Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・中華連邦と和解後
・卜部+仙波が過保護
・卜部・仙波・カレンには皇族ゼロetcバレ済み
・カレンは捕まってません
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「すぅ・・・卜部さんと仙波さんの嘘つきぃぃぃぃぃぃッ!!!!!」
蓬莱島から見える海に向かい、朝比奈は思いっきり叫んだ。
中華連邦での一騒動が終わり、何とか中華連邦と手を組むことに成功した黒の騎士団は、しばしの休息を取っていた。
ゼロの信頼を得るべく、騎士団の幹部達はかなりこの作戦を成功させるために頑張った・・・ハズだ。お前達の働きは見事だったと、そうゼロが言ったのだから、間違いない・・・と思う。
なのに、だ。
卜部と仙波の態度が未だに冷たい。というか、ゼロとの仲を取り持ってくれるという話だったのに、全く動いてくれている気配が無い。
そこで、痺れを切らした朝比奈が卜部と仙波に問いただしたところ・・・
「あ?・・・そんな約束したかぁ?」
「まったく、記憶に無いな。」
と、無碍にあしらわれてしまった。
そこで、冒頭に戻る。
「・・・はぁ・・・俺達、頑張ったのにぃ。」
がっくりと肩を落とした朝比奈の肩をポン、と叩く者がいた。杉山だ。
「・・・いや、まさか、卜部さんと仙波さんがここまで怒ってるとは思わなかったよな。」
「怒ってるというより、大人げないんじゃないの?」
千葉が横で呆れる。
「う~ん・・・自分達で、ゼロに訊いた方が早いんじゃないか?」
南は少し考え込むようにしてから呟く。
「でも、いきなりそんなこと聞いて、ゼロは答えてくれるだろうか?」
扇はどこまでも弱気だ。
「しかし、卜部と仙波が取り合うつもりもないのなら、自分達で動くしかあるまい。」
「そうなんですよね~・・・あ、そうだ。カレンは?」
藤堂の言葉に頷いていた朝比奈が、突然、思い立ったように言う。
「そうだ、カレンなら・・・だって、カレンはゼロの親衛隊長だし、訊いてもおかしくないよな。」
杉山が同意する。
「・・・私がどうしたの?」
と、その時、カレンがその場を通りかかる。
「あ、カレン!いや~、ちょうど良かったぜ!ちょっとこっち来いって。」
手招く玉城に、首を傾げながら、カレンが寄ってくると、幹部達がその周りを囲む。
「ねぇ、カレン。最近さ、卜部さんと仙波さんがゼロと仲良いじゃん!おかしいと思わない?」
朝比奈が問えば、カレンは肩を竦めた。
「ああ、そのことですか。・・・別におかしくないんじゃないですか?だって、あの2人はゼロの正体も素性も全部知ってるんですから。」
「「「「「えぇっ!!?」」」」」
あっさりと答えたカレンは、ついでのように言う。
「因みに、私も知ってます。正体はブラックリベリオンの時に知ったんですけどね。ブラックリベリオン後にゼロの情報をC.C.から聞いて。詳しいことは、る、ゼロ本人から、直接聞きましたけど。」
「か、かかか、カレ~ン?」
扇がどもりながら名前を呼ぶと、カレンは、ああ、と納得の声をあげた。
「もしかしなくても、卜部さんと仙波さんに意地悪されてるんですか?・・・まったく、2人とも大人げないんだから。ゼロだって呆れてるわ。」
「ちょ、ちょっと待った、カレン。・・・お前も知ってたのか?」
肩を竦めたカレンに、南が問う。すると、カレンは首を傾げた。
「?・・・さっきからそう言ってるじゃないですか。・・・え?皆、私が知らないと思ってたんですか?」
そう思っていた面々はこくんと頷く。
「・・・はぁ。まあ、そうですよねぇ。知ってる方がおかしいし。・・・だって、ルルー・・・シュ・・・っ!」
バッと口を押さえたカレンを見て、今、彼女が呟いた名がゼロの本当の名であろうと感づく。
「・・・へぇ。ルルーシュっていうんだ。」
朝比奈がにっこりと笑いながら呟くのを見て、カレンの顔が、さぁッと青褪める。
「紅月!!」
その時、背後から声がかかり、カレンはビクゥッと身体を震わせ、恐る恐る振り返る。
「う・・・卜部さん・・・;」
「何、口滑らしてんだ。」
「す、すみません;;;」
お怒りモードの卜部に、カレンは恐縮してしまう。
「ったく。朝比奈の馬鹿みたいな遠吠えが聞こえたと思ったら・・・こんなとこでたむろして何してんだか。ったく・・・。」
「え~、元々は卜部さん達が意地悪するからじゃないですかぁ~。俺達、頑張ったのに~。」
馬鹿みたいな遠吠えと言われて、ムッとしつつ朝比奈が言えば、卜部は鼻で笑う。
「あのな、肝心のゼロの信頼は得られたと思ってるのか?あれで。」
呆れたように言われて、朝比奈達はウッと詰まる。確かに頑張った。ものすごく頑張った。が、それだけだ。いつものように、ゼロの言う通りに動いただけ。いつも以上に、ゼロの指示通りに動いたわけだが、それが信頼につながるかと言われれば、首を傾げざるを得ない。
「・・・でもでも、じゃあ、どうやって信頼されれば良いんですか!?」
朝比奈が食い下がると、卜部は溜め息をつく。
「自分で考えろや・・・何でも答えを教えて貰えると思ってるわけじゃねーだろ?」
「・・・その通りだな。・・・我々は少し急いているのかもしれん。」
ぼそり、と藤堂が呟くと、幹部達は皆、しゅん、となってしまう。
「・・・中佐は・・・桐原公から何も聞かされてなかったんですか?」
卜部がふと思いついたように訊ねると、藤堂は首を傾げる。
「・・・いや?何も聞いていない。ただ、ゼロに付いていけば間違いないと・・・。」
そこまで言って、藤堂は口を閉ざす。なぜ、あそこまで桐原の信頼を得ているのか、今更ながらに不思議に思ったのだ。扇達に訊けば、素顔を見せたらしいゼロに、桐原は上機嫌になって身の元は保証すると言ったらしい。
「・・・桐原公があそこまで信頼していたのは、何故だ?」
藤堂の視線がカレンに向く。カレンの方が口を割らせやすいと判断したのだ。
「さあ?・・・私にもその辺りは教えてくれませんでしたから。」
カレンの答えはそっけない。警戒しているのだろう。藤堂の視線が彷徨い、結局卜部に向けられる。
「さて、俺もよくは聞いちゃいませんぜ。・・・こう言っちゃなんですが、俺がC.C.から聞いた話は、上辺だけ。桐原公とあいつの関係なんて踏み込んだことまでは聞けるわきゃねーでしょ。」
「・・・ゼロは・・・ブリタニア人なんだな?」
藤堂は質問の内容を変える。
「・・・それがいけませんか?」
卜部の挑むような視線に、藤堂は首を振る。
「いや・・・桐原公が信頼するようなブリタニア人など限られているだろうからな。」
そこから身元を明かそうと考えたらしいが、桐原とルルーシュの関係を聞いているカレンと卜部は無理だ、と思う。まさか、ブリタニアの皇子ということに気付くわけがないと思ったのだ。
「「無理だ(わ/ぜ)。」」
2人の声が揃い、幹部達に訝しげな視線を送られる。
「・・・ちっ、おい、紅月、行くぞ?ここにいたら、余計なことまでしゃべっちまいそうだ。」
「あ、はい。」
卜部に言われて、慌てて付いていこうとしたカレンが、視界に黒一色に身を染めた人物を視界に入れる。
「ゼロ!」
カレンの目が見開かれる。ゼロの傍には、神楽耶と天子と星刻がいて、少し離れた所にC.C.が立っていた。
「・・・ああ、カレンか。・・・なんだ、ここに全員揃っていたのか。ちょうど良かった。」
ゼロがその面子をひきつれて傍までやってくると、何とも言えない空気がその場を流れる。
「先程、調停が終わった。星刻には黒の騎士団の総司令になってもらうことになった。」
「「「「え!?」」」」
幹部達の声が揃う。
「私は、CEOとして、全体の状況の把握に努める。」
その言葉に、幹部達の納得の声が上がる。つまり、今までと変わったのは、星刻が自分達とゼロとの間に入るということだけだ。
「・・・よろしく頼む。」
星刻にそう言われれば、おずおずと頷く幹部達だが、卜部は違った。
「なぁ、そうしたら、お前は前線に出なくなるんだな?」
「前線に出ることもある。」
「それじゃ、今までと変わんねーだろうが!!機体性能がいくら良くたって、それじゃ、駄目だろ!!」
「・・・はぁ、何で卜部は私を前線に出したがらないんだ。」
「・・・・・・お前のナイトメアの操作技術には大して問題はねぇ。が、相手がいつも悪すぎる。お前は頭なんだ。だから、いつも、枢木や他のラウンズといったバケモノレベルの連中がお前に向かって来る。それじゃ、いつか、また捕まっちまう!!・・・そしたら、また、記憶を改竄され、24時間体制の監視に放り込まれて・・・以前に逆戻りだろうが!!」
卜部の叫びに、色々重要な事項が紛れ込んでいることに、その場の全員が気付いた。
「・・・卜部・・・。」
ゼロが困ったように名前を呼ぶが、卜部は止まらない。
「こんな、ほそっこい身体で人一倍に動いて、今だって監視の目を誤魔化すために蜃気楼で日本とこことを行き来してんだろ!?妹だって人質に取られて!!・・・なのに、どうしてお前は!!」
「う、卜部さん!!皆がいるんです!!これ以上は駄目ですってば!!」
カレンが慌てて、その腕に抱きついて卜部を止める。
「・・・っ。」
ハッとした卜部が悔しそうに表情を歪める。
「・・・卜部。お前が心配してくれているのはありがたいが、今この場でどうにかできることではない。特に、私の妹のことはな。」
「だってよぉ・・・お前・・・廃人寸前まで追い詰められて・・・。」
辛そうに言う卜部に、ゼロは苦笑した。
「カレン・・・しゃべったな?」
「う・・・すみません。だって・・・あのまま、貴方が戻って来れないんじゃないかって・・・そう思って。」
「ああ、あの時は心配かけた。・・・しかし、盛大にバラしてくれたな?卜部。」
くつくつと笑うゼロに、卜部はがっくりと肩を落とす。
「すまねぇ・・・つい、熱くなっちまった・・・。」
「・・・卜部はワシら四聖剣の中で一番激情型だからな。」
いつの間にかやって来ていた仙波が溜め息をつく。
「記憶の改竄・・・って;」
「24時間体制の監視・・・?」
「妹が人質・・・?」
幹部達の戸惑ったような視線に、ゼロは溜め息をついた。
「やれやれ・・・中途半端に知られて、そのままにしておくことはできないな。」
「本当にすまねぇ・・・。」
反省しきりの卜部に、ゼロは気にするなと告げる。
「ちょうど良い。この先、戦いはブリタニア本国との戦いになる。戦いが厳しくなればなるほど、私の立場は微妙になる。」
今、一番ルルーシュが気にしているのは、ナナリーと直接戦わなければならなくなった場合のことだ。
最低でもスザクは“ゼロ=ルルーシュ”というつもりで戦っているはずだ。ナナリーとの電話でこちらの記憶が戻っているかどうかを探ろうとしたくらいだ。戦場には出さなくても、ナナリーの名で宣戦布告してくる場合だってある。
それに、どう考えても、日本を取り戻すとなれば、総督のナナリーと戦わなければならなくなるのは必至だ。いくら、彼女が実権をほとんど持っていないとしても、責任のありかは彼女にある。
「ゼロ・・・。」
気遣わしげに声をかけてくるのは仙波だ。
「・・・なんだ。お前達の方が最初は皆に話すべきだと言っていたんだろう?それが今更になって反対か?」
笑いを含んだ声で言えば、卜部も仙波もカレンもウッと詰まって、俯く。
「どうせ、こいつらが一番気になってることなんて、決まってる。」
口調がいつもと違うことに気づいて、幹部達が目を丸くする。
「・・・良いか?ここで見たこと聞いたこと、全て口外無用だ。・・・神楽耶様、天子様、星刻、貴方方もだ。」
ゼロの言葉に、皆が神妙に頷く。
「枢木スザクは少なくとも私の正体に感付いている。奴が私の監視の責任者だからな。」
「「「「!?」」」」
驚く幹部を前に、ゼロは肩を竦めた。
「今までは何とか誤魔化してきたが、少しでも気を抜けばバレることは必至だ。そうなれば、人質に取られている私の妹の身が危ない。それだけは忘れないでくれ。」
「・・・わ、わかったよ。」
朝比奈が答えれば、周りの幹部達も同意するように頷く。
「なら、良い。」
ゼロは満足そうに頷いて、仮面に手をかけ、そして、あっさりとその仮面を外してみせる。
その美貌に、一瞬目を奪われ、そして、閉じられたままの左眼に視線が向く。
「ゼロ・・・目を、怪我したのか?」
玉城が心配そうに言えば、彼は首を振る。
「いや。少し、支障があってな・・・気にしなくて良い。」
「・・・ルルーシュ・・・コンタクトは?」
カレンはポソリと訊ねる。ルルーシュはクス、と笑って、懐を探る。
「大丈夫、つけるよ。」
そう言って俯き、コンタクトをつけると、ルルーシュは顔をあげる。そうすれば、改めてまじまじと幹部達が顔を見つめるので、ほんの少し眉を顰める。
「・・・私の顔に何かついてるのか?」
「あ・・・いや・・・。」
「な、なんでもない。」
口々にそう言って視線を逸らす幹部達だが、内心では絶叫していた。
― 何、この人!マジ美人なんですけど!!
「・・・そうか?」
ことりと首を傾げる様子を見せれば、内心だけにとどまらず、無言で悶える奴まで出てくる。その筆頭である朝比奈の頭を、卜部が無言で殴る。
「って!・・・何するんですか!卜部さん!」
「ルルーシュに手ぇ出すなよ?・・・もしも、手ぇ出したら・・・日本海に沈めてやる・・・。」
「~~~~っ、め、目がマジですよ、卜部さん・・・;;;」
後退る朝比奈に、卜部はニヤリと笑ってみせる。
「はっはっは・・・あたりめぇだろうが*」
顔は笑っているが、目が笑っていないという器用なまねをして見せながら、卜部は他の連中の牽制のためにも、朝比奈にターゲットを絞る。
「・・・(哀れ、朝比奈)」
「・・・(スケープゴートってヤツよね、あれ)」
仙波とカレンの憐れむような視線を受けて、朝比奈はようやく自分が周りの皆への牽制の道具にされていることに気付く。
「・・・ええ!?すっごい、理不尽!!」
「何がだ!・・・テメーが一番危なっかしいんだよ!!」
「酷い!俺のこと、信じてないんですか!!」
「腕は信用してるが、素行は信用してねぇ!」
「うわ!ショック!!」
卜部と朝比奈の掛け合いを呆然と見やりつつ幹部達は、気をつけようと心に深く誓った。
「・・・やっぱり、四聖剣は仲が良いんだな・・・。」
そんな中、どう考えても状況を把握していないようなセリフがゼロことルルーシュから発せられて、皆がギョッとする。
「・・・ルルーシュ・・・あんたって、本当に鈍感ね。」
「?・・・だって、仲良いほどケンカするって、よく言うだろ?」
「あれは喧嘩じゃなくて、牽制よ。」
「・・・日本語って難しいな。」
「あのね・・・。」
がっくりと肩を落とすカレンに、同情の視線が向けられる。いつもこんな掛け合いをしていたのだろうかと思うと羨ましい反面、ゼロのイメージがガラガラと崩れていってしまったことは間違いない。
「・・・卜部や仙波が必要以上に庇う理由がようやくわかった。」
藤堂が言えば、千葉もこくりと頷く。
「そうですね・・・。あれじゃ、こう、母性本能がくすぐられるというか・・・。」
そう言う千葉も、そわそわとしているのだが、目下、朝比奈を牽制している卜部には見えていないらしい。
「・・・ゼロ様・・・ゼロ様がこんなに美しい方だったなんて・・・妻は少し、自信を無くしております・・・。」
神楽耶はうっとりとルルーシュを見つめながら、ぽつりと呟く。
「ねぇ、星刻、ゼロって、美人ね。」
「・・・え、ええ。そうですね・・・。」
天子も星刻もその美貌に視線が反らせずにいるらしい。
「それよりも、皆、反省しておるのか?」
どしっとした仙波の声が響き、幹部達がビクリと反応する。
「素顔が判明して喜ぶのもわかるがな。・・・ゼロは今でも危険な綱渡り状態なのだ。あまり、はしゃぐでないわ。」
怒っているようには見えないが、一言一言が重い。
「ゼロは、自身も監視下に置かれながら、我等を救いだしてくれたのだ。感謝こそすれ、責めるなど言語道断!・・・ゼロは妹を人質に取られ、戦場を一時離れた。確かに、その時の指揮官としての責任があるといえばある。が、その後、ブリタニア側に圧されてしまったのは、わし等の力量不足だ。ゼロ1人いないだけでああも崩れるとは、ゼロとて思いもしなかったことだろう。」
「ルルーシュの戦う理由・・・ううん、生きる理由は、妹にあるの。・・・その妹が連れ去られて、動揺しない方がおかしいでしょ?・・・ルルーシュ・・・ゼロだって、人間なんだから。」
仙波とカレンの言葉に、皆が神妙に頷く。
「妹は未だに捉えられたまま。しかも、ゼロを捉えた枢木の奴の監視に加え、皇帝の手によってゼロは1年間、記憶を改竄されたまま過ごしていたんだぜ?・・・ゼロがこうやって、再び俺達を率いて起ってくれたことは、当たり前のことなんかじゃない。奇跡なんだ。」
卜部の言葉に、幹部達は猛反省する。特に、救出後、すぐにゼロを責め立てた四聖剣の朝比奈と千葉は、ルルーシュの前に行き、深々と頭を下げた。
「・・・ごめん。ゼロ。」
「事情を知らなかったとはいえ、礼を欠いた態度を取った。すまない。」
「いいや。責められることはわかっていたからな。・・・あの時は、本当に余裕が無かった。しかも、体力馬・・・枢木スザクに捕まってしまって、戻れる状況ではなかった。」
― 今、ゼロ、枢木スザクのこと、体力馬鹿って、言おうとした?
幹部達の顔が引き攣る。ゼロことルルーシュからは、どこか高貴な雰囲気が感じられるのだが、枢木スザクに関してのみ、どうやら、相当ご立腹のようで、言葉が荒くなるらしいと理解した。
「・・・体力馬鹿・・・?」
藤堂が首を傾げる。どこかで聞いた言葉だと記憶を探る。その藤堂を見て、ルルーシュは一瞬眉を顰める。
「・・・・・・藤堂、どうかしたか?」
声をかければ、藤堂は、思い出せないでいるのか、首をふるりと振った。
「いや・・・思い違いだろう。」
「そうか。」
明らかに安堵した様子を見せたルルーシュに、朝比奈がふぅんと呟く。
「藤堂さんは、もしかして、君と昔どっかで会ってるとか?」
「いいや、知り合いではない。」
ハッキリとルルーシュが答えるので、朝比奈はあっさりと引き下がる。
「そっか。・・・じゃあ、もっと、信用してもらえたら、詳しく教えてくれる?まだ、隠してることあるんでしょ?」
卜部や仙波を見て、まだまだ余裕を持っているのを確信した朝比奈の勘が冴えわたる。
「・・・そうだな。」
ルルーシュは、ニヤリと笑う。
「・・・少なくとも、卜部や仙波に認められたら、全てを話そう。」
幹部達は皆、揃ってこう思った。
― それ、一番、ハードル高いじゃん!!
「良いか?・・・てめぇら、とにかく反省しろ!!」
卜部の言葉に、幹部達はがっくりと肩を落としたのだった。
~おまけ~
「・・・ゼロ・・・私達は・・・。」
「星刻、天子様、神楽耶様には、別室にて説明しよう。」
どうやら、中華連邦+妻には特別、全てが明かされるらしい。
騎士団幹部の羨ましげな視線に見送られて、ゼロ達はその場から離れる。
「・・・ふふ。羨ましがっている暇があるなら、腕を磨くんだな。・・・万が一にでも、枢木スザクに勝てたら、上機嫌になったあいつにご褒美として教えて貰えるかもしれないぞ?」
今まで黙ってこちらをニヤニヤとしながら見ていたC.C.の思わぬ言葉に、幹部全員が目の色を変えて、訓練場へと走って行く。
「「「・・・C.C.ぅ~。」」」
「・・・どのみち、無理だろ?機体性能もあるが、操作技術もふまえてスザクに勝てるとしたら、カレンか星刻くらいだ。鍛えてどうこうなることではないさ。」
残った卜部と仙波とカレンに恨めしげな視線を向けられるが、C.C.はしれっとして答える。
「「「・・・確かに。」」」
無駄とは言わないが、努力が報われないだろうことに気づかない幹部達に、ほんの少し同情した3人だった。
おしまい
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・中華連邦と和解後
・卜部+仙波が過保護
・卜部・仙波・カレンには皇族ゼロetcバレ済み
・カレンは捕まってません
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「すぅ・・・卜部さんと仙波さんの嘘つきぃぃぃぃぃぃッ!!!!!」
蓬莱島から見える海に向かい、朝比奈は思いっきり叫んだ。
中華連邦での一騒動が終わり、何とか中華連邦と手を組むことに成功した黒の騎士団は、しばしの休息を取っていた。
ゼロの信頼を得るべく、騎士団の幹部達はかなりこの作戦を成功させるために頑張った・・・ハズだ。お前達の働きは見事だったと、そうゼロが言ったのだから、間違いない・・・と思う。
なのに、だ。
卜部と仙波の態度が未だに冷たい。というか、ゼロとの仲を取り持ってくれるという話だったのに、全く動いてくれている気配が無い。
そこで、痺れを切らした朝比奈が卜部と仙波に問いただしたところ・・・
「あ?・・・そんな約束したかぁ?」
「まったく、記憶に無いな。」
と、無碍にあしらわれてしまった。
そこで、冒頭に戻る。
「・・・はぁ・・・俺達、頑張ったのにぃ。」
がっくりと肩を落とした朝比奈の肩をポン、と叩く者がいた。杉山だ。
「・・・いや、まさか、卜部さんと仙波さんがここまで怒ってるとは思わなかったよな。」
「怒ってるというより、大人げないんじゃないの?」
千葉が横で呆れる。
「う~ん・・・自分達で、ゼロに訊いた方が早いんじゃないか?」
南は少し考え込むようにしてから呟く。
「でも、いきなりそんなこと聞いて、ゼロは答えてくれるだろうか?」
扇はどこまでも弱気だ。
「しかし、卜部と仙波が取り合うつもりもないのなら、自分達で動くしかあるまい。」
「そうなんですよね~・・・あ、そうだ。カレンは?」
藤堂の言葉に頷いていた朝比奈が、突然、思い立ったように言う。
「そうだ、カレンなら・・・だって、カレンはゼロの親衛隊長だし、訊いてもおかしくないよな。」
杉山が同意する。
「・・・私がどうしたの?」
と、その時、カレンがその場を通りかかる。
「あ、カレン!いや~、ちょうど良かったぜ!ちょっとこっち来いって。」
手招く玉城に、首を傾げながら、カレンが寄ってくると、幹部達がその周りを囲む。
「ねぇ、カレン。最近さ、卜部さんと仙波さんがゼロと仲良いじゃん!おかしいと思わない?」
朝比奈が問えば、カレンは肩を竦めた。
「ああ、そのことですか。・・・別におかしくないんじゃないですか?だって、あの2人はゼロの正体も素性も全部知ってるんですから。」
「「「「「えぇっ!!?」」」」」
あっさりと答えたカレンは、ついでのように言う。
「因みに、私も知ってます。正体はブラックリベリオンの時に知ったんですけどね。ブラックリベリオン後にゼロの情報をC.C.から聞いて。詳しいことは、る、ゼロ本人から、直接聞きましたけど。」
「か、かかか、カレ~ン?」
扇がどもりながら名前を呼ぶと、カレンは、ああ、と納得の声をあげた。
「もしかしなくても、卜部さんと仙波さんに意地悪されてるんですか?・・・まったく、2人とも大人げないんだから。ゼロだって呆れてるわ。」
「ちょ、ちょっと待った、カレン。・・・お前も知ってたのか?」
肩を竦めたカレンに、南が問う。すると、カレンは首を傾げた。
「?・・・さっきからそう言ってるじゃないですか。・・・え?皆、私が知らないと思ってたんですか?」
そう思っていた面々はこくんと頷く。
「・・・はぁ。まあ、そうですよねぇ。知ってる方がおかしいし。・・・だって、ルルー・・・シュ・・・っ!」
バッと口を押さえたカレンを見て、今、彼女が呟いた名がゼロの本当の名であろうと感づく。
「・・・へぇ。ルルーシュっていうんだ。」
朝比奈がにっこりと笑いながら呟くのを見て、カレンの顔が、さぁッと青褪める。
「紅月!!」
その時、背後から声がかかり、カレンはビクゥッと身体を震わせ、恐る恐る振り返る。
「う・・・卜部さん・・・;」
「何、口滑らしてんだ。」
「す、すみません;;;」
お怒りモードの卜部に、カレンは恐縮してしまう。
「ったく。朝比奈の馬鹿みたいな遠吠えが聞こえたと思ったら・・・こんなとこでたむろして何してんだか。ったく・・・。」
「え~、元々は卜部さん達が意地悪するからじゃないですかぁ~。俺達、頑張ったのに~。」
馬鹿みたいな遠吠えと言われて、ムッとしつつ朝比奈が言えば、卜部は鼻で笑う。
「あのな、肝心のゼロの信頼は得られたと思ってるのか?あれで。」
呆れたように言われて、朝比奈達はウッと詰まる。確かに頑張った。ものすごく頑張った。が、それだけだ。いつものように、ゼロの言う通りに動いただけ。いつも以上に、ゼロの指示通りに動いたわけだが、それが信頼につながるかと言われれば、首を傾げざるを得ない。
「・・・でもでも、じゃあ、どうやって信頼されれば良いんですか!?」
朝比奈が食い下がると、卜部は溜め息をつく。
「自分で考えろや・・・何でも答えを教えて貰えると思ってるわけじゃねーだろ?」
「・・・その通りだな。・・・我々は少し急いているのかもしれん。」
ぼそり、と藤堂が呟くと、幹部達は皆、しゅん、となってしまう。
「・・・中佐は・・・桐原公から何も聞かされてなかったんですか?」
卜部がふと思いついたように訊ねると、藤堂は首を傾げる。
「・・・いや?何も聞いていない。ただ、ゼロに付いていけば間違いないと・・・。」
そこまで言って、藤堂は口を閉ざす。なぜ、あそこまで桐原の信頼を得ているのか、今更ながらに不思議に思ったのだ。扇達に訊けば、素顔を見せたらしいゼロに、桐原は上機嫌になって身の元は保証すると言ったらしい。
「・・・桐原公があそこまで信頼していたのは、何故だ?」
藤堂の視線がカレンに向く。カレンの方が口を割らせやすいと判断したのだ。
「さあ?・・・私にもその辺りは教えてくれませんでしたから。」
カレンの答えはそっけない。警戒しているのだろう。藤堂の視線が彷徨い、結局卜部に向けられる。
「さて、俺もよくは聞いちゃいませんぜ。・・・こう言っちゃなんですが、俺がC.C.から聞いた話は、上辺だけ。桐原公とあいつの関係なんて踏み込んだことまでは聞けるわきゃねーでしょ。」
「・・・ゼロは・・・ブリタニア人なんだな?」
藤堂は質問の内容を変える。
「・・・それがいけませんか?」
卜部の挑むような視線に、藤堂は首を振る。
「いや・・・桐原公が信頼するようなブリタニア人など限られているだろうからな。」
そこから身元を明かそうと考えたらしいが、桐原とルルーシュの関係を聞いているカレンと卜部は無理だ、と思う。まさか、ブリタニアの皇子ということに気付くわけがないと思ったのだ。
「「無理だ(わ/ぜ)。」」
2人の声が揃い、幹部達に訝しげな視線を送られる。
「・・・ちっ、おい、紅月、行くぞ?ここにいたら、余計なことまでしゃべっちまいそうだ。」
「あ、はい。」
卜部に言われて、慌てて付いていこうとしたカレンが、視界に黒一色に身を染めた人物を視界に入れる。
「ゼロ!」
カレンの目が見開かれる。ゼロの傍には、神楽耶と天子と星刻がいて、少し離れた所にC.C.が立っていた。
「・・・ああ、カレンか。・・・なんだ、ここに全員揃っていたのか。ちょうど良かった。」
ゼロがその面子をひきつれて傍までやってくると、何とも言えない空気がその場を流れる。
「先程、調停が終わった。星刻には黒の騎士団の総司令になってもらうことになった。」
「「「「え!?」」」」
幹部達の声が揃う。
「私は、CEOとして、全体の状況の把握に努める。」
その言葉に、幹部達の納得の声が上がる。つまり、今までと変わったのは、星刻が自分達とゼロとの間に入るということだけだ。
「・・・よろしく頼む。」
星刻にそう言われれば、おずおずと頷く幹部達だが、卜部は違った。
「なぁ、そうしたら、お前は前線に出なくなるんだな?」
「前線に出ることもある。」
「それじゃ、今までと変わんねーだろうが!!機体性能がいくら良くたって、それじゃ、駄目だろ!!」
「・・・はぁ、何で卜部は私を前線に出したがらないんだ。」
「・・・・・・お前のナイトメアの操作技術には大して問題はねぇ。が、相手がいつも悪すぎる。お前は頭なんだ。だから、いつも、枢木や他のラウンズといったバケモノレベルの連中がお前に向かって来る。それじゃ、いつか、また捕まっちまう!!・・・そしたら、また、記憶を改竄され、24時間体制の監視に放り込まれて・・・以前に逆戻りだろうが!!」
卜部の叫びに、色々重要な事項が紛れ込んでいることに、その場の全員が気付いた。
「・・・卜部・・・。」
ゼロが困ったように名前を呼ぶが、卜部は止まらない。
「こんな、ほそっこい身体で人一倍に動いて、今だって監視の目を誤魔化すために蜃気楼で日本とこことを行き来してんだろ!?妹だって人質に取られて!!・・・なのに、どうしてお前は!!」
「う、卜部さん!!皆がいるんです!!これ以上は駄目ですってば!!」
カレンが慌てて、その腕に抱きついて卜部を止める。
「・・・っ。」
ハッとした卜部が悔しそうに表情を歪める。
「・・・卜部。お前が心配してくれているのはありがたいが、今この場でどうにかできることではない。特に、私の妹のことはな。」
「だってよぉ・・・お前・・・廃人寸前まで追い詰められて・・・。」
辛そうに言う卜部に、ゼロは苦笑した。
「カレン・・・しゃべったな?」
「う・・・すみません。だって・・・あのまま、貴方が戻って来れないんじゃないかって・・・そう思って。」
「ああ、あの時は心配かけた。・・・しかし、盛大にバラしてくれたな?卜部。」
くつくつと笑うゼロに、卜部はがっくりと肩を落とす。
「すまねぇ・・・つい、熱くなっちまった・・・。」
「・・・卜部はワシら四聖剣の中で一番激情型だからな。」
いつの間にかやって来ていた仙波が溜め息をつく。
「記憶の改竄・・・って;」
「24時間体制の監視・・・?」
「妹が人質・・・?」
幹部達の戸惑ったような視線に、ゼロは溜め息をついた。
「やれやれ・・・中途半端に知られて、そのままにしておくことはできないな。」
「本当にすまねぇ・・・。」
反省しきりの卜部に、ゼロは気にするなと告げる。
「ちょうど良い。この先、戦いはブリタニア本国との戦いになる。戦いが厳しくなればなるほど、私の立場は微妙になる。」
今、一番ルルーシュが気にしているのは、ナナリーと直接戦わなければならなくなった場合のことだ。
最低でもスザクは“ゼロ=ルルーシュ”というつもりで戦っているはずだ。ナナリーとの電話でこちらの記憶が戻っているかどうかを探ろうとしたくらいだ。戦場には出さなくても、ナナリーの名で宣戦布告してくる場合だってある。
それに、どう考えても、日本を取り戻すとなれば、総督のナナリーと戦わなければならなくなるのは必至だ。いくら、彼女が実権をほとんど持っていないとしても、責任のありかは彼女にある。
「ゼロ・・・。」
気遣わしげに声をかけてくるのは仙波だ。
「・・・なんだ。お前達の方が最初は皆に話すべきだと言っていたんだろう?それが今更になって反対か?」
笑いを含んだ声で言えば、卜部も仙波もカレンもウッと詰まって、俯く。
「どうせ、こいつらが一番気になってることなんて、決まってる。」
口調がいつもと違うことに気づいて、幹部達が目を丸くする。
「・・・良いか?ここで見たこと聞いたこと、全て口外無用だ。・・・神楽耶様、天子様、星刻、貴方方もだ。」
ゼロの言葉に、皆が神妙に頷く。
「枢木スザクは少なくとも私の正体に感付いている。奴が私の監視の責任者だからな。」
「「「「!?」」」」
驚く幹部を前に、ゼロは肩を竦めた。
「今までは何とか誤魔化してきたが、少しでも気を抜けばバレることは必至だ。そうなれば、人質に取られている私の妹の身が危ない。それだけは忘れないでくれ。」
「・・・わ、わかったよ。」
朝比奈が答えれば、周りの幹部達も同意するように頷く。
「なら、良い。」
ゼロは満足そうに頷いて、仮面に手をかけ、そして、あっさりとその仮面を外してみせる。
その美貌に、一瞬目を奪われ、そして、閉じられたままの左眼に視線が向く。
「ゼロ・・・目を、怪我したのか?」
玉城が心配そうに言えば、彼は首を振る。
「いや。少し、支障があってな・・・気にしなくて良い。」
「・・・ルルーシュ・・・コンタクトは?」
カレンはポソリと訊ねる。ルルーシュはクス、と笑って、懐を探る。
「大丈夫、つけるよ。」
そう言って俯き、コンタクトをつけると、ルルーシュは顔をあげる。そうすれば、改めてまじまじと幹部達が顔を見つめるので、ほんの少し眉を顰める。
「・・・私の顔に何かついてるのか?」
「あ・・・いや・・・。」
「な、なんでもない。」
口々にそう言って視線を逸らす幹部達だが、内心では絶叫していた。
― 何、この人!マジ美人なんですけど!!
「・・・そうか?」
ことりと首を傾げる様子を見せれば、内心だけにとどまらず、無言で悶える奴まで出てくる。その筆頭である朝比奈の頭を、卜部が無言で殴る。
「って!・・・何するんですか!卜部さん!」
「ルルーシュに手ぇ出すなよ?・・・もしも、手ぇ出したら・・・日本海に沈めてやる・・・。」
「~~~~っ、め、目がマジですよ、卜部さん・・・;;;」
後退る朝比奈に、卜部はニヤリと笑ってみせる。
「はっはっは・・・あたりめぇだろうが*」
顔は笑っているが、目が笑っていないという器用なまねをして見せながら、卜部は他の連中の牽制のためにも、朝比奈にターゲットを絞る。
「・・・(哀れ、朝比奈)」
「・・・(スケープゴートってヤツよね、あれ)」
仙波とカレンの憐れむような視線を受けて、朝比奈はようやく自分が周りの皆への牽制の道具にされていることに気付く。
「・・・ええ!?すっごい、理不尽!!」
「何がだ!・・・テメーが一番危なっかしいんだよ!!」
「酷い!俺のこと、信じてないんですか!!」
「腕は信用してるが、素行は信用してねぇ!」
「うわ!ショック!!」
卜部と朝比奈の掛け合いを呆然と見やりつつ幹部達は、気をつけようと心に深く誓った。
「・・・やっぱり、四聖剣は仲が良いんだな・・・。」
そんな中、どう考えても状況を把握していないようなセリフがゼロことルルーシュから発せられて、皆がギョッとする。
「・・・ルルーシュ・・・あんたって、本当に鈍感ね。」
「?・・・だって、仲良いほどケンカするって、よく言うだろ?」
「あれは喧嘩じゃなくて、牽制よ。」
「・・・日本語って難しいな。」
「あのね・・・。」
がっくりと肩を落とすカレンに、同情の視線が向けられる。いつもこんな掛け合いをしていたのだろうかと思うと羨ましい反面、ゼロのイメージがガラガラと崩れていってしまったことは間違いない。
「・・・卜部や仙波が必要以上に庇う理由がようやくわかった。」
藤堂が言えば、千葉もこくりと頷く。
「そうですね・・・。あれじゃ、こう、母性本能がくすぐられるというか・・・。」
そう言う千葉も、そわそわとしているのだが、目下、朝比奈を牽制している卜部には見えていないらしい。
「・・・ゼロ様・・・ゼロ様がこんなに美しい方だったなんて・・・妻は少し、自信を無くしております・・・。」
神楽耶はうっとりとルルーシュを見つめながら、ぽつりと呟く。
「ねぇ、星刻、ゼロって、美人ね。」
「・・・え、ええ。そうですね・・・。」
天子も星刻もその美貌に視線が反らせずにいるらしい。
「それよりも、皆、反省しておるのか?」
どしっとした仙波の声が響き、幹部達がビクリと反応する。
「素顔が判明して喜ぶのもわかるがな。・・・ゼロは今でも危険な綱渡り状態なのだ。あまり、はしゃぐでないわ。」
怒っているようには見えないが、一言一言が重い。
「ゼロは、自身も監視下に置かれながら、我等を救いだしてくれたのだ。感謝こそすれ、責めるなど言語道断!・・・ゼロは妹を人質に取られ、戦場を一時離れた。確かに、その時の指揮官としての責任があるといえばある。が、その後、ブリタニア側に圧されてしまったのは、わし等の力量不足だ。ゼロ1人いないだけでああも崩れるとは、ゼロとて思いもしなかったことだろう。」
「ルルーシュの戦う理由・・・ううん、生きる理由は、妹にあるの。・・・その妹が連れ去られて、動揺しない方がおかしいでしょ?・・・ルルーシュ・・・ゼロだって、人間なんだから。」
仙波とカレンの言葉に、皆が神妙に頷く。
「妹は未だに捉えられたまま。しかも、ゼロを捉えた枢木の奴の監視に加え、皇帝の手によってゼロは1年間、記憶を改竄されたまま過ごしていたんだぜ?・・・ゼロがこうやって、再び俺達を率いて起ってくれたことは、当たり前のことなんかじゃない。奇跡なんだ。」
卜部の言葉に、幹部達は猛反省する。特に、救出後、すぐにゼロを責め立てた四聖剣の朝比奈と千葉は、ルルーシュの前に行き、深々と頭を下げた。
「・・・ごめん。ゼロ。」
「事情を知らなかったとはいえ、礼を欠いた態度を取った。すまない。」
「いいや。責められることはわかっていたからな。・・・あの時は、本当に余裕が無かった。しかも、体力馬・・・枢木スザクに捕まってしまって、戻れる状況ではなかった。」
― 今、ゼロ、枢木スザクのこと、体力馬鹿って、言おうとした?
幹部達の顔が引き攣る。ゼロことルルーシュからは、どこか高貴な雰囲気が感じられるのだが、枢木スザクに関してのみ、どうやら、相当ご立腹のようで、言葉が荒くなるらしいと理解した。
「・・・体力馬鹿・・・?」
藤堂が首を傾げる。どこかで聞いた言葉だと記憶を探る。その藤堂を見て、ルルーシュは一瞬眉を顰める。
「・・・・・・藤堂、どうかしたか?」
声をかければ、藤堂は、思い出せないでいるのか、首をふるりと振った。
「いや・・・思い違いだろう。」
「そうか。」
明らかに安堵した様子を見せたルルーシュに、朝比奈がふぅんと呟く。
「藤堂さんは、もしかして、君と昔どっかで会ってるとか?」
「いいや、知り合いではない。」
ハッキリとルルーシュが答えるので、朝比奈はあっさりと引き下がる。
「そっか。・・・じゃあ、もっと、信用してもらえたら、詳しく教えてくれる?まだ、隠してることあるんでしょ?」
卜部や仙波を見て、まだまだ余裕を持っているのを確信した朝比奈の勘が冴えわたる。
「・・・そうだな。」
ルルーシュは、ニヤリと笑う。
「・・・少なくとも、卜部や仙波に認められたら、全てを話そう。」
幹部達は皆、揃ってこう思った。
― それ、一番、ハードル高いじゃん!!
「良いか?・・・てめぇら、とにかく反省しろ!!」
卜部の言葉に、幹部達はがっくりと肩を落としたのだった。
~おまけ~
「・・・ゼロ・・・私達は・・・。」
「星刻、天子様、神楽耶様には、別室にて説明しよう。」
どうやら、中華連邦+妻には特別、全てが明かされるらしい。
騎士団幹部の羨ましげな視線に見送られて、ゼロ達はその場から離れる。
「・・・ふふ。羨ましがっている暇があるなら、腕を磨くんだな。・・・万が一にでも、枢木スザクに勝てたら、上機嫌になったあいつにご褒美として教えて貰えるかもしれないぞ?」
今まで黙ってこちらをニヤニヤとしながら見ていたC.C.の思わぬ言葉に、幹部全員が目の色を変えて、訓練場へと走って行く。
「「「・・・C.C.ぅ~。」」」
「・・・どのみち、無理だろ?機体性能もあるが、操作技術もふまえてスザクに勝てるとしたら、カレンか星刻くらいだ。鍛えてどうこうなることではないさ。」
残った卜部と仙波とカレンに恨めしげな視線を向けられるが、C.C.はしれっとして答える。
「「「・・・確かに。」」」
無駄とは言わないが、努力が報われないだろうことに気づかない幹部達に、ほんの少し同情した3人だった。
おしまい
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