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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・企画小説
・ノマナルの時代に未来のナルトが来る話
・原作がサスケ里抜け直後の頃に書いたので、設定がおかしいです;
・未来のナルト無茶苦茶最強設定
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








― あの頃は何も知らなくて。何もかもが美しく見えて。何度、あの幸せな頃に戻りたいと思ったことか。

― 長年の夢が叶ったというのに、仕事に追われ、ただただ書類の山と格闘する日々。





「火・影・様?」

執務室でぼうっと空を眺めていた六代目火影(御年23歳)はそのドスのきいた声にぎくりと肩をはねさせる。

「・・・さ、サクラちゃん。」

「仕事もしないで・・・何をなさってるんでしょうかねぇ?」

にっこりと笑う姿は、もはや般若にしか見えない。

「え、えーと・・・シカマルの・・・真似?」

ドゴォ!

「!!!」

にへら、と答えた瞬間、サクラのこぶしが壁を砕く。

「・・・ナぁ~ルぅ~トぉぉお!」

「ひっ(泣)」

命の危険さえ感じるような迫力に、ナルトは瞬時に印を組みだす。

「あっ!・・・逃げるつもりね!まちなさいっナルト!!」

「ご、ごめん!!・・・今のサクラちゃん怖いから、パス!!」

印を組み終え、ナルトは術を発動させる。

焦りのために、1つ印を間違えたことに気付かずに・・・。





「ふー・・・逃げ切れたってばよ・・・。」

額の汗を拭い、ナルトはさわやかな笑みを浮かべた。

「・・・帰ったら怖いけど。・・・はは。」

さて、と。と火影岩を見上げたナルトは、その場でビシリと固まった。

「・・・・・・・・・・・え゛?」

ナルトは思わず自分の目を疑ってしまう。それもそのはず。火影岩には4つの顔(つまり、初代~四代目火影の顔)しか彫られていないのだから。

子どもの頃より随分と回転の速くなった頭ではじき出した答えは、最悪なものだった。

「うわー・・・つまり、ここは、過去って事だよな。・・・俺の顔はともかくとしても、綱手ばあちゃんの顔が彫られてねーって事は、10年近く昔かよぉ・・・。」

思わずしゃがみこんで、ブツブツと独り言を言っていると、懐かしいとさえ思う聞き慣れた声とやり取りが聞こえた。

「ほら、お前ら、帰るぞー。」

「やったー!!終わったってばよ!!ラーメンっ、ラーメンっ!」

「・・・フン、ウスラトンカチが。」

「ちょっと、ナルト!・・・あんたまたラーメン食べる気!?ラーメン好きにも程があるわよ。」

にぎやかな第7班。懐かしい頃の己の姿と仲間達の姿に思わず凝視してしまったナルトは、こちらの視線に気付いたカカシとばっちり視線が合う。

かすかに、カカシが息を呑むのがわかる。

「・・・ミナト・・・先生?」

その名を呼ばれても、なるほど、と納得してしまう。自分の本来いた時代では、カカシだけでなく、父、四代目を知る者達に、彼に生き写しだ、とよく言われていたからだ。

ナルトはどうしようかと一瞬躊躇した。

固まった空気を壊したのは、やはりというか、“彼”だった。

「へっ?・・・カカシセンセーのセンセーだってば!?」

―・・・うっわー、昔の俺って、こんなだったっけ。

きょとん、とした昔の自分に苦笑を浮かべ、ナルトはフッと息をつく。

「人違いですよ。・・・畑、カカシさん?」

にっこりと笑ってやれば、カカシは今にも泣きそうに、右目を歪めた。

「・・・すみません。あまりにも似ていたものですから。」

「よく言われます。・・・あの人に生き写しだと。」

このまま誤魔化そうと決めたナルトは、初対面のフリを決め込む。・・・が、それを見破った奴がいた。

「・・・お前、ナルトだろ。」

「「へっ!?」」

「あ、タイミングばっちり。」

サスケの一言に驚いたナルト'sは、同時に同じように叫んでしまう。

サクラが感心したようにあげた声に、ナルト(大)は慌てて口を塞ぐ。

「・・・な、ナルト?」

カカシがおずおずと尋ねる。

「だぁ~!!!待てってばよ!俺はここにいるってば!!」

「ウスラトンカチ、俺はなにも“この時代”のお前だなんて言ってねぇ。」

呆れたように言うサスケに、ナルト(小)は少し考え込んで、ポン、と手を打つ。

「あのさっ、あのさっ・・・だ、だとしたら、未来の俺、だってば!?」

キラキラとした視線を向けられ、ナルト(大)はがっくりと肩を落とした。

「・・・はー・・・なんでわかったんだよ?サスケ。」

「癖だ。お前、嘘つく時に、いつも、右斜め上を見る。」

―・・・あなた、なんでそんな事知ってんですか。

この時ばかりは4人の考えが同調する。

「ま、まあ、それはともかく、本当に未来のナルトなのね!?」

「・・・そう、だよ。サクラちゃん?」

諦めたように微笑むナルトに、サクラは顔が熱くなるのを感じる。

「(何よ~!!ナルトのクセに、カッコイイじゃないっ!しゃ~ん~なろ~!!)・・・そ、そう。」

「くす。・・・昔っからだったんだね、心と顔が不一致なの。」

くつくつと笑いながら言うナルト(大)にサクラは憮然とした表情をうかべる。

「な、なによぅ、それぇ。」

「いや、カカシ先生はやっぱりあやしさ大爆発だし、サスケは・・・。」

そこまで言って、ナルト(大)は眉を顰める。サスケの首に巻かれた包帯に気付いたのだ。

「・・・何なんだよ。」

「・・・もしかしなくても、波の国の後?」

「そうだよ~。」

カカシが答えると、ナルトはフッと笑う。

「そう。・・・サスケも相変わらず愛想ってのが無いな。」

「フン・・・お前は・・・少しは馬鹿が治ったみたいだな。」

「サスケェ!・・・ってことは、今の俺は馬鹿ってコトかってばよ!!」

サスケに飛び掛りりそうな勢いのナルト(小)をナルト(大)は頭をガシッと押さえて止める。

「・・・はいはい。飛び掛らない。体力の無駄だからなー・・・。」

「はーなーせーっっ!一発ぶん殴らねーと気が収まんねー!!」

「フン、殴れるもんなら、殴ってみやがれ。」

「なにおーぅ!!」

止まるどころか激化するい言い合いに、ナルト(大)がキレた。

「うっせぇ!クソガキども!!・・・ガキナルト!てめぇは少し落ち着いて話せ!・・・ガキサスケ!お前もわかってて煽るな!へんなコミュニケーションとってんじゃねぇ!!」

・・・六代目火影の名は伊達ではない。凄まじい迫力というより威圧に、さしものナルト(小)とサスケも口を閉ざす。

「いや~・・・スゴイスゴイ。・・・一発で2人を黙らせちゃうなんて。・・・ところで未来のナルトはいくつなのかな?」

ははは、と笑いながらカカシが訊いて来るので、ナルトは怒りを収め、その質問に答えた。

「・・・23歳。」

「おっ、10年後ってことだな。・・・で、訊いていいかな?お前の夢は叶ってるの?」

「・・・10年後のお楽しみだよ。・・・まあ、一応、上忍にはなったけどな。」

「上忍!・・・俺ってば、10年後には、ちゃんと上忍になってるってば!?」

ぱあぁっと表情を輝かせ、ナルト(小)が飛び付いてくる。

「・・・まぁな。」

答えるナルト(大)の物腰が、非常に落ち着いていて、穏やかなものだから、カカシは溜息をついた。

「はー・・・。まるで別人だね。」

「・・・あのな。・・・まあ、いいけど。自分でも少しは自覚あるし。・・・それよりさ、三代目のじっちゃんとこに連れてってくんないかな?俺だけで行くと、門前払い食らわされそうだし。」

ニッと笑ったその顔を見て、カカシはようやくホッとしたように体中の力を抜く。・・・やはり、ナルトはナルトだ、と。

「そーだねぇ。・・・それじゃあ、報告がてら、火影様のところに行こうか。」



― 火影執務室


三代目は、今、己の目に映っているモノは幻覚だろうかと思った。

「・・・本当に、ナルトか?」

「・・・はぁ。・・・本当“だってばよ”?・・・三代目のじっちゃん。」

口調はナルトでも、溜息をつきながら苦笑する様子は、まるで別人。

未だに信じられない様子の三代目に、ナルト(大)はどう説明したものか、と考え込む。

まさか、サスケのように“癖”を覚えているわけがないだろうし、とそこまで考えた所で、ドアの外からのよく知った気配に気付く。

「・・・イルカ先生?」

ナルト(大)の呟きと同時にドアが開き、イルカが入ってくる。

「失礼します。・・・って、アレ?どうしたんです?」

皆が呆然と見やってくる中、事情が飲み込めないイルカは、そのままガシッと近くまで寄ってきた青年(ナルト(大))に掴まれる。

「・・・あぁああぁ・・・イルカ先生だぁ~。・・・若いィ~・・・。」

わなわなと震え、ナルト(大)が感激していると、イルカはワケがわからずフリーズする。

「・・・えっ・・・・あの。」

「イルカセンセー!あのなっ、この兄ちゃんは、10年後の俺なんだってばよ~♪」

「10年後のナルトォ!?」

簡潔なナルト(小)の説明に、ヒタヒタと自分の顔に触れてくる青年(ナルト(大))を見つめる。

「あぁあ~・・・あんなに生活感丸出しで、子沢山で、目じりにしわが目立ち始めて・・・なんか、真剣にデコの後退が気になり始めたイルカ先生が・・・若いィ~。」

「・・・10年後の俺って・・・。」

ちょっとショックなイルカだったりする。

「・・・ナルト、なんじゃな?」

その様子を見て、ようやく目の前の現実を受け入れた三代目がそう呟く。

その呟きに、感激していたナルト(大)は、くるりと振り返り、やっと認めたのかと苦笑する。

「そうですよ?・・・三代目火影様。」

わざと丁寧に言えば、三代目も苦笑を漏らす。

「おぬしらしくないのぅ。そんな物言いは。」

「いや、これでも23歳だし、いつまでも馬鹿やってらんないだろ。」

「ふむ・・・して、この時代にはどうやって来たんじゃ?」

ふと思い出したように訊ねる三代目に、ナルト(大)は気まずげに視線をそらす。

「・・・あー・・・ちょっと術に失敗して。」

やっぱりナルトだ。と全員が思ったのはさておき、三代目ははて、と首を傾げる。

「失敗して過去に飛ばされるような術など、聞いたこともないぞ?」

「・・・いや、知ってると思うけどな、じっちゃんとカカシ先生は。」

に、と笑うナルト(大)に、カカシがハッと気付く。

「そうか、“飛雷神の術”だ!」

「なんじゃと!?」

「ピンポーン!大正解。・・・あれだけで良くわかったな、カカシ先生。」

「・・・でも・・・アレは。」

言葉につまるカカシを見て、ナルト(大)は苦笑する。

「そうだな。・・・この時代では幻の術だったもんな、アレは。・・・でも、未来では形ややり方は違えど、同じような時空間忍術を使う忍はいる。ああ、確か、サスケも飛雷神の術じゃねーけど、使ってたと思う。」

ナルト(大)はチラリとサスケを見る。サスケがその術を使っているのを見たのは、まだ、彼が里抜けをしている間の時だったことを思い出したのだ。

今はまだ、こうして木ノ葉にとどまってはいるが、あと少しもすれば、サスケはこの里を出て行く。

「?・・・何だよ。」

「いいや。なんでも。・・・まあ、とにかく、時空間忍術の理論は確立されてるし、移動術としても、攻撃補助用の術としても結構ポピュラーな術になってるんだよ。」

難しい言葉を羅列するナルト(大)の話に、ナルト(小)はついていけない。

「・・・む、むつしい話は苦手だってばよ。」

「まあ、そのうち理解しなきゃいけなくなるさ。・・・嫌でも・・・な。」

ワシャワシャとナルト(小)の頭を撫で、ナルト(大)は苦笑する。

たったそれだけでも、10年の間に様々な事が起こったとわかる。

「・・・苦労、したんだな。ナルト。」

イルカがしんみりと言えば、ナルト(大)はコクリとうなずく。

「ああ、いろいろあった。・・・まあ“今”は平和そのものだよ。里同士のちょっとした小競り合いはあるけど、風影も雷影も友好的だしな。」

「そう、か。・・・風影と雷影が・・・。」

「もっとも、2人とも代替わりしてるんだけどな。」

ナルト(大)は、肩をすくめる。

その時、チャリ、と首にかけていた石が揺れて音をたてる。

「・・・!!!その石は!」

目を見開き、突然立ち上がった三代目に、皆の視線が集まる。

「・・・ん?ああ、コレ?・・・そっか、じっちゃんは知ってるんだな。」

「初代様の火影石・・・。」

三代目の呟きに、今度は全員の視線がナルト(大)の胸元に向く。

「それを、どこで。」

「・・・ん?・・・んー。綱手ばあちゃんに賭けで勝って貰った。」

「・・・賭け;・・・あやつ、まだ、そんな事を・・・。しかし、だたの賭けでそれを渡すようなことはしないハズだが。」

「そうだな、俺は、ダンとナワキに続いて3番目に認められたって事かな?」

「ダン、ナワキ・・・か。懐かしい名前じゃの。」

話についていけない周りの者たちを後目に、三代目はフッと息をつく。

「あやつは・・・綱手は元気か?」

「元気元気。すっげー元気。まだ現役で行けるぜ。医療のスペシャリスト、伝説の三忍の綱手姫はさ。・・・・・・ったく、それのなのに、もう飽きたとかのたまって、たっぷり残った仕事ごと俺に丸投げしてくれて、そのくせ、毎日毎日執務室に来てのんびり目の前で茶をすすってんだぞ!!こっちだって、頭にくるっての!なのにさ!ちょっと現実逃避したくて空眺めてると、サクラちゃんが般若のように怒るし!!」

「わ、私ィ?」

サクラがびっくりしているのを後目に、ナルト(大)の口は止まらない。

「確かにさ、補佐官ってのは大変だけどさ。あんなに怒んなくてもいいじゃん!書類整理だって、外交だって、ちゃんとやって・・・。」

「ちょ、ちょっと待った、ナルト!・・・お前、それって・・・。」

まだ続きそうだったナルト(大)の言葉をさえぎり、イルカが言うと、ナルト(大)はハッと気付く。

「あー・・・。しまった。」

ドジなところはちっとも治っていないナルト(大)を微笑ましくも思いながら、イルカは頭を抱える。

「今の話にばっちり当てはまる仕事なんて、一つしかないだろうが・・・。」

皆が頷く中、1人わかっていなかったナルト(小)がサクラの服の裾を引っ張る。

「なーなー、サクラちゃん、未来の俺ってば、何の仕事してるんだってばよ?」

「馬鹿ね、あんた、夢だって言っておきながら、どんな仕事をしてるか知らないの!?」

「ウスラトンカチ。・・・あの話からするに、火影だろ。」

サクラとサスケの言葉に、ナルト(小)はコチンと固まる。

「・・・あーあ。・・・最近、グチ聞いてくれる相手がいなかったからなぁ。」

そのナルト(大)の溜息交じりの言葉と同時に、ナルト(小)が復活する。

「・・・す、すっげー!!!俺ってば、10年後には火影になってんのか!!」

「・・・一つだけ、訊くぞ。」

「・・・なんだってば?」

コトリと首を傾げるナルト(小)に、ナルト(大)は視線を合わせるように屈む。

「火影ってのは、お前が今思ってるような派手な部分だけが仕事じゃない。むしろ、地味な事務仕事が多いんだ。・・・それでも、お前は火影になりたいか?」

「・・・ああ!火影は俺の夢だってばよ!!!」

「・・・そうか。それが聞けて良かった。・・・大切なこと、思い出させてくれてありがとうな。」

力強く頷くナルト(小)に微笑みながら、ナルト(大)は背後で片手印を素早く組む。

「・・・でも、コレは、本来あってはならないことだ。・・・悪いな。」

やろうとしていることに気付いたカカシが、止める間も無く、ナルト(大)は、ナルト(小)の顔の前で指を弾く。

パチンッ!

途端にぼうっとした表情になったナルト(小)を見て、サクラとサスケは不安げな表情でナルト(大)を見やる。

「お前達もだ。・・・未来を知ってはいけない。」

 ナルト(大)はサスケに向き直り、印を組む。

「・・・自分の一番大切な思い・・・見誤るなよ?」

「・・・?・・・ああ。」

一言告げて、指を弾く。そして、サクラにも同様にする。

「・・・もっと、自分に自信を持って。俺はサクラちゃんにたくさん助けられた。」

「・・・ナルト・・・。」

パチンッ!

指を弾く音が部屋に響く。

「・・・お前・・・幻術タイプじゃなかったのに。」

カカシが呟く。

「まあ、瞳術・幻術を得意とするヤツとずーっと闘ってたからな。幻術もちょっとは勉強したし、対処法だって身につくさ。」

「・・・そうか。」

「・・・先生達にも忘れてもらうから。」

ナルト(大)に言葉に、カカシとイルカも渋々頷く。

「・・・じゃあ、また未来でね。イルカ先生。」

「ああ。」

「・・・カカシ先生、サスケに注意してて・・・そして、あいつがどんな道を選んでも、信じてやって。」

「・・・わかった。」

2人の恩師の顔を見やり、ナルト(大)は指を弾く。

そして、全員がぼうっとした表情をうかかべる中、沈黙を保っていた三代目の方へ向く。

「じっちゃん・・・。」

「ワシの記憶も消すか?」

「・・・ううん。ただ、口を閉ざしてくれればイイ。」

どちらにしろ、三代目の時間はもうすぐ止まる。悲哀の色がうかんだナルトの瞳を見て、三代目はある程度のことを察する。

「・・・そうか。おぬしの時代にはワシはおらんのか。」

「・・・ごめん。」

「いや、よい。・・・自分で決めたことじゃろうて。」

三代目の表情は晴れ晴れとしている。

「こんなにも立派な火影が立つのじゃ。本望じゃよ。火の意志は脈々と受け継がれておる。」

「・・・うん。」

「・・・帰る方法はわかっておるのか?」

「うん。印の組み違えだから。・・・最近、理論上はできるって聞いたばっかりだったから、頭の隅っこにあったんだと思う。」

苦笑を浮かべたナルトを見て、三代目はゆったりとうなずいた。

「そうか・・・木ノ葉の未来は安泰じゃのう。」

「うん。・・・いい里だよ。・・・じっちゃんの愛したこの里は。」

過去の火影と未来の火影が共有する一つの思い。それは、里を愛しているという事。

すっとナルトは三代目に手を差し出す。

「握手しよう、じっちゃん。・・・俺は、じっちゃんに負けないような火影になる。」

「うむ。・・・期待しておるよ。」

別れを惜しみながら、握手した手をグッと握りこむ。

「さようなら・・・俺が最も尊敬する三代目火影様。」

「・・・未来は任せたぞ、若き火影よ。」

「・・・任せとけってばよ!」

ドンッと胸を叩き、ナルトは時空間忍術の印を組み、術を発動させた。





トン、と足が地に着く。ナルトは火影岩を見上げ、ホッと息をつく。

「あー!!!ナルト!こんなトコにいたのね!!」

叫んだのは補佐官のサクラ。

ぐいっと腕を引かれ、振り向いたナルトを見て、サクラは息を呑む。

「・・・あんた、何で泣いてるの?」

「・・・サクラちゃん。俺・・・過去に行ってきた。」

それだけでサクラはなんとなく涙の理由を察する。

「・・・そう。とりあえず、執務室に戻りましょ。・・・お茶でも飲みながら、話、聞いてあげるから。」

「・・・うん。ありがと。・・・あと、ごめん。ちゃんと、仕事やるから。」

「いーわよ!私もちょっと厳しくしすぎたって反省したトコだったし。」

「あはは。」

涙目で笑うナルトに、気遣わしげに視線を向けながら、サクラも微笑む。

「楽しかった?」

「・・・うん。イルカ先生とカカシ先生が若くて、笑えた。」

「あはっ、何それー。私も見たかったかもー。」

2人並んで、ゆっくりと歩を進める。

アカデミーの前まで来ると、見慣れたしかめ面が出迎えてくれる。

「・・・心配、かけさせんな。・・・この、ウスラトンカチ。」

「その言い方、懐かしい~!」

「・・・ホントだな。」

クスクスと笑いあう2人に、サスケのしかめ面が緩む。

「フッ・・・ったく、言わせんなよ。」

くしゃっと頭を撫ぜられ、ナルトはふんわりと笑った。

―・・・ああ、今も幸せだ。

そして、考える。

―さて、何から話そうか・・・。


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