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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








教壇に立つイルカの声が、室内に響く。

「さて、君達は、晴れて一人前の忍者となった。が、あくまでも新米の下忍。これから暫くの間は、三人一組で班を組み、担当の上忍の指導を受けることになる。」

それぞれの反応を返しながら、下忍となった子ども達は、班を発表するイルカを見つめる。

「・・・続いて第七班。春野サクラ、うずまきナルト。」

ナルトはハッとして立ち上がる。

「よっしゃー!!第7班っっ!!」

そんな自分を迷惑そうに見つめるサクラに、ナルトはにっこりと笑って“よろしくw”と手を差し出すが、ツン、と顔を背けられてしまう。

がっくりと肩を落とすナルトを見て、シカマルが苦笑する。

「(・・・あのキャラじゃなぁ・・・。)」

立ち上がったナルトに一瞬気を取られたイルカだったが、残りの第7班の班員を読み上げる。

「それに、うちはサスケ。」

ナルトの表情が一瞬消え、その後、愕然としたような表情になる。逆に、サクラは満面の笑みをたたえ、両手を突き上げて歓声を上げた。

「やった~~~!!!」

「・・・フン。」

サスケは興味はないとばかりに窓の外を眺める。が、内心では、なぜ、ナルトと自分を一緒にすることを上層部が許可したのかと疑問に思っていた。

「ちっくしょう、イルカ先生!!なんでこんな奴と一緒なんだってば!」

「・・・・・・班というのはなぁ、バランスを重視して組まれるものなんだ。サスケは今回のルーキーの中でも断トツの成績で卒業している。・・・そして、ナルト!お前は最下位の卒業!つまり、ドべ!!・・・わかるか?バランスを良くしようとすると、必然的にこうなるんだ!!!」

真実を何も知らない教師として“ナルトはドベ”そう断じる。ナルトの意図もそこにあるのだろう。ナルトは無害。周りにそう思わせなければ、今後が大変なのだから。

「う~~~!!!ちくしょう~~~!!」

悔しそうに地団太を踏むナルトを見やり、イルカははぁ、と大きな溜め息をついた。

「・・・とにかく、班決めは火影様を始めとした上役の方々が決めたものだ。変更はできない。他の皆も、そのことはよく肝に銘じておくこと。この班でこれから任務をこなすことになるんだからな。・・・では、午後から担当の上忍を紹介する。1時までには教室に戻っているように。」

そう言ったイルカに、それぞれに返事が返って来て、イルカは満足そうに笑みをうかべて教室を出ていった。

「・・・な、ナルト君、一緒の班になれなくて、残念だね。」

ふてくされていたナルトの前にもじもじと立っていたのは、日向一族の嫡子、日向ヒナタだった。

「・・・あー、ヒナタか。お前の班ってば、誰と誰がいるんだってば?」

あまり乗り気ではない様子ではあるが、きちんと応じる。ヒナタの気持ちには気づいていたが、応えてやれないのだから、こんな些細なことでも応じてやらねばならないだろうと思ったからだ。

「き、キバ君とシノ君・・・だよ。」

「ふーん・・・。(探知系ばっか集めたんだな。バランス悪りぃ・・・あ、そうか、日向だからか。)」

一度、誘拐されかけたヒナタの立場を思い出したナルトは、傍から見てバランスの悪いその班員に、納得がいく。

「あ、で、でも、任務によっては、いろいろな班の組み合わせもあるみたいだよ。」

「へー・・・じゃあ、一緒に任務することもあるかもな。(特に、新人下忍同士なら、その確率も上がるし。)」

そう言うナルトに、ヒナタはニコニコとしながら頷き、それじゃあ、と言ってその場を去っていく。それとすれ違うように、今度はシカマルが近寄って来る。

「おう、ナルト。結局別になったな。」

「・・・シカマル。お前んとこは、イノシカチョウだろ?」

バランスを考えれば、自分と事情を知るシカマル、サスケの3人で組めるはずもなく、半ば諦めていたのだが、サスケだけでも一緒だったことが救いだと思う。

「・・・まぁなぁ。うちのは親の関係もあるし、術の相性も良いからなぁ。」

ガシガシと後頭部を掻きながら、シカマルが苦笑する。

「サスケとうまくやれよ?あんまケンカばっかりしてっと、担当上忍にどやされるぞ。」

「わかってるってばよ。」

「よーし、これから担当上忍を発表するぞ。座れ~。」

イルカが再びやって来て、声を張り上げると、皆、慌てて席に着いた。



数時間後


次々と担当上忍が紹介され、他の班がいなくなる中、結局、第7班だけが取り残されてしまった。しかも、いくら待っても、担当上忍が現れる気配はない。

「・・・・・・・・・おっかしーわねぇ。」

「俺らの担当上忍って、まだなのかってばよ・・・。」

ナルトはそう言いながら、嫌な予感がしていた。どうにも、この遅刻している担当上忍に心当たりがあるような気がしてならないのだ。

ちらりとサスケに視線をやれば、サスケも不機嫌そうにじっと黙ってはいるが、視線が泳いでいるのがわかる。

「・・・ん~、と。」

ナルトはにやりと笑った。もし、もしも、自分の預かり知らぬところで余計なことを企んでくれたのなら、共犯者も同罪である。

黒板消しを手に取ると、チョークの粉まみれになったそれを入口のドアに仕掛ける。ついでに、サクラにはわからないようにトラップの時空間忍術を仕掛ける。

それを見ていたサスケが顔を青くするが、サクラはナルトの方に集中していたために気づかない。

「・・・ちょっと、何してんのよ、ナルト!」

「遅刻してくんのが悪いんだってばよ。」

「怒られても知らないわよ!(私、結構こういうの好きなのよねぇ。)」

「馬鹿か?上忍がそんなベタなもんに引っかかるかよ。(時空間忍術なんて、相当な上忍じゃねぇと死ぬぞ!?)」

サスケが呆れたように言ったその時、ガラガラと引き戸が開かれる音がして、黒板消しがボン、と何かに当たった音を立て、それから、小さい呻き声が聞こえた。

3人の視線が一斉に引き戸の方に向けられる。そこには、頭を真っ白に染め、こめかみを押さえる長身の青年が立っていた。

「(か、カカシ!!)」

「(やっぱ、カカシ君だし!!!)ぎゃははは!引っかかった!!」

「す、すみません、私は止めろって言ったんですけどぉ。(予想通りのベタな落ち!!!)」

「(ナルト怒ってるなぁ~、あれは。)・・・・・・・・・;」

それぞれの顔を見やった青年は、額当てをはすにつけて左目を隠し、黒い布でマスクのように口元を覆っている。

唯一表情が読み取れるわずかに覗いた右目を細め、青年はナルト達の前までやってくると、間延びした声で言った。

「・・・ん~、お前らの第一印象は・・・“嫌い”だ。(っていうか、ナルトのやつ・・・時空間忍術なんて仕掛けて・・・痛いっつーの。)」

ず~ん。と周りの空気が重くなった。

そして、場所を変え、外を見渡せるその場で、自己紹介を始める。と、いっても、実際は、ナルトもサスケもカカシも互いのことはよく知っていて、結局はサクラのための自己紹介である。

尤も、カカシの自己紹介は結局名前しかわからず、サクラには怪しい人物という印象しか残らなかっただろう。

そして、明日の演習の話をした後、お開きとなり、カカシがいなくなってしまうと、その場に残された3人は揃って深い溜め息をついた。

「・・・・・・何なの、あの先生・・・。」

サクラのボヤキも尤もで、ナルトもサスケも思わず申し訳なくなってしまう。

「・・・とりあえず、明日だな。」

サスケはそう言って、立ち上がる。

「あ、サスケ君!一緒に帰りましょう!!」

「・・・・・・。」

「あぁ、サスケくぅ~ん・・・。」

サクラの言葉を無視し、立ち去ってしまったサスケを見送り、ナルトは火影邸を振り返る。

「(・・・じいさま・・・後でシメる。)」



その夜、火影邸から凄まじい悲鳴があがったのは言うまでもないだろう。



次の日


「や~・・・諸君、おはよう。」

「「おっそ~~~~~い!!(約束の時間からもう五時間もたってるし!!!)」」

叫ぶナルトとサクラの横で、サスケもカカシを非難するかのように見つめている。

「絶対、あの先生、遅刻グセありだわ!!」

「そうだってばね。」

サクラが憤る横で、ナルトも頷く。が、その理由を知っているが故に、何とも言えない気持ちなのだが、さすがに5時間はやり過ぎだと思う。

恐らく、サクラの中でカカシの評価は最低ランクにまで落ちているはずだ。

「・・・よし、12時にセットOKw」

カカシはそんな子ども達を気にした様子も見せずに、持ってきたタイマーを、演習場の端に立てた3本の丸太のうち、真ん中の一本に置いた。

「「「???」」」

「ここに鈴がふたつある。これを、オレから昼までに奪い取るのが課題だ。」

カカシはそう言ってタイマーを置いた丸太を指差した。

「もし昼までにオレから鈴を奪えなかったヤツは、任務失敗ってことで、失格!つまり、この中で最低ひとりはアカデミーへ戻ってもらうことになるわけだ。」

「ちょ、ちょっと、カカシ先生!・・・アカデミーに戻るって。」

「ん~?」

サクラの声に、カカシは頭を掻きながら答えた。

「説明してなかったっけ?これも、下忍の合否を判定するための試験なんだが。」

「き、聞いてません!!!」

「それってば、何だってばよぉ!!(当たり前だよな。フツーに考えて、変化の術や分身の術を使えたぐらいで下忍になれるんなら、今頃、そこら中に下忍がゴロゴロしてるっていうの。)」

「・・・まさか、あんな卒業試験をクリアしたくらいで、下忍になれると思ってたか?」

思わず黙り込んだサクラに、ナルトは溜め息をつきそうになった。アカデミーを卒業したら、皆が忍になれるなんて、そんな甘いことを言っていたら、木ノ葉の里は今頃攻め滅ぼされているに違いない。

「じゃ、じゃあ、この試験に通ったら、今度は本当に忍者として認めてもらえるんですね?」

「・・・まあね。」

曖昧に答えるカカシだが、内心では、冷や汗を垂れ流していた。カカシにしかわからないくらいにごく微弱な殺気。先程から、ずっとナルトがその殺気をカカシに向けてきているのだ。

「ま、手裏剣も使って良いぞ、オレを殺すつもりで来ないと取れないからな。」

「でも、危ないわよ先生!!」

「そうそう!黒板消しもよけれねーほどドンくせーのにィ!!!・・・本当に殺しちまうってばよ!!(手元が狂ったりして、さ?)」

「(ナルト!?殺気が痛い!!痛いよっ!?)・・・世間じゃさぁ、実力の無い奴に限ってホエたがる。・・・ま、ドべはほっといてよーいスタートの合図で・・・。」

“ドべ”の言葉に反応して、ナルトはクナイを構え、投擲のモーションに入る。その瞬間、カカシが後ろに回り込んで、クナイを持つ手と頭を抑えつけた。

「・・・そう、慌てんなよ。・・・まだ、スタートは言ってないだろ。(・・・本気で殺されるかと思った;)」

「(ちっ・・・本気で当ててやろうかと思ったのに。)」

「(うそ!・・・まるで見えなかった。)」

「(・・・ナルトがマジでキレる前に始めないと、殺されるぞ。カカシの奴。)」

「・・・でも、ま。オレを殺るつもりで来る気になったようだな(いや、マジで)・・・やっとオレを認めてくれたかな?・・・ククク・・・なんだかな。・・・やっとお前らを好きになれそうだ。(殺される前にさっさと始めよう・・・。)」

その言葉に、ナルト達も改めて気合を入れる。

「じゃ、始めるぞ!!・・・よーい・・・スタート!!!」

こうして、下忍になる為の試験が始まった。





「・・・忍びたる者・・・基本は気配を消し、隠れるべし。」

ぽつりと呟いたカカシの目の前には、ナルトがいた。堂々と目の前に立ち、ナルトは言い放つ。

「いざ!尋常に勝~~~~~~負!!」

「(うわぁ・・・目がマジだ。)・・・・・・あのさァ・・・お前、ちょっと、ズレてるねぇ・・・。」

呆れたように言うカカシだが、背中にはびっしょりと汗をかいている。ドべを演じているナルトだが、自分の知らない所で担当上忍をカカシにしたことにかなりご立腹らしい。

昨夜、火影邸でボロボロにされていた三代目は、まるで、鬼のような形相だったと証言している。

「(・・・ナルト・・・サクラが見てなきゃ、今頃カカシを血祭りにあげてるな。・・・スリーマンセルの中に事情知らない人間を混ぜたのは、こういう意図もあるからか?)」

対峙する2人を見つめ、サスケは溜め息をついた。こんなことでは、いつになっても下忍になる試験など終わるはずもない。

「(下忍になる為の試験・・・チームワークを見る試験、だったな。)」

以前、兄に訊いたことのあるその試験は、サスケにとってもナルトにとっても、やりにくい内容だった。

「(俺は個人プレイ設定だし、ナルトはバカ設定。・・・サクラは・・・まぁ、言うまでもなく、ナルトは眼中に無い・・・。どうやって合格する?)」

自分がチームワークなどと言い出すキャラではないことは充分承知しているサスケは、結局ナルト頼りか、と嘆息する。

一瞬、思考に耽った後、もう一度ナルトとカカシを見れば、ナルトが安易なトラップに引っかかり、木にぶら下がっているのが見えた。

「・・・・・・はぁ。ドベも大変だな。」

サスケはクナイや手裏剣を構え、一瞬、気配を緩めてみせたカカシに投げうった。

ザクザクとカカシにクナイと手裏剣が刺さったが、次の瞬間丸太に変わる。

「・・・変わり身の術・・・か。・・・とりあえず、ここから離れねぇとな。」

やれやれと首を振り、サスケがその場から離れるのと同時に、サクラの気配も追うようにして消える。

「・・・はぁ・・・シカじゃないけど、めんどくせ~・・・。」

ようやく素に戻れたナルトは、深々と溜息をつく。

「そう言わないの。・・・まったく、殺気をビシビシと送ってくれちゃって。」

木の裏から出てきたカカシがそう言うと、ナルトは、居たの?と呟いた。

「・・・酷いね。気づいてたくせに。」

「・・・あんまり、影分身使わない方がいいんじゃない?」

「ん~、でも、ま、相手はサスケとサクラだし。」

「はぁ・・・そうですかっと。」

呆れたように言ったナルトは、ザクッとロープを切って、木から少し離れた所に着地する。

「・・・別に、二重トラップは仕掛けてないけど・・・。」

カカシが言えば、ナルトは首を振った。

「違う違う、ただの癖。・・・危機探知が本能で働くから。」

「あ、そうだったね。・・・最近、一緒に任務に行ってくれないから、忘れてた。」

「あのな・・・。俺とカカシ君とで任務に行かなきゃならないような状況があったとしたら、普通に考えても戦争レベルだから!!」

「・・・ま、そうだよねぇ。でも、シカマル君とは一緒に行ってるみたいじゃない?」

「・・・・・・シカは・・・その・・・。」

言い難そうにするナルトに、カカシは溜め息をついた。

「ハイハイ。ラブラブなのね。わかってますよ~だ。・・・どうせ、育ての暗部より、恋人の暗部なんだよね~。」

「か、カカシ君ッ///」

地面にのの字まで書き出したカカシに、ナルトはムキになって言い返した。

「べ、別に、シカだけを特別扱いしてるわけじゃないからな!!・・・最近、上層部が色々と注文付けてくるんだよ!!」

“木ノ葉の双璧”その呼び名の通り、最強の守護神である2人をセットにしたがるのは、上層部の方なのだとナルトは言う。

「・・・ああ、政治、ね。」

「そういうこと。・・・“木ノ葉の双璧”を置いておけば、絶対に攻められることはないって思ってるらしくてさ。・・・ったく。」

「まあ、それで安心できるっていうなら、させておけば良いじゃない。嫌なわけじゃないでしょ、シカマル君と一緒なのは。」

「・・・そりゃ、まぁ。」

「(あらまぁ、頬を赤く染めちゃって・・・腹立つねぇ)・・・で?どうやって合格するつもり?」

「ん~~~・・・チームワーク・・・ねぇ。」

ナルトは考え込み、あ、と声をあげた。

「何?」

「俺をあの丸太に縛ってよ。」

「・・・・・・え?・・・何で?」

首を傾げたカカシに、ナルトは自分の案を説明する。

「・・・あ~、ナルホドね。それなら、サクラがいても簡単だ。」

「でしょ?・・・あ~・・・でも、サクラちゃんとか、黙っておくのめんどくさいなぁ・・・。任務中、ずっとドべやるのもキツイし。」

「・・・時期を見て、話そうか。」

カカシが言えば、ナルトはこくん、と頷く。

「できれば・・・里外任務の時が良いなぁ。・・・万が一“ダメだった”場合でも、外ならいくらでも術使い放題だし。」

「そうだな。」

カカシが納得の声をあげ、さてと、と辺りを見回す。

「うん。そろそろ12時だね。サスケもサクラも良い具合に疲れたようだし・・・。」

「よし!縛られるか。」

「・・・なんか、その言い方、誤解を招きかねないんだけど。」

後でシカマル君に睨まれたらどうしよう~、と呟きながら、カカシはナルトを丸太に縛りつける。

それに合わせるかのようにして、タイマーが12時になったことを告げた。





サスケとサクラが揃って丸太の所に戻ってくると、ナルトが縛られているのを見て、それぞれに表情を変えた。

「(・・・何考えてんだ?ナルトも・・・カカシも。)」

「(・・・ナルトの奴!さっさと捕まってるじゃない!!)」

ぎゅるるるるる・・・

3人揃ってお腹が鳴る。

「・・・おーおー。腹の虫が鳴っとるね、君達。」

のんびりと呟いたカカシに、3人はのろのろと視線を向ける。

「ところで、この演習についてだが・・・ま、お前らはアカデミーに戻る必要もないな。」

「「「!!!」」」

「じゃあさ、じゃあさ!・・・ってことは、3人とも・・・。」

ナルトがはしゃいだ様子で訊ねる。

「そう・・・3人とも・・・・・・忍者をやめろ!」

「「「!!!?」」」

仰天する3人に、カカシは冷たい視線を向ける。

「そ、そりゃさ!確かに、鈴、とれなかったけど!!・・・なんでやめろなんて言われなくちゃなんねーんだよ!!」

「・・・どいつもこいつも、忍者になる資格もねぇ、ガキだってことだよ。・・・お前ら、忍者なめてんのか、あ!?・・・何の為に班ごとのチームにわけて演習やってると思ってる?」

ギロっと睨まれ、サクラが一瞬怯える。

「・・・え!?・・・ど、どういうこと?」

「・・・・・・つまり、お前らはこの試験の答えをまるで理解していない。」

カカシが答えると、ナルトが首を傾げた。

「答え?」

「そうだ・・・この試験の合否を判断する答えだ。」

「・・・だ、だから、さっきからそれが訊きたいんです!!」

サクラが前にずいっと進み出る。

「・・・ったく。」

呆れたように溜息をつくカカシに、ナルトが焦れた。

「あ~~~~も~~~~!だから、答えって何なんだってばよォ!?」

「・・・・・・それは、チームワークだ。」

「「「!」」」

「ワザと仲間割れするように仕組んだ、“スリーマンセル”で“ふたつの鈴”を取る試験。・・・自分の利害に関係なく、チームワークを優先できる者を選抜する。・・・それなのに、お前らときたら・・・。」

わざとらしく溜息をつき、カカシは続けた。

「確かに・・・優秀な忍者は単独任務を請け負うこともある。が、基本、任務は班で行う!忍者にとって卓越した個人技能は必要だが、それ以上に重要視されるのは“チームワーク”だ。・・・チームワークを乱す個人プレイは時に・・・仲間を殺すことになる。例えば・・・。」

すたすたとサスケに近寄り、カカシは目を細める。

「「「?」」」

訝しげにする3人に、カカシは肩を竦め、それから、サスケを地面に抑えつけ、クナイを突き付ける。

「サクラ!ナルトを殺せ!さもないとサスケが死ぬぞ!!」

「!!」

「・・・とまぁ、こんな事態に陥ることになりかねない。・・・任務は命がけの仕事ばかりだ。」

一瞬本気にしかけたサクラがホッと息をつくのを見ると、カカシはサスケを放し、3人に背を向ける。

「・・・最後にもう一度チャンスをやる。・・・ただし、昼からはもっと過酷な鈴取り合戦だ!・・・挑戦したい奴だけ弁当を食え。だが、ナルトには食わせるなよ。」

「え?」

ナルトが眉を顰める。

「ルールを破って、ひとりで昼飯を食おうとした罰だ。・・・もし、食わせたりしたらそいつをその時点で失格にする。・・・・・・ここでは、オレがルールだ。わかったな?」

そう言い残して、カカシは姿を消した。

「・・・へっ!・・・俺ってば別に飯なんて食わなくたって、へーきだってば!!」

ぎゅるるるる・・・

「・・・うぅ・・・。」

強がってみせるナルトを見て、サスケはピンときた。

「(ナルホド・・・これなら、チームワークと言えなくもないな。)・・・ほらよ。」

弁当を差し出すサスケに、サクラがハッとする。

「ちょ、ちょっと、サスケ君!!さっき先生が!!」

「・・・大丈夫だ。今は、アイツの気配はない。・・・昼から3人で鈴を取りに行くのに、腹が減りすぎて足手まといになられちゃ困るからな。」

サスケの言葉に、サクラはグッと詰まる。カカシに見つかれば、全員即失格となってしまう。が、サスケの言う通り、腹が減っては戦は出来ぬ、である。

「・・・ほら、ナルト!私のも食べなさいよ!!」

決心のついたサクラも、ナルトに弁当を差し出した。

「・・・サスケ・・・サクラちゃん・・・ありがと。(よし。良い感じだ。)」

ニコっとナルトが笑みをうかべた次の瞬間、凄まじい殺気と共に、カカシが現れた。

「お前らああああっ!!!」

「!」

「うわぁぁ!!」

「きゃああああ!!!」

「・・・ご~かっくv」

にっこりと笑うカカシについていけず、サクラが目を白黒させる。サスケも呆れたような視線をカカシに向け、ナルトも表面上はわけがわからないようなそんな表情をうかべている。

「・・・え!?・・・ご、合格!?・・・な、なんで!?」

「お前らが初めてだ。・・・今までの連中は、“素直に俺の言うことを聞くだけ”のボンクラどもばかりだった。・・・忍者は裏の裏を読むべし。・・・忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。」

「「「・・・。」」」

神妙に聞いている3人に、カカシは言い聞かせるように告げた。

「けどな、仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ。」

「アハ・・・。」

「フン・・・。(言ってくれるな、カカシの奴。)」

「・・・。(おーおー、カッコ決めちゃって。)」

カカシはビシッと指を立て、宣言した。

「これにて演習終わり、全員合格!!・・・よォーしィ!第七班は明日より任務開始だァ!!!」

「やったぁぁってばよォ!!!俺、忍者!忍者!!忍者!!!(・・・つ、疲れる)」

こうしてナルト達は晴れて下忍となった。

それと同時に、ナルトを里の者達に認めさせるための第一歩がここに刻まれたのだった。


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