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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・朝ゼロ
・騎士団の基地は複雑な造りな設定!
・絶賛☆捏造中!!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









 “ゼロ”が気になっている。

 始めは、ただ単に好奇心というか、興味があっただけだったように思う。キョウトの桐原翁も認めたという人物“ゼロ”。その素性は古参の幹部達でさえも知らないらしい。

「う~ん・・・気になるなぁ・・・。」

「・・・何が気になるんだ?」

「うわ!・・・卜部さん!?・・・俺、口に出してました?」

 突如、卜部に声をかけられてギョッとするものの、朝比奈は苦笑を浮かべてそう訊ねる。

「思いっきりな。」

 卜部が肩を竦めると、その陰にいた千葉が眉を顰める。

「一体どうしたんだ?」

「・・・あ~・・・いや。ちょっと・・・。」

 言葉を濁す朝比奈に、卜部と千葉は顔を見合せて首を捻った。

「心配ごとなら・・・。」

「あ、別に、心配とかじゃないですから!・・・俺、ちょっと、格納庫に行ってきま~す!!」

 慌てて朝比奈は立ち上がると、部屋から出て行く。

「・・・どうしちまったんだ?朝比奈の奴は・・・。」

「・・・さぁ?」

 そんな朝比奈を呆然と見送り、卜部と千葉は呟いた。





「・・・危ない危ない。まさか、ゼロの素性が気になる、なんて言ったら、藤堂さんの決定に異を唱えるつもりか~!とかって千葉さんに怒られちゃうよ・・・。」

 はぁ、と溜め息をついて、はたと気付く。

「あ・・・ここどこ?」

 まだ来たばかりの騎士団の幹部達の生活スペース。どこに何があるかなんて、サラサラ覚えるつもりはなく、自分達の部屋と藤堂の部屋、そして、格納庫とラウンジさえわかっていればと、案内の時にろくに聞いていなかったのがあだになったらしい。

「うっそ・・・迷子?笑えないんだけど・・・。」

 こんなところを誰かに見つかっては、四聖剣の面目丸潰れである。朝比奈はさ~っと青ざめ、きょろきょろと周りを見回す。

「・・・って、目印なんてあるわけないし・・・どうしよう!?」

 コツ、コツ・・・

 無情にも足音が自分の方に向かってくるのに気付き、朝比奈はわたわたと慌て始める。

「えっえっ・・・マズイよね!?・・・どっか、隠れるとこ・・・隠れるとこ~っ!」

 朝比奈はとりあえず近くの部屋のドアを片っ端から操作していく。

 が、朝比奈は知らなかった。ここは、他の幹部達ですらも入ってくることの無い、ゼロやC.C.の部屋の付近であることを。というわけで、普通の場所より厳重なロックに頭を抱え、朝比奈はしゃがみ込んだ。

「あああぁぁぁぁ・・・来た早々、笑いモノにされる~~~;」

「・・・四聖剣の・・・朝比奈、か?」

 背後から声をかけられて、朝比奈は恐る恐る振り返る。すると、そこには、一番会いたくない人物が立っていた。

「~~~~ぜ、ゼロっ!?」

 そう。黒ずくめに仮面。完全に容姿を窺わせないその男、“ゼロ”。思わず気が遠くなってしまう朝比奈だが、ゼロはそんな朝比奈にお構い無しで、話しかけてきた。

「・・・どうやって入り込んだ?ここまでは案内させていないはずだが。」

「・・・え・・・えと・・・その・・・。」

「迷子だろう?」

 朝比奈が説明できないでいると、明らかに揶揄した声が聞こえてくる。

「・・・C.C.・・・。」

 ゼロが唸るようにその名を呼んで振り返るのに、朝比奈は眉を顰める。

「でなければ、どうしてこんな処に来る?」

 なぁ?と訊かれれば、朝比奈は反論ができずに黙り込む。

「・・・本当に迷ったのか?・・・まあ、しょうがないだろう。ここは他の幹部も来ないし、来ても迷うように作ってある。」

「へ?・・・そうなの?」

 ゼロが肩を竦めると、朝比奈はパッと顔をあげる。

「ああ。・・・私は素性を伏せているんだ。それくらいは当然だろう?」

「・・・ま、まあ。そうだけど・・・。」

「それで・・・どこに行くつもりだったんだ?」

 笑うでもなく、からかうでもなく、真面目にゼロに問われたので、朝比奈は素直に答えた。

「えっと、格納庫に・・・。」

 すると、沈黙が返って来て、朝比奈は何かおかしなことを言っただろうかと慌てる。

「えっ・・・あの、俺、変なコト、言った?」

「・・・お前、方向音痴なのか?・・・格納庫は正反対の方角だぞ?」

 呆れたように言ったC.C.が、未だ沈黙しているゼロを突く。

「おい、いつまで固まってるんだ?・・・大の大人が本気で迷子になることにショックを受けたのはわかるが、あんまりにも長い間固まってると、それはそれで阿呆みたいだぞ?」

 あ、固まってるんだ、とは朝比奈の思考で、C.C.に突かれるゼロをしげしげと見つめる。

「・・・おい、ゼロ。しっかりしろ。」

 痺れを切らしたC.C.がガクンガクンと揺さぶり始め、ゼロの仮面が揺れる。外れるかも、と期待した朝比奈の思考を読んだかどうかは知らないが、ハッと正気に戻った(らしい)ゼロが仮面を押さえる。

「C.C.!揺さぶるな!!仮面が取れるだろうがっ!」

「ふん、固まってるお前が悪いんだろうが。」

「だからって、ここまで揺さぶらなくても良いだろう!!・・・まったく、首を少し捻ったじゃないか。」

 ぶつぶつと呟くゼロとそれをニヤニヤと見つめるC.C.を見て、噂に聞く関係(愛人)のように思えなくて、朝比奈は首を捻った。

「・・・あのさぁ、2人って、どういう関係なの?」

「お前に関係無いだろう?」

 不機嫌に返されて、朝比奈はうーん、と唸り、首を傾げた。

「気になったから、じゃダメ?」

「・・・・・・共犯者だ。それ以上でもそれ以下でもない。」

 はぁ、と溜め息をついたゼロが素直に答え、C.C.が意外そうに目を瞠る。

「珍しいな、お前が素直に答えるなんて。」

「・・・別に隠す必要のないことだ。以前から公言しているのだし。・・・それに、お前は、これが素直に引き下がると思うのか?」

 溜め息交じりにゼロが答え、朝比奈を指さす。そして、C.C.はしばらくジッと朝比奈を見つめ、大仰に溜め息をついて見せた。

「はぁぁ、思わないな。・・・なんだか“ヤツ”に被るぞ、こいつ。」

「・・・被せるな。気分が悪くなる。」

 2人だけが通じるような会話についていけず、朝比奈が呆然としていると、ゼロの仮面がこちらを向く。

「ここで突っ立っていられるのも面倒だ。・・・とりあえず部屋の中に入れ。」

「へ?良いの?」

「・・・勝手にこの辺りを漁られるよりは、目に届く範囲にいてもらった方がありがたい。・・・ラウンジに戻る時に格納庫まで案内してやるから、大人しくしていろ。」

 酷い言われようだが、反論できない朝比奈は、大人しくゼロの部屋の中に誘導される。

「・・・えっと、おじゃましまーす。」

 中に入って一番に驚いたのは、その生活感の無さだった。他の幹部のように、ここにずっと住んでいるわけでは無いとは知っていたが、もう少し私物があっても良いのではと思ってしまう。現に朝比奈の部屋はすでに支給品以外の私物が少なからずある。

「ゼロ、ピザを頼め。」

「・・・自分で頼め。」

 どさりとソファーに座って偉そうに言うC.C.に、同じくソファーに座ったゼロが疲れた声で応じる。

「・・・私が頼めと言っているんだぞ?」

 C.C.の女王様発言に、朝比奈は固まってしまう。ラウンジでは比較的おとなしいC.C.なのに、自室に戻った途端、コレ。しかも、ゼロの反応からするに、いつものことらしいとわかると、ますます朝比奈はゼロに同情してしまった。

「・・・大変だね、ゼロ。」

 思わずそう言ってしまってから、朝比奈はハッと口元を押さえた。ここは見なかったフリをした方が良かったのだと今更ながらに気づいたからだ。

「・・・朝比奈、お前・・・口が軽い方か?」

 ギギギィ・・・と音が聞こえるほどにぎこちなく朝比奈の方を向いたゼロは、低い声で訊ねる。

「あ、あは・・・?」

 笑って誤魔化そうとするが、ゼロにそれは通じないらしいと悟る。なぜなら、ますます、ゼロの周りの空気が重くなったからだ。

「・・・だ、だいじょーぶ!!い、言わないよ。うん。ホントに、約束する!!・・・俺、約束は守る主義だから!!」

「約束・・・。」

 ぽつり、とゼロは呟き、それから、深い溜め息をついた。

「はぁ・・・わかった。このことは黙っていろ。玉城あたりが知ったら、またうるさいからな。・・・まったく、愛人だのなんだのと。コレの何処が愛人に見えるんだ?」

「・・・見えるというより、一番近い位置にいるからじゃないかなぁ・・・。」

 ブツブツとぼやくゼロが何となくおかしくて、朝比奈はクツクツと笑う。

「近い位置?・・・それを言ったら、四聖剣は藤堂の愛人、と言われるようなものだぞ?」

 それで良いのか?と思わぬ反撃に遭い、朝比奈はブンブン、と首を振る。

「い、いや!!マズイでしょ、それは!!・・・藤堂さんの沽券に関わるッ;」

「だろう?・・・共犯者だと言っているのだから、そのままに受け取っておけば良いものを、余計な勘繰りをする。・・・あの厄介な性分は死ななければ治らないのか?」

 どうやら、玉城に御冠らしい。いつもは見せることの無いゼロの人間らしさを見て、朝比奈は思わず、ほう、と溜め息をついた。

「(俺って今、もしかしなくてもすっごい貴重な体験してる??・・・だって、ゼロの愚痴だよ?愚痴。)」

「おい、ゼロ・・・お前、何を朝比奈に愚痴っているか、わかってるのか?」

 C.C.が訝しげに問うのに、ゼロはハタ、と止まる。そして、朝比奈を(多分)まじまじと見つめ、瞬間、ワタワタとしだす。

「い、今のも、黙っておけ!!・・・そ、それと、こ、ここから、う、動くなよ!!」

 バッとソファーから立ち上がり、部屋の奥へとゼロが消えると、朝比奈はクツクツと笑う。

「ゼロって、全然イメージ違うじゃない。」

「・・・本当に言うなよ?」

「あれ、C.C.もイメージ違う?・・・ゼロが大事なんだ?」

「・・・共犯者、だからな。」

 フイ、と顔を逸らすC.C.を見て、ますます朝比奈は笑みを深める。

「へぇ。・・・本当は満更でもないんじゃないの?愛人っていうの。」

「まさか。・・・私は童貞坊やになど興味はないな。」

「どッ・・・。あ、そうなんだ・・・。」

 C.C.が口にした単語に一瞬固まるが、朝比奈は思わず納得してしまった。

「お前こそ、どうなんだ?・・・あいつのイメージが変わったことで、気持ちの変化でもあったか?」

「う~ん・・・そうだなぁ・・・結構、好きなタイプかなぁ。なんか、あんまり懐かない猫って感じで。しかもちょっとドジっ子だし。こう、さ、なんていうか、懐かせてみたくなるよね?」

「・・・チャレンジャーだな、お前。」

 C.C.が呆れると、ゼロが奥の部屋から何やら持って出てくる。

「?」

 朝比奈が首を傾げていると、テーブルにことり、とカップが2つ置かれる。

「コーヒーしかなくてな。これで我慢してくれ。」

「・・・あ、え?今、コーヒー淹れてたの?」

「そうだが?」

 ことり、と仮面のまま首を傾げられ、激しく似合わないなぁ、と思いつつ、朝比奈はコーヒーをまじまじと見つめる。

「・・・飲めなかったか?」

 どこか心配そうな声でゼロに訊かれ、朝比奈はふるり、と首を振った。

「ううん。飲めるよ。大丈夫。」

 ニコ、と笑い、ソファーに座ってコーヒーに口をつける。

「!?・・・これ、インスタントじゃない?」

「ああ・・・簡易だがコーヒーメーカーで・・・。」

 そう言えば、食堂にもコーヒーメーカーがあったな、と思う。皆、ものぐさなのか、インスタントを飲んでいるが。

「・・・おいしいや。今度から、インスタント、飲めなくなりそう。」

「そうか。」

 フッと笑った気配がして、朝比奈は、本当に貴重な体験をしているな、と思う。そう思っていたら、口が勝手に動いていた。

「ねぇ、ゼロ。」

「なんだ?」

「・・・俺と、お付き合いしませんか?」

 笑みを浮かべて言われた言葉に、ゼロはこちん、と固まった。

「・・・はぁ、お前・・・。」

 C.C.が呆れたように言葉を発すると、朝比奈はにっこりと笑ったままコーヒーに口をつける。

「だって、ゼロのこと、もっと知りたいし。・・・共犯者の位置はC.C.が持ってるんでしょ?そしたら、空いてるのは、愛人っていうか、恋人?の位置でしょ?」

「・・・そういう思考回路なのか;・・・親友という位置は考えないのか?」

「うん、俺にとっての親友の位置はね、四聖剣がそれに近いから。だから、残るのは恋人!」

 ハッキリと言う朝比奈に、C.C.は思わず納得してしまった。それ故にゼロの方を見る。どうやら、固まったままのようだが、今の朝比奈の話は聞いていただろうかと思ったのだ。

「おい、ゼロ・・・どうするつもりだ?」

「・・・・・・私のことを知りたいから、恋人になるというのか?」

 存外落ち着いた声が返ってきて、C.C.は聞いていたかと胸を撫で下ろす。

「そうだねぇ。君は秘密主義だけど、近しい関係であるC.C.は色々知ってるみたいだし。だったら、恋人になれば、色々教えてくれるかなッと思って。」

 にっこり。

「・・・朝比奈・・・お前は仮面の男と恋人になるということになんの違和感も無いのか・・・?」

 呆れたように言うゼロに、朝比奈はあっさりと頷いた。

「無いね。」

「・・・断る。私はそんな趣味は無い。」

「じゃあ、振り向かせてみせるから。」

 諦めない宣言をされて、ゼロは困ったように黙り込む。

「・・・フ。どうするつもりだ?ゼロ。」

 C.C.は傍観を決め込んだようで、ニヤニヤとゼロを見る。

「・・・面白がるな、C.C.・・・別にどうもしない。朝比奈、興味本位で言うのは止せ。・・・ラウンジに行く。ついでに格納庫まで案内してやるからついて来い。」

「え~。興味本位じゃないよ~。」

「・・・置いていかれたくなければ立て。」

 完全に朝比奈の言葉を無視するゼロに、むぅ、と唸りながら、朝比奈は立ち上がる。

「絶対諦めないからね?」

「・・・どうして、そんなに私のことを知りたいんだ?」

「え?・・・う~んと、ゼロの人柄に惚れたから。」

 またも良い笑顔で答えられ、ゼロは絶句し、C.C.は噴き出した。

「くく・・・仮面の男だぞ?こいつが私以外の前で仮面を取ることなんて、余程のことが無い限りはあり得ない。」

「別にそれでも良いよ。・・・言ったでしょ、俺は、ゼロの人柄に惚れたって。仮面はどうだって良い。・・・その点では、紅月さんだって、そうなんじゃないの?」

 そう言われれば、とC.C.は納得し、クツクツと笑った。

「モテモテだな?・・・くく、この、人たらしめ。」

「・・・嬉しくない。」

 ゼロは深く溜め息をつく。

「人柄にと言うが、さっきほんの少し話しただけだろうに。」

「うん、でも、わかるよ。・・・ゼロは優しいよね。迷子の俺を笑わなかったし、コーヒー淹れてくれたし、こうやって、結局は俺の相手してくれてるじゃない。」

 にっこにっこと笑って言う朝比奈に、ゼロことルルーシュは盛大に仮面の下で渋面を作った。

「朝比奈・・・こいつのこれは押しに弱いと言うんだ。」

 C.C.まで頭を抱え始めたので、朝比奈は二ヘラ、と笑った。

「そうとも言うかな?・・・ま、でもそういうところも含めて、ゼロって可愛いよねぇ。」

「「かっ・・・可愛いっ!?」」

 ゼロとC.C.の声が被さる。言うに事欠いて、仮面の男が可愛いとは。朝比奈の神経を疑ってしまう。

「・・・おまえ・・・。」

 頭、大丈夫か?とC.C.が言おうとして、止める。いい機会だと思ったのだ。“ゼロ”にはもっと信頼できる味方が必要なのだ。

「そうか、お前が本気なら、私は応援してやろう。」

「やった~!」

「C.C.!!」

 喜ぶ朝比奈と慌てた様子のゼロに、C.C.は微笑む。

「良いじゃないか。こいつは信頼できそうだ。」

「・・・それは・・・。」

 ゼロはちらりと朝比奈を見て、それから、ふるりと首を振った。

「それでも、だ。・・・行くぞ。」

 ゼロは入口まで歩いて行き、振り返る。それを見て、朝比奈はC.C.に向けてクスと笑う。

「・・・手強いねぇ。」

「あいつは人を容易く信じられない。そういう環境で育ってきたからだ。・・・まあ、頑張れ。」

「はいは~い。」

 軽く返事をすると、朝比奈は、早くしろ、とご立腹気味のゼロの後を追う。





 そして、入り組んだ通路を歩きながら、朝比奈は沈黙したままのゼロに訊ねる。

「・・・ねぇ、どうしてそんなに怖がってるの?」

「・・・。」

 朝比奈の問いに咄嗟に答えられず、ゼロはその足を止めた。

「ゼロってさ、ずっと思ってたんだけど、他人と深く関わることを避けてるよね?・・・唯一それを許しているのは、C.C.だけ。・・・人を信じられなくなるような環境って、どんな環境なの?」

 ズカズカと心の中に踏み込んでくる朝比奈に、困惑する。踏み込むなと言われると、普通は二の足を踏むものなのに、朝比奈は遠慮が無い。

「・・・他人の事情を探って、面白いか?」

「面白がってるんじゃないよ。心配してるんだ。・・・そういうの、迷惑かもしれないけどさ、ほっとけないんだよね。俺。」

 真面目に返されて、ゼロは困惑をさらに深めた。

「・・・なんで・・・。」

「なんでって、惚れたって言ったじゃない。」

「・・・藤堂は。」

「・・・藤堂さんのことは尊敬してる。そういう意味では好きだよ。・・・でも、ゼロは、恋愛感情で好きなんだ。迷子になったって一番知られたくなかったのはゼロだった。・・・笑われたり、かっこ悪いって思われたりするのが、すっごく嫌だった。・・・ず~~っと、ゼロのことは気になってて、やっぱり素性のことが一番だけど、でも、なんだか、君は危なっかしい感じがするんだ。」

 面と向かい、朝比奈は真面目に言う。ゼロは戸惑いながら朝比奈を見つめ、首を傾げた。

「・・・危なっかしい?」

「うん。・・・作戦中とか、そういう時のゼロはすっごい頼りになる。でもさ、幹部の皆の輪から外れて、1人でいる時のゼロって、なんだか、危なっかしいって感じる。・・・そういうの見てたらさ、ほっとけなくって。で、今日、こうやって改めて話してみて、本当は優しくて、可愛いんだって思ったから。」

 だから、好きになった。そう言われれば、自然と顔が熱くなってくるのを感じたゼロは、息を呑んだ。

「・・・っ。」

「ねえ、ゼロ?・・・恋人っていうのが嫌なら、どんな関係でも良いんだ。俺に君を守らせてよ。・・・その身だけじゃなくて、心も。」

 じりじりと寄ってくる朝比奈に、ゼロは思わず後退し、トン、と背中が壁に当たる。

「・・・!」

 ビクッと肩を揺らすゼロを見て、朝比奈は苦笑する。

「やだなぁ、そんなに怯えないでってば。」

「・・・怯えてなど・・・。」

 いない、と言おうとして、朝比奈に視線を向ける。ごく近くにあったその表情は、優しげに微笑んだもので、ゼロはドキドキと鼓動が早まるのを感じる。

 朝比奈は、そんなゼロを捕えるように、両手をその脇の壁につける。

「君のことを守りたい。頼りにして欲しい。・・・孤独に慣れないで。頼ることを知って。君は・・・君には支えが必要だよ。その支えに、俺がなりたい。・・・ダメかな?」

 ストレートな言葉、真摯な視線。ゼロはぐらぐらと揺れる感情をどうにか宥めようとするものの、うまくいかずに、ずるずるとその場に座り込んでしまった。

「・・・ゼロ・・・。」

 朝比奈が心配そうにしゃがみ込んで、ゼロの様子を窺う。

「・・・・・・お前は・・・裏切らないか?」

 ぽつり、と呟かれた言葉。それは、今までどれだけゼロが裏切られてきたのかを思わせる。

「うん。絶対。」

「・・・どんな真実があっても?」

「うん。」

「・・・・・・私は・・・ブリタニアの・・・。」

 言葉をとぎらせたゼロの手を握り、朝比奈はニコリと微笑んだ。

「言いたくなければ言わなくたっていいよ。・・・それが、君を傷つけて、苦しませている要因なのだったら。・・・俺は、君がどんな人物だって構わない。素性を知って、それが自分にとって不都合が生じるものであったとしても。絶対に君を裏切らない。」

 今までにかけられたことの無い言葉。こいつならば、と思わされてしまう。ゼロは自分を守っていた壁がガラガラと壊れていくのを感じた。

「・・・酷い奴だな、お前は。・・・もし、お前に裏切られたら、今度こそ、俺は・・・。」

 ゼロの言葉が了承の言葉だと気付いて、朝比奈は満面の笑みを浮かべ、ゼロを抱きしめた。

「やった~~!!ありがと、ゼロ。・・・俺、絶対裏切らないからね!!・・・っていうか、ゼロの本当の一人称って、“俺”なんだねぇ?可愛い~v」

「・・・っ・・・お前、仮面の男に可愛いは無いだろう;」

 一瞬、息を詰まらせたゼロだが、すぐに我に返って朝比奈につっこむ。

「えぇ~、だって、しぐさとか、すっごい可愛いよ?気付いてる?・・・こう、ちょっと首を傾げたりするとこなんて、仮面には激しく似合ってないけど、可愛いって思えるもん。」

 C.C.がここにいたら、すかさず、お前の目は節穴か?と聞いてきそうなセリフをはいて、朝比奈はにっこりと笑った。

「・・・はぁ・・・言っておくが、本当に話すなよ?」

「話さないって。・・・ゼロ~愛してるよ~~vv」

 ぎゅう、と抱きしめる朝比奈の腕の中で、ゼロことルルーシュは、仮面の下でふんわりと笑った。

「・・・裏切ったら、許さないからな。」

「うん。」



そして、ここに、新たな守護者が誕生した。


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