Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・完全捏造設定です!
・原作かなり無視しています!
・オリジナルキャラクターがわんさか出ます
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・まったく・・・久々に帰って来てみりゃ、またあのあんちゃんは厄介事を抱え込んでやがるのか」
呆れてものが言えないと言わんばかりの男の声音に、女は思わず苦笑した。
「しょうがないじゃないか、それがアイツなんだよ」
「だからってよォ・・・ったく、借りっぱなしってのは性に合わねェんだよ、お前からもあんちゃんに言ってやれよ。たまには頼れって」
「と言って頼って来る程素直な奴なら最初から苦労はしないさね」
「・・・・・・アイツは知ってんのか?」
「さてねェ。でも情報は入って来てるんじゃないかい?」
女が肩を竦めた時だった。
ガラリと戸が開く音がして、ガックリと肩を落とした娘が入って来る。
「おう、どうだった?」
「・・・・・・アニキ達は留守でした・・・っていうか、お隣さんに聞いたら、今朝方、真選組と一緒にどこかに行ったって・・・」
「タイミングが悪かったな・・・そんなしょげるなよ、平子」
「オヤジ・・・」
銀時に関わって更生(?)した人間というのは、どうしてこうも人が変わったかのようになってしまうのか。
殺し合いをしている時ですら笑顔を崩さなかった平子が、しょぼくれた表情をうかべている。
「・・・まったく、銀時のヤツ。アタシらに何の相談も無しに妙なことばっかり背負いこみやがって」
「まぁ、あのあんちゃんらしいじゃねェか」
溜息交じりにぼやいたお登勢に、次郎長はクツリと笑う。
「そりゃそうなんだろうけどねェ・・・アイツを心配する連中が煩くて敵わないよ」
かくいうお登勢自身も銀時のことが心配でたまらないといったようすを隠しきれていない。
そんなお登勢の顔を見やり、次郎長は席を立った。
「・・・さて、じゃああんちゃんを探しに行ってくるかねェ・・・騒ぎのあるトコにゃ、大体あのあんちゃんがいるだろ」
「クク・・・違いないねェ」
「じゃあ、行くぜ。・・・達者でな」
「ああ、アンタもね・・・また、娘連れてきな。安酒で良けりゃたんまり飲ませてやるよ」
「・・・そりゃ、楽しみだ」
素直じゃない大人達の別れの言葉を黙って聞いていた平子は、お登勢に軽く会釈をして次郎長の後に続いて店を出た。
「・・・で、オヤジ・・・どうやってアニキ達を探すんですか?」
「そうだな・・・まずは、ヤツのトコに行ってみるか」
それが誰を指すのかなんとなくわかってしまった平子は、思わず苦笑をうかべた。
― かまっ娘倶楽部
開店前、店のドアの開かれる音に振り返った西郷は、スゥ、と目を細める。
「・・・あらん、久しぶりじゃないの」
「おう、元気そうだな」
平子を伴って店の中に入って来た次郎長に、西郷はクツリと笑う。
「まぁね・・・娘とは仲良くやってるの?」
「まぁな」
「そう・・・で、ウチには何の用?お酒を飲みたいならまだ開店前よ、出直して来て頂戴」
西郷の言葉に、次郎長は口の端をあげる。
「わかってんだろ?オイラがここに来た理由くれェよ?」
「・・・パー子のことね?」
西郷は溜息をつく。
「残念だけど、何かが起こっているってことくらいしかわからないわ。・・・あぁ、でも・・・幕府の動きがきな臭いわね。どうも真選組を動かして妙な事をしているのよ」
「妙な事?」
「ええ、何でも対テロ対策だとかで、ターミナルを一時停止させるとか何とか・・・」
「・・・テロ、ねェ?」
「でも、昔の知り合いとかに聞いても、そんな犯行予告を出した連中は居ないそうよ」
「テメェのトコでもそれじゃあ、ウチの連中もろくに知らねぇと見て良さそうだな」
次郎長が言えば、西郷は目を軽く瞠った。
「アンタ、自分の組に顔出してないのかい?」
「・・・もう、引退した身で全部勝男に任せてんだ。今更のこのことオヤジ面して顔出せねぇだろ」
「まぁ、そうだろうけどねぇ・・・あぁ、そうだ。パー子のことならヅラ子に聞くのが良いかもしれないわね」
「ヅラ子だァ?」
「知らない?・・・桂小太郎」
「・・・ああ、今じゃすっかり大人しいようだが、一時は爆破テロなんかをよく企てていた、後輩じゃねェか」
「なんだか、パー子とヅラ子は仲良いらしくてねェ・・・同じ戦場で戦っていたからかしらねェ」
「そういや、“狂乱の貴公子”桂と“鬼兵隊”の高杉と今や“快援隊”の社長である坂本ってのは、“白夜叉”と同じ戦場にいたって話だったな」
「・・・“白夜叉”ねぇ・・・そんな大層な二つ名付くようなヤツに見えないんだけど」
「まぁ、普段の様子を見りゃな・・・だが、一度剣を抜きゃあ、ありゃ化けモンだぞ」
「・・・アンタに言われたくないだろうけどねェ」
華陀率いる辰羅族の部隊を2人であっさりと片付けたと聞いた時は、笑いが止まらなかった。心配したこっちがバカだった、と。
「オイラももう歳だ。・・・若い連中の体力には付いてけねェよ」
「よく言うよ、まったく・・・で、パー子のことを調べてどうするつもり?」
「・・・借りを返す。それだけだ」
「ナルホドね・・・まぁ、ワタシもパー子には借りがあるし・・・一緒にヅラ子のところに行ってあげても良いわよ」
ニヤリと笑った西郷に、次郎長もニヤリと笑う。
「・・・おう、頼むぜ」
「・・・・・・・・・・・・・・(アニキに借り返すって顔じゃないです)」
思わず心の内でぼやいた平子は、今頃くしゃみでもしてるんじゃなかろうかと苦笑いをうかべた。
― 吉原桃源郷
「ぶえっくし!!」
「・・・大丈夫か?銀時」
大きなくしゃみをした銀時に、桂は眉を顰める。
「風邪などひいてはおるまいな?作戦は明日なのだぞ?」
「う~・・・風邪なんてひいてねェよ・・・こりゃ、アレだ。噂だ噂」
「噂?」
「そうそう・・・なんかゾクッときたし」
「いや、それは風邪の初期症状ではないのか?」
「だから風邪じゃねェって」
「おい、久坂、銀時を診てやってくれ」
幼馴染が医者で良かったと思う瞬間だ。しかも、久坂は銀時の扱いに慣れている。
「あいよ・・・ほぉら、銀。口をおーきく開けてェ?」
「だからイイって・・・ちょ・・・まっ・・・んが!」
じりじりとにじり寄った久坂に押さえつけられ、銀時は顎を掴まれて無理矢理口を開かされた。
「・・・ん~、銀の言う通り風邪じゃないな。喉も綺麗なモンだし・・・心当たりでもあるのか?」
「いやぁ・・・ありすぎるくらい?」
てへッと笑う銀時に、久坂は苦笑する。
「昔のお前はどっちかっていうと俺達とばかりつるんで、他の連中とは一線引いてた節があったんだがなァ」
「今や逆だもんねェ~・・・やっぱり、大人になったんだよね~、俺達って」
なんでもかんでも抱え込んで困る。そう六花の面子に言われるくらいに人との関わりを断とうとしない銀時に、安心するのと同時に困惑する。
幼い頃は人嫌いな面があり松陽にしか懐かず、自分達と仲良くなってからも、本当に自分が信頼するに値すると認めた者以外には徹底して警戒心を崩さなかった。
そんな銀時が誰も彼もを抱え込んで面倒をみているなどと聞かされても、幼馴染達にはピンとこない。
「あー、思春期だったんだってェ・・・」
ヘラヘラと笑う銀時に、幼馴染達は何とも言えない表情をうかべる。
「・・・ね、銀ちゃん・・・そろそろかぶき町に帰ろうヨ?」
神楽が銀時の傍に寄って来てべったりとひっつく。
どうやら、幼馴染とばかり話す銀時が面白くないらしい。
「あ?ああ・・・そうだな・・・ババァにもしばらく家を空けることを言っとかなきゃならねーしな」
「あ、そうだ。姉上にも言っておかなきゃ・・・」
お登勢のことで思い出したのか、新八が呟く。
「そうか、妙にも言っとかなきゃならねぇか・・・あー、でもなー」
毎度毎度、騒ぎが起こる度に心配をさせているが、今回は事が事だけになかなか言い難い。
「・・・言っておいた方が良いぞ。後から知られて怒られるよりはマシだろう?」
桂が言えば、銀時は口元を引き攣らせた。
「あー・・・まぁ、そうだよなァ。アイツ、後が怖ェんだよなァ」
紅桜の件の時のことを思い出し身震いする銀時に、神楽と新八は苦笑する。
その時、桂の携帯電話が着信を告げる。
「ん・・・なんだ?」
電話に出ると、部下が焦ったように事情を告げる。
なんだか、部下の背後も騒がしい。
「・・・・・・・・・そうか、わかった。すぐに戻る」
桂は大体の事情を聞くとすぐに通話を終えた。
「銀時・・・招かれざる客が来たようだ・・・」
「招かれざる客?」
この状況で桂を訊ねてくる客などいるのだろうか?と、その場にいる面々を見回す銀時。
「・・・・・・西郷殿と他に2人、親子連れの客だそうだ」
「西郷ォ?・・・なんでアイツが・・・ん?親子?」
なんだかその組み合わせ、どっかで聞いたことないだろうか。
「・・・あのオカマの知り合いの親子って、なんか嫌~な記憶と共に思い浮かぶアル」
「奇遇だなァ、神楽。俺もだ・・・」
「僕もです」
「・・・なんだっけ、ホラ、アレだよアレ、ちんぴら~的な?」
「・・・・・・ていうか、お花、頭に咲いてんじゃね?的なヤツですよね?」
「「「・・・」」」
もう、3人の頭の中にはある人物の顔がハッキリと思い浮かべられていた。
「・・・どうしたのだ?」
桂が不思議そうに問うてくるが、説明するのも面倒なほどに厄介な事件だったため3人は黙って首を振った。
「・・・では、行くぞ?」
「じゃ、俺等も一緒に行くか~。な?」
「そうだな、銀がここまで動揺する客っていうのも見てみたいしな」
「確かに」
「・・・くそ、オメェら他人事だと思って・・・!」
悔しそうに呟く銀時を引き摺りながら、桂達が部屋を出て行く。
「・・・俺達も帰るか」
「ですねィ」
「・・・・・・山崎、アイツら追え」
「え!・・・わ、わかりました・・・副長」
真選組もそれぞれに動き出し、作戦会議はグダグダな感じで終わったのだった。
― 桂一派のアジト
「あ!アニキ~!!」
ブンブンと己を視界に入れると満面の笑みで手を振る若い女。
「よぅ、あんちゃん。また妙なことに首を突っ込んでるらしいな」
ニヤリと笑いながら、こちらを流し見る壮年の男。
「・・・あー・・・なんで、こんな時に限って面倒事が一気にやって来るかねェ」
ぼやかずにはいられない心境で思わず溜息交じりに漏らし、銀時は桂に視線を向けた。
「ワリィ、俺の知り合いだわ」
「・・・だろうとは思ったがな。というか、有名人ではないか」
「うん、ちょー有名人。つか、かぶき町に出入りした人間なら、大体は知ってるようなジジィだしな」
泥水次郎長といえば、かぶき町ではかなりの有名人だ。なにせ、かぶき町四天王とまで言われた男なのだから。
「で・・・おたくら、何の用?俺達ちょーっと忙しいんだよねぇ?」
とりあえず巻き込むわけにはいくまいと銀時が口を開けば、次郎長や平子、西郷にギロリと睨まれた。
「アニキ、酷いです・・・恩返しもさせてくれないんですかぁ?」
「あんちゃん、今、首突っ込んでるヤマは、オイラ達にも少しは関係あるんじゃねェのかい?」
「パー子、ヅラ子、水臭い真似すんじゃないよ」
「うわ・・・なんか知ってるっぽい?」
「さすがに、耳が早いな・・・」
銀時と桂が思わず口元を引き攣らせると、その背後から久坂がその間に割り込んで2人の肩を抱いた。
「イイじゃないか、銀、小太郎・・・手伝ってもらおう。攘夷の大先輩達に、な?」
バチリ、と不器用にウインクした久坂にはどうやら考えがあるようで、銀時と桂は渋々ながら頷いた。
「よし、じゃあ・・・まるっと吐いて貰うぜェ?あんちゃん」
「ちゃっちゃと吐きなさい、パー子、ヅラ子」
手助けというよりも、最早脅迫に近いんではなかろうか。
そんなことを思いながらも、銀時と桂は洗いざらい白状させられる。
「チッ、そういうことだったのか・・・じゃあ、同じ部隊にバカ強ェのが揃ってたのも、偶然じゃねェっつぅことか・・・」
「アンタも大層な理由持って、攘夷戦争に参加してたのねェ」
眉根を寄せる次郎長と、しみじみと呟く西郷。
「・・・ったく、無理矢理吐かせるとか・・・このクソジジィ」
「こ、怖かった・・・むしろ、西郷殿のどアップが怖かった!!」
少々顔色が悪い2人に苦笑を浮かべつつ、久坂が次郎長と西郷の前に立つ。
「・・・まぁ、事情もわかってもらったところで・・・先輩方には別部隊を手伝ってもらいましょうかね?」
「「?」」
「そそ、本隊の方は結構人数足りちゃってるんですよね~」
「先輩方のお気持ちは嬉しいが、これ以上の人員は逆に混乱の元となりかねない」
「・・・というわけで、別部隊の方へ連絡をとりましたから、よろしくお願いしますねー?」
――――何というか、さすが“才の久坂”と言われるだけはあるな、と思いました。・・・・・・あれ、作文?
「・・・玄ちゃん、いつの間に」
「まぁ、お前等が白状してる間に?・・・今、迎えが来ると思うよ?」
ニコニコと答えてくれる幼馴染が、ちょっと怖いな、と思った銀時だった。
ほどなくして、アジトに六花が一人、水澄がやって来た。
「銀時様!」
銀時の顔を見るなり表情を輝かせた水澄に、銀時は苦笑をうかべた。
「まったく、オメェは本当に“もぐり”は任せられねェなァ・・・こうも表情に出ちまうんじゃ」
「あ、す、すいません!」
「まぁ、いいさ・・・どうせ、今回で“ケリ”はつくんだろ?」
銀時の問いに、水澄はギクリと肩を跳ね上げさせた。
「・・・水澄」
「す、すみません!!えっと、こちらの方達を俺達の部隊に組み込めばいいんですよね!!」
桂が問い質そうとした時、水澄は慌てて次郎長や平子、西郷の傍に走り寄る。
「えっと、とりあえず詳しい説明は、あちらで・・・!」
余程、春霞と夏霧に脅されてきたらしいと悟ると、六花を知るメンバーは思わず苦笑をうかべた。
「ったく、アイツらも容赦ねェからな・・・」
それもこれも、銀時の影響を受けまくったせいなのだが、当人にはその自覚は無いらしい。
「・・・ま、銀時を手本にしてるからね~」
「は?それどーいう意味だよ、十一?」
「ん~、まぁ、銀時はわかんなくていいと思うよ~?」
自覚された日には、ますます銀時色に染められる連中が出てきそうで怖い。
「・・・先生も、怒ったら怖かったもんな~」
銀時の目的を達成するためには手段を選ばないやり方は、間違いなく松陽直伝のものだ。
つまりは、もとを糺せば、元凶は自分達の師である松陽だ。
「まぁ、先生の話はともかくとして、銀にもそれなりの素質があったんだろ」
「・・・結構、いじられてた記憶があるなー、主に晋助が」
「ああ、そうだな・・・よく、自分から絡まれに行っていたな、主に晋助が」
「晋は、銀が大好きだからなぁ」
「それ、本人達に言ったらブッ飛ばされるよ~」
話をその一言でまとめた久坂に、入江が苦笑をうかべながらツッコミを入れたのだった。
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・完全捏造設定です!
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・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・まったく・・・久々に帰って来てみりゃ、またあのあんちゃんは厄介事を抱え込んでやがるのか」
呆れてものが言えないと言わんばかりの男の声音に、女は思わず苦笑した。
「しょうがないじゃないか、それがアイツなんだよ」
「だからってよォ・・・ったく、借りっぱなしってのは性に合わねェんだよ、お前からもあんちゃんに言ってやれよ。たまには頼れって」
「と言って頼って来る程素直な奴なら最初から苦労はしないさね」
「・・・・・・アイツは知ってんのか?」
「さてねェ。でも情報は入って来てるんじゃないかい?」
女が肩を竦めた時だった。
ガラリと戸が開く音がして、ガックリと肩を落とした娘が入って来る。
「おう、どうだった?」
「・・・・・・アニキ達は留守でした・・・っていうか、お隣さんに聞いたら、今朝方、真選組と一緒にどこかに行ったって・・・」
「タイミングが悪かったな・・・そんなしょげるなよ、平子」
「オヤジ・・・」
銀時に関わって更生(?)した人間というのは、どうしてこうも人が変わったかのようになってしまうのか。
殺し合いをしている時ですら笑顔を崩さなかった平子が、しょぼくれた表情をうかべている。
「・・・まったく、銀時のヤツ。アタシらに何の相談も無しに妙なことばっかり背負いこみやがって」
「まぁ、あのあんちゃんらしいじゃねェか」
溜息交じりにぼやいたお登勢に、次郎長はクツリと笑う。
「そりゃそうなんだろうけどねェ・・・アイツを心配する連中が煩くて敵わないよ」
かくいうお登勢自身も銀時のことが心配でたまらないといったようすを隠しきれていない。
そんなお登勢の顔を見やり、次郎長は席を立った。
「・・・さて、じゃああんちゃんを探しに行ってくるかねェ・・・騒ぎのあるトコにゃ、大体あのあんちゃんがいるだろ」
「クク・・・違いないねェ」
「じゃあ、行くぜ。・・・達者でな」
「ああ、アンタもね・・・また、娘連れてきな。安酒で良けりゃたんまり飲ませてやるよ」
「・・・そりゃ、楽しみだ」
素直じゃない大人達の別れの言葉を黙って聞いていた平子は、お登勢に軽く会釈をして次郎長の後に続いて店を出た。
「・・・で、オヤジ・・・どうやってアニキ達を探すんですか?」
「そうだな・・・まずは、ヤツのトコに行ってみるか」
それが誰を指すのかなんとなくわかってしまった平子は、思わず苦笑をうかべた。
― かまっ娘倶楽部
開店前、店のドアの開かれる音に振り返った西郷は、スゥ、と目を細める。
「・・・あらん、久しぶりじゃないの」
「おう、元気そうだな」
平子を伴って店の中に入って来た次郎長に、西郷はクツリと笑う。
「まぁね・・・娘とは仲良くやってるの?」
「まぁな」
「そう・・・で、ウチには何の用?お酒を飲みたいならまだ開店前よ、出直して来て頂戴」
西郷の言葉に、次郎長は口の端をあげる。
「わかってんだろ?オイラがここに来た理由くれェよ?」
「・・・パー子のことね?」
西郷は溜息をつく。
「残念だけど、何かが起こっているってことくらいしかわからないわ。・・・あぁ、でも・・・幕府の動きがきな臭いわね。どうも真選組を動かして妙な事をしているのよ」
「妙な事?」
「ええ、何でも対テロ対策だとかで、ターミナルを一時停止させるとか何とか・・・」
「・・・テロ、ねェ?」
「でも、昔の知り合いとかに聞いても、そんな犯行予告を出した連中は居ないそうよ」
「テメェのトコでもそれじゃあ、ウチの連中もろくに知らねぇと見て良さそうだな」
次郎長が言えば、西郷は目を軽く瞠った。
「アンタ、自分の組に顔出してないのかい?」
「・・・もう、引退した身で全部勝男に任せてんだ。今更のこのことオヤジ面して顔出せねぇだろ」
「まぁ、そうだろうけどねぇ・・・あぁ、そうだ。パー子のことならヅラ子に聞くのが良いかもしれないわね」
「ヅラ子だァ?」
「知らない?・・・桂小太郎」
「・・・ああ、今じゃすっかり大人しいようだが、一時は爆破テロなんかをよく企てていた、後輩じゃねェか」
「なんだか、パー子とヅラ子は仲良いらしくてねェ・・・同じ戦場で戦っていたからかしらねェ」
「そういや、“狂乱の貴公子”桂と“鬼兵隊”の高杉と今や“快援隊”の社長である坂本ってのは、“白夜叉”と同じ戦場にいたって話だったな」
「・・・“白夜叉”ねぇ・・・そんな大層な二つ名付くようなヤツに見えないんだけど」
「まぁ、普段の様子を見りゃな・・・だが、一度剣を抜きゃあ、ありゃ化けモンだぞ」
「・・・アンタに言われたくないだろうけどねェ」
華陀率いる辰羅族の部隊を2人であっさりと片付けたと聞いた時は、笑いが止まらなかった。心配したこっちがバカだった、と。
「オイラももう歳だ。・・・若い連中の体力には付いてけねェよ」
「よく言うよ、まったく・・・で、パー子のことを調べてどうするつもり?」
「・・・借りを返す。それだけだ」
「ナルホドね・・・まぁ、ワタシもパー子には借りがあるし・・・一緒にヅラ子のところに行ってあげても良いわよ」
ニヤリと笑った西郷に、次郎長もニヤリと笑う。
「・・・おう、頼むぜ」
「・・・・・・・・・・・・・・(アニキに借り返すって顔じゃないです)」
思わず心の内でぼやいた平子は、今頃くしゃみでもしてるんじゃなかろうかと苦笑いをうかべた。
― 吉原桃源郷
「ぶえっくし!!」
「・・・大丈夫か?銀時」
大きなくしゃみをした銀時に、桂は眉を顰める。
「風邪などひいてはおるまいな?作戦は明日なのだぞ?」
「う~・・・風邪なんてひいてねェよ・・・こりゃ、アレだ。噂だ噂」
「噂?」
「そうそう・・・なんかゾクッときたし」
「いや、それは風邪の初期症状ではないのか?」
「だから風邪じゃねェって」
「おい、久坂、銀時を診てやってくれ」
幼馴染が医者で良かったと思う瞬間だ。しかも、久坂は銀時の扱いに慣れている。
「あいよ・・・ほぉら、銀。口をおーきく開けてェ?」
「だからイイって・・・ちょ・・・まっ・・・んが!」
じりじりとにじり寄った久坂に押さえつけられ、銀時は顎を掴まれて無理矢理口を開かされた。
「・・・ん~、銀の言う通り風邪じゃないな。喉も綺麗なモンだし・・・心当たりでもあるのか?」
「いやぁ・・・ありすぎるくらい?」
てへッと笑う銀時に、久坂は苦笑する。
「昔のお前はどっちかっていうと俺達とばかりつるんで、他の連中とは一線引いてた節があったんだがなァ」
「今や逆だもんねェ~・・・やっぱり、大人になったんだよね~、俺達って」
なんでもかんでも抱え込んで困る。そう六花の面子に言われるくらいに人との関わりを断とうとしない銀時に、安心するのと同時に困惑する。
幼い頃は人嫌いな面があり松陽にしか懐かず、自分達と仲良くなってからも、本当に自分が信頼するに値すると認めた者以外には徹底して警戒心を崩さなかった。
そんな銀時が誰も彼もを抱え込んで面倒をみているなどと聞かされても、幼馴染達にはピンとこない。
「あー、思春期だったんだってェ・・・」
ヘラヘラと笑う銀時に、幼馴染達は何とも言えない表情をうかべる。
「・・・ね、銀ちゃん・・・そろそろかぶき町に帰ろうヨ?」
神楽が銀時の傍に寄って来てべったりとひっつく。
どうやら、幼馴染とばかり話す銀時が面白くないらしい。
「あ?ああ・・・そうだな・・・ババァにもしばらく家を空けることを言っとかなきゃならねーしな」
「あ、そうだ。姉上にも言っておかなきゃ・・・」
お登勢のことで思い出したのか、新八が呟く。
「そうか、妙にも言っとかなきゃならねぇか・・・あー、でもなー」
毎度毎度、騒ぎが起こる度に心配をさせているが、今回は事が事だけになかなか言い難い。
「・・・言っておいた方が良いぞ。後から知られて怒られるよりはマシだろう?」
桂が言えば、銀時は口元を引き攣らせた。
「あー・・・まぁ、そうだよなァ。アイツ、後が怖ェんだよなァ」
紅桜の件の時のことを思い出し身震いする銀時に、神楽と新八は苦笑する。
その時、桂の携帯電話が着信を告げる。
「ん・・・なんだ?」
電話に出ると、部下が焦ったように事情を告げる。
なんだか、部下の背後も騒がしい。
「・・・・・・・・・そうか、わかった。すぐに戻る」
桂は大体の事情を聞くとすぐに通話を終えた。
「銀時・・・招かれざる客が来たようだ・・・」
「招かれざる客?」
この状況で桂を訊ねてくる客などいるのだろうか?と、その場にいる面々を見回す銀時。
「・・・・・・西郷殿と他に2人、親子連れの客だそうだ」
「西郷ォ?・・・なんでアイツが・・・ん?親子?」
なんだかその組み合わせ、どっかで聞いたことないだろうか。
「・・・あのオカマの知り合いの親子って、なんか嫌~な記憶と共に思い浮かぶアル」
「奇遇だなァ、神楽。俺もだ・・・」
「僕もです」
「・・・なんだっけ、ホラ、アレだよアレ、ちんぴら~的な?」
「・・・・・・ていうか、お花、頭に咲いてんじゃね?的なヤツですよね?」
「「「・・・」」」
もう、3人の頭の中にはある人物の顔がハッキリと思い浮かべられていた。
「・・・どうしたのだ?」
桂が不思議そうに問うてくるが、説明するのも面倒なほどに厄介な事件だったため3人は黙って首を振った。
「・・・では、行くぞ?」
「じゃ、俺等も一緒に行くか~。な?」
「そうだな、銀がここまで動揺する客っていうのも見てみたいしな」
「確かに」
「・・・くそ、オメェら他人事だと思って・・・!」
悔しそうに呟く銀時を引き摺りながら、桂達が部屋を出て行く。
「・・・俺達も帰るか」
「ですねィ」
「・・・・・・山崎、アイツら追え」
「え!・・・わ、わかりました・・・副長」
真選組もそれぞれに動き出し、作戦会議はグダグダな感じで終わったのだった。
― 桂一派のアジト
「あ!アニキ~!!」
ブンブンと己を視界に入れると満面の笑みで手を振る若い女。
「よぅ、あんちゃん。また妙なことに首を突っ込んでるらしいな」
ニヤリと笑いながら、こちらを流し見る壮年の男。
「・・・あー・・・なんで、こんな時に限って面倒事が一気にやって来るかねェ」
ぼやかずにはいられない心境で思わず溜息交じりに漏らし、銀時は桂に視線を向けた。
「ワリィ、俺の知り合いだわ」
「・・・だろうとは思ったがな。というか、有名人ではないか」
「うん、ちょー有名人。つか、かぶき町に出入りした人間なら、大体は知ってるようなジジィだしな」
泥水次郎長といえば、かぶき町ではかなりの有名人だ。なにせ、かぶき町四天王とまで言われた男なのだから。
「で・・・おたくら、何の用?俺達ちょーっと忙しいんだよねぇ?」
とりあえず巻き込むわけにはいくまいと銀時が口を開けば、次郎長や平子、西郷にギロリと睨まれた。
「アニキ、酷いです・・・恩返しもさせてくれないんですかぁ?」
「あんちゃん、今、首突っ込んでるヤマは、オイラ達にも少しは関係あるんじゃねェのかい?」
「パー子、ヅラ子、水臭い真似すんじゃないよ」
「うわ・・・なんか知ってるっぽい?」
「さすがに、耳が早いな・・・」
銀時と桂が思わず口元を引き攣らせると、その背後から久坂がその間に割り込んで2人の肩を抱いた。
「イイじゃないか、銀、小太郎・・・手伝ってもらおう。攘夷の大先輩達に、な?」
バチリ、と不器用にウインクした久坂にはどうやら考えがあるようで、銀時と桂は渋々ながら頷いた。
「よし、じゃあ・・・まるっと吐いて貰うぜェ?あんちゃん」
「ちゃっちゃと吐きなさい、パー子、ヅラ子」
手助けというよりも、最早脅迫に近いんではなかろうか。
そんなことを思いながらも、銀時と桂は洗いざらい白状させられる。
「チッ、そういうことだったのか・・・じゃあ、同じ部隊にバカ強ェのが揃ってたのも、偶然じゃねェっつぅことか・・・」
「アンタも大層な理由持って、攘夷戦争に参加してたのねェ」
眉根を寄せる次郎長と、しみじみと呟く西郷。
「・・・ったく、無理矢理吐かせるとか・・・このクソジジィ」
「こ、怖かった・・・むしろ、西郷殿のどアップが怖かった!!」
少々顔色が悪い2人に苦笑を浮かべつつ、久坂が次郎長と西郷の前に立つ。
「・・・まぁ、事情もわかってもらったところで・・・先輩方には別部隊を手伝ってもらいましょうかね?」
「「?」」
「そそ、本隊の方は結構人数足りちゃってるんですよね~」
「先輩方のお気持ちは嬉しいが、これ以上の人員は逆に混乱の元となりかねない」
「・・・というわけで、別部隊の方へ連絡をとりましたから、よろしくお願いしますねー?」
――――何というか、さすが“才の久坂”と言われるだけはあるな、と思いました。・・・・・・あれ、作文?
「・・・玄ちゃん、いつの間に」
「まぁ、お前等が白状してる間に?・・・今、迎えが来ると思うよ?」
ニコニコと答えてくれる幼馴染が、ちょっと怖いな、と思った銀時だった。
ほどなくして、アジトに六花が一人、水澄がやって来た。
「銀時様!」
銀時の顔を見るなり表情を輝かせた水澄に、銀時は苦笑をうかべた。
「まったく、オメェは本当に“もぐり”は任せられねェなァ・・・こうも表情に出ちまうんじゃ」
「あ、す、すいません!」
「まぁ、いいさ・・・どうせ、今回で“ケリ”はつくんだろ?」
銀時の問いに、水澄はギクリと肩を跳ね上げさせた。
「・・・水澄」
「す、すみません!!えっと、こちらの方達を俺達の部隊に組み込めばいいんですよね!!」
桂が問い質そうとした時、水澄は慌てて次郎長や平子、西郷の傍に走り寄る。
「えっと、とりあえず詳しい説明は、あちらで・・・!」
余程、春霞と夏霧に脅されてきたらしいと悟ると、六花を知るメンバーは思わず苦笑をうかべた。
「ったく、アイツらも容赦ねェからな・・・」
それもこれも、銀時の影響を受けまくったせいなのだが、当人にはその自覚は無いらしい。
「・・・ま、銀時を手本にしてるからね~」
「は?それどーいう意味だよ、十一?」
「ん~、まぁ、銀時はわかんなくていいと思うよ~?」
自覚された日には、ますます銀時色に染められる連中が出てきそうで怖い。
「・・・先生も、怒ったら怖かったもんな~」
銀時の目的を達成するためには手段を選ばないやり方は、間違いなく松陽直伝のものだ。
つまりは、もとを糺せば、元凶は自分達の師である松陽だ。
「まぁ、先生の話はともかくとして、銀にもそれなりの素質があったんだろ」
「・・・結構、いじられてた記憶があるなー、主に晋助が」
「ああ、そうだな・・・よく、自分から絡まれに行っていたな、主に晋助が」
「晋は、銀が大好きだからなぁ」
「それ、本人達に言ったらブッ飛ばされるよ~」
話をその一言でまとめた久坂に、入江が苦笑をうかべながらツッコミを入れたのだった。
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