Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・騎士団幹部には皇族・ゼロバレ済み
・スザ→カレルルカレ
・スザクにかなり厳
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 許せない。ゼロがどんな気持ちで反逆しているのか知りもしない癖に。
― どうして、平然とここにいるの?まさか、彼らのおかれている立場に、気づいていないとでもいうの?・・・知っているハズなのに?
***
カレンはイライラと机を指で叩く。
不機嫌MAXな表情も素敵だ、と男子生徒達が見つめる中、病弱設定が疑われそうな程、カレンは苛立っていた。
「どうしたの、カレン。さっきからすっごい怖い顔してるよ?」
「あ、シャーリー・・・私、そんなにすごい顔していた?」
慌てて表情を取り繕ったカレンは、シャーリーに向かい、首を傾げた。
「うん。・・・何見て怒ってたの?」
シャーリーは先ほどまでカレンが見つめていた先を見る。
「・・・スザク君とナナちゃんのお兄さん?」
父親が死んだナリタの一件の少し後以来からだろうか、シャーリーはルルーシュを以前のように認識しなくなった。ゼロだとバレたのだろうかと思ったが、ルルーシュもそのような素振りはしていないので、首を傾げるばかりだ。
「・・・ええ。ちょっと。」
「なぁに?・・・2人に嫌なコトされたの?」
食い下がるシャーリーに、カレンは辟易しながらも答える。
「嫌なコトされたワケじゃないの。ただ・・・悔しいだけ。」
「悔しい?」
「そう。・・・(守ると言ったのに)何もできない自分が。」
ニュアンスを曖昧にした事で、シャーリーが本音に気付かないように装う。
苛立っていたのは、枢木スザクがルルーシュの傍にいる事に対してだ。その上、黒の騎士団を否定するような言葉を吐いているのを、通り際に聞いてしまった。
ルルーシュは(おそらく)聞き流して相槌を打っているだけだが、全く耳に入らないワケではないだろう。
「悔しい・・・。」
「・・・カレンは体が弱いもんね。でも、カレンはカレンなんだし、できることをやればイイと思うよ?」
カレンの狙い通り、勘違いをしてくれたシャーリーは、慰めの言葉を口にする。
「・・・私が、できること・・・。」
「そうそう。」
思わぬ方向からヒントを得たカレンは、ニコニコと笑うシャーリーの手を掴む。
「ありがとう、シャーリー。」
「え?ああ、どういたしまして?」
カレンは戸惑うシャーリーに礼を言うと、席から立ち上がり、ルルーシュ(とスザク)の元に行く。
「・・・お話し中ごめんなさい。ルルーシュ君、ちょっといいかしら?」
割り込んだ上に、ルルーシュを連れて行こうとするカレンに、スザクは不満そうな視線を向ける。
「急用なの?」
「ええ。ごめんなさい。」
「・・・悪いな、スザク。また後で。」
カレンの行動の意図が読めないルルーシュは、首を傾げつつカレンに引っ張られていく。 元々、ルルーシュがフェミニストなのは周知の事実なので、断らなかった事には誰も疑問を持たなかった。
***
「カレン、どうしたんだ?騎士団に何かあったのか?・・・カレン!?」
屋上まで無言で連れてこられたルルーシュは、カレンの涙の溜まった目を見て、ギョッとする。
「・・・何か、あったんだな?」
ふるり、と首を横に振るカレンに、では、何だ?と首を傾げる。
「悔しくて。」
「・・・悔しい?」
「私、貴方を守るって言ったのに。・・・学園で、目の前でスザクに・・・っ。」
要領を得ない話し方になっているカレンだが、ルルーシュは言わんとしている事を察して苦笑する。
「・・・そうか。俺を守ってくれようとして、ここまで連れてきてくれたのか。」
穏やかな声に、カレンはハッとしてルルーシュを見上げる。その顔にうかぶ表情は、柔らかい笑顔。
「ありがとう。カレン。・・・俺は大丈夫だよ。気持ちだけで充分だ。」
「でもっ・・・。」
「休み時間の度に、こんな風にするわけにもいかないだろ?」
ひょい、と肩を竦めたルルーシュに、カレンもわかっていると頷く。
「・・・だから、一緒にいてもおかしくないような、いい方法があるの。」
― それこそ、ルルーシュとスザクとの関係のように。
呟くカレンに、ルルーシュが首を傾げる。
「・・・どんな?」
尋ねるルルーシュに、カレンはニコリと笑う。背後に複数の気配を感じ、笑みを深める。恐らく、ルルーシュも気づいているだろうが、今、ルルーシュの意識は、すべてカレンに向けられている。
― 他の誰でもない。私だけができることだ。
「私を恋人にして?」
少し大きめの声で。後ろで聞き耳を立てている者達にも聞こえるように。そして、鈍感なルルーシュにもわかるように直接的な言葉で。
「っ///・・・か、カレン?」
慌てたルルーシュがちらりと屋上の入り口を確認する。
「・・・貴方の騎士である私だからこそ、なれる位置でしょう?・・・もちろん、本当に恋人にしてくれるなら、嬉しいけど。」
今度は、ルルーシュに届く程度の声で。顔が熱い、火が出そうだ。そう思いながら、彼の顔を見上げると、カレン以上に真っ赤に染まったルルーシュの困り顔がそこにあった。
「か、カレ、ン。」
「うん。・・・大好きよ、ルルーシュ。」
猫かぶりをしていない平素の、二人きりの時のように名を呼んで。とびっきりの笑顔をルルーシュに向ける。
告白され慣れているハズのルルーシュであるのに、口元を押さえ、完全に混乱している。事情をすべて知っても、ルルーシュを受け入れてくれたカレン。一度懐に入れた者には甘くなる傾向のルルーシュだが、信頼と恋愛では、甘くなる意味合いが違う。
「・・・お・・・俺の、一番は・・・ナナリーで・・・。」
「ええ。知っているわ。・・・ナナリーちゃんを大切にしている、貴方だから好き。」
そう言われるのはわかっていたとばかりに、カレンは平然として答え、猛アタックを続ける。
「・・・・・・カレン、俺は・・・。」
躊躇うのは、カレンの事を考えての事。カレンは日本を取り戻すという目標がある。その為に“ゼロ”であるルルーシュを守ると言ってくれている。その延長線上の恋愛ならば、しない方が良い。
「余計な事、考えてない?・・・私は(ゼロであることを抜いても)ただの貴方が好きなの。(騎士になるだけじゃ、身は守れても心は守れない。)」
読唇術は心得ている。だから、ルルーシュはカレンが迷いなく“ゼロ”でなくても、と言った事に驚く。
「・・・本気か?」
「本気よ。・・・私を、信じて。」
既視感。あの時のカレンの言葉がルルーシュの脳裏に蘇る。
『私は貴方を信じる。だから・・・お願い、ルルーシュ。私を信じて』
「・・・ああ。信じるよ、カレン。・・・君さえ良いのなら、俺と付き合ってほしい。」
ふわり、と笑った顔は、ルルーシュにとって最も大切な妹へ向けるものよりも幾分か多く甘さをまとったもの。
「喜んで。」
ガタタッ
背後の大きな音に、カレンはクスリと笑う。
「・・・カレン。」
軽く咎めるように名を呼んで、ルルーシュは屋上の入口へと向かい、ドアノブに手をかけ、手前に引く。
「・・・。」
「「「「・・・。」」」」
しばし無言で見つめ合い、ルルーシュは大きな溜め息をついた。
「はぁ。・・・覗き見なんて、良い趣味とは言えませんね?会長。それに、皆まで。」
「だぁって、リヴァルが大変だーって。」
「はぁ!?オレっすか!・・・イヤイヤ、違うぞ!ルルーシュ!!スザクがだな!」
「えっ!だ、だって、その、僕・・・気になって、その・・・。ね?気になるよね、シャーリー。」
「ふぇっ!?・・・あ、えと、カレンが、その・・・どうするのか気になった、かな。」
それぞれに理由をつけながら、ワタワタと立ち上がる。
「まあ、隠すつもりなんてありませんからいいですけど。・・・会長。俺、カレンと付き合うことにしましたから。」
「・・・・・・そ。じゃあ、今日は、ルルちゃんとカレンのお付き合い開始パーティーね!!」
ニッコリ笑ったミレイは、途端にイベントへと発展させる。
「こうと決まったら、全校にお知らせしなくっちゃ!!」
「か、会長~!!待って下さいって!!」
走り出したミレイに、慌ててリヴァルがついて行く。
「・・・る、ルルーシュ。」
「ん?なんだ、スザク。」
青い顔をしたスザクに、ルルーシュは首を傾げる。
「・・・あ、えと、本気で?・・・本気でカレンさんと付き合うの?」
「ああ。本気だよ。・・・祝福してくれるだろう?スザク。」
二コリ。
ああ、その笑顔、可愛いなぁ。と思いつつ。スザクはこの場で一番ふさわしい言葉を口にする。
「うん。もちろんだよ・・・。」
とりあえず、ルルーシュに嫌われたくない。幼馴染で友達という座から引きずり降ろされるわけにはいかない。そんな思いで頷く。
「良かった。・・・お前も、ユーフェミア皇女殿下の騎士として彼女を支えてやれよ。」
「う、うん。もちろんだよ・・・。」
同じ言葉しか出てこないのは、余裕のない証拠だ。
― ざまぁみろ!枢木スザク!
カレンが壮絶な笑みを見せる。それが目に入ったのは、スザクだけ。ルルーシュは位置的にカレンの前にいて、シャーリーはそのルルーシュが壁になっていて、その笑顔が見えていない。
ギョッとするスザクに、ルルーシュは不思議そうにしながらもポン、と肩を叩いて声をかける。
「ほら、授業に遅れるぞ?スザク。2人も、早く教室に帰った方が良い。」
カレンとシャーリーの方を振り返り、ルルーシュは促す。
「ええ。そうね。・・・いきましょ、シャーリー。」
「うん。」
2人が屋上を出て行くのを見送ると、ルルーシュはスザクが固まったままなのに気づく。
「スザク、行かないのか?」
「・・・あ・・・え、えと。行くよ。行く行く。」
声をかけられ、スザクがようやく行動を開始する。
「しょうがない奴だな。」
呆れたように言い、クスクスと笑う。
― ああ、好きだなぁ。
悲しく思いながらもスザクは無理に笑顔を作り、ルルーシュの後をついていった。
***
「・・・枢木君、何か用?」
教室に残っていたカレンはふと顔をあげる。前の入り口にたたずむスザクを訝しげに見つめる。
「・・・どういうつもり?」
「・・・どうって?」
「ルルーシュをどうするつもりなの?・・・まさか、黒の騎士団にー・・・!」
そう。神根島の一件で、スザクにはカレンが紅蓮弐式のパイロットであることがバレている。だからこそ、待っていたのだ。イベントで学校中が盛り上がる今。教室に一人きりでいれば、スザクから寄ってくるだろうと。
「・・・彼を利用するつもりはないわ。保護はするつもり。」
「保護?黒の騎士団が?・・・ありえないよ。警察や軍が保護するならともかく、レジスタンスが・・・。」
「あんた、ホントに馬鹿ね。・・・ルルーシュ達の立場がわかってるの?警察や軍にルルーシュが連れて行かれれば、どうなるか想像つかない?」
スザクの言葉を遮り、カレンは溜め息交じりに言う。
「・・・想像って・・・。」
思い当った様子を見せないスザクに、カレンは苛立ちを募らせる。
「・・・ルルーシュは皇室から逃げてるのよ!?もう2度と利用されたくないから、お母さんの二の舞で殺されるわけにはいかないから!・・・あんただって、知ってるんでしょう?知ってるのに、何で気付かないの!?」
「カレン、君、ルルーシュの素性を・・・。」
「知ってるわよ!・・・ここは危険になったのよ。軍は間借りしてるし、皇族の騎士がふらふら出入りするし!・・・悲しそうに笑うルルーシュを見てられないから、私は彼を守ると決めたのよ!」
バン、と机を叩いて立ち上がり、カレンはスザクを睨みつける。
「あんたは、ユーフェミアを守っていれば良い。ルルーシュは私が守る。私が、ルルーシュの恋人という名の守り手になる!」
― 両方が欲しいなんて、贅沢すぎる!
「僕は・・・っ。」
「あんたが一番の脅威なのよ。・・・皇族の騎士であるあんたがこの学園に入り浸っていて、軍人があんたを呼びに来たとして・・・その軍人が、ルルーシュを知っていて、皇族に知らせないと、誰が言えるの!?」
実際に、ルルーシュから聞いた話では、あのオレンジ(ジェレミア)はかつてルルーシュ達が暮らしていたアリエスの離宮の衛兵をしていたらしいし、あり得ないとは言えないハズだ。
「それは・・・。」
「ここにいないで。・・・あんたが出ていかないのなら、私がルルーシュを連れていく。」
「駄目だ!ルルーシュを危険な事に巻き込むつもりか!!」
「馬鹿言わないで!・・・あんたの方が、余計ルルーシュを危険に晒してるのよ!!?黒の騎士団の背後に何があるか、忘れたとは言わせないわ。・・・あんたの家だって、元々は所属していたんでしょ!」
「!・・・キョウト六家。」
「そう。(ナナリーちゃんは)キョウトに預けるわ。そうすれば、神楽耶様が守って下さる。」
「神楽耶が・・・でもっ・・・。」
カレンは言い合いで負けるつもりはない。ルルーシュを守る為だったら、どんな酷い言葉だってぶつける事ができる。
「ブリタニアに、ルルーシュは渡さない!もう、あの人は、安らぎを得たって良いハズだ。」
「・・・カレン、本気で・・・。」
言い切ったカレンに、スザクは言葉を詰まらせる。
「私は、あの人を裏切ったりしない。守るって言いながら、別の人間の手を取ったあんたの様にだけはならないわ。」
静かに告げるカレンの言葉が、スザクの胸にグサグサと突き刺さる。
「・・・正しいだけで何が守れるの?正しさを追求して、その先に何も残っていないとしたら、それは、あんたにとって意味のある結果なのかしらね。」
「・・・っぁ・・・。」
スザクが目を見開く。
カレンはそんな様子のスザクを見て、呆れたように溜息をもらす。
「・・・会話が平行線になる理由、わかった気がするわ。・・・私の話はこれでおしまい。・・・じゃあね。」
ひらり、と手を振り、カレンはその場を立ち去る。
残されたスザクは呆然とその場に立ち尽くしていた。
― 失ってから気づくなんて愚かだ。
おしまい
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・騎士団幹部には皇族・ゼロバレ済み
・スザ→カレルルカレ
・スザクにかなり厳
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 許せない。ゼロがどんな気持ちで反逆しているのか知りもしない癖に。
― どうして、平然とここにいるの?まさか、彼らのおかれている立場に、気づいていないとでもいうの?・・・知っているハズなのに?
***
カレンはイライラと机を指で叩く。
不機嫌MAXな表情も素敵だ、と男子生徒達が見つめる中、病弱設定が疑われそうな程、カレンは苛立っていた。
「どうしたの、カレン。さっきからすっごい怖い顔してるよ?」
「あ、シャーリー・・・私、そんなにすごい顔していた?」
慌てて表情を取り繕ったカレンは、シャーリーに向かい、首を傾げた。
「うん。・・・何見て怒ってたの?」
シャーリーは先ほどまでカレンが見つめていた先を見る。
「・・・スザク君とナナちゃんのお兄さん?」
父親が死んだナリタの一件の少し後以来からだろうか、シャーリーはルルーシュを以前のように認識しなくなった。ゼロだとバレたのだろうかと思ったが、ルルーシュもそのような素振りはしていないので、首を傾げるばかりだ。
「・・・ええ。ちょっと。」
「なぁに?・・・2人に嫌なコトされたの?」
食い下がるシャーリーに、カレンは辟易しながらも答える。
「嫌なコトされたワケじゃないの。ただ・・・悔しいだけ。」
「悔しい?」
「そう。・・・(守ると言ったのに)何もできない自分が。」
ニュアンスを曖昧にした事で、シャーリーが本音に気付かないように装う。
苛立っていたのは、枢木スザクがルルーシュの傍にいる事に対してだ。その上、黒の騎士団を否定するような言葉を吐いているのを、通り際に聞いてしまった。
ルルーシュは(おそらく)聞き流して相槌を打っているだけだが、全く耳に入らないワケではないだろう。
「悔しい・・・。」
「・・・カレンは体が弱いもんね。でも、カレンはカレンなんだし、できることをやればイイと思うよ?」
カレンの狙い通り、勘違いをしてくれたシャーリーは、慰めの言葉を口にする。
「・・・私が、できること・・・。」
「そうそう。」
思わぬ方向からヒントを得たカレンは、ニコニコと笑うシャーリーの手を掴む。
「ありがとう、シャーリー。」
「え?ああ、どういたしまして?」
カレンは戸惑うシャーリーに礼を言うと、席から立ち上がり、ルルーシュ(とスザク)の元に行く。
「・・・お話し中ごめんなさい。ルルーシュ君、ちょっといいかしら?」
割り込んだ上に、ルルーシュを連れて行こうとするカレンに、スザクは不満そうな視線を向ける。
「急用なの?」
「ええ。ごめんなさい。」
「・・・悪いな、スザク。また後で。」
カレンの行動の意図が読めないルルーシュは、首を傾げつつカレンに引っ張られていく。 元々、ルルーシュがフェミニストなのは周知の事実なので、断らなかった事には誰も疑問を持たなかった。
***
「カレン、どうしたんだ?騎士団に何かあったのか?・・・カレン!?」
屋上まで無言で連れてこられたルルーシュは、カレンの涙の溜まった目を見て、ギョッとする。
「・・・何か、あったんだな?」
ふるり、と首を横に振るカレンに、では、何だ?と首を傾げる。
「悔しくて。」
「・・・悔しい?」
「私、貴方を守るって言ったのに。・・・学園で、目の前でスザクに・・・っ。」
要領を得ない話し方になっているカレンだが、ルルーシュは言わんとしている事を察して苦笑する。
「・・・そうか。俺を守ってくれようとして、ここまで連れてきてくれたのか。」
穏やかな声に、カレンはハッとしてルルーシュを見上げる。その顔にうかぶ表情は、柔らかい笑顔。
「ありがとう。カレン。・・・俺は大丈夫だよ。気持ちだけで充分だ。」
「でもっ・・・。」
「休み時間の度に、こんな風にするわけにもいかないだろ?」
ひょい、と肩を竦めたルルーシュに、カレンもわかっていると頷く。
「・・・だから、一緒にいてもおかしくないような、いい方法があるの。」
― それこそ、ルルーシュとスザクとの関係のように。
呟くカレンに、ルルーシュが首を傾げる。
「・・・どんな?」
尋ねるルルーシュに、カレンはニコリと笑う。背後に複数の気配を感じ、笑みを深める。恐らく、ルルーシュも気づいているだろうが、今、ルルーシュの意識は、すべてカレンに向けられている。
― 他の誰でもない。私だけができることだ。
「私を恋人にして?」
少し大きめの声で。後ろで聞き耳を立てている者達にも聞こえるように。そして、鈍感なルルーシュにもわかるように直接的な言葉で。
「っ///・・・か、カレン?」
慌てたルルーシュがちらりと屋上の入り口を確認する。
「・・・貴方の騎士である私だからこそ、なれる位置でしょう?・・・もちろん、本当に恋人にしてくれるなら、嬉しいけど。」
今度は、ルルーシュに届く程度の声で。顔が熱い、火が出そうだ。そう思いながら、彼の顔を見上げると、カレン以上に真っ赤に染まったルルーシュの困り顔がそこにあった。
「か、カレ、ン。」
「うん。・・・大好きよ、ルルーシュ。」
猫かぶりをしていない平素の、二人きりの時のように名を呼んで。とびっきりの笑顔をルルーシュに向ける。
告白され慣れているハズのルルーシュであるのに、口元を押さえ、完全に混乱している。事情をすべて知っても、ルルーシュを受け入れてくれたカレン。一度懐に入れた者には甘くなる傾向のルルーシュだが、信頼と恋愛では、甘くなる意味合いが違う。
「・・・お・・・俺の、一番は・・・ナナリーで・・・。」
「ええ。知っているわ。・・・ナナリーちゃんを大切にしている、貴方だから好き。」
そう言われるのはわかっていたとばかりに、カレンは平然として答え、猛アタックを続ける。
「・・・・・・カレン、俺は・・・。」
躊躇うのは、カレンの事を考えての事。カレンは日本を取り戻すという目標がある。その為に“ゼロ”であるルルーシュを守ると言ってくれている。その延長線上の恋愛ならば、しない方が良い。
「余計な事、考えてない?・・・私は(ゼロであることを抜いても)ただの貴方が好きなの。(騎士になるだけじゃ、身は守れても心は守れない。)」
読唇術は心得ている。だから、ルルーシュはカレンが迷いなく“ゼロ”でなくても、と言った事に驚く。
「・・・本気か?」
「本気よ。・・・私を、信じて。」
既視感。あの時のカレンの言葉がルルーシュの脳裏に蘇る。
『私は貴方を信じる。だから・・・お願い、ルルーシュ。私を信じて』
「・・・ああ。信じるよ、カレン。・・・君さえ良いのなら、俺と付き合ってほしい。」
ふわり、と笑った顔は、ルルーシュにとって最も大切な妹へ向けるものよりも幾分か多く甘さをまとったもの。
「喜んで。」
ガタタッ
背後の大きな音に、カレンはクスリと笑う。
「・・・カレン。」
軽く咎めるように名を呼んで、ルルーシュは屋上の入口へと向かい、ドアノブに手をかけ、手前に引く。
「・・・。」
「「「「・・・。」」」」
しばし無言で見つめ合い、ルルーシュは大きな溜め息をついた。
「はぁ。・・・覗き見なんて、良い趣味とは言えませんね?会長。それに、皆まで。」
「だぁって、リヴァルが大変だーって。」
「はぁ!?オレっすか!・・・イヤイヤ、違うぞ!ルルーシュ!!スザクがだな!」
「えっ!だ、だって、その、僕・・・気になって、その・・・。ね?気になるよね、シャーリー。」
「ふぇっ!?・・・あ、えと、カレンが、その・・・どうするのか気になった、かな。」
それぞれに理由をつけながら、ワタワタと立ち上がる。
「まあ、隠すつもりなんてありませんからいいですけど。・・・会長。俺、カレンと付き合うことにしましたから。」
「・・・・・・そ。じゃあ、今日は、ルルちゃんとカレンのお付き合い開始パーティーね!!」
ニッコリ笑ったミレイは、途端にイベントへと発展させる。
「こうと決まったら、全校にお知らせしなくっちゃ!!」
「か、会長~!!待って下さいって!!」
走り出したミレイに、慌ててリヴァルがついて行く。
「・・・る、ルルーシュ。」
「ん?なんだ、スザク。」
青い顔をしたスザクに、ルルーシュは首を傾げる。
「・・・あ、えと、本気で?・・・本気でカレンさんと付き合うの?」
「ああ。本気だよ。・・・祝福してくれるだろう?スザク。」
二コリ。
ああ、その笑顔、可愛いなぁ。と思いつつ。スザクはこの場で一番ふさわしい言葉を口にする。
「うん。もちろんだよ・・・。」
とりあえず、ルルーシュに嫌われたくない。幼馴染で友達という座から引きずり降ろされるわけにはいかない。そんな思いで頷く。
「良かった。・・・お前も、ユーフェミア皇女殿下の騎士として彼女を支えてやれよ。」
「う、うん。もちろんだよ・・・。」
同じ言葉しか出てこないのは、余裕のない証拠だ。
― ざまぁみろ!枢木スザク!
カレンが壮絶な笑みを見せる。それが目に入ったのは、スザクだけ。ルルーシュは位置的にカレンの前にいて、シャーリーはそのルルーシュが壁になっていて、その笑顔が見えていない。
ギョッとするスザクに、ルルーシュは不思議そうにしながらもポン、と肩を叩いて声をかける。
「ほら、授業に遅れるぞ?スザク。2人も、早く教室に帰った方が良い。」
カレンとシャーリーの方を振り返り、ルルーシュは促す。
「ええ。そうね。・・・いきましょ、シャーリー。」
「うん。」
2人が屋上を出て行くのを見送ると、ルルーシュはスザクが固まったままなのに気づく。
「スザク、行かないのか?」
「・・・あ・・・え、えと。行くよ。行く行く。」
声をかけられ、スザクがようやく行動を開始する。
「しょうがない奴だな。」
呆れたように言い、クスクスと笑う。
― ああ、好きだなぁ。
悲しく思いながらもスザクは無理に笑顔を作り、ルルーシュの後をついていった。
***
「・・・枢木君、何か用?」
教室に残っていたカレンはふと顔をあげる。前の入り口にたたずむスザクを訝しげに見つめる。
「・・・どういうつもり?」
「・・・どうって?」
「ルルーシュをどうするつもりなの?・・・まさか、黒の騎士団にー・・・!」
そう。神根島の一件で、スザクにはカレンが紅蓮弐式のパイロットであることがバレている。だからこそ、待っていたのだ。イベントで学校中が盛り上がる今。教室に一人きりでいれば、スザクから寄ってくるだろうと。
「・・・彼を利用するつもりはないわ。保護はするつもり。」
「保護?黒の騎士団が?・・・ありえないよ。警察や軍が保護するならともかく、レジスタンスが・・・。」
「あんた、ホントに馬鹿ね。・・・ルルーシュ達の立場がわかってるの?警察や軍にルルーシュが連れて行かれれば、どうなるか想像つかない?」
スザクの言葉を遮り、カレンは溜め息交じりに言う。
「・・・想像って・・・。」
思い当った様子を見せないスザクに、カレンは苛立ちを募らせる。
「・・・ルルーシュは皇室から逃げてるのよ!?もう2度と利用されたくないから、お母さんの二の舞で殺されるわけにはいかないから!・・・あんただって、知ってるんでしょう?知ってるのに、何で気付かないの!?」
「カレン、君、ルルーシュの素性を・・・。」
「知ってるわよ!・・・ここは危険になったのよ。軍は間借りしてるし、皇族の騎士がふらふら出入りするし!・・・悲しそうに笑うルルーシュを見てられないから、私は彼を守ると決めたのよ!」
バン、と机を叩いて立ち上がり、カレンはスザクを睨みつける。
「あんたは、ユーフェミアを守っていれば良い。ルルーシュは私が守る。私が、ルルーシュの恋人という名の守り手になる!」
― 両方が欲しいなんて、贅沢すぎる!
「僕は・・・っ。」
「あんたが一番の脅威なのよ。・・・皇族の騎士であるあんたがこの学園に入り浸っていて、軍人があんたを呼びに来たとして・・・その軍人が、ルルーシュを知っていて、皇族に知らせないと、誰が言えるの!?」
実際に、ルルーシュから聞いた話では、あのオレンジ(ジェレミア)はかつてルルーシュ達が暮らしていたアリエスの離宮の衛兵をしていたらしいし、あり得ないとは言えないハズだ。
「それは・・・。」
「ここにいないで。・・・あんたが出ていかないのなら、私がルルーシュを連れていく。」
「駄目だ!ルルーシュを危険な事に巻き込むつもりか!!」
「馬鹿言わないで!・・・あんたの方が、余計ルルーシュを危険に晒してるのよ!!?黒の騎士団の背後に何があるか、忘れたとは言わせないわ。・・・あんたの家だって、元々は所属していたんでしょ!」
「!・・・キョウト六家。」
「そう。(ナナリーちゃんは)キョウトに預けるわ。そうすれば、神楽耶様が守って下さる。」
「神楽耶が・・・でもっ・・・。」
カレンは言い合いで負けるつもりはない。ルルーシュを守る為だったら、どんな酷い言葉だってぶつける事ができる。
「ブリタニアに、ルルーシュは渡さない!もう、あの人は、安らぎを得たって良いハズだ。」
「・・・カレン、本気で・・・。」
言い切ったカレンに、スザクは言葉を詰まらせる。
「私は、あの人を裏切ったりしない。守るって言いながら、別の人間の手を取ったあんたの様にだけはならないわ。」
静かに告げるカレンの言葉が、スザクの胸にグサグサと突き刺さる。
「・・・正しいだけで何が守れるの?正しさを追求して、その先に何も残っていないとしたら、それは、あんたにとって意味のある結果なのかしらね。」
「・・・っぁ・・・。」
スザクが目を見開く。
カレンはそんな様子のスザクを見て、呆れたように溜息をもらす。
「・・・会話が平行線になる理由、わかった気がするわ。・・・私の話はこれでおしまい。・・・じゃあね。」
ひらり、と手を振り、カレンはその場を立ち去る。
残されたスザクは呆然とその場に立ち尽くしていた。
― 失ってから気づくなんて愚かだ。
おしまい
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