Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・朝ゼロ
・桐原+仔ルル
・朝比奈に名前+顔バレ
・絶賛☆捏造中!!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
暗がりの部屋で、老人と少年が向かい合っている。
「悔しいか?・・・それとも、憎いか?」
唐突に、老人がゆっくりと問いかける。
「・・・憎い。」
少年が短く答えると、相手は喉の奥でくつくつと笑った。
「そうか・・・もし、長じてもなお、その気持ちが薄れぬ時は、ワシを頼れ。・・・おぬしが修羅の道を行くのなら、この京都六家の桐原、惜しむことなく力を貸そうぞ?」
それは、旗頭に使われるということと同義なのかもしれない。けれども、少年・ルルーシュには、類まれなる頭脳があった。旗頭に使われる以上のことを成し遂げるだけの自信があった。
ルルーシュはブリタニア人らしからぬスムーズな動きで頭を下げた。
「・・・その時は、よろしくお願いします。」
7年後、黒の騎士団の幹部達と共に訪れたとある場所。そこで、ルルーシュは桐原と顔を突き合わせた。
多くを語る必要は無かった。ルルーシュの顔を見た瞬間、桐原はどことなく嬉しそうな表情をうかべ、“修羅の道を行くか”と呟いた。
幹部達がブツブツと文句を言う中、2人きりで話がしたいとの桐原の言葉に、ルルーシュは応じた。最初はSPも部屋の中までついて来るような様子を見せていたが、桐原の一喝で、部屋の外に追い出されている。
「さて、もう一度、顔を見せてくれ。遠目ではよく見えなかったのでな?」
向かい合って座る桐原が、笑みをうかべる。はっきりとルルーシュであることを認識していたくせに、よく見えなかったと口にするその狸っぷりは昔と全く変わらないと苦笑し、ルルーシュは仮面を外す。
「ご無沙汰しております。桐原さん。」
「ああ、7年ぶり、か。・・・枢木の息子を救った時から、もしやとは思っておったが、本当におぬしだったとはな。・・・なぜ、すぐにワシに連絡を寄越さなかった?」
少し不満げな様子を見せる桐原に、ルルーシュは軽く肩を竦めた。
「・・・多少、名が売れていなければ、キョウトは動かないでしょう?たとえ、貴方が信用できる、と言っても。」
「ふむ。そうだな。・・・そうそう、神楽耶様も随分と喜んでおられた。ブリタニアに下ったとはいえ、従兄である枢木の息子に濡れ衣を被せられては、心中穏やかではなかったのであろう。」
「神楽耶・・・皇コンツェルンの当主ですね。」
「そうだ。会ったことは・・・なかった、か。」
「ええ。ありませんね。・・・あの時、顔を合わせたのは、枢木首相とスザク、そして、貴方と・・・後は、枢木の使用人、近所の子供や店の人間くらいですから。」
思い返しながら、ルルーシュは苦み走った表情をうかべた。
「・・・嫌な思いをさせたの。」
その表情を見た桐原が、気遣わしげに言うと、ルルーシュは目を軽く見開く。
「貴方からそんなことを言われるなんて・・・。いえ、当時の情勢では、あれは当然の反応でしょう。しょうがありません。」
「そう言ってくれるか。・・・今は、アッシュフォードに身を寄せているのだったな?」
「ええ。貴方がアッシュフォードと取引をして下さったおかげで、本国に帰らずに済みました。」
「おぬしを殺せと煩く言ってくる不愉快な連中に、引き渡そうとは思わなかったのでな。・・・ワシが相手にしないでおいたら、彼奴ら、枢木の方にまでコンタクトを取っておった。ああいう連中は信用がならんから、取引はしないことにしておる。」
「それが賢明ですよ。ブリタニアの貴族の多くが人を人とも思わぬ考えの持ち主ですから。・・・まあ、偶にアッシュフォードのような変わり者もいますけど。」
「くく、そうさの。・・・どれ、この爺が、小遣いをやろう。」
「・・・は?」
肩を震わせながら笑う桐原が、スッと一枚のカードを取り出す。一瞬“小遣い”という言葉に固まったルルーシュは、差し出されたカードを見て、ギョッとする。
「あ、あの・・・桐原、さん?」
「ワシ名義ではない。・・・おぬしの名で作っておるからな。」
「・・・ちょ、ちょっと待って下さい!!」
「なんだ?」
心底慌てた様子のルルーシュを面白げに見つめながら、桐原は首を傾げる。
「な、なんで、俺名義・・・っていうか、なんですか、このカード!!」
「いずれ、おぬしがワシを頼って来るだろうと思ってな、7年間、コツコツと貯めておった。」
「な・・・。」
立ち上がったまま、ルルーシュは絶句してしまう。してやったりの表情をうかべた桐原は、その手に無理やりカードを握らせる。
「ワシの顔をたてなさい。・・・これは、おぬしのための金じゃ。・・・騎士団に使うも良し、妹姫のために何かを買うのも良し、おぬしの好きなように使え。・・・通帳の方は、ワシが管理しておく。常に金が限度額まで入っている状態にしておくからの。」
「・・・げ、限度額って・・・。」
思わず呻いたルルーシュに、桐原は笑みを返す。
「惜しむことなく、と言ったろう?・・・金は時に、大きな力となるぞ。おぬしは充分に知っていると思うがな。・・・そうだ、まずは騎士団の基地を作ったらどうじゃ?トレーラなどでは、プライバシーも無いだろう?・・・それでは困るのではないのか?」
桐原の言うことも尤もで、ルルーシュはこくりと頷く。
「ならば、そうしなさい。・・・公的にキョウトから送る金とは別物だから、騎士団での細々とした歳出にあてるのも良いじゃろうて。」
「・・・何から何まで・・・。お世話になります。」
なんの裏も無い好意を簡単に信じられない生活を送ってきたルルーシュだが、今回ばかりは桐原の好意と捉えることにする。だから、素直に頭をさげ、カードを受け取った。
「老い先短い爺が、金をたくさん持っていたってしょうがないからの。せいぜい、有効に使っておくれ。」
ルルーシュが素直に受け取ったことに満足した様子で、桐原は笑みをうかべた。
「・・・というわけで、この基地を作って、俺とC.C.の部屋までの通路を迷路状にしたんだ。」
基地を作った経緯と、桐原との関係を簡潔に説明した“ゼロ”の前で、朝比奈はまぬけにも、口をあんぐりと開けたまま呆然としてしまっていた。
「まさに、鴨がネギを背負って鍋に入って食べて下さいと待っていたようなものだな。・・・最初、こいつから聞いた時、さすがの私もお前のような反応をしてしまったよ。」
呆れたような、感心したような、そんな口調でC.C.が言い、深い溜め息をつく。
「・・・あ・・・あはは、桐原翁って・・・そういう人、だったっけ?」
ようやく我に返った朝比奈が首を傾げると、“ゼロ”は、ふるふると首を振った。
「いや・・・7年前は、そんなタイプではなかったんだが・・・。」
「・・・っていうか、それってさ、開戦前の話?」
朝比奈が訊ねると、“ゼロ”は一瞬黙り込んでから、小さく頷く。
「ああ。・・・開戦前に、留学生としてこちらに来ていたからな。」
「へぇ、留学生・・・それで、枢木家にいたの?なんか、どっかで聞いた話だね。」
そういえば、藤堂もこの一件には関わっていたな、と思いだし、ルルーシュは仮面の下で渋面を作った。
「藤堂には言うなよ・・・。」
「・・・言えば、藤堂さんは君の正体に気付くわけだ。」
あっさりと言われて、ルルーシュは溜め息をつく。
「可能性としてはあるだろうな。直接会ってはいないが、関わりはある。」
「まあ、あの頃、藤堂さんは桐原翁の配下として動いてたからねぇ。・・・わかった。言わない。」
朝比奈が頷くと、ルルーシュは肩を竦める。
朝比奈に気を許して以降、しばらく経つが、ルルーシュは未だに朝比奈の前で仮面を取り外したことは無い。それは、信頼していないというわけでは無く、ただ単に恥ずかしいだけなのだが、朝比奈は律儀に信頼してもらえるまで待つと言ってくれている。
C.C.と桐原以外が知ることの無い素顔を見た時、朝比奈はどんな反応を示すのかどうしてもルルーシュには読めない。朝比奈の発言が予想できないのは元からだが、最近は特にそれが激しくなったように思う。
「素直に言ってしまえば良いものを。」
C.C.がニヤニヤと笑いながら言う。うっと詰まったルルーシュに、朝比奈が首を傾げる。
「え~・・・何?何を?」
焦ったようにルルーシュとC.C.を交互に見る朝比奈に、意地の悪い表情をうかべ、C.Cが耳打ちをする。
「あいつが、お前の前で仮面を取らない理由を教えてやろうか?」
「えっ、ホント!?」
「C.C.!!」
ルルーシュは慌ててC.C.の腕を引き、朝比奈から引き剥がす。
「何だ、やきもちか?」
「~~~っ、違う!!」
ニヤニヤと笑うC.C.に、ルルーシュは唸る。
「なんか、疎外感感じるなぁ・・・。」
そんな2人を見やって、朝比奈が呟く。
「朝比奈・・・。」
ルルーシュはその朝比奈の落ちこんだ様子を見て、思わず“お兄ちゃん魂”が発動して、その頭を撫でてしまう。
「///・・・あ、えっと・・・ぜ、ゼロ?」
朝比奈が顔を真っ赤にして、ルルーシュを見つめる。
「ルルーシュ。」
「・・・へ?・・・あ・・・名前?」
「ああ。俺の名前は、ルルーシュだ。」
返ってきた答えに、朝比奈は笑みをうかべる。
「また、君のことが知れた。・・・それって、少しずつ信頼してもらえてるってことだよね?」
「そうじゃなくて・・・いや、そうなんだが・・・。」
何と言って良いのかわからないで、取り留めもなく呟くルルーシュに、朝比奈は首を傾げる。
「ルルーシュ?」
「・・・もう、とっくに・・・俺は、お前のことは信頼してる。・・・仮面を取らないのは・・・。」
「・・・まったく、まだるっこしいっ!」
そんなやり取りをイライラと見ていたC.C.が、とうとうキレてルルーシュの仮面に手を伸ばす。
「・・・!?」
「あ。」
カラン、という乾いた音とともに仮面が床に落ち、その仮面を視線で追い、朝比奈はそこから、その仮面の持ち主の方へ視線を向ける。
同じように仮面を視線で追っていたルルーシュは、朝比奈の視線を受けた瞬間、真っ赤な顔をして、口元を手で押さえた。
「~~~~~っ!!!」
「うっわ~・・・すっごい美人。」
ほーっと嘆息した朝比奈は、まじまじとルルーシュを見つめる。その遠慮のない視線に、ルルーシュは居心地が悪そうに身じろぎする。
「・・・あ、あんまり、じろじろ見ないでくれ・・・は、恥ずかしいから///」
「///・・・か、可愛い~~~!!!」
スッと逸らされた視線と、恥じらったようなその表情に、朝比奈は思いっきり悶えた後、ルルーシュに抱きついた。
「ほわぁぁっ!?」
「悲鳴も可愛い!!」
「お、俺は男だ!!」
「全然オッケー!!ストライクど真ん中!!愛に性別は関係ないって~~vV 」
朝比奈にぎゅうっと抱きしめられ、その暖かさにルルーシュは思わず涙ぐんでしまう。
「・・・認めてしまえ、ルルーシュ。どうせ、もう、朝比奈にオチてるんだろう?」
ニヤニヤとC.C.が言えば、ホント!?と朝比奈が目を輝かせる。“どうやら朝比奈のこの目に弱いらしい”と、どこか冷静に分析しつつ、ルルーシュはがっくりと肩を落とした。
「・・・ううう・・・。け、健全な、関係なら・・・別に、恋人でも・・・良い。」
折れたルルーシュに、朝比奈は狂喜乱舞し、C.C.は一生童貞決定だな、と呟いた。
数日後、黒の騎士団の基地に、桐原がやってくる。その形相に、一般団員達は勿論、幹部達も震え上がってしまう。
「・・・ゼロはおるか。」
問われて、ラウンジの奥にいた“ゼロ”に、一斉に幹部達の視線が向いた。
「・・・桐原公、どうしたのですか?随分と不機嫌なご様子だが。」
内心首を傾げながらも、堂々と応対したルルーシュは、桐原の答えを待つ。
「おぬし・・・こっ・・・。」
“こっ”と言ったまま、うつむいてふるふると震える桐原に、思わずルルーシュは心配になって近寄る。
「・・・桐原公?」
「ワシに黙って、恋人なんぞ、作ったのか!!?」
ガバっと顔をあげた桐原の言葉に、幹部達はびしり、と固まる。
「・・・だ、誰が、そのようなことを・・・。」
思わずどもったルルーシュに、桐原は確信を得て、未だ固まる藤堂と四聖剣の元へと足を向ける。
「藤堂・・・。」
ごごご、という音が聞こえるのではないかというくらいにおどろおどろしい調子で名を呼ばれ、藤堂は肝を冷やす。
「何でしょうか、桐原翁・・・。」
「おぬし、もうちょっと、部下の行動に気を配ったらどうじゃ!?おかげで、ワシの秘蔵っ子が、おぬしの部下の毒牙にかかってしまったではないか!!あやつを預けた先の者とも、絶対に悪い虫がつかぬようにと取引したというに!どうしてくれる!!」
「「「「「・・・え・・・ええええええええっ!?」」」」」
幹部達が一斉に声をあげる。つまりそれは、なにか?四聖剣の誰かが、ゼロの恋人になったってことか?それって、紅一点の千葉か!?などと憶測が飛び交う中、平然とした表情で桐原に言い返した奴がいた。
「藤堂さんを責めるのはお門違いですって・・・っていうか、俺、悪い虫じゃないですから。」
「・・・ワシの秘蔵っ子に手を出しただけで、充分悪い虫じゃ!!」
「秘蔵っ子っていうのは良いですけど、“ワシの”ってつけるの止めてくれません?ゼロは“俺の”恋人なんで。」
売り言葉に買い言葉。延々と続く厭味の応酬に、幹部達は、とうとう、ゼロと朝比奈の関係を受け入れざるを得なくなってしまっていた。
すんなり認める発言をしまくっている朝比奈に、藤堂と他の四聖剣が呆然とし、ショックを受けたカレンがぶっ倒れ、収まりそうにない騒ぎに扇が遠くを見る。
そんな中、ルルーシュは仮面の下で真っ赤に顔を染め、ウルウルと目を潤ませて、この恥辱に耐えていた。
「“ワシの”秘蔵っ子に、よもや、触れる以上のことはしていまいな!?」
「“俺の”恋人ですから?どんな関係でも、桐原翁にどうこう言われる筋合いは無いと思いますけど~?」
睨みあう2人の発言がだんだん怪しい方向に進んでいくのを感じて、C.C.がマントをクイっと引っ張る。
「おい、そろそろ、止めた方が良いぞ・・・雲行きが怪しい・・・。」
「まさか、すでにふしだらな関係になったのではあるまいな!!そんなこと、ワシは許さんぞ!!絶対に許さん!!!」
「はっ!・・・そんなの、当人同士の問題でしょ!?桐原翁には関係ないね!」
もう敬語すら使ってない有様の朝比奈の認めるような発言に、幹部達の視線が黙りっぱなしのゼロに向けられる。
しばらく視線を集めていたゼロだが、突如、プルプルと震え始め、そして、つかつかと朝比奈と桐原の元に行き、大声で叫んだ。
「いい加減にしろ――――っっ!!まったくもって、俺とこいつは健全な関係だぁぁぁぁぁッ!!!」
生暖かい視線を向けられて、恋人ということを否定し忘れたことに気づいたルルーシュが慌てて否定するものの時すでに遅し。
その後、黒の騎士団内で、ゼロと朝比奈が恋人同士、という情報が駆け巡り、桐原がまるで監視とばかりにちょくちょく顔を出しに来るようになったとかならなかったとか・・・。
長編目次に戻る→
・朝ゼロ
・桐原+仔ルル
・朝比奈に名前+顔バレ
・絶賛☆捏造中!!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
暗がりの部屋で、老人と少年が向かい合っている。
「悔しいか?・・・それとも、憎いか?」
唐突に、老人がゆっくりと問いかける。
「・・・憎い。」
少年が短く答えると、相手は喉の奥でくつくつと笑った。
「そうか・・・もし、長じてもなお、その気持ちが薄れぬ時は、ワシを頼れ。・・・おぬしが修羅の道を行くのなら、この京都六家の桐原、惜しむことなく力を貸そうぞ?」
それは、旗頭に使われるということと同義なのかもしれない。けれども、少年・ルルーシュには、類まれなる頭脳があった。旗頭に使われる以上のことを成し遂げるだけの自信があった。
ルルーシュはブリタニア人らしからぬスムーズな動きで頭を下げた。
「・・・その時は、よろしくお願いします。」
7年後、黒の騎士団の幹部達と共に訪れたとある場所。そこで、ルルーシュは桐原と顔を突き合わせた。
多くを語る必要は無かった。ルルーシュの顔を見た瞬間、桐原はどことなく嬉しそうな表情をうかべ、“修羅の道を行くか”と呟いた。
幹部達がブツブツと文句を言う中、2人きりで話がしたいとの桐原の言葉に、ルルーシュは応じた。最初はSPも部屋の中までついて来るような様子を見せていたが、桐原の一喝で、部屋の外に追い出されている。
「さて、もう一度、顔を見せてくれ。遠目ではよく見えなかったのでな?」
向かい合って座る桐原が、笑みをうかべる。はっきりとルルーシュであることを認識していたくせに、よく見えなかったと口にするその狸っぷりは昔と全く変わらないと苦笑し、ルルーシュは仮面を外す。
「ご無沙汰しております。桐原さん。」
「ああ、7年ぶり、か。・・・枢木の息子を救った時から、もしやとは思っておったが、本当におぬしだったとはな。・・・なぜ、すぐにワシに連絡を寄越さなかった?」
少し不満げな様子を見せる桐原に、ルルーシュは軽く肩を竦めた。
「・・・多少、名が売れていなければ、キョウトは動かないでしょう?たとえ、貴方が信用できる、と言っても。」
「ふむ。そうだな。・・・そうそう、神楽耶様も随分と喜んでおられた。ブリタニアに下ったとはいえ、従兄である枢木の息子に濡れ衣を被せられては、心中穏やかではなかったのであろう。」
「神楽耶・・・皇コンツェルンの当主ですね。」
「そうだ。会ったことは・・・なかった、か。」
「ええ。ありませんね。・・・あの時、顔を合わせたのは、枢木首相とスザク、そして、貴方と・・・後は、枢木の使用人、近所の子供や店の人間くらいですから。」
思い返しながら、ルルーシュは苦み走った表情をうかべた。
「・・・嫌な思いをさせたの。」
その表情を見た桐原が、気遣わしげに言うと、ルルーシュは目を軽く見開く。
「貴方からそんなことを言われるなんて・・・。いえ、当時の情勢では、あれは当然の反応でしょう。しょうがありません。」
「そう言ってくれるか。・・・今は、アッシュフォードに身を寄せているのだったな?」
「ええ。貴方がアッシュフォードと取引をして下さったおかげで、本国に帰らずに済みました。」
「おぬしを殺せと煩く言ってくる不愉快な連中に、引き渡そうとは思わなかったのでな。・・・ワシが相手にしないでおいたら、彼奴ら、枢木の方にまでコンタクトを取っておった。ああいう連中は信用がならんから、取引はしないことにしておる。」
「それが賢明ですよ。ブリタニアの貴族の多くが人を人とも思わぬ考えの持ち主ですから。・・・まあ、偶にアッシュフォードのような変わり者もいますけど。」
「くく、そうさの。・・・どれ、この爺が、小遣いをやろう。」
「・・・は?」
肩を震わせながら笑う桐原が、スッと一枚のカードを取り出す。一瞬“小遣い”という言葉に固まったルルーシュは、差し出されたカードを見て、ギョッとする。
「あ、あの・・・桐原、さん?」
「ワシ名義ではない。・・・おぬしの名で作っておるからな。」
「・・・ちょ、ちょっと待って下さい!!」
「なんだ?」
心底慌てた様子のルルーシュを面白げに見つめながら、桐原は首を傾げる。
「な、なんで、俺名義・・・っていうか、なんですか、このカード!!」
「いずれ、おぬしがワシを頼って来るだろうと思ってな、7年間、コツコツと貯めておった。」
「な・・・。」
立ち上がったまま、ルルーシュは絶句してしまう。してやったりの表情をうかべた桐原は、その手に無理やりカードを握らせる。
「ワシの顔をたてなさい。・・・これは、おぬしのための金じゃ。・・・騎士団に使うも良し、妹姫のために何かを買うのも良し、おぬしの好きなように使え。・・・通帳の方は、ワシが管理しておく。常に金が限度額まで入っている状態にしておくからの。」
「・・・げ、限度額って・・・。」
思わず呻いたルルーシュに、桐原は笑みを返す。
「惜しむことなく、と言ったろう?・・・金は時に、大きな力となるぞ。おぬしは充分に知っていると思うがな。・・・そうだ、まずは騎士団の基地を作ったらどうじゃ?トレーラなどでは、プライバシーも無いだろう?・・・それでは困るのではないのか?」
桐原の言うことも尤もで、ルルーシュはこくりと頷く。
「ならば、そうしなさい。・・・公的にキョウトから送る金とは別物だから、騎士団での細々とした歳出にあてるのも良いじゃろうて。」
「・・・何から何まで・・・。お世話になります。」
なんの裏も無い好意を簡単に信じられない生活を送ってきたルルーシュだが、今回ばかりは桐原の好意と捉えることにする。だから、素直に頭をさげ、カードを受け取った。
「老い先短い爺が、金をたくさん持っていたってしょうがないからの。せいぜい、有効に使っておくれ。」
ルルーシュが素直に受け取ったことに満足した様子で、桐原は笑みをうかべた。
「・・・というわけで、この基地を作って、俺とC.C.の部屋までの通路を迷路状にしたんだ。」
基地を作った経緯と、桐原との関係を簡潔に説明した“ゼロ”の前で、朝比奈はまぬけにも、口をあんぐりと開けたまま呆然としてしまっていた。
「まさに、鴨がネギを背負って鍋に入って食べて下さいと待っていたようなものだな。・・・最初、こいつから聞いた時、さすがの私もお前のような反応をしてしまったよ。」
呆れたような、感心したような、そんな口調でC.C.が言い、深い溜め息をつく。
「・・・あ・・・あはは、桐原翁って・・・そういう人、だったっけ?」
ようやく我に返った朝比奈が首を傾げると、“ゼロ”は、ふるふると首を振った。
「いや・・・7年前は、そんなタイプではなかったんだが・・・。」
「・・・っていうか、それってさ、開戦前の話?」
朝比奈が訊ねると、“ゼロ”は一瞬黙り込んでから、小さく頷く。
「ああ。・・・開戦前に、留学生としてこちらに来ていたからな。」
「へぇ、留学生・・・それで、枢木家にいたの?なんか、どっかで聞いた話だね。」
そういえば、藤堂もこの一件には関わっていたな、と思いだし、ルルーシュは仮面の下で渋面を作った。
「藤堂には言うなよ・・・。」
「・・・言えば、藤堂さんは君の正体に気付くわけだ。」
あっさりと言われて、ルルーシュは溜め息をつく。
「可能性としてはあるだろうな。直接会ってはいないが、関わりはある。」
「まあ、あの頃、藤堂さんは桐原翁の配下として動いてたからねぇ。・・・わかった。言わない。」
朝比奈が頷くと、ルルーシュは肩を竦める。
朝比奈に気を許して以降、しばらく経つが、ルルーシュは未だに朝比奈の前で仮面を取り外したことは無い。それは、信頼していないというわけでは無く、ただ単に恥ずかしいだけなのだが、朝比奈は律儀に信頼してもらえるまで待つと言ってくれている。
C.C.と桐原以外が知ることの無い素顔を見た時、朝比奈はどんな反応を示すのかどうしてもルルーシュには読めない。朝比奈の発言が予想できないのは元からだが、最近は特にそれが激しくなったように思う。
「素直に言ってしまえば良いものを。」
C.C.がニヤニヤと笑いながら言う。うっと詰まったルルーシュに、朝比奈が首を傾げる。
「え~・・・何?何を?」
焦ったようにルルーシュとC.C.を交互に見る朝比奈に、意地の悪い表情をうかべ、C.Cが耳打ちをする。
「あいつが、お前の前で仮面を取らない理由を教えてやろうか?」
「えっ、ホント!?」
「C.C.!!」
ルルーシュは慌ててC.C.の腕を引き、朝比奈から引き剥がす。
「何だ、やきもちか?」
「~~~っ、違う!!」
ニヤニヤと笑うC.C.に、ルルーシュは唸る。
「なんか、疎外感感じるなぁ・・・。」
そんな2人を見やって、朝比奈が呟く。
「朝比奈・・・。」
ルルーシュはその朝比奈の落ちこんだ様子を見て、思わず“お兄ちゃん魂”が発動して、その頭を撫でてしまう。
「///・・・あ、えっと・・・ぜ、ゼロ?」
朝比奈が顔を真っ赤にして、ルルーシュを見つめる。
「ルルーシュ。」
「・・・へ?・・・あ・・・名前?」
「ああ。俺の名前は、ルルーシュだ。」
返ってきた答えに、朝比奈は笑みをうかべる。
「また、君のことが知れた。・・・それって、少しずつ信頼してもらえてるってことだよね?」
「そうじゃなくて・・・いや、そうなんだが・・・。」
何と言って良いのかわからないで、取り留めもなく呟くルルーシュに、朝比奈は首を傾げる。
「ルルーシュ?」
「・・・もう、とっくに・・・俺は、お前のことは信頼してる。・・・仮面を取らないのは・・・。」
「・・・まったく、まだるっこしいっ!」
そんなやり取りをイライラと見ていたC.C.が、とうとうキレてルルーシュの仮面に手を伸ばす。
「・・・!?」
「あ。」
カラン、という乾いた音とともに仮面が床に落ち、その仮面を視線で追い、朝比奈はそこから、その仮面の持ち主の方へ視線を向ける。
同じように仮面を視線で追っていたルルーシュは、朝比奈の視線を受けた瞬間、真っ赤な顔をして、口元を手で押さえた。
「~~~~~っ!!!」
「うっわ~・・・すっごい美人。」
ほーっと嘆息した朝比奈は、まじまじとルルーシュを見つめる。その遠慮のない視線に、ルルーシュは居心地が悪そうに身じろぎする。
「・・・あ、あんまり、じろじろ見ないでくれ・・・は、恥ずかしいから///」
「///・・・か、可愛い~~~!!!」
スッと逸らされた視線と、恥じらったようなその表情に、朝比奈は思いっきり悶えた後、ルルーシュに抱きついた。
「ほわぁぁっ!?」
「悲鳴も可愛い!!」
「お、俺は男だ!!」
「全然オッケー!!ストライクど真ん中!!愛に性別は関係ないって~~vV 」
朝比奈にぎゅうっと抱きしめられ、その暖かさにルルーシュは思わず涙ぐんでしまう。
「・・・認めてしまえ、ルルーシュ。どうせ、もう、朝比奈にオチてるんだろう?」
ニヤニヤとC.C.が言えば、ホント!?と朝比奈が目を輝かせる。“どうやら朝比奈のこの目に弱いらしい”と、どこか冷静に分析しつつ、ルルーシュはがっくりと肩を落とした。
「・・・ううう・・・。け、健全な、関係なら・・・別に、恋人でも・・・良い。」
折れたルルーシュに、朝比奈は狂喜乱舞し、C.C.は一生童貞決定だな、と呟いた。
数日後、黒の騎士団の基地に、桐原がやってくる。その形相に、一般団員達は勿論、幹部達も震え上がってしまう。
「・・・ゼロはおるか。」
問われて、ラウンジの奥にいた“ゼロ”に、一斉に幹部達の視線が向いた。
「・・・桐原公、どうしたのですか?随分と不機嫌なご様子だが。」
内心首を傾げながらも、堂々と応対したルルーシュは、桐原の答えを待つ。
「おぬし・・・こっ・・・。」
“こっ”と言ったまま、うつむいてふるふると震える桐原に、思わずルルーシュは心配になって近寄る。
「・・・桐原公?」
「ワシに黙って、恋人なんぞ、作ったのか!!?」
ガバっと顔をあげた桐原の言葉に、幹部達はびしり、と固まる。
「・・・だ、誰が、そのようなことを・・・。」
思わずどもったルルーシュに、桐原は確信を得て、未だ固まる藤堂と四聖剣の元へと足を向ける。
「藤堂・・・。」
ごごご、という音が聞こえるのではないかというくらいにおどろおどろしい調子で名を呼ばれ、藤堂は肝を冷やす。
「何でしょうか、桐原翁・・・。」
「おぬし、もうちょっと、部下の行動に気を配ったらどうじゃ!?おかげで、ワシの秘蔵っ子が、おぬしの部下の毒牙にかかってしまったではないか!!あやつを預けた先の者とも、絶対に悪い虫がつかぬようにと取引したというに!どうしてくれる!!」
「「「「「・・・え・・・ええええええええっ!?」」」」」
幹部達が一斉に声をあげる。つまりそれは、なにか?四聖剣の誰かが、ゼロの恋人になったってことか?それって、紅一点の千葉か!?などと憶測が飛び交う中、平然とした表情で桐原に言い返した奴がいた。
「藤堂さんを責めるのはお門違いですって・・・っていうか、俺、悪い虫じゃないですから。」
「・・・ワシの秘蔵っ子に手を出しただけで、充分悪い虫じゃ!!」
「秘蔵っ子っていうのは良いですけど、“ワシの”ってつけるの止めてくれません?ゼロは“俺の”恋人なんで。」
売り言葉に買い言葉。延々と続く厭味の応酬に、幹部達は、とうとう、ゼロと朝比奈の関係を受け入れざるを得なくなってしまっていた。
すんなり認める発言をしまくっている朝比奈に、藤堂と他の四聖剣が呆然とし、ショックを受けたカレンがぶっ倒れ、収まりそうにない騒ぎに扇が遠くを見る。
そんな中、ルルーシュは仮面の下で真っ赤に顔を染め、ウルウルと目を潤ませて、この恥辱に耐えていた。
「“ワシの”秘蔵っ子に、よもや、触れる以上のことはしていまいな!?」
「“俺の”恋人ですから?どんな関係でも、桐原翁にどうこう言われる筋合いは無いと思いますけど~?」
睨みあう2人の発言がだんだん怪しい方向に進んでいくのを感じて、C.C.がマントをクイっと引っ張る。
「おい、そろそろ、止めた方が良いぞ・・・雲行きが怪しい・・・。」
「まさか、すでにふしだらな関係になったのではあるまいな!!そんなこと、ワシは許さんぞ!!絶対に許さん!!!」
「はっ!・・・そんなの、当人同士の問題でしょ!?桐原翁には関係ないね!」
もう敬語すら使ってない有様の朝比奈の認めるような発言に、幹部達の視線が黙りっぱなしのゼロに向けられる。
しばらく視線を集めていたゼロだが、突如、プルプルと震え始め、そして、つかつかと朝比奈と桐原の元に行き、大声で叫んだ。
「いい加減にしろ――――っっ!!まったくもって、俺とこいつは健全な関係だぁぁぁぁぁッ!!!」
生暖かい視線を向けられて、恋人ということを否定し忘れたことに気づいたルルーシュが慌てて否定するものの時すでに遅し。
その後、黒の騎士団内で、ゼロと朝比奈が恋人同士、という情報が駆け巡り、桐原がまるで監視とばかりにちょくちょく顔を出しに来るようになったとかならなかったとか・・・。
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