Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・朝ルル
・行政特区の辺りまではほぼ本編通りに進んでいる設定です
・朝ルルは完全に出来上ってますv
・ナナリーが黒いです
・騎士団にはゼロバレ、皇族バレ、恋人バレ済み
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「私は、行政特区日本の開設を宣言致します!」
アッシュフォード学園で、青空の下、己の騎士の操るナイトメアフレームの掌の上に乗り、ユーフェミアが宣言したことは、全国ネットで放映されることとなった。
その場にいただろうルルーシュは、立場が違うのだ、とまざまざと見せつけられて、どれ程、悔しい思いをしたのだろう。
「フン、ルルが副総督だったら・・・もっとうまくやるよ。」
むっつりとしながら、熱の上がる報道を見つめ、朝比奈は呟く。
ユーフェミアの発言により、黒の騎士団の存在意義すら無くなりそうな勢いなのだ。今、活動した所で意味はない。
開店休業状態の黒の騎士団の中にも、ユーフェミアの言葉に気持ちが揺れている者も多くいた。
「言ったもん勝ちみたいな宣言で、どこまでできるんだか。」
モニターに向かって不機嫌に呟く朝比奈に、幹部達は苦笑をうかべる。
「まぁまぁ・・・お前が腹を立てたってしょうがないだろ?」
扇が言えば、朝比奈がキリリと眦を吊り上げて睨み据えた。
「“しょうがない”?・・・冗談じゃない!!ユーフェミアのこの発言のせいで、ルルが作ったこの黒の騎士団は求心力を無くした。実績も何もない、ただ、皇女で副総督でってだけの女の発言で!」
「ちょ、あ、朝比奈・・・;」
「ルルが今まで、どれだけの覚悟で、ブリタニアに反逆してきたか!!扇さんはわかってない!!」
「朝比奈、落ち着け。」
噛みつかんばかりの勢いの朝比奈を、見兼ねた藤堂が押し止める。
「だって、藤堂さん!!」
振り返った朝比奈の目がわずかに潤んでいる。
悔し泣きだ。自分がその場にいれば、ルルーシュを支えてやれるのに、というもどかしさで、胸がいっぱいになっているのだ。
「ナナちゃんが傍にいたって、ルルのことだから、絶対、弱音なんて吐かないはずだから。心配なんです。我慢ばっかりしてて、ルルの心が壊れちゃいそうで・・・。」
「そんな心配なら、見に行きゃいーじゃんか。」
唐突に、玉城が言う。
「は?何バカなこと言ってんのさ!・・・ルルに迷惑がかかるだろ!?」
「バカなこと言ってんのは、お前だろ?そんなに、アイツのことが心配なら、ごちゃごちゃ考えてねぇで、さっさと駆けつけるくらいのことしろよ。で、さっさとあんな場所から、掻っ攫ってくりゃイイじゃねぇか。」
目からウロコが落ちた。
ルルーシュの立場とか、いろいろ考えて、ルルーシュの私生活の場に姿を現すことを良しとしていなかったが、こんな状況で、立場とかそんなことを考えている場合じゃないことに、今更気付いたのだ。
ユーフェミアがアッシュフォードにいた。つまり、ルルーシュの生存を知っていたユーフェミアが彼に会いに行ったということに他ならない。
最早、アッシュフォードは安全な箱庭ではない。
ならば。
「・・・玉城のクセに・・・。」
悔しそうに呟いて、朝比奈はラウンジから飛び出した。
「けっ・・・礼の1つくらい言いやがれってんだ。」
そう言う玉城は、何だか嬉しそうで。
思わず、玉城を見直してしまった、騎士団幹部の面々だった。
「・・・っていうか、俺らも行こうぜ。朝比奈だけじゃ、暴走しかねねーし。」
「アッシュフォードか・・・扇、お前、アッシュフォードに行ったんだろ?案内しろよ。」
卜部が言えば、南が扇を振り返る。
一瞬、扇がギクリと表情を強張らせるが、渋々頷き、表立って堂々と、騎士団幹部全員で、アッシュフォードに向かうこととなった。
一方、ルルーシュは・・・
「お兄様・・・お気を落とさないでくださいませ。」
「・・・俺は、大丈夫だよ、ナナリー。」
答える声に、力はない。
明らかに気落ちしているだろうに、ルルーシュは弱音を吐こうとはしない。
「(私が五体満足ならば・・・いえ、きっと、私でも無理ですね・・・朝比奈さんがいらしてくだされば・・・。)」
眉を顰め、ナナリーは心の中で悔しそうに呟く。
波乱の学園祭以来、ルルーシュは外出を控え、学校もサボっていた。理由はわかっている。“行政特区日本”という単語を耳に入れたくないからだ。
心配して、ミレイやリヴァルが様子を見にくるが、人に会いたくないのだと、ナナリーや咲世子以外を拒絶するルルーシュに会わせることが出来ず、余計に心配をかけている。
「お兄様・・・騎士団には行かなくていいのですか?」
「・・・・・・騎士団は終わりだ・・・ユフィの言葉を1番喜んでいるのは誰だ?・・・日本人だろう?」
「・・・お兄様、でも・・・。」
「すまない、ナナリー・・・1人にしてくれないか。」
ナナリーの言葉をさえぎり、ルルーシュは懇願するように言った。
「・・・お夕食、咲世子さんが用意してくださっています・・・あの、後で、お持ちしますね。」
「・・・。」
ハッキリと拒絶を示す兄に、ナナリーはひっそりと溜息をついた。
「・・・あのクソ忌々しい主従・・・どうにかできないでしょうか。」
ボソ、と呟く。
「ナナリー様、声に出ておいでです。」
咲世子に言われ、ナナリーはハッとする。
「まぁ、咲世子さん・・・つい、フラストレーションが溜まって・・・。」
苦笑をうかべるナナリーの手を握り、咲世子は真顔でのたまった。
「よーく、わかります。・・・もし、お許しがあるのでしたら、私があの者達を亡き者に・・・。」
「咲世子さん、それは、余計にお兄様が悲しみます・・・お優しい方ですから・・・。」
「・・・ならば、朝比奈さんをお呼びして参ります。」
その代替え案に、ナナリーはニッコリと笑った。
「それは良い考えです。」
その時、ドアのブザーが鳴る。
「・・・誰かいらっしゃったみたいですね。」
「出て参ります。」
咲世子がそう言って玄関に向かう。
「・・・全く、本当に、忌々しい。・・・お兄様さえ、気になさらないなら、全力で潰して差し上げますのに。」
「あはは、相変わらず、黒い発言絶好調だね。」
「!?」
ナナリーがギクリと身体を強張らせる。
「あ、ごめん、びっくりさせちゃったね。」
そう言って、相手はナナリーの手を握った。
「・・・・・・朝比奈、さん?」
「そ。こんにちは、ナナちゃん。・・・ルルは?」
「・・・ご自分のお部屋にこもりっぱなしで・・・もう、頼りは、朝比奈さんだけなんです。」
縋るナナリーの頭を軽く撫で、朝比奈は微笑む。
「うん。わかった。・・・任せて。」
落ち着けるようになるべく柔らかい声で応え、朝比奈はナナリーに案内してもらい、ルルーシュの部屋に向かう。
その間にも、ナナリーに最近のルルーシュの様子を訊ね、ユーフェミアやスザクに憤る。
「ホント、ルルがイイって言うなら、バッシングしたいよねー。」
「朝比奈さん、説得してくださいませ!・・・ユフィ姉様の計画には穴があるって、お兄様自身も仰っていましたもの。」
「・・・ナルホド、じゃあ、元気づけるついでに、説得してみようかな。」
「はい、お願いします。」
ナナリーが頭を下げると、朝比奈は苦笑して、その手をぎゅっと握る。
「・・・ちょっと、待っててね。」
ナナリーが頷くのを確認して、朝比奈はルルーシュの部屋のドアを叩く。
「・・・ルル?俺だけど。」
ガタン!
何かが倒れるような音がして、それから、ドアの前に人の気配が近づく。
「・・・省吾?」
「うん。俺。・・・開けて?」
そう言えば、シュッとドアがスライドする。
「・・・省吾・・・。」
「ルル、悔しかったね?・・・悲しかったね?・・・泣いていいんだよ?我慢なんて、しなくていい。俺が、傍にいるから。」
「しょうっごぉっ・・・っ!」
ガバッと抱きつかれ、一瞬足元がふらついたが、そこは元軍人である。あっさりと持ち直して、ルルーシュを抱きしめる。
そんな様子を、耳を澄ませて聞いていたナナリーはふ、と笑みをうかべてそっとその場から離れていく。
しばらく泣いていたルルーシュが、少し恥ずかしげに朝比奈を見上げる。
「省吾・・・来てくれて、ありがと///」
「ううん。むしろ、遅くなってごめんね?・・・それよりさ、ルル、俺、ちょっと考えたんだ。聞いてくれる?」
「?」
首を傾げるルルーシュが可愛いなぁ、と思いながら朝比奈は悪戯を思いついたような、そんな笑みをうかべて、その計画を話した。
「ね?これなら、黒の騎士団の存在意義を取り戻せるよ。」
「・・・でも・・・。」
「ルルのこと、傷つける相手を、気遣う必要なんてないって。・・・ルルは優しすぎるよ。このままじゃ、ユーフェミアと日本が共倒れなんてことになりかねないよ?」
「・・・それは・・・確かに。」
考え込んだルルーシュに、あとひと押し、と朝比奈が言葉を続けようとしたその時、ドンドン、とドアを強く叩かれる。
「え、誰?」
「おいこら、朝比奈ぁ!!部屋こもって、暴走してんじゃねぇだろうな!!」
「げ、玉城!?」
「玉城?・・・え?黒の騎士団のみんなと一緒に?」
「いや、俺だけで・・・あ、さては、卜部さんだな!・・・せっかくいいところだったのに!」
ムッとしてドアの方へ歩いて行く朝比奈を見つめ、ルルーシュはクス、と笑う。
「そんなドンドン叩くなよ!」
「鍵閉めてんのが悪いんだろうが!!」
睨みあう2人を、まぁまぁ、と扇が宥めている。
「・・・ふふ・・・省吾、そんなに怒らないで。」
ルルーシュも立ち上がり、朝比奈の背に手を添える。
「ルル・・・。」
「みんなも来てくれたんだ?」
「当たり前だろ?・・・うちの総司令に、誤解されたらたまらねえしな。」
「誤解?」
かくん、と首を傾げたルルーシュに、玉城は、はぁ、と溜息をつく。
「どうせ、俺らが“行政特区日本”に心惹かれてるとか、思ってたんじゃねーのかよ?・・・だから、騎士団に来なかったんだろ?」
「・・・う。」
図星を突かれたルルーシュは恨めしそうに玉城を見つめる。
「・・・玉城のクセに。」
「・・・おま、朝比奈と同じこと言うなよ・・・。」
ガクッと肩を落とした玉城に、ルルーシュはふ、と笑みをこぼす。
「だって・・・ふふふ・・・。」
「クソ・・・でも、誤解は解けたろ!?俺らはお前が決めたことに随う。だから、こっちに来い。」
「え・・・?」
ルルーシュが目を丸くした。
「だ~か~ら~、ここはもう、お前のいるべき場所じゃねーっつの!騎士団が、お前のいるべき場所なんだって!!」
「あ~~~!!玉城にセリフ取られた!!」
「さっさと言っとけよ!・・・ったく、ほら、準備しろよ。」
叫ぶ朝比奈を軽くあしらい、玉城が言う。
「・・・・・・ホントに、玉城か?」
訝しげに問うルルーシュに、玉城がムッとする。
「・・・大概、失礼な奴だな・・・俺だってなぁ、たまにはまともなこと言うんだよ!!」
あ、自分でたまにはって言ってる。と思いつつ、ルルーシュはこくり、と頷く。
「あ~あ、玉城に言われちゃったけど、そういうこと。だから、さっきの計画もやりやすいでしょ?」
「そうだな・・・省吾の計画、乗ってみようかな?」
「うんうん!イイ感じだね♪」
乗り気のルルーシュに満足げに頷いて見せ、朝比奈はルルーシュの肩を抱く。
「じゃ、行こうか。」
「・・・え?今すぐ?」
「うん。ごはん、食べたら、準備しようね。これだけの人数いるから、お引っ越しなんて、楽だよ~♪」
ニッコリ笑う朝比奈。邪魔された分、しっかり幹部達をこき使う気のようだ。
「ま、そうなると思って、トレーラーごと来たのは正解だったなぁ・・・。」
卜部がぼやくと、ルルーシュが口元を引き攣らせた。
「・・・トレーラーごと来たのか?」
「おう。荷物も運ぶだろうと思ってな。・・・それに、どうせ、ここはもう、安全じゃねぇんだろ?」
あっけらかんと答える卜部に、ルルーシュは一瞬キョトンとし、それから、悲しげに笑った。
「・・・そう、だな。」
「私達もご一緒しても良いのでしょうか?」
す、と現れたナナリーに、朝比奈が頷く。
「もっちろん、当然だよ。ね、ルル?」
「・・・そうだな、ここに置いていく方が危険だ。」
「では、私もご一緒します。・・・ナナリー様の世話役は必要でしょう?」
ニコリと笑んだ咲世子に、ルルーシュは眼を丸くし、それから破顔した。
「・・・ありがとう、咲世子さん。」
続く
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・朝ルル
・行政特区の辺りまではほぼ本編通りに進んでいる設定です
・朝ルルは完全に出来上ってますv
・ナナリーが黒いです
・騎士団にはゼロバレ、皇族バレ、恋人バレ済み
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「私は、行政特区日本の開設を宣言致します!」
アッシュフォード学園で、青空の下、己の騎士の操るナイトメアフレームの掌の上に乗り、ユーフェミアが宣言したことは、全国ネットで放映されることとなった。
その場にいただろうルルーシュは、立場が違うのだ、とまざまざと見せつけられて、どれ程、悔しい思いをしたのだろう。
「フン、ルルが副総督だったら・・・もっとうまくやるよ。」
むっつりとしながら、熱の上がる報道を見つめ、朝比奈は呟く。
ユーフェミアの発言により、黒の騎士団の存在意義すら無くなりそうな勢いなのだ。今、活動した所で意味はない。
開店休業状態の黒の騎士団の中にも、ユーフェミアの言葉に気持ちが揺れている者も多くいた。
「言ったもん勝ちみたいな宣言で、どこまでできるんだか。」
モニターに向かって不機嫌に呟く朝比奈に、幹部達は苦笑をうかべる。
「まぁまぁ・・・お前が腹を立てたってしょうがないだろ?」
扇が言えば、朝比奈がキリリと眦を吊り上げて睨み据えた。
「“しょうがない”?・・・冗談じゃない!!ユーフェミアのこの発言のせいで、ルルが作ったこの黒の騎士団は求心力を無くした。実績も何もない、ただ、皇女で副総督でってだけの女の発言で!」
「ちょ、あ、朝比奈・・・;」
「ルルが今まで、どれだけの覚悟で、ブリタニアに反逆してきたか!!扇さんはわかってない!!」
「朝比奈、落ち着け。」
噛みつかんばかりの勢いの朝比奈を、見兼ねた藤堂が押し止める。
「だって、藤堂さん!!」
振り返った朝比奈の目がわずかに潤んでいる。
悔し泣きだ。自分がその場にいれば、ルルーシュを支えてやれるのに、というもどかしさで、胸がいっぱいになっているのだ。
「ナナちゃんが傍にいたって、ルルのことだから、絶対、弱音なんて吐かないはずだから。心配なんです。我慢ばっかりしてて、ルルの心が壊れちゃいそうで・・・。」
「そんな心配なら、見に行きゃいーじゃんか。」
唐突に、玉城が言う。
「は?何バカなこと言ってんのさ!・・・ルルに迷惑がかかるだろ!?」
「バカなこと言ってんのは、お前だろ?そんなに、アイツのことが心配なら、ごちゃごちゃ考えてねぇで、さっさと駆けつけるくらいのことしろよ。で、さっさとあんな場所から、掻っ攫ってくりゃイイじゃねぇか。」
目からウロコが落ちた。
ルルーシュの立場とか、いろいろ考えて、ルルーシュの私生活の場に姿を現すことを良しとしていなかったが、こんな状況で、立場とかそんなことを考えている場合じゃないことに、今更気付いたのだ。
ユーフェミアがアッシュフォードにいた。つまり、ルルーシュの生存を知っていたユーフェミアが彼に会いに行ったということに他ならない。
最早、アッシュフォードは安全な箱庭ではない。
ならば。
「・・・玉城のクセに・・・。」
悔しそうに呟いて、朝比奈はラウンジから飛び出した。
「けっ・・・礼の1つくらい言いやがれってんだ。」
そう言う玉城は、何だか嬉しそうで。
思わず、玉城を見直してしまった、騎士団幹部の面々だった。
「・・・っていうか、俺らも行こうぜ。朝比奈だけじゃ、暴走しかねねーし。」
「アッシュフォードか・・・扇、お前、アッシュフォードに行ったんだろ?案内しろよ。」
卜部が言えば、南が扇を振り返る。
一瞬、扇がギクリと表情を強張らせるが、渋々頷き、表立って堂々と、騎士団幹部全員で、アッシュフォードに向かうこととなった。
一方、ルルーシュは・・・
「お兄様・・・お気を落とさないでくださいませ。」
「・・・俺は、大丈夫だよ、ナナリー。」
答える声に、力はない。
明らかに気落ちしているだろうに、ルルーシュは弱音を吐こうとはしない。
「(私が五体満足ならば・・・いえ、きっと、私でも無理ですね・・・朝比奈さんがいらしてくだされば・・・。)」
眉を顰め、ナナリーは心の中で悔しそうに呟く。
波乱の学園祭以来、ルルーシュは外出を控え、学校もサボっていた。理由はわかっている。“行政特区日本”という単語を耳に入れたくないからだ。
心配して、ミレイやリヴァルが様子を見にくるが、人に会いたくないのだと、ナナリーや咲世子以外を拒絶するルルーシュに会わせることが出来ず、余計に心配をかけている。
「お兄様・・・騎士団には行かなくていいのですか?」
「・・・・・・騎士団は終わりだ・・・ユフィの言葉を1番喜んでいるのは誰だ?・・・日本人だろう?」
「・・・お兄様、でも・・・。」
「すまない、ナナリー・・・1人にしてくれないか。」
ナナリーの言葉をさえぎり、ルルーシュは懇願するように言った。
「・・・お夕食、咲世子さんが用意してくださっています・・・あの、後で、お持ちしますね。」
「・・・。」
ハッキリと拒絶を示す兄に、ナナリーはひっそりと溜息をついた。
「・・・あのクソ忌々しい主従・・・どうにかできないでしょうか。」
ボソ、と呟く。
「ナナリー様、声に出ておいでです。」
咲世子に言われ、ナナリーはハッとする。
「まぁ、咲世子さん・・・つい、フラストレーションが溜まって・・・。」
苦笑をうかべるナナリーの手を握り、咲世子は真顔でのたまった。
「よーく、わかります。・・・もし、お許しがあるのでしたら、私があの者達を亡き者に・・・。」
「咲世子さん、それは、余計にお兄様が悲しみます・・・お優しい方ですから・・・。」
「・・・ならば、朝比奈さんをお呼びして参ります。」
その代替え案に、ナナリーはニッコリと笑った。
「それは良い考えです。」
その時、ドアのブザーが鳴る。
「・・・誰かいらっしゃったみたいですね。」
「出て参ります。」
咲世子がそう言って玄関に向かう。
「・・・全く、本当に、忌々しい。・・・お兄様さえ、気になさらないなら、全力で潰して差し上げますのに。」
「あはは、相変わらず、黒い発言絶好調だね。」
「!?」
ナナリーがギクリと身体を強張らせる。
「あ、ごめん、びっくりさせちゃったね。」
そう言って、相手はナナリーの手を握った。
「・・・・・・朝比奈、さん?」
「そ。こんにちは、ナナちゃん。・・・ルルは?」
「・・・ご自分のお部屋にこもりっぱなしで・・・もう、頼りは、朝比奈さんだけなんです。」
縋るナナリーの頭を軽く撫で、朝比奈は微笑む。
「うん。わかった。・・・任せて。」
落ち着けるようになるべく柔らかい声で応え、朝比奈はナナリーに案内してもらい、ルルーシュの部屋に向かう。
その間にも、ナナリーに最近のルルーシュの様子を訊ね、ユーフェミアやスザクに憤る。
「ホント、ルルがイイって言うなら、バッシングしたいよねー。」
「朝比奈さん、説得してくださいませ!・・・ユフィ姉様の計画には穴があるって、お兄様自身も仰っていましたもの。」
「・・・ナルホド、じゃあ、元気づけるついでに、説得してみようかな。」
「はい、お願いします。」
ナナリーが頭を下げると、朝比奈は苦笑して、その手をぎゅっと握る。
「・・・ちょっと、待っててね。」
ナナリーが頷くのを確認して、朝比奈はルルーシュの部屋のドアを叩く。
「・・・ルル?俺だけど。」
ガタン!
何かが倒れるような音がして、それから、ドアの前に人の気配が近づく。
「・・・省吾?」
「うん。俺。・・・開けて?」
そう言えば、シュッとドアがスライドする。
「・・・省吾・・・。」
「ルル、悔しかったね?・・・悲しかったね?・・・泣いていいんだよ?我慢なんて、しなくていい。俺が、傍にいるから。」
「しょうっごぉっ・・・っ!」
ガバッと抱きつかれ、一瞬足元がふらついたが、そこは元軍人である。あっさりと持ち直して、ルルーシュを抱きしめる。
そんな様子を、耳を澄ませて聞いていたナナリーはふ、と笑みをうかべてそっとその場から離れていく。
しばらく泣いていたルルーシュが、少し恥ずかしげに朝比奈を見上げる。
「省吾・・・来てくれて、ありがと///」
「ううん。むしろ、遅くなってごめんね?・・・それよりさ、ルル、俺、ちょっと考えたんだ。聞いてくれる?」
「?」
首を傾げるルルーシュが可愛いなぁ、と思いながら朝比奈は悪戯を思いついたような、そんな笑みをうかべて、その計画を話した。
「ね?これなら、黒の騎士団の存在意義を取り戻せるよ。」
「・・・でも・・・。」
「ルルのこと、傷つける相手を、気遣う必要なんてないって。・・・ルルは優しすぎるよ。このままじゃ、ユーフェミアと日本が共倒れなんてことになりかねないよ?」
「・・・それは・・・確かに。」
考え込んだルルーシュに、あとひと押し、と朝比奈が言葉を続けようとしたその時、ドンドン、とドアを強く叩かれる。
「え、誰?」
「おいこら、朝比奈ぁ!!部屋こもって、暴走してんじゃねぇだろうな!!」
「げ、玉城!?」
「玉城?・・・え?黒の騎士団のみんなと一緒に?」
「いや、俺だけで・・・あ、さては、卜部さんだな!・・・せっかくいいところだったのに!」
ムッとしてドアの方へ歩いて行く朝比奈を見つめ、ルルーシュはクス、と笑う。
「そんなドンドン叩くなよ!」
「鍵閉めてんのが悪いんだろうが!!」
睨みあう2人を、まぁまぁ、と扇が宥めている。
「・・・ふふ・・・省吾、そんなに怒らないで。」
ルルーシュも立ち上がり、朝比奈の背に手を添える。
「ルル・・・。」
「みんなも来てくれたんだ?」
「当たり前だろ?・・・うちの総司令に、誤解されたらたまらねえしな。」
「誤解?」
かくん、と首を傾げたルルーシュに、玉城は、はぁ、と溜息をつく。
「どうせ、俺らが“行政特区日本”に心惹かれてるとか、思ってたんじゃねーのかよ?・・・だから、騎士団に来なかったんだろ?」
「・・・う。」
図星を突かれたルルーシュは恨めしそうに玉城を見つめる。
「・・・玉城のクセに。」
「・・・おま、朝比奈と同じこと言うなよ・・・。」
ガクッと肩を落とした玉城に、ルルーシュはふ、と笑みをこぼす。
「だって・・・ふふふ・・・。」
「クソ・・・でも、誤解は解けたろ!?俺らはお前が決めたことに随う。だから、こっちに来い。」
「え・・・?」
ルルーシュが目を丸くした。
「だ~か~ら~、ここはもう、お前のいるべき場所じゃねーっつの!騎士団が、お前のいるべき場所なんだって!!」
「あ~~~!!玉城にセリフ取られた!!」
「さっさと言っとけよ!・・・ったく、ほら、準備しろよ。」
叫ぶ朝比奈を軽くあしらい、玉城が言う。
「・・・・・・ホントに、玉城か?」
訝しげに問うルルーシュに、玉城がムッとする。
「・・・大概、失礼な奴だな・・・俺だってなぁ、たまにはまともなこと言うんだよ!!」
あ、自分でたまにはって言ってる。と思いつつ、ルルーシュはこくり、と頷く。
「あ~あ、玉城に言われちゃったけど、そういうこと。だから、さっきの計画もやりやすいでしょ?」
「そうだな・・・省吾の計画、乗ってみようかな?」
「うんうん!イイ感じだね♪」
乗り気のルルーシュに満足げに頷いて見せ、朝比奈はルルーシュの肩を抱く。
「じゃ、行こうか。」
「・・・え?今すぐ?」
「うん。ごはん、食べたら、準備しようね。これだけの人数いるから、お引っ越しなんて、楽だよ~♪」
ニッコリ笑う朝比奈。邪魔された分、しっかり幹部達をこき使う気のようだ。
「ま、そうなると思って、トレーラーごと来たのは正解だったなぁ・・・。」
卜部がぼやくと、ルルーシュが口元を引き攣らせた。
「・・・トレーラーごと来たのか?」
「おう。荷物も運ぶだろうと思ってな。・・・それに、どうせ、ここはもう、安全じゃねぇんだろ?」
あっけらかんと答える卜部に、ルルーシュは一瞬キョトンとし、それから、悲しげに笑った。
「・・・そう、だな。」
「私達もご一緒しても良いのでしょうか?」
す、と現れたナナリーに、朝比奈が頷く。
「もっちろん、当然だよ。ね、ルル?」
「・・・そうだな、ここに置いていく方が危険だ。」
「では、私もご一緒します。・・・ナナリー様の世話役は必要でしょう?」
ニコリと笑んだ咲世子に、ルルーシュは眼を丸くし、それから破顔した。
「・・・ありがとう、咲世子さん。」
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