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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・藤ルル
・大人げない藤堂さんがいらっしゃいます
・藤堂・カレンにはゼロ&ギアスバレ済み
・スザク批判有り
・絶賛☆捏造中!!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








 黒の騎士団・幹部達のラウンジ


 きっかけは些細なことだった。と、思う。何の話だったかは今となっては思い出せないが、売り言葉に買い言葉で、玉城がゼロに食って掛かって、そうしたら、珍しい人物から雷が落ちたのだ。

「てめっ・・・えっらそうに!何様のつもり・・・ッ!」

「いい加減にしろっ!!!」

 その場にいた者は、最初、ゼロが怒鳴ったのかと思った。だが、ゼロもびくりと体を跳ねさせたので、違うとすぐにわかった。

 恐る恐る、後ろを振り向いた幹部達は、怒りの形相の声の主・・・藤堂を見て、ギョッとする。

「と、藤堂、さん?」

 びくびくと声をかけたのは、四聖剣の一人である朝比奈。

「お前達こそ、何様のつもりだ!・・・彼に全てを、作戦の様々な計画や準備・・・このアジトでの生活すらも任せきりで!!・・・そもそも、キョウトから支援を取り付けたのは誰だ!?・・・ゼロだろう!自分達では何も出来ぬくせに、反抗ばかりして、恥ずかしいと思わないかっ!」

 怒り心頭、とはこの事とばかりに、藤堂の言葉の激しさは増すばかり。

「彼は責任を果たしたうえで我々の上に立っているのだ。ただ単にふんぞり返って命じているわけではないことくらい、見ていればわかるだろう!!・・・お前達も幹部だと言うのなら、それなりの仕事をして見せろ。もう、俺は、いい加減、腹に据え兼ねているんだ。今日丸一日、ゼロがやっている仕事を全てお前達でやってみれば良い。・・・その間、ゼロには一切、手出しをさせない。」

 そこで一旦言葉を切り、藤堂はゼロにひた、と視線を向ける。

「ゼロ、君も、良いな?」

 怒った藤堂がこれ程に恐ろしいとは思わず、呆然と次第を見ていたゼロことルルーシュは、自分に話が振られたことで、びくりと体を震わせ、それから、こくりと頷く。

「・・・ああ、構わない。」

「なら、今日の分、君がやろうとしていた仕事を扇に渡せ。」

「あ、ああ。・・・では、少し待っていろ。」

 ゼロが戸惑いながらも応じている様子を見て、幹部達は首をひねる。なんだか、ゼロまで藤堂に怯えているようなのだが、気のせいだろうか。





 しばらくして、ゼロが資料を抱え、ラウンジに戻ってくる。少ないように見えるし、一日分だ。皆で手分けしなくても簡単にこなせるだろう・・・そう思っていた幹部達だが、ゼロからの説明を受けて、唖然としてしまう。

「・・・扇、帳簿はこのCDだ。今日の支出を打ち込んでおいてくれ。それから、こっちの書類は、キョウトに送る経費の計上だ。先月使った分の領収書をまとめて、キョウトに送る。それから、これが前回の出撃の際に出た被害の報告書、これは、ナイトメア・団員・幹部別に分けてまとめる。こっちのCDは各新聞での前回の出撃に対する報道だ。ディートハルトが持ってきたものなんだが、実際の状況との違いを見つけてほしい。新聞には政庁からの正式発表が載っている。ブリタニア側の捉え方を知っておくのは次の作戦に役立つ。・・・あと、今日の分という事だから、ナイトメアの点検報告書をラクシャータから預かって、ディートハルトが来たら、ブリタニアの公式発表についての報告を受けて、次の作戦について打ちあわせを。」

「・・・あ、えと、ああ。」

 すでに説明を受けているだけでパンクモードの扇は、ゼロから資料を受け取る。

「まあ、他にもあるんだが、取り急ぎはそれ位だな。後は今日でなくても良い事だし、適当にやられたら困るものも省いておいた。」

 さりげなく酷い言い様だが、いっぱいいっぱいの幹部達に反論する余地はない。

「・・・では、わかったら取りかかってくれ。・・・これでいいんだろう?藤堂。」

「ああ。これでいい。」

 満足げに頷く藤堂は、四聖剣を振り返る。

「お前達もだ。・・・常々ゼロが理解不能だと言っていたろう?これで少しはゼロの事を理解できるのではないか?」

「「「「・・・・・・・・承知;」」」」

 目が笑っていない藤堂。恐らく、普段の発言を黙って聞いてはいたものの、是とは思っていなかったらしい。ここは逆らわないことが得策。長年の付き合いでわかっているために、四聖剣は肩を落としながら頷く。

「あんたはやんねーのかよ!!」

 そして、玉城が噛みつく。

― ああ、玉城・・・

 幹部達が揃って頭を抱える。

「俺は普段、ゼロの仕事を手伝っている。」

 ぎろり、と藤堂は玉城を睨みつけながら言う。いつの間に、とは全員の思考で。

「それに、手順を知っているから、俺がやると、お前達に回した意味がない。」

 そりゃそうだ。とは四聖剣の思考。

「・・・藤堂・・・。」

 ゼロが呆れたように名を呼ぶのに、藤堂はムスッとする。

「大人げないと言いたいのだろうが、幹部達の方が余程大人げないだろう。こんな子供を捕まえて寄ってたかって・・・。」

「藤堂!!!」

 慌てて、藤堂の言葉に叫びを被せ、発言を控えさせる。さすがに“子供”というフレーズは拙いだろう。

 が、やはり、聞いていた者もいるわけで。

「・・・子供?」

 ほとんどの幹部が藤堂の小言を聞き流す中、四聖剣の4人は神妙になって聞いていたのだ。だから、そのフレーズを聞き逃さなかった。

「・・・中佐、ゼロは子供なのか?というより、中佐はゼロの正体を知って・・・?」

 卜部の呟きに、全員が反応する。

「・・・・・・・・・・藤堂・・・。」

 低いゼロの声に、マズイ、と藤堂が表情をひきつらせる。

「・・・すまん。」

「はぁ、もういい。・・・とにかく、お前達、そろそろ取りかからないと、仕事が終わらないぞ。今日中に終わらせることができたら、1人1つ質問を許してやる。・・・まあ、答えるかはわからないがな。」

 ゼロなりの励ましが入り、幹部達は俄然やる気を出して仕事に取り掛かったのだった。





 ゼロの私室


「・・・すまない。ルルーシュ君。」

 ひたすら頭を下げる藤堂に、仮面を外したルルーシュは、深い溜め息をつく。

「もう、いいですから。・・・子供だという以外バレてないわけですし。」

「しかし・・・。」

 問答をする2人の元にバタバタと1つの足音が響いて、扉が開く。

「「!?」」

 バッとそちらを向いた藤堂とルルーシュの目の前に立っていたのは、黒の騎士団のエースパイロット・紅月カレンだった。

「・・・こ、紅月君。」

「どういう事ですか・・・藤堂さん?」

 凄まじい形相のカレンに、さすがの藤堂も息を呑む。

「そ、それは・・・。」

「藤堂さんは俺の事を心配してくれてたんだよ。・・・だから、そんなに怒るなよ、カレン。」

「ルルーシュ・・・だとしても、子供だって口走るなんて、油断のしすぎです!!」

「・・・すまん・・・。」

 カレンにキツく言われ、しおしおと身体を縮めて藤堂は俯く。

「カレン・・・。」

 ルルーシュが困ったように眉を顰めると、カレンは溜め息をつく。

「ルルーシュは藤堂さんに甘すぎるのよ。もう。・・・そりゃ、ナナリーちゃんに次いで大事な人だっていうのはわかるけど・・・。」

 カレンがゼロの正体を知ったのも藤堂が口走ったキーワードからだった。他の幹部達は全くわからなかったようだが、カレンにとっては、覚えのありすぎるキーワードだったのだ。

『スザク君と戦うのは君にとってはつらい事だろう。だから、俺が・・・。』

 その時の会話の流れとしてはおかしくはなかった。スザクと友人であるという前提を知らない人間には、ただ単に、戦力の問題であると聞こえただろう。だが、カレンはその気遣うような口調で、もしやと思い、問い質し、答えを得た。

今回は子供だという事がはっきりとバレてしまった。今まで反発していた連中が、それで増長しないとは限らないのだ。

「様子を見よう。それで、状況が悪化するようなら・・・ギアスを使う。」

 最終手段だ、と言い添え、ルルーシュは苦笑する。できる事なら、あまりそういった事にギアスを使いたくないというのが、ルルーシュの本音だと知っている2人は、思わず顔を向き合わせ、うん、と1つ頷く。

「貴方にギアスは使わせないようにするわ。(逆らうやつはぶん殴ってでも)絶対にゼロに逆らわせないから。」

「少なくとも、四聖剣の4人は黙らせる。ラクシャータやディートハルトに関しては、子供であるという事はさほど問題無いだろう。旧扇グループの説得(という名の脅し)は、俺と紅月君に任せてくれ。」

 微妙に物騒な言葉が字間に入っていたような気がするが、基本的に2人を信用しているルルーシュは気のせいと判断し、にっこりと笑った。

「・・・ああ。任せた。」





ラウンジ


「・・・ゼロのヤツ、これ、1人でやってんのかよ。」

 げんなりとしながら呟いたのは、玉城。支出と歳入は毎日きちんと記録されていて、新聞やネット配信の情報などもしっかりとまとめられている。諸々を含め、たとえ、1日分でなかったとしても、かなりの量であり、これで更に作戦を練り、戦闘を指揮しているのだ。

「・・・ゼロって、こんなに仕事してたんだな。・・・なのに、文句1つ言わないで・・・。」

 ボソ、と南が呟くと、杉山が頷いて、書類を手にする。

「・・・ゼロも言えばいいのにな。」

「言ったら、手伝うの?」

 キツイ一言が頭上から降ってくる。全員がフッと顔をあげると、鬼の形相のカレンがいた。

「・・・ゼロが1日でやる量を、皆で割り振ってるのに、まだ終わらないの?」

 カレンが怒っている理由は良くわかっている。先ほど、カレンがゼロの自室へ向かう前に怒鳴られたばかりなのだ。

 カレンは、藤堂がゼロを自室へと連れて行ってから間もなく、学校から帰って来て事の次第を聞いた。藤堂の迂闊さにも腹がたったが、それ以上に、幹部達の認識不足に呆れ、ふつふつと湧いてくる怒りをそのままにぶちまけ、ゼロの自室へと向かったわけだ。

「カレン、何も、そんな言い方しなくたって・・・。」

 井上が困ったようにカレンを見つめる。カレンのゼロへの心酔ぶりは、傍で見ていてもわかるが、最近はそれに別の感情も入り混じっているように思えるのだ。“恋心”ではない何か。

「先に酷い言い方をしたのは皆でしょ?・・・ゼロだって、疲れてるのに。私達の倍以上の仕事をしてるんですよ!」

 その一言に、皆が黙り込む。

「・・・少しは反省したようだな。」

 苦笑めいた表情を浮かべ、藤堂がやって来て、カレンの隣に立つ。

「少しは、ですけど。・・・ああっ、もう、まどろっこしい!!このままのんびりやってたら、本来の仕事ができなくて活動に支障が出るじゃない!!」

 カレンは突如叫ぶと、ラウンジに降りて来て、玉城から書類を取り上げる。

「眺めてるだけで仕事が進むなら、誰も苦労しないのよっ!」

 と、PCに打ち込む作業を始める。

「随分慣れてるみたいだけど、カレンもゼロを手伝ったりしてるのか?」

 扇が恐る恐る尋ねると、カレンは縦に首を振る。

「私ができることなんて限られてるけど。・・・でも、それだけで慣れてるわけじゃないわ。学校の方でも生徒会の雑務があるから。ほら、私、病弱設定だから・・・どうしてもデスクワークメインになるのよね。」

 ため息をつきつつも、手は止まらない。

「・・・今日だって、あのエアークラッシャーの相手をしながら仕事してきたんだから・・・。」

「エアークラッシャー・・・?」

 忌々しげに言うカレンに、井上が首を傾げる。

「スザクよ、スザク!・・・白兜のパイロットの枢木スザク!!・・・ったく、あのエアークラッシャー!!ちょっとは空気読めってのよ!!」

「あ、そっか、紅月さん、枢木スザクと同級生なんだよね。」

 ぽん、と手を打ったのは朝比奈。幹部達はああ、と声をあげ、カレンを見つめる。

「ゼロの事を散々に言ってくれて・・・(ルルーシュが止めなかったら)ぶん殴ってでも止めたいけど・・・。」

 ゼロ至上のカレンがよく我慢をしているな、と皆が感心する。

「・・・スザク君・・・なんと、愚かな・・・。ゼロに命を救ってもらっておきながら・・・恥知らずめ。」

 唸るような藤堂の声に、幹部達、特に、四聖剣の4人がギョッとする。

「・・・藤堂さん、また、変なコト口走らないでくださいね。」

 PCの画面から目を離さず、カレンが釘を刺すと、藤堂は慌てて口を塞ぐ。

 そんな様子を生暖かい目で見つめながら、扇が質問を口にする。

「・・・藤堂さんもカレンも、ゼロの正体を知って、どう思ってるんだ?」

「どう思う、か。・・・ゼロが何者であろうと、なそうとしている事は変わらないのだから、俺はゼロに付いて行くだけだ。」

「私もそうね。・・・ただ、ちょっと、今まで以上に守らなきゃっていうのは感じたかも。ほっとくと、そこら辺で行き倒れてそうだし。」

「・・・それは・・・俺も思ったな。」

― 一体ゼロって・・・。

 ますますゼロがわからなくなった幹部一同である。

「・・・で、その、ゼロは?」

 玉城が首を傾げると、カレンもそういえば、と藤堂を見つめる。

「寝不足だったようだ。・・・部屋で休んでいる。」

「・・・あー・・・これ、毎日やってんなら、寝不足にもなるよな・・・。」

 卜部がガシガシと頭をかきながらぼやく。

「それだけじゃないですよ、卜部さん。・・・他にも仕事は山積みなんです。それを、表の生活をこなしながらやってるんですから!」

 幹部達は絶句する。

 それを満足げに見た藤堂とカレンは、これならギアスは必要ないと判断し、幹部達に任せたゼロの仕事を取り上げ、片っ端から片付け始めたのだった。

 もちろん、藤堂とカレンが手伝ったために、1人1つの質問はお預けとなったことは言うまでもない。





 翌日・アッシュフォード学園・生徒会室


 授業を2人してさぼり、ルルーシュとカレンは生徒会室で騎士団での話をしていた。

「・・・そうか。なら、大丈夫そうだな。」

「ええ。・・・最初からこうすれば良かったわ。こういうの、怪我の功名って言うのだったかしら?」

 にこり、と笑ったカレンの表情は晴れやかだった。ルルーシュは本当にうまくいったのだとその笑顔から判断して、ホッと息をつく。

「・・・あまり、使いたくないからな。・・・ギアスは。」

「・・・そうね。本当にいざという時に使いたいものね。」

 ルルーシュはいつもそう言う。だが、敵と判断した者以外に、意思を踏みにじるようなギアスをかけるのを嫌がっているのに、カレンは気付いていた。が、敢えてそう言う事で、天の邪鬼なルルーシュを刺激しないようにする。

「なあ、カレン。」

「なに?」

「・・・俺は、そんなに藤堂さんに甘いかな?」

 擬音で形容するなら、もじもじ、だろうか。ルルーシュに恋する女生徒達が見たらショックを受けること必至な姿をカレンに晒しながら、ルルーシュはボソボソと続ける。

「あまり、意識はしてないんだが、その・・・。」

「(あんまり惚気ないでよー、悲しくなるから!!)・・・はぁ、まあ、皆の前ではうまく平等に接してるんじゃないの?・・・私が言った事なら、気にしなくていいのよ?」

 心の中で嘆きながら、カレンは苦笑する。

「ああ、いや、あの後、C.Cまで同じ事を言い出したものだから・・・。」

「なるほど、C.Cも思ってたってわけね。・・・まあ、いいじゃない。私達の前だけでなら。」

 ルルーシュが気を使うのもおかしい話だ。カレンはただ単に事実を述べただけで、不快に思っているわけではないし、C.Cは例によって例の如く、ルルーシュをからかっているだけだろう。

「そ、そうか?」

「私、結構、藤堂さんに甘えてるルルーシュを見るの好きよ。」

 今まで散々からかってくれた意趣返しと、ほんの少しの嫉妬・・・そして、カレンの本音を織り交ぜて。

「あまっ・・・。」

 顔を真っ赤にして絶句するルルーシュを見て、カレンはクスクスと笑う。

「か、カッレン、からかうなッ・・・!」

 必死になって熱くなった頬を冷まそうと、両手を頬にあてる姿は、なかなかに可愛らしい。

「あらあら~・・・珍しいもの見~ちゃった~♪」

「「!!?」」

 バッと2人が振り返った先にいたのは、いつの間にか生徒会室にいた、生徒会長・ミレイだった。

「か、会長!?・・・い、いつからッ。」

「ん~、ルルちゃんが顔を真っ赤にして“あまっ”って叫んだところから、かしら。・・・一体、何の話~?」

 心の中で悲鳴をあげながらも、ルルーシュがミレイに尋ねると、あっさりと答えられ、更には“うりうり~”と肘でつついてくる。

「・・・み、ミレイ会長・・・その・・・ち、違うんです。」

「あら、なぁに~、私、何にも言ってないけど?」

「あッ・・・。」

 余計な事を口走った事に気づいたカレンは、慌てて口を閉じる。

「うふふ。カレンがルルーシュをからかうなんて、珍しいわね。・・・ルルーシュの反応も珍しく素直だし。」

 ミレイが正直な感想を言えば、ルルーシュとカレンは互いに顔を見合わせる。

「・・・あの、ミレイ会長・・・できれば、黙ってて頂きたいんですけど。」

「いいわよ。」

「・・・そうですよね、その、でも、スザクとかには・・・って、いいんですか!?」

 あっさりと了承の言葉を放ったミレイに、つらつらと、せめてスザクにだけでも黙っていてもらおうと言葉を続けようとして、カレンはギョッとしてミレイをまじまじと見つめる。

「ちょっと、そこ驚くトコ?・・・まあ、ルルちゃんがこんなに素直に感情表現してるトコなんて、最近見なかったし・・・みんなに黙っててほしいっていうのも、理由があるんでしょう?」

 すこしムッとしながら、ミレイは肩を竦める。

「ねえ、ルルちゃん。」

「・・・すみません、会長。理由はいずれ。・・・カレン、頼むから、学校でそのネタはもうやめてくれ。」

「・・・わかったわ。ルルーシュ。」

 そこまで言って、カレンはハタ、と止まる。ギギギ、と音がしそうなほどぎこちない動きでミレイに顔を向ける。

「・・・わ、私、今・・・思いっきり、素でした、よね?」

「・・・あはは。だいじょーぶっ、みんな、ルルちゃんの猫かぶりに慣れてて、カレンが猫かぶってるのなんてお見通しだから♪」

 何のフォローにもなってないミレイの言葉に、カレンはがっくりと肩を落とした。

「私の苦労って・・・。」

「バレてるのは、生徒会のメンバーくらいだろうから、平気よ。・・・それにしたって、ルルちゃんがここまで他人と近しく接するのは珍しいわね。2人、付き合ってたりするの?」

「「「「ええっ!?」」」」

「「ち、違います!!」」

 新たな闖入者の声がハモり、ルルーシュとカレンの声もハモる。

「り、リヴァル、スザク・・・。」

「シャーリー、ニーナ・・・。」

 気まずげにする2人に、ますます疑惑は深まる。

「カレン、ルルとは付き合ってないって・・・。」

 シャーリーがぽつりと言う。父親が死んでショックを受けているところに、追いうちのようなこの事実は相当堪えたのだろう、顔が真っ青になっている。

「・・・違うの、シャーリー。誤解よ。私とルルーシュ君は付き合ってなんかないわ。」

 ね、と話を振られ、事実でもあるので、ルルーシュは深く頷く。

「ああ。ちょっとした事で、カレンさんと意気投合してしまって・・・それを会長に見られただけなんだが・・・どうして、そこから付き合ってるっていう事になるのか。」

 最後には呆れた風にミレイを見やる。

「あはは~。ごめんごめん。つい、からかいたくなっちゃって。」

 シャーリーの様子にマズイと思ったのか、ミレイも慌てて先ほどの言動を否定するように謝る。

「・・・ちょっとした事?」

 ニーナが首を傾げる。ルルーシュとカレンが仲が悪いと思っていただけに、かなり驚いたようだが、何もここでつっこまなくても、とカレンが眉根を寄せる。

「それは・・・。」

「ナイトメアだよ。ナイトメアフレーム。」

 さらっとルルーシュが言ってのける。意気投合したと言った時から、この理由は考えていたようだった。ナイトメアフレームの事なら、カレンも興味が無いとは言わない。自分の機体である紅蓮弐式をこよなく大切にしているのだから。

「へぇ~、お嬢様のカレンでも、ナイトメアフレームに興味があるんだ?」

 リヴァルが面白そうに言うと、カレンは困ったように笑って、こくりと頷く。

「ええ。・・・だって、カッコいいでしょう?」

 これは素直な感想だから、すんなりと口にできる。お嬢様が言うのにふさわしいかどうかは別としても、仲が悪いと思われていた(実際正体を知る前は仲が悪かった)ルルーシュと意気投合するくらいだから、これくらい言っても大丈夫だと踏む。

「カレンさんって、そういうのに興味が無いと思ってから、意外だな。・・・今度、特派を見学できるように上司に言ってみようか?」

 いきなりのスザクの発言に、ぴしり、とカレンが固まる。

「・・・スザク・・・おまえなぁ・・・。」

 リヴァルが呆れて頭を振る。

「え・・・?あれ?僕、なんか、変な事言った・・・?」

「スザク、いくらなんでも、軍の研究室でもある場所に、民間人を入れるのはマズイだろう。それに、カレンさんは、名門シュタットフェルトのお嬢様だ。何かあったら、問題になるぞ。」

 民間人であるリヴァルやルルーシュに呆れられ、スザクはあ、と今更ながらに思い当たり、そうだった。と呟く。どうも最近、忘れているようだが、特派は第2皇子シュナイゼルの直属の部隊であり、そうそう簡単に情報開示できるものでは無いはずなのだ。

「・・・す、スザク君の気持ちは、う、嬉しいけど・・・。そういうわけだし、遠慮しておくわ。(って、つっこまれる前に、気づきなさいよッ!思わず固まっちゃったじゃない!!)」

 表面上はおしとやかに。だが、キリキリと痛む胃を押さえつつ、カレンは皆の見えないところでグッと手を握りしめた。

「・・・さて、疑いも晴れた事だし、お仕事お仕事ッ!」

 パンパン、と手を叩き、ミレイが言う。

「お仕事・・・?」

 カレンが首を傾げ、ルルーシュがゲッという顔をする。

「・・・なんで、皆がここに来るんだと思ったら・・・そういう事ですか、会長。」

「・・・お、おほほほほ。・・・さぁ、諸君!溜まりに溜まったこの書類を、皆で片付けるわよ~!!」

 ミレイの言葉に、皆がげんなりと肩を落とし、仕方無しに、それぞれ割り振られた仕事をこなしたのだった。





 黒の騎士団・幹部達のラウンジ


「あ~~~~もう!不覚だわ!!」

 学校から帰ってきたカレンはイライラとし通しだった。昨日の続きで機嫌が悪いのかと思っている幹部達は、それを遠巻きに見つめている。

「・・・紅月君、どうしたんだ?」

 1人、昨日の事で憤っているわけではないとわかっている藤堂が、そのわけを訊ねる。

「・・・あ、私、口に出してました?」

 慌てて問うカレンに、気づいていなかったのか、と藤堂は嘆息する。

「ああ。かなり大声で、な。」

「・・・私、変なコト口走ってませんでした?」

「いや、俺が聞いていた限りでは、大丈夫だと思うが。」

 暗に、ゼロの正体がばれるようなことを口走っていないかと確認したカレンに、藤堂は首を振る。

「そう、ですか。」

「それで、何かあったのか?・・・やはり、その、スザク君関連か?」

「私が他の誰に憤るんですか。」

 カレンはがっくりと肩を落とす。それを見た幹部達は、機嫌が悪い理由が自分達では無い事を知って、わらわらと藤堂とカレンの周りに寄ってくる。

「今度は何なんだぁ?・・・枢木の奴、よくもまぁ、ピンポイントでカレンを怒らせるもんだなぁ。」

 玉城が呆れると、他の面子もうんうん、と頷く。

「今日、る、っと、同級生の男の子と話をしてたら、付き合ってるのかって誤解されて・・・それで、ナイトメアフレームの事で話が盛り上がってたんだって言ったら、スザクが、特派を見学しないかって。」

「へぇ、話に乗って、スパイしてくりゃよかったじゃねーか。」

 玉城が言えば、カレンはギロっと睨みつける。

「馬鹿言わないでよ!敵陣のど真ん中にたった1人で放り込まれて、何を調べられるっていうの!?しかも、名門貴族の令嬢で、病弱設定なのよ!おしとやかにしないと拙いの!」

 それもそうだ、と思いつつも、幹部達はひくり、と口元を歪める。

― カレンがおしとやかッ!!!

 あり得ない設定にしたカレンに、思わず笑いがこみあげてくる。

「ぶっ・・・あっはははははは!!!なんだそれ!!おしとやかって、おしとやかっ・・・あはははは!!」

 玉城が噴き出して笑いだし、皆も思わずつられてしまい、肩を震わせる。

「し、失礼ね!!何で笑うのよ!!こら!!玉城っ!!」

「だ、だって・・・くくく、カレンが、おしとやかっ!」

「~~~~っ///・・・まだ言うか!!」

 羞恥で真っ赤に染まった頬のまま、カレンは玉城を追いかける。

 その時、ラウンジの扉が開き、後ろばかりを気にしていた玉城が中に入ってきた人物に気づかず、そのまま激突する。

 ドタッ・・・ガンッ

 痛そうな音に、皆が首を竦める。

「・・・ってぇ~・・・わり、だいじょう・・・ぶって・・・ゼロぉ!?」

 衝突した人物に玉城が仰天する。まさか、ゼロに激突したとは。これは、かなりネチネチと叱られるに違いない。と玉城が顔を青ざめさせると同時に、傍を風が通り過ぎる。

「・・・!?」

 全員が目を丸くする中、風を起こした人物、藤堂は、慌ててゼロを抱き上げる。

「・・・っ!・・・藤堂!何を・・・。」

 転んだ拍子に頭を軽く打ったものの、仮面でいくらか衝撃が和らいだため、助かったと心の内でぼやいていたルルーシュは、突然藤堂に抱きかかえられ(いわゆるお姫様だっこ)、ギョッとする。

「何を、では無い。頭を打ったのだろう。すぐに冷やさねば。」

「いや、大丈夫だっ・・・抱きかかえられるほどでは無い!おろせ、藤堂っ!」

「嫌だ。」

「嫌だって・・・。」

 ルルーシュは思わず言葉が紡げなくなる。この人は本当に大人だろうかと思う。この場の雰囲気を感じていれば、即座にルルーシュを降ろすはずだ。間違いなく、幹部達は奇異な目で自分達を見ている。カレンはおろおろとするばかりだ。

「・・・ひ、1人で歩ける。だから・・・。」

「頭部打撲を甘く見てはいけない!軽く打ったのだとしても、変な場所に傷が付いていれば、大変な事になるんだぞ!!」

「・・・いや、だから・・・。」

 火に油を注いでしまったらしい。ルルーシュは自分の失言を知り、何とかならないものかと幹部達に視線を向けるが、仮面の男が抱きかかえられているというシュールな光景に固まっていて、どうにかするような気配はない。

 四聖剣に至っては、直属の上司である藤堂がこのような行動に出るとは思わず、ショックを受けているようだった。

「・・・ち、中佐・・・その、あの・・・いや、心配なのはわかったが、その・・・。それは、ちょっと、どうかと思うんだが・・・。」

 一番早く立ち直った卜部が、しどろもどろになりながらも、ゼロ(ルルーシュ)を抱きかかえる藤堂に話しかける。

「彼は、俺達にとって大事な身だろう!万が一の事があればどうする。・・・誰が指揮を執るんだ。指揮を執ること、それが最も大変な事だというのに、それにっ!」

 これが一番大事なのだと言わんばかりの藤堂の様子に、皆が何を言うのかと息を呑む。

「この綺麗な顔に傷がついていたら、大変だろうが!!!」

 ぎゅう。

 しっかりとゼロを抱きしめてしまった藤堂に、皆が完全に意識を飛ばす。

 カレンは中身を知っているからこそ、その光景に耐えられるが、傍から見れば、異様にしか映らない。なにせ、ガタイの良い藤堂が、痩せているとはいえどこからどう見ても男(しかも仮面付き)のゼロを抱きしめているのだから、もう、何とも言えない。

「・・・と、藤堂ッ・・・勘弁してくれないか///」

 ゼロが発したとは思えないほどのか細い声が、フリーズしていた幹部達の意識を呼び戻す。

「・・・もう、この際、抱きかかえたままでいいから・・・頼むから・・・これ以上は・・・。」

 懇願するように言われた藤堂は、しょうがないと溜め息をつき、それでも大人しく抱きかかえられているルルーシュに満足し、いそいそとルルーシュの自室へと連れて行ってしまった。





 残された幹部達は、呆然とそれを見送り、しばらくして、それぞれがぽつりと呟く。

「・・・ゼロって、顔、綺麗なんだ・・・。」

「藤堂さんの態度って・・・ゼロが子供だからってだけじゃない気がする・・・。」

「あんな中佐は初めて見た・・・。」

「ゼロが大人しく抱きかかえられるって・・・。」

「あんなゼロは・・・。」

「か・・・カオスだ!!」

「へぇ~・・・♪」

「なあ、カレン・・・。」

 扇がくるりと振り返って、同様に呆然としていたカレンに声をかける。

 その意を酌み取ったカレンはぎくりとし、後退る。

「「「「「「藤堂さん(中佐)とゼロって、どういう関係!?」」」」」」

 全員の問いがハモり、カレンはどう説明したものかと頭を抱える。

「・・・知りたいか?」

 そこに現れたのは、救世主かそれとも混乱を深める魔女か。

「C.C!ちょっとっ!!」

 カレンはマズイと顔を青ざめさせる。このままでは、そっくりそのままC.Cが説明してしまいそうな気がしたのだ。

「・・・ふっ、あいつらの関係は・・・今、お前達が考えているような爛(ただ)れた関係では無い。甘えることを知らない子供と、その子供にどうやってでも甘えさせようとする超過保護な保護者という関係だ。(今は、な。)」

「「「「「「?????」」」」」」

 全員の頭にはてなマークが浮かび、カレンはさらに頭を抱えた。

「余計に混乱させて、どうすんのよー!!!」





 こうして、ルルーシュと藤堂の関係は微妙に幹部達に誤解されたまま、なんとなく認識されたのだった。


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