Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「さぁ!たくさん食べてね!」
どん、と食卓の前に立ち、ヨシノがにっこりと笑う。
「は~・・・すっごいな。」
ナルトが感心の溜息をつく。食卓の上に並べられた、豪勢な料理の数々。
シカマル自身も、これだけの料理を母が出してくれた覚えは無い。
「母ちゃん・・・張り切りすぎだろ。」
シカマルが呆れたように言うと、ヨシノはうっとつまる。
「だ・・・だって、ナル君はあんまりちゃんとした食事をとってないみたいだし、こんな時じゃないと・・・。」
ヨシノの言い分も一理あると思ったシカマルは、矛先をナルトに向ける。
「ドベの時とそういうところは違わねーのか?」
「・・・任務が夜に入ってたりすると、食べないときもあるし・・・。あ、でも、朝は牛乳飲んで、ラーメン食べてくるよ。」
にこり。
「・・・笑顔に騙されるかーっ!!お前、明日っから、ちゃんと飯食え!!ってか、俺が作りに行く!!!」
「へっ!!?」
ばん、と食卓を叩いて立ち上がったシカマルがそんなことを言い出したので、ナルトは、素っ頓狂な声をあげてしまう。
「拒否は無しだぞ!?このままじゃ、そのうち栄養失調になっちまう!」
シカマルが本気だとわかると、ナルトは困ったように笑う。
「・・・えと、シカって、ごはん作れるの?」
「・・・知識はある!刃物の扱いなんざ、クナイと一緒じゃねーか。」
一緒じゃない!と言いたかったが、あまりの剣幕に、ナルトは何も言えない。
「シカマル・・・料理は勉強してから作ってあげなさい。・・・明日は、私が作ったものを持って行ってあげれば良いでしょ?」
息子の腕を信用しきれない母からのとっさのフォローに、ナルトはほっとする。
「・・・まー・・・最初はそれでも良いか。」
シカマルもしぶしぶその妥協案を受け入れる。
「(・・・シカがどこまでやれるかはわかんないけど・・・初日からすごいもの出されたら、どう反応すれば良いのかわかんないし。)」
「(やっぱ、いきなりは冒険のしすぎか。・・・今日から特訓だな。)」
互いの心の内を知ることなく、黙り込んで料理に箸をつける。
「・・・おいし。」
先に口に運んだナルトの顔がほころぶ。
「あら、そう?・・・これはどう?」
「・・・ん。これも、おいし。」
ぱくぱくとおいしそうに口に運ぶ様子が、何とも言えず可愛らしい。
「ナル、たまにはこうやって家に食べに来いよ。な?・・・良いだろ、母ちゃん。」
「大歓迎よ!!(よく言ったわ!シカマル!!)」
「・・・あ、アリガト。」
はにかんだ笑みを浮かべて、ナルトは頷く。
“ピーィ・・・”
「・・・あ。」
耳に直接届くように術が掛けられた、依頼鳥の鳴き声。
「どうした、ナル?」
聞こえていないシカマルとヨシノは首を傾げる。
「・・・お呼びだぜ、ナルト。」
ショックからようやく立ち直ったシカクがやって来て、外を指す。
「・・・わかってる。・・・ヨシノさん、ごちそうさま。おいしかったよ。」
にこりと笑い、ナルトは立ち上がる。
「・・・任務か?」
見上げるシカマルに頷く。
「・・・気をつけろよ。」
「・・・ん。大丈夫。今日は、単独じゃないから。」
ナルトはそう言って、シカクを見る。
「・・・まぁ、そういうこった。」
言いたいことを理解したシカマルは途端に仏頂面になる。
「・・・ナルの足をひっぱんなよ、クソ親父。」
「ひっぱらねーよ!・・・悔しかったら、早く実力をつけるんだな、馬鹿息子。」
「(こンのー・・・いつかぜってー追い抜いてやっからな!!!)」
シカクを睨みつけた後、シカマルはナルトの手をとる。
「・・・また、明日な?」
「・・・うん。また、明日。」
ちゃんとした返事が返ってきてホッとする。
「シカクさん、掴まって。」
ナルトの言葉に従い、シカクはナルトの服のすそを掴む。訝しげなシカマルの表情を見ながら、ナルトはすばやく印を組んだ。
「“飛雷神の術!”」
術が発動すると、その場からナルトとシカクの姿が消えた。
2人が消えた場所を見つめ、呆気にとられたシカマルが呆然と呟く。
「すげー・・・。」
「アレが、ナル君のお父さんが得意だった忍術。・・・時空間忍術よ。」
「時空間忍術?」
「そう。口寄せと似たような原理だって聞いたことはあるけど、ナル君が使う術は、もっとすごいみたいね。」
ヨシノはそう言うと、料理をタッパーに詰め込み始める。
「明日までもつような物はこれに詰めておくから。・・・これ、持って行ってあげてね。」
「おー。・・・なあ、母ちゃん。明日からって思ってたけど・・・今から、料理教えてくれねー?」
やる気満々の息子を見て、いい影響だと思うヨシノは二つ返事でその申し出を了承した。
母が息子の才能に仰天するまで、あとわずか。
→ 火影の執務室
「じいさま。今日はシカクさんと組むんだろ?」
「うむ。・・・奈良家の術が役に立つだろうからの。・・・して、シカマルとは・・・?」
むしろそっちがメインとでもいうように、三代目がそわそわと聞いてくる。
「付き合うことにした。・・・シカマルが・・・シカが本当の俺を受け入れてくれたから・・・。」
「そうかそうか。・・・きっとシカマルは優秀な忍になる。・・・いずれは、ナルトの補佐を、と思っておる。」
ナルトに微笑みを向け、三代目がそう言うと、シカクが溜息を落とす。
「・・・うちの馬鹿息子が、ナルトに変なことを教えなきゃいいんですがね。」
「それは、本人達が決めることじゃろう。・・・この子らはもう大人以上の働きをしておる・・・ワシらが口を出すことではないわ。」
遠まわしに許可をした三代目に、シカクは仰天する。あれだけナルトナルトと言っていた人が、こんなにも簡単に手放すとは。
「・・・何の心境の変化ですか。」
「失敬な。・・・シカマルなら、ナルトを泣かせることも無いと信頼しておるからじゃ。(ナルトが気を張っている事さえ気付いたのじゃからな。)」
三代目はパンと手を打ち、その話を打ち切る。
「さて、おぬしらへの任務じゃが・・・この男を捕まえてきてもらいたいのじゃ。」
三代目から手渡されたのは、一枚の写真。
「・・・できれば、無傷が望ましい。」
「それで、奈良家の術って訳ですか。」
シカクが納得する。
「・・・このおっさん、何?」
「ナルトは知らねーか。・・・この人はな、伝説の三忍の1人、自来也様ってんだ。」
「・・・あ!四代目の先生か。」
ポン、と手を打ち、ナルトは呟く。父とは呼ばないナルトに、三代目とシカクは視線を揺らす。
「でも、何で?・・・もう1人の伝説の三忍を追ってるって、聞いたことがあるけど。」
「そうなんじゃがの。・・・ちょいと用があってのう。呼び戻したいんじゃよ。」
にこりと三代目が微笑めば、ナルトはふうん、と気の無い返事をする。
「・・・曲がりなりにも伝説とまで言われる忍じゃ。・・・無傷で捕らえるには、相当な力を持っている者でないとなぁ。」
「・・・それで、俺?」
「そうじゃ。・・・頼めるかのう。・・・これは、ワシの個人的な依頼と思ってくれれば良い。」
「個人的?」
「そうじゃ。ただし、ランクはSじゃがの。」
「・・・Sぅ~!?ただの人探しが?」
シカクが素っ頓狂な声をあげると、ナルトがふと考え込む。
「・・・じいさま、場所がわかってるのか?」
「まあ、のう。」
「・・・・・・どこ?」
「・・・・・・・・・音の里。」
「・・・そりゃSだな。他里にちょっかい出すってことだろ?・・・なんで?捕まってんの?」
「いや・・・潜入しとる。・・・はずじゃ。多分。」
どうやら自信は無いが、そういった情報があるらしい。
「・・・へぇ。どの筋からの情報なわけ?」
ナルトが尋ねると、さらに言いにくそうに三代目は告げる。
「・・・・・・“根”からじゃ。」
「・・・うわー・・・なにそれ。あはは。」
ナルトは思わず笑ってしまう。あれだけ三代目に反目している“根”の方から情報を寄越すなんて、信じられるわけが無い。
「・・・自来也にはどうしても戻ってきてもらわねばならん。・・・不確かな情報で動いてもらうのはこちらとしても避けたいのじゃが、あいにく、これしか情報が無いんじゃよ。」
申し訳なさそうな三代目に、ナルトとシカクは互いに顔を見合わせる。
「ま、その時はその時。・・・俺とシカクさんだけなら、いざって時は時空間忍術で帰ってこれるし。」
「まぁ、しょうがねぇ。ナルトもアカデミーがあるし、早めに終わらせて帰ってくるようにしますよ。」
ナルトはあっけらかんと笑い。シカクも苦笑を浮かべる。
「すまん。・・・頼んだぞ。」
苦々しい表情を浮かべる三代目に、2人は頷く。
「「・・・御意!」」
任務に就くために執務室を出ようとしたナルトを、三代目が呼び止める。
「ナルトや。」
「・・・なに?じいさま。」
「・・・表情がすっきりしたのう。・・・昨日までは、ストレスがたまってるような表情じゃったが。」
「・・・うん。シカのおかげかな?」
ふんわりと幸せそうに笑い、ナルトはひらひらと手を振って、執務室を後にする。
「・・・シカマルのおかげ、か。・・・近くにいすぎてわからないこともあるものじゃ。・・・あの子が必要としていたのは、黙って背を預けられる者じゃった。あの子の心は、心配されるほどに頑なに閉ざされてしまった。・・・それを気付けなかったワシらに、何を言う権利があるのじゃろうのう。」
独り言のようでいて、しかし、三代目の言葉は、執務室の外に控えている千坐に向けられていた。
「(わかってるさ。・・・俺たちには、ナルトにあんな顔をさせることはできなかった。)」
千坐はグッと手を握りこみ、唇を噛んだ。
「さて・・・音の里までは、どう行く?結構な距離があるしな。」
「ん。ちょっと待って。・・・付近に暗部の誰かがいれば、使えるから。」
何を、とは言わない。シカクもよくわかっていることだからだ。
「・・・いた。音の里付近に1部隊。」
目印をどのように把握しているのだろうか。
シカクは己の親友であった四代目に聞いてみた事があったが、曖昧に誤魔化されてしまった記憶しかない。
「よし、行くか。」
「うん。“飛雷神の術”!」
素早く印を組んで、術を発動する。
一瞬の後、ナルトとシカクは、暗部たちの真ん前に移動してくる。
「!・・・ナル坊、この付近で任務か?」
部隊長が一瞬、目を見開いて驚くが、すぐに冷静さを取り戻す。
「そのナル坊って、いい加減やめて欲しいんだけど・・・まぁ、いいや、俺たちこれから音の里で任務なんだ。何か情報無い?」
「音?・・・最近できたばかりの里で、随分と特殊な術を持ってるらしいな。」
スラスラと情報が出てくるのに、シカクは感心してしまう。やはり、暗部はレベルが違う。
「ふぅん・・・血継限界じゃ無いの?」
「違うな。・・・どうも、様々な人体実験をしているらしい。」
「うげ。」
嫌そうな顔をして、ナルトが引く。
「はー、こりゃやりにくいなぁ。」
シカクが深いため息をつく。
「・・・向こうも潜入中だしね。」
「ナル坊、人捜しなら、手伝おうか?」
「ありがと。気持ちだけで充分。・・・俺、5人以上だと飛べないから。」
暗部の申し出をやんわりと断り、ナルトは変化の印を組む。
「シカクさん・・・ここからは、蒼藍、だから。」
変化を終え、ナルトはシカクを見つめる。
「おぅ。じゃあ、潜入開始だ、蒼藍。」
シカクは頷いて、音の里を見つめた。
里と言っても、木ノ葉とはタイプが違う。基地といった方が良いような造りだ。
「だだっ広くねーだけマシか。」
「・・・だね。」
辺りを確認し、音の里の敷地内に足を踏み入れる。
「自来也様は、どうしてこんな所に潜入してるんだ?」
「もう一人の三忍、大蛇丸ってのが関係してるのかもしれないね。」
「・・・有り得るなぁ。あの人はおっかねーから、関わり合いたくねーんだがな。」
ぼやきつつも、シカクは歩を進める。
「待って。・・・あそこ、人の気配が集まってる。」
ナルトが指差している方を向き、シカクはこっそりとその入り口の側に寄り、中をのぞく。
「・・・ッ!」
シカクは息を呑み、指で呼ぶ合図をする。ナルトはシカクの側に音もなく近寄る。
「見ろ。・・・大蛇丸だ。」
こっそりと言われ、ナルトはその中をのぞく。
「うわ・・・あの蛇っぽい人?」
「そうだ。」
「気持ち悪っ・・・俺、爬虫類嫌いなんだよね。」
「あー・・・お前、素直だなぁ。」
シカクが何とも言い難い表情を浮かべる。
「気づかれる前に、行こ。俺も関わり合いたくないや。」
ナルトはシカクの手を引き、その場から離れる。
「しかし、自来也様はどこにいるんだぁ?」
「んー・・・“根”に騙されたかな?」
ナルトはきょろきょろと辺りを見回す。
「なぁ・・・蒼藍。」
「・・・;」
シカクがナルトとつなぐ手をグイッと引く。その理由に先に気づいていたナルトは、歩く速度を速める。
「お待ちなさい。・・・人の里に入り込んで、挨拶も無いのかしら?」
背後から声をかけられ、くるり、とナルトが振り返る。
「あんた、オカマ?」
「・・・木ノ葉ね・・・あのジジィの指図かしら。」
一瞬、カチンときたようだが、大蛇丸が話を進める。
「自来也って人を探しているんだけどね?」
「自来也?・・・一足遅かったわね?アイツなら、ついさっき私の部下に見つかって、逃げちゃったわよ。」
ガセネタではなかったらしい。それだけ確認できれば、もうここには用はない。
「あっそ。じゃあ、おじゃましました。」
「タダで帰すと思ってるのかしら?」
「自来也って人はタダで帰したんでしょ?」
ナルトは大蛇丸と視線を合わせながら後退りする。
「そうでもないわよ・・・。」
ゾロリと舌を出す大蛇丸に、激しい嫌悪を感じる。
「目を閉じてろーのぅ!」
唐突に響いた声。シカクが慌ててナルトの目を手で塞ぐ。
「何!?」
ボンッ
何かが破裂したような音がして、辺りに煙がたちこめる。
「さっきの声・・・ゴホっ・・・自来也ね!」
大蛇丸が煙にむせながら、草薙の剣を振りまわす。が、煙が晴れた頃には、ナルト達の姿はこつ然と消えていた。
「チッ・・・逃がしたわね。・・・それにしてもあの忍、気になるわ。カブトに調べさせようかしら。」
大蛇丸は呟き、ニヤリと笑みを浮かべた。
音の里の敷地から出た所で、3人が顔を見合わせる。
「奈良の坊主か・・・元気そうだのう?ん?」
「自来也様・・・もう、坊主って歳じゃねーんですが。」
シカクが溜息をつく脇で、ナルトはしげしげと自来也を見つめる。
「・・・で、こいつは?」
ちらりとナルトを見て、自来也はシカクに訊ねる。
「えーと・・・。」
シカクはナルトに視線を向ける。
「うずまきナルトって言えばわかる?」
すんなりと答えたナルトは、変化を解く。
「・・・!!」
「じいさまがあんたを探しててね。・・・俺たちが連れ戻しに来たんだ。」
本来の姿に戻ったナルトは、自来也の腕を掴む。
「ミナトの。」
自来也はその小さな手を見つめ、感慨深げに呟く。
「シカクさん。飛ぶよ。」
その一言でシカクは理解し、ナルトの服の裾を掴む。
「なんじゃあ?」
訝しげな自来也をよそに、ナルトは、片手で印を組む。
「おぃ、そりゃあ・・・。」
「“飛雷神の術”」
自来也が言いかけた瞬間にナルトは印を組み終え、術が発動し、3人の姿はふっと消えた。
「ただいま戻りました。」
開口一発。ナルトが挨拶をすると、三代目はさほど驚きもせず、頷いた。
「うむ。ご苦労であったの。その様子じゃと、罠ではなかったようじゃな。」
「うん。ちゃんと、いたよ。」
ぐいっとナルトが引っ張るのは、油の文字が書かれた額宛をする大男、自来也。
「久しいの、自来也。」
「・・・三代目。」
自来也の言葉が詰まるのを見て、三代目は困ったように笑う。
「すまんな。お主にどうしても頼みたいことがあったんじゃよ。」
「・・・頼みたいこと?」
「ああ。ある子供に、チャクラ増強の術を叩き込んでやってほしい。」
「「!!?」」
その言葉に驚いたのは、ナルトとシカク。この内容で、ある子供と言ったら、当てはまるのはシカマルしかない。
「・・・じいさま!」
「それで、俺達でこの任務だったわけですね・・・。」
2人がようやく納得のいったような顔をすると、いたずらが成功したような笑みを浮かべ、三代目は頷く。
「まあ、ワシがその術を知っていれば良かったんじゃが、あいにく、この術は自来也しか知らんでのう。」
「その為に、呼んだってーのかのう。・・・ま、大蛇の奴に気付かれちまったし、しばらくはあの里には近づけんしのう。・・・で?その子供ってーのは、どこにいる?」
「うむ。明日、紹介することにしよう。・・・自来也、久々に、酒でも飲むかの。」
「あ、それなら、俺も混ぜてくださいよ。」
シカクがちゃっかりと話に乗ると、ナルトは呆然とそれらを見つめ、こっそりと溜息をつく。
「はぁ・・・じいさま、俺に甘すぎ。」
嬉しさを隠し、呆れた声で言う。
「まぁまぁ、いつも頑張ってくれておる褒美じゃと思うてくれればよい。」
ニコニコと返されれば、思わず表情も緩み、はにかんだ笑みに変わる。
「・・・三代目、こいつ、ミナトの術が・・・。」
「・・・うむ。四代目が残したオリジナルの術のほとんどを覚えておる。」
三代目の言葉にギョッとした自来也は、ナルトを伺うように見る。
「・・・なあ、あんた、四代目の先生なんだろ?」
「・・・あ、ああ。」
目が合うと、いきなりナルトに訊ねられ、自来也は目を丸くする。
「あのさ、他に面白い術知らない?」
「・・・!?」
てっきり父親の事を教えてくれと言われるかと思った自来也だが、全く違う事を訊ねられ、思わず三代目を振り返る。
「・・・ナルトや、これ以上術を覚えてどうするんじゃ。・・・おぬしのオリジナルの技とてあるじゃろうに。」
「カカシ君は千の技をコピーしたよ?」
「あ、あれは、写輪眼で・・・。」
カカシを引き合いに出されて、三代目が慌て始める。
「こら、ナルト。ワガママ言わねーで、さっさと家帰って寝とけ。・・・明日っから、シカマルと朝飯食うんだろ?」
パカンとシカクがナルトの頭をはたく。仰天したのは三代目だ。育ての親でもある暗部達ならばともかく、それ程懐いているわけでもないシカクにはたかれるなど、絶対に怒っていると確信してナルトに目を向ける。
が、どうしたわけかナルトは、はたかれた頭をさすりながらも、ニヘラと表情を笑み崩していたのだ。
「そっかあー。明日から、シカと朝ご飯食べるんだよね。」
「おぅ。それに、あいつが自来也様に術を教わっている間も側にいりゃ良い・・・その方があいつもやる気が出んだろ。」
「うん。」
すっかり思考をシカクに読まれたナルトは、素直に頷く。
シカマルといると気持ちが楽になる。ナルトはそれが心地よくて、シカマルと一分一秒でも長く一緒にいたい。
それが、先ほどの行為を目撃したシカクには容易に想像がつく。
「シカク・・・どういうことじゃ?」
三代目がオロオロとしながら聞くと、ため息まじりの返答がある。
「どうもこうも・・・付き合い始めたばっかりのバカップルは、一分一秒でも離れていたくないんだそうですよ。」
言い方はともかく、的確な表現であるので、ナルトはにっこりと笑ってコクコクと頷いた。
「(ナルトや、そこまでシカマルに気を許して)・・・そうか。なるほどのぅ。」
複雑な気分で相づちをうった三代目は、ナルトの頭を撫でる。
「良かったのぅ?ナルト。」
「うん♪」
年相応の笑みを浮かべ頷くナルトを見て、三代目はシカマルに任せて良かったと心底そう思った。
一方、ナルトが“シカと朝ご飯~”と機嫌よく呟きながら帰宅した頃・・・
何も知らないシカマルは、素晴らしい料理の才能をヨシノに見せつけていた。
「シカマルがこんなに料理が上手だったなんて・・・私、何にも教えて無いわよねぇ?」
「あー・・・母ちゃんの料理してんの見てたしなぁ。」
ナルトと対しているときと違い、やる気がなさそうに言うシカマル。
「それにしたって私より上手じゃないの。参考になったとは思えないんだけど。」
ヨシノの言葉にも一理ある。
「さぁなぁ・・・んなこと言われても。考えるだけメンドクセー。」
「・・・あんた、ナル君に関する事だけにしかやる気は出ないわけ?」
「たりめーだろ?ナル以外は、ぶっちゃけメンドクセー。」
どうしたらここまで徹底できるのかわからないが、全ての労力はナルトの事のみに使うことにしたらしい息子を見て、ヨシノは深い溜息をついた。
「これじゃ、前と全然変わらないじゃない。」
それを聞いたシカマルは、心底不思議そうに首を捻る。
「そうか?」
「そうよ。・・・確かにあんたにしてみれば、頑張る部分もあるから変わったかもしれないけど、ナル君以外が見たら何にも変わらないってことじゃない。」
「まぁ、ナルが関われば、何だって頑張るぜ。・・・ナルが望むなら、全力で今までの俺を変えるくらいにはな。」
ニヤリと笑い、シカマルはできた料理を眺める。
「母ちゃんが作ったのとコレとで明日の朝飯は充分だな。」
“ナルの喜ぶ顔が目に浮かぶな。”そう独白し、シカマルはテキパキと後片付けをする。
ナルトが喜ぶのは、なにも料理だけではない。暗部の手を離れ、アカデミーに通い始めた時から、朝はもちろん任務の無い日の夜もたった1人で食事をしてきた。
そんなナルトに、一緒に食事をとってくれる相手、しかも、恋人で、手料理まで付いてくるのだから、喜ばない訳がない。
知っていての申し出ではないとは言え、シカマルはしっかりとナルトの心をゲットしたのだった。
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「さぁ!たくさん食べてね!」
どん、と食卓の前に立ち、ヨシノがにっこりと笑う。
「は~・・・すっごいな。」
ナルトが感心の溜息をつく。食卓の上に並べられた、豪勢な料理の数々。
シカマル自身も、これだけの料理を母が出してくれた覚えは無い。
「母ちゃん・・・張り切りすぎだろ。」
シカマルが呆れたように言うと、ヨシノはうっとつまる。
「だ・・・だって、ナル君はあんまりちゃんとした食事をとってないみたいだし、こんな時じゃないと・・・。」
ヨシノの言い分も一理あると思ったシカマルは、矛先をナルトに向ける。
「ドベの時とそういうところは違わねーのか?」
「・・・任務が夜に入ってたりすると、食べないときもあるし・・・。あ、でも、朝は牛乳飲んで、ラーメン食べてくるよ。」
にこり。
「・・・笑顔に騙されるかーっ!!お前、明日っから、ちゃんと飯食え!!ってか、俺が作りに行く!!!」
「へっ!!?」
ばん、と食卓を叩いて立ち上がったシカマルがそんなことを言い出したので、ナルトは、素っ頓狂な声をあげてしまう。
「拒否は無しだぞ!?このままじゃ、そのうち栄養失調になっちまう!」
シカマルが本気だとわかると、ナルトは困ったように笑う。
「・・・えと、シカって、ごはん作れるの?」
「・・・知識はある!刃物の扱いなんざ、クナイと一緒じゃねーか。」
一緒じゃない!と言いたかったが、あまりの剣幕に、ナルトは何も言えない。
「シカマル・・・料理は勉強してから作ってあげなさい。・・・明日は、私が作ったものを持って行ってあげれば良いでしょ?」
息子の腕を信用しきれない母からのとっさのフォローに、ナルトはほっとする。
「・・・まー・・・最初はそれでも良いか。」
シカマルもしぶしぶその妥協案を受け入れる。
「(・・・シカがどこまでやれるかはわかんないけど・・・初日からすごいもの出されたら、どう反応すれば良いのかわかんないし。)」
「(やっぱ、いきなりは冒険のしすぎか。・・・今日から特訓だな。)」
互いの心の内を知ることなく、黙り込んで料理に箸をつける。
「・・・おいし。」
先に口に運んだナルトの顔がほころぶ。
「あら、そう?・・・これはどう?」
「・・・ん。これも、おいし。」
ぱくぱくとおいしそうに口に運ぶ様子が、何とも言えず可愛らしい。
「ナル、たまにはこうやって家に食べに来いよ。な?・・・良いだろ、母ちゃん。」
「大歓迎よ!!(よく言ったわ!シカマル!!)」
「・・・あ、アリガト。」
はにかんだ笑みを浮かべて、ナルトは頷く。
“ピーィ・・・”
「・・・あ。」
耳に直接届くように術が掛けられた、依頼鳥の鳴き声。
「どうした、ナル?」
聞こえていないシカマルとヨシノは首を傾げる。
「・・・お呼びだぜ、ナルト。」
ショックからようやく立ち直ったシカクがやって来て、外を指す。
「・・・わかってる。・・・ヨシノさん、ごちそうさま。おいしかったよ。」
にこりと笑い、ナルトは立ち上がる。
「・・・任務か?」
見上げるシカマルに頷く。
「・・・気をつけろよ。」
「・・・ん。大丈夫。今日は、単独じゃないから。」
ナルトはそう言って、シカクを見る。
「・・・まぁ、そういうこった。」
言いたいことを理解したシカマルは途端に仏頂面になる。
「・・・ナルの足をひっぱんなよ、クソ親父。」
「ひっぱらねーよ!・・・悔しかったら、早く実力をつけるんだな、馬鹿息子。」
「(こンのー・・・いつかぜってー追い抜いてやっからな!!!)」
シカクを睨みつけた後、シカマルはナルトの手をとる。
「・・・また、明日な?」
「・・・うん。また、明日。」
ちゃんとした返事が返ってきてホッとする。
「シカクさん、掴まって。」
ナルトの言葉に従い、シカクはナルトの服のすそを掴む。訝しげなシカマルの表情を見ながら、ナルトはすばやく印を組んだ。
「“飛雷神の術!”」
術が発動すると、その場からナルトとシカクの姿が消えた。
2人が消えた場所を見つめ、呆気にとられたシカマルが呆然と呟く。
「すげー・・・。」
「アレが、ナル君のお父さんが得意だった忍術。・・・時空間忍術よ。」
「時空間忍術?」
「そう。口寄せと似たような原理だって聞いたことはあるけど、ナル君が使う術は、もっとすごいみたいね。」
ヨシノはそう言うと、料理をタッパーに詰め込み始める。
「明日までもつような物はこれに詰めておくから。・・・これ、持って行ってあげてね。」
「おー。・・・なあ、母ちゃん。明日からって思ってたけど・・・今から、料理教えてくれねー?」
やる気満々の息子を見て、いい影響だと思うヨシノは二つ返事でその申し出を了承した。
母が息子の才能に仰天するまで、あとわずか。
→ 火影の執務室
「じいさま。今日はシカクさんと組むんだろ?」
「うむ。・・・奈良家の術が役に立つだろうからの。・・・して、シカマルとは・・・?」
むしろそっちがメインとでもいうように、三代目がそわそわと聞いてくる。
「付き合うことにした。・・・シカマルが・・・シカが本当の俺を受け入れてくれたから・・・。」
「そうかそうか。・・・きっとシカマルは優秀な忍になる。・・・いずれは、ナルトの補佐を、と思っておる。」
ナルトに微笑みを向け、三代目がそう言うと、シカクが溜息を落とす。
「・・・うちの馬鹿息子が、ナルトに変なことを教えなきゃいいんですがね。」
「それは、本人達が決めることじゃろう。・・・この子らはもう大人以上の働きをしておる・・・ワシらが口を出すことではないわ。」
遠まわしに許可をした三代目に、シカクは仰天する。あれだけナルトナルトと言っていた人が、こんなにも簡単に手放すとは。
「・・・何の心境の変化ですか。」
「失敬な。・・・シカマルなら、ナルトを泣かせることも無いと信頼しておるからじゃ。(ナルトが気を張っている事さえ気付いたのじゃからな。)」
三代目はパンと手を打ち、その話を打ち切る。
「さて、おぬしらへの任務じゃが・・・この男を捕まえてきてもらいたいのじゃ。」
三代目から手渡されたのは、一枚の写真。
「・・・できれば、無傷が望ましい。」
「それで、奈良家の術って訳ですか。」
シカクが納得する。
「・・・このおっさん、何?」
「ナルトは知らねーか。・・・この人はな、伝説の三忍の1人、自来也様ってんだ。」
「・・・あ!四代目の先生か。」
ポン、と手を打ち、ナルトは呟く。父とは呼ばないナルトに、三代目とシカクは視線を揺らす。
「でも、何で?・・・もう1人の伝説の三忍を追ってるって、聞いたことがあるけど。」
「そうなんじゃがの。・・・ちょいと用があってのう。呼び戻したいんじゃよ。」
にこりと三代目が微笑めば、ナルトはふうん、と気の無い返事をする。
「・・・曲がりなりにも伝説とまで言われる忍じゃ。・・・無傷で捕らえるには、相当な力を持っている者でないとなぁ。」
「・・・それで、俺?」
「そうじゃ。・・・頼めるかのう。・・・これは、ワシの個人的な依頼と思ってくれれば良い。」
「個人的?」
「そうじゃ。ただし、ランクはSじゃがの。」
「・・・Sぅ~!?ただの人探しが?」
シカクが素っ頓狂な声をあげると、ナルトがふと考え込む。
「・・・じいさま、場所がわかってるのか?」
「まあ、のう。」
「・・・・・・どこ?」
「・・・・・・・・・音の里。」
「・・・そりゃSだな。他里にちょっかい出すってことだろ?・・・なんで?捕まってんの?」
「いや・・・潜入しとる。・・・はずじゃ。多分。」
どうやら自信は無いが、そういった情報があるらしい。
「・・・へぇ。どの筋からの情報なわけ?」
ナルトが尋ねると、さらに言いにくそうに三代目は告げる。
「・・・・・・“根”からじゃ。」
「・・・うわー・・・なにそれ。あはは。」
ナルトは思わず笑ってしまう。あれだけ三代目に反目している“根”の方から情報を寄越すなんて、信じられるわけが無い。
「・・・自来也にはどうしても戻ってきてもらわねばならん。・・・不確かな情報で動いてもらうのはこちらとしても避けたいのじゃが、あいにく、これしか情報が無いんじゃよ。」
申し訳なさそうな三代目に、ナルトとシカクは互いに顔を見合わせる。
「ま、その時はその時。・・・俺とシカクさんだけなら、いざって時は時空間忍術で帰ってこれるし。」
「まぁ、しょうがねぇ。ナルトもアカデミーがあるし、早めに終わらせて帰ってくるようにしますよ。」
ナルトはあっけらかんと笑い。シカクも苦笑を浮かべる。
「すまん。・・・頼んだぞ。」
苦々しい表情を浮かべる三代目に、2人は頷く。
「「・・・御意!」」
任務に就くために執務室を出ようとしたナルトを、三代目が呼び止める。
「ナルトや。」
「・・・なに?じいさま。」
「・・・表情がすっきりしたのう。・・・昨日までは、ストレスがたまってるような表情じゃったが。」
「・・・うん。シカのおかげかな?」
ふんわりと幸せそうに笑い、ナルトはひらひらと手を振って、執務室を後にする。
「・・・シカマルのおかげ、か。・・・近くにいすぎてわからないこともあるものじゃ。・・・あの子が必要としていたのは、黙って背を預けられる者じゃった。あの子の心は、心配されるほどに頑なに閉ざされてしまった。・・・それを気付けなかったワシらに、何を言う権利があるのじゃろうのう。」
独り言のようでいて、しかし、三代目の言葉は、執務室の外に控えている千坐に向けられていた。
「(わかってるさ。・・・俺たちには、ナルトにあんな顔をさせることはできなかった。)」
千坐はグッと手を握りこみ、唇を噛んだ。
「さて・・・音の里までは、どう行く?結構な距離があるしな。」
「ん。ちょっと待って。・・・付近に暗部の誰かがいれば、使えるから。」
何を、とは言わない。シカクもよくわかっていることだからだ。
「・・・いた。音の里付近に1部隊。」
目印をどのように把握しているのだろうか。
シカクは己の親友であった四代目に聞いてみた事があったが、曖昧に誤魔化されてしまった記憶しかない。
「よし、行くか。」
「うん。“飛雷神の術”!」
素早く印を組んで、術を発動する。
一瞬の後、ナルトとシカクは、暗部たちの真ん前に移動してくる。
「!・・・ナル坊、この付近で任務か?」
部隊長が一瞬、目を見開いて驚くが、すぐに冷静さを取り戻す。
「そのナル坊って、いい加減やめて欲しいんだけど・・・まぁ、いいや、俺たちこれから音の里で任務なんだ。何か情報無い?」
「音?・・・最近できたばかりの里で、随分と特殊な術を持ってるらしいな。」
スラスラと情報が出てくるのに、シカクは感心してしまう。やはり、暗部はレベルが違う。
「ふぅん・・・血継限界じゃ無いの?」
「違うな。・・・どうも、様々な人体実験をしているらしい。」
「うげ。」
嫌そうな顔をして、ナルトが引く。
「はー、こりゃやりにくいなぁ。」
シカクが深いため息をつく。
「・・・向こうも潜入中だしね。」
「ナル坊、人捜しなら、手伝おうか?」
「ありがと。気持ちだけで充分。・・・俺、5人以上だと飛べないから。」
暗部の申し出をやんわりと断り、ナルトは変化の印を組む。
「シカクさん・・・ここからは、蒼藍、だから。」
変化を終え、ナルトはシカクを見つめる。
「おぅ。じゃあ、潜入開始だ、蒼藍。」
シカクは頷いて、音の里を見つめた。
里と言っても、木ノ葉とはタイプが違う。基地といった方が良いような造りだ。
「だだっ広くねーだけマシか。」
「・・・だね。」
辺りを確認し、音の里の敷地内に足を踏み入れる。
「自来也様は、どうしてこんな所に潜入してるんだ?」
「もう一人の三忍、大蛇丸ってのが関係してるのかもしれないね。」
「・・・有り得るなぁ。あの人はおっかねーから、関わり合いたくねーんだがな。」
ぼやきつつも、シカクは歩を進める。
「待って。・・・あそこ、人の気配が集まってる。」
ナルトが指差している方を向き、シカクはこっそりとその入り口の側に寄り、中をのぞく。
「・・・ッ!」
シカクは息を呑み、指で呼ぶ合図をする。ナルトはシカクの側に音もなく近寄る。
「見ろ。・・・大蛇丸だ。」
こっそりと言われ、ナルトはその中をのぞく。
「うわ・・・あの蛇っぽい人?」
「そうだ。」
「気持ち悪っ・・・俺、爬虫類嫌いなんだよね。」
「あー・・・お前、素直だなぁ。」
シカクが何とも言い難い表情を浮かべる。
「気づかれる前に、行こ。俺も関わり合いたくないや。」
ナルトはシカクの手を引き、その場から離れる。
「しかし、自来也様はどこにいるんだぁ?」
「んー・・・“根”に騙されたかな?」
ナルトはきょろきょろと辺りを見回す。
「なぁ・・・蒼藍。」
「・・・;」
シカクがナルトとつなぐ手をグイッと引く。その理由に先に気づいていたナルトは、歩く速度を速める。
「お待ちなさい。・・・人の里に入り込んで、挨拶も無いのかしら?」
背後から声をかけられ、くるり、とナルトが振り返る。
「あんた、オカマ?」
「・・・木ノ葉ね・・・あのジジィの指図かしら。」
一瞬、カチンときたようだが、大蛇丸が話を進める。
「自来也って人を探しているんだけどね?」
「自来也?・・・一足遅かったわね?アイツなら、ついさっき私の部下に見つかって、逃げちゃったわよ。」
ガセネタではなかったらしい。それだけ確認できれば、もうここには用はない。
「あっそ。じゃあ、おじゃましました。」
「タダで帰すと思ってるのかしら?」
「自来也って人はタダで帰したんでしょ?」
ナルトは大蛇丸と視線を合わせながら後退りする。
「そうでもないわよ・・・。」
ゾロリと舌を出す大蛇丸に、激しい嫌悪を感じる。
「目を閉じてろーのぅ!」
唐突に響いた声。シカクが慌ててナルトの目を手で塞ぐ。
「何!?」
ボンッ
何かが破裂したような音がして、辺りに煙がたちこめる。
「さっきの声・・・ゴホっ・・・自来也ね!」
大蛇丸が煙にむせながら、草薙の剣を振りまわす。が、煙が晴れた頃には、ナルト達の姿はこつ然と消えていた。
「チッ・・・逃がしたわね。・・・それにしてもあの忍、気になるわ。カブトに調べさせようかしら。」
大蛇丸は呟き、ニヤリと笑みを浮かべた。
音の里の敷地から出た所で、3人が顔を見合わせる。
「奈良の坊主か・・・元気そうだのう?ん?」
「自来也様・・・もう、坊主って歳じゃねーんですが。」
シカクが溜息をつく脇で、ナルトはしげしげと自来也を見つめる。
「・・・で、こいつは?」
ちらりとナルトを見て、自来也はシカクに訊ねる。
「えーと・・・。」
シカクはナルトに視線を向ける。
「うずまきナルトって言えばわかる?」
すんなりと答えたナルトは、変化を解く。
「・・・!!」
「じいさまがあんたを探しててね。・・・俺たちが連れ戻しに来たんだ。」
本来の姿に戻ったナルトは、自来也の腕を掴む。
「ミナトの。」
自来也はその小さな手を見つめ、感慨深げに呟く。
「シカクさん。飛ぶよ。」
その一言でシカクは理解し、ナルトの服の裾を掴む。
「なんじゃあ?」
訝しげな自来也をよそに、ナルトは、片手で印を組む。
「おぃ、そりゃあ・・・。」
「“飛雷神の術”」
自来也が言いかけた瞬間にナルトは印を組み終え、術が発動し、3人の姿はふっと消えた。
「ただいま戻りました。」
開口一発。ナルトが挨拶をすると、三代目はさほど驚きもせず、頷いた。
「うむ。ご苦労であったの。その様子じゃと、罠ではなかったようじゃな。」
「うん。ちゃんと、いたよ。」
ぐいっとナルトが引っ張るのは、油の文字が書かれた額宛をする大男、自来也。
「久しいの、自来也。」
「・・・三代目。」
自来也の言葉が詰まるのを見て、三代目は困ったように笑う。
「すまんな。お主にどうしても頼みたいことがあったんじゃよ。」
「・・・頼みたいこと?」
「ああ。ある子供に、チャクラ増強の術を叩き込んでやってほしい。」
「「!!?」」
その言葉に驚いたのは、ナルトとシカク。この内容で、ある子供と言ったら、当てはまるのはシカマルしかない。
「・・・じいさま!」
「それで、俺達でこの任務だったわけですね・・・。」
2人がようやく納得のいったような顔をすると、いたずらが成功したような笑みを浮かべ、三代目は頷く。
「まあ、ワシがその術を知っていれば良かったんじゃが、あいにく、この術は自来也しか知らんでのう。」
「その為に、呼んだってーのかのう。・・・ま、大蛇の奴に気付かれちまったし、しばらくはあの里には近づけんしのう。・・・で?その子供ってーのは、どこにいる?」
「うむ。明日、紹介することにしよう。・・・自来也、久々に、酒でも飲むかの。」
「あ、それなら、俺も混ぜてくださいよ。」
シカクがちゃっかりと話に乗ると、ナルトは呆然とそれらを見つめ、こっそりと溜息をつく。
「はぁ・・・じいさま、俺に甘すぎ。」
嬉しさを隠し、呆れた声で言う。
「まぁまぁ、いつも頑張ってくれておる褒美じゃと思うてくれればよい。」
ニコニコと返されれば、思わず表情も緩み、はにかんだ笑みに変わる。
「・・・三代目、こいつ、ミナトの術が・・・。」
「・・・うむ。四代目が残したオリジナルの術のほとんどを覚えておる。」
三代目の言葉にギョッとした自来也は、ナルトを伺うように見る。
「・・・なあ、あんた、四代目の先生なんだろ?」
「・・・あ、ああ。」
目が合うと、いきなりナルトに訊ねられ、自来也は目を丸くする。
「あのさ、他に面白い術知らない?」
「・・・!?」
てっきり父親の事を教えてくれと言われるかと思った自来也だが、全く違う事を訊ねられ、思わず三代目を振り返る。
「・・・ナルトや、これ以上術を覚えてどうするんじゃ。・・・おぬしのオリジナルの技とてあるじゃろうに。」
「カカシ君は千の技をコピーしたよ?」
「あ、あれは、写輪眼で・・・。」
カカシを引き合いに出されて、三代目が慌て始める。
「こら、ナルト。ワガママ言わねーで、さっさと家帰って寝とけ。・・・明日っから、シカマルと朝飯食うんだろ?」
パカンとシカクがナルトの頭をはたく。仰天したのは三代目だ。育ての親でもある暗部達ならばともかく、それ程懐いているわけでもないシカクにはたかれるなど、絶対に怒っていると確信してナルトに目を向ける。
が、どうしたわけかナルトは、はたかれた頭をさすりながらも、ニヘラと表情を笑み崩していたのだ。
「そっかあー。明日から、シカと朝ご飯食べるんだよね。」
「おぅ。それに、あいつが自来也様に術を教わっている間も側にいりゃ良い・・・その方があいつもやる気が出んだろ。」
「うん。」
すっかり思考をシカクに読まれたナルトは、素直に頷く。
シカマルといると気持ちが楽になる。ナルトはそれが心地よくて、シカマルと一分一秒でも長く一緒にいたい。
それが、先ほどの行為を目撃したシカクには容易に想像がつく。
「シカク・・・どういうことじゃ?」
三代目がオロオロとしながら聞くと、ため息まじりの返答がある。
「どうもこうも・・・付き合い始めたばっかりのバカップルは、一分一秒でも離れていたくないんだそうですよ。」
言い方はともかく、的確な表現であるので、ナルトはにっこりと笑ってコクコクと頷いた。
「(ナルトや、そこまでシカマルに気を許して)・・・そうか。なるほどのぅ。」
複雑な気分で相づちをうった三代目は、ナルトの頭を撫でる。
「良かったのぅ?ナルト。」
「うん♪」
年相応の笑みを浮かべ頷くナルトを見て、三代目はシカマルに任せて良かったと心底そう思った。
一方、ナルトが“シカと朝ご飯~”と機嫌よく呟きながら帰宅した頃・・・
何も知らないシカマルは、素晴らしい料理の才能をヨシノに見せつけていた。
「シカマルがこんなに料理が上手だったなんて・・・私、何にも教えて無いわよねぇ?」
「あー・・・母ちゃんの料理してんの見てたしなぁ。」
ナルトと対しているときと違い、やる気がなさそうに言うシカマル。
「それにしたって私より上手じゃないの。参考になったとは思えないんだけど。」
ヨシノの言葉にも一理ある。
「さぁなぁ・・・んなこと言われても。考えるだけメンドクセー。」
「・・・あんた、ナル君に関する事だけにしかやる気は出ないわけ?」
「たりめーだろ?ナル以外は、ぶっちゃけメンドクセー。」
どうしたらここまで徹底できるのかわからないが、全ての労力はナルトの事のみに使うことにしたらしい息子を見て、ヨシノは深い溜息をついた。
「これじゃ、前と全然変わらないじゃない。」
それを聞いたシカマルは、心底不思議そうに首を捻る。
「そうか?」
「そうよ。・・・確かにあんたにしてみれば、頑張る部分もあるから変わったかもしれないけど、ナル君以外が見たら何にも変わらないってことじゃない。」
「まぁ、ナルが関われば、何だって頑張るぜ。・・・ナルが望むなら、全力で今までの俺を変えるくらいにはな。」
ニヤリと笑い、シカマルはできた料理を眺める。
「母ちゃんが作ったのとコレとで明日の朝飯は充分だな。」
“ナルの喜ぶ顔が目に浮かぶな。”そう独白し、シカマルはテキパキと後片付けをする。
ナルトが喜ぶのは、なにも料理だけではない。暗部の手を離れ、アカデミーに通い始めた時から、朝はもちろん任務の無い日の夜もたった1人で食事をしてきた。
そんなナルトに、一緒に食事をとってくれる相手、しかも、恋人で、手料理まで付いてくるのだから、喜ばない訳がない。
知っていての申し出ではないとは言え、シカマルはしっかりとナルトの心をゲットしたのだった。
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