Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・あくまでも二次創作であることを前提にお読みください
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
翌日は雨だった。
外で遊ぶこともできず、部屋で教本を読みながらゴロゴロとしている子ども達。
「おい、道場で剣術の稽古とかしねーのか?」
なんとなく暇を持て余しているような子ども達に土方が問えば、銀時がちらりと視線をあげた。
「だって・・・剣術になると俺の一人勝ちだもん。小太郎や晋助がつまんないじゃん」
「・・・じゃあ、俺達が相手してやるっつったらどうする?」
ニヤリ、と笑った土方に、桂と高杉が表情を輝かせた。
実は山崎から“鬼の副長”の逸話をいくつか聞かされていて、土方の実力が気になっていたのだ。
「やる!」
「俺も!!」
「・・・銀時は?」
「・・・・・・やる」
大人と子ども。
そこはもちろん手加減をする気ではいるが、あの対新八戦の銀時の動きを見れば油断は禁物。
「面白くなってきやしたねィ」
ニヤリと笑う沖田に、土方は視線を向けた。
「まずは俺が桂の相手をしてやる。高杉は沖田が相手してやれ」
「りょーかい。手加減はしねーぜ?」
「フン!お前こそ後で吠え面をかくなよ!」
「なー、俺は?」
「テメェは後だ。順番に相手してやるからちょっとだけ待ってろ。良いな?」
「んー、うん。イイよ」
あっさり頷く銀時に、やけに聞きわけが良いなと思うものの、余計なことをいってまたドS発言をされても困るので、土方は黙っていることを決めた。
「じゃあ、道場にレッツゴー!ですね」
山崎が先頭に立ち、子ども達を引き連れて道場へと向かう。
その後ろを土方と沖田は互いに視線を合わすでもなく並んで歩く。
「・・・・・・土方さん、これで一人一人と話をしようって魂胆ですかィ?」
「まぁな。オマエも好きなようにこの時間を使えや。面と向かってきちんと話をするなんざ、俺にゃ無理だ」
「・・・そりゃ、俺だって・・・まぁ、ちょっと聞きてェコトもあったし、有効に使わせてもらいやす」
「・・・ニコマヨとサドヤローがなんだかおかしいネ」
「まぁ、何か考えがあるんでしょ。僕らだって正直手詰まりだし、この時代の桂さんや高杉さんの強さも見てみたいし・・・いいんじゃない?」
「まぁ、そうアルな・・・」
一部始終を見ていた神楽と新八も、なんとはなしにその後をついて行った。
***
竹刀の打ち合う音が道場に響く。
土方も沖田もそれなりに手を抜いてはいるようだが、桂と高杉もただ攻められっぱなしというだけではなく、時折、2人をひやっとさせている瞬間がある。
「さすが、強いですね」
「うん、やっぱり・・・この時代は銀ちゃんがハチャメチャなだけで、他の2人も充分強いアル」
「ハチャメチャってなんだよ~」
土方vs桂、沖田vs高杉の様子を眺めながらの神楽と新八の感想に、銀時がムッとする。
「銀さんは、型が滅茶苦茶なんです。だから先が読めなくて・・・」
「でも、先生は俺より強いぞ」
「じゃあ、松陽先生は銀さんの太刀筋が見えてるんですね・・・実は剣の達人クラス、とか?」
「わかんない・・・アイツら(土方と沖田)も手加減してるみたいだし比べられないけど・・・でも、本気の晋助と小太郎が2人掛かりでも余裕でいなせるくらいは強いよ」
「それ、相当じゃないですか」
子どもながらに桂や高杉の実力はかなりのものだ。この先どんどんと強くなっていくだろうことは間違いない。
その2人が本気になってかかって行っても余裕とは、松陽はどれだけ強いんだと新八は舌を巻く。
「先生・・・強いアルか」
あの温和そうな松陽が戦場で刀を振り回す様子を思いうかべようとした神楽だったが、どうしても縁側でお茶を飲んでほけほけと笑いながら子ども達を眺める松陽しか、うかんでこない。
「でも、先生が強くても強くなくても、どうだっていいんだ」
「?」
「・・・松陽先生について行けば間違いないって思わせてくれたから、それだけで俺には充分なんだ」
「・・・僕達もそうでしたよ?銀さんについて行けば、間違いないって思わせてくれたから・・・傍にいるんですから」
「そうネ。時々どうしようもなくマダオだけど、銀ちゃんはいつだって私達のことを守ってくれたヨ」
「・・・・・・新八、神楽・・・」
思わずと言った様子で言葉を詰まらせた銀時に、神楽が抱きつく。
「銀ちゃん顔が真っ赤ネ!超絶可愛いアル!!」
「ちょ、放せってば!!」
「あはは、ホントだ、耳まで真っ赤だ~」
「新八!神楽を何とかしてくれよ!!」
「嫌ヨ!この銀ちゃんお持ち帰りしたいネ!!」
ジタバタと暴れる銀時を抱きしめながら神楽が言えば、新八が苦笑する。
「いやぁ~・・・それは無理かな」
「えー、だって大人の銀ちゃんじゃこうはいかないネ!」
「まぁ、僕だってチビ銀さんは可愛くて好きだけどね、こう、色々と問題が起こるんではないかと思うわけで・・・」
「ほら!新八もこう言ってるだろ!?放せってば、神楽!」
「む~、つまんないアル!!」
「人をおもちゃにするなぁああ!!」
まるで万事屋の中にいるかのような賑やかさに、土方達も思わず手を止めた。
「おいおい、おまえら・・・こっちは真剣に稽古やってんだ。ちょっと静かにしとけよ~」
とは言うものの、その声に怒気は含まれていない。
銀時が子ども達に振り回されている様子が、現代の彼に被って見えて思わず懐かしくなってしまったからだ。
「あー、帰りてーですねィ・・・何だか、近藤さんのストーキングも旦那の糖尿も、急に懐かしくなってきやした」
「というか、俺達・・・いつになったら帰れるんでしょうね」
沖田が呟き、その呟きに山崎が肩を落とす。
「全く見当がつかないのか?」
そんな土方達に桂が訊ねる。
「・・・全く、だな」
短く土方が答えると、高杉が首を傾げる。
「来た方法を調べればわかるんじゃないのか?」
「その来た方法自体がわかんねーんだよ。全員気付いたらこっちに来てたって感じだからな」
「タイムトラベルの類型としては、人の強い思いによって起こるってのがありましたけどね~。何を強く思ったのか、誰の思いなのか、それがわからないと・・・」
土方の答えに山崎が補足する。
「思い、か・・・」
銀時が呟く。
「銀時?」
「どうした?」
考え込んだ様子の銀時の傍に、桂と高杉が歩み寄る。
「うん・・・コイツ等って未来では俺達に近しい人間だろ?だったら、俺達が先生に逢いたいって強く思ってて、それに巻き込まれたってことは・・・ないかなって」
「でも、それは・・・」
「確かに、俺達の傍に先生がいないことが前提だけど・・・でも、コイツ等の態度見てればわかるだろ?俺達は知っていても、先生のコトは知らなかった」
「つまり・・・」
「嘘だ!・・・そんなコト、あるわけねーだろ!!銀時!ふざけたこと言うなよ!!」
叫んだ高杉が持っていた竹刀を床に叩きつける。
「晋助、落ち着けって・・・」
「煩い!!そんなコト、認めない・・・認めるもんか!!」
伸びてきた銀時の手を振り払い、高杉は道場を走って出て行ってしまう。
「・・・不用意な発言、だな。銀時」
「・・・んー、ちょっとまずかったかな・・・晋助、最近父親が帰って来てピリピリしてっから・・・」
「松陽先生のところに行くなって言われてるらしい」
「最近は毎日お咲さんが迎えに来るもんな」
「・・・高杉もわかってるんだ・・・アイツ、頭は良いからな」
そう言う桂も薄々は気付いてはいたのだろう。未来の自分達の傍には、何らかの理由で松陽がいないのだ、ということを。
「ヅラ・・・」
「ヅラじゃない、桂だ。・・・高杉のコトはお前達が気にすることじゃない」
神妙な顔つきになった神楽に、桂が笑みを向ける。
「・・・おい、お前等にとって、吉田さんってのはどんな存在だ?」
土方が唐突に訊ねる。
キョトンとして目を瞬かせた桂だったが、土方が答えを待っているのに気付いて慌てて自分の中の答えを探した。
「え・・・と、俺にとって先生は・・・人生の師だ。あの人程に確たる信念を持って、それを曲げずにいられる者を、俺は知らない。・・・それに、先生は・・・俺達に生きる術を、意味を与えてくれた」
桂の言葉に頷きつつ、銀時が続けて答える。
「・・・先生が俺を拾ってくれた時に言ってたんだ・・・他人におびえ自分を護るためだけにふるう剣なんて捨てろ、敵を斬るためではない弱き己を斬るために、己を護るのではない己の魂を護るために、その剣をふるえと。・・・俺は、その時から先生の言葉を守って行こうって決めたんだ」
「・・・そう、か」
答える桂や銀時の瞳には一点の曇りもなかった。
***
一方・・・
「おや、晋助?どうしました?」
涙をボロボロと流しながら道場から己の元に走って来た高杉に、松陽は首を傾げた。
「せんせェ・・・嫌だよ、俺、先生の傍に、ずっといる!・・・だから、いなくならないで!!」
その言葉で大よそのことを理解した松陽はその頭をポンポンと軽く叩くように撫でた。
「・・・まぁ、彼等の話を聞けば、気付いて当然ですよね。・・・ねぇ、晋助。私はそれでも君達の心の中に生き続けていければそれでいいと思ってるんですよ。だから、晋助の中の私を、殺さないでくださいね?」
「そんなコトしない!!俺、絶対、先生の傍を離れないから!!!」
「・・・晋助・・・」
抱きついてくる高杉を抱きしめ、松陽は苦笑をうかべた。
父親がここに来ることに難色を示していることは松陽も知っている。だからこそ不安なのだろう。
だが、父親が高杉を心配する気持ちもわかる。今・・・松陽の傍にいるのは危険なのだ。幕府からも天人からも疎まれている己の傍は・・・。
「・・・先生、袴の裾とか肩とか濡れてるよ?どっかに出かけてたの?」
松陽に抱きしめてもらって少し落ち着いたらしい高杉が疑問を口にする。
一瞬、松陽は動揺したが、高杉に悟られぬように笑みをうかべた。
「ええ・・・庭に、大事な書類が飛んでっちゃったんですよ。それを拾いに行ったんです」
懐にしまわれた、それ。
布に包まれてタンスの奥にしまわれた、もの。
子ども達にも、土方達にも、まだ気付かれるわけにはいかなかった。
「・・・さぁ、晋助。仲直りついでに銀時達を呼んで来てください」
「・・・う・・・」
「銀時達だって、混乱してないわけじゃないんですよ?」
「・・・わかりました・・・行ってきます」
「よろしい」
気乗りしない様子で再び道場に向かう高杉を見送り、松陽は懐に手を差し入れる。
出てきたのは一通の手紙。
先程、油紙に包まれたそれが矢にくくりつけられて庭に向けて放たれた。
≪余計な真似をするな≫
手紙には、そのたった一言が書かれていて。
松陽はそれを凪いだ表情で見つめ、再び綺麗に折り畳んで懐にしまい込んだ。
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翌日は雨だった。
外で遊ぶこともできず、部屋で教本を読みながらゴロゴロとしている子ども達。
「おい、道場で剣術の稽古とかしねーのか?」
なんとなく暇を持て余しているような子ども達に土方が問えば、銀時がちらりと視線をあげた。
「だって・・・剣術になると俺の一人勝ちだもん。小太郎や晋助がつまんないじゃん」
「・・・じゃあ、俺達が相手してやるっつったらどうする?」
ニヤリ、と笑った土方に、桂と高杉が表情を輝かせた。
実は山崎から“鬼の副長”の逸話をいくつか聞かされていて、土方の実力が気になっていたのだ。
「やる!」
「俺も!!」
「・・・銀時は?」
「・・・・・・やる」
大人と子ども。
そこはもちろん手加減をする気ではいるが、あの対新八戦の銀時の動きを見れば油断は禁物。
「面白くなってきやしたねィ」
ニヤリと笑う沖田に、土方は視線を向けた。
「まずは俺が桂の相手をしてやる。高杉は沖田が相手してやれ」
「りょーかい。手加減はしねーぜ?」
「フン!お前こそ後で吠え面をかくなよ!」
「なー、俺は?」
「テメェは後だ。順番に相手してやるからちょっとだけ待ってろ。良いな?」
「んー、うん。イイよ」
あっさり頷く銀時に、やけに聞きわけが良いなと思うものの、余計なことをいってまたドS発言をされても困るので、土方は黙っていることを決めた。
「じゃあ、道場にレッツゴー!ですね」
山崎が先頭に立ち、子ども達を引き連れて道場へと向かう。
その後ろを土方と沖田は互いに視線を合わすでもなく並んで歩く。
「・・・・・・土方さん、これで一人一人と話をしようって魂胆ですかィ?」
「まぁな。オマエも好きなようにこの時間を使えや。面と向かってきちんと話をするなんざ、俺にゃ無理だ」
「・・・そりゃ、俺だって・・・まぁ、ちょっと聞きてェコトもあったし、有効に使わせてもらいやす」
「・・・ニコマヨとサドヤローがなんだかおかしいネ」
「まぁ、何か考えがあるんでしょ。僕らだって正直手詰まりだし、この時代の桂さんや高杉さんの強さも見てみたいし・・・いいんじゃない?」
「まぁ、そうアルな・・・」
一部始終を見ていた神楽と新八も、なんとはなしにその後をついて行った。
***
竹刀の打ち合う音が道場に響く。
土方も沖田もそれなりに手を抜いてはいるようだが、桂と高杉もただ攻められっぱなしというだけではなく、時折、2人をひやっとさせている瞬間がある。
「さすが、強いですね」
「うん、やっぱり・・・この時代は銀ちゃんがハチャメチャなだけで、他の2人も充分強いアル」
「ハチャメチャってなんだよ~」
土方vs桂、沖田vs高杉の様子を眺めながらの神楽と新八の感想に、銀時がムッとする。
「銀さんは、型が滅茶苦茶なんです。だから先が読めなくて・・・」
「でも、先生は俺より強いぞ」
「じゃあ、松陽先生は銀さんの太刀筋が見えてるんですね・・・実は剣の達人クラス、とか?」
「わかんない・・・アイツら(土方と沖田)も手加減してるみたいだし比べられないけど・・・でも、本気の晋助と小太郎が2人掛かりでも余裕でいなせるくらいは強いよ」
「それ、相当じゃないですか」
子どもながらに桂や高杉の実力はかなりのものだ。この先どんどんと強くなっていくだろうことは間違いない。
その2人が本気になってかかって行っても余裕とは、松陽はどれだけ強いんだと新八は舌を巻く。
「先生・・・強いアルか」
あの温和そうな松陽が戦場で刀を振り回す様子を思いうかべようとした神楽だったが、どうしても縁側でお茶を飲んでほけほけと笑いながら子ども達を眺める松陽しか、うかんでこない。
「でも、先生が強くても強くなくても、どうだっていいんだ」
「?」
「・・・松陽先生について行けば間違いないって思わせてくれたから、それだけで俺には充分なんだ」
「・・・僕達もそうでしたよ?銀さんについて行けば、間違いないって思わせてくれたから・・・傍にいるんですから」
「そうネ。時々どうしようもなくマダオだけど、銀ちゃんはいつだって私達のことを守ってくれたヨ」
「・・・・・・新八、神楽・・・」
思わずと言った様子で言葉を詰まらせた銀時に、神楽が抱きつく。
「銀ちゃん顔が真っ赤ネ!超絶可愛いアル!!」
「ちょ、放せってば!!」
「あはは、ホントだ、耳まで真っ赤だ~」
「新八!神楽を何とかしてくれよ!!」
「嫌ヨ!この銀ちゃんお持ち帰りしたいネ!!」
ジタバタと暴れる銀時を抱きしめながら神楽が言えば、新八が苦笑する。
「いやぁ~・・・それは無理かな」
「えー、だって大人の銀ちゃんじゃこうはいかないネ!」
「まぁ、僕だってチビ銀さんは可愛くて好きだけどね、こう、色々と問題が起こるんではないかと思うわけで・・・」
「ほら!新八もこう言ってるだろ!?放せってば、神楽!」
「む~、つまんないアル!!」
「人をおもちゃにするなぁああ!!」
まるで万事屋の中にいるかのような賑やかさに、土方達も思わず手を止めた。
「おいおい、おまえら・・・こっちは真剣に稽古やってんだ。ちょっと静かにしとけよ~」
とは言うものの、その声に怒気は含まれていない。
銀時が子ども達に振り回されている様子が、現代の彼に被って見えて思わず懐かしくなってしまったからだ。
「あー、帰りてーですねィ・・・何だか、近藤さんのストーキングも旦那の糖尿も、急に懐かしくなってきやした」
「というか、俺達・・・いつになったら帰れるんでしょうね」
沖田が呟き、その呟きに山崎が肩を落とす。
「全く見当がつかないのか?」
そんな土方達に桂が訊ねる。
「・・・全く、だな」
短く土方が答えると、高杉が首を傾げる。
「来た方法を調べればわかるんじゃないのか?」
「その来た方法自体がわかんねーんだよ。全員気付いたらこっちに来てたって感じだからな」
「タイムトラベルの類型としては、人の強い思いによって起こるってのがありましたけどね~。何を強く思ったのか、誰の思いなのか、それがわからないと・・・」
土方の答えに山崎が補足する。
「思い、か・・・」
銀時が呟く。
「銀時?」
「どうした?」
考え込んだ様子の銀時の傍に、桂と高杉が歩み寄る。
「うん・・・コイツ等って未来では俺達に近しい人間だろ?だったら、俺達が先生に逢いたいって強く思ってて、それに巻き込まれたってことは・・・ないかなって」
「でも、それは・・・」
「確かに、俺達の傍に先生がいないことが前提だけど・・・でも、コイツ等の態度見てればわかるだろ?俺達は知っていても、先生のコトは知らなかった」
「つまり・・・」
「嘘だ!・・・そんなコト、あるわけねーだろ!!銀時!ふざけたこと言うなよ!!」
叫んだ高杉が持っていた竹刀を床に叩きつける。
「晋助、落ち着けって・・・」
「煩い!!そんなコト、認めない・・・認めるもんか!!」
伸びてきた銀時の手を振り払い、高杉は道場を走って出て行ってしまう。
「・・・不用意な発言、だな。銀時」
「・・・んー、ちょっとまずかったかな・・・晋助、最近父親が帰って来てピリピリしてっから・・・」
「松陽先生のところに行くなって言われてるらしい」
「最近は毎日お咲さんが迎えに来るもんな」
「・・・高杉もわかってるんだ・・・アイツ、頭は良いからな」
そう言う桂も薄々は気付いてはいたのだろう。未来の自分達の傍には、何らかの理由で松陽がいないのだ、ということを。
「ヅラ・・・」
「ヅラじゃない、桂だ。・・・高杉のコトはお前達が気にすることじゃない」
神妙な顔つきになった神楽に、桂が笑みを向ける。
「・・・おい、お前等にとって、吉田さんってのはどんな存在だ?」
土方が唐突に訊ねる。
キョトンとして目を瞬かせた桂だったが、土方が答えを待っているのに気付いて慌てて自分の中の答えを探した。
「え・・・と、俺にとって先生は・・・人生の師だ。あの人程に確たる信念を持って、それを曲げずにいられる者を、俺は知らない。・・・それに、先生は・・・俺達に生きる術を、意味を与えてくれた」
桂の言葉に頷きつつ、銀時が続けて答える。
「・・・先生が俺を拾ってくれた時に言ってたんだ・・・他人におびえ自分を護るためだけにふるう剣なんて捨てろ、敵を斬るためではない弱き己を斬るために、己を護るのではない己の魂を護るために、その剣をふるえと。・・・俺は、その時から先生の言葉を守って行こうって決めたんだ」
「・・・そう、か」
答える桂や銀時の瞳には一点の曇りもなかった。
***
一方・・・
「おや、晋助?どうしました?」
涙をボロボロと流しながら道場から己の元に走って来た高杉に、松陽は首を傾げた。
「せんせェ・・・嫌だよ、俺、先生の傍に、ずっといる!・・・だから、いなくならないで!!」
その言葉で大よそのことを理解した松陽はその頭をポンポンと軽く叩くように撫でた。
「・・・まぁ、彼等の話を聞けば、気付いて当然ですよね。・・・ねぇ、晋助。私はそれでも君達の心の中に生き続けていければそれでいいと思ってるんですよ。だから、晋助の中の私を、殺さないでくださいね?」
「そんなコトしない!!俺、絶対、先生の傍を離れないから!!!」
「・・・晋助・・・」
抱きついてくる高杉を抱きしめ、松陽は苦笑をうかべた。
父親がここに来ることに難色を示していることは松陽も知っている。だからこそ不安なのだろう。
だが、父親が高杉を心配する気持ちもわかる。今・・・松陽の傍にいるのは危険なのだ。幕府からも天人からも疎まれている己の傍は・・・。
「・・・先生、袴の裾とか肩とか濡れてるよ?どっかに出かけてたの?」
松陽に抱きしめてもらって少し落ち着いたらしい高杉が疑問を口にする。
一瞬、松陽は動揺したが、高杉に悟られぬように笑みをうかべた。
「ええ・・・庭に、大事な書類が飛んでっちゃったんですよ。それを拾いに行ったんです」
懐にしまわれた、それ。
布に包まれてタンスの奥にしまわれた、もの。
子ども達にも、土方達にも、まだ気付かれるわけにはいかなかった。
「・・・さぁ、晋助。仲直りついでに銀時達を呼んで来てください」
「・・・う・・・」
「銀時達だって、混乱してないわけじゃないんですよ?」
「・・・わかりました・・・行ってきます」
「よろしい」
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