Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
愛しい人のために強くなろう。
どこまででも、強くなろう。
困難であったとしても。
プライドなどかなぐり捨てて。
己の全てをかけて。
「・・・はぁ!?」
シカマルの口から出てきた言葉はたったそれだけ。しかも、声が裏返っている。だが、声が裏返るのも仕方のないことだった。
「だからね、シカのチャクラを増やすための修行を、今日からやるんだって。」
「・・・ちょい、まて。話についていけてねー・・・。つまりは、今日は図書館に行くんじゃなくて、修行になるんだな?」
「そうそう。・・・伝説の三忍って知ってるだろ?」
「あ、ああ。三代目の教え子のな。」
「その三忍の自来也って人が、チャクラを増やす術を知ってるんだってさ。・・・昨日の任務は、その自来也って人を連れ戻す任務だったんだ。」
「マジかよ、親父のヤツ、何で言わねーんだよ、めんどくせー。」
黙っていた方が面白いからだろう、とナルトは思う。シカクはどこか、シカマルで遊んでいるような雰囲気がある。
我ながらいい性格をしているなとは思うが、遊ばれているシカマルを見るのも楽しいので、黙っている。
「ねえ、シカ。俺、シカの修行見てて良い?」
「ナルが良いならな。・・・仕事は?」
「ん。最近は簡単な依頼が多いから、俺が出なくても平気。・・・それに、シカと一緒にいたい。」
「・・・っ///」
恥ずかしい科白を惜しげもなく言うナルトに、思わずシカマルは赤面する。
「・・・俺さ、シカといると楽なんだ。」
「・・・楽?」
「うん。・・・シカってさ、俺の言いたいこととか先読みしてくれるし、欲しい言葉をたくさんくれる。・・・だから、すっごい楽。」
「あ~・・・なるほどな。」
シカマルは納得したように頷く。
本来、人と深く関わることが苦手なナルトにとって、ああして欲しい、こうして欲しいと言うことは、苦痛を感じること。自分から甘えるなど、出来るわけも無い。
任務中の会話でも、言わんとしていることを理解してもらうために説明をするより、自分で動いた方が楽というのが、本音なのだろう。
だからこそ、シカマルは貴重な存在なのだ。言わんとしていることを説明されずとも理解し、何も言わなくても、甘えさせる。ナルトが一緒にいると楽だと感じる一番の理由だ。
「まるで、小さな頃から俺を知ってる、暗部の皆と一緒にいるみたい。・・・最近はね、暗部の方は、安息の場所じゃなくなってきてるんだ。・・・“根”の連中がこそこそと嗅ぎ回ってるから。」
「“根”か。・・・昨日の任務の情報源が“根”だってのは聞いたけど・・・たしか、頭領が三代目に反目してるんだったよな?」
「うん、そう。・・・まあ、今回はガセでも罠でもなかったけど、気をつけるにこしたことはない。・・・シカも気をつけてね。じいさまに気に入られてるってだけで目を付けられるから。」
「おう。・・・ナルもな。」
にこり、と互いに微笑み合い、アカデミーに行く準備をする。
「・・・それにしても、朝ご飯、おいしかった~♪ヨシノさんに感謝だな。」
家を出て、2人でのんびりとアカデミーまで歩いている時、思い出したかのように、ナルトがニコニコと言う。
「あー。・・・何が一番うまかった?」
シカマルはニッと笑って、訊ねる。
「えっと、全部おいしかったけど・・・あれ、とうふの揚げたのに“あん”がかかってたやつ!」
「そうか。・・・じゃあ、明日は、熱々のを食べさせてやるよ。」
読み通りに、自分が唯一作った料理をあげられ、シカマルは表面には出さないが、上機嫌になる。
「ふぇ?・・・もしかして、あれ、シカが作ったのか!?」
シカマルのわずかな感情の変化を読み取って、ナルトは頬を紅潮させる。
「おう。まあな。」
ナルトが自分の感情の起伏を読んでくることに心地良さを感じながら、シカマルはこくりと頷く。
「すっげー・・・。シカって、料理できたんだ。」
「まー、自分でもびっくりだな。・・・結構、やってみりゃ簡単だった。」
それは、あれだけの頭脳を持つシカマルだからだ。と思い、ナルトは嘆息する。
「・・・簡単って、それは、シカだからだよ。」
「そうか?・・・ナルでもあれくらいできんじゃね?」
「・・・んー・・・シカじゃないけど、めんどくさい。」
むっつりと言えば、シカマルはくつくつと笑ってナルトの頭を撫でる。
「まー、飯は俺が作るさ。・・・だから、飯を抜くなんて事、すんなよ?」
「ん。・・・ありがと、シカ。・・・作る時、手伝うようにする。」
「おー。・・・無理しなくて良いかんな?」
シカマルは未だに自分に気を使おうとするナルトに、さりげなくそう言って、優しく微笑む。
「(やっぱり、シカといると楽だ。)」
再度実感したナルトは、ふんわりと笑い、シカマルを赤面させる。
「(くぁ~!!可愛すぎだ!!!)・・・おま、それ・・・マジ、武器になるぞ。」
「ん???」
小首を傾げる様子まで可愛らしい。まったくの無自覚はどうしようもないらしく、シカマルは諦めの境地に至る。
「はー・・・まあ、良い。どうせ、アカデミーの連中にはドベナルトの姿しか見せねーもんな。」
「うん?・・・まぁ・・・わざわざ、自分の首を絞めるようなことなんてしないって。」
「・・・ああ。そうだよな。」
シカマルの声のトーンが落ちたことに気づいたナルトは、慌てて付け加える。
「あ、でも、チョウジとキバとシノ!あいつらには、いつかは話したいな。」
「・・・そーだな。・・・でも、あいつらに今の俺の立場を譲るつもりはねーから。」
「・・・うん///」
はっきりと言われ、鈍感なナルトも気づく。シカマルは明らかに独占欲を示している。それが、嫌じゃない自分がいて、ナルトは素直に頷いた。
「・・・ところで、サスケの事は、どう思ってんだ?・・・なんか、あいつのこと、たまに気にしてんだろ。」
「・・・さすが、シカ。・・・あいつはね。・・・ちょっと、後ろめたいことがあるから。」
シカマルにしてみれば、それが何か、と聞きたいところだが、無理やり聞けばナルトが嫌な思いをするだろうと、追求することを諦める。
「・・・あいつの兄貴のことでさ。・・・まあ、いずれ、シカが暗部に配属されたら話すよ。」
さらり、ともうすでに決定したかのような言い方に、シカマルは軽く目を瞠る。
「暗部配属って・・・簡単になれるもんなのか?」
「だって、チャクラさえ足りてれば、全然、任務に当たるのは問題ないんだろ?」
「お、おー。多分な・・・。」
「じゃあ、大丈夫。・・・俺も推薦するし。じいさまだって、シカのことは気に入ってるから。」
“銀の月”蒼藍と三代目火影のお墨付き。・・・確かに、簡単に暗部になれそうな気がしてくる。というか、絶対にナルトがシカマルを暗部にするだろう。三代目を脅してでも・・・;
「・・・まー、ナルがそう言うなら。早くそうなれるように頑張るさ。」
“頑張る”シカマルは、生まれてこのかた、縁遠かった言葉を口にする。
「うん!頑張れ、シカ。」
にっこりと笑うと、ナルトはぴょん、と飛び跳ねて、壁の上に立つ。
「シカマルー!早く行かねーと、アカデミーに遅刻するってばよー!!!」
突如、ドベナルトモードに切り替わったナルトを見て、シカマルは辺りを確認する。
「(まだ、誰もいねーけど・・・ナルのことだ、半径数百メートル内に人の気配があるんだろうな。)」
一瞬で理解したシカマルは、ナルトに調子を合わせることにする。
「・・・朝っぱらから、うるせーよ。・・・はー、ったく、めんどくせー・・・。」
正確にナルトの意図を捉えたシカマルに、満足そうにナルトは笑む。
「ニシシ!・・・俺ってば、ユーゲンジッコーするって、言ったってば!!」
そういえば、そんなことを言っていた。“誰かに見られている気がするから、規則正しい生活をする”とか何とか。
だが、それは自分だったのだから、もう、良いのではないのだろうか。
「あ~?・・・あれは解決したんじゃねーのかよ。」
少々素で訊ねると、ナルトはきょとんと首を傾げる。
「今でも、見られてるってば。ダメダメなところは見せられないってばよ~。・・・特に、それが恋人ならな。」
最後はポツリと小声で。それを耳に捕らえたシカマルはボンッと顔を真っ赤に染めた。
「・・・ったく、しょーがねーヤツ・・・。(やべぇ・・・マジ、嬉しい。)」
にやけそうになる顔を必死に片手で押さえ、シカマルはナルトから視線をそらす。
「(シカマル、顔真っ赤だ///)・・・へっへーんだ。」
演技をしつつも、ナルトの顔はシカマルの赤面が伝染して真っ赤になっていた。
→ アカデミー
「おーっす!」
「おうっ、ナルト。今日も早いな!」
「すごいじゃない、ナルト。三日連続だよ。」
教室の扉をガラリと開け放ったナルトに、キバとチョウジが寄って来る。
「まーなっ!自分で決めたことは、最後までやりぬき通すんだってばよ!」
ふんぞり返ったナルトの両肩に背後から手を置き、シカマルが溜息をつく。
「わかった。・・・わかったから、扉の前で立ち止まんな。」
グッと押すと、ナルトがたたらを踏みながら前へ進む。
「シカマルッ・・・お、押すなってばよ~;」
肩に置かれた手の暖かさに、ナルトはドギマギとする。先ほどのことが思い返されて、赤面しそうになる。
シカマルはというと、チョウジに窺うような視線を向けられて、内心溜息をつく。
「(ナルトの事情とかは伏せるにしたって・・・付き合い始めたことは言わねーとな。・・・後で、ナルと相談すっか。)はー・・・騒ぐな。・・・黙って歩け。」
シカマルが一喝すると、ナルトは口をつぐんで歩き始める。そんな様子に不信感を持ったのは、キバだ。
「なんだぁ?お前ら、なんかあったのか?・・・めずらしーじゃんか、ナルトがシカマルの言うことを大人しく聞くなんて。」
「な、何もねーよ。」
「そ、そうだってばよ!!」
2人が慌てて答えると、キバはポカンとし、チョウジは目をぱちくりさせる。
「お、おい、マジで、何かあったんじゃねーの?・・・ってか、何隠してやがる!!吐け!!」
そう言ってナルトに掴みかかったキバは、グリグリとその頭に拳骨をあてる。
「いたたっ、痛いってば~!」
「や、やめなよ、キバ。(シカマルが怒ってる!!!)」
「(キバのやろう・・・俺のナルに何しやがる。)・・・止せよ。」
「じゃあ、洗いざらい吐けっての!・・・俺らに隠し事なんざすんじゃねー!!!」
キバは未だにナルトの頭をグリグリとしながら、シカマルを睨みつけた。
「こんなトコで話すことじゃねー・・・ったく、めんどくせー・・・。」
明らかに呆れた様子のシカマルの態度が、キバの癇に障る。
「てめっ!」
今にもシカマルに飛び掛らんとしたキバは、ガシッと頭を押さえられてその相手を睨みつけようと振り返り、そして、フリーズする。
「・・・シカマルの言うことに一理ある。・・・なぜならば、ここはアカデミーだからだ。・・・それに、周りの迷惑を考えれば、こんな大声で話をするものではない。・・・第一、いくら友人とはいえ、人の事情に首を突っ込み、あまつさえ、無理やり聞きだそうとは・・・・・・。」
ぼそぼそと呟くように話し続け、キバの頭をしっかり掴んで離さない。よく見ると、キバの頭から彼の腕には、たくさんの蟲がへばりついている。
「し、シノ・・・。」
チョウジが安堵の溜息をつき、彼の名を呼ぶ。
「(いつ見ても、すげぇな。この蟲使いってのは。)・・・た、助かったってば。」
開放されたナルトはキバからそそくさと離れ、シカマルの後ろに隠れる。
「・・・やっぱ、キバを止めるのは、シノだってばね。」
シカマルにしがみつきながら、ナルトはその様子を眺める。
「あー・・・そうだな。(ありゃ、しばらく続くぞ。)」
シカマルも同意して、シノに説教をされながらも固まっているキバを哀れむように見やった。
「・・・随分、仲良くなったんだね。」
そんな2人の様子を見て、チョウジがなんとも言いがたい表情をうかべる。
どちらかというと淡白なシカマルが、ナルトにべったりとくっつかれても文句一つ言わないとは、もうこれは、怪しむどころの問題ではない。
「チョウジ・・・。悪りぃ、いつか、ちゃんと話す・・・。」
シカマルもどうにも幼馴染であるチョウジには隠し事をしたくは無い。
「チョウジ、ごめんてば。・・・でも、シカマルの親友は今でもチョウジだってばよ?な、シカマル?」
「おう。そうだぜ。」
ナルトは、言外に友人関係ではないと伝えたつもりだった。シカマルには通じたようだが、チョウジにはどうだろうか。
「うん。・・・良かったね、シカマル。・・・一時はどうなるかと思ったんだけど、丸く収まったみたいで良かった。」
ニコリ、と笑ったチョウジ。どうやら通じたらしいとわかると、ナルトもシカマルも笑顔になる。
「・・・あのさ、あのさ?丸くってどういうことだってばよ?」
「・・・あ、えーと・・・。」
ことりと小首を傾げたナルトに、チョウジは言葉をつまらせる。
「・・・俺にだけ、秘密だってば?」
悲しそうに言うナルトを見て、シカマルがチョウジに言え、と目で促す。いいの?と視線で返せば、幼馴染は、小さく頷いた。
「・・・えっとね、シカマルってさ、何かに執着することって、滅多に無くてね。・・・だから、キバに自覚させられちゃったから・・・どんな手を使ってでも、ナルトを手に入れちゃうんだろうなぁって思ってたんだよね。」
「・・・どんな手を使ってでもって・・・シカマル、そんなこと考えてたんだってば?」
思わず素で呟き、慌ててナルトはシカマルを振り返る。
「・・・おー・・・。お前に、どうやってわからせようかって考えてたけどな。・・・でも、まあ、案外、鈍感じゃなくて、助かったぜ。」
ニヤリ、と笑うその表情は、シカマルの素の表情に近い。
「・・・ひー・・・俺がわからなかったら、どうするつもりだったってば!?」
困ったように笑いながら、ナルトは訊ねる。
「そうだなぁ・・・行くとこまで行って、後戻りできなくさせるとか?」
「・・・怖っ!」
ナルトが後ずさりすると、シカマルはムスッとしながらも、両手をあげる。
「あのなー・・・とりあえず、待つって言ってんだろーがよ。」
本気の引きだったことに気付かれたらしい。ナルトは、不機嫌丸出しのシカマルをなだめることにする。
「・・・怒るなよー。わかったってば。・・・シカマルのこと、信じてるってばよ。」
にっこりとシカマル限定の笑みを向ける。
他の連中に見られたのが、非常にもったいない気がするが、シカマルはその笑顔を見て、機嫌をあっさりと直す。
「わかったんなら、良い。」
そんな2人を眺め、チョウジはニコニコとしている。シカマルに大事なものが出来るのは、良い事だと思っているからだ。
何にも興味を示さず、ただ、凡庸に生きているように見えるシカマル。忍になるのだって、楽そうだから、なんて言っているが、親が薦めるままにアカデミーに通っているだけ。
こんな状態で忍になったら、命のやり取りの中で、あっさりと自分の命を諦めてしまうのではないかと、チョウジは心配していたのだ。
「・・・ナルト。」
「なんだってば、チョウジ。」
「・・・しっかり、シカマルを見ててあげてね。」
「(チョウジ、やっぱ、シカのこと良くわかってんだな。)・・・おう!任せとけってばよ!」
ニッと不適に笑い、ナルトはドン、と胸を叩く。
「・・・おい、逆じゃねーの?」
言われた本人は眉間にしわを寄せ、仲の良さそうな、恋人と幼馴染を見やる。
「シカマルはめんどくさがりだから、チョウジが心配してるんだってばよ。」
ナルトは、シカマルの右腕に自分の腕を絡め、ニヘラっと笑う。チョウジはそんなナルトに、内心驚いていた。あの一言で、そこまで伝わったとは思ってもいなかったからだ。
「・・・ナルトって、本当は、頭いいんじゃない?」
「へ?・・・なんで?」
ふと、思い当たったかのように訊ねたチョウジに、ナルトは、キョトンとして聞き返す。
「いや、なんとなく。」
幼馴染のシカマルが、素晴らしい頭脳を持っていることは、チョウジもよく知っている。それを発揮しないのは、テストに答えを書くのがめんどくせーとか、そんな理由だった。
ナルトにも、会話の中で同じような空気を、たまに感じる。説明するのがめんどくさい、というか、わずらわしい。そんな空気。
だから、ナルトの話はたまにぶっ飛んでいることがある。表面だけを見れば、バカ丸出し。でも、それが、シカマルと同じような理由なら・・・。
「(やっぱ、鋭いな。)・・・チョウジ?どーした?」
チョウジが考え込んでいるところで、それを中断させるようにシカマルが肩を持って、揺さぶる。
「あっ、な、何でもないよ。・・・それよりさ、シカマル、ナルトも。今日、お菓子の新作が出るんだけど、一緒に買いに行かない?」
チョウジが一気に会話の流れを変える。キバがシノから開放されたのを見たからだ。
「・・・わり、今日はパス。・・・親父の知り合いってのが来ててな。」
「俺も。火影のじっちゃんに、呼ばれてんだ。」
2人が断ると、チョウジもあっさりとあきらめる。
「そっか。・・・キバはどうする?」
くるり、と振り返り、チョウジが訊くと、キバは顔を青ざめさせたままで、首を横に振る。
「・・・俺も、パスだ。・・・今日は、忍犬たちの定期健診だからな。」
「くぅ~ん。」
赤丸が心配そうにキバを見上げる。かなり、シノの説教が堪えたらしい。
「・・・大丈夫かってばよ、キバ。」
「・・・だいじょばねー・・・。ったく、シノの奴、いちいち言い方がねちっこいんだよ・・・。」
ナルトが心配そうにキバの顔を覗き込むと、思い出すのもおぞましいとばかりに、キバは頭を抱え込む。
「・・・・・・・陰口はいけない。そもそも、文句があるなら、直接言え。というより、まだ、反省して無いようだな。」
「げっ、シノ!?・・・待て、タンマ!反省してます!すみません!!!」
突如、ヌッと現れたシノに、キバは悲鳴に近い声をあげて、謝り始める。
そのままイルカが教室に入ってくるまでシノに説教をされつづけたキバは、授業が始まる頃にはぐったりとしていた。
「(かーわいそ。でも、話が誤魔化せたのはよかったかな?)」
ナルトが哀れむように見やっていると、視線を感じて、前を向く。
「・・・ナルト、お前、今日は随分おとなしいな。ここ、2・3日は遅刻もしてないし。」
ごく近くまでやって来ていたイルカに、心配そうに見つめられ、ナルトは内心焦る。
「・・・じゃあ、センセーは、俺が騒いで、遅刻する方が良いってば?」
思わず口に出たのは、可愛げの無い、ひねくれた台詞。
「そうは言ってないだろ?・・・何か心配事でもあるのか?」
「・・・別に・・・。」
ナルトがふいっと視線をそらすと、イルカは困ったように立ち尽くす。それを見て、さらに焦ったのはシカマルの方だった。ナルトの完璧な演技に綻びができたことに気付いたからだ。
「フン、こいつに、悩みなんかあるわけねぇだろ。」
突如あがった声に、クラスメイトとイルカの視線がそちらに向く。頬杖をついて、黒板の方を見つめたまま、呆れたように呟いたのは、うちはサスケ。
「なんだと!テメー!!」
がたりと立ち上がり、ナルトがサスケに掴みかかる。
「フン、テメーはドタバタと騒いでるだけの馬鹿だろうが。」
サスケの言葉に含まれているものに気づいたのは何人いただろうか。恐らく、言われた本人とシカマルくらいしか感じ取れなかっただろう。
「・・・っ、この!スカしヤローが!!」
「こら!やめないか、2人とも!!」
殴り合いのケンカにまで発展しそうになったために、イルカが慌てて2人を止めに入る。
「(サスケの奴・・・まさか・・・。)」
シカマルの中で形成されていく一つの結論。ナルトを見つめると、ゼィゼィと肩で息をしながら、サスケを睨みつけている。その視線の中に、驚きは無い。サスケの言葉に含まれた意味は、ナルトも気付いたハズなのに。
「(ってことは、だ。)」
パズルのピースがはまるような感覚。ストン、と納得がいくと、シカマルは溜息をつく。
「・・・はぁ。」
その溜息はやたらと大きく響き、しーんとした教室に響き渡る。
「(お・・・怒ってる?)・・・シカマル?」
チョウジが振り向き、恐る恐るといった様子で名前を呼ぶ。
「センセー・・・授業、始めてくださいよ。・・・ったく、めんどくせー・・・。」
「そ、そうだな。・・・ナルト!サスケ!後で反省文を書かせるからな!」
シカマルの発言に頷くと、イルカは腰に手をあて、厳しい調子で言う。
「えー!!・・・勘弁だってばよー!!!」
「ちっ・・・。」
ナルトは口を尖らせ、サスケは小さく舌打ちする。シカマルはなんとも言えない表情でその2人を見やり、眉間に深いしわを刻んだ。
一日の授業が終わり、ナルトとサスケがイルカの監督の下、反省文を書かされていた。そこに、がらり、と扉の開く音がする。
「・・・まだ、終わんねーんスか?」
呆れたような声でそう言って入って来たのは、シカマル。
「ああ、シカマル。どうした?ナルトを待ってたのか?」
「・・・いえ、ナルトとサスケを待ってるんス。」
イルカの言葉を訂正すると、シカマルはナルトの傍に立つ。
「・・・ほら、早く書いちまえ。」
「急かすなってばよ!!」
見上げて、眉間のしわが深いままのシカマルに、ナルトは表情には出さなかったもののギョッとする。
「(シカ、機嫌悪そー・・・。)」
シカマルの機嫌が悪い理由には思い当たっていたものだから、余計にそう思う。ちらりと横を見れば、サスケと視線がぶつかる。
「・・・早く書け、ドベ。・・・俺はもう終わるぞ。」
「ムキー!ちょっと黙ってろってば!」
サスケの言葉に敏感に反応するものの、ナルトはとりあえず反省文を書き終わるべく、机に向かう。
すっかりと慣れたもので、ガシガシと荒っぽく書いてはいるが、それとなく形になっていく。
「・・・・・・よし!書き終わったってば!!イルカせんせー!もう良いってば??」
「・・・ああ。いいぞ。2人とも。」
イルカが反省文を受け取り、にっこりと笑う。すると、シカマルが待ってましたとばかりに、ナルトとサスケの腕を掴む。
「・・・じゃ、さよならー。」
「えっ、ちょっ・・・シカマル、いきなり引っ張るなってばよ~!!」
「おい、何で俺まで!」
「・・・な、仲良く帰るんだぞー・・・。」
イルカは心配そうに3人を見送り、反省文を改めて見る。
「・・・せ、性格が出るなぁ・・・。」
キッチリと整った字で書かれたサスケの反省文と、書き殴った字で、それでも、反省の言葉をつらつらと書いてあるナルトの反省文。どちらもそのまま、人柄を表している。
「・・・しかし、シカマルとサスケは仲が良かったか?」
一つ呟き首を傾げて、イルカは教室を後にした。
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・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
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以上、同意できる方のみ↓へ・・・
愛しい人のために強くなろう。
どこまででも、強くなろう。
困難であったとしても。
プライドなどかなぐり捨てて。
己の全てをかけて。
「・・・はぁ!?」
シカマルの口から出てきた言葉はたったそれだけ。しかも、声が裏返っている。だが、声が裏返るのも仕方のないことだった。
「だからね、シカのチャクラを増やすための修行を、今日からやるんだって。」
「・・・ちょい、まて。話についていけてねー・・・。つまりは、今日は図書館に行くんじゃなくて、修行になるんだな?」
「そうそう。・・・伝説の三忍って知ってるだろ?」
「あ、ああ。三代目の教え子のな。」
「その三忍の自来也って人が、チャクラを増やす術を知ってるんだってさ。・・・昨日の任務は、その自来也って人を連れ戻す任務だったんだ。」
「マジかよ、親父のヤツ、何で言わねーんだよ、めんどくせー。」
黙っていた方が面白いからだろう、とナルトは思う。シカクはどこか、シカマルで遊んでいるような雰囲気がある。
我ながらいい性格をしているなとは思うが、遊ばれているシカマルを見るのも楽しいので、黙っている。
「ねえ、シカ。俺、シカの修行見てて良い?」
「ナルが良いならな。・・・仕事は?」
「ん。最近は簡単な依頼が多いから、俺が出なくても平気。・・・それに、シカと一緒にいたい。」
「・・・っ///」
恥ずかしい科白を惜しげもなく言うナルトに、思わずシカマルは赤面する。
「・・・俺さ、シカといると楽なんだ。」
「・・・楽?」
「うん。・・・シカってさ、俺の言いたいこととか先読みしてくれるし、欲しい言葉をたくさんくれる。・・・だから、すっごい楽。」
「あ~・・・なるほどな。」
シカマルは納得したように頷く。
本来、人と深く関わることが苦手なナルトにとって、ああして欲しい、こうして欲しいと言うことは、苦痛を感じること。自分から甘えるなど、出来るわけも無い。
任務中の会話でも、言わんとしていることを理解してもらうために説明をするより、自分で動いた方が楽というのが、本音なのだろう。
だからこそ、シカマルは貴重な存在なのだ。言わんとしていることを説明されずとも理解し、何も言わなくても、甘えさせる。ナルトが一緒にいると楽だと感じる一番の理由だ。
「まるで、小さな頃から俺を知ってる、暗部の皆と一緒にいるみたい。・・・最近はね、暗部の方は、安息の場所じゃなくなってきてるんだ。・・・“根”の連中がこそこそと嗅ぎ回ってるから。」
「“根”か。・・・昨日の任務の情報源が“根”だってのは聞いたけど・・・たしか、頭領が三代目に反目してるんだったよな?」
「うん、そう。・・・まあ、今回はガセでも罠でもなかったけど、気をつけるにこしたことはない。・・・シカも気をつけてね。じいさまに気に入られてるってだけで目を付けられるから。」
「おう。・・・ナルもな。」
にこり、と互いに微笑み合い、アカデミーに行く準備をする。
「・・・それにしても、朝ご飯、おいしかった~♪ヨシノさんに感謝だな。」
家を出て、2人でのんびりとアカデミーまで歩いている時、思い出したかのように、ナルトがニコニコと言う。
「あー。・・・何が一番うまかった?」
シカマルはニッと笑って、訊ねる。
「えっと、全部おいしかったけど・・・あれ、とうふの揚げたのに“あん”がかかってたやつ!」
「そうか。・・・じゃあ、明日は、熱々のを食べさせてやるよ。」
読み通りに、自分が唯一作った料理をあげられ、シカマルは表面には出さないが、上機嫌になる。
「ふぇ?・・・もしかして、あれ、シカが作ったのか!?」
シカマルのわずかな感情の変化を読み取って、ナルトは頬を紅潮させる。
「おう。まあな。」
ナルトが自分の感情の起伏を読んでくることに心地良さを感じながら、シカマルはこくりと頷く。
「すっげー・・・。シカって、料理できたんだ。」
「まー、自分でもびっくりだな。・・・結構、やってみりゃ簡単だった。」
それは、あれだけの頭脳を持つシカマルだからだ。と思い、ナルトは嘆息する。
「・・・簡単って、それは、シカだからだよ。」
「そうか?・・・ナルでもあれくらいできんじゃね?」
「・・・んー・・・シカじゃないけど、めんどくさい。」
むっつりと言えば、シカマルはくつくつと笑ってナルトの頭を撫でる。
「まー、飯は俺が作るさ。・・・だから、飯を抜くなんて事、すんなよ?」
「ん。・・・ありがと、シカ。・・・作る時、手伝うようにする。」
「おー。・・・無理しなくて良いかんな?」
シカマルは未だに自分に気を使おうとするナルトに、さりげなくそう言って、優しく微笑む。
「(やっぱり、シカといると楽だ。)」
再度実感したナルトは、ふんわりと笑い、シカマルを赤面させる。
「(くぁ~!!可愛すぎだ!!!)・・・おま、それ・・・マジ、武器になるぞ。」
「ん???」
小首を傾げる様子まで可愛らしい。まったくの無自覚はどうしようもないらしく、シカマルは諦めの境地に至る。
「はー・・・まあ、良い。どうせ、アカデミーの連中にはドベナルトの姿しか見せねーもんな。」
「うん?・・・まぁ・・・わざわざ、自分の首を絞めるようなことなんてしないって。」
「・・・ああ。そうだよな。」
シカマルの声のトーンが落ちたことに気づいたナルトは、慌てて付け加える。
「あ、でも、チョウジとキバとシノ!あいつらには、いつかは話したいな。」
「・・・そーだな。・・・でも、あいつらに今の俺の立場を譲るつもりはねーから。」
「・・・うん///」
はっきりと言われ、鈍感なナルトも気づく。シカマルは明らかに独占欲を示している。それが、嫌じゃない自分がいて、ナルトは素直に頷いた。
「・・・ところで、サスケの事は、どう思ってんだ?・・・なんか、あいつのこと、たまに気にしてんだろ。」
「・・・さすが、シカ。・・・あいつはね。・・・ちょっと、後ろめたいことがあるから。」
シカマルにしてみれば、それが何か、と聞きたいところだが、無理やり聞けばナルトが嫌な思いをするだろうと、追求することを諦める。
「・・・あいつの兄貴のことでさ。・・・まあ、いずれ、シカが暗部に配属されたら話すよ。」
さらり、ともうすでに決定したかのような言い方に、シカマルは軽く目を瞠る。
「暗部配属って・・・簡単になれるもんなのか?」
「だって、チャクラさえ足りてれば、全然、任務に当たるのは問題ないんだろ?」
「お、おー。多分な・・・。」
「じゃあ、大丈夫。・・・俺も推薦するし。じいさまだって、シカのことは気に入ってるから。」
“銀の月”蒼藍と三代目火影のお墨付き。・・・確かに、簡単に暗部になれそうな気がしてくる。というか、絶対にナルトがシカマルを暗部にするだろう。三代目を脅してでも・・・;
「・・・まー、ナルがそう言うなら。早くそうなれるように頑張るさ。」
“頑張る”シカマルは、生まれてこのかた、縁遠かった言葉を口にする。
「うん!頑張れ、シカ。」
にっこりと笑うと、ナルトはぴょん、と飛び跳ねて、壁の上に立つ。
「シカマルー!早く行かねーと、アカデミーに遅刻するってばよー!!!」
突如、ドベナルトモードに切り替わったナルトを見て、シカマルは辺りを確認する。
「(まだ、誰もいねーけど・・・ナルのことだ、半径数百メートル内に人の気配があるんだろうな。)」
一瞬で理解したシカマルは、ナルトに調子を合わせることにする。
「・・・朝っぱらから、うるせーよ。・・・はー、ったく、めんどくせー・・・。」
正確にナルトの意図を捉えたシカマルに、満足そうにナルトは笑む。
「ニシシ!・・・俺ってば、ユーゲンジッコーするって、言ったってば!!」
そういえば、そんなことを言っていた。“誰かに見られている気がするから、規則正しい生活をする”とか何とか。
だが、それは自分だったのだから、もう、良いのではないのだろうか。
「あ~?・・・あれは解決したんじゃねーのかよ。」
少々素で訊ねると、ナルトはきょとんと首を傾げる。
「今でも、見られてるってば。ダメダメなところは見せられないってばよ~。・・・特に、それが恋人ならな。」
最後はポツリと小声で。それを耳に捕らえたシカマルはボンッと顔を真っ赤に染めた。
「・・・ったく、しょーがねーヤツ・・・。(やべぇ・・・マジ、嬉しい。)」
にやけそうになる顔を必死に片手で押さえ、シカマルはナルトから視線をそらす。
「(シカマル、顔真っ赤だ///)・・・へっへーんだ。」
演技をしつつも、ナルトの顔はシカマルの赤面が伝染して真っ赤になっていた。
→ アカデミー
「おーっす!」
「おうっ、ナルト。今日も早いな!」
「すごいじゃない、ナルト。三日連続だよ。」
教室の扉をガラリと開け放ったナルトに、キバとチョウジが寄って来る。
「まーなっ!自分で決めたことは、最後までやりぬき通すんだってばよ!」
ふんぞり返ったナルトの両肩に背後から手を置き、シカマルが溜息をつく。
「わかった。・・・わかったから、扉の前で立ち止まんな。」
グッと押すと、ナルトがたたらを踏みながら前へ進む。
「シカマルッ・・・お、押すなってばよ~;」
肩に置かれた手の暖かさに、ナルトはドギマギとする。先ほどのことが思い返されて、赤面しそうになる。
シカマルはというと、チョウジに窺うような視線を向けられて、内心溜息をつく。
「(ナルトの事情とかは伏せるにしたって・・・付き合い始めたことは言わねーとな。・・・後で、ナルと相談すっか。)はー・・・騒ぐな。・・・黙って歩け。」
シカマルが一喝すると、ナルトは口をつぐんで歩き始める。そんな様子に不信感を持ったのは、キバだ。
「なんだぁ?お前ら、なんかあったのか?・・・めずらしーじゃんか、ナルトがシカマルの言うことを大人しく聞くなんて。」
「な、何もねーよ。」
「そ、そうだってばよ!!」
2人が慌てて答えると、キバはポカンとし、チョウジは目をぱちくりさせる。
「お、おい、マジで、何かあったんじゃねーの?・・・ってか、何隠してやがる!!吐け!!」
そう言ってナルトに掴みかかったキバは、グリグリとその頭に拳骨をあてる。
「いたたっ、痛いってば~!」
「や、やめなよ、キバ。(シカマルが怒ってる!!!)」
「(キバのやろう・・・俺のナルに何しやがる。)・・・止せよ。」
「じゃあ、洗いざらい吐けっての!・・・俺らに隠し事なんざすんじゃねー!!!」
キバは未だにナルトの頭をグリグリとしながら、シカマルを睨みつけた。
「こんなトコで話すことじゃねー・・・ったく、めんどくせー・・・。」
明らかに呆れた様子のシカマルの態度が、キバの癇に障る。
「てめっ!」
今にもシカマルに飛び掛らんとしたキバは、ガシッと頭を押さえられてその相手を睨みつけようと振り返り、そして、フリーズする。
「・・・シカマルの言うことに一理ある。・・・なぜならば、ここはアカデミーだからだ。・・・それに、周りの迷惑を考えれば、こんな大声で話をするものではない。・・・第一、いくら友人とはいえ、人の事情に首を突っ込み、あまつさえ、無理やり聞きだそうとは・・・・・・。」
ぼそぼそと呟くように話し続け、キバの頭をしっかり掴んで離さない。よく見ると、キバの頭から彼の腕には、たくさんの蟲がへばりついている。
「し、シノ・・・。」
チョウジが安堵の溜息をつき、彼の名を呼ぶ。
「(いつ見ても、すげぇな。この蟲使いってのは。)・・・た、助かったってば。」
開放されたナルトはキバからそそくさと離れ、シカマルの後ろに隠れる。
「・・・やっぱ、キバを止めるのは、シノだってばね。」
シカマルにしがみつきながら、ナルトはその様子を眺める。
「あー・・・そうだな。(ありゃ、しばらく続くぞ。)」
シカマルも同意して、シノに説教をされながらも固まっているキバを哀れむように見やった。
「・・・随分、仲良くなったんだね。」
そんな2人の様子を見て、チョウジがなんとも言いがたい表情をうかべる。
どちらかというと淡白なシカマルが、ナルトにべったりとくっつかれても文句一つ言わないとは、もうこれは、怪しむどころの問題ではない。
「チョウジ・・・。悪りぃ、いつか、ちゃんと話す・・・。」
シカマルもどうにも幼馴染であるチョウジには隠し事をしたくは無い。
「チョウジ、ごめんてば。・・・でも、シカマルの親友は今でもチョウジだってばよ?な、シカマル?」
「おう。そうだぜ。」
ナルトは、言外に友人関係ではないと伝えたつもりだった。シカマルには通じたようだが、チョウジにはどうだろうか。
「うん。・・・良かったね、シカマル。・・・一時はどうなるかと思ったんだけど、丸く収まったみたいで良かった。」
ニコリ、と笑ったチョウジ。どうやら通じたらしいとわかると、ナルトもシカマルも笑顔になる。
「・・・あのさ、あのさ?丸くってどういうことだってばよ?」
「・・・あ、えーと・・・。」
ことりと小首を傾げたナルトに、チョウジは言葉をつまらせる。
「・・・俺にだけ、秘密だってば?」
悲しそうに言うナルトを見て、シカマルがチョウジに言え、と目で促す。いいの?と視線で返せば、幼馴染は、小さく頷いた。
「・・・えっとね、シカマルってさ、何かに執着することって、滅多に無くてね。・・・だから、キバに自覚させられちゃったから・・・どんな手を使ってでも、ナルトを手に入れちゃうんだろうなぁって思ってたんだよね。」
「・・・どんな手を使ってでもって・・・シカマル、そんなこと考えてたんだってば?」
思わず素で呟き、慌ててナルトはシカマルを振り返る。
「・・・おー・・・。お前に、どうやってわからせようかって考えてたけどな。・・・でも、まあ、案外、鈍感じゃなくて、助かったぜ。」
ニヤリ、と笑うその表情は、シカマルの素の表情に近い。
「・・・ひー・・・俺がわからなかったら、どうするつもりだったってば!?」
困ったように笑いながら、ナルトは訊ねる。
「そうだなぁ・・・行くとこまで行って、後戻りできなくさせるとか?」
「・・・怖っ!」
ナルトが後ずさりすると、シカマルはムスッとしながらも、両手をあげる。
「あのなー・・・とりあえず、待つって言ってんだろーがよ。」
本気の引きだったことに気付かれたらしい。ナルトは、不機嫌丸出しのシカマルをなだめることにする。
「・・・怒るなよー。わかったってば。・・・シカマルのこと、信じてるってばよ。」
にっこりとシカマル限定の笑みを向ける。
他の連中に見られたのが、非常にもったいない気がするが、シカマルはその笑顔を見て、機嫌をあっさりと直す。
「わかったんなら、良い。」
そんな2人を眺め、チョウジはニコニコとしている。シカマルに大事なものが出来るのは、良い事だと思っているからだ。
何にも興味を示さず、ただ、凡庸に生きているように見えるシカマル。忍になるのだって、楽そうだから、なんて言っているが、親が薦めるままにアカデミーに通っているだけ。
こんな状態で忍になったら、命のやり取りの中で、あっさりと自分の命を諦めてしまうのではないかと、チョウジは心配していたのだ。
「・・・ナルト。」
「なんだってば、チョウジ。」
「・・・しっかり、シカマルを見ててあげてね。」
「(チョウジ、やっぱ、シカのこと良くわかってんだな。)・・・おう!任せとけってばよ!」
ニッと不適に笑い、ナルトはドン、と胸を叩く。
「・・・おい、逆じゃねーの?」
言われた本人は眉間にしわを寄せ、仲の良さそうな、恋人と幼馴染を見やる。
「シカマルはめんどくさがりだから、チョウジが心配してるんだってばよ。」
ナルトは、シカマルの右腕に自分の腕を絡め、ニヘラっと笑う。チョウジはそんなナルトに、内心驚いていた。あの一言で、そこまで伝わったとは思ってもいなかったからだ。
「・・・ナルトって、本当は、頭いいんじゃない?」
「へ?・・・なんで?」
ふと、思い当たったかのように訊ねたチョウジに、ナルトは、キョトンとして聞き返す。
「いや、なんとなく。」
幼馴染のシカマルが、素晴らしい頭脳を持っていることは、チョウジもよく知っている。それを発揮しないのは、テストに答えを書くのがめんどくせーとか、そんな理由だった。
ナルトにも、会話の中で同じような空気を、たまに感じる。説明するのがめんどくさい、というか、わずらわしい。そんな空気。
だから、ナルトの話はたまにぶっ飛んでいることがある。表面だけを見れば、バカ丸出し。でも、それが、シカマルと同じような理由なら・・・。
「(やっぱ、鋭いな。)・・・チョウジ?どーした?」
チョウジが考え込んでいるところで、それを中断させるようにシカマルが肩を持って、揺さぶる。
「あっ、な、何でもないよ。・・・それよりさ、シカマル、ナルトも。今日、お菓子の新作が出るんだけど、一緒に買いに行かない?」
チョウジが一気に会話の流れを変える。キバがシノから開放されたのを見たからだ。
「・・・わり、今日はパス。・・・親父の知り合いってのが来ててな。」
「俺も。火影のじっちゃんに、呼ばれてんだ。」
2人が断ると、チョウジもあっさりとあきらめる。
「そっか。・・・キバはどうする?」
くるり、と振り返り、チョウジが訊くと、キバは顔を青ざめさせたままで、首を横に振る。
「・・・俺も、パスだ。・・・今日は、忍犬たちの定期健診だからな。」
「くぅ~ん。」
赤丸が心配そうにキバを見上げる。かなり、シノの説教が堪えたらしい。
「・・・大丈夫かってばよ、キバ。」
「・・・だいじょばねー・・・。ったく、シノの奴、いちいち言い方がねちっこいんだよ・・・。」
ナルトが心配そうにキバの顔を覗き込むと、思い出すのもおぞましいとばかりに、キバは頭を抱え込む。
「・・・・・・・陰口はいけない。そもそも、文句があるなら、直接言え。というより、まだ、反省して無いようだな。」
「げっ、シノ!?・・・待て、タンマ!反省してます!すみません!!!」
突如、ヌッと現れたシノに、キバは悲鳴に近い声をあげて、謝り始める。
そのままイルカが教室に入ってくるまでシノに説教をされつづけたキバは、授業が始まる頃にはぐったりとしていた。
「(かーわいそ。でも、話が誤魔化せたのはよかったかな?)」
ナルトが哀れむように見やっていると、視線を感じて、前を向く。
「・・・ナルト、お前、今日は随分おとなしいな。ここ、2・3日は遅刻もしてないし。」
ごく近くまでやって来ていたイルカに、心配そうに見つめられ、ナルトは内心焦る。
「・・・じゃあ、センセーは、俺が騒いで、遅刻する方が良いってば?」
思わず口に出たのは、可愛げの無い、ひねくれた台詞。
「そうは言ってないだろ?・・・何か心配事でもあるのか?」
「・・・別に・・・。」
ナルトがふいっと視線をそらすと、イルカは困ったように立ち尽くす。それを見て、さらに焦ったのはシカマルの方だった。ナルトの完璧な演技に綻びができたことに気付いたからだ。
「フン、こいつに、悩みなんかあるわけねぇだろ。」
突如あがった声に、クラスメイトとイルカの視線がそちらに向く。頬杖をついて、黒板の方を見つめたまま、呆れたように呟いたのは、うちはサスケ。
「なんだと!テメー!!」
がたりと立ち上がり、ナルトがサスケに掴みかかる。
「フン、テメーはドタバタと騒いでるだけの馬鹿だろうが。」
サスケの言葉に含まれているものに気づいたのは何人いただろうか。恐らく、言われた本人とシカマルくらいしか感じ取れなかっただろう。
「・・・っ、この!スカしヤローが!!」
「こら!やめないか、2人とも!!」
殴り合いのケンカにまで発展しそうになったために、イルカが慌てて2人を止めに入る。
「(サスケの奴・・・まさか・・・。)」
シカマルの中で形成されていく一つの結論。ナルトを見つめると、ゼィゼィと肩で息をしながら、サスケを睨みつけている。その視線の中に、驚きは無い。サスケの言葉に含まれた意味は、ナルトも気付いたハズなのに。
「(ってことは、だ。)」
パズルのピースがはまるような感覚。ストン、と納得がいくと、シカマルは溜息をつく。
「・・・はぁ。」
その溜息はやたらと大きく響き、しーんとした教室に響き渡る。
「(お・・・怒ってる?)・・・シカマル?」
チョウジが振り向き、恐る恐るといった様子で名前を呼ぶ。
「センセー・・・授業、始めてくださいよ。・・・ったく、めんどくせー・・・。」
「そ、そうだな。・・・ナルト!サスケ!後で反省文を書かせるからな!」
シカマルの発言に頷くと、イルカは腰に手をあて、厳しい調子で言う。
「えー!!・・・勘弁だってばよー!!!」
「ちっ・・・。」
ナルトは口を尖らせ、サスケは小さく舌打ちする。シカマルはなんとも言えない表情でその2人を見やり、眉間に深いしわを刻んだ。
一日の授業が終わり、ナルトとサスケがイルカの監督の下、反省文を書かされていた。そこに、がらり、と扉の開く音がする。
「・・・まだ、終わんねーんスか?」
呆れたような声でそう言って入って来たのは、シカマル。
「ああ、シカマル。どうした?ナルトを待ってたのか?」
「・・・いえ、ナルトとサスケを待ってるんス。」
イルカの言葉を訂正すると、シカマルはナルトの傍に立つ。
「・・・ほら、早く書いちまえ。」
「急かすなってばよ!!」
見上げて、眉間のしわが深いままのシカマルに、ナルトは表情には出さなかったもののギョッとする。
「(シカ、機嫌悪そー・・・。)」
シカマルの機嫌が悪い理由には思い当たっていたものだから、余計にそう思う。ちらりと横を見れば、サスケと視線がぶつかる。
「・・・早く書け、ドベ。・・・俺はもう終わるぞ。」
「ムキー!ちょっと黙ってろってば!」
サスケの言葉に敏感に反応するものの、ナルトはとりあえず反省文を書き終わるべく、机に向かう。
すっかりと慣れたもので、ガシガシと荒っぽく書いてはいるが、それとなく形になっていく。
「・・・・・・よし!書き終わったってば!!イルカせんせー!もう良いってば??」
「・・・ああ。いいぞ。2人とも。」
イルカが反省文を受け取り、にっこりと笑う。すると、シカマルが待ってましたとばかりに、ナルトとサスケの腕を掴む。
「・・・じゃ、さよならー。」
「えっ、ちょっ・・・シカマル、いきなり引っ張るなってばよ~!!」
「おい、何で俺まで!」
「・・・な、仲良く帰るんだぞー・・・。」
イルカは心配そうに3人を見送り、反省文を改めて見る。
「・・・せ、性格が出るなぁ・・・。」
キッチリと整った字で書かれたサスケの反省文と、書き殴った字で、それでも、反省の言葉をつらつらと書いてあるナルトの反省文。どちらもそのまま、人柄を表している。
「・・・しかし、シカマルとサスケは仲が良かったか?」
一つ呟き首を傾げて、イルカは教室を後にした。
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