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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・カレルル前提ルル総受け気味?
・話し合いで皇族&貴族を味方に
・オデュ兄は出張りすぎ
・騎士団・ダモクレス組(特に扇とナナリー)に厳しい表現アリ
・皇室についての捏造アリ
・捏造満載

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









「ゼロの死亡を発表しましょう。」

「あいつは・・・俺達をずっと利用して・・・騙していたんだ。」

 ゼロを放逐した後も、好き勝手に彼のことを悪く言う仲間達の言葉を聞いていると、自分の心の中に淀みが溜まって、それがどんどんと重くなっていくのを感じる。

「キモチワルイ。」

 ぼそり、と呟いて、カレンはかつては兄のように慕った者達から視線を外し、くるりと向きを変えて、部屋を出た。そんなカレンの行動に気づいた者は、誰1人いなかった。





 紅蓮を発艦させ、カレンが向かった先は、ブリタニア軍同士が仲間割れをしたかのように戦っているという場所・・・神根島。そこには間違いなく彼がいる。そして1人で戦っているのだ。と、そう直感が告げていた。

 神根島はカレンにとっては因縁の場所だった。なぜなら、1年前、そこでカレンはルルーシュを見捨てたのだ。ルルーシュがゼロだったということにショックを受けて。

「今度は、間違えない。」

 戦闘地域を避け、紅蓮を森の中に隠したカレンは、遺跡の出入り口付近へと近づく。

「・・・何コレ。」

 遺跡付近の地盤が何カ所か崩落している。ここで何があったのだろうかと不安になりつつも、カレンは遺跡の中に入っていく。

「・・・!?」

 崩れた壁の前に、人が倒れているのを見て、カレンは駆け寄る。が、その姿をはっきり認識した時、ピタリ、と足が止まる。

「・・・ナイト・オブ・シックス?それに・・・このぬいぐるみ、C.C.の・・・。」

 その見覚えのある顔と、彼女が頭に敷いている黄色いぬいぐるみを見て、カレンはやはりこの先にルルーシュがいるのだと理解する。

 が、この先に行く方法を知らないカレンは、もどかしげに崩れた壁を見つめて、彼がここから出てくるのを待った。





 しばらく待っていると、壁の模様が赤く光り、カレンはハッと顔をあげる。そこには彼とその共犯者と、最悪の敵となったはずの彼の親友が並んで立ち、信じられないものを見る様にこちらを見つめていた。

「・・・カレ・・・ン?」

 ルルーシュが己の名を呟く。

「騎士団よりも貴方を選んだの。・・・私が決めた、私が選んだの・・・貴方を。これは、ギアスなんかじゃない。そうでしょう?」

 カレンがそう言えば、ルルーシュは困ったように眉根を寄せた。

「君を・・・巻き込みたくなかったのに。」

 それは、ルルーシュの本音だった。黒の騎士団を捨てた彼女に、追い返す為の嘘はつけなかった。

「私は、巻き込んで欲しかった。・・・あの時、貴方と一緒なら死んだって構わないと思ったの。」

「・・・。」

 ルルーシュはただ困ったようにカレンを見つめる。その彼の隣にいたスザクが口を挟む。

「カレンは・・・日本を取り戻したかったんだろう?イイの?騎士団を捨てるってことは・・・。」

「イイの。・・・それよりも、あんたが彼の隣にいること自体が不思議でたまらないわ。どういうこと?」

 ギロリ、とカレンに睨まれたスザクは、深い溜め息をついた。

「・・・いろいろ、事情が変わったんだ。それを一言で説明するのは難しい。」

「説明してもらえるんでしょう?・・・ルルーシュ。」

 名指しされたルルーシュは諦めたように頷いた。

「ああ。でも・・・。」

「まずはここから離れた方が良い。」

 今まで黙っていたC.C.がそう言って、外に視線を向ける。

「そろそろ、シュナイゼル達もこちらの動きを確認している頃だろう。」

「そうだな・・・とにかく、ここから出よう。」

 そう言って、ルルーシュはカレンの腕を掴む。

「っる・・・。」

「話は落ち着いてからだ。カレン。」

 その声はやけに落ち着いていて。どこか厭世的な様子を見せるルルーシュに、カレンは胸がざわつくのを感じた。





 追われるようにして向かった先は、ブリタニア本国。ナイトメアは目立つからと近郊の森に隠し、自分達は着の身着のまま、宮殿近くの宿に転がり込んだ。

 もちろん、主人にギアスをかけることは忘れない。こんな目立つ姿の面々が夜中に転がり込んでくるなどただ事では無い。

「出し惜しみは、もうやめたんだ。」

 カレンやスザクの前であっさりとギアスを使って見せたルルーシュを不思議に思って訊ねれば、彼はしれっと答えた。

「それで・・・状況は来る途中で聞いたけど・・・これから、どうするつもりなの?」

 そう切り出したカレンに、ルルーシュは一瞬困ったように眉を顰め、それから、スザクやC.C.と視線を交わす。そして、ようやく、ルルーシュがその恐ろしい計画をぽつりぽつりと説明し始める。

 “ゼロレクイエム”その計画の概要を聞いて、カレンは気が遠くなる。ここまでルルーシュが追い詰められるなんて、自分はいったい何をしていたのかと猛反省をする。

「絶対ダメよ!・・・世界の為に犠牲になるなんて!!・・・そんなの、誰も喜ばない。」

「・・・それが一番良い方法なんだよ。」

 カレンの反対にも、ルルーシュは眉一つ動かさずに答える。もう覚悟を決めてしまっているといった感じだ。助けを求めるようにして、C.C.とスザクに視線を向ければ、口を出すだけ無駄。というような諦めの表情をうかべている。

「・・・貴方なら、もっといい方法を考えつけるでしょう?・・・死なせてしまったユーフェミアや、巻き込んだシャーリーに対する謝罪の気持ちからそんなことを言っているなら、それは違うわ。・・・貴方は、生きて償うべきよ。」

 カレンがそう言った瞬間、ルルーシュはハッとして目を見開く。それを見たC.C.とスザクは目元を緩めた。

 カレンだからこそ言えることがある。カレンはC.C.やスザクと違い、コードやギアスについての情報をほとんど知らないと言っても良い。だからこそ、ルルーシュの抱えているギアスという罪に触れることなく正論を貫くことが出来る。

「だが・・・。」

「どうして自分に嘘をつくの?生きたいんでしょう?明日が欲しいんでしょう?」

「嘘なんて・・・。」

「私はもう、貴方の嘘に騙されたりしないわ。」

 カレンの言葉に、ルルーシュは息を呑む。

「ねぇ、ルルーシュ。シャーリーは貴方に死んで償えって言った?」

「・・・。」

 ふるふる、とルルーシュは首を横に振る。

「じゃあ、ユーフェミアは、貴方に死んで欲しいと思っていたかしら?」

「・・・・・・いや。」

 異母妹の優しげな微笑みを思い浮かべる。彼女の表情が憎悪に染まることなど考えられなかった。

「ユフィは、そんなこときっと思ってなかったよ。・・・最後まで、ルルーシュがゼロだって言わなかったんだから。」

 思わぬところから援護があって、カレンはそちらに視線を向ける。

「スザク・・・。」

「ユフィやナナリーの望んだ優しい世界・・・ルルーシュが作れば良い。君が死んだ後に残された人に任せるよりもずっと効率的じゃないか。・・・それに、その方が犠牲も少なくて済む。生きて償おう、ルルーシュ。・・・赦して貰えるまで償い続ける。それを、俺達の罰にしよう?」

 そう言うスザクには気持ちの余裕が見えた。

 いつも、互いに敵同士で、切羽詰まった様子を見せていたのに、手を組んでしまえばこんなにも変わるのか、とカレンは改めて2人の絆の深さに気づかされる。

「ほら、ルルーシュ。いつも無駄に働くその頭を今こそ使う時だぞ?・・・最小限の犠牲で優しい世界を作る方法を考えるんだ。」

 C.C.もどことなく嬉しそうに告げる。

「ルルーシュ、言ってよ。・・・本当は、貴方は“どうしたい”の?“何が欲しい”の?」

 カレンがルルーシュに縋るようにして言えば、ルルーシュはくしゃりと表情を歪めた。

「俺は・・・生きたいッ・・・優しい世界が・・・明日を迎えることが出来る、優しい世界が欲しいッ!」

「うん、決まりね。」

 ルルーシュの本音に、カレンはホッと笑みをうかべる。その様子を見て、C.C.もスザクも肩の力を抜いた。

「まったく、ようやく本音を言ったな。」

「ああ。・・・女の子って、強いな。」





 一週間後、ルルーシュ達はブリタニアの皇宮の中にいた。ギアスを使ったわけではなく、一番話が通じるだろうと思われる第1皇子に接触して、事情を説明したのだ。

 オデュッセウスは全ての話を聞いて、あっさりと納得してしまった。

「成程ねぇ・・・大変だったろう?ルルーシュ。」

 穏やかに微笑み、大きな手でルルーシュの頭を撫でる。凡庸、と称した長兄の優しさに触れて、ルルーシュは肩の力を抜いた。

「・・・兄上。」

「私で良ければ、協力しよう。シュナイゼルも思い込んだら止まらない質だから。一喝してあげないとねぇ。」

 ニコニコ、と笑うオデュッセウスのまとう空気の威圧感が増す。ギョッとするルルーシュ達に、オデュッセウスは笑みを崩さずに言った。

「私を頼ってくれて嬉しいよ、ルルーシュ。・・・さぁ、他の兄弟の所に行こうか。」

「・・・は、はい。」

 やはり、長年この伏魔殿で暮らしてきただけはある。ルルーシュはここはオデュッセウスに頼りきりになることを決めて、カレン、C.C.、スザクを伴って、それぞれの兄弟達に会いに行く。

 会いに行ってわかったのは、ルルーシュが皇室を離れている間に、数人の弟妹が継承権争いに敗れてこの世を去っていたことだった。

「・・・皇帝は、守らなかったんですね・・・俺達は日本へ送って皇室から遠ざけたのに。」

 ルルーシュは、やはり皇帝は自分達だけを特別扱いしたのだ、と複雑な思いになる。

「そうだね、我々は君達も死んだと思っていたけれど、父上は生きていることを知っていながら、それを訂正しなかった。訂正したら、また、ルルーシュ達が貴族達に狙われるとわかっていたからだろうねぇ。」

 認めたくはない両親の愛の形にますますルルーシュは顰め面になる。

「まあ、父上のやり方は、あまりよろしくはないと思うし、ルルーシュだって複雑だろう?もっと年をとって、思い出として語れるようになった頃に、考えてみれば良いんじゃないかな?」

 そんなルルーシュの気持ちを察したのか、オデュッセウスはそう言って微笑みを向ける。

「・・・はい。」

「さて、残るはギネヴィア達だけか。」

 多くの兄弟達は、ルルーシュが生きて戻って来たことに驚きはしたものの、父帝の訃報に落胆するでもなく、シュナイゼルの動きにも興味を見せなかった。オデュッセウスがルルーシュを皇帝に推す、と言っても“兄上(お兄様)がそう言うなら”とあっさり認めてしまった。長年続いた、継承権争いに心底疲れ果ててしまったのだ。
「あら・・・オデュッセウス兄様?」

「あ、ホントだ。」

 その時、これから会いに行こうとしていた本人達が目の前からやって来て、オデュッセウスはひらりと手をあげた。

「ああ、良かった2人を探していたんだよ。」

「私達を?・・・枢木卿はわかりますけど、残りの3人は一体・・・ッ!?」

 訝しげに眉を顰めたギネヴィアがしげしげとC.C.とカレンを見つめ、そして、最後にオデュッセウスの陰に隠れていたルルーシュに視線を留め、目を丸くして息を呑んだ。

「る、ルルーシュ、兄様?」

 カリーヌの方は最初からルルーシュに視線が釘付けだった。

「お久しぶりです、ギネヴィア姉上・・・カリーヌも。」

 おずおずとルルーシュが言えば、まず、ギネヴィアが反応した。

「生きていたのですね、ルルーシュ。生きていたなら、どうして連絡しなかったのです?」

「そうよ!あのナナリーがエリア11の総督になったのは見たでしょ?何で、知らせなかったの?」

 ギネヴィアの問いに被せる様に、カリーヌも口を出す。

「それは・・・。」

 事情を説明したルルーシュに、ギネヴィアとカリーヌは呆気に取られてしまったようだった。

「よく、戻ってくる気になってくれましたね。私も微力ながら、協力させて頂きますよ。」

「私も忘れないでね、ルルーシュ兄様!」

 そう言ってあっさりと協力を申し出た2人に、ルルーシュは首を傾げてしまう。

「あ、ありがとうございます?」

「ははは。2人とも、昔から、ルルーシュが大好きだったからねぇ。」

 オデュッセウスの言葉に、ルルーシュは今ひとつピンとこないらしいが、とにかく、これで不在の皇族を除き、全ての皇族の意思を確認できた。

「・・・さて、明日から準備を始めないとね?」

「準備って・・・。」

「おやおや、ルルーシュ、君は皇帝になるんだよ?衣装とか衣装とか、衣装とか、用意しなければいけないだろう?」

「・・・兄上・・・衣装しか言ってない気がします;」

「うん。衣装、用意しないとねぇ?」

 オデュッセウスにとって、一番大事なのは、ルルーシュの衣裳だったらしい。他にやることはないのかと思えば、ギネヴィアとカリーヌが貴族達の根回しをするというし、元々、軍はラウンズのスザクがいれば抑えが利くので特別どうにかするものでもないという。

「じゃあ、私達は・・・。」

 カレンはルルーシュを見つめる。その視線を受けて、ルルーシュは、んーと考え込み、あ、そうだ。と呟いた。

「・・・ジェレミア、呼ばないとな。」

「あ、それと、やっぱり、ランスロットは必要だから、ロイドさんとセシルさんに来てもらわないと。」

「じゃあ、私も、紅蓮持ってくる。」

 口々に言ったやるべきことにそれぞれが当たる事にして、一度解散したのだった。





 ゼロことルルーシュと、カレンの失踪から1ヶ月が経った。未だ動きを見せないルルーシュに、黒の騎士団のメンバーは危機感を抱いていた。

「いつまでも動きを見せないのは、どういうことだ?」

 総司令である星刻が首を傾げる。自分の留守中にC.E.Oを敵国に売り払おうとしたり、私刑に走ろうとしたりと色々とつっこみたい事案はあるが、超合衆国の唯一の武力である以上、今、この組織を瓦解させるわけにはいかない。何とか手綱をとりつつも、あのゼロが簡単にやられるわけがないと警戒をする。

 そんな時だった。

『帝都ペンドラゴンより、緊急放送です。1ヶ月もの間沈黙していた皇帝陛下よりお言葉があると思われます。』

 その放送に、幹部達の視線は釘付けになる。なぜなら、皇帝の入場が告げられるとともにその場に姿を現したのは、自分達が放逐したゼロ、その人だったからだ。

『神聖ブリタニア帝国第99代皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。』

 二コリ、と笑った彼は、驚愕の一言を言い放った。

『先代ブリタニア皇帝は、己の願いを叶える為、世界の根幹を壊そうとしました。私は、先代の暴挙を止める為、その命を奪いました。』

 驚いたのは画面の外にいる自分達だけで、画面の中では特に混乱は見られない。恐らくギアスで既に制圧したのだろうと思われたのだが、どうにも様子がおかしい。

『我が兄弟、そして、大貴族方には既に説明した通り、私は“ゼロ”として母国に反乱を起こしていました。我が異母兄クロヴィスの暴挙に怒りを覚え、粛清を加えたのを始めとし・・・。』

 つらつらとまるで他人のことを話すように、客観的に“ゼロ”としての行動を説明するルルーシュに、世界は全くついていけていなかった。

 が、最後の件になって、全世界は驚愕した。

『そして今、私が皇帝としてこの場に立っているのは“ゼロ”の存在意義が失われてしまった為。詳しく語ることは、一つの組織に対しての糾弾となってしまうので、今は控えさせて頂きますが、いずれは皆に語れるだろうと思います。・・・そして、今まで、我がブリタニアが蹂躙してきた国々の方々に対し、深くお詫びを申し上げます。この身を世界に捧げ、一生をかけて償って参る所存です。』

 頭を下げたブリタニアの若き皇帝。今までの説明や事情など、一気に吹っ飛んでしまうくらいの衝撃だった。呆然と画面を見つめる世界中の視聴者に、ルルーシュは美しい笑みをうかべた。

『まず、手始めとして、各エリアの解放を行います。それぞれのエリアの代表となられるだろう方に個別に連絡を取らせて頂きます。その後に軍縮。そして、皇族や貴族中心の支配を緩め、民間の政治組織を並立させ、混合政体への移行措置に取り掛かります。』

 ルルーシュの皇帝就任の放送は、概ね世界から受け入れられる結果となった。完全なる改革。ブリタニアは変わる、と誰もが若きブリタニア皇帝に称賛した。

 特に長きにわたり支配を受けて来たナンバーズは、彼を正義の皇帝と呼んだ。彼が旧体制のブリタニアと戦ってきた“ゼロ”であることも、ナンバーズから素直に崇められる理由となっているのだろうと理解できた。

 複雑なのは、黒の騎士団のメンバーだ。ルルーシュに騙されたと思ってきただけに、今度もまた、という思いに囚われてしまっている。

「なぁ、どうすんだよ。ルルーシュは、イイコトやってんだろ?」

 が、単純な玉城は考えることを放棄して、目の前に突き付けられている事実を受け入れ始めていた。

「馬鹿を言うな。きっと、また、騙すつもりなんだ。」

「そうだ、だってあいつは、俺達にだって、最初は甘い言葉をかけたじゃないか。」

 しかし、扇が唸るように言い、他の幹部達からも厳しい意見が出る。

「・・・でもよぉ。実際に、エリアは1から順番に解放されてるしさ・・・。」

 気圧されながらも、玉城は弱々しくそう言って、ヘラリと笑う。

「エリア10まで解放は終えている。その内、エリア11・・・つまり、日本に連絡も来るだろう。その時に真意を問えば良い。それまでは、余計な勘繰りは止めておけ。」

 はぁ、と溜め息をついて、星刻は幹部達を見下ろす。その時だった。

「非通知回線から入電です!」

 オペレータの声に、皆が身構える。

 画面に映ったのは、ルルーシュの動きを探る為に身を潜めていた、帝国宰相(元、とつけた方がいいが)だった。

「・・・シュナイゼル!」

『そちらも手詰まりのようだね?こちも、困っているんだ。・・・どうだい?この際、同じ敵を持つ者同士、手を組まないかい?』

 何とも絶妙なタイミングでの申し出に、星刻は頷かざるを得なかった。そうでもしなければ、ルルーシュの思惑を知ることなく、全てが終わってしまうだろうことを痛感していたからだ。





「・・・次の解放は、エリア11、か。」

 書類を眺めて、ルルーシュは溜め息をついた。

「・・・やっぱり、やりにくい?」

 その隣には赤い騎士服を着たカレン。最後の最後までルルーシュの衣装にこだわっていたオデュッセウスは、スザクやカレンの立ち位置を考え、2人の衣装まで用意していたのだ。実際、ゼロの話をするのに混乱するので、スザクやカレンは、就任放送の場には出なかったのだが。

「まぁ、な。・・・でも、やらないわけにはいかないし。・・・ただ。」

「ただ?」

 首を傾げたのはスザク。カレンとは対照的に黒い騎士服を着こんでいる。これで、2人が白い皇帝服を着ているルルーシュを挟むと、バランスが良い・・・らしい。(byオデュッセウス)

「シュナイゼル兄上が今まで動きを見せてないから・・・もしかしたら、黒の騎士団と手を組んでるかもしれない。そうしたら・・・。」

「「あー・・・。」」

 カレンとスザクが微妙な表情をうかべる。

「そうしたら、私がシュナイゼルを叱ってあげるから、大丈夫だよ。」

 ぬっと現れたオデュッセウスに、カレン達はギョッとする。が、ルルーシュはすっかり慣れてしまったのか、無感動にオデュッセウスに視線を向ける。

「・・・でも。」

「シュナイゼルが突いてくるところがあるとしたら、皇位の簒奪だろう?」

「まぁ、そうなりますね。」

「でも、ルルーシュは、ちゃんと、私達、皇位継承者や大貴族達に承認されて皇帝になったんだよ?ギアスをかけたわけじゃないってことは、私が傍にいて見てたんだから、間違いないしねぇ。そんな私がギアスにかけられてるなんて言われたら、実際にギアスをかける様子を見せてあげたって良いだろうし。キャンセラーのことは、シュナイゼルは知らないんだろう?」

 オデュッセウスに言われ、ルルーシュはスザクを見る。

「どこまで話した?」

「ユフィのことと・・・絶対遵守の回数制限と、効果範囲くらいまでかな?キャンセラーなんて、俺も知らなかったし。後、シャルル陛下の記憶を書き換えるギアスについて少し。」

「・・・まぁ、それくらいカードが揃ってないと騎士団の乗り込むなんてことしないか・・・。」

「大丈夫?」

 カレンがルルーシュの右肩に触れる。その手を握り返し、ルルーシュは微笑んだ。

「大丈夫だ。・・・もう、覚悟は決めた。生きて償う。カレンがそう言ってくれたから。」

「ルルーシュ///」

「わー、らぶらぶー。」

「ッ///・・・スザクッ!!」

「おぅわ!?危ないって、カレン!!」

 スザクが棒読みで茶化してくるので、カレンが顔を真っ赤にして殴りかかっている。そんな2人の様子を苦笑しながら見つめ、ルルーシュはホッと息をついた。

「・・・念の為、ギネヴィアとカリーヌも呼んでおこう。向こうにはコーネリアとナナリーがいるんだろう?」

「ええ・・・シュナイゼル兄上のところから逃げて来た咲世子が言うんですから、間違いないでしょうしね。」

 実妹であるナナリーはルルーシュのアキレス腱だ。シュナイゼルがそれを利用しないとも限らない。

 だが、ルルーシュの戦いはすでにナナリーの為だけでは無い。“皆”が優しい世界で明日を迎えられるようにする。それが、ルルーシュが戦う理由になったのだ。

「ルルーシュ!」

「兄様!朗報よ!!」

 話をすれば影、ギネヴィアとカリーヌが、C.C.とロイド、ジェレミアを連れてやってくる。

「朗報?」

 首を傾げるルルーシュに、カリーヌが飛びつく。

「あのね、フレイヤの制作者のニーナ、だっけ?あの子の説得に成功したわよ!ロイドが説得してて、その場にいたミレイ・アッシュフォードとえーと、青い髪の・・・。」

「リヴァル、ですか?カリーヌ殿下。」

「そう。今、枢木卿が言った人も味方してくれるってことになったの!!」

 カリーヌが嬉しそうに破顔する。それを聞いたルルーシュはホッと息をついた。

「そうか・・・ニーナだけじゃなくて、会長とリヴァルも。」

 目を細め、ルルーシュはカリーヌの頭を撫でた。

「・・・知らせてくれて、ありがとう、カリーヌ。」

「んふふ~。」

「陛下ぁ~・・・説得したのは、僕~~~。」

 恨めしげに言ってくるロイドに苦笑しつつ、ルルーシュは声をかける。

「ロイドにも感謝してるよ。ありがとう。」

「あっはぁ~。ど~いたしましてぇえw」

 声をかければ途端に上機嫌になるのだから、現金なものだ。そんなロイドに皆が苦笑をうかべる中、セシルから入電の連絡が入る。

「・・・誰からだ?」

『皇族専用チャンネルの回線にですので・・・恐らくは・・・。』

「シュナイゼル兄上か。・・・つないでくれ。」

『イエス・ユア・マジェスティ。』

 セシルの姿が画面から消え、代わりに、シュナイゼルの顔が画面に映る。その背後には黒の騎士団のメンバーが映っていて、その予想通りの行動に、ルルーシュは頭を抱えたくなった。

『やぁ、ルルーシュ。簒奪した皇帝の椅子の座り心地はどうだい?』

「初っ端から厭味ですか。・・・相変わらず性格悪いですね、兄上。」

 ルルーシュが切り返すと、シュナイゼルはクツリと笑った。

『ギアスなんて異能の力に頼って、他人を支配することも、性格が悪いと思うのだけれどね。』

「・・・まぁ、そうですね。しかし、単純に支配する為に使った事などありませんけど。」

『ほう、今の地位は、自力で得た、と?』

「いいえ?・・・殆ど、オデュッセウス兄上のおかげですよ。他の兄弟達や大貴族達に話をしてくれたのも兄上ですし。」

『ギアスで操ったんじゃないのか?』

 後ろで、扇が呻いている。どうにもこの男は被害妄想が強いらしい。

「はぁ・・・ギアスで何でも出来ると思ってるなら、大間違いだ。」

「そうよ!被害妄想も甚だしいわ。・・・自分達は被害者だ!みたいな顔して、最悪!!」

 画面に入らないようにしていたカレンが、扇の言葉にカチンと来たらしく、青筋を立てて扇を睨みつけながら噛みついた。

『カレン!?・・・お前もギアスで・・・。』

「操られてるわけないじゃない!ふざけないでよ!これは私の意思。ルルーシュは私を巻き込むつもりなんてこれっぽっちも無かったんだから!!私が勝手にルルーシュの所に押し掛けたの。彼のせいにばかりしないで!!」

 扇に対しての敬意などとうに無くなった。その上、ルルーシュばかりを責める扇に酷く腹が立つ。

「カレン、落ち着け。」

「これで、どうやって落ち着けって言うわけ!?」

「はぁ・・・スザク。」

 完全ブチ切れモードのカレンを落ち着かせる為、スザクを手招く。

「連れてけば良い?」

「ああ。あっちの方にな?頼む。」

「放せぇ!!スザクぅぅぅ!」

 ひょこ、と顔を出したスザクは、暴れるカレンをひょい、と抱えて部屋のむこうに連れて行く。

『・・・スザクまで?』

 厳しい表情をうかべたのは神楽耶だ。敵対していたはずなのに、と呟く。

「ああ、神楽耶様はちょうど良かった。エリア11の解放の件ですが、言葉だけだと行き違いもあるでしょうから、近く文書をそちらに送ります。」

『え・・・あ、は、はい。』

 呆気に取られつつも頷く神楽耶に、ルルーシュは微笑みを向ける。

「神楽耶様が優秀で助かります。きっと、どのエリアよりも混乱は少なくて済むと思います。エリア10は酷かった。途中、中華連邦の領土になったりしているので、混乱が酷くて、なかなか話がまとまらなかったんですよ。」
 ニコニコと続けるルルーシュに、神楽耶はすっかり毒気を抜かれてしまって、はぁ、とかええ、とか曖昧に頷くばかり。

『・・・ルルーシュ。ユフィのことはどう説明をするつもりだ?』

 痺れを切らしたのか、今度は画面の中にコーネリアが映り込む。

「・・・そうですね・・・。」

「あれは事故ですよ、コーネリア。」

『あっ・・・姉上!?』

「まったく、シュナイゼルに良い様に使われて。ブリタニアの魔女の名が泣きますよ?」

 いきなり出てきたギネヴィアに、コーネリアは混乱してしまう。

『ど、どうして・・・。』

「私はルルーシュから全てを聞いていますから。ユーフェミアのことも。あれは完全に事故です。ルルーシュが望んであのようなギアスをユーフェミアにかけるわけがないでしょう?少し考えればわかるでしょうに。・・・カリーヌ、貴女も言いたいことがあるのでしょ?」

 言うだけ言って、ギネヴィアはカリーヌを画面の前に押し出す。

「ちょっと、ナナリーいるんでしょ?!いるのはわかってるんだから!!」

『・・・カリーヌ、姉様。』

 す、とナナリーが画面に映るように移動してくる。それを見て、ルルーシュは一瞬、眉を顰める。それに気づいたカリーヌはナナリーを睨みつけた。

「ルルーシュ兄様の一番傍にいたくせに、ただ守られてただけなのね。ルルーシュ兄様に甘えるだけ甘えて、守ってもらって、それで、今更、独り立ちしましたって言うつもり?あのねぇ、ルルーシュ兄様がどんな思いで母国に反逆していたと思ってんの!?貴女の為でもあるし、そこにいる、日本人の為でもあったのよ!?それなのに、貴女は兄様がゼロだって気づかなかったし、そこの日本人は兄様を放逐したって言うし、カレンが怒るのも当たり前よ!!」

『・・・では、ギアスで人を操るのは、罪ではないとでも?』

 ナナリーがカリーヌに言えば、カリーヌは柳眉を逆立てた。

「貴女ねぇ!まだわかってないの!?罪だって兄様は認めてるじゃない!だから、一生をかけて償うって言ってるのよ!頭下げてればイイってものじゃないから、エリア解放を始めとして、ギアスで不幸にしてしまった人の分、ううん、それ以上の人を救う為の方法を考えて、実行しようとしているの!!大体ねぇ、兄様を非難してる暇があるんだったら、福祉活動でもしたらどうなの!?トウキョウ租界がフレイヤで爆破された後だって、貴女、シュナイゼル兄様と一緒に姿を消して、何の対策もしなかったじゃないの!!一応あの時点では、貴方が総督でしょ!?」

 カリーヌの言葉は厳しい。カリーヌは昔からナナリーを毛嫌いしていたから、ここぞとばかりに言いたい放題に言っているのだろう。そこまで言わなくても、とルルーシュは思うのだが、口を出すことはしない。ナナリーに言い返されてしまった時、冷静に返す自信が無かったからだ。

『そ・・・れは・・・。』

「ふん!自分だって権力を笠に着て、他人を支配してきたんじゃない。違うなんて言わせないわよ!私達は皇族なの。そこにいるってだけで、他人を平伏せさせることが出来る立場なの。ギアスと何ら違いなんてないわよ!それを自覚してしっかりと責任を持った上でふんぞり返ってるのと、全く自覚無しのまま、私は皆さんの味方です―なんて顔して良い子ぶってんのと、どっちが質悪いのかしらねぇ!?」

 カリーヌの口が止まらない。だんだんとナナリーの顔が青ざめていくのを見て、ルルーシュは思わずカリーヌの服の裾をちょん、と引っ張る。

「・・・カリーヌ。」

「ルルーシュ兄様は甘い!ダメ!」

「・・・ぅ。」

 断言されてしまって、ルルーシュは二の句を告げなくなってしまう。

「・・・はいはい、カリーヌはそこまで。」

 ポン、と穏やかな声とともに肩に触れられて、カリーヌはビクゥっと震える。

「お・・・オデュッセウス兄様;」

「私にも、言わせて貰わないとねぇ・・・?」

 ニコニコと笑う長兄に、カリーヌやギネヴィアはさり気無く距離をとる。ルルーシュ自身も、目の前の画面に黒の騎士団やシュナイゼル達やらがいなかったら、オデュッセウスから離れたい気分だ。

 ちなみに、C.C.もロイドもジェレミアもいつの間にかルルーシュとオデュッセウスから離れて遠巻きにこちらを見つめている。

「シュナイゼル?」

 ゴゴゴ、と効果音が鳴りそうなほどの威圧感は、画面の向こうにも伝わったらしい。

『これはこれは、兄上。お久しぶりです。』

 シュナイゼルの笑みが一瞬引き攣る。

「ああ、久しぶりだねぇ。・・・ところで、シュナイゼル?私の言いたいことはわかってるよねぇ?」

『さて、何のことでしょう?』

「言わないとわからないかい?・・・私はねぇ、怒ってるんだよ?ルルーシュに随分ひどいことをしたよねぇ?・・・黒の騎士団に、自分に都合のいい情報だけ与えて、ルルーシュを放逐させたんだろう?」

『・・・都合のいい情報と言いますが、あの時、黒の騎士団に提示したものが、私の知る全てでしたよ?』

「ははは。おかしいなぁ、ルルーシュや枢木卿は、もう少しで協力し合えるという所まで話が進んだ時に邪魔が入ったから、どうやら最初から最後まで2人の会話を聞かれていたらしいって言っていたんだけどねぇ?それに、枢木卿が君に話したのは、ユフィの件とルルーシュのギアスの概要と、父上のギアスのことを少しだけ・・・今挙げた事実の何を話したら、黒の騎士団がルルーシュを放逐するほどに憎むんだろうねぇ?」

 オデュッセウスの言葉に、騎士団の幹部達が動揺する。それを見たルルーシュは目を細め、オデュッセウスと視線を交わす。騎士団の幹部達の反応だけで大体の事情は把握できた。

「事実と予測を織り交ぜれば最強のカードになる。シュナイゼルはそれだけの情報を持っていた。まぁ、そういうことかな?・・・まあ、これだけ確認できれば充分。これ以上過ぎたことを言っても、しょうがないからねぇ。・・・最後に一言だけ。もし、これ以上私達の邪魔をするようなら、其れ相応の対応をするよ。ああ、そうそう、フレイヤは使わない方が良い。君達の首を絞めるだけだし、対フレイヤの技術の用意もできているからね?」

『・・・!』

 オデュッセウスの言葉に、今度こそ、シュナイゼルの余裕の表情が崩れた。

「さて、話は以上かな?・・・ルルーシュはとても忙しいし、私達も忙しい。この世界を優しい世界にする為には、いろんなことを同時にやらないと、いつまで経っても終わらないからねぇ。・・・これで、失礼させてもらうよ?」

 ブツッと通信を切ると、オデュッセウスは晴れ晴れとした表情を見せた。

「・・・ふ、シュナイゼルの最後の表情見たかい?スカッとしたねぇ。」

「・・・あ、兄上、ご機嫌ですね;」

 上機嫌なのはどうやらシュナイゼルを言い負かしたことが余程嬉しかったかららしい。

「ははは。皆も、ちょっとは気が晴れただろう?」

 そりゃもう!と全員が頷く。が、

「私はまだ言い足りないです!!」

 スザクに抑えられていたカレンが呻くように言う。

「うんうん。カレン君にはまた、機会をあげよう。」

「ぜひ、お願いします。」

 がっちりと固い握手を交わす長兄と愛する少女を複雑な思いで見つめつつ、ルルーシュは口元に笑みをうかべた。

「これで、暫くは仕事に専念できるな。」

「ああ。」

「そうだね。」

 C.C.とスザクが頷く。

「・・・“明日”を迎える為に。」

「「「「“明日”を迎える為に。」」」」

 ルルーシュの言葉をその場にいた全員が複唱する。





 滅多に自分のことでわがままを言わないルルーシュ。

 そんなルルーシュが、生きて、優しい世界での明日を迎えることを願った。その願いを叶える為ならば、なんだってしよう。それが、この場にいる全員の誓い。

 その願いが叶った時、ルルーシュの心の底からの笑顔が見れることを信じて・・・。


 おしまい


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