Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・あくまでも二次創作であることを前提にお読みください
・一国傾城編の過去話は完全に無視の状態です
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
最初に松陽の様子がおかしいと気付いたのは、一体誰だっただろうか。
道場から呼び戻され、まったりとお茶を飲んでいたところまでは普通だったのだが、時折、外へと視線を向けるその目に浮かぶ感情は、焦りかそれとも怒りか―――。
「吉田さん?」
沖田達の視線に促されて、土方が口を開く。
「・・・あ、ああ・・・すみません。なんでしょうか?」
明らかに心ここにあらずといった様子の松陽に、子ども達も気遣わしげに視線を向ける。
「あー・・・その、なんだ。具合が悪いなら、部屋で休んだ方が良いんじゃねェのか?」
「いえ・・・具合が悪いというわけではないんですよ。ただ、ちょっと気がかりなことがありましてね。・・・気にしないでください、大したことじゃないんです」
「・・・まぁ・・・吉田さんが、そう言うなら・・・」
沖田達と互いに視線を交わらせ、これ以上の情報は得られないと判断した土方は大人しく引き下がった。
子ども達もそんな空気を感じ取ったのか、聞き出そうとはせずに、ぴったりと松陽の傍にくっついた。
「?・・・銀時?小太郎??晋助???」
そんな子ども達の態度に、松陽は不思議そうに首を傾げた。
いつもなら、子ども達の気持ちを悟って苦笑するだろうに、それすらも気付けないほどに心を煩わせているものがある、ということなのだろう。
嫌な予感が脳裏を過る。
元いた時代に戻るために必要であればどんなことでもするつもりだ。だが、それが銀時達の今の生活を一変させかねないことであったのなら・・・。
「・・・どうしたらいい」
ポツリ、と呟いた声は思いの外、室内に響いた。
「土方さん?」
松陽がキョトリとする。
「・・・・・・何でもねェ。今日は夕飯も要らねえよ、ちょっと頭冷やしてェんだ」
のそりと立ち上がり、土方は皆に背を向けて自室へと向かう。
残された面々は何とも言えない微妙な空気に言葉を詰まらせる。
「・・・あ、えーと、じゃあ1人分抜いて、お夕飯作っちゃいますね!あ、ほらほら、小太郎君も晋助君もそろそろ帰る時間じゃないかな?」
「え、あ!本当だ!」
「早く帰らないと・・・」
桂はともかく、高杉は深刻だった。約束の時刻までに帰らなければもう2度と松陽の家に行くなと言われかねないからだ。
「若様!お早く、お早くお戻りください!」
ちょうど良く、女中のお咲が迎えに来る。
「お咲、父上は?」
「まもなくお帰りです、今日はお仕事が早く終わられたということで・・・侍従が既に帰って来ておりますから・・・!」
「マズイ・・・松陽先生!また明日!!」
「ええ、また明日」
「俺も帰ります。さようなら、先生」
「はい、さようなら。2人とも気をつけて帰るんですよ」
「「はい!」」
慌ただしく帰って行く2人を見送り、松陽はそのまま空を見上げる。
「雨・・・止みそうにありませんねェ」
「・・・先生?」
銀時が心配そうに松陽を見つめる。
「・・・いっそ、雨が全てを洗い流してくれたらいいのに・・・」
切なげに呟いた松陽の心中を知るのは、もう少し先のこと。
数日後、雨上がりの曇り空を見上げる。
最近では戦争も激しくなってきて、村塾に通ってくる子どもも少なくなった。
松陽は普段通りに振舞ってはいるものの、時折、庭の方を恨めしげに見やる姿をたびたび見かける。
「土方さん・・・考えたくはねェですが、松陽先生は誰かに脅されてんですかねィ?」
「・・・もし、そうだとしたら・・・吉田さんは」
沖田の言葉に、土方は眉間のしわを深くした。
「副長、沖田隊長・・・先生が呼んでますよ」
縁側でボーっとしている2人に、山崎が声をかける。
「吉田さんが?」
「はい」
「・・・・・・じゃあ、行きましょうかねィ」
「ああ・・・」
重い腰をあげ、松陽の部屋へと向かう。
先日から感じている嫌な予感が、ますます強く警戒音を鳴らす。
「・・・まさか・・・まさか、な」
ふと脳裏を過ったモノを土方は頭を振って振り払おうとする。
だが、こびりついてしまったそれは、中々消えてはくれなかった。
そして、松陽の部屋に入った土方と沖田と山崎は、松陽が穏やかに微笑んで自分達を迎えたのを見てぞくりと肌を粟立てた。その笑顔は、まるで死を覚悟した者のそれだったからだ。
「松陽、先生?」
沖田が声を詰まらせながらその名を口にする。
「・・・皆さんにお見せしたいものがあります」
松陽は目を細め、タンスの奥から布に包まれた何かを取り出した。
「・・・それ、は?」
土方が問う、すると、松陽はクスリと笑ってその包みを解いた。
「・・・・・・矢、ですか?」
山崎が不思議そうにそれを見つめる。
「ええ、矢です。先日、庭に向かってコレが放たれました」
「「「!!」」」
「そして、コレにはこの文が油紙に包まれて括り付けられていました」
懐から出した文を土方に手渡すと、松陽はスッと目を閉じた。
「・・・・・・吉田さん・・・これは」
内容に目を通した土方はその文を沖田に手渡し、松陽を真っ直ぐに見つめる。
「・・・ええ、脅しですね。明らかに私のしていることを面白く思っていない者の仕業でしょう」
目を閉じたままの松陽は、淡々と答える。
「・・・松陽先生、今からでも遅くねェでさァ!萩から離れた方が良い!」
文を持ったまま沖田が叫ぶ。
「いいえ、私は脅しには屈しませんし、ここから離れもしません」
「松陽先生!!」
「私は自分の信念を貫きます。けして曲げることはない。・・・どんなに卑怯な手を使ってこようとも、己の魂だけは穢させはしない」
カッと見開いた松陽の目は爛々と輝き、強い眼光に射られた土方達は思わず言葉を失った。
「こんな事を言えば勝手だと皆さんは仰るでしょうが・・・もし、私に何かあっても、絶対に手を出さないでください」
「でも・・・ッ!」
山崎が反論を試みようとした時、す、と土方がそれを遮った。
「・・・過去は変えられねェ・・・俺達が過去に来ちまったことはしょうがないとしても、それ以上のコトはするなってことだな?」
「・・・ええ、そういうことです。・・・この先、あの子達は重大な決断を迫られる時が何度となくあるでしょう。それを乗り越え皆さんの元いた時代に生きている。・・・ならば、ここで過去を変えたら、未来が変わっちゃうかもしれないでしょう?未来から来た貴方達にだって影響があるかもしれない。だから、絶対に手を出さないでください。何があっても。たとえ・・・・・・私が、死んでも」
ひゅ、と息を呑んだのは誰か。
もしそれが現実になった時、手を出さずにいられるかと聞かれれば、答えは“否”だ。だが、タイムパラドックスの恐ろしさは、フィクションの世界でも語られる通りだ。
真選組が無くなっているかもしれない。
もしかしたら、自分達が消えてしまう可能性だってある。
そう、近藤だって、どうなるかわからないーーー。
些細なことで未来が大きく変わってしまうかもしれない。もしもの世界があるとしたら、それこそ星の数を軽く超えるだろう。
もし、あの時こうしていたら。そう思うことはきっと一生に何度もあるのだから。
「・・・わかった」
「土方さん!?」
「副長!!」
「俺は見捨てるぞ、アンタをな」
「ええ、構いませんよ」
「・・・・・・悪いな、俺が一番大事なのは、真選組と近藤さんなんだ・・・」
土方の言葉に、沖田と山崎はハッとして口を噤んだ。
過去の理不尽さに憤るあまり、元いた時代のことを失念していた。
「すいやせん、松陽先生・・・俺も、大事なもんが未来にたくさんあるんでィ」
「先生・・・俺もです」
「・・・それで、良いんですよ」
その達観しきった笑顔。
思い返せば、それが土方達が見た松陽の最後の笑顔だったーーー。
その夜ーーー雷鳴が轟く中、影が蠢く。
「・・・悪く思うなよ、地球人・・・・・・貴様の思想は我々にとって危険すぎるのだ」
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・あくまでも二次創作であることを前提にお読みください
・一国傾城編の過去話は完全に無視の状態です
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
最初に松陽の様子がおかしいと気付いたのは、一体誰だっただろうか。
道場から呼び戻され、まったりとお茶を飲んでいたところまでは普通だったのだが、時折、外へと視線を向けるその目に浮かぶ感情は、焦りかそれとも怒りか―――。
「吉田さん?」
沖田達の視線に促されて、土方が口を開く。
「・・・あ、ああ・・・すみません。なんでしょうか?」
明らかに心ここにあらずといった様子の松陽に、子ども達も気遣わしげに視線を向ける。
「あー・・・その、なんだ。具合が悪いなら、部屋で休んだ方が良いんじゃねェのか?」
「いえ・・・具合が悪いというわけではないんですよ。ただ、ちょっと気がかりなことがありましてね。・・・気にしないでください、大したことじゃないんです」
「・・・まぁ・・・吉田さんが、そう言うなら・・・」
沖田達と互いに視線を交わらせ、これ以上の情報は得られないと判断した土方は大人しく引き下がった。
子ども達もそんな空気を感じ取ったのか、聞き出そうとはせずに、ぴったりと松陽の傍にくっついた。
「?・・・銀時?小太郎??晋助???」
そんな子ども達の態度に、松陽は不思議そうに首を傾げた。
いつもなら、子ども達の気持ちを悟って苦笑するだろうに、それすらも気付けないほどに心を煩わせているものがある、ということなのだろう。
嫌な予感が脳裏を過る。
元いた時代に戻るために必要であればどんなことでもするつもりだ。だが、それが銀時達の今の生活を一変させかねないことであったのなら・・・。
「・・・どうしたらいい」
ポツリ、と呟いた声は思いの外、室内に響いた。
「土方さん?」
松陽がキョトリとする。
「・・・・・・何でもねェ。今日は夕飯も要らねえよ、ちょっと頭冷やしてェんだ」
のそりと立ち上がり、土方は皆に背を向けて自室へと向かう。
残された面々は何とも言えない微妙な空気に言葉を詰まらせる。
「・・・あ、えーと、じゃあ1人分抜いて、お夕飯作っちゃいますね!あ、ほらほら、小太郎君も晋助君もそろそろ帰る時間じゃないかな?」
「え、あ!本当だ!」
「早く帰らないと・・・」
桂はともかく、高杉は深刻だった。約束の時刻までに帰らなければもう2度と松陽の家に行くなと言われかねないからだ。
「若様!お早く、お早くお戻りください!」
ちょうど良く、女中のお咲が迎えに来る。
「お咲、父上は?」
「まもなくお帰りです、今日はお仕事が早く終わられたということで・・・侍従が既に帰って来ておりますから・・・!」
「マズイ・・・松陽先生!また明日!!」
「ええ、また明日」
「俺も帰ります。さようなら、先生」
「はい、さようなら。2人とも気をつけて帰るんですよ」
「「はい!」」
慌ただしく帰って行く2人を見送り、松陽はそのまま空を見上げる。
「雨・・・止みそうにありませんねェ」
「・・・先生?」
銀時が心配そうに松陽を見つめる。
「・・・いっそ、雨が全てを洗い流してくれたらいいのに・・・」
切なげに呟いた松陽の心中を知るのは、もう少し先のこと。
数日後、雨上がりの曇り空を見上げる。
最近では戦争も激しくなってきて、村塾に通ってくる子どもも少なくなった。
松陽は普段通りに振舞ってはいるものの、時折、庭の方を恨めしげに見やる姿をたびたび見かける。
「土方さん・・・考えたくはねェですが、松陽先生は誰かに脅されてんですかねィ?」
「・・・もし、そうだとしたら・・・吉田さんは」
沖田の言葉に、土方は眉間のしわを深くした。
「副長、沖田隊長・・・先生が呼んでますよ」
縁側でボーっとしている2人に、山崎が声をかける。
「吉田さんが?」
「はい」
「・・・・・・じゃあ、行きましょうかねィ」
「ああ・・・」
重い腰をあげ、松陽の部屋へと向かう。
先日から感じている嫌な予感が、ますます強く警戒音を鳴らす。
「・・・まさか・・・まさか、な」
ふと脳裏を過ったモノを土方は頭を振って振り払おうとする。
だが、こびりついてしまったそれは、中々消えてはくれなかった。
そして、松陽の部屋に入った土方と沖田と山崎は、松陽が穏やかに微笑んで自分達を迎えたのを見てぞくりと肌を粟立てた。その笑顔は、まるで死を覚悟した者のそれだったからだ。
「松陽、先生?」
沖田が声を詰まらせながらその名を口にする。
「・・・皆さんにお見せしたいものがあります」
松陽は目を細め、タンスの奥から布に包まれた何かを取り出した。
「・・・それ、は?」
土方が問う、すると、松陽はクスリと笑ってその包みを解いた。
「・・・・・・矢、ですか?」
山崎が不思議そうにそれを見つめる。
「ええ、矢です。先日、庭に向かってコレが放たれました」
「「「!!」」」
「そして、コレにはこの文が油紙に包まれて括り付けられていました」
懐から出した文を土方に手渡すと、松陽はスッと目を閉じた。
「・・・・・・吉田さん・・・これは」
内容に目を通した土方はその文を沖田に手渡し、松陽を真っ直ぐに見つめる。
「・・・ええ、脅しですね。明らかに私のしていることを面白く思っていない者の仕業でしょう」
目を閉じたままの松陽は、淡々と答える。
「・・・松陽先生、今からでも遅くねェでさァ!萩から離れた方が良い!」
文を持ったまま沖田が叫ぶ。
「いいえ、私は脅しには屈しませんし、ここから離れもしません」
「松陽先生!!」
「私は自分の信念を貫きます。けして曲げることはない。・・・どんなに卑怯な手を使ってこようとも、己の魂だけは穢させはしない」
カッと見開いた松陽の目は爛々と輝き、強い眼光に射られた土方達は思わず言葉を失った。
「こんな事を言えば勝手だと皆さんは仰るでしょうが・・・もし、私に何かあっても、絶対に手を出さないでください」
「でも・・・ッ!」
山崎が反論を試みようとした時、す、と土方がそれを遮った。
「・・・過去は変えられねェ・・・俺達が過去に来ちまったことはしょうがないとしても、それ以上のコトはするなってことだな?」
「・・・ええ、そういうことです。・・・この先、あの子達は重大な決断を迫られる時が何度となくあるでしょう。それを乗り越え皆さんの元いた時代に生きている。・・・ならば、ここで過去を変えたら、未来が変わっちゃうかもしれないでしょう?未来から来た貴方達にだって影響があるかもしれない。だから、絶対に手を出さないでください。何があっても。たとえ・・・・・・私が、死んでも」
ひゅ、と息を呑んだのは誰か。
もしそれが現実になった時、手を出さずにいられるかと聞かれれば、答えは“否”だ。だが、タイムパラドックスの恐ろしさは、フィクションの世界でも語られる通りだ。
真選組が無くなっているかもしれない。
もしかしたら、自分達が消えてしまう可能性だってある。
そう、近藤だって、どうなるかわからないーーー。
些細なことで未来が大きく変わってしまうかもしれない。もしもの世界があるとしたら、それこそ星の数を軽く超えるだろう。
もし、あの時こうしていたら。そう思うことはきっと一生に何度もあるのだから。
「・・・わかった」
「土方さん!?」
「副長!!」
「俺は見捨てるぞ、アンタをな」
「ええ、構いませんよ」
「・・・・・・悪いな、俺が一番大事なのは、真選組と近藤さんなんだ・・・」
土方の言葉に、沖田と山崎はハッとして口を噤んだ。
過去の理不尽さに憤るあまり、元いた時代のことを失念していた。
「すいやせん、松陽先生・・・俺も、大事なもんが未来にたくさんあるんでィ」
「先生・・・俺もです」
「・・・それで、良いんですよ」
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