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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









→ 火影岩上


「・・・おい!何なんだ、いったい!」

 無理やり引っ張られていた腕を、思いっきり振りほどいたサスケは、怒気のこもった声でシカマルに訊ねる。

「・・・そりゃ、こっちの台詞だ。・・・ナル、これは、どういうことだ?」

 訊ねられれば、答えなければならない。シカマルには嘘をつきたくは無いからだ。

「・・・サスケは、俺の素性を知ってるって事だよ。シカ。」

「ッ、おい!ナルト!!」

 慌てたのは、サスケ。状況を把握しきれないまま、ナルトがいきなりカミングアウトを始めたのだから、当然といえば当然だ。

「・・・良いんだよ、サスケ。・・・シカは知ってるから。」

「・・・知ってるって・・・。」

「演技のことも、暗部のことも・・・九尾のこともな。」

 ナルトが言えば、サスケは、バッとシカマルを振り返る。

「・・・なるほど、サスケは知ってるだけ、か?」

 シカマルが訊けば、ナルトはコクリと頷く。

「サスケは、アカデミー入学直後に、イタチ君が紹介してくれたんだ。」

「・・・イタチ君?・・・って、うちは一族を全滅させたっていう・・・?」

「そう。サスケの兄貴。」

「は~・・・マジかよ。」

「・・・ごめん。」

 頭を抱えるシカマルに、ナルトはうつむき加減で呟くように言い、ふと、口を閉ざす。

「・・・いーぜ、怒ってねーから。・・・おい、サスケ。お前どこまで知ってる?」

「・・・九尾が封じられてるって事と、暗部に入隊してるって事。・・・それから、実力を隠すために演技をしてるって事・・・それから・・・九尾の事で、うちはの警務部隊にマークされてた事。」

「・・・ナルの暗部名は?」

「知らない。」

「・・・じゃあ、ナルの実力は?」

「兄貴より強いとは聞いた。でも、実際にナルトが戦っているところを見たことは無いし、事情だって、簡単に兄貴や他の暗部から聞いただけだ。」

「・・・なるほどな。ナルから聞いたわけじゃねーんだな?」

 こくりと頷いたサスケは、逆に、シカマルに聞き返す。

「・・・お前はどうなんだ?」

「俺?・・・俺は、ナルから聞いた。関係性で言わせてもらえれば、付き合ってるからな、俺達。」

「・・・そうなのか。・・・お前もいつもと雰囲気が違うな。ナルトと同じなんだろう?」

 付き合っていることには大して驚きもせず、サスケはシカマルも演じていると言い当てる。

「まあな。・・・でも、あんまり変わんねーだろ。」

「そうだな。・・・ナルトは変わりすぎだが。」

 ちらりとナルトを見るサスケの目には、呆れ半分、感心半分の色が現れている。あのドベの姿の徹底振りには、確かに感心を通り越して、呆れさえ感じるだろう。

 だが、その演技に綻びができた。なんとなく、その理由はわかる。

「今日、ナルにケンカをふっかけたのは、素に戻りかけてたからだろ?」

「ああ。珍しくな。・・・まあ、アカデミーでナルトに何かあったら、フォローを頼むと兄貴に言われてるからな。」

 ひょい、と肩をすくめ、サスケはシカマルの言葉を肯定する。

「もともと、そのつもりでイタチ君はサスケに話したんだよ。・・・はぁ、過保護だよなぁ。」

 ナルトもサスケの言葉に付け加え、溜息を漏らす。

「・・・仕方ないだろ?元凶を知ってしまった上に、一族の件で兄貴は里外任務に行くことになったし。」

 同じく溜息を漏らしたサスケが兄を弁護すると、シカマルが首を傾げる。

「・・・里外任務?里抜けじゃねーのか。・・・ってことは、全滅したうちは一族って・・・。」

「書類上?というか、話上はイタチ君がやったって事になってるけど、別の人間がやったんだよ。・・・それは、シカが暗部になったら、教える。」

 ナルトが言うと、シカマルはあっさりと頷いた。

「わかった。・・・つまり、サスケは、そういった事情もあるから、ナルのことを知ってんだな?」

「うん。・・・な?サスケ。」

「ああ。・・・俺は“うちは一族の生き残り”だからな。とりあえず、三代目からもその点については情報開示請求に応じると言われてる。」

「なるほどな。・・・まあ、とりあえず、事情がわかれば俺は文句はねー。立場上聞けねー事なら、しょうがねーしな。」

「・・・理解ある奴で良かったな。」

 サスケが苦笑いめいたものをうかべると、ナルトは、こくりと頷く。

「うん。・・・悪かったな、サスケ。フォロー、助かった。」

「いや・・・やり方考えてる暇が無かったから、結局反省文だったしな。余計な労力使わせた。」

「いいって。慣れてるし。・・・じゃ、また、明日な。付き合ってくれてサンキュー。」

 ナルトがひらひらと手を振れば、サスケは苦笑をもらし、右手を軽く振って火影岩を降りていく。

「・・・サスケの名前出した時に言葉を濁してたのは、こういう事か」

 くつり、とシカマルが笑うと、ナルトは力なく笑う。

「ははは・・・暗部になってから、ゆっくり話していこうと思ってたんだけど。・・・ま、いっか。シカは解部だし、ちゃんと、情報の大切さは知ってるもんな。」

「おー。まあな。・・・まあ、お前が大丈夫だと判断したら、話してくれ。ただし、こっちはこっちで、詮索はするぞ。火影様には許可を貰ってるしな。」

「あー、聞いたよ。俺の件に関しての行動には、一切目をつぶるって言われたんだって?」

「ああ。」

「よく、あのじいさまにそんなこと言わせたなぁ。」

 感嘆するナルトに、シカマルは苦笑する。

「お前がらみだからだろ。・・・さて、その、なんとかっていう伝説の三忍に会いに行くとすっか。」

 シカマルがそう言うと、ナルトはきょとんとする。

「え?・・・さっきからいるじゃん。」

 気付いてなかったの?と問われて、シカマルは素直に頷く。

「ああ。・・・ってか、マジでいんのか?」

「・・・わかってて、ここに来たんだと思ってた。」

 ナルト曰く、シカマルがサスケと自分を連れてきたのが、火影岩の上という時点で、自来也がいるとわかっての行動だと思っていたのだということだった。

「・・・そんな、器用じゃねーよ。ただ単に、滅多に人が来ねートコ選んだんだからよ。」

 ひょい、と肩をすくめれば、ナルトは素直に納得する。

「そっかー。なるほどー。」

「・・・頭は良いってーのは、間違いないようだのう。」

 その一言で、存在をようやく把握できた。それでもまだ、蜃気楼のようにつかみどころがない。

「・・・そんなに、気配を薄くする必要があるのか?」

 眉を顰め、ナルトが不機嫌に呟く。どうやら、気に食わないところがあったようだ。

「ナル、コレも修行の一環だろ。」

 シカマルがフォローすると、ナルトはわかってると返す。

「でも、最初から、こんなんじゃ、慣れる前に感覚がおかしくなるだろ。」

 ご機嫌ナナメの恋人に苦笑しつつ、シカマルは大男を見上げる。

「どーも。・・・便利な術を教えていただけるようで。」

「・・・シカクにそっくりだのう。・・・しかも、かわいげが無いときた。」

 ぶつぶつと言う伝説の忍に脱力感を覚えつつも、シカマルはグッとこらえる。

「なあ、早く始めてくんない?」

 ナルトの言葉に、自来也はよっこいせ、とその場にしゃがみこむ。そして、ごそりと出した巻物をその場で広げる。

「まあ、ちゃっちゃと終わらせるとしよう。」

 言い方はなんであるが、とりあえずやる気になった自来也に、シカマルは軽く溜息をついて、その巻物を覗き込んだ。

「・・・口寄せ?」

「・・・そうだ。・・・まあ、少し違うが、ナルトのようにすると思えば良い。」

 ナルトのように、というところで、シカマルはああ、と納得する。

「・・・そーか。封印術の応用で、チャクラだけを借りるってヤツか。」

 正確に言ってのけたシカマルに、自来也はほう、と感心の声をあげる。

「優秀な生徒じゃのー。教えがいがあるってーのぅ。」

 素直に褒められれば、シカマルも満更悪い気はしない。ほんの少し、頬の筋肉が緩む。

ぽふ

 頭に軽く手が乗せられる。見ると、ナルトが微笑してシカマルの頭を撫でていた。

「シカ、素直だなぁ・・・。ああ、こういうの、自分の感情に正直って言うの?」

「・・・ちょっと違うけどな。・・・ってか、撫でんな///」

 恥ずかしいだろうが。と、頬を赤く染めたシカマルがナルトの手を引き下ろす。そりゃ、見てるこっちが恥ずかしい、と思いつつ自来也は印を組む。

「・・・口寄せの術!」

ボン!!

 白い煙とともに出てきたのは、オレンジ色の蝦蟇。

「むー・・・。自来也。何用じゃ?」

「おう。悪いのぅ。・・・ちとな、こいつと相性の良い憑き物を判断して欲しい。」

「・・・んんん?こいつかぁ?・・・ほう、なるほど。うんうん・・・。」

 じろじろと蝦蟇に見つめられ、シカマルは眉間に深いしわを刻む。

「・・・何なんだよ・・・。」

「こいつはのう、チャクラ質を調べる能力があるんだ、のぅ、どうだ?」

 自来也が蝦蟇に問うと、蝦蟇はごくりと息を呑む。

「驚いた。こやつ、なかなか面白いチャクラ質だぞ。・・・相性は黒神とが良いかもしれんな。」

「黒神!?」

 驚いたのは、ナルト。

「黒神って、何だ?」

 解部に所属するシカマルでさえ知らない存在。しかし、ナルトの驚き具合からすると、かなり貴重な存在らしい。

「えーと、狼なんだけど。結構偏屈でさ・・・滅多に人前に姿を現さないんだよね。」

「・・・そんな奴とどうやって契約しろと・・・。」

 はは、と軽く笑いながら答えたナルトに、がっくりとシカマルは肩を落とす。

「だから、修行なんだろうが、のう。・・・まあ、とりあえず、奴と話をするのが先じゃのう。・・・ナルト、お前、居場所を知っておるのか?」

 自来也に問われ、ナルトはコクリと頷く。不安げな表情なのは、黒神が出てくるかどうか、心配なのだろう。

「ナル・・・。」

「こればっかりは、黒神の機嫌次第だから・・・。俺、あんまり、シカの力になれないかも。」

「いーって。・・・俺自身の事だしな。サンキューな、ナル。」

 またも甘い雰囲気になりかけた空気をバッサリと切ったのは、やはりこの人で。

「・・・時と場所を考えろ・・・のう。」

「「・・・あ。」」

 すっかり存在を忘れていた2人は、溜息をつく自来也に気まずげな視線を送る。

「まったく。・・・ラブラブは程々にしろのう。」

 呆れのたっぷりこもった言葉に、思わず赤面した2人だった。

「じゃ、じゃあ、行こうか!」

 ポン、と手を打ちナルトが言うと、自来也ははてと首を傾げる。

「黒神の所へか?・・・今、出てくるのか?」

「待ち伏せた方が良いんだよ。・・・ねぐらは幻想の森にある。」

「幻想の森!?・・・そんなところに黒神がおったのか!!?」

 ぎょっとする自来也をよそに、ナルトはシカマルの手をむんずと掴む。

「さ、行こう、シカ。時間が勿体無いよ。」

「お、おう。」

「まてまて、ワシを置いて行くなってーのぅ!!」

 “飛雷神の術”の印を組み始めたナルトに、慌てて自来也がその服の裾を掴む。その瞬間、術が発動して三人の姿は消える。



→ 幻想の森


 着いたのは、薄暗い森の中。人の手が入っていないことが明らかにわかる。

「・・・木ノ葉にこんな所があったなんてな。」

「・・・普通の人間は入れないからね。」

「初代火影貼った結界があるからのぅ。」

 自来也がその場にしゃがみこむ。

「・・・ふむ。結界はまだ健在だな。・・・ナルト、お前、どうやって入り込んだ?」

「九尾のチャクラに反応して、結界が勝手に入り口を作ってくれたよ。」

「・・・やはりそうか。ここは、神や仙の領域に近いからの・・・。」

「ナルのおこぼれで俺たちが入れたって事か。」

 シカマルが納得の声をあげると、自来也が苦笑気味に否定する。

「いや、正確には、おこぼれはお前だけだ。・・・ワシは、仙人じゃからの。」

「・・・はー・・・そうかよ。」

 肩を落とし、シカマルが呟くと、ナルトがギロッと自来也を睨む。

「・・・に、睨むなってーのう!本当のことじゃろうが!」

「・・・。」

 尚も無言の圧力をかけるナルトに、自来也は肝を潰す。

『先ほどからなんだ!!!騒々しい!』

 大音量の叫びが、森中に響き渡る。

「あ、黒神だ。」

 パッと顔を上げ、ナルトが辺りを伺う。そして、空間の歪みを見つけると、嬉しそうにそこへ駆け寄る。

「久しぶり!黒神。」

『・・・そうか、お前か。久しいな。九尾の器の神子(みこ)。』

 歪みから姿を現したのは、黒い狼。そして、その瞳は血のように赤い。

「あんたが、黒神・・・。」

 シカマルが近寄ると、黒神はその赤い瞳を眇める。

『ほう、珍しいチャクラを持っているな、童(わっぱ)。名をなんと言う?』

 黒神が視線を向けてきただけで感じる重圧に、シカマルはごくりとのどを鳴らす。

「・・・シカマル。奈良シカマル・・・。」

『ああ、あの一族か。・・・面白い、シカマルといったな、お前、我の試練を受けてみるか?』

「試練?」

 シカマルが首を傾げると、黒神はニヤリと口角を上げる。

『ああ、耐えられたら、力を貸し与えてやってもいい。』

 願っても無い申し出だった。元よりそのつもりだったシカマルは二つ返事で了承する。

「ああ、いいぜ。こっちから頼みてーくらいだ。・・・本当に耐えられたら、力を貸してくれるんだな?」

『無論だ。・・・神に二言は無い。』

 神、と言ってのける黒神に、シカマルはチラリとナルトを見る。

「・・・シカ・・・頑張って。」

「・・・おう。ナルの為にも、頑張るぜ。」

 ニヒルな笑みを浮かべ、シカマルは頷く。

『準備ができたなら、始めるぞ。』

「・・・ああ。どうすりゃ良いんだ?」

『なに、じっとしていれば良い。それだけだ。』

 黒神はそう言うと遠吠えのような声をあげる。

オオォォーン

 ブワッとシカマルを闇が包む。

「うぉ!?」

「シカ!」

『安心せい、神子。傷つけたりはしない。・・・この闇に耐えられるようなら、我の力を貸しても狂うことはあるまい。耐えられなかったその時は・・・。』

「その時は・・・?」

『・・・廃人になる前に闇を解いて、我についての記憶を消す。』

 黒神の言葉は冷たいようだが、シカマルの為を思っての事だとわかっているから、ナルトは無言で頷く。

「・・・本当に良いのか?ナルト。」

 自来也を振り返り、ナルトは眉間にしわを寄せる。

「良いから頷いてる。・・・振り出しに戻るだけだ。何も、チャクラを増やす方法はコレだけじゃない。」

 不機嫌丸出しのナルトに、自来也は身を引く。

「そ、そうか。」

『蝦蟇の・・・お前、神子のことを知らんのだな。・・・先ほどから怒らせるようなことばかり口にする。』

 呆れたような声に、自来也はがっくりと肩を落とす。

「・・・いや、こんな短気な奴とは思わなかったんだってーのう。」

「・・・四代目と同一視するな。煩わしい。」

 ナルトの言葉に、自来也はぎくりとする。あまりにも外見が四代目と似ているから、中身まで一緒だと勘違いしてしまう。ナルトにとってそれが煩わしいことだから、先程から機嫌が悪いのだろう。

「す、すまん。・・・と言うか、お前、シカマルとワシとの扱いの差が激しくないか?」

「・・・自覚してたか。当たり前だろ?・・・あんたの事、嫌いでも好きでもないからな。・・・ちなみに、嫌いなら一言も話さない。」

「・・・徹底してるな・・・。」

「あんた、俺の立場がわかってない。だから、そんな事言えるんだ。」

 ナルトの目が鋭い光を帯びる。もし、殺気が目に見えるものなら、今、ナルトの身体の回りはトゲトゲとした殺気に包まれているだろう。

『蝦蟇の、あまり神子を怒らせるでない。我までとばっちりが来るではないか。』

 呆れたような声の黒神に、自来也はすまなそうに視線を向ける。

「いや、怒らせるつもりは無いんだってーのぅ・・・。」

「・・・わかってやってたら、なおさら悪い。」

 むっつりと呟き、ナルトは黒神が作り出した闇の側に歩み寄る。

「シカ・・・頑張って。」

 か細い声を出して闇に縋る様子は、先程までのナルトとは別人のようだった。自来也はそれを見つめながらそう思う。が、それを口に出せば、また、ナルトのことを怒らせるのは必然だったので、黙っていた。



 一方、闇に囚われたシカマルは・・・

「はー・・・攻撃でもされんのかと思ったら、ただ、闇に閉じ込められるだけか。」

 辺りを見回しても、闇が広がるだけ。

「外部との遮断・・・だけじゃねーんだろうな。さて、試練というくらいだ、何かはあるだろ。」

 シカマルは黒神に言われた通りに、じっとしていたが、いくら待っていても、何かが起こる気配は無い。

「・・・何なんだ・・・めんどくせー・・・。」

 いい加減にイライラとしてきたところで、急に闇が晴れる。

「・・・?」

『我は黒神が力の一つ“闇”お前は、暗闇を恐れないのだな。』

 現れたのは、黒い球体。シカマルはそれを見つめ、深い溜息をつく。

「曲がりなりにも、俺は影使いだからな・・・。暗闇には慣れてる。ってーかよ、忍ならそんな事でめげたりしねーだろ。」

『然り。・・・だが、真の暗闇を人は本能的に恐れる。・・・実際、音も光も一切無いところで、正気でいられる者は少ない。・・・お前は、なぜ平気だったのか?』

 心底、不思議そうに問われ、シカマルはそんな大層な事だったか?と首をひねる。

「あ?・・・まあ、確かに静かだったな。・・・あれぐらい静かだったら、昼寝に丁度良いとは思うけどな。」

『・・・昼寝・・・。』

 黒い球体は少し気分を害したようだった。本来、人を狂わす闇を使役しているというのに、昼寝の道具というか、良い環境と言われてしまえば、立つ瀬が無い。

「ああ、わりィ。まあ、俺はこういうわけで、あんまり怖がってやれねーんだよ。」

『・・・良い。・・・稀にいるのだ。闇を恐れぬ者は。・・・九尾の器の神子も闇を恐れぬ。・・・お前のように昼寝に丁度良いとまでは言わなかったが。』

「・・・わ、悪かったって。」

 意外に根に持つらしい。それがわかって、シカマルはあまりこの“闇”を怒らせないようにしようと心に誓う。

『・・・試練はクリアだ。・・・我を受け入れられれば、他の力なぞ、お前にとっては子供騙しのようなものだ。』

「・・・へぇ、他にどんな力があんだよ。」

『知りたいか。・・・ならば、目を瞑っていろ。』

 “闇”の言う通りに目を瞑れば、ドッと映像が自分の中に入り込んでくる。

「・・・っ。」

 大量の情報に息を呑む。

『・・・大丈夫か?』

「あ、ああ。・・・ちょっと驚いただけだ。・・・つまり、あんたは黒神のほんの1割程の力なんだな?」

『・・・そうだ。・・・やはり、神子がパートナーに選んだだけはある。・・・お前に、我らの力を託そう。』

 そう言った“闇”はすうっとシカマルの中に入ってくる。

「うおっ!」

 吸い込まれるように己の中に入った“闇”・・・認められたのだと実感する。そして、確かに感じる。己の中から大きな力が湧き上がってくる。

ドクン・・・

「なんだ?・・・ああ、術が解けるのか。」

 黒神の力の全てを理解したシカマルには、何が起こるのかすぐにわかった。それも、シカマルの頭脳のなせる業だ。

 もし、普通の人間が今の情報量を得ても、理解がついていかず、勝手に脳が許容量を超えた情報を忘れさせてしまうはずだった。

 シカマルの頭脳はずば抜けていた。あれだけの大量の情報を得ても、全て理解してしまったのだ。

「・・・いい環境なんだが・・・。昼寝に使ったら、やっぱ怒られっかな・・・。」

 よほど気に入ったのか、そんな事まで呟く始末。中にいた“闇”はこっそりと溜息をついた。



 そして、待ち続けるナルト・・・

『ふむ。・・・試練が試練にならなかったようだな。』

「・・・それって・・・。」

 黒神の呟きに、ナルトは心配そうに表情を歪める。

『・・・神子、心配には及ばない。・・・シカマルは、我の“闇”を心地よい昼寝の道具とまで言い切ったようだ。なかなかにいい度胸をしている。』

 くつくつと笑う黒神は、機嫌が良い。むしろ昼寝の道具と言い切られて、スッキリとしたようだ。

「あー・・・シカなら、言いそう。」

 あはは、とナルトは乾いた笑いをする。

「・・・神相手に・・・なんつー・・・。」

 自来也はぼそりと呟く。このとんでもない子供たちの相手はもうこりごりだと感じる。そんな会話を交わしている間に、すうっと闇が消え、シカマルがその中から出てくる。

「・・・おー。ナル、ただいま。」

「おかえりっ、シカ!」

 にっこりと笑ったナルトに、シカマルはホッとした笑みをうかべる。

「これで、少しはお前に近づけたか?」

『・・・九尾と同等まではいかん。・・・だが、それに近しいとは言い切れる。』

 黒神の言葉に、シカマルは少し残念そうにするが、以前よりはマシだと前向きに考えることにする。

「・・・まあ、これで、チャクラには困らねーよな?」

『ああ。無尽蔵ではないが。』

「よっしゃ。充分だ。少なくとも、一日変化がもたねーってこともないだろ?」

『無論。』

 ニヤリと黒神が笑むとシカマルも同じような笑みをうかべる。

「・・・似たもの主従というか憑き物と憑き主だな。」

 ぼそりと自来也が呟く。もう、付き合ってられるかという思いがヒシヒシと伝わってくる。

「良いんじゃない。・・・似たもの同士ならやりやすいし。」

「・・・実のところ、お前は九尾とどうなんだ、のう?」

「・・・別に。なんか、甘やかされてる感があるけど。」

 自来也絶句。九尾が甘やかすとは、どんな状況なのだろうか。想像しにくい。

「・・・そうか。・・・ああ、もう、ワシの手はいらんだろ、のう?」

『一つ仕事が残っているぞ。蝦蟇の。』

 くるりときびすを返しかけた自来也に、黒神が声をかける。

「・・・ん?」

「何の為に一緒に来させたと思ってんだよ・・・尾獣じゃないとしても、神だぞ神。封印が必要だろ?」

 呆れたナルトの言葉に、ああ、と自来也は呟いた。

「そうか。その為のワシか。・・・まあ、封印術は得意中の得意だが、のう。」

 その為とはっきり言われると、なんだか切なくなる。しかし、嫌だと駄々をこねるのも大人気ないと感じた自来也は、おとなしく封印術の印を組む。

「・・・じっとしてろ、のう?」

「・・・おう。」

 自来也はシカマルの額に掌をあて、チャクラを込める。

「むんっ!」

「・・・っ!」

 フワっと術式が額に浮かび上がり、そして、すうっと消える。

「これで良い。・・・ナルトの封印とちと違ってのう、チャクラをねっても、外から見えることは無い。だから、心置きなく力も使えるぞ。」

「おー。サンキュー。」

「さて。ワシもこれでお役御免だの。・・・三代目には報告しといてやるから、家帰って休め。今は平気でも、すぐにガタが来るぞ。・・・神を体に入れたんだからの。」

 コクリ、とシカマルが殊勝にも頷いたので、自来也もニッと笑う。

「・・・まあ、多少は力になれたようだの。・・・頑張れよ。」

「ああ。」

「・・・ありがとうな。蝦蟇仙人。」

 “あんた”ではなく“蝦蟇仙人”と呼ばれたことで、少しはナルトに認められたのか、と思う。

「・・・ああ。じゃあ、のう。」

 ひらひらと手を振り、自来也は瞬身で消える。

「・・・さてと、シカ、俺たちも帰ろ?」

「ああ・・・あれ・・・なんか・・・・・・・。」

 ふらりとシカマルの体が傾いで、ナルトの側に倒れこむ。

「シカ!?・・・・シカっ!」

 意識が薄らぐ中で、シカマルは思う。

― ・・・ああ、心配、させちまった・・・大丈夫だ。ナル・・・俺は・・・。

 そこで、シカマルの意識はブラックアウトした。



 シカマルはすうっと目を開く。明るさに慣れない目が光にやかれて、思わず呻く。

「っう・・・。」

「・・・起きた?シカ。」

 心配そうに覗き込む恋人の顔をぼんやりと見つめ、意識を失う直前の事を思いだす。

「・・・ナル?・・・あれ、ここ・・・。」

「うん。シカの部屋。・・・やっぱり、神をその身に宿すのは負荷があったみたいだ。」

「・・・あー・・・だろうな。コップに水を注ぎすぎた感じだろ?」

「うん、それそれ。それが一番的確な表現だ。・・・それで、大丈夫?シカ。」

「・・・まだ、ちょっと体はだりぃ。・・・でも、まあ、頭はやけにスッキリしてるな。全部忘れたわけでもねーのに。」

 コキコキと首を鳴らし、シカマルはグッと伸びをする。

「黒神はどっちかって言うと、戦闘タイプというよりは、戦闘補助タイプだから。・・・だから、頭脳派のシカマルにあってるんだと思う。だから、反動が少ないんだよ。」

「ああ、そうなのか。・・・まあ、俺も、あんま接近戦は得意じゃねーしな。丁度いいか。・・・愛しいお前の助けになれれば、俺は何だって良い。」

「・・・シカ///・・・真顔で恥ずかしい事言うなよ。」

 ナルトは照れた様子でうつむく。

 暗部達に甘やかされてはきたが、それは家族同然としての扱いであり、恋人という関係ではなかった。その上、シカマルの言葉は、ストレートすぎて恥ずかしい。

「本当の気持ちだぜ。・・・俺は、お前のために力を手に入れたかった。だから、力を使うのはお前のためだけだ。」

「・・・ん。ありがと。」

 目を細め、頬を紅潮させながら、ナルトは微笑む。その幸せそうな笑みを見て、シカマルは思わずくらりとした。

「・・・ああ、マジで、ナル、可愛い・・・。」

 そっと頬に触れる。

「・・・好きだ。ナル。」

「うん。・・・俺、も・・・好き。」

 促すようにナルトの瞼が閉じられて、自然と2人の唇が重なり合う。

 たっぷり数秒間口付けを交わした2人は、お互いに体を引く。

「・・・きょ、今日はここまでな。じゃねーと、俺の理性がもたねー・・・。」

「うん。わかってる。」

 頷きながら、ナルトはクスクスと笑う。律儀に約束を守り、待っていてくれるシカマルが愛しい。ナルトだって、色任務を側で見たことがある。だから、あんな感じなのだろうと想像することはできる。

「シカ、ありがと。明日から補助よろしくね。」

「ん?明日って・・・もう手続き済ませたのか!?」

 何の、とは言わない。すでにナルトは公言していた。火影の前で。

「うん。明日から、シカは暗部の仲間入りね?」

「・・・解部は?」

「バイトは続けていいよ。しばらくは、仕事もそんなに入らないだろうし。両立が難しそうなら、方法はシカに任せるけど。」

「ああ・・・そうか。・・・でも、解部にも籍は置いといたほうが良いかもな。解読が必要な書物をそのまま俺が解析して、使う事もできんだろ。」

「なるほど。・・・わざわざ持って行かなくても良いってことか。今までは俺だって解析できんのに、わざわざ解部を通さなきゃならなかったから、面倒だったんだよね。」

 ぽん、とナルトは手を打つ。

「決まりだな。・・・長にも言っとくぜ。」

「うん。じゃあ、改めて、明日からよろしく、シカ。」

ちゅ。

 頬に軽く触れるようなキス。ナルトがにっこりと笑うと、シカマルはボッと顔を真っ赤にした。

「(口と口より照れるぞ~~~~!!!)」

「(わ~おもしれ~v)」

 思いっきり動揺しているシカマルを見て、ナルト(確信犯)はご機嫌である。

 こうして、シカマルは暗部への入隊を果たしたのだった。


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