Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・貴方と出会った日からシリーズ 続編
・過去捏造:ちびルルと朝比奈はお知り合いなど、いろいろ。
・本編の流れは軽く無視。
・スザクがねちねちと虐められてます
・ミレイ・リヴァルはルルが大好きです
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
アッシュフォード学園・クラブハウス
「そっか。受け入れてもらえたのね。」
「ま、C.C.と朝比奈さんが合格出したんなら、大丈夫とは思うけど・・・後で、合流するからな?」
アッシュフォードを離れる日の朝、騎士団での話をしたルルーシュに、ミレイとリヴァルはホッとしたように微笑んだ。
「・・・あんまり、厳しいことは言わないでくれよ?・・・彼等は日本人なんだ。ブリタニア人とは違う価値観を持ってるんだから・・・。」
「わーってるって。・・・ね?会長?」
「そうねぇ。・・・スザク君で我慢しとくわ♪」
口の端を釣り上げ、ニィ、とミレイが笑う。いつもの、イベントを考え付いた時の顔。それ以上に、大切なルルーシュをここまで(しかも無自覚で)追い詰めたスザクに腹を立てているのだから、止めても無駄というものだ。
「・・・ええと、まぁ、不敬罪にならない程度に・・・。スザクは一応、皇族の騎士ですから・・・。」
「もっちろん。・・・でもね?ルルちゃん。・・・この学園では??」
「・・・はぁ、わかってますよ。・・・貴方がルールです。(・・・敵ではあるが・・・すまん、スザク。)」
ミレイに肩を竦めてみせ、ルルーシュは心の中でスザクに合掌した。
「じゃあ、ナナちゃん、元気でね。」
「はい。ミレイさんも。」
ミレイはしゃがみこんでナナリーの手をとる。
「ルルーシュもナナリーも、学園のことは心配しなくていいからな?」
リヴァルはニッと笑う。
「よろしくお願いします。」
「任せたぞ、リヴァル。」
「りょーかいっ!」
ルルーシュとナナリーが言うと、リヴァルはとん、と自分の胸を叩いた。
「咲世子さん・・・じゃあ、お願いしますね。」
「はい。ミレイお嬢様。」
頷く咲世子が、黒の騎士団の団員であると知ったのはつい先日。ルルーシュがゼロであると知られた日、ディートハルトが独断で入れていたということを白状したのだ。そこで、急遽、キョウトへ向かうナナリーとルルーシュの護衛に付けるということになったわけだ。
「・・・ルルーシュ様。」
キョウトからの迎えとして寄越されていた車の脇に立っていたSPが近寄ってくる。
「時間みたいです。」
ルルーシュはミレイに笑いかける。
「桐原さん達によろしくね?・・・私達は行けないから・・・。」
「ええ。・・・シャーリーやニーナによろしく伝えて下さい。・・・それと、ごめんって・・・いえ・・・これは、全部が終わったら、自分で言います。」
ルルーシュはそう言って、ナナリーの手を握った。
「行こう、ナナリー。」
「はい。お兄様。」
咲世子が車椅子を押し、ルルーシュはその隣をゆっくりと歩く。
「・・・じゃあ、また、明日な~!!」
ブンブン、と手を振るリヴァルに、笑顔で手を振り返し、ルルーシュはフッと息をつく。
「・・・ごめんな、ナナリー。こんなことになってしまって。」
「いえ。・・・私がこんな身体でなければ、騎士団までついていったのに・・・毎日・・・お忙しくなければ、ちゃんと連絡くださいね?」
「もちろんだよ。・・・ナナリーも何かあったらすぐに連絡するんだよ。もちろん、何もなくたって連絡くれれば嬉しいから。」
「うふふ・・・はい。お兄様。」
微笑ましい2人の様子を見つめ、咲世子は微笑む。咲世子の戦う理由は、いまや、この2人のため、と言っても過言ではなかった。ゼロの言葉に感銘を受け、ゼロの元で働きたいと思ってはいたが、ゼロがルルーシュであると知れて、ますますその思いは強まった。
「ルルーシュ様。・・・私が精一杯ナナリー様のお世話をさせていただきますから、どうかご安心ください。」
「頼みます。」
ルルーシュはそう言って、迎えの車を見る。桐原が気を利かせ、介護者用の車を用意してくれた。スロープを設置して、車椅子ごと乗れるため、ナナリーへの負担が少ない。
キョウトへ預ける不安はまだ残っていたが、神楽耶や桐原が皇の家の離れをナナリー専用として準備をしてくれ、通信設備も用意し、こちらからも目がきちんと行き届くようにしてくれた。
「桐原公と神楽耶には礼を言わなくてはな。・・・もちろん、日本という国を必ず取り戻して。」
「そうですね、お兄様。・・・それが、一番のお礼だと思います。」
ナナリーの同意を得て、ルルーシュは、力強く頷いた。
「ああ・・・必ず取り戻してみせる。・・・俺達を支えてくれる、皆のために。」
翌日・アッシュフォード学園
「・・・どういう・・・こと?」
ガランとしたクラブハウスのルルーシュ達兄妹の生活スペース。
いつもなら対応してくれる咲世子が出てこず、更にはこの時間なら確実にいるはずのナナリーがいないことに不安を覚えた彼は、慌ててクラブハウス内を探索した。
しかし、これといった痕跡もなく、綺麗に片づけられてしまっていた部屋を見て、呆然とたたずむ。
「・・・あら、スザク君。どうしたのかな~?」
「・・・あ・・・か、会長・・・これは・・・。」
ガランとした部屋を指差し、スザクはミレイを振り返る。
「ああ、これ?・・・そうね、これから、役員の皆には説明するつもりだったんだけど・・・君は、ルルちゃん達の事情は知っていたわね。」
「・・・あ、はい。」
こくりと頷くスザクに、ミレイは気付かれないようにグッと手を握る。
「なら、本当のことを教えておいてあげる。」
「そうそ、スザクはルルーシュと親友だもんなぁ?」
部屋の奥からリヴァルが出て来て、スザクはギョッとする。
「・・・リ、リヴァル?」
「うんうん。わかるぜぇ~。俺もさ、あいつの悪友なんてやってたからさ。マジで寂しいよな。」
ガシッと肩を組み、リヴァルがルルーシュの部屋の中にスザクを連れ込む。
「え・・・えっと・・・あの?」
「うん。戸惑うのもわかるわ。悔しいけれど、爵位のない、私達アッシュフォードにも限度というものがあるの。」
ミレイの言葉に、スザクは首を傾げた。それを見て、ミレイは眉を顰める。
「知らなかった?ルルーシュ達は、アッシュフォードが匿ってるの。」
「・・・え、ええ。はい。それは、ルルーシュから聞いていますけど。」
「・・・何で匿ってたか、わかってる?」
「・・・あの・・・皇室に戻されない・・・ため?」
疑問形で返された答えに、ミレイはルルーシュ達がこうしてこそこそと身を隠さなければならなくなった、危機を感じ取ってすらいないのか、と憤る。
「そうよ。・・・2人が皇室に戻されれば、きっと、また、政治の道具にされるわ。だって、彼らにつく良い後ろ盾はいないのだもの。実力があったって、権力がなければ、それは弱者と同じ。そして、ブリタニアでは弱者は冷遇される。・・・だからね、2人は逃げることにしたの。皇族に見つからないような場所に。」
「え?」
「だ~からさ、このまま、この学園にいたら、ルルーシュ達は皇族に見つかっちゃうわけよ。ということで、ルルーシュ達が安全に暮らせる場所にお引っ越ししたんだよ。」
理解が追い付かないスザクに、リヴァルが教えてやる。
「・・・見つかっちゃうって・・・。」
「だってさ、ここに皇族の騎士様がいるじゃんか。・・・まさか、気付いてないなんてことないよな?」
「・・・え?」
「スザク君は軍人だから、ユーフェミア様から指名されてしまって、断れなかったのよね?・・・ルルーシュ達のことを考えれえば、騎士の話なんて、受けられるはずがないんだから。学園に通うのだって、ユーフェミア様の“お許し”があったそうだし、やめるとか休学するとか、そういった措置はとれなかったものねぇ。」
「えっ・・・え?」
目を丸くして、ミレイの顔を見つめるスザクに、ミレイは悲しそうに微笑みかけた。
「かわいそうなルルーシュ。・・・逃げ回らなくてもいいようにこの学園を用意したのに・・・結局、また、居場所を追われてしまった。・・・せっかく、親友とも再会して、楽しく過ごせていたのに、その親友が皇族の騎士になってしまえば、もう、親友じゃいられないものね。」
「・・・あ、あのっ!ちょっと、待って下さい。・・・どうして、僕が、皇族の騎士がいると、ルルーシュ達が出ていかなければならないんです?」
どんどんと進む話に、スザクが慌てて口を挟む。ミレイは不思議そうに首を傾げた。
「あら、スザク君は知らなかったかしら?・・・騎士になるにはね、多くの選考基準が設けられているものなのよ。選任騎士は唯一皇帝陛下の命よりも自分の命を優先させることができる者だからね。まあ、貴方の場合は、向こうからの指名だったし、身の回りの調査だけで済んだんでしょうけど・・・。まあ、それが問題よね?身の回りの調査の中に、素行も含まれているの。だから、貴方の友人・知人、もちろん、学園での生活態度などを事細かに調べられるわけよ。」
「え・・・そう、なんです、か?」
「そうよ~。だからねぇ、ルルちゃんのことも調べられてるはずなのよ。いくら皇室を離れて7年以上経ってると言っても、ルルちゃんの容姿を見てピンとくる人は、未だにいっぱいいるのよぉ?・・・だぁかぁら~、わかる?」
ミレイの笑顔に力がこもる。無理やりに作ったようなそれに、スザクはようやくミレイの言いたいことに気づく。
「・・・皇族に、報告される・・・。」
「そういうコト。・・・というわけで、ルルちゃん達は、お引っ越しをすることになりましたから。他の皆には、本国へ留学ということにするわね。この話は、私とリヴァルとスザク君の3人の秘密よ?」
「ルルーシュ達の生存がバレそうになった今、早めに手を打たなきゃならなくってさ。お前、軍務で忙しそうだったし、俺達だけで準備は事足りたから・・・今まで話さなかったんだよ。悪かったな?」
リヴァルがスザクの肩を掴む手に力を込める。
「会長やリヴァルは・・・ルルーシュの居場所は・・・。」
「知ってるけど、貴方には教えられないわ。」
「どうして!!?」
肩にかかるリヴァルの腕を跳ねのけ、スザクが立ち上がると、ミレイはその顔から笑顔をすっと消す。
「わからないようだから、はっきり言ってあげる。・・・貴方に知られると、皇族に居場所が知れてしまう可能性があるからよ。」
「な!?・・・僕は、ルルーシュの居場所を報告したりなんて・・・ッ。」
「貴方にそのつもりがなくたって、貴方、居場所を知ったら、会いに行っちゃうでしょ?・・・自分が公人だと忘れてないかしら?それも、ナンバーズの騎士。・・・注目度が高いの。貴方の素行を嗅ぎまわって足元を掬おうっていう輩もたくさんいる。・・・ここまで言えばわかるわね?」
「お前がいるとさ、ルルーシュ達はいつまでたっても逃げ回んなきゃいけないんだよ。・・・だから、皇族の騎士様にはルルーシュの居場所を教えられないんだよ。」
呆れたように告げるリヴァルに、スザクは顔面を蒼白にした。
「僕が・・・いるから?・・・僕のせいで・・・ルルーシュとナナリーが・・・。」
やっと思い知ったか、とミレイは苦々しい思いを抑え込み、くるり、とスザクに背を向けた。
「じゃ、くれぐれもこれは内密にね?・・・学園や生徒会の他のメンバーには本国への留学ってことになってるんだから。貴方はルルちゃん達の事情を知ってるから教えたのよ?」
「確かに皇族の騎士ってのは、主第一なんだけどさ・・・お前、親友なんだからさ、ちゃんと、ルルーシュのことも考えてやれよ?・・・じゃ、また後でな~。」
呆然とするスザクを放って、ミレイとリヴァルはその場を立ち去る。
「・・・ちょっとは懲りたかしらね?」
「まあ、これくらいでへこたれても困りますしねぇ・・・でも、この程度で済ますつもりはないんでしょ?」
「当たり前じゃない。・・・これからよ。ルルちゃん達の不安がどれだけ大きいものだったか、骨の髄まで教え込んでやらなきゃねぇ?」
クスクスと笑うミレイの目は冷たい光を帯びている。
「おお~怖いっすね~・・・。でも、ま、さすがにあそこまで無自覚さをさらけ出されると、腹立ってきますし、協力しますよ?会長。」
「ふふふ・・・任せたぞ。次期副会長♪」
「・・・げ、マジっすか。それ、カレンとかシャーリーじゃ駄目ですか?」
「だぁめ。ルルーシュの抜けた穴は、リヴァル、あんたが埋めるのよ~♪」
「くっそ~・・・スザクのせいで~~~許すまじ!俺のバイトの時間が減るじゃねーか!・・・たかってやる。スザクにたかってやる~~~!!!」
別方面に怒りを昇華させるリヴァルに、ミレイは満足げに頷いたのだった。
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・スザクがねちねちと虐められてます
・ミレイ・リヴァルはルルが大好きです
・いろんな人が出ますが、所詮は朝ルルの引き立て役;
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アッシュフォード学園・クラブハウス
「そっか。受け入れてもらえたのね。」
「ま、C.C.と朝比奈さんが合格出したんなら、大丈夫とは思うけど・・・後で、合流するからな?」
アッシュフォードを離れる日の朝、騎士団での話をしたルルーシュに、ミレイとリヴァルはホッとしたように微笑んだ。
「・・・あんまり、厳しいことは言わないでくれよ?・・・彼等は日本人なんだ。ブリタニア人とは違う価値観を持ってるんだから・・・。」
「わーってるって。・・・ね?会長?」
「そうねぇ。・・・スザク君で我慢しとくわ♪」
口の端を釣り上げ、ニィ、とミレイが笑う。いつもの、イベントを考え付いた時の顔。それ以上に、大切なルルーシュをここまで(しかも無自覚で)追い詰めたスザクに腹を立てているのだから、止めても無駄というものだ。
「・・・ええと、まぁ、不敬罪にならない程度に・・・。スザクは一応、皇族の騎士ですから・・・。」
「もっちろん。・・・でもね?ルルちゃん。・・・この学園では??」
「・・・はぁ、わかってますよ。・・・貴方がルールです。(・・・敵ではあるが・・・すまん、スザク。)」
ミレイに肩を竦めてみせ、ルルーシュは心の中でスザクに合掌した。
「じゃあ、ナナちゃん、元気でね。」
「はい。ミレイさんも。」
ミレイはしゃがみこんでナナリーの手をとる。
「ルルーシュもナナリーも、学園のことは心配しなくていいからな?」
リヴァルはニッと笑う。
「よろしくお願いします。」
「任せたぞ、リヴァル。」
「りょーかいっ!」
ルルーシュとナナリーが言うと、リヴァルはとん、と自分の胸を叩いた。
「咲世子さん・・・じゃあ、お願いしますね。」
「はい。ミレイお嬢様。」
頷く咲世子が、黒の騎士団の団員であると知ったのはつい先日。ルルーシュがゼロであると知られた日、ディートハルトが独断で入れていたということを白状したのだ。そこで、急遽、キョウトへ向かうナナリーとルルーシュの護衛に付けるということになったわけだ。
「・・・ルルーシュ様。」
キョウトからの迎えとして寄越されていた車の脇に立っていたSPが近寄ってくる。
「時間みたいです。」
ルルーシュはミレイに笑いかける。
「桐原さん達によろしくね?・・・私達は行けないから・・・。」
「ええ。・・・シャーリーやニーナによろしく伝えて下さい。・・・それと、ごめんって・・・いえ・・・これは、全部が終わったら、自分で言います。」
ルルーシュはそう言って、ナナリーの手を握った。
「行こう、ナナリー。」
「はい。お兄様。」
咲世子が車椅子を押し、ルルーシュはその隣をゆっくりと歩く。
「・・・じゃあ、また、明日な~!!」
ブンブン、と手を振るリヴァルに、笑顔で手を振り返し、ルルーシュはフッと息をつく。
「・・・ごめんな、ナナリー。こんなことになってしまって。」
「いえ。・・・私がこんな身体でなければ、騎士団までついていったのに・・・毎日・・・お忙しくなければ、ちゃんと連絡くださいね?」
「もちろんだよ。・・・ナナリーも何かあったらすぐに連絡するんだよ。もちろん、何もなくたって連絡くれれば嬉しいから。」
「うふふ・・・はい。お兄様。」
微笑ましい2人の様子を見つめ、咲世子は微笑む。咲世子の戦う理由は、いまや、この2人のため、と言っても過言ではなかった。ゼロの言葉に感銘を受け、ゼロの元で働きたいと思ってはいたが、ゼロがルルーシュであると知れて、ますますその思いは強まった。
「ルルーシュ様。・・・私が精一杯ナナリー様のお世話をさせていただきますから、どうかご安心ください。」
「頼みます。」
ルルーシュはそう言って、迎えの車を見る。桐原が気を利かせ、介護者用の車を用意してくれた。スロープを設置して、車椅子ごと乗れるため、ナナリーへの負担が少ない。
キョウトへ預ける不安はまだ残っていたが、神楽耶や桐原が皇の家の離れをナナリー専用として準備をしてくれ、通信設備も用意し、こちらからも目がきちんと行き届くようにしてくれた。
「桐原公と神楽耶には礼を言わなくてはな。・・・もちろん、日本という国を必ず取り戻して。」
「そうですね、お兄様。・・・それが、一番のお礼だと思います。」
ナナリーの同意を得て、ルルーシュは、力強く頷いた。
「ああ・・・必ず取り戻してみせる。・・・俺達を支えてくれる、皆のために。」
翌日・アッシュフォード学園
「・・・どういう・・・こと?」
ガランとしたクラブハウスのルルーシュ達兄妹の生活スペース。
いつもなら対応してくれる咲世子が出てこず、更にはこの時間なら確実にいるはずのナナリーがいないことに不安を覚えた彼は、慌ててクラブハウス内を探索した。
しかし、これといった痕跡もなく、綺麗に片づけられてしまっていた部屋を見て、呆然とたたずむ。
「・・・あら、スザク君。どうしたのかな~?」
「・・・あ・・・か、会長・・・これは・・・。」
ガランとした部屋を指差し、スザクはミレイを振り返る。
「ああ、これ?・・・そうね、これから、役員の皆には説明するつもりだったんだけど・・・君は、ルルちゃん達の事情は知っていたわね。」
「・・・あ、はい。」
こくりと頷くスザクに、ミレイは気付かれないようにグッと手を握る。
「なら、本当のことを教えておいてあげる。」
「そうそ、スザクはルルーシュと親友だもんなぁ?」
部屋の奥からリヴァルが出て来て、スザクはギョッとする。
「・・・リ、リヴァル?」
「うんうん。わかるぜぇ~。俺もさ、あいつの悪友なんてやってたからさ。マジで寂しいよな。」
ガシッと肩を組み、リヴァルがルルーシュの部屋の中にスザクを連れ込む。
「え・・・えっと・・・あの?」
「うん。戸惑うのもわかるわ。悔しいけれど、爵位のない、私達アッシュフォードにも限度というものがあるの。」
ミレイの言葉に、スザクは首を傾げた。それを見て、ミレイは眉を顰める。
「知らなかった?ルルーシュ達は、アッシュフォードが匿ってるの。」
「・・・え、ええ。はい。それは、ルルーシュから聞いていますけど。」
「・・・何で匿ってたか、わかってる?」
「・・・あの・・・皇室に戻されない・・・ため?」
疑問形で返された答えに、ミレイはルルーシュ達がこうしてこそこそと身を隠さなければならなくなった、危機を感じ取ってすらいないのか、と憤る。
「そうよ。・・・2人が皇室に戻されれば、きっと、また、政治の道具にされるわ。だって、彼らにつく良い後ろ盾はいないのだもの。実力があったって、権力がなければ、それは弱者と同じ。そして、ブリタニアでは弱者は冷遇される。・・・だからね、2人は逃げることにしたの。皇族に見つからないような場所に。」
「え?」
「だ~からさ、このまま、この学園にいたら、ルルーシュ達は皇族に見つかっちゃうわけよ。ということで、ルルーシュ達が安全に暮らせる場所にお引っ越ししたんだよ。」
理解が追い付かないスザクに、リヴァルが教えてやる。
「・・・見つかっちゃうって・・・。」
「だってさ、ここに皇族の騎士様がいるじゃんか。・・・まさか、気付いてないなんてことないよな?」
「・・・え?」
「スザク君は軍人だから、ユーフェミア様から指名されてしまって、断れなかったのよね?・・・ルルーシュ達のことを考えれえば、騎士の話なんて、受けられるはずがないんだから。学園に通うのだって、ユーフェミア様の“お許し”があったそうだし、やめるとか休学するとか、そういった措置はとれなかったものねぇ。」
「えっ・・・え?」
目を丸くして、ミレイの顔を見つめるスザクに、ミレイは悲しそうに微笑みかけた。
「かわいそうなルルーシュ。・・・逃げ回らなくてもいいようにこの学園を用意したのに・・・結局、また、居場所を追われてしまった。・・・せっかく、親友とも再会して、楽しく過ごせていたのに、その親友が皇族の騎士になってしまえば、もう、親友じゃいられないものね。」
「・・・あ、あのっ!ちょっと、待って下さい。・・・どうして、僕が、皇族の騎士がいると、ルルーシュ達が出ていかなければならないんです?」
どんどんと進む話に、スザクが慌てて口を挟む。ミレイは不思議そうに首を傾げた。
「あら、スザク君は知らなかったかしら?・・・騎士になるにはね、多くの選考基準が設けられているものなのよ。選任騎士は唯一皇帝陛下の命よりも自分の命を優先させることができる者だからね。まあ、貴方の場合は、向こうからの指名だったし、身の回りの調査だけで済んだんでしょうけど・・・。まあ、それが問題よね?身の回りの調査の中に、素行も含まれているの。だから、貴方の友人・知人、もちろん、学園での生活態度などを事細かに調べられるわけよ。」
「え・・・そう、なんです、か?」
「そうよ~。だからねぇ、ルルちゃんのことも調べられてるはずなのよ。いくら皇室を離れて7年以上経ってると言っても、ルルちゃんの容姿を見てピンとくる人は、未だにいっぱいいるのよぉ?・・・だぁかぁら~、わかる?」
ミレイの笑顔に力がこもる。無理やりに作ったようなそれに、スザクはようやくミレイの言いたいことに気づく。
「・・・皇族に、報告される・・・。」
「そういうコト。・・・というわけで、ルルちゃん達は、お引っ越しをすることになりましたから。他の皆には、本国へ留学ということにするわね。この話は、私とリヴァルとスザク君の3人の秘密よ?」
「ルルーシュ達の生存がバレそうになった今、早めに手を打たなきゃならなくってさ。お前、軍務で忙しそうだったし、俺達だけで準備は事足りたから・・・今まで話さなかったんだよ。悪かったな?」
リヴァルがスザクの肩を掴む手に力を込める。
「会長やリヴァルは・・・ルルーシュの居場所は・・・。」
「知ってるけど、貴方には教えられないわ。」
「どうして!!?」
肩にかかるリヴァルの腕を跳ねのけ、スザクが立ち上がると、ミレイはその顔から笑顔をすっと消す。
「わからないようだから、はっきり言ってあげる。・・・貴方に知られると、皇族に居場所が知れてしまう可能性があるからよ。」
「な!?・・・僕は、ルルーシュの居場所を報告したりなんて・・・ッ。」
「貴方にそのつもりがなくたって、貴方、居場所を知ったら、会いに行っちゃうでしょ?・・・自分が公人だと忘れてないかしら?それも、ナンバーズの騎士。・・・注目度が高いの。貴方の素行を嗅ぎまわって足元を掬おうっていう輩もたくさんいる。・・・ここまで言えばわかるわね?」
「お前がいるとさ、ルルーシュ達はいつまでたっても逃げ回んなきゃいけないんだよ。・・・だから、皇族の騎士様にはルルーシュの居場所を教えられないんだよ。」
呆れたように告げるリヴァルに、スザクは顔面を蒼白にした。
「僕が・・・いるから?・・・僕のせいで・・・ルルーシュとナナリーが・・・。」
やっと思い知ったか、とミレイは苦々しい思いを抑え込み、くるり、とスザクに背を向けた。
「じゃ、くれぐれもこれは内密にね?・・・学園や生徒会の他のメンバーには本国への留学ってことになってるんだから。貴方はルルちゃん達の事情を知ってるから教えたのよ?」
「確かに皇族の騎士ってのは、主第一なんだけどさ・・・お前、親友なんだからさ、ちゃんと、ルルーシュのことも考えてやれよ?・・・じゃ、また後でな~。」
呆然とするスザクを放って、ミレイとリヴァルはその場を立ち去る。
「・・・ちょっとは懲りたかしらね?」
「まあ、これくらいでへこたれても困りますしねぇ・・・でも、この程度で済ますつもりはないんでしょ?」
「当たり前じゃない。・・・これからよ。ルルちゃん達の不安がどれだけ大きいものだったか、骨の髄まで教え込んでやらなきゃねぇ?」
クスクスと笑うミレイの目は冷たい光を帯びている。
「おお~怖いっすね~・・・。でも、ま、さすがにあそこまで無自覚さをさらけ出されると、腹立ってきますし、協力しますよ?会長。」
「ふふふ・・・任せたぞ。次期副会長♪」
「・・・げ、マジっすか。それ、カレンとかシャーリーじゃ駄目ですか?」
「だぁめ。ルルーシュの抜けた穴は、リヴァル、あんたが埋めるのよ~♪」
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