Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・にょたルル
・スザ糾弾→ローマイヤーに被害派生
・ナナリーはルル=ゼロを知ってます
・ジノアニャはルルの騎士になりたかった設定
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「愛してる!!ナナリーッ!」
叫んだ声が忘れられない。その後、他人のフリをしたけれど、これ以上に悔しいことはなかった。伝えたいことが、聞きたいことがたくさんあったのに。
「お姉様・・・私、スザクさんを許しません。絶対に。」
ブリタニアからエリア11に移動中。アヴァロンの庭園で、ナナリーはぐっと手を握り、眉根を寄せる。そして、おもむろに携帯の短縮ボタンを押す。
「もしもし?」
繋がった瞬間、平坦な声で応じたのは、ナイト・オブ・シックスのアーニャ。行儀見習いでアリエス宮に来ていたアーニャとは、昔から仲が良かった。時にはルルーシュを取り合うこともあったが、今では良い思い出だ。
「アーニャさん。お願いがあるんです。」
そう言って、お願い事を口にしたナナリーに、珍しくも笑みをうかべたアーニャは、それでも平坦な声で応じた。
「わかった・・・任せて。」
太平洋上、ナナリーを迎えにきたゼロことルルーシュは、入口付近で足を止める。
「お姉様、なのでしょう?」
そう問われ、ルルーシュはそういえばこの子は気配に聡い子だったと思う。
「・・・そうだよ。ナナリー。」
久々に生で聞いた姉の声に、ナナリーは思わず涙ぐんだ。
「お姉様・・・。良かった。また会えました。」
「うん。ナナリー・・・また、会えたね。・・・迎えに来たんだ。私と一緒に行こう?」
「待って下さいお姉様。」
ナナリーからの待ったに首を傾げたルルーシュは、その手を握り込む。
「うん?」
「・・・私、思ったんです。お姉様は今もこうしてゼロを続けて頑張っているのに、私はまた、守られているだけ。・・・だから、私は私の出来ることをして、お姉様に恥じない妹になろうと思ったんです。」
「うん。・・・それで?」
己の手を握った手が緊張していることに気付いて、ナナリーはふんわりと笑った。
「私は総督として、エリア11に参ります。・・・ねぇ、お姉様。私はお姉様が入り込めない内側から、変えていこうと思うんです。でも、けして、お姉様のやり方が間違ってるなんて思っていません。中と外、両方から変えていけば、もっと早く、世界は変われると思うんです。・・・あの、賛成して下さいますか?」
「ナナリー・・・。」
「・・・お姉様、私、スザクさんを許せないんです。・・・お姉様をお父様に売って出世したスザクさんを。・・・そして、何より、この私の存在で、お姉様を脅したことを!!!・・・だから、ほんのちょっとだけ、お返しをしたいんです。・・・アーニャさんも、ジノさんもいらっしゃいますから、危険はありませんよ。ほら、外にいらしたでしょう?」
懸命に話すナナリーに、ルルーシュはふ、と息を吐く。
「そうか・・・それが、ナナリーの決めたことなんだね?」
「・・・はい、お姉様。」
「わかった。・・・でも、何かあったら、連絡をしてね?私はいつだってナナリーのことを想っているから。」
「はい、私もです。お姉様。」
素直に頷くナナリーの頬を撫で、ルルーシュは仮面の下で微笑んだ。と、その時、ドォン、という音と共に、ランスロットが庭園に乱入してくる。
「ナナリー!!!」
「・・・スザクッ・・・。」
「スザクさぁ~んっ!!!」
ルルーシュがランスロットを見つめ、呟くのと同時に、ナナリーが叫ぶ。ギョッとするルルーシュに、ナナリーはこっそりと呟いた。
「また、後ほど。お姉様。」
それにかすかに頷き、ランスロットに運ばれていくナナリーを見つめる。と同時に己の身体が宙に浮き、アヴァロンの外に放り出される形となる。
「・・・ナナリーぃぃぃいいッ!!!」
思わずナナリーの名を叫ぶ。ハッとしたナナリーが振り返ったように見えたが、己を助けに来た紅蓮の掌の中に包まれ、すぐに辺りが見通せなくなった。
それでも、ルルーシュはナナリーを信じ、彼女からの連絡を大人しく待つことにしたのだった。
一方、政庁までたどり着いたナナリーは一同に囲まれ、ふんわりとした笑みを浮かべていた。きっと、お飾り総督として見られているだろうことを意識しながら。
「無事で何よりだよ、ナナリー。」
優しげに声をかけるスザクに、ナナリーはおっとりと笑ってみせる。
「ありがとうございます、スザクさん。・・・でも、少し、驚いてしまいました。いきなり突風が起こったと思ったら、スザクさんがいらっしゃるんですもの。」
「ごめん。手段を選んでられなくて。」
スザクが苦笑し、ナナリーの手を握る。
「・・・いいえ・・・後で、折り入ってお話があるんです。よろしいですか?」
「うん。もちろん。」
この時、スザクは自分の後ろで、ナイト・オブ・スリーとナイト・オブ・シックスが視線を交わし、ニヤリと笑ったことに、気付かなかった。
「・・・でも、俺達も会いたかったよなぁ、時間稼ぎのためにスザクの足を引っ張んので外にいたせいで、ルルーシュ様の無事な姿を見ることすら出来なかったし?」
総督の初心表明終了後、政庁にある一室。そこでくつろぎながら、ぼやくように言うジノに、アーニャは溜め息をつく。
「これから、たくさん会える。・・・だから、我慢。・・・それに、総督だって、会っても見えてない。」
「そうなんだけど、さぁ。」
ブツブツと未練がましいジノに、アーニャはクッションを投げつける。
「・・・しつこいと嫌われる。」
「うっ;」
ガチャ・・・
「お~、お疲れさん、スザク!」
手を振るジノに、部屋に入ってきたスザクはちらと視線を送り、肩を竦める。
「ジノ1人いるだけでにぎやかだな。・・・アーニャはまた、携帯いじってるの?」
「・・・記録。」
「・・・そう。」
ぽん、と単語で返され、スザクはそれ以上の会話を諦める。
「ナナリー総督に呼ばれたんだろ?」
「ああ。」
ジノに問われ、スザクは頷く。
「行かなくて良いのか?」
「・・・行ったんだけど、着替えをするからってミス・ローマイヤーに追い出された。」
「ああ、なるほど。」
納得するジノの脇で、アーニャが立ち上がる。
「ん?・・・どこ行くんだよ、アーニャ。」
「総督のところ。・・・私、女だから、大丈夫。」
トタトタと歩き出すアーニャを見送り、ジノは内心でほくそえんだ。
「(ははぁ、打ち合わせをするつもりだな?)」
「・・・アーニャは意外と乗り気なんだな。」
ある意味正しい認識をしているスザクを憐れむように見やり、ジノは同意の言葉をはいた。
「そうだな~。ああ見えて、かなり殺る気満々だからな・・・。」
「・・・?(なんか今、漢字変換違ってなかった?)」
首を傾げるスザクをよそに、ジノはルルーシュに会えた時のプランを脳内で立て始めたのだった。
「・・・総督。」
「アーニャさん?・・・どうぞ?」
ナナリーの許可を得て、アーニャが入ってくると、ナナリーの隣に立つローマイヤーにじろりと睨まれる。総督の心得やら何やらを色々と教え込んでいたらしいが、そんなものはとっくの昔にナナリーの頭の中に入っていることを知っているアーニャは無駄な事を、と溜め息をつく。
「・・・例の件。」
「ああ、はい。そうですね。」
二コリ、と笑ったナナリーに、ローマイヤーが眉根を寄せる。
「総督、特区の件以外に、まだ、私にご相談頂けていない件がおありなのですか?・・・先程も申しましたように総督は王様ではないのですよ?」
その厭味交じりの言葉に、アーニャは半眼になる。
「それ、皇族に対する態度じゃない。・・・少し、考えるべき。」
「私は、総督のためを思って言っているのですが?」
さすがに動じないローマイヤーに、アーニャは肩を竦め、ナナリーの傍に寄って、その手を握る。
「・・・この人、抱きこんだ方が良い。スザクに味方されると困る。」
「そうですか?・・・別に、ミス・ローマイヤーがスザクさんの味方になっても一向に構いませんけど、アーニャさんがそう言うなら、抱きこむことにしましょうか?」
「そ・・・そう、とく?」
ナナリーの笑みが黒く見えて、ローマイヤーがこちん、と固まる。
「勘違いされてるの、腹が立つ。・・・総督はお飾りじゃない。」
「うふふ。そのように見えるよう振舞っているんですから、勘違いじゃないですよ?アーニャさん。・・・だって、その方が裏で動きやすいでしょう?ね?ミス・ローマイヤー?」
にっこり。
毒を含んだ言葉に、ローマイヤーは背中に冷や汗を流し始める。
「でも、皇族を軽んじてる発言まで許す必要ないと思う。」
「アーニャさんは、真面目ですね?・・・言いたい人には勝手に言わせておけば良いのですよ。後で泣きを見るのはあちらなのですから。・・・でも、確かに、お父様に無理を言って(脅して)わざわざ、ジノさんとアーニャさんを借りてきたんですし、教育係ごときにネチネチ言われるのも性に合ってませんしね。」
ニコニコと笑いながら言うナナリーに、ローマイヤーの顔が完全に青褪める。
「ミス・ローマイヤー?・・・せいぜい、私の邪魔はなさらないで下さいね?さもないと、私、ジノさんやアーニャさんにとんでもないことをお願いしてしまいそうですから。」
可愛らしい外見から発せられた言葉は、ローマイヤーを震え上がらせるのには充分過ぎる威力を持っていた。
「イッ・・・イエス!ユア・ハイネス!!!!」
バッと敬礼したローマイヤーは、世の中には見た目で判断してはいけないこともあると学んだ。
スザクは、改めてナナリーの呼び出しを受け、総督の執務室に赴いていた。
「スザクさん、お忙しいのに来ていただいてありがとうございます。」
ニコニコと言うナナリーの左後ろに立つローマイヤーの表情がひきつっているように思えたが、気のせいだろうと判断し、スザクはナナリーの前にしゃがむ。
「気にしなくたって、良いんだよ。・・・それで、話って何かな?」
「あの、お電話の相手のことですけど。」
ぎくり、とスザクの表情がこわばる。スッとナナリーが手を伸ばし、逃げるスザクの手を握った。
「・・・っ!」
「ねぇ、あのお電話のお相手は、どなたですか?お姉様ではないのですか?・・・スザクさん、答えて下さい。・・・スザクさんは私に嘘をついたりしませんよね?」
「・・・っ・・・あ、あれは・・・あの電話の相手は。」
「私が、お姉様のことを間違えるとでも?・・・そんなに浅い絆だとでも思っていらしたんですか?」
ナナリーが確信を持って言っていることに気づいたスザクはごくりとのどを鳴らす。
「・・・な、ナナリー・・・か、彼女は一般人で・・・。」
「ええ。今は、一般人ですね。ただの学生です。だって、お姉様は皇族として復帰していらっしゃいませんもの。・・・だから、私、ナナリー・ヴィ・ブリタニアの姉、とは言えませんね?」
小首を傾げるナナリーに、スザクが冷や汗をかき始める。
「・・・あ。」
「ねぇ、スザクさん。私、お父様に伺ったんです。」
「な・・・何を?」
「スザクさんがラウンズになった経緯です。」
ニコ、と笑うナナリーの声が低くなる。スザクの脳裏に、ルルーシュの言葉が蘇る。
『友達を売って地位を得るのか!』
「・・・それは・・・。」
「お姉様をお父様に売りましたね?」
ゾク、と肌を粟立てさせる。それ程にナナリーの声には冷気が含まれていた。
「ナナリー・・・。」
「お姉様を売って、地位を得て。・・・記憶を書き換えられたお姉様の監視報告を見て、さぞや楽しかったでしょうね?」
依然、笑みを浮かべたままのナナリーに、スザクは得体の知れない何かを感じる。
「・・・そんなに、ユフィ姉様を殺されたことが悔しかったですか?何も知りもしないクセに、全てお姉様が悪いと断じたのですか?他人の言い分を全て丸呑みにして、自分では調べようともせずに?私のように目も足も不自由なわけじゃないのに・・・ねぇ、スザクさん?」
「・・・っ!」
ナナリーの目が開かれる。ガラス玉のように何も映さないその薄紫の瞳が、まるで見えているかのようにスザクを捉える。
「・・・私は、スザクさん。貴方を許しません。・・・ええ、絶対に。・・・内側から変える?騎士風情に何ができると思っているのですか?冗談も程々になさって下さい。・・・内側から変えるのは私の役目ですよ、スザクさん?・・・まさか、私の邪魔をなさいませんよね?・・・もし、邪魔をなさるというのなら・・・私にも考えがありますからね?」
ふふふ、と笑うナナリーに、スザクは青い顔をしたまま、コクコクと頷いた。
「さぁ、ブリタニアを内側からぶっ壊しましょう。」
おしまい☆
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・にょたルル
・スザ糾弾→ローマイヤーに被害派生
・ナナリーはルル=ゼロを知ってます
・ジノアニャはルルの騎士になりたかった設定
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「愛してる!!ナナリーッ!」
叫んだ声が忘れられない。その後、他人のフリをしたけれど、これ以上に悔しいことはなかった。伝えたいことが、聞きたいことがたくさんあったのに。
「お姉様・・・私、スザクさんを許しません。絶対に。」
ブリタニアからエリア11に移動中。アヴァロンの庭園で、ナナリーはぐっと手を握り、眉根を寄せる。そして、おもむろに携帯の短縮ボタンを押す。
「もしもし?」
繋がった瞬間、平坦な声で応じたのは、ナイト・オブ・シックスのアーニャ。行儀見習いでアリエス宮に来ていたアーニャとは、昔から仲が良かった。時にはルルーシュを取り合うこともあったが、今では良い思い出だ。
「アーニャさん。お願いがあるんです。」
そう言って、お願い事を口にしたナナリーに、珍しくも笑みをうかべたアーニャは、それでも平坦な声で応じた。
「わかった・・・任せて。」
太平洋上、ナナリーを迎えにきたゼロことルルーシュは、入口付近で足を止める。
「お姉様、なのでしょう?」
そう問われ、ルルーシュはそういえばこの子は気配に聡い子だったと思う。
「・・・そうだよ。ナナリー。」
久々に生で聞いた姉の声に、ナナリーは思わず涙ぐんだ。
「お姉様・・・。良かった。また会えました。」
「うん。ナナリー・・・また、会えたね。・・・迎えに来たんだ。私と一緒に行こう?」
「待って下さいお姉様。」
ナナリーからの待ったに首を傾げたルルーシュは、その手を握り込む。
「うん?」
「・・・私、思ったんです。お姉様は今もこうしてゼロを続けて頑張っているのに、私はまた、守られているだけ。・・・だから、私は私の出来ることをして、お姉様に恥じない妹になろうと思ったんです。」
「うん。・・・それで?」
己の手を握った手が緊張していることに気付いて、ナナリーはふんわりと笑った。
「私は総督として、エリア11に参ります。・・・ねぇ、お姉様。私はお姉様が入り込めない内側から、変えていこうと思うんです。でも、けして、お姉様のやり方が間違ってるなんて思っていません。中と外、両方から変えていけば、もっと早く、世界は変われると思うんです。・・・あの、賛成して下さいますか?」
「ナナリー・・・。」
「・・・お姉様、私、スザクさんを許せないんです。・・・お姉様をお父様に売って出世したスザクさんを。・・・そして、何より、この私の存在で、お姉様を脅したことを!!!・・・だから、ほんのちょっとだけ、お返しをしたいんです。・・・アーニャさんも、ジノさんもいらっしゃいますから、危険はありませんよ。ほら、外にいらしたでしょう?」
懸命に話すナナリーに、ルルーシュはふ、と息を吐く。
「そうか・・・それが、ナナリーの決めたことなんだね?」
「・・・はい、お姉様。」
「わかった。・・・でも、何かあったら、連絡をしてね?私はいつだってナナリーのことを想っているから。」
「はい、私もです。お姉様。」
素直に頷くナナリーの頬を撫で、ルルーシュは仮面の下で微笑んだ。と、その時、ドォン、という音と共に、ランスロットが庭園に乱入してくる。
「ナナリー!!!」
「・・・スザクッ・・・。」
「スザクさぁ~んっ!!!」
ルルーシュがランスロットを見つめ、呟くのと同時に、ナナリーが叫ぶ。ギョッとするルルーシュに、ナナリーはこっそりと呟いた。
「また、後ほど。お姉様。」
それにかすかに頷き、ランスロットに運ばれていくナナリーを見つめる。と同時に己の身体が宙に浮き、アヴァロンの外に放り出される形となる。
「・・・ナナリーぃぃぃいいッ!!!」
思わずナナリーの名を叫ぶ。ハッとしたナナリーが振り返ったように見えたが、己を助けに来た紅蓮の掌の中に包まれ、すぐに辺りが見通せなくなった。
それでも、ルルーシュはナナリーを信じ、彼女からの連絡を大人しく待つことにしたのだった。
一方、政庁までたどり着いたナナリーは一同に囲まれ、ふんわりとした笑みを浮かべていた。きっと、お飾り総督として見られているだろうことを意識しながら。
「無事で何よりだよ、ナナリー。」
優しげに声をかけるスザクに、ナナリーはおっとりと笑ってみせる。
「ありがとうございます、スザクさん。・・・でも、少し、驚いてしまいました。いきなり突風が起こったと思ったら、スザクさんがいらっしゃるんですもの。」
「ごめん。手段を選んでられなくて。」
スザクが苦笑し、ナナリーの手を握る。
「・・・いいえ・・・後で、折り入ってお話があるんです。よろしいですか?」
「うん。もちろん。」
この時、スザクは自分の後ろで、ナイト・オブ・スリーとナイト・オブ・シックスが視線を交わし、ニヤリと笑ったことに、気付かなかった。
「・・・でも、俺達も会いたかったよなぁ、時間稼ぎのためにスザクの足を引っ張んので外にいたせいで、ルルーシュ様の無事な姿を見ることすら出来なかったし?」
総督の初心表明終了後、政庁にある一室。そこでくつろぎながら、ぼやくように言うジノに、アーニャは溜め息をつく。
「これから、たくさん会える。・・・だから、我慢。・・・それに、総督だって、会っても見えてない。」
「そうなんだけど、さぁ。」
ブツブツと未練がましいジノに、アーニャはクッションを投げつける。
「・・・しつこいと嫌われる。」
「うっ;」
ガチャ・・・
「お~、お疲れさん、スザク!」
手を振るジノに、部屋に入ってきたスザクはちらと視線を送り、肩を竦める。
「ジノ1人いるだけでにぎやかだな。・・・アーニャはまた、携帯いじってるの?」
「・・・記録。」
「・・・そう。」
ぽん、と単語で返され、スザクはそれ以上の会話を諦める。
「ナナリー総督に呼ばれたんだろ?」
「ああ。」
ジノに問われ、スザクは頷く。
「行かなくて良いのか?」
「・・・行ったんだけど、着替えをするからってミス・ローマイヤーに追い出された。」
「ああ、なるほど。」
納得するジノの脇で、アーニャが立ち上がる。
「ん?・・・どこ行くんだよ、アーニャ。」
「総督のところ。・・・私、女だから、大丈夫。」
トタトタと歩き出すアーニャを見送り、ジノは内心でほくそえんだ。
「(ははぁ、打ち合わせをするつもりだな?)」
「・・・アーニャは意外と乗り気なんだな。」
ある意味正しい認識をしているスザクを憐れむように見やり、ジノは同意の言葉をはいた。
「そうだな~。ああ見えて、かなり殺る気満々だからな・・・。」
「・・・?(なんか今、漢字変換違ってなかった?)」
首を傾げるスザクをよそに、ジノはルルーシュに会えた時のプランを脳内で立て始めたのだった。
「・・・総督。」
「アーニャさん?・・・どうぞ?」
ナナリーの許可を得て、アーニャが入ってくると、ナナリーの隣に立つローマイヤーにじろりと睨まれる。総督の心得やら何やらを色々と教え込んでいたらしいが、そんなものはとっくの昔にナナリーの頭の中に入っていることを知っているアーニャは無駄な事を、と溜め息をつく。
「・・・例の件。」
「ああ、はい。そうですね。」
二コリ、と笑ったナナリーに、ローマイヤーが眉根を寄せる。
「総督、特区の件以外に、まだ、私にご相談頂けていない件がおありなのですか?・・・先程も申しましたように総督は王様ではないのですよ?」
その厭味交じりの言葉に、アーニャは半眼になる。
「それ、皇族に対する態度じゃない。・・・少し、考えるべき。」
「私は、総督のためを思って言っているのですが?」
さすがに動じないローマイヤーに、アーニャは肩を竦め、ナナリーの傍に寄って、その手を握る。
「・・・この人、抱きこんだ方が良い。スザクに味方されると困る。」
「そうですか?・・・別に、ミス・ローマイヤーがスザクさんの味方になっても一向に構いませんけど、アーニャさんがそう言うなら、抱きこむことにしましょうか?」
「そ・・・そう、とく?」
ナナリーの笑みが黒く見えて、ローマイヤーがこちん、と固まる。
「勘違いされてるの、腹が立つ。・・・総督はお飾りじゃない。」
「うふふ。そのように見えるよう振舞っているんですから、勘違いじゃないですよ?アーニャさん。・・・だって、その方が裏で動きやすいでしょう?ね?ミス・ローマイヤー?」
にっこり。
毒を含んだ言葉に、ローマイヤーは背中に冷や汗を流し始める。
「でも、皇族を軽んじてる発言まで許す必要ないと思う。」
「アーニャさんは、真面目ですね?・・・言いたい人には勝手に言わせておけば良いのですよ。後で泣きを見るのはあちらなのですから。・・・でも、確かに、お父様に無理を言って(脅して)わざわざ、ジノさんとアーニャさんを借りてきたんですし、教育係ごときにネチネチ言われるのも性に合ってませんしね。」
ニコニコと笑いながら言うナナリーに、ローマイヤーの顔が完全に青褪める。
「ミス・ローマイヤー?・・・せいぜい、私の邪魔はなさらないで下さいね?さもないと、私、ジノさんやアーニャさんにとんでもないことをお願いしてしまいそうですから。」
可愛らしい外見から発せられた言葉は、ローマイヤーを震え上がらせるのには充分過ぎる威力を持っていた。
「イッ・・・イエス!ユア・ハイネス!!!!」
バッと敬礼したローマイヤーは、世の中には見た目で判断してはいけないこともあると学んだ。
スザクは、改めてナナリーの呼び出しを受け、総督の執務室に赴いていた。
「スザクさん、お忙しいのに来ていただいてありがとうございます。」
ニコニコと言うナナリーの左後ろに立つローマイヤーの表情がひきつっているように思えたが、気のせいだろうと判断し、スザクはナナリーの前にしゃがむ。
「気にしなくたって、良いんだよ。・・・それで、話って何かな?」
「あの、お電話の相手のことですけど。」
ぎくり、とスザクの表情がこわばる。スッとナナリーが手を伸ばし、逃げるスザクの手を握った。
「・・・っ!」
「ねぇ、あのお電話のお相手は、どなたですか?お姉様ではないのですか?・・・スザクさん、答えて下さい。・・・スザクさんは私に嘘をついたりしませんよね?」
「・・・っ・・・あ、あれは・・・あの電話の相手は。」
「私が、お姉様のことを間違えるとでも?・・・そんなに浅い絆だとでも思っていらしたんですか?」
ナナリーが確信を持って言っていることに気づいたスザクはごくりとのどを鳴らす。
「・・・な、ナナリー・・・か、彼女は一般人で・・・。」
「ええ。今は、一般人ですね。ただの学生です。だって、お姉様は皇族として復帰していらっしゃいませんもの。・・・だから、私、ナナリー・ヴィ・ブリタニアの姉、とは言えませんね?」
小首を傾げるナナリーに、スザクが冷や汗をかき始める。
「・・・あ。」
「ねぇ、スザクさん。私、お父様に伺ったんです。」
「な・・・何を?」
「スザクさんがラウンズになった経緯です。」
ニコ、と笑うナナリーの声が低くなる。スザクの脳裏に、ルルーシュの言葉が蘇る。
『友達を売って地位を得るのか!』
「・・・それは・・・。」
「お姉様をお父様に売りましたね?」
ゾク、と肌を粟立てさせる。それ程にナナリーの声には冷気が含まれていた。
「ナナリー・・・。」
「お姉様を売って、地位を得て。・・・記憶を書き換えられたお姉様の監視報告を見て、さぞや楽しかったでしょうね?」
依然、笑みを浮かべたままのナナリーに、スザクは得体の知れない何かを感じる。
「・・・そんなに、ユフィ姉様を殺されたことが悔しかったですか?何も知りもしないクセに、全てお姉様が悪いと断じたのですか?他人の言い分を全て丸呑みにして、自分では調べようともせずに?私のように目も足も不自由なわけじゃないのに・・・ねぇ、スザクさん?」
「・・・っ!」
ナナリーの目が開かれる。ガラス玉のように何も映さないその薄紫の瞳が、まるで見えているかのようにスザクを捉える。
「・・・私は、スザクさん。貴方を許しません。・・・ええ、絶対に。・・・内側から変える?騎士風情に何ができると思っているのですか?冗談も程々になさって下さい。・・・内側から変えるのは私の役目ですよ、スザクさん?・・・まさか、私の邪魔をなさいませんよね?・・・もし、邪魔をなさるというのなら・・・私にも考えがありますからね?」
ふふふ、と笑うナナリーに、スザクは青い顔をしたまま、コクコクと頷いた。
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