か・・・そうですね。銀時様がお気に召されるわけだ」
クツリ、と春霞が笑う。
ようやく機嫌を直してくれたらしい春霞にホッとしながら、六花の面々は今後の作戦について詰めの作業に入った。
「で、真選組は表向きの部分で動いてもらうんだろう?」
水澄が問えば、夏霧は頷く。
「ああ、彼らに責任を取らされるようなコトをさせるわけにはいかないからな」
「真選組は目立つしね」
「確かに~。でも、一番目立つ3人が銀時様の方にいるんだったら、そんなに目立たないんじゃ・・・」
「何言ってるんです、水澄。あの3人が居なくったって目立つでしょうに」
「・・・春霞の言う通りね。あの人達、風体が目立つのよ。あの揃いの制服といい、ハチャメチャな行動といい・・・トップが“ああ”だからそうなるのかは知らないけれど・・・でも、陽動にはもってこいよね」
「そう言うことだ。・・・その間に、俺達は“天導衆”を討つ」
「銀時様の愁いが、それで晴れるんだよな?」
夏霧に水澄が問う。
疑問というよりも確認に近いそれに、夏霧は頷いた。
「・・・ああ。大きな顔で道のど真ん中を闊歩する天人共も“天導衆”がいなくなれば少しは大人しくなるだろう。・・・何よりも“白夜叉”をつけ狙うヤツ等が居なくなる」
それが、重要なのだと夏霧は呟くように言う。
「やっと、銀時様が得た“家族”に手を出させるわけにはいかないしな」
「・・・神楽ちゃんと新八君か。きっと銀時様の心の支えになってるんだろうな」
「私達には無理ね。・・・あの戦いの記憶をよみがえらせてしまうのが関の山・・・あの子達が羨ましいわ」
「まぁ、いいさ。俺達が望むのはあの方の幸せだけ。・・・そのためなら、どんなことだってするのが【六花】だろ?」
決して、銀時にそれを告げることは無いけれど。
「そういうことね」
氷柱が苦笑して頷く。夏霧の考えそうなことは良くわかっているのだろう。
【六花】の名を頂く自分達は運命共同体のようなものだった。銀時に拾われてからは同じ釜の飯を喰らい、何をする時だって一緒だった。
だから、お互いにどんなことを考えているのか言わなくてもわかる。
銀時はそんな自分達を村塾時代の己達に重ねている節があって、時々懐かしそうな、それでいて寂しそうな表情で見ることがあった。
そんな時は決まって高杉が絡んで、その安っぽいケンカを銀時が買って、桂がそれ以上の剣幕で収めようとして、村塾時代からの仲間達が煽ったり止めたり・・・。
戦いの中のわずかなひと時だったけれど、確かに楽しかったと言える思い出がある。
自分達にはそれだけで充分だった。
万事屋の子ども達のような関係を望んでいなかったわけではない。
だが、それは叶わない夢だと知っているから、その思い出だけを胸に秘めて銀時の幸せの邪魔をする者を斬り捨てる。
【六花】にはそれしかできないから。
「・・・さて、じゃあ計画を真選組の面々に伝えてくるとしよう。・・・城内は上様と松平殿が押さえてくれているから安心して任せられるし」
「行こう、これで全てを終わらせるんだ」
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