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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・ルルロロ?
・ルルは病気(風邪?)
・シリアス風味
・捏造満載w

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









― 僕は、兄さんを愛してる。

― 俺は、ロロを・・・ナナリーの居場所を奪ったあいつを・・・どうして・・・どうして、俺は・・・。





 領事館・バスルーム


 黒の騎士団が復活して、約半月が過ぎた。が、未だ、中華連邦の領事館に戻ってこないルルーシュに、カレンはいい加減焦れてきていた。

「・・・まだ、戻ってこない。・・・ねぇ、貴方は、この先、どこへ進もうとしているの?」

 その呟きは誰にも聞かれることはなく。カレンは、C.C.が待つラウンジへと向かった。



 領事館・ラウンジ


「ちょっと、C.C.・・・って、どうしたの?」

 カレンがやって来た時、C.C.と幹部達が顔を突き合わせて、C.C.の携帯宛てに送られてきていたメールを眺めていた。

「いや・・・あいつが・・・どうやら倒れたらしい。」

「あいつ?・・・って、ゼロ?」

「他に誰がいる?・・・まったく、大方、無理をしたんだろう。・・・すまないが、カレン。」

「・・・・・・はぁ、わかったわよ。様子を見てくれば良いんでしょ?」

 呆れたように言ったカレンに、幹部達が不思議そうに視線を向ける。

「・・・カレンは、ゼロの居場所を知ってるのか?」

 扇の言葉に、カレンはギクリと肩を跳ねあげさせた。

「あ・・・えーと・・・まぁ、それなりに?」

 誤魔化しきれなかったカレンに、軽く舌打ちをして、C.C.は顎をしゃくった。

「ほら、行け。・・・説明は私がしておいてやる。」

「はいはい、わかったわよ!・・・・・・ったく、あいっ変わらずえっらそうに。」

 ボソ、と呟くと、カレンは踵を返し、ラウンジを出た。



 アッシュフォード学園・クラブハウス


「兄さん、大丈夫?・・・その・・・水、とか、いる?」

 己を気遣う偽物の弟。

 スザクが再編入してきた頃はまだ少しぎくしゃくしていたものの、だいぶ慣れてきたのか、それとも、あの1年間は偽物ではなかったと信じ込んでいるのか、以前のような態度をとれるようになってきていた。

「ああ・・・頼む。」

 自分でも情けないが、緊張の連続で精神的にも体力的にも参っていたらしい。ほんの少しの熱ならば、と高をくくっていたら、完全にダウンしてしまった。

「・・・ナナリー・・・。」

 総督としてエリア11にやってくるというナナリーに、ルルーシュはほんのわずかに不安があった。自分への人質というだけの立場でナナリーがやってくるとは思えなかったのだ。

「・・・もし、お前と戦うようなことがあれば・・・俺は。」

 己は何の為に戦っているのか。

 ナナリーの望む、優しい世界のため。そして、今まで行ってきたことによる犠牲者の命を無駄にしないためにも、立ち止まるわけにはいかない。

 そう・・・ユーフェミアの汚名さえも、無駄にしてはならないのだ。

 そこまで考えて、ドアが開いたままの部屋の外に、ロロが棒立ちになっているのに気付く。

「・・・ロロ?」

「あ・・・あの。あのね、兄さん・・・僕。」

 独り言を聞かれたのか、と気付く。きっと、ロロにしてみれば、ナナリーの名は思いの外、動揺するものだったらしい。

「(・・・当然か。ロロの居場所は元々はナナリーのもの。お前はただ、その場所を奪い、仮に納まっているにすぎない。)」

 目を細め、ルルーシュはロロの言葉を待つ。

「僕・・・兄さんのこと、大好きだよ。」

 儚げな笑みをうかべて。ロロはルルーシュに近寄り、テーブルにコップを置くと、そっと頭を撫でた。

「・・・僕が、命をかけても・・・兄さんを守ってあげる。兄さんの敵を・・・全部、排除してあげる。」

「・・・っ、ロロ?」

 じっとその表情を見つめ、ロロの本心を探ろうとするが、それは、完璧に演じているものではなく、本心から言っているようで。ルルーシュは思わず動揺する。

 記憶を失っていたとはいえ、あの1年間は確かに存在したものなのだ。その間に、この偽物の弟をナナリーのように慈しみ、愛してきたことは間違いが無い。

「僕は、兄さんの・・・最強の武器になる。僕を使って、兄さん。遠慮なんていらないから。なんだってやるよ。どんな汚い仕事だって。・・・今まで、僕はそうやって生きてきたんだ。」

 その瞳に揺らぎはない。真っ直ぐな視線にルルーシュは思わず息を呑んだ。

「ろ・・・ろ。」

「兄さん。・・・愛してる。」

 たとえ、兄さんが、僕を憎んでいても。

 そうロロが呟いた瞬間、ルルーシュはガバっと身を起こした。

「兄さん!ダメだよ、まだ熱が下がりきってないのに!」

 ロロがルルーシュの身体をベッドに抑え込もうとするが、体格の違いもあって、手間取る。

 熱があるせいか、いつもよりも熱い身体にしがみついて、ロロはルルーシュを何としてでも休ませようと必死になっていた。そんなロロを見て、ルルーシュは苦しそうに眉を顰める。

「(どうして・・・どうしてだ。・・・ロロは、ナナリーの居場所を奪った、偽物の弟なのに。・・・・・・どうして、俺は・・・俺は!!)」

 唐突に、ルルーシュはロロの身体を己の腕の中に抱き込んだ。自分の身体が熱いせいか、ロロの身体がひんやりとしていて気持ちが良かった。

「・・・悲しいことを・・・言うな、ロロ。」

「・・・兄さん?」

 抱きしめられるという行為に驚いたロロは、動きをピタリと止めて、目を丸く見開いていた。

「武器だなんて、思ってない。・・・憎みきれるわけがない。・・・だって、お前は、俺の弟なんだ。・・・たった1年しか一緒にいないけれど・・・確かに、弟なんだよ・・・ロロ。」

 苦しげに呟かれた言葉に、ロロの目が潤む。

「兄さん・・・僕・・・僕・・・・・・。」

 ルルーシュの背に腕をまわし、ロロはまるで、ルルーシュの熱を奪うように強く抱きついた。

「・・・お前は、今まで通りで良いんだ。無理なんてしなくて良い。」

 ロロに負けじと強く抱きしめ返し、ルルーシュはロロの耳元にそっと呟いた。

「・・・俺も、愛しているよ、ロロ。」



 数十分後、ロロは薬を飲んでぐっすりと眠りこんでいるルルーシュを眺めていた。

「・・・愛してるって、言ってくれるなんて思わなかった。僕の独りよがりでも良かったのに。・・・ねぇ、兄さん。」

 そっと汗ばんだ額から前髪を払い、手に持っていた濡れタオルで汗を拭く。

「・・・今のは、嘘じゃないよね?」

 記憶が戻った時点で、もう、ロロを弟としては見ていないだろうことはわかっていた。きっと、使い捨てられるだけ。それもわかっていた。

 “愛している”の一言が、あの時点から自分に囁かれなくなった。あの、ナナリーとの電話の時の悲痛な叫び。あんなにも感情のこもった“愛している”を共に暮らした1年間で、ただの1回も聞いたことはなかった。

 なのに、ルルーシュは愛しむように、優しい、柔らかい声で“愛している”と囁いてくれた。それだけで、ロロは充分だと思えた。そう言ってくれるルルーシュの為になら、何でもやろうと決めた。

「・・・ロロ。」

 突然の第三者の声に、ロロは身を強張らせた。

「・・・枢木、卿。」

「ルルーシュが倒れたと聞いて。」

 そうは言うものの、スザクの視線がルルーシュの部屋を探るように動いていることに、ロロは気付き、一瞬眉を顰める。

「ルルーシュは寝てるのかい?」

「・・・ええ。」

 ロロが頷き、スザクから視線を逸らすと、ルルーシュの額の汗を再び拭った。時折、苦しそうに眉を顰めるルルーシュに、代わってやれたなら、と歯噛みしそうになる。が、スザクの手前、そんなこともできずに、ただ、彼が立ち去ってくれることを心の中で祈る。

「・・・彼が倒れる心当たりは?」

「いえ。・・・特には思い当たりません。」

「・・・そう。」

 スザクは何の感情も感じさせない声で言い、そっとルルーシュに近寄る。

「(・・・兄さん、お願いだから、今、ナナリーの名前とか、呟かないで・・・!)」

 ハラハラとしながら、スザクの一挙一動をこっそり確認する。

 万が一、ルルーシュが彼女の名を呟こうとしたなら、スザクの時間だけを止めれば良い。そう思うが、妙に勘の鋭いスザクなら、ルルーシュの口が“な”という一言を発しただけで気付きかねない。

「相変わらず、無理ばかりしてるんだろう・・・?」

 スザクが呟き、ルルーシュの頬に手を当てる。ハッとロロがスザクを見上げると、スザクの瞳がゆらゆらと様々な感情に揺れているのがわかった。

「(この人も・・・迷ってるんだ。・・・いっそのこと、ふっ切ってしまえば良いのに。ブリタニア人でもないのに、そうまでして仕える義理なんてあるの?)」

 自分の立場に雁字搦めにされているスザクを憐れむ様に見やり、ロロはそっとルルーシュの手を握った。

「・・・僕が・・・視(看)ていますから。・・・枢木卿は政庁に戻っても大丈夫ですよ。」

 そう言えば、スザクはハッと顔をロロに向け、それから無表情を作り、こくりと頷いた。

「・・・ああ。何か変わったことがあれば報告を。」

「・・・・・・イエス、マイ・ロード。」



 スザクが立ち去った後も、ロロはルルーシュの手を握り続けた。じんわりと熱が伝わって、ロロの手もだんだん熱くなってきている。

 ロロは氷水を用意して、タオルを絞り、ルルーシュの額に載せた。そうすると、ほぅ、とルルーシュが無意識に身体の力を抜く。

「苦しい?熱い?」

 尋ねるが、すっかり寝入っているルルーシュからは反応はない。

「兄さん・・・早く良くなって。・・・ナナリーを取り戻すんでしょう?」

 ロロは呟いて、泣きそうに表情を歪めた。弟だ、と言ってくれていても、ルルーシュにとって実妹のナナリーの存在は大きなもののはずだ。

RRRRR…RRRRR…

 ルルーシュの携帯が鳴り、ロロはビクッとする。が、携帯を手に取り、誰からの着信かを確認する。

「・・・Q1?・・・騎士団の関係者?」

 暗号めいた名前で当たりをつけ、通話ボタンを押した。

「・・・もしもし?」

『誰?・・・・・・この携帯の持ち主は?』

 かけてきた相手が“ゼロ”とも“ルルーシュ”とも名前を出さなかったことに、ロロは感心した。一応、そういった気配りは出来るのだと思ったのだ。

「・・・僕は、この携帯の持ち主の弟です。・・・兄は、今、寝ています。」

『弟・・・?』

 訝しむように呟かれ、ロロはこの相手がルルーシュの妹がナナリーだと知っていることに気づいた。

「・・・貴女は、誰ですか?」

『・・・・・・私は。』

「Q1・・・騎士団の関係者、ですよね?」

 直球で確認すれば、相手が息を呑む気配を感じる。このままでは切られると思って、ロロは矢継ぎ早に告げた。

「僕は全てを知っています。・・・僕は貴女方の味方でもあります。」

『・・・味方?』

「はい。・・・貴女方が、兄さんを裏切らない限りは。」

『・・・・・・そう。それは、本当だと思って構わないのね?』

 確認はしてくるが、声音から厳しい調子が消えたので、信用してもらえたのだと思う。

 恐らく、いくら熱があるとはいえ、ルルーシュが自分の携帯を他人の目に触れる場所に置いておくことはないと思ったのだろう。

「ええ。信じて頂いて結構です。」

『今、アッシュフォード学園の近くまで来ているの。変装はしているわ。・・・クラブハウスまで行っても?』

「大丈夫です。・・・監視カメラが何台かありますが、無視して下さって構いません。機情は今、機能していませんから。」

『・・・はぁ、さっすが、ルルーシュ・・・わかったわ。』

 そう言って、相手が移動を始める音がする。

「・・・お名前、訊いてないですね?」

『ああ、カレンよ。・・・紅月カレン。』

「・・・・・・ああ、紅蓮のパイロット。」

 何度か聞いたことのある名前に、ロロは表情を緩めた。携帯の番号を知らせていたくらいだから、幹部の誰かだとは思っていたが、親衛隊長ならば頷ける。

 しかも、彼女にはしっかり素性がバレていると教えてもらったばかりだ。

『本当に、味方らしいわね。・・・まぁ、ルルーシュの携帯に触ってる時点で、敵ではないと思ってたけど。』

 あちらもどうやら、ある程度はこちらの事情に気づきながらも探っていたらしい。

「・・・兄さんは警戒心が強い人ですからね。」

 ロロが同意すると、カレンがクス、と笑う気配がした。

『・・・貴方は、随分、信用されてるのね。』

「・・・さぁ、どうなんでしょうか。信用されてるのかされてないのか。そんなのは、兄さんしか知らないことですよ。兄さんは嘘が上手なんです。絶対に自分の心を悟らせない。」

『・・・へぇ~・・・なるほど。・・・で、弟君、貴方の名前は?』

「あ、そうでしたね。・・・ロロです。ロロ・ランペルージ。」

『ロロ・・・今、着いたわ。』

 カレンがそう言うと、ロロは一瞬考えてから、携帯に向かって告げた。

「僕達の生活スペースは知っていますか?」

『・・・ええ。入ったことがあるから。』

「じゃあ、大丈夫ですね。・・・一応、携帯を切って、入って来て下さい。」

『わかったわ・・・じゃあ。』

 プツ、と携帯が切れ、ロロは持っていた携帯をルルーシュの机に置いた。

「兄さん。」

 ぽつりと呼ぶ。長い睫毛がフルリと震え、至高の紫がロロを捉えた。

「ロロ・・・。」

「ごめん、起こしちゃった?」

「いや・・・。」

「さっきね、枢木スザクが来たよ。」

「・・・そう、か。」

 一瞬、ルルーシュの目が細められるが、表情には何の変化も現れない。

「今ね、紅月カレンが来るよ。」

「・・・そう、か・・・・・・は?」

 今度は、表情が崩れた。眉根を寄せて、首を傾げる。

「今、クラブハウスの中を移動してる最中だと思う。・・・もう、機情は機能してないも同然だから、良いかなって思って。」

「・・・ああ、まぁ・・・構わないのだけれど・・・カレンが来るのか?」

「うん。」

 コクンと頷くロロに、ルルーシュははぁ、と溜め息をついた。

「一気にうるさくなりそうだな・・・。」

「通しちゃ、ダメだった?」

 ロロが不安そうに表情を歪めれば、ルルーシュはゆっくりと起き上がり、目元を緩めた。

「いや、大丈夫だよ、ロロ。・・・スザクにも怪しまれないようにうまく言ってくれたんだろう?・・・ありがとう。」

 優しい声音でそう言ったルルーシュに、ちょいちょい、と手招かれ、ロロが近づくと、腕を引かれてそのまま彼の胸の中にすっぽりと納まる。

「・・・ありがとう。」

 もう一度礼を言われて、ロロはくすぐったい気持ちになる。

「・・・うん。」

 ゆっくりと背中を撫でる手がまだ熱い。が、その熱さが気持ち良くて、ロロはルルーシュの胸に頬をすり寄せ、目を細めた。


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