Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・長編朝ルルの設定ですがR2仕様なので、話は繋がりませんw
・ルルちゃんにすべてが都合よく進みます
・京都・卜部・仙波のメインキャラは死にません。
・もちろん、省吾さんも!!!
・行政特区虐殺事件は起きてます。
・京都&ナナは全力でルルをバックアップしてます
・シリアス&ギャグ
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
中華連邦領事館
助け出した黒の騎士団の視線は、正体の知れる前の不信感たっぷりなものと同じだった。なんとなく察していたルルーシュは、ちらり、と脇に控えていたC.C.に視線を向けた。
C.C.は悲痛な表情をうかべて首を横に振る。黒の騎士団は、ブリタニアに捕らわれたときに記憶を改変されてしまったようだった。
「(どこまで・・・?)」
ルルーシュはマスクの下で眉を顰めた。
「・・・ねぇ、ゼロ。」
冷たい視線のままの朝比奈に、ルルーシュはわかっていても胸が痛くなる。
「・・・・・・なんだ?」
「ルルーシュ君は・・・どこ?」
「・・・ああ、そういうことか。」
「は?」
ルルーシュが納得の声を思わずあげると、朝比奈が首を傾げた。
「いや、こっちの話だ。・・・ルルーシュは無事だ。アッシュフォード学園に戻っている。」
「・・・そう、ルルーシュ君のことは守ってくれたんだ。」
「だが・・・ナナリーは間に合わなかった。」
ゼロの声に後悔の色がにじむ。そのことで、朝比奈の視線が和らいだ。
「・・・うん。じゃあ、取り戻さないとね。」
「ああ。」
しっかりと頷いたゼロに、騎士団のメンバーも表情を引き締める。未だに“ルルーシュ”が、黒の騎士団にとって大事な存在であり続けていることだけが、救いだと言えた。
領事館内・ゼロの部屋
「どうするの?・・・このまま、正体を隠し続けるつもり?」
カレンが眉を顰める。
「そうだな・・・でも、今、省吾さん達を混乱させると、ブリタニアに付け込まれるどころか、中華連邦に足元をすくわれかねない・・・。」
「ルルーシュの言う通りだぜ。中華連邦が完全に信用できる相手じゃねぇのはわかりきってることだ。・・・今は、早く神楽耶様達ンとこの本隊と合流する方が先だ。」
ルルーシュの言葉に満身創痍の卜部が頷きながら言う。
卜部は、ルルーシュを監視の目から救い出すための作戦で、謎のナイトメアと戦い、ルルーシュを守るため、自爆をしようとした。が、間一髪のところでC.C.の準備が整い、慌てて卜部をナイトメアからコックピットごとカレンが引っ張り出し、命を失わずに済んだ。
無理矢理コックピットごと引っ張り出されたせいで満身創痍なわけだが、命が助かっただけでもマシ、と言われれば、文句の言いようもない。
「卜部さんはともかく、ルルーシュがそう言うなら・・・。」
「・・・おいおい、紅月・・・最近、おまえさん、俺の評価を下げすぎじゃねぇか?」
「下げすぎなんてそんなことありません!・・・まともな情報は持ってこないし、目玉焼きにメープルシロップなんてかけるし!!」
「いや、メープルシロップは関係ない・・・。」
「とにかく!・・・卜部さんの情報はまともじゃないです。・・・よくまぁ、軍人なんてやってこれましたね。」
「・・・う。」
自覚があるらしい卜部は言葉を詰まらせ、困ったように笑ってルルーシュに視線を向けた。
「ずっとこの調子なんだぜ?参るよなぁ・・・。」
「・・・卜部さん、目玉焼きにメープルシロップかけるんですか・・・。」
それに対してのルルーシュの視線は呆れたもの。卜部はガクッと肩を落とし、味覚は人それぞれだろ~、とぼやいた。
翌日・アッシュフォード学園・クラブハウス
「・・・はぁ。」
「・・・ど、どうした・・・の?」
ビクビクと怯えた様子のロロに、ルルーシュは目を細めた。
「なんでもないよ、ロロ。」
陥落させておいてなんだが、こんな調子では、周りに勘付かれてしまうのではないかと不安になる。
「そ、そう・・・なら、いい、んだけど。」
「そろそろ行かないと遅れてしまうな、ロロ、行くぞ。」
「う、うん。」
慌てて鞄を持ったロロを見やり、軽く溜息をついたルルーシュは、クラブハウスを出て、教室へと向かった。
教室
転入生だという“彼”に、ルルーシュは仰天していた。よくもまぁ、こうやって平然と目の前に立ってくれたものだと憤る。
「・・・・・・久しぶりだな、スザク。」
「懐かしいよ、ルルーシュ。」
腹の探り合い。表面上だけの笑顔。すっかり変わってしまったお互いに、ルルーシュは苦笑をうかべそうになる。
「スザク~~~!ひっさしぶり~~~!!!」
ガバッと抱きついたリヴァルに、スザクは笑顔で応じている。
今までのことを考えても、ミレイやリヴァルも記憶操作を受けていることはわかっていたが、今の行動で、黒の騎士団よりも徹底して書き換えられているのだと理解する。
「(黒の騎士団は、どこまで俺のことを知っていたのか、皇帝もわからなかったんだろうな。)」
だから、ゼロの正体という限定的な書き換えになった。学園の生徒達の総入れ替えや、ミレイ達への記憶操作が徹底していたのは、ルルーシュが監視されているのを気づかれないためなのだろう。
「一緒に昼飯食おうぜ!!」
リヴァルの誘いに乗ったスザクから情報を引き出すいいチャンスだと、ルルーシュもその誘いに乗る。
「で?ゼロの正体って、結局誰だったんだよ?」
「・・・あ~・・・え~と。」
「どこかの国の王子様!・・・とか?」
「死んだクロヴィス殿下って噂もあったよなぁ。」
シャーリーやリヴァルの問いに、スザクは返答に窮して、苦笑を洩らす。
「え~と、ごめん。」
「スザク、良いじゃないか、ちょっとくらい。」
ルルーシュが言えば、スザクは微妙な表情をうかべた。
「うん・・・でも・・・軍の機密だから・・・~~~っっぅ!!」
ガタっと立ち上がったスザクの手には・・・
「「「アーサー!!?」」」
「うっそ、連れて来てたの!?」
「・・・スザク、お前ってやつは・・・本当に猫が好きなんだな。」
仰天する生徒会役員達と、クツクツと笑うルルーシュ、それを見やって、スザクはあいまいな笑みをうかべた。
数日後・スザクの歓迎イベント終了後
「・・・スザク?」
「あぁ・・・ルルーシュ。」
屋上に上れば、スザクがいて。ルルーシュは軽く眉を顰めた。
「主役がこんなところにいてもいいのか?」
「あんまり賑やかなのもちょっとね・・・。」
静かに言葉を交わし合う。互いに腸が煮え繰り返るような思いを抱えていながらも、仮面を被り続ける。
「・・・僕は、ナイト・オブ・ワンになって、エリア11を貰うつもりだ。」
「間接統治か?」
「それは・・・これからいらっしゃるエリア11の総督に。」
スザクがそう言って携帯を取り出す。
「もしもし、枢木です・・・ええ、今、目の前に。」
二言三言言葉を交わし、携帯をルルーシュに差し出す。それを戸惑った表情で受け取り、ルルーシュはスピーカー部分を耳にあてる。
「もしもし。」
『もしもしっ!お兄様!!・・・お兄様ですよね!?私です!ナナリーです!!』
「っ!?」
ギョッとして、息をのむ。ナナリーは目が見えない。つまりは、ギアスにかかることはない。だから、おそらく、相当心配させてしまったに違いない。
『お兄様、なのですよね?・・・そうなのなら、いいえ、と答えて下さい。』
「いいえ・・・あの、人違いでは?」
ナナリーの意図していることに気付いたルルーシュはそれに乗ってやることにした。
『お兄様、そのままお聞きになっていてください。私もそれほど動けるわけではありませんが、お兄様よりは自由に動けます。』
「・・・あ、ええ。はい。」
ルルーシュはおずおずといった様子で頷く。
『スザクさんは、私がお兄様がゼロだと知っていることを知りません。お父様もです。』
「はい。」
『それを逆手に取ったわけではありませんが、私も出来ることをしようと思って。エリア11の総督を志願しました。』
「・・・そうだったんですか。じゃあ・・・。」
『はい。事実上、敵味方に分かれてはしまいますが、日本の方達のことは私に任せて下さい。決して悪いようにはしません。・・・今日、本国を発ちます。明後日にはエリア11近くの太平洋上をアヴァロンで。・・・その時に、お会いしたいです。』
「・・・はい。」
ナナリーの言葉に、ルルーシュは困ったような表情をうかべて頷いた。スザクには皇族と話す一般人の対応に見えたことだろう。
『では、スザクさんに代わっていただけますか?』
「・・・・・・イエス、ユア・ハイネス。」
穏やかな笑みをうかべて、ルルーシュはそう口にし、スザクに携帯を戻す。
ナナリーで己を揺さぶろうとしたのだろうが、それは逆に裏目に出た。ナナリーの居場所を、そして、連絡手段を見つけさせてくれたのだから。
「(感謝するよ、スザク・・・ナナリーと話をさせてくれて。)」
背を向けるスザクに、ニヤリと笑う。
屋上の入り口付近でいつでも対応できるように待機していたロロも、スザクがルルーシュに携帯を戻された瞬間に、屋上から姿を消していた。
「ごめん、ルルーシュ。驚かせてしまったみたいだね。」
しれっと言ったスザクに、こちらもしれっと言う。
「いや?なんだか、最初、お兄様と呼ばれてしまってびっくりしたよ。でも、すぐに人違いと気付かれたようだったから。・・・もう、こういうのは、勘弁してもらいたいな。」
クス、と笑ってスザクの肩を軽く叩く。
「ほら、行こう、スザク。」
「ああ・・・そうだね。」
未だに訝しげなスザクの視線を背中に受けつつ、ルルーシュは目を細めた。
「(さぁ・・・踊れ、俺の手の上で。)」
数日後・太平洋上
「目的は、総督ただ一人、傷はつけるなよ?」
「「「「承知!!」」」」
作戦は単純明快。とにかくナナリーの奪還を目的としていた。が、その実、ナナリーはおそらくその場に残るだろうと察していた。
“日本の方達は私に任せて下さい”
そのナナリーの言葉の意味はよく理解していた。監視の厳しいエリア11を逃げ出せと言っているのだ。自分のことは構うな、と。
「ナナリー・・・それでも、俺は。」
ぽつりと呟いたルルーシュの肩を、卜部がポン、と叩く。
「俺も出る。総督がナナリーだということは、幹部達には話しといた。」
「・・・はい。気をつけて下さい。・・・絶対に、無理だけは。」
「わかってるよ。・・・お前もな、ルルーシュ。」
こくりと頷き、ルルーシュは微笑む。
「ルルーシュ、とりあえず、私が時間を稼ぐけど・・・本隊と太平洋上で合流するまでは安心できないから・・・。」
「わかってるよ、カレン。」
カレンの言葉に頷き、ルルーシュは立ち上がった。
「・・・さて、作戦開始だ。」
アヴァロン内庭園
「・・・お兄様。」
祈るようにナナリーは呟き、外の喧騒から隔離されたその場所で兄を待っていた。
シュッという軽い音とともに、誰かが入ってくる気配がする。足音に耳を澄ませ、ナナリーは前を向いた。
「ナナリー。」
変声機を通しているせいかいつもと違う声にナナリーは戸惑うが、その名を呼ぶ声のトーンは聞き慣れたそれで。
「お兄様・・・ようやく、お会いできた・・・。」
胸の前でギュッと手を握る。
「・・・ナナリー、俺も・・・会いたかった。」
1年間の空白。ルルーシュが記憶を改変されている間も、この妹は、ブリタニアの皇宮の中でたった1人、戦ってきたのだろう。
そう思ったら、胸が詰まる思いだった。
「お兄様、もう、それ程、時間はありません。ですから、一言だけ。・・・私は、行政特区日本を行うと宣言します。お父様やシュナイゼル兄様には許可を頂いていませんが、総督権限で出来るところまで政策を進めるつもりです。」
「ナナリー、あれは・・・。」
「わかっています。ユフィ姉様のように本国に太いパイプがなければ無理なことも・・・。これは、1つのパフォーマンスです。私は、日本の方に友好的に接したい、という、意思表示です。・・・だから、失敗しても良いのです。それで、日本の方に不利な事象が起きないようにしますから。」
ナナリーの意思はすでに固まっているようだった。それに、ルルーシュの言わんとしていることをよく理解している。
だから、ルルーシュは苦笑をうかべ、それから、1つ、思いついたことを実行しようとする。そうすれば、少なくとも、スザクの監視は学園から黒の騎士団へと移る。
「ナナリー・・・その特区・・・どうせ失敗することが前提ならば・・・お前に大きな責が行かないようにすることができるかもしれない。」
「・・・お兄様?」
「・・・黒の騎士団に呼びかけてくれ。・・・特区に参加するように、と。」
兄の考えが読み切れなかったナナリーは、コトリと首を傾げ、それから、頷く。
「お兄様がそう仰るのなら、ナナリーはそれに従います。」
「ナナリー・・・。」
ルルーシュがナナリーに触れようと近づいた時、庭園の天井が大きな音を立てて崩れた。
『ナナリー!!』
それは、ランスロットーーースザクだった。ルルーシュは忌々しげにそれを見上げ、ナナリーに視線を移す。ナナリーは一瞬、ルルーシュに微笑みを向け、すぐさま叫んだ。
「スザクさぁ~んッッ!!」
それは、スザクに助けを求めるようにその場に響き、ルルーシュはギョッとする。
『ナナリー!ごめん・・・怖い思いをさせたね。』
スザクの柔らかな声。歯軋りをしながらその声を聞いていたルルーシュは、不意に、ランスロットが飛ぶその風圧に飛ばされた。
「・・・っ・・・ナナリィィィイイッッ!!!」
叫びは風に紛れる。が、ハッとナナリーが声の方へと顔を向けた。
「(・・・お兄様・・・どうか、ご無事で!)」
ナナリーの祈りが届いたのか、あわや、海面と激突かと思われたが、カレンに救われ、ルルーシュはホッと息をつく。
「・・・カレン・・・被害と負傷者は?」
「ナイトメアが数機やられたわ。・・・一般隊員に負傷者が何人か。幹部には負傷者無し。とりあえず、みんな無事よ。」
「・・・そうか・・・良かった。」
フッと目を細める。
「ナナリーは・・・。」
「救えなかったんじゃない・・・あの子が残ると選択したんだ・・・。」
ルルーシュの言葉には、ほんの少しの寂しさと、頼もしくなった実妹への賞賛が入り混じっていた。
翌日、エリア11へと赴任したナナリーは、特区の宣言と共に、黒の騎士団へと語りかける。
「どうか、私の手を取って下さい。・・・きっと、やり直せるはずです。」
その中継を見ていた騎士団の面々は微妙な表情をうかべた。
「どうすんだよ・・・ナナリーがこれじゃ・・・。」
「ルルーシュ君、どんな思いで、これを見てるんだろう・・・。」
玉城や朝比奈が呟く。それに対して、卜部がニヤリと笑う。
「ゼロが言うには、これは作戦の1つらしいぜ。・・・大丈夫、ゼロがちゃあんと考えるさ。」
ゼロへの信頼度を強めているような卜部に、皆が不思議そうな視線を向ける。その視線を受け、卜部は苦笑をうかべる。
「(早く思い出せよ。・・・ルルーシュは・・・お前らが思い出すのを待ってる。)」
この情勢で騎士団内が混乱するのはまずい。だから、思い出すまで待とう。それがルルーシュの結論だった。
記憶改変のギアスがどのくらいの間、効力を発するのかわからない。それに、どんなきっかけで戻るとも限らない。
殴って戻るなら、全員の頭を殴ってやりたい気分だった卜部だが、さすがにルルーシュが止めるので我慢している。
「・・・さて、これからだぜぇ?」
ニヤリと笑った卜部のやり場のない怒気を感じ、その場の全員が肌を粟立てたのだった。
続く
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・長編朝ルルの設定ですがR2仕様なので、話は繋がりませんw
・ルルちゃんにすべてが都合よく進みます
・京都・卜部・仙波のメインキャラは死にません。
・もちろん、省吾さんも!!!
・行政特区虐殺事件は起きてます。
・京都&ナナは全力でルルをバックアップしてます
・シリアス&ギャグ
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
中華連邦領事館
助け出した黒の騎士団の視線は、正体の知れる前の不信感たっぷりなものと同じだった。なんとなく察していたルルーシュは、ちらり、と脇に控えていたC.C.に視線を向けた。
C.C.は悲痛な表情をうかべて首を横に振る。黒の騎士団は、ブリタニアに捕らわれたときに記憶を改変されてしまったようだった。
「(どこまで・・・?)」
ルルーシュはマスクの下で眉を顰めた。
「・・・ねぇ、ゼロ。」
冷たい視線のままの朝比奈に、ルルーシュはわかっていても胸が痛くなる。
「・・・・・・なんだ?」
「ルルーシュ君は・・・どこ?」
「・・・ああ、そういうことか。」
「は?」
ルルーシュが納得の声を思わずあげると、朝比奈が首を傾げた。
「いや、こっちの話だ。・・・ルルーシュは無事だ。アッシュフォード学園に戻っている。」
「・・・そう、ルルーシュ君のことは守ってくれたんだ。」
「だが・・・ナナリーは間に合わなかった。」
ゼロの声に後悔の色がにじむ。そのことで、朝比奈の視線が和らいだ。
「・・・うん。じゃあ、取り戻さないとね。」
「ああ。」
しっかりと頷いたゼロに、騎士団のメンバーも表情を引き締める。未だに“ルルーシュ”が、黒の騎士団にとって大事な存在であり続けていることだけが、救いだと言えた。
領事館内・ゼロの部屋
「どうするの?・・・このまま、正体を隠し続けるつもり?」
カレンが眉を顰める。
「そうだな・・・でも、今、省吾さん達を混乱させると、ブリタニアに付け込まれるどころか、中華連邦に足元をすくわれかねない・・・。」
「ルルーシュの言う通りだぜ。中華連邦が完全に信用できる相手じゃねぇのはわかりきってることだ。・・・今は、早く神楽耶様達ンとこの本隊と合流する方が先だ。」
ルルーシュの言葉に満身創痍の卜部が頷きながら言う。
卜部は、ルルーシュを監視の目から救い出すための作戦で、謎のナイトメアと戦い、ルルーシュを守るため、自爆をしようとした。が、間一髪のところでC.C.の準備が整い、慌てて卜部をナイトメアからコックピットごとカレンが引っ張り出し、命を失わずに済んだ。
無理矢理コックピットごと引っ張り出されたせいで満身創痍なわけだが、命が助かっただけでもマシ、と言われれば、文句の言いようもない。
「卜部さんはともかく、ルルーシュがそう言うなら・・・。」
「・・・おいおい、紅月・・・最近、おまえさん、俺の評価を下げすぎじゃねぇか?」
「下げすぎなんてそんなことありません!・・・まともな情報は持ってこないし、目玉焼きにメープルシロップなんてかけるし!!」
「いや、メープルシロップは関係ない・・・。」
「とにかく!・・・卜部さんの情報はまともじゃないです。・・・よくまぁ、軍人なんてやってこれましたね。」
「・・・う。」
自覚があるらしい卜部は言葉を詰まらせ、困ったように笑ってルルーシュに視線を向けた。
「ずっとこの調子なんだぜ?参るよなぁ・・・。」
「・・・卜部さん、目玉焼きにメープルシロップかけるんですか・・・。」
それに対してのルルーシュの視線は呆れたもの。卜部はガクッと肩を落とし、味覚は人それぞれだろ~、とぼやいた。
翌日・アッシュフォード学園・クラブハウス
「・・・はぁ。」
「・・・ど、どうした・・・の?」
ビクビクと怯えた様子のロロに、ルルーシュは目を細めた。
「なんでもないよ、ロロ。」
陥落させておいてなんだが、こんな調子では、周りに勘付かれてしまうのではないかと不安になる。
「そ、そう・・・なら、いい、んだけど。」
「そろそろ行かないと遅れてしまうな、ロロ、行くぞ。」
「う、うん。」
慌てて鞄を持ったロロを見やり、軽く溜息をついたルルーシュは、クラブハウスを出て、教室へと向かった。
教室
転入生だという“彼”に、ルルーシュは仰天していた。よくもまぁ、こうやって平然と目の前に立ってくれたものだと憤る。
「・・・・・・久しぶりだな、スザク。」
「懐かしいよ、ルルーシュ。」
腹の探り合い。表面上だけの笑顔。すっかり変わってしまったお互いに、ルルーシュは苦笑をうかべそうになる。
「スザク~~~!ひっさしぶり~~~!!!」
ガバッと抱きついたリヴァルに、スザクは笑顔で応じている。
今までのことを考えても、ミレイやリヴァルも記憶操作を受けていることはわかっていたが、今の行動で、黒の騎士団よりも徹底して書き換えられているのだと理解する。
「(黒の騎士団は、どこまで俺のことを知っていたのか、皇帝もわからなかったんだろうな。)」
だから、ゼロの正体という限定的な書き換えになった。学園の生徒達の総入れ替えや、ミレイ達への記憶操作が徹底していたのは、ルルーシュが監視されているのを気づかれないためなのだろう。
「一緒に昼飯食おうぜ!!」
リヴァルの誘いに乗ったスザクから情報を引き出すいいチャンスだと、ルルーシュもその誘いに乗る。
「で?ゼロの正体って、結局誰だったんだよ?」
「・・・あ~・・・え~と。」
「どこかの国の王子様!・・・とか?」
「死んだクロヴィス殿下って噂もあったよなぁ。」
シャーリーやリヴァルの問いに、スザクは返答に窮して、苦笑を洩らす。
「え~と、ごめん。」
「スザク、良いじゃないか、ちょっとくらい。」
ルルーシュが言えば、スザクは微妙な表情をうかべた。
「うん・・・でも・・・軍の機密だから・・・~~~っっぅ!!」
ガタっと立ち上がったスザクの手には・・・
「「「アーサー!!?」」」
「うっそ、連れて来てたの!?」
「・・・スザク、お前ってやつは・・・本当に猫が好きなんだな。」
仰天する生徒会役員達と、クツクツと笑うルルーシュ、それを見やって、スザクはあいまいな笑みをうかべた。
数日後・スザクの歓迎イベント終了後
「・・・スザク?」
「あぁ・・・ルルーシュ。」
屋上に上れば、スザクがいて。ルルーシュは軽く眉を顰めた。
「主役がこんなところにいてもいいのか?」
「あんまり賑やかなのもちょっとね・・・。」
静かに言葉を交わし合う。互いに腸が煮え繰り返るような思いを抱えていながらも、仮面を被り続ける。
「・・・僕は、ナイト・オブ・ワンになって、エリア11を貰うつもりだ。」
「間接統治か?」
「それは・・・これからいらっしゃるエリア11の総督に。」
スザクがそう言って携帯を取り出す。
「もしもし、枢木です・・・ええ、今、目の前に。」
二言三言言葉を交わし、携帯をルルーシュに差し出す。それを戸惑った表情で受け取り、ルルーシュはスピーカー部分を耳にあてる。
「もしもし。」
『もしもしっ!お兄様!!・・・お兄様ですよね!?私です!ナナリーです!!』
「っ!?」
ギョッとして、息をのむ。ナナリーは目が見えない。つまりは、ギアスにかかることはない。だから、おそらく、相当心配させてしまったに違いない。
『お兄様、なのですよね?・・・そうなのなら、いいえ、と答えて下さい。』
「いいえ・・・あの、人違いでは?」
ナナリーの意図していることに気付いたルルーシュはそれに乗ってやることにした。
『お兄様、そのままお聞きになっていてください。私もそれほど動けるわけではありませんが、お兄様よりは自由に動けます。』
「・・・あ、ええ。はい。」
ルルーシュはおずおずといった様子で頷く。
『スザクさんは、私がお兄様がゼロだと知っていることを知りません。お父様もです。』
「はい。」
『それを逆手に取ったわけではありませんが、私も出来ることをしようと思って。エリア11の総督を志願しました。』
「・・・そうだったんですか。じゃあ・・・。」
『はい。事実上、敵味方に分かれてはしまいますが、日本の方達のことは私に任せて下さい。決して悪いようにはしません。・・・今日、本国を発ちます。明後日にはエリア11近くの太平洋上をアヴァロンで。・・・その時に、お会いしたいです。』
「・・・はい。」
ナナリーの言葉に、ルルーシュは困ったような表情をうかべて頷いた。スザクには皇族と話す一般人の対応に見えたことだろう。
『では、スザクさんに代わっていただけますか?』
「・・・・・・イエス、ユア・ハイネス。」
穏やかな笑みをうかべて、ルルーシュはそう口にし、スザクに携帯を戻す。
ナナリーで己を揺さぶろうとしたのだろうが、それは逆に裏目に出た。ナナリーの居場所を、そして、連絡手段を見つけさせてくれたのだから。
「(感謝するよ、スザク・・・ナナリーと話をさせてくれて。)」
背を向けるスザクに、ニヤリと笑う。
屋上の入り口付近でいつでも対応できるように待機していたロロも、スザクがルルーシュに携帯を戻された瞬間に、屋上から姿を消していた。
「ごめん、ルルーシュ。驚かせてしまったみたいだね。」
しれっと言ったスザクに、こちらもしれっと言う。
「いや?なんだか、最初、お兄様と呼ばれてしまってびっくりしたよ。でも、すぐに人違いと気付かれたようだったから。・・・もう、こういうのは、勘弁してもらいたいな。」
クス、と笑ってスザクの肩を軽く叩く。
「ほら、行こう、スザク。」
「ああ・・・そうだね。」
未だに訝しげなスザクの視線を背中に受けつつ、ルルーシュは目を細めた。
「(さぁ・・・踊れ、俺の手の上で。)」
数日後・太平洋上
「目的は、総督ただ一人、傷はつけるなよ?」
「「「「承知!!」」」」
作戦は単純明快。とにかくナナリーの奪還を目的としていた。が、その実、ナナリーはおそらくその場に残るだろうと察していた。
“日本の方達は私に任せて下さい”
そのナナリーの言葉の意味はよく理解していた。監視の厳しいエリア11を逃げ出せと言っているのだ。自分のことは構うな、と。
「ナナリー・・・それでも、俺は。」
ぽつりと呟いたルルーシュの肩を、卜部がポン、と叩く。
「俺も出る。総督がナナリーだということは、幹部達には話しといた。」
「・・・はい。気をつけて下さい。・・・絶対に、無理だけは。」
「わかってるよ。・・・お前もな、ルルーシュ。」
こくりと頷き、ルルーシュは微笑む。
「ルルーシュ、とりあえず、私が時間を稼ぐけど・・・本隊と太平洋上で合流するまでは安心できないから・・・。」
「わかってるよ、カレン。」
カレンの言葉に頷き、ルルーシュは立ち上がった。
「・・・さて、作戦開始だ。」
アヴァロン内庭園
「・・・お兄様。」
祈るようにナナリーは呟き、外の喧騒から隔離されたその場所で兄を待っていた。
シュッという軽い音とともに、誰かが入ってくる気配がする。足音に耳を澄ませ、ナナリーは前を向いた。
「ナナリー。」
変声機を通しているせいかいつもと違う声にナナリーは戸惑うが、その名を呼ぶ声のトーンは聞き慣れたそれで。
「お兄様・・・ようやく、お会いできた・・・。」
胸の前でギュッと手を握る。
「・・・ナナリー、俺も・・・会いたかった。」
1年間の空白。ルルーシュが記憶を改変されている間も、この妹は、ブリタニアの皇宮の中でたった1人、戦ってきたのだろう。
そう思ったら、胸が詰まる思いだった。
「お兄様、もう、それ程、時間はありません。ですから、一言だけ。・・・私は、行政特区日本を行うと宣言します。お父様やシュナイゼル兄様には許可を頂いていませんが、総督権限で出来るところまで政策を進めるつもりです。」
「ナナリー、あれは・・・。」
「わかっています。ユフィ姉様のように本国に太いパイプがなければ無理なことも・・・。これは、1つのパフォーマンスです。私は、日本の方に友好的に接したい、という、意思表示です。・・・だから、失敗しても良いのです。それで、日本の方に不利な事象が起きないようにしますから。」
ナナリーの意思はすでに固まっているようだった。それに、ルルーシュの言わんとしていることをよく理解している。
だから、ルルーシュは苦笑をうかべ、それから、1つ、思いついたことを実行しようとする。そうすれば、少なくとも、スザクの監視は学園から黒の騎士団へと移る。
「ナナリー・・・その特区・・・どうせ失敗することが前提ならば・・・お前に大きな責が行かないようにすることができるかもしれない。」
「・・・お兄様?」
「・・・黒の騎士団に呼びかけてくれ。・・・特区に参加するように、と。」
兄の考えが読み切れなかったナナリーは、コトリと首を傾げ、それから、頷く。
「お兄様がそう仰るのなら、ナナリーはそれに従います。」
「ナナリー・・・。」
ルルーシュがナナリーに触れようと近づいた時、庭園の天井が大きな音を立てて崩れた。
『ナナリー!!』
それは、ランスロットーーースザクだった。ルルーシュは忌々しげにそれを見上げ、ナナリーに視線を移す。ナナリーは一瞬、ルルーシュに微笑みを向け、すぐさま叫んだ。
「スザクさぁ~んッッ!!」
それは、スザクに助けを求めるようにその場に響き、ルルーシュはギョッとする。
『ナナリー!ごめん・・・怖い思いをさせたね。』
スザクの柔らかな声。歯軋りをしながらその声を聞いていたルルーシュは、不意に、ランスロットが飛ぶその風圧に飛ばされた。
「・・・っ・・・ナナリィィィイイッッ!!!」
叫びは風に紛れる。が、ハッとナナリーが声の方へと顔を向けた。
「(・・・お兄様・・・どうか、ご無事で!)」
ナナリーの祈りが届いたのか、あわや、海面と激突かと思われたが、カレンに救われ、ルルーシュはホッと息をつく。
「・・・カレン・・・被害と負傷者は?」
「ナイトメアが数機やられたわ。・・・一般隊員に負傷者が何人か。幹部には負傷者無し。とりあえず、みんな無事よ。」
「・・・そうか・・・良かった。」
フッと目を細める。
「ナナリーは・・・。」
「救えなかったんじゃない・・・あの子が残ると選択したんだ・・・。」
ルルーシュの言葉には、ほんの少しの寂しさと、頼もしくなった実妹への賞賛が入り混じっていた。
翌日、エリア11へと赴任したナナリーは、特区の宣言と共に、黒の騎士団へと語りかける。
「どうか、私の手を取って下さい。・・・きっと、やり直せるはずです。」
その中継を見ていた騎士団の面々は微妙な表情をうかべた。
「どうすんだよ・・・ナナリーがこれじゃ・・・。」
「ルルーシュ君、どんな思いで、これを見てるんだろう・・・。」
玉城や朝比奈が呟く。それに対して、卜部がニヤリと笑う。
「ゼロが言うには、これは作戦の1つらしいぜ。・・・大丈夫、ゼロがちゃあんと考えるさ。」
ゼロへの信頼度を強めているような卜部に、皆が不思議そうな視線を向ける。その視線を受け、卜部は苦笑をうかべる。
「(早く思い出せよ。・・・ルルーシュは・・・お前らが思い出すのを待ってる。)」
この情勢で騎士団内が混乱するのはまずい。だから、思い出すまで待とう。それがルルーシュの結論だった。
記憶改変のギアスがどのくらいの間、効力を発するのかわからない。それに、どんなきっかけで戻るとも限らない。
殴って戻るなら、全員の頭を殴ってやりたい気分だった卜部だが、さすがにルルーシュが止めるので我慢している。
「・・・さて、これからだぜぇ?」
ニヤリと笑った卜部のやり場のない怒気を感じ、その場の全員が肌を粟立てたのだった。
続く
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