Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・完全捏造設定です!
・原作かなり無視しています!
・オリジナルキャラクターがわんさか出ます
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「うっ・・・うっうっ・・・ズビビビビ!」
妖怪・・・もとい、涙で化粧が崩れてぐちゃぐちゃになった顔をハンカチで押さえながら西郷が鼻をすすりあげる。
春霞が語った過去は、歴戦の猛者である西郷すらもウルっときた。というか、泣いた。
歳とって涙腺緩くなったのかしら、とぼやく西郷に苦笑しながら平子が春霞を見つめる。
「貴方達がアニキに忠誠誓ったの、わかる気がします」
命を助けられた。ただそれだけではないのだとわかる。
平子もまた、様々な意味で銀時に惹かれている。それはただ単に助けてもらったからではない。
「ま・・・あんちゃん等の説明じゃわからなかったところもようやくわかったぜぃ、で、オイラ達はオメェさん等の手伝いを頼まれたわけだが・・・どうすりゃいいんでぃ?」
「皆さんには私や水澄と一緒に行動していただきます。・・・皆さんがお強いのは充分承知しておりますので、ぜひとも力になって頂きたい」
春霞の言葉に、次郎長も西郷もニヤリと笑った。
「任せなさいな、完膚なきまでに叩き潰してあげるわ」
「フン、攘夷戦争での忘れモノを取り戻せそうだな、こりゃ」
歳をとったと言っても、勘を取り戻せていない銀時とほぼ互角かそれ以上に渡り合えるだけの力を持っている面々だ。六花の作戦に組み込んでも全く問題はない。
「期待しておりますよ。・・・作戦開始まではこちらで休んでいてください。銀時様達が動きだしたらこちらも動きます」
「その前に作戦を簡単に教えておいてもらいてぇんだがな」
「素案がいくつかあるので、最終判断は銀時様達の作戦次第なのですが・・・おそらくこの作戦を使うことになるかと思います」
春霞が視線で促し、水澄がパソコンを次郎長達に見せる。
「俺達の狙いは天導衆のみ。・・・その状況を真選組と吉原桃源郷の方々に協力していただいて作ります」
「・・・ナルホド・・・それで、ターミナルの閉鎖ってわけかィ」
「ええ、真選組は良くも悪くも目立ちますからね。ターミナルへ天導衆以外の天人達の視線をくぎ付けにします」
頷いた春霞の横でパソコンを操作していた水澄が視線をあげる。
「そして、天導衆には“安全な場所”に避難してもらいます・・・といっても、俺達が襲撃するのに“安全な場所”に、ですけど」
「クク・・・悪くねェなァ・・・あんちゃん達、気に入ったぜィ・・・で、その“安全な場所”ってのはどこでィ?」
ニィ、と笑った次郎長は続きを促す。
「・・・ここです」
水澄が己の足元を指しながらそう告げ、その意味を解した次郎長達は思わず息を呑んだ。
***
そして・・・それぞれが様々な思いを抱えながら作戦決行の日を迎えた。
鬼兵隊と合流した港に集まった面々を見回した銀時は、改めてその面子に苦笑した。
「・・・いやぁ・・・なんつーか、豪華な面子だなァ」
万事屋、真選組、桂一派、鬼兵隊、快援隊、村塾時代の幼馴染(元攘夷志士幹部)。豪華なんてものではない。まず一所に集結することなど有り得ない面子だったハズなのだ。
六花が新たに結んでくれた“縁”なのだと銀時は思う。
六花は銀時の心を守るためだけに作られた部隊。銀時の心が壊れてしまわないように、ただそれだけを願い行動する部隊。
彼等の行動が、この状況を作り出した。
「まったくだな・・・しかも、こうして高杉達と再び手を結び戦うことになろうとは」
銀時の隣で溜息をついたのは桂だ。
桂は紅桜の件で高杉とは既に袂を分かってしまったと思っていた。
そして銀時に至っては真選組での伊東の反乱など、何度となく直接的・間接的に関わらず鬼兵隊とはぶつかっている。
「だなぁ・・・この状況見たら、先生・・・喜ぶかなぁ・・・」
「・・・その前に、仇打ちなど止めろと言われそうだがな」
「・・・言えてる」
銀時は肩を竦める。
「どうした?・・・2人して辛気臭い顔して」
久坂がそう言いながら傍に寄って来る。
「そんなに、暗い顔してた?俺等」
銀時が問えば、久坂は苦笑した。
「まぁな。神楽ちゃん達が心配してるぞ?」
「あ、やべ。ヅラ、思い出にひたんのはここまでな!」
「ヅラじゃない!桂だ!!」
そわそわとこちらを伺う神楽と新八達を目にとめ銀時が走り去るのを見送りながら、桂はお約束通りのセリフを口にする。
「・・・なぁ、小太郎。六花がここまで大々的に動くってコトは・・・」
「おそらく・・・銀時が限界だと判断したんだろう。最近は鬼兵隊とぶつかることも多かったようだからな」
「・・・そうか・・・間に合ったのなら、良いんだが」
銀時の幼馴染であるが故に彼がかなり我慢しているとわかる。ともすれば憎しみに突き動かされてしまいそうな自分を無理矢理押さえて、苦しさにあえいでいる。
「まさか、スイッチの入ったままになるとでも?」
桂が心配そうに久坂を見る。
「・・・戦争中に一度だけ、そんなことがあっただろう。あの時は・・・しばらく、俺達でも傍に寄れなかった」
「高杉と一緒に“奴”と戦った後のか・・・表面上は落ち着いているようにも見えたが、殺気立っていて傍に寄るどころではなかったからな。六花ですら近寄ればピリピリしていた」
「・・・ああならなきゃ良いが。俺達は慣れているが、他の連中には少しキツイだろう」
「ああ・・・真選組は何度も死線を潜り抜けて来ているから耐性もあるだろうが、リーダーや新八君には厳しいな・・・」
「・・・銀から目を離すなよ?」
「お互いにな・・・」
神楽をあやし新八に何事かを言われて苦笑する銀時を見つめながら、桂と久坂は銀時の心を守らなければと再度確認したのだった。
― 江戸某所
「・・・そうか、銀時様達は江戸を出たのか」
自室で春霞から報告を受けた夏霧は、小さく息を吐いた。
「夏霧の考え通りになったな」
「・・・ああ、奴と戦うなら江戸近辺から離れると思ったよ。・・・銀時様達にはなるべくなら江戸にいて欲しくなかったから、良かった・・・」
攘夷戦争中はどんな手を使ってでも生き残ってきた六花である。今更、銀時に隠しておきたい汚い部分など無い。
だが、自分達が危険な目にあっているなどと知れたら、銀時は何としてでも駆けつける。自分の復讐などさて措いて。それだけは絶対にさせたくはない。
銀時の中で松陽の死がどれだけ大きな傷になっているか知っているから。
仇を討てば全てが終わるなどとは思ってもいないが、銀時の心が少しだけでも軽くなるのならその邪魔をしたくはない。
「・・・始めよう。俺達は俺達の戦いを」
「・・・ああ」
幼い頃からの友。それがこんな形で続くとはあの頃には思いもしなかった。
領主の息子と道場主の息子。いずれは互いの立場ゆえに疎遠になっていくのだろうと思っていた。
戦争が全てを変えた。それを恨んだこともあったが、戦争があったからこそ銀時に会えた。六花の仲間に会えた。それだけは否定したくない。
「・・・真選組は?」
「もう、ターミナルだ」
「氷柱と水澄は?」
「氷柱は吉原の姐さん達と、水澄は次郎長さん達と一緒にいる」
「・・・仕掛けは済んでるんだな?」
「もちろん・・・銀時様が江戸を出るって聞いた時点でな」
頷く春霞に、夏霧は表情を緩めた。
「さすがは春霞・・・俺が指示しなくたってわかってるってことだな」
「当然。何年の付き合いになると思ってるんだよ。・・・まぁ、俺だけじゃなく氷柱も水澄もお前がどの作戦を選ぶかはわかってたと思うぞ?」
「六花の想いは一緒だからな・・・“ここ”で完膚なきまでに天導衆を潰す」
天導衆から与えられた場所で、天導衆から与えられた地位を目一杯に利用し、天導衆を駆逐する。
奴等にとって従順だったはずの飼い犬に噛まれて命を失うことはどれ程の屈辱になるのだろうか。
「さしずめ、この屋敷はゴキブリホイホイだな。入れば2度と外には出られない」
ニィ、と春霞が口の端をあげる。
「ゴキブリ、ね・・・まぁ、言えてるか。江戸城に巣食った害虫は駆除しなければね」
「・・・殺虫剤買ってこようかな」
「・・・・・・春霞、お前、本気で言ってるだろう?それ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・バレた?」
六花もまた、動き出す―――。
― 江戸郊外
目的の場所へと向かう船の上で、銀時は自分がいつになくネガティブになっていることに気付いた。
「あー・・・らしくねェな」
溜息が自然と漏れて、肩を落とす。
「・・・銀時」
声をかけてきたのは何とも珍しく高杉だった。
「なぁ、晋助・・・六花が何しようとしてるか、掴んでるか?」
「一応はな。こっちに氷柱の部下が残ってるから、情報のやり取りはしている・・・と、いっても氷柱には悟らせねェようにしてるが」
「・・・だから、オメェも文句も言わずにこっちにいるんだ?」
「・・・・・・さすが、テメェの育てた部隊だな。そこらの連中とは比べもんにならねェくらいに胆が据わってやがる」
前提となっている部分をすっ飛ばして話しているので、周りに誰かいても何の話をしているのかわからないだろう。
「・・・ヅラには黙ってた方が良いよな?」
「他の連中にもな。・・・アイツ等の想いを踏みにじる訳にゃいかねぇだろう」
「俺等に復讐を遂げさせといて、自分達は後腐れの無いように幕府暗部の大掃除か・・・」
「できた部下を持ったと、素直に喜んどけ。アイツ等はお前にそう言ってもらえた方が嬉しいだろう」
それが彼等の働きに報いることだと言われれば、銀時は苦笑いをうかべた。
「・・・晋ちゃんにそういうコト言われるようになるたァね・・・」
「晋ちゃん言うな・・・」
「可愛いじゃん・・・ちっせー頃にそう呼んだら喜んでたじゃん」
「喜んでねェよ!!・・・低杉だとかチビ助だとか散々言った後にその呼び方を提案されたから仕方なく受け入れただけだ!!」
昔から人をおちょくったようなあだ名をつけることを常としていた銀時が最も面白がっていたのは、意外にも高杉のあだ名だった。
「だってよォ・・・オメェは松陽先生一筋で、俺等にだってろくに心を開いてなかったろ・・・?」
銀時に言われて、高杉は目を瞠った。
桂はその辺りを理解しているようには思えなかったので、銀時もそうだろうと思っていたのだがどうやら違ったらしい。
「・・・テメェだって、そうだったろうが」
「・・・あー・・・まぁ、そうか」
遠回しに認める高杉に、銀時は緩く笑った。
高杉はそんな銀時を見て、小さく溜息をついた。
「てんでバラバラの性格で、見てる方向だって全然違って・・・それでも俺達を繋いでるモノ・・・それが、先生ってだけの話だ」
「ああ」
「それを失った瞬間から俺達は変わらざるをえなかった。・・・こうやってまた一緒に動いてるのだって、俺達から先生を奪った奴への復讐だからだ」
「・・・ああ」
「先生が、俺の全てだった。・・・刀の使い方も、生きる術も、全部先生が教えてくれたモンだ。だから・・・俺ァ、先生を奪った世界を壊してやりてェと思った」
「・・・・・・ああ」
「・・・なぁ、銀時・・・先生を亡くした時、テメェはどう思った?」
自責の念に苛まれていたあの当時では聞けなかったこと。
「そうだなぁ・・・なんで、護れなかったんだろうって思ったかな」
「・・・まぁ、そう言うとは思った。テメェは護りの性だからな」
はー、と息を吐き出して、高杉は肩を竦めた。
「・・・そう?俺、ドSよ?」
「気まずいからって茶化すな、クソ白髪天パ」
「・・・くそぅ。黒髪サラサラめ・・・禿げちまえ」
「嫌なこった。テメェこそ禿げたらスッキリすんじゃねェのか」
軽口をたたき合っていると、鬼兵隊の隊員の1人が走り寄って来た。
「・・・総督!」
「どうした?」
「今、春雨から連絡があって・・・目的の船が予想通りの航路を通ってはいるが、もう少し早く到着しそうだと・・・」
「・・・・・・こっちの速度をあげろ」
短く命じれば、ピンと背を伸ばして応じた隊員が慌てて操舵室に戻っていく。
「・・・急いでる?」
ポツリ、と銀時が呟く。
「向こうに急ぐ理由でもあるってのか?・・・っ、まさか」
「・・・俺に早く会いたいってか?あーあ、これが美人だったら嬉しかったのに・・・強面の天人のおっさんってだけで萎える」
「ふざけたことぬかしてる場合か。・・・おそらく到着直後に戦闘開始だ。覚悟だけしとけ」
「・・・それ、言う相手間違ってるぞ。鬼兵隊でも若手とかにちゃんと言っておけよ?“白夜叉”の名は通常状態の俺を指すんじゃねぇって」
「言ったってわかるかよ、見てビビりゃぁいい。枷の外れた“白夜叉”なんざ、滅多に見れるもんじゃねェ」
「オメェもな?俺、自信あるモン。晋ちゃんの方がキレんの早いよ、絶対」
「・・・言ってろ。俺ァ、最近は自制が効くようになってんだ。それより、テメェんトコのガキ共に言わなくてもいいのか?」
「あー・・・アイツ等は見慣れてっから平気」
肩を竦める銀時にウソを言っている様子はない。
「・・・そうか」
「そうなのー。でもま、いつも以上になりそうな予感はヒシヒシとするね」
「別にイイだろ。それで離れてくような連中はここにはいねェよ」
「・・・・・・だな」
自分が何に対してネガティブになっていたのか、高杉の言葉でようやく得心がいった銀時は、苦笑いをうかべた。
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妖怪・・・もとい、涙で化粧が崩れてぐちゃぐちゃになった顔をハンカチで押さえながら西郷が鼻をすすりあげる。
春霞が語った過去は、歴戦の猛者である西郷すらもウルっときた。というか、泣いた。
歳とって涙腺緩くなったのかしら、とぼやく西郷に苦笑しながら平子が春霞を見つめる。
「貴方達がアニキに忠誠誓ったの、わかる気がします」
命を助けられた。ただそれだけではないのだとわかる。
平子もまた、様々な意味で銀時に惹かれている。それはただ単に助けてもらったからではない。
「ま・・・あんちゃん等の説明じゃわからなかったところもようやくわかったぜぃ、で、オイラ達はオメェさん等の手伝いを頼まれたわけだが・・・どうすりゃいいんでぃ?」
「皆さんには私や水澄と一緒に行動していただきます。・・・皆さんがお強いのは充分承知しておりますので、ぜひとも力になって頂きたい」
春霞の言葉に、次郎長も西郷もニヤリと笑った。
「任せなさいな、完膚なきまでに叩き潰してあげるわ」
「フン、攘夷戦争での忘れモノを取り戻せそうだな、こりゃ」
歳をとったと言っても、勘を取り戻せていない銀時とほぼ互角かそれ以上に渡り合えるだけの力を持っている面々だ。六花の作戦に組み込んでも全く問題はない。
「期待しておりますよ。・・・作戦開始まではこちらで休んでいてください。銀時様達が動きだしたらこちらも動きます」
「その前に作戦を簡単に教えておいてもらいてぇんだがな」
「素案がいくつかあるので、最終判断は銀時様達の作戦次第なのですが・・・おそらくこの作戦を使うことになるかと思います」
春霞が視線で促し、水澄がパソコンを次郎長達に見せる。
「俺達の狙いは天導衆のみ。・・・その状況を真選組と吉原桃源郷の方々に協力していただいて作ります」
「・・・ナルホド・・・それで、ターミナルの閉鎖ってわけかィ」
「ええ、真選組は良くも悪くも目立ちますからね。ターミナルへ天導衆以外の天人達の視線をくぎ付けにします」
頷いた春霞の横でパソコンを操作していた水澄が視線をあげる。
「そして、天導衆には“安全な場所”に避難してもらいます・・・といっても、俺達が襲撃するのに“安全な場所”に、ですけど」
「クク・・・悪くねェなァ・・・あんちゃん達、気に入ったぜィ・・・で、その“安全な場所”ってのはどこでィ?」
ニィ、と笑った次郎長は続きを促す。
「・・・ここです」
水澄が己の足元を指しながらそう告げ、その意味を解した次郎長達は思わず息を呑んだ。
***
そして・・・それぞれが様々な思いを抱えながら作戦決行の日を迎えた。
鬼兵隊と合流した港に集まった面々を見回した銀時は、改めてその面子に苦笑した。
「・・・いやぁ・・・なんつーか、豪華な面子だなァ」
万事屋、真選組、桂一派、鬼兵隊、快援隊、村塾時代の幼馴染(元攘夷志士幹部)。豪華なんてものではない。まず一所に集結することなど有り得ない面子だったハズなのだ。
六花が新たに結んでくれた“縁”なのだと銀時は思う。
六花は銀時の心を守るためだけに作られた部隊。銀時の心が壊れてしまわないように、ただそれだけを願い行動する部隊。
彼等の行動が、この状況を作り出した。
「まったくだな・・・しかも、こうして高杉達と再び手を結び戦うことになろうとは」
銀時の隣で溜息をついたのは桂だ。
桂は紅桜の件で高杉とは既に袂を分かってしまったと思っていた。
そして銀時に至っては真選組での伊東の反乱など、何度となく直接的・間接的に関わらず鬼兵隊とはぶつかっている。
「だなぁ・・・この状況見たら、先生・・・喜ぶかなぁ・・・」
「・・・その前に、仇打ちなど止めろと言われそうだがな」
「・・・言えてる」
銀時は肩を竦める。
「どうした?・・・2人して辛気臭い顔して」
久坂がそう言いながら傍に寄って来る。
「そんなに、暗い顔してた?俺等」
銀時が問えば、久坂は苦笑した。
「まぁな。神楽ちゃん達が心配してるぞ?」
「あ、やべ。ヅラ、思い出にひたんのはここまでな!」
「ヅラじゃない!桂だ!!」
そわそわとこちらを伺う神楽と新八達を目にとめ銀時が走り去るのを見送りながら、桂はお約束通りのセリフを口にする。
「・・・なぁ、小太郎。六花がここまで大々的に動くってコトは・・・」
「おそらく・・・銀時が限界だと判断したんだろう。最近は鬼兵隊とぶつかることも多かったようだからな」
「・・・そうか・・・間に合ったのなら、良いんだが」
銀時の幼馴染であるが故に彼がかなり我慢しているとわかる。ともすれば憎しみに突き動かされてしまいそうな自分を無理矢理押さえて、苦しさにあえいでいる。
「まさか、スイッチの入ったままになるとでも?」
桂が心配そうに久坂を見る。
「・・・戦争中に一度だけ、そんなことがあっただろう。あの時は・・・しばらく、俺達でも傍に寄れなかった」
「高杉と一緒に“奴”と戦った後のか・・・表面上は落ち着いているようにも見えたが、殺気立っていて傍に寄るどころではなかったからな。六花ですら近寄ればピリピリしていた」
「・・・ああならなきゃ良いが。俺達は慣れているが、他の連中には少しキツイだろう」
「ああ・・・真選組は何度も死線を潜り抜けて来ているから耐性もあるだろうが、リーダーや新八君には厳しいな・・・」
「・・・銀から目を離すなよ?」
「お互いにな・・・」
神楽をあやし新八に何事かを言われて苦笑する銀時を見つめながら、桂と久坂は銀時の心を守らなければと再度確認したのだった。
― 江戸某所
「・・・そうか、銀時様達は江戸を出たのか」
自室で春霞から報告を受けた夏霧は、小さく息を吐いた。
「夏霧の考え通りになったな」
「・・・ああ、奴と戦うなら江戸近辺から離れると思ったよ。・・・銀時様達にはなるべくなら江戸にいて欲しくなかったから、良かった・・・」
攘夷戦争中はどんな手を使ってでも生き残ってきた六花である。今更、銀時に隠しておきたい汚い部分など無い。
だが、自分達が危険な目にあっているなどと知れたら、銀時は何としてでも駆けつける。自分の復讐などさて措いて。それだけは絶対にさせたくはない。
銀時の中で松陽の死がどれだけ大きな傷になっているか知っているから。
仇を討てば全てが終わるなどとは思ってもいないが、銀時の心が少しだけでも軽くなるのならその邪魔をしたくはない。
「・・・始めよう。俺達は俺達の戦いを」
「・・・ああ」
幼い頃からの友。それがこんな形で続くとはあの頃には思いもしなかった。
領主の息子と道場主の息子。いずれは互いの立場ゆえに疎遠になっていくのだろうと思っていた。
戦争が全てを変えた。それを恨んだこともあったが、戦争があったからこそ銀時に会えた。六花の仲間に会えた。それだけは否定したくない。
「・・・真選組は?」
「もう、ターミナルだ」
「氷柱と水澄は?」
「氷柱は吉原の姐さん達と、水澄は次郎長さん達と一緒にいる」
「・・・仕掛けは済んでるんだな?」
「もちろん・・・銀時様が江戸を出るって聞いた時点でな」
頷く春霞に、夏霧は表情を緩めた。
「さすがは春霞・・・俺が指示しなくたってわかってるってことだな」
「当然。何年の付き合いになると思ってるんだよ。・・・まぁ、俺だけじゃなく氷柱も水澄もお前がどの作戦を選ぶかはわかってたと思うぞ?」
「六花の想いは一緒だからな・・・“ここ”で完膚なきまでに天導衆を潰す」
天導衆から与えられた場所で、天導衆から与えられた地位を目一杯に利用し、天導衆を駆逐する。
奴等にとって従順だったはずの飼い犬に噛まれて命を失うことはどれ程の屈辱になるのだろうか。
「さしずめ、この屋敷はゴキブリホイホイだな。入れば2度と外には出られない」
ニィ、と春霞が口の端をあげる。
「ゴキブリ、ね・・・まぁ、言えてるか。江戸城に巣食った害虫は駆除しなければね」
「・・・殺虫剤買ってこようかな」
「・・・・・・春霞、お前、本気で言ってるだろう?それ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・バレた?」
六花もまた、動き出す―――。
― 江戸郊外
目的の場所へと向かう船の上で、銀時は自分がいつになくネガティブになっていることに気付いた。
「あー・・・らしくねェな」
溜息が自然と漏れて、肩を落とす。
「・・・銀時」
声をかけてきたのは何とも珍しく高杉だった。
「なぁ、晋助・・・六花が何しようとしてるか、掴んでるか?」
「一応はな。こっちに氷柱の部下が残ってるから、情報のやり取りはしている・・・と、いっても氷柱には悟らせねェようにしてるが」
「・・・だから、オメェも文句も言わずにこっちにいるんだ?」
「・・・・・・さすが、テメェの育てた部隊だな。そこらの連中とは比べもんにならねェくらいに胆が据わってやがる」
前提となっている部分をすっ飛ばして話しているので、周りに誰かいても何の話をしているのかわからないだろう。
「・・・ヅラには黙ってた方が良いよな?」
「他の連中にもな。・・・アイツ等の想いを踏みにじる訳にゃいかねぇだろう」
「俺等に復讐を遂げさせといて、自分達は後腐れの無いように幕府暗部の大掃除か・・・」
「できた部下を持ったと、素直に喜んどけ。アイツ等はお前にそう言ってもらえた方が嬉しいだろう」
それが彼等の働きに報いることだと言われれば、銀時は苦笑いをうかべた。
「・・・晋ちゃんにそういうコト言われるようになるたァね・・・」
「晋ちゃん言うな・・・」
「可愛いじゃん・・・ちっせー頃にそう呼んだら喜んでたじゃん」
「喜んでねェよ!!・・・低杉だとかチビ助だとか散々言った後にその呼び方を提案されたから仕方なく受け入れただけだ!!」
昔から人をおちょくったようなあだ名をつけることを常としていた銀時が最も面白がっていたのは、意外にも高杉のあだ名だった。
「だってよォ・・・オメェは松陽先生一筋で、俺等にだってろくに心を開いてなかったろ・・・?」
銀時に言われて、高杉は目を瞠った。
桂はその辺りを理解しているようには思えなかったので、銀時もそうだろうと思っていたのだがどうやら違ったらしい。
「・・・テメェだって、そうだったろうが」
「・・・あー・・・まぁ、そうか」
遠回しに認める高杉に、銀時は緩く笑った。
高杉はそんな銀時を見て、小さく溜息をついた。
「てんでバラバラの性格で、見てる方向だって全然違って・・・それでも俺達を繋いでるモノ・・・それが、先生ってだけの話だ」
「ああ」
「それを失った瞬間から俺達は変わらざるをえなかった。・・・こうやってまた一緒に動いてるのだって、俺達から先生を奪った奴への復讐だからだ」
「・・・ああ」
「先生が、俺の全てだった。・・・刀の使い方も、生きる術も、全部先生が教えてくれたモンだ。だから・・・俺ァ、先生を奪った世界を壊してやりてェと思った」
「・・・・・・ああ」
「・・・なぁ、銀時・・・先生を亡くした時、テメェはどう思った?」
自責の念に苛まれていたあの当時では聞けなかったこと。
「そうだなぁ・・・なんで、護れなかったんだろうって思ったかな」
「・・・まぁ、そう言うとは思った。テメェは護りの性だからな」
はー、と息を吐き出して、高杉は肩を竦めた。
「・・・そう?俺、ドSよ?」
「気まずいからって茶化すな、クソ白髪天パ」
「・・・くそぅ。黒髪サラサラめ・・・禿げちまえ」
「嫌なこった。テメェこそ禿げたらスッキリすんじゃねェのか」
軽口をたたき合っていると、鬼兵隊の隊員の1人が走り寄って来た。
「・・・総督!」
「どうした?」
「今、春雨から連絡があって・・・目的の船が予想通りの航路を通ってはいるが、もう少し早く到着しそうだと・・・」
「・・・・・・こっちの速度をあげろ」
短く命じれば、ピンと背を伸ばして応じた隊員が慌てて操舵室に戻っていく。
「・・・急いでる?」
ポツリ、と銀時が呟く。
「向こうに急ぐ理由でもあるってのか?・・・っ、まさか」
「・・・俺に早く会いたいってか?あーあ、これが美人だったら嬉しかったのに・・・強面の天人のおっさんってだけで萎える」
「ふざけたことぬかしてる場合か。・・・おそらく到着直後に戦闘開始だ。覚悟だけしとけ」
「・・・それ、言う相手間違ってるぞ。鬼兵隊でも若手とかにちゃんと言っておけよ?“白夜叉”の名は通常状態の俺を指すんじゃねぇって」
「言ったってわかるかよ、見てビビりゃぁいい。枷の外れた“白夜叉”なんざ、滅多に見れるもんじゃねェ」
「オメェもな?俺、自信あるモン。晋ちゃんの方がキレんの早いよ、絶対」
「・・・言ってろ。俺ァ、最近は自制が効くようになってんだ。それより、テメェんトコのガキ共に言わなくてもいいのか?」
「あー・・・アイツ等は見慣れてっから平気」
肩を竦める銀時にウソを言っている様子はない。
「・・・そうか」
「そうなのー。でもま、いつも以上になりそうな予感はヒシヒシとするね」
「別にイイだろ。それで離れてくような連中はここにはいねェよ」
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