Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・ミレルル
・時間軸はキュウシュウ戦役~学園祭
・シャーリーに記憶はありますが、ルル=ゼロは知りません
・騎士団は出てきません
・本編は軽く無視!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・愛しています。我が君。」
「ああ。知っているよ。」
顔色も変えずに返された言葉に満足する。今は生徒会室に2人きり・・・。
ルルーシュとナナリーの兄妹をアッシュフォードに迎え入れて7年。よくぞここまで我慢してくれていた、とミレイは思う。最初の頃は、いつ、この兄妹が出て行ってしまうのではないかと怯える毎日だった。
だが、ルルーシュとナナリーは、いや、この場合、ルルーシュは、と言った方が良い。彼は幼い頃から優秀で何でも出来た。だからこそ、プライドを捨てて“普通”を演じることがどれだけ難しいか、ミレイにはその心中は計り知れない。
「ねえ、ルルーシュ様。」
「何だ・・・ミレイ?」
ルルーシュは視線を書類に落としたまま応じる。ミレイはそんなルルーシュに苦笑しつつ、ずっと不安に思っていたことを口にする。
「・・・いつ・・・ここからいなくなってしまうのですか?」
ルルーシュの視線が書類からミレイに向けられる。ミレイの表情は真剣そのもの。ルルーシュはフッと息をつき、そして、苦笑をうかべた。
「どうしたんだ?いきなり。」
「・・・だって・・・最近のルルーシュ様はとてもお忙しいようですから・・・それに、賭けチェスだって、リヴァルに付き合わされているように見えますけれど、ご自身が貴族とのコネクションを作ろうとなさっていらっしゃるんじゃありませんか?」
「・・・ミレイ・・・お前。」
我慢が出来なくなったのか、と嘆息する。さすがに気付かれていたらしい最近の己の行動に、迂闊だったと反省する。
「答えて下さい、殿下。」
「・・・そう呼ぶなと言ったろう?」
「今、ここには私達だけです。」
答えをはぐらかそうにも、自分の手口はミレイにはお見通しだ。ルルーシュは早々に降参の白旗をあげる。
「・・・わかった、認める。・・・そうだよ。資金源の確保に動いてた。それに、貴族に恩を売っておけば、いずれ、反旗を翻す時に役に立つと思ってな。」
「・・・やはり、諦めてはいなかったんですね。」
「当たり前だろう?・・・俺は、ナナリーのためにも、何者にも怯えずに暮らせる居場所を作らなければならない。」
ルルーシュの答えに、ミレイは目を伏せる。
「・・・そう、ですよね。アッシュフォードがいつまで貴方達を匿うことができるか・・・そう考えれば、貴方の行動は理に適ったものです。・・・ですが・・・っ!?」
カタン、という小さな音を耳で捉え、ミレイは言葉を切って、バッと後ろを振り返る。
そこに居たのは、シャーリー、リヴァル、ニーナ、カレン、スザクの5人。運も悪く、生徒会役員の全員が揃っていた。
「・・・申し訳ございません!」
ミレイはすぐさまルルーシュを振り返り、謝罪を口にする。
「・・・気付かなかったのは俺も同じだ。ミレイ、君だけのせいじゃない。」
ミレイの行動に目を瞠り、そして、そう言って、笑みを浮かべる。
「な、何、何?・・・どういうコト?」
リヴァルが不安げに視線を揺らせる。
「聞いてたんでしょう?なら、答えは決まりきっているわね。」
明確な答えを言わないミレイに、リヴァルは困り切った表情で皆を振り返る。そして、1人顔色を変えていないスザクに首を傾げた。
「・・・スザク??」
「・・・あ、いや・・・僕は、知ってたから・・・。」
そう言ったきり黙りこんでしまったスザクの表情は、どこか悔しげだった。
「そうよねぇ、スザク君は殿下が日本に“留学”で来られた時に身元を引き受けていた枢木首相の息子さんだものねぇ。」
ミレイはスザクを冷めた目で見つめる。
「ミレイ。」
窘める様にルルーシュが名を呼ぶ。それだけでミレイはスザクから興味は失せたとばかりに視線を外す。
「ミレイちゃん、副会長・・・反旗って・・・。」
ニーナがスザクを気にしつつ、怖々と訊ねてくる。
「・・・俺とナナリーは皇室から隠れている。戻ったら最後、殺されるか、利用されるかだからな。」
「どうして?・・・話からして、皇族なんでしょ?」
眉を顰め、ルルーシュを睨んでカレンが言う。隠しきれない苛烈さにニーナがビクリと怯え、シャーリーとリヴァルが首を傾げる。
「(病弱設定を忘れてるな・・・。)・・・カレン、ブリタニアは弱者には冷たい。そういう国是だ。・・・俺達は皇室に戻っても、有力な後ろ盾が無い。・・・それは、つまり、何もする力が無いのと同義。つまり、弱者だ。」
「だからって殺されるわけ・・・。」
「あるのよ、カレン。・・・だって、殿下方は死ぬために日本へ送られたようなものだもの。」
その言葉に皆が一様に驚く。それは、事情を知っていたスザクさえもそうで。
「・・・殿下方は、7年前、母君マリアンヌ様をテロで亡くされているわ。・・・本当にテロかどうか疑わしいけれどね。・・・その事件のせいでナナリー皇女殿下は足を悪くされ、精神的なものから視力を失われた。・・・唯一の後ろ盾だった私達アッシュフォードは、皇妃様を守れなかったことで急激に権力を失い、爵位を失った。」
「当時10歳の俺は、父、皇帝になぜ母を守ってくれなかったのか、ナナリーの見舞いにも来ないのは何故かと問い質しに行った。・・・奴の答えは簡潔なものだったよ。弱者に用は無いと、己の力で生きたことが無い俺は死んでいるのだと、そう、断じられて、日本への取引材料として行くことを命じられたんだ。」
淡々と説明するミレイとルルーシュに、カレンは呆然とし、そして、ぐっと手を握りしめる。
「・・・どうして、そんなに淡々と・・・。」
「憎くないわけがない。だが、ここで怒りをぶちまけてどうなる?・・・自分達が不快な思いをするだけだ。」
さらりと答え、ルルーシュは椅子から立ち上がる。
「ミレイ、先ほどの続きだが・・・、俺は、まだ、ここにいるつもりだよ。アッシュフォードが出て行けと言わない限りはな。」
「そんなこと、言うわけがありません!・・・いえ、この私が言わせません!!」
ミレイは叫ぶ。ルルーシュを失えば、ミレイは何のために生きるのかわからなくなってしまう。それだけ、ルルーシュのことを愛しているし、必要としている。
「私が、必ず貴方をお守り致します!」
「・・・だが・・・。」
「アッシュフォードはマリアンヌ様を守れなかった。・・・そのうえ殿下方を見捨てたとなれば、これ以上の汚名は無いでしょう。・・・おじい様方が何と言おうと、私が殿下方を放逐などさせません!」
ミレイの変わりように、そして、ルルーシュ達の事情に目を白黒させていた皆が、ようやく正気に戻る。
「・・・な、なぁ、ルルーシュ・・・殿下。」
「リヴァル・・・頼むから、お前まで殿下なんて呼ばないでくれ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは死んだんだ。・・・本当だぞ?公式な記録で死んだことになってる。」
「ま、マジかよ・・・。」
「ああ。マジだ。・・・日本が敗戦した時にな、アッシュフォードが俺達を匿ってくれた。その時に、皇室に戻っても、また、どこぞの国に人質として送られるか、形上だけの皇族として飼い殺されるかどちらかだから、いっそ、死んだことにして、別人として生きるようにと言われて・・・ランペルージという姓はエリアに移り住むブリタニア人の申請受理のドサクサに紛れて作りあげた偽の素性なんだ。」
「・・・か、会長・・・。」
シャーリーがミレイを見ると、ミレイはひょい、と肩を竦める。
「ま、そういうコトね。・・・本当に7年間よく我慢して下さっていたと思うわ。・・・殿下は本当は“できる子”だものね?」
シャーリーがいつも言う言葉を使って、ミレイは同意を求める。シャーリーがおずおずと頷くと、苦笑する。
「もう少し、黙って見ていようかと思ったんだけれど、情勢がそれを許さなくなってきたからねぇ。」
「情勢?」
カレンが問う。
「そうよ~。・・・殿下方が皇族の誰かに見つかってしまえばもう、そこでこの生活はお終いなの。わかるでしょ?」
「・・・ええ。」
「今ね、どうも怪しい動きをしている方がいらっしゃるから、ちょっと、我慢ができなくなっちゃって・・・ねぇ、殿下?・・・まさか、見つかってらっしゃいませんよね?」
ミレイは確信が掴めるまでは信じないといった素振りでルルーシュに確認してくる。ルルーシュはスザクをちらりと見て、それから、深く溜め息をついた。
「・・・心配をかけるから言いたくはなかったんだが・・・ユフィに見つかった。」
「・・・やっぱり、そうでしたか。・・・最近のユーフェミア様の行動は、どうも、殿下方の生存を知っているようなものでしたから。」
「・・・調べたのか・・・相変わらず優秀だな、ミレイ。」
「お褒め頂けたと思って良いのかしら?・・・まあ、皇族方の動きを探るのは“守護者”の役目ですもの。」
「生徒会の仕事を放ってまでやることなのか・・・?」
呆れたようにルルーシュが言えば、ミレイはふんぞりかえった。
「当然です!私にとって、殿下が一番です。」
「・・・そのしわ寄せが俺達に来てるんだが・・・なぁ?」
はぁ、と溜め息をついて、リヴァル達に肩を竦めてみせる。
「・・・は、はは。そうだよなぁ。会長、駄目っすよ、本末転倒ってヤツっす。」
「む。言うわね~リヴァル。」
「・・・で、でも、ユーフェミア様に見つかったって・・・いつ・・・。」
ニーナが問う。ユーフェミアのことなら何でも知りたいというのが本音だろうが、そんな素振りは見せなかったルルーシュに、疑問を持ったのも事実だ。
「・・・ついこの間だな。・・・キュウシュウ戦役の少し前・・・。」
そこまで言って、ルルーシュは言葉を切る。その頃、ユーフェミアの姿を確認している2人が気付くのではないかと危惧したためだ。
「・・・キュウシュウの前?・・・そんなこと、ユフィは・・・。」
スザクは考え込み、カレンはそのスザクを睨むだけ。どうやら気付かれていないらしいと判断すると、ルルーシュはホッと息をつく。
「黙っていてくれと頼んだんだ。・・・その様子じゃ、スザクにも話していないってことだし、コーネリア姉上にも話してないな。」
「でも、あれじゃ、いずれはバレるでしょうねぇ。・・・どうなさるおつもりですか?」
「どうもしないよ・・・ここにいることがバレたら、新しい居場所を見つけるだけさ。・・・その目星はつけてあるから。」
「・・・そうしたら、私もお連れ下さいね?」
ミレイがそっとルルーシュの手を握る。
「・・・貴方を二度と失いたくはないのです。・・・情勢も不安な日本へと向かわれたと聞いた時、どんなに絶望したか!」
手を握る力を強くする。
「私を置いていかないでください殿下。もし、置いていっても、どこまでも追いかけていきますから!!」
「・・・やれやれ、とんだ脅し文句だな。・・・まったく。」
呆れたように言って、ルルーシュは苦笑する。
「わかってるよ、ミレイ。君を置いて行ったりしないよ。」
2人から漂う甘い雰囲気に、皆が呆然とする。
「・・・会長・・・その、ルルと・・・どういう関係・・・なんですか。」
シャーリーが先ほどから聞きそびれていたことをもじもじとしながらも尋ねる。
「・・・ん~・・・そうねぇ、一言では説明できない関係ね。・・・幼馴染で、許嫁で、主従で、守り守られるもの・・・。」
「許嫁って・・・ロイド先生との婚約は・・・。」
ニーナが焦ったように問うと、ミレイは苦笑した。
「ん~?元、許嫁ってことね、殿下がまだ、ブリタニアにいらした頃の。・・・それにね、ロイドさんとの婚約は、伯爵位を持つ人と婚約すれば、殿下を守る力になるかなって思ったからなんだけど・・・殿下がアッシュフォードの元にいるとバレたなら、それも意味がなくなるわねぇ。」
あっさりと言ってのけ、ミレイはルルーシュの腕に自分の腕を絡める。
「いつだって私の一番は殿下。行動の理由も殿下なの。」
「・・・ミレイ・・・殿下って呼ぶなって言ってるだろ?」
「・・・じゃあ、我が君。」
にっこり。
「・・・もう、好きに呼んでくれ・・・;」
反論することさえ諦め、ルルーシュは肩を落とす。
「はい。好きに呼びます。・・・ねぇ、我が君?」
「・・・なんだ、ミレイ。」
「愛しています。」
大胆で、大真面目なミレイの告白に、目の前の展開についていけてなかった生徒会役員は、ギョッとする。そして、ルルーシュがどう答えるのかと、一部の者はハラハラし、一部の者はドキドキと見守る。
「・・・?・・・知っているが?」
「うぉい!なんだその返事!!!」
リヴァルが思わず突っ込む。すると、ルルーシュは肩を竦める。
「何度も言われてるからな・・・。」
「回数の問題じゃねぇって!!」
またも鋭く突っ込むリヴァルに、ルルーシュは降参と手をあげる。
「・・・じゃあ、どう返事をしろって言うんだ?」
「え、あ、え~と・・・俺も愛してるよ~とか・・・すまない、君のことは好きだけど愛じゃない、とか・・・。」
ルルーシュの声音を真似て言うリヴァルにふきだしながら、ルルーシュはミレイを見る。
「ミレイ、そんな答えが欲しいのか?」
「・・・ま、たまには欲しいですね。」
ミレイは笑う。その笑顔はとても美しい。皆が見惚れていると、ルルーシュはしょうがないな、と呟く。
「じゃあ、正直に答えよう・・・・・・俺も愛してるよ、ミレイ。」
「「「ぎゃぁ~~~~~っ!!」」」
ルルーシュが答えたのに対して叫んだのは、ルルーシュに思いを寄せるシャーリー、ミレイに猛アタック中のリヴァル、そして・・・なぜかスザク。
「・・・おま、何でスザクまで叫んでんだよ;」
「うっ・・・な、なんとなく?」
本人自覚無しでショックだったらしいが、それを教えてやる親切な人間はここにはいない。
「うふふ。かなり満足!・・・リヴァル、ありがとう。」
「・・・ううう~・・・。俺はかなりショックっす・・・。」
落ち込むリヴァルを慰めつつ、シャーリーもショックを隠せない。
「・・・ごめんねー、シャーリー。」
ぽそり、とミレイがシャーリーに耳打ちする。
「会長・・・。」
「さて、諸君!・・・今、ここで見聞きしたことは口外無用!万が一でも口に出そうもんなら、ぶっ潰すのでよろしくぅ!」
いつもの調子で言うミレイだが、目はマジだ。役員全員がこくこくと頷くのを確認して、ミレイはルルーシュに笑いかけた。
「・・・じゃあ、来るべき日まで。・・・また、よろしくね?ルルちゃん。」
「・・・ええ。よろしくお願いします。会長。」
2人は再び仮面を被り合い、そして、来るべき日を待つ。
おしまい
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・ミレルル
・時間軸はキュウシュウ戦役~学園祭
・シャーリーに記憶はありますが、ルル=ゼロは知りません
・騎士団は出てきません
・本編は軽く無視!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・愛しています。我が君。」
「ああ。知っているよ。」
顔色も変えずに返された言葉に満足する。今は生徒会室に2人きり・・・。
ルルーシュとナナリーの兄妹をアッシュフォードに迎え入れて7年。よくぞここまで我慢してくれていた、とミレイは思う。最初の頃は、いつ、この兄妹が出て行ってしまうのではないかと怯える毎日だった。
だが、ルルーシュとナナリーは、いや、この場合、ルルーシュは、と言った方が良い。彼は幼い頃から優秀で何でも出来た。だからこそ、プライドを捨てて“普通”を演じることがどれだけ難しいか、ミレイにはその心中は計り知れない。
「ねえ、ルルーシュ様。」
「何だ・・・ミレイ?」
ルルーシュは視線を書類に落としたまま応じる。ミレイはそんなルルーシュに苦笑しつつ、ずっと不安に思っていたことを口にする。
「・・・いつ・・・ここからいなくなってしまうのですか?」
ルルーシュの視線が書類からミレイに向けられる。ミレイの表情は真剣そのもの。ルルーシュはフッと息をつき、そして、苦笑をうかべた。
「どうしたんだ?いきなり。」
「・・・だって・・・最近のルルーシュ様はとてもお忙しいようですから・・・それに、賭けチェスだって、リヴァルに付き合わされているように見えますけれど、ご自身が貴族とのコネクションを作ろうとなさっていらっしゃるんじゃありませんか?」
「・・・ミレイ・・・お前。」
我慢が出来なくなったのか、と嘆息する。さすがに気付かれていたらしい最近の己の行動に、迂闊だったと反省する。
「答えて下さい、殿下。」
「・・・そう呼ぶなと言ったろう?」
「今、ここには私達だけです。」
答えをはぐらかそうにも、自分の手口はミレイにはお見通しだ。ルルーシュは早々に降参の白旗をあげる。
「・・・わかった、認める。・・・そうだよ。資金源の確保に動いてた。それに、貴族に恩を売っておけば、いずれ、反旗を翻す時に役に立つと思ってな。」
「・・・やはり、諦めてはいなかったんですね。」
「当たり前だろう?・・・俺は、ナナリーのためにも、何者にも怯えずに暮らせる居場所を作らなければならない。」
ルルーシュの答えに、ミレイは目を伏せる。
「・・・そう、ですよね。アッシュフォードがいつまで貴方達を匿うことができるか・・・そう考えれば、貴方の行動は理に適ったものです。・・・ですが・・・っ!?」
カタン、という小さな音を耳で捉え、ミレイは言葉を切って、バッと後ろを振り返る。
そこに居たのは、シャーリー、リヴァル、ニーナ、カレン、スザクの5人。運も悪く、生徒会役員の全員が揃っていた。
「・・・申し訳ございません!」
ミレイはすぐさまルルーシュを振り返り、謝罪を口にする。
「・・・気付かなかったのは俺も同じだ。ミレイ、君だけのせいじゃない。」
ミレイの行動に目を瞠り、そして、そう言って、笑みを浮かべる。
「な、何、何?・・・どういうコト?」
リヴァルが不安げに視線を揺らせる。
「聞いてたんでしょう?なら、答えは決まりきっているわね。」
明確な答えを言わないミレイに、リヴァルは困り切った表情で皆を振り返る。そして、1人顔色を変えていないスザクに首を傾げた。
「・・・スザク??」
「・・・あ、いや・・・僕は、知ってたから・・・。」
そう言ったきり黙りこんでしまったスザクの表情は、どこか悔しげだった。
「そうよねぇ、スザク君は殿下が日本に“留学”で来られた時に身元を引き受けていた枢木首相の息子さんだものねぇ。」
ミレイはスザクを冷めた目で見つめる。
「ミレイ。」
窘める様にルルーシュが名を呼ぶ。それだけでミレイはスザクから興味は失せたとばかりに視線を外す。
「ミレイちゃん、副会長・・・反旗って・・・。」
ニーナがスザクを気にしつつ、怖々と訊ねてくる。
「・・・俺とナナリーは皇室から隠れている。戻ったら最後、殺されるか、利用されるかだからな。」
「どうして?・・・話からして、皇族なんでしょ?」
眉を顰め、ルルーシュを睨んでカレンが言う。隠しきれない苛烈さにニーナがビクリと怯え、シャーリーとリヴァルが首を傾げる。
「(病弱設定を忘れてるな・・・。)・・・カレン、ブリタニアは弱者には冷たい。そういう国是だ。・・・俺達は皇室に戻っても、有力な後ろ盾が無い。・・・それは、つまり、何もする力が無いのと同義。つまり、弱者だ。」
「だからって殺されるわけ・・・。」
「あるのよ、カレン。・・・だって、殿下方は死ぬために日本へ送られたようなものだもの。」
その言葉に皆が一様に驚く。それは、事情を知っていたスザクさえもそうで。
「・・・殿下方は、7年前、母君マリアンヌ様をテロで亡くされているわ。・・・本当にテロかどうか疑わしいけれどね。・・・その事件のせいでナナリー皇女殿下は足を悪くされ、精神的なものから視力を失われた。・・・唯一の後ろ盾だった私達アッシュフォードは、皇妃様を守れなかったことで急激に権力を失い、爵位を失った。」
「当時10歳の俺は、父、皇帝になぜ母を守ってくれなかったのか、ナナリーの見舞いにも来ないのは何故かと問い質しに行った。・・・奴の答えは簡潔なものだったよ。弱者に用は無いと、己の力で生きたことが無い俺は死んでいるのだと、そう、断じられて、日本への取引材料として行くことを命じられたんだ。」
淡々と説明するミレイとルルーシュに、カレンは呆然とし、そして、ぐっと手を握りしめる。
「・・・どうして、そんなに淡々と・・・。」
「憎くないわけがない。だが、ここで怒りをぶちまけてどうなる?・・・自分達が不快な思いをするだけだ。」
さらりと答え、ルルーシュは椅子から立ち上がる。
「ミレイ、先ほどの続きだが・・・、俺は、まだ、ここにいるつもりだよ。アッシュフォードが出て行けと言わない限りはな。」
「そんなこと、言うわけがありません!・・・いえ、この私が言わせません!!」
ミレイは叫ぶ。ルルーシュを失えば、ミレイは何のために生きるのかわからなくなってしまう。それだけ、ルルーシュのことを愛しているし、必要としている。
「私が、必ず貴方をお守り致します!」
「・・・だが・・・。」
「アッシュフォードはマリアンヌ様を守れなかった。・・・そのうえ殿下方を見捨てたとなれば、これ以上の汚名は無いでしょう。・・・おじい様方が何と言おうと、私が殿下方を放逐などさせません!」
ミレイの変わりように、そして、ルルーシュ達の事情に目を白黒させていた皆が、ようやく正気に戻る。
「・・・な、なぁ、ルルーシュ・・・殿下。」
「リヴァル・・・頼むから、お前まで殿下なんて呼ばないでくれ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは死んだんだ。・・・本当だぞ?公式な記録で死んだことになってる。」
「ま、マジかよ・・・。」
「ああ。マジだ。・・・日本が敗戦した時にな、アッシュフォードが俺達を匿ってくれた。その時に、皇室に戻っても、また、どこぞの国に人質として送られるか、形上だけの皇族として飼い殺されるかどちらかだから、いっそ、死んだことにして、別人として生きるようにと言われて・・・ランペルージという姓はエリアに移り住むブリタニア人の申請受理のドサクサに紛れて作りあげた偽の素性なんだ。」
「・・・か、会長・・・。」
シャーリーがミレイを見ると、ミレイはひょい、と肩を竦める。
「ま、そういうコトね。・・・本当に7年間よく我慢して下さっていたと思うわ。・・・殿下は本当は“できる子”だものね?」
シャーリーがいつも言う言葉を使って、ミレイは同意を求める。シャーリーがおずおずと頷くと、苦笑する。
「もう少し、黙って見ていようかと思ったんだけれど、情勢がそれを許さなくなってきたからねぇ。」
「情勢?」
カレンが問う。
「そうよ~。・・・殿下方が皇族の誰かに見つかってしまえばもう、そこでこの生活はお終いなの。わかるでしょ?」
「・・・ええ。」
「今ね、どうも怪しい動きをしている方がいらっしゃるから、ちょっと、我慢ができなくなっちゃって・・・ねぇ、殿下?・・・まさか、見つかってらっしゃいませんよね?」
ミレイは確信が掴めるまでは信じないといった素振りでルルーシュに確認してくる。ルルーシュはスザクをちらりと見て、それから、深く溜め息をついた。
「・・・心配をかけるから言いたくはなかったんだが・・・ユフィに見つかった。」
「・・・やっぱり、そうでしたか。・・・最近のユーフェミア様の行動は、どうも、殿下方の生存を知っているようなものでしたから。」
「・・・調べたのか・・・相変わらず優秀だな、ミレイ。」
「お褒め頂けたと思って良いのかしら?・・・まあ、皇族方の動きを探るのは“守護者”の役目ですもの。」
「生徒会の仕事を放ってまでやることなのか・・・?」
呆れたようにルルーシュが言えば、ミレイはふんぞりかえった。
「当然です!私にとって、殿下が一番です。」
「・・・そのしわ寄せが俺達に来てるんだが・・・なぁ?」
はぁ、と溜め息をついて、リヴァル達に肩を竦めてみせる。
「・・・は、はは。そうだよなぁ。会長、駄目っすよ、本末転倒ってヤツっす。」
「む。言うわね~リヴァル。」
「・・・で、でも、ユーフェミア様に見つかったって・・・いつ・・・。」
ニーナが問う。ユーフェミアのことなら何でも知りたいというのが本音だろうが、そんな素振りは見せなかったルルーシュに、疑問を持ったのも事実だ。
「・・・ついこの間だな。・・・キュウシュウ戦役の少し前・・・。」
そこまで言って、ルルーシュは言葉を切る。その頃、ユーフェミアの姿を確認している2人が気付くのではないかと危惧したためだ。
「・・・キュウシュウの前?・・・そんなこと、ユフィは・・・。」
スザクは考え込み、カレンはそのスザクを睨むだけ。どうやら気付かれていないらしいと判断すると、ルルーシュはホッと息をつく。
「黙っていてくれと頼んだんだ。・・・その様子じゃ、スザクにも話していないってことだし、コーネリア姉上にも話してないな。」
「でも、あれじゃ、いずれはバレるでしょうねぇ。・・・どうなさるおつもりですか?」
「どうもしないよ・・・ここにいることがバレたら、新しい居場所を見つけるだけさ。・・・その目星はつけてあるから。」
「・・・そうしたら、私もお連れ下さいね?」
ミレイがそっとルルーシュの手を握る。
「・・・貴方を二度と失いたくはないのです。・・・情勢も不安な日本へと向かわれたと聞いた時、どんなに絶望したか!」
手を握る力を強くする。
「私を置いていかないでください殿下。もし、置いていっても、どこまでも追いかけていきますから!!」
「・・・やれやれ、とんだ脅し文句だな。・・・まったく。」
呆れたように言って、ルルーシュは苦笑する。
「わかってるよ、ミレイ。君を置いて行ったりしないよ。」
2人から漂う甘い雰囲気に、皆が呆然とする。
「・・・会長・・・その、ルルと・・・どういう関係・・・なんですか。」
シャーリーが先ほどから聞きそびれていたことをもじもじとしながらも尋ねる。
「・・・ん~・・・そうねぇ、一言では説明できない関係ね。・・・幼馴染で、許嫁で、主従で、守り守られるもの・・・。」
「許嫁って・・・ロイド先生との婚約は・・・。」
ニーナが焦ったように問うと、ミレイは苦笑した。
「ん~?元、許嫁ってことね、殿下がまだ、ブリタニアにいらした頃の。・・・それにね、ロイドさんとの婚約は、伯爵位を持つ人と婚約すれば、殿下を守る力になるかなって思ったからなんだけど・・・殿下がアッシュフォードの元にいるとバレたなら、それも意味がなくなるわねぇ。」
あっさりと言ってのけ、ミレイはルルーシュの腕に自分の腕を絡める。
「いつだって私の一番は殿下。行動の理由も殿下なの。」
「・・・ミレイ・・・殿下って呼ぶなって言ってるだろ?」
「・・・じゃあ、我が君。」
にっこり。
「・・・もう、好きに呼んでくれ・・・;」
反論することさえ諦め、ルルーシュは肩を落とす。
「はい。好きに呼びます。・・・ねぇ、我が君?」
「・・・なんだ、ミレイ。」
「愛しています。」
大胆で、大真面目なミレイの告白に、目の前の展開についていけてなかった生徒会役員は、ギョッとする。そして、ルルーシュがどう答えるのかと、一部の者はハラハラし、一部の者はドキドキと見守る。
「・・・?・・・知っているが?」
「うぉい!なんだその返事!!!」
リヴァルが思わず突っ込む。すると、ルルーシュは肩を竦める。
「何度も言われてるからな・・・。」
「回数の問題じゃねぇって!!」
またも鋭く突っ込むリヴァルに、ルルーシュは降参と手をあげる。
「・・・じゃあ、どう返事をしろって言うんだ?」
「え、あ、え~と・・・俺も愛してるよ~とか・・・すまない、君のことは好きだけど愛じゃない、とか・・・。」
ルルーシュの声音を真似て言うリヴァルにふきだしながら、ルルーシュはミレイを見る。
「ミレイ、そんな答えが欲しいのか?」
「・・・ま、たまには欲しいですね。」
ミレイは笑う。その笑顔はとても美しい。皆が見惚れていると、ルルーシュはしょうがないな、と呟く。
「じゃあ、正直に答えよう・・・・・・俺も愛してるよ、ミレイ。」
「「「ぎゃぁ~~~~~っ!!」」」
ルルーシュが答えたのに対して叫んだのは、ルルーシュに思いを寄せるシャーリー、ミレイに猛アタック中のリヴァル、そして・・・なぜかスザク。
「・・・おま、何でスザクまで叫んでんだよ;」
「うっ・・・な、なんとなく?」
本人自覚無しでショックだったらしいが、それを教えてやる親切な人間はここにはいない。
「うふふ。かなり満足!・・・リヴァル、ありがとう。」
「・・・ううう~・・・。俺はかなりショックっす・・・。」
落ち込むリヴァルを慰めつつ、シャーリーもショックを隠せない。
「・・・ごめんねー、シャーリー。」
ぽそり、とミレイがシャーリーに耳打ちする。
「会長・・・。」
「さて、諸君!・・・今、ここで見聞きしたことは口外無用!万が一でも口に出そうもんなら、ぶっ潰すのでよろしくぅ!」
いつもの調子で言うミレイだが、目はマジだ。役員全員がこくこくと頷くのを確認して、ミレイはルルーシュに笑いかけた。
「・・・じゃあ、来るべき日まで。・・・また、よろしくね?ルルちゃん。」
「・・・ええ。よろしくお願いします。会長。」
2人は再び仮面を被り合い、そして、来るべき日を待つ。
おしまい
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BLOG : 拍手お返事や創作日記など・・・不定期更新
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