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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

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注意
・時期は騎士任命~神根島
・ナリタ事変は回避
・クロヴィス暗殺回避
・スザク壊れ注意報
・いろいろ捏造

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








 ルルーシュは、黒の騎士団のアジトに向かいながら、スザクにゼロだとカミングアウトした時のことを思い出していた。



 ショックだった。とても大切な友人が、唯一心中を全てさらけ出せた友が、最悪の敵だったなんて。

 心強い味方が増えたことを、素直に喜ぶことが出来ない自分を自覚していた。それ程に、ショックが大きかったのだ。カレンが怪訝そうにしていたのには気付いていたが、それでも、通常通りに振る舞うのが精一杯で。

 そして、自室に戻り、呆然としていると、更なる衝撃がルルーシュを襲った。

「・・・スザクが・・・ユーフェミアの騎士・・・。」

 もう、笑う気力すら無かった。大方、イレブンがナイトメアに乗っていたことで非難が集中したことに因しているのだろうとは思ったが、それでも、ユーフェミアの騎士という言葉に、目の前が真っ暗になる思いだった。

 そして、ルルーシュは、我ながらにとんでもない行動に出てしまったのだ。そのことは、誰にも責められはしないだろう。

 どうあっても、ユーフェミアからスザクを取り返したかったのだ。白兜のパイロットであることまでは、百歩譲って良いとしよう。だが、スザクが、自分以外の誰かのモノになるなんて、そんなことは、到底許せるものではなかったのだ。

 スザクが白兜のパイロットと判明し、ユーフェミアの騎士と発表されてから数日。ようやく学校に登校して来たスザクを、掻っ攫うようにして、ルルーシュは屋上まで連れて来ていた。

「・・・る、ルルーシュ・・・怒ってる?」

 自分の顔色を窺うようなスザクに、腹が立つ。だから、キッと睨みつけて、ルルーシュはその胸ぐらを掴んだ。

「・・・危険は無い?技術班に配属?・・・どこがだ?とても危険な最前線にいて、しかもナイトメアに乗っていただと!?」

 声を荒げるルルーシュに、スザクは見るからにしゅんとした。

「ご、ごめん・・・。」

「ごめんで済むか。・・・俺が・・・どれだけ・・・ッ!」

 縋りつくような格好になったルルーシュの背に手を回し、スザクは困ったような表情をうかべた。

「本当に・・・ごめん。ルルーシュ達を心配させたくなくて・・・。」

「・・・冗談じゃない。優しい嘘なんか望んでない。・・・誤魔化しなんていらない。お前だけは・・・俺を裏切らないと、そう、思っていたのに!!」

「ちがっ!」

「何が違う!!・・・ユーフェミアの騎士にまでなって・・・俺が、皇室から隠れていることを知っているお前が皇族の騎士だと!?・・・どうして・・・なんで・・・。」

 スザクはずるずる崩れていくルルーシュと合わせるように体を沈め、床に膝をつく。

「ごめん、ルルーシュ・・・騎士のことは、僕も驚いてる。でも、ブリタニアの人達を納得させるためには、ああするのが一番だったんだって・・・大丈夫。ルルーシュ達のことを総督や、ユーフェミア様に言ったりしないから・・・。」

「わかってる・・・そんなことを責めてるんじゃない。」

 ゆっくりと顔をあげたルルーシュの、その目を見て、スザクはギョッとした。とても正気の人間の目には見えなかったからだ。

「・・・お前が、ユフィのものになってしまうなら・・・もう、金輪際、俺は、お前とは会わない。」

「ちょ、ちょっと待って、どうして・・・。」

「正規の調査機関もだが、お前をよく思わない連中やマスコミがお前の身辺調査をするだろう。そこに悪意がある限り、俺達はお前の傍にはいられない。・・・それに、お前がユフィの隣に立つ姿を見るのは、耐えられない。」

 本心を吐露するルルーシュに、スザクは息を呑む。そんなスザクを見て、ルルーシュはこれで最後と腹を括り、全ての秘密を曝すことにした。

「・・・もう良い。お前と俺は敵同士だったんだ。今更、お前に縋っても、意味は無かったんだな。」

「え?それってどういう・・・。」

「俺は言ったよな?スザク。・・・ブリタニアをぶっ壊す、と。」

「う・・・うん。覚えてる・・・けど。」

「だから、ゼロになったんだ。」

「・・・うん・・・うんっ!?」

 突然のカミングアウトに、スザクは目を剥く。そんなスザクはお構いなしで、ルルーシュは続ける。

「俺の一世一代の決心だったんだ。・・・俺達を見捨てたブリタニアを許さない。俺は、ナナリーに優しい世界・・・ブリタニアの支配が無い世界を見せてあげたい。だから、ブリタニアをぶっ壊す!」

「ねぇ、待って、お願い!ルルーシュ!!」

 ルルーシュの肩を掴んで揺さぶるスザクを、ルルーシュは睨みつけた。

「なぜ、敵のお願いなど聞かなければならない。お前は俺の最悪の敵だ、ブリタニアの狗め。」

 酷い言われようだが、スザクはそんなことは気にならないくらいに焦っていた。ルルーシュがゼロだったことにショックを受けたのはほんの一瞬で、ストン、と納得してしまったのだ。理由もそうだが、あれほどにブリタニア軍を翻弄するゼロが只者ではないと思っていただけに、この、とても頭の切れる友人がそうであったのなら当然だと思ってしまった。

「ルルーシュ・・・君がゼロだったって・・・僕は、今まで、散々君のことを否定し続けてきたんだね。」

「そうだ!お前は、俺の敵なんだ!!」

 自分に言い聞かせるように同じ言葉を紡ぐルルーシュの、その潤んだアメジストに、スザクは心を奪われていた。

「綺麗だね。」

 意図せず出てしまった言葉に、しまったと思った時には、すでに、ルルーシュは訝しげな表情をうかべていた。

「・・・いきなり、何なんだ?」

 突飛な発言に、正気に戻ったらしいルルーシュが、首を捻る。しめたと思ったスザクはルルーシュを抱きしめた。

「ほぇあっ!?」

「今までごめん!ルルーシュ。僕が悪かった!!だから、捨てないで!!・・・君がゼロってこと気付かなくてごめん!!否定し続けてごめん!全部僕が悪いんだ。・・・絶対にルルーシュとナナリーのことは守ってみせるから!僕の命にかけて守るから!!」

「お前、騎士になるっていうのは・・・。」

「わかってる!でも、僕は、僕の心は、ルルーシュのだから!!絶対、他の人のモノになんてならないから!!」

 懸命に言い募るスザクに、ルルーシュはキョトン、とした後、はらはらと涙を零した。

「・・・本当か?」

「うん。」

「本当に、俺達を守ってくれるか?」

「うん。絶対。」

「そうか・・・。」

 しっかりと頷くスザクに、ルルーシュは晴れやかな笑みをうかべた後、がらりと表情を変えた。

「・・・スザク、今度裏切ったら、どうなるか・・・わかってるな?」

 いわゆる悪人面、その笑みが怖い。スザクはガックンガックンと頷く。ルルーシュを敵に回していたなんて、なんて自分は愚かだったのだろうと思う。下手をすれば、死ぬことなんか怖くないくらいの思いをさせられる羽目に陥っていたかもしれない。

「絶対裏切りません!!だからっ、もう、その笑顔は止めてぇぇっ!!」


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