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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・W副長設定です!
・カップリングはありません
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









白鬼党のことが頭の中でチラつき、幕府に提出する書類がなかなかまとまらない。

銀時は息抜きをするために部屋の障子戸を開けて庭に面した廊下に腰かけた。

「よぅ、坂田の旦那」

そこに現れたのは、元お庭番衆の服部全蔵だった。

「・・・情報なら猿飛からもらったけどォ?他になんかあんの?」

死んだ魚のような目で全蔵を見やった銀時は、気だるげに訊ねる。

「あー・・・思った以上に落ち込んでんな、アンタ」

何でもないように装ったつもりが、全蔵にはバレバレらしい。

「その様子じゃ、アレはまだ俺に渡さないつもりだった・・・とかァ?」

「・・・一応、頭の回転は速いまんまだな・・・」

自分の考えを言い当てた銀時に、全蔵は肩をすくめる。

「だって、それで様子見に来たんだろ?」

「まぁな。猿飛の独断専行だったわけだが・・・直接の上司である俺の監督責任もあるからな」

全蔵が素直に答えると、銀時は苦笑をうかべる。

「まぁ・・・ショックって言やァショックなんだがな。それ以上にアイツの狂気が怖ェんだよ」

「・・・だろうな。“白夜叉”にしか従わない“狂人”と言われてたらしいしな」

「う~・・・マジで、ヤバいよな・・・軽助は俺の癖とかも全部知ってるからなァ・・・」

間近で銀時を見てきた松田は太刀筋まで銀時に似せていた。

最初は憧れの“白夜叉”を真似たいという軽い気持ちだったのだろうが、戦に参加し続けて行くうちに心がマヒして、徐々に壊れていった。

戦に参加した者なら一度は感じたことがあるだろう虚無感や恐怖、嫌悪感。それに圧し潰された人間は“戦えなくなる”か“いびつに壊れる”かのどちらかだったのだ。

「・・・松田は壊れたんだな」

「周りの連中もかなりいい具合に壊れてたけどな・・・軽助の壊れっぷりは見事だったよ。最初の頃とはまるで別人だ」

「・・・アンタは・・・何ともなかったのか?」

「俺は・・・戦争に参加するずっと前に戦場を見てるからな。慣れてる」

その一言にどれだけの重い過去があるのかなんて全蔵には読み取れないが、銀時もまた、一度“きれいに壊れた”人間ではないのかと思い至った。

「慣れてるなんて嘘だろ?・・・アンタは一度壊れたんだ。それもきれいにな」

「・・・そうかもな。先生が俺を拾ってくれなきゃ、俺も松田みてェになってたのかねェ」

松陽の教えが今の銀時を形成している。だから潰れないでいられるのかもしれない。

あの優しげな笑顔を思い出せば、踏みとどまることができた。きっと、高杉や桂もそうだったに違いない。

「吉田先生ってのは本当にすごい人だったんだな・・・俺は処刑のときにちらっとしか見たことがないが」

「そ。スゲェ人なんだよ・・・松陽先生はな」

フッと笑って、銀時は立ち上がる。

「まぁ、軽助の情報を手に入れたら、すぐに知らせてくれや。・・・敵対しちまった以上は、なんとかするしかねェだろ」

「・・・わかった。もう少し深く潜ってみる」

「おう、頼むわ」

全蔵は頷いて、屯所の屋根に飛びあがる。

「おー・・・いつもながら、身軽だなァ・・・な?十四郎」

さすが忍。と妙な感心をしていた銀時が唐突に己の名を口にして、廊下の陰から様子を窺っていた土方は内心ギョッとするが、表面には出さないようにして姿を現す。

「・・・いつから気づいてた?」

「ん~、部屋から出た直後?・・・つか、全蔵が来なかったら普通に出てくるつもりだったでしょ、お前」

「・・・あー・・・まぁ、立ち聞きするつもりはなかったんだが。出てくタイミングがつかめなくてな」

「ふ。まぁ、そんなこったろうと思ったけどよ。・・・で、お前も俺の様子を見に来たわけ?」

「ああ、近藤さんが心配しててな」

「・・・そっか。近藤さんにも心配かけてんだなァ。総悟も伊東も心配そうにこっち見てくるし。でもなァ・・・軽助が白鬼党の頭目とはなァ・・・」

「そんなにヤバいのか?」

「まぁ、第二の“白夜叉”って呼んでたヤツもいるしな。・・・何でも俺の真似をしたがってさ、真っ白な戦装束を用意してやったんだよなァ」

「へぇ。・・・お前のコピーみたいな存在ってことか・・・しかも劣化版じゃなくて本物に近い感じの」

「まぁ、そういうこと。・・・お前も鬼って呼ばれるくらいには人を斬ったけど・・・やっぱり、戦争を経験してないぶん“本物の”攘夷志士と戦うことになれば、相当キツイはずだ」

「・・・ハッキリ言いやがるな、オイ」

ここまでキッパリハッキリ言われると、むしろ清々しい。

「本当のことだろ?数で負けなくても質で負けることもある。・・・決して真選組が弱いんじゃない。攘夷志士が強いんだ。・・・何も俺が元攘夷志士だからこんなコト言ってんじゃねぇぞ?」

「わかってる。そりゃ、事実だ。・・・経験値が圧倒的に足りねェんだよな、俺達は」

土方が溜息交じりに告げれば、銀時は苦笑する。

「まぁ、攘夷志士や浪士共との小競り合いはあっても、戦争規模の争いはなくなったと言って良いからなァ・・・簡単に言えば“平和ボケ”してるんだよ。この国は」

「・・・“平和ボケ”か。まだ天人共の脅威から逃れたとは言えねェのにな」

「ターミナルがある以上はなァ・・・しかも、今の攘夷志士は強力な武器とか戦艦とか手に入れてるから、第二次攘夷戦争なんておっぱじめやがったら大変だろうなァ・・・」

あはは、と笑いながら軽い調子で言う銀時に、土方は肩をすくめる。

「他人事みてェに言うなよ。それ止めんの、間違いなく俺等だぞ」

「だよなー・・・つーか、こんなに真選組が忙しいとは思わなかったなァ・・・いや、マジで」

結局のところ田舎侍の集まりだ。正式な“武士”として扱ってもらえない真選組にこれほど仕事が回って来るとは思ってもいなかったのだ。

「そりゃ、とっつぁんが仕事もぎ取ってきてんだろうが。ついでにテメェも仕事もらってきてんじゃねェか」

「えぇ~、アレは押し付けられてるんだってェ・・・面倒だけど、やれって言われたら断れねェじゃん、立場弱いしィ」

「・・・そのムカつく口調は止めろ」

「え、ダメ?これ結構相手のやる気を無くさせるのに有効なんだよなァ」

「だ~から!!仲間相手にやるなッ!!」

土方が叫べば、銀時はクツクツと笑った。

「そうだな・・・今は、お前等が俺の仲間だもんな」

「・・・銀時?」

「うん、腹ァ括った。・・・軽助の狂気に引きずられるかもってちょっと不安だったんだけどさ」

ほんの少しだけもれた銀時の本音に、土方はギョッとした。

「マジでか」

「マジマジ・・・でも、大丈夫だ。お前等は約束してくれたもんな。勝手に頼って希望にしたりしねェって」

「ああ、あたりめェだろ?・・・俺達は仲間なんだからな」

土方の真っ直ぐな視線はあの頃からちっとも変っていない。近藤や沖田だってそうだ。

「頼りにしてるぜ?鬼の副長さん」

「あぁ、安心して背中預けろ。俺もテメェに背中預けるからな、銀時」

何よりも嬉しい信頼の言葉に、銀時は破顔して頷いた。



***



新入隊士はそれぞれ欠員の出た隊に割り振られる。

幹部候補生となった新八も例外ではなく、沖田の望み通りに欠員の出た一番隊に配属された。

もちろん、近藤が自己紹介させたという将来有望な隊士だからこそ、一番激しい戦いをする一番隊に、という理由もあった。

が、それ以上に、幹部達の激しいボケにツッコミを入れ続ける体力と気力を養うために、銀時が一番隊に放り込んだのだ。・・・と、後に聞いて、新八は心の中で激しく銀時にツッコミを入れた。

「おら、新入り。そこ、ホコリが残ってやすぜィ?」

「は!はい!!す、すみません!!沖田隊長!!」

嬉々として新八をこき使う沖田に、一番隊の隊士達は生暖かい視線を向けた。

「沖田隊長、輝いてんなァ・・・さすが真選組二大ドS」

「いやぁ・・・志村も気の毒になァ」

「でも聞いたか?アイツ、坂田副長に幹部候補だからって言われたらしいぞ」

「え!?あの坂田副長に!?・・・滅多に新入りを認めねェのにな、あの人」

「ああ、あの噂が出てからだろ?・・・そのうち、伊東参謀が粛清するって聞いたぞ、俺」

「ええっ、マジかよ」

いっそう声を潜めた隊士達を横目に、沖田はそっと溜息をもらす。

一番隊は自分が認めた者達しかいないから銀時のことを悪く言ったりしないが、ろくに調査もせずに入隊させた面子を集めた五番隊と六番隊はかなりあの噂に振り回されているらしい。

「チッ、さっさとぶった斬っちまえばいいのに」

そう文句を言うくらいは許して欲しい。

やっと伊東が戻ってきて落ち着いたところで、白鬼党の情報を一般隊士達にも知らせることになっている。

「さて、この粛清・・・どれだけの人数が残るかねィ」

クツクツと笑う沖田をチラリと窺った新八はゾッと背筋が凍った。



***



「・・・というわけなんですよ。もう、心臓に悪くって」

いつの間にか茶飲み友達ならぬ地味友達となっていた山崎に、新八は愚痴をこぼす。

「そっかぁ。新八君も大変だね・・・こっちは、土方副長の機嫌が悪くなったり良くなったりって忙しくてさ・・・それを読み取るのが大変なんだよ」

「ザキさんも苦労してますね・・・」

「まぁ、あの人達はあの人達で色々抱えてるみたいだけどね・・・坂田副長なんか特に」

「坂田副長かァ・・・あの人、どうしてあんなにやる気無いように見せてるんですかね?」

神楽を助けたときのことを思い出す。

あれだけの戦いができる人だというのに、普段のだらけぶりを見るともったいないと思う。

「そりゃもちろん、内部の敵に警戒してるんだよ」

「内部の敵!?・・・は、入り込まれてるんですか!?」

「シーッ!!声が大きいよ!!」

仰天する新八に注意を促し、山崎は周りを気にしてから続ける。

「・・・ここだけの秘密だからね。おそらくだけど、攘夷派から数人は潜り込んでると土方副長は読んでる」

「そ・・・そんな・・・」

ショックを受ける新八に、山崎は苦笑した。

「しょうがないよ、だってあの“白夜叉”が幕府に簡単に膝を折るなんて、攘夷派にしてみれば信じたくない情報だったんだろうし」

「それを確かめに、ってことですか?」

「うん、それもあると思う。でも、それ以上に“白夜叉”奪還に動くかもしれないっていうのが伊東参謀の考えみたいだね」

「・・・やっぱり、坂田副長ってスゴイ人なんですね」

「それだけ利用価値があるってことだからね・・・でも、そういう連中に坂田副長を渡しちゃうのは腹立たしいだろ?」

山崎が表情を伺うように訊ねれば、新八は即答した。

「そうですね。ムカつきます」

「・・・そう言ってくれる君だから、坂田副長も信頼してるのかなぁ」

「え?」

「・・・坂田副長は今言った通り、古くからの隊士しか信用していない節がある。でも、君にはなんだか最初から気を許しているように見えるんだよね」

山崎が苦笑をうかべる。

「・・・何か、やったんでしょうか?僕」

新八は訝しげに呟き、首を傾げる。

「さぁ?・・・局長の人の性質を嗅ぎ分ける嗅覚って結構信用できるみたいだしね、局長が認めたからってことかもしれないよ」

山崎はそう答えてから腰をあげる。

「お仕事ですか?」

「うん、これから調べものだよ」

「お疲れさまです・・・行ってらっしゃい」

新八は山崎を見送り、自分も一番隊に戻ろうと立ち上がった。

「・・・お、志村?」

「あ、坂田副長」

方向転換した瞬間に、先程まで話題になっていた人物と出会ってしまい、なんとも気まずい気持ちになる。

「聞いたぜ?総悟にずいぶんとこき使われてるらしいな?」

「ええ、なんだか雑用係的な扱いなんですけど・・・」

「ふーん、総悟もお前のこと気に入ったんだなァ」

「え!?アレでですか!?」

「んー、新入りだからまだわからないと思うけど、総悟も結構、人を見るよ?・・・気に入らねぇ奴には近づかねぇし、近づけさせねぇから」

銀時の言葉に、新八は何か思い当たったのか納得したように頷いた。

「あ、ああ・・・なるほど」

「まぁ、総悟のこと頼むな?・・・お前、年のわりにしっかりしてるから」

そう言ってふわりと笑顔をうかべた銀時に、新八は目を瞠った。

「(こ、これ、すっごい破壊力なんですけどぉおおおッ!!?)」

普段が普段なだけに、このギャップは凄まじい破壊力を持って新八の“何か”をぶち壊しにかかった。

「・・・志村?」

固まってしまった新八に首を傾げる銀時のキョトンとした表情も可愛らしい。

「・・・って、男に可愛いって何なんだぁああああッ!!!」

「うをッ!?」

突如叫んだ新八にビクッと肩を揺らす銀時。

「あ、すみません。ちょっと変な扉が開きそうだったんでキッチリ鍵かけときましたから」

ツッコミ担当はなんとか自分の“何か”を守りきったらしい。

「は?・・・はぁ」

「沖田隊長のことは任せてください。僕がしっかりツッコミを入れておきますから」

「あ、ああ・・・頼まァ」

「はい!それでは失礼します!!」

ビシッと敬礼した新八がスタスタと立ち去るのを見送り、銀時はもう一度首を傾げた。

「・・・だ、ダイジョブか、あいつ。総悟にこき使われすぎて壊れちまった、なんてこたァねぇよな?」

―――やっぱり、いろいろと無自覚な銀時なのだった。


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