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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

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昼時になる頃まで、別棟はひっきりなしに人の出入りがあった。

銀時は自室にこもって出てこようとはせず、新八や神楽も銀時の部屋に行ったっきり出てくる気配は無かった。

「本当に、客が多い日ですねィ」

「あぁ、銀時の言ってた千客万来ってのは大袈裟じゃなかったな・・・」

「それだけ、あの人が頼られてるってことですよね」

真選組の面子だけが居間でボーっとしながらぼそぼそと話していると、御勝手場から声がかけられた。

「銀時ィ、いるかー?」

「ん?この声は・・・晋助君ですね」

土方達よりも長く一緒にいるぶん、声で誰なのか判別がつくようになったらしい山崎が御勝手場に出て行く。

「いらっしゃい、晋助君。・・・実は銀時君、体調崩して部屋にこもってるんだ。新八君とチャイナさんが一緒にいるはずだから、様子見に行ってあげてくれる?」

「・・・やっぱりな、そうだと思ったんだ」

高杉はそう言いながら居間にあがりこみ、土方と沖田を視界に入れると軽く会釈をした。

「やっぱりってぇと、これはいつものコトかィ?」

沖田が問えば、高杉はコクリと頷いた。

「うん、アイツ人見知りが激しいんだ。それに人酔いっていうか、気を許してる奴なら良いんだけど、それ以外の人間が周りに大勢いたりすると体調崩すんだよ」

「そうか・・・神経図太そうに見えて、意外と神経質なんだな」

土方が感想をもらせば、高杉は首を傾げた。

「・・・そういえば、退の知り合いとはいえ、オマエ等への拒絶反応ってあんまりなかったな。特に大人には顕著なはずなんだけど」

この辺りに住む大人達は別だが、銀時は松陽を訊ねてくる大人の気配を感じた瞬間に脱兎のごとく逃げる。まず、姿をそのまま見せておくことは無いのだという。

「・・・そう、なのか」

「退のときだって、銀のヤツが拾ったようなものだし・・・異世界の人間なら大丈夫ってことなのかなぁ」

心底不思議そうに土方達を見つめ、高杉はそう呟く。

「・・・あ、えっと、晋助君。きっと、銀時君待ってるよ?」

「あ!そうだった・・・じゃあ、また後でな!!」

その視線に耐えかねて山崎が促せば、高杉は慌てて銀時の部屋に向かった。

「・・・・・・素直ですねィ」

「アレが、どうやったら超過激派攘夷浪士になるんだかな・・・」

パタパタと駆けて行く高杉の背中を見送り、沖田と土方は溜息をついた。

「あはは・・・俺も最初は驚きましたけどねェ。桂なんかは真面目過ぎて旦那や高杉にからかわれたりしてて、見てて飽きないですよ」

「この時までは・・・普通の子どもだったんだなァ、アイツらも」

土方が呟く。

「・・・・・・戦争が、旦那達を変えちまったのかもしれませんねィ」

沖田が言えば、土方は軽く目を見張った。

「なんだ、総悟も野郎が戦争に参加してたと思ってんのか」

「も、ってこたァ、土方さんもですかィ?・・・まぁ、アレだけ桂や高杉と仲が良くて、しかもあんなに強いんじゃァ、戦争に出ててもおかしくねェでしょう?」

「だよなァ・・・てェことは、野郎が戦争に出る原因とやらがやっぱりこのタイムトラベルの目的になってくる、よなァ?」

「ああ、そう言うことですかィ・・・確かに、その原因とやらを知るのは目的になりそうですけどねィ」

「目的があるからこそのタイムトラベルですよねぇ・・・じゃないと、いつ戻れるかもわからないままこのまま十数年を旦那達と暮らす羽目になりそうですし」

山崎の言葉に、土方と沖田が何とも言えない表情をうかべた。

「・・・そりゃ困る」

「そうだぜィ・・・冗談でも言うもんじゃねェぜ?山崎ィ」

「あ、す、すいません!!」

「うーん、確かに、戻れないのは困りますよねぇ・・・」

「「「!!!?」」」

突如、山崎の背後からにゅっと顔を出した人物とその声に、3人はギョッとして身を引いた。

「よ、よよよ、吉田さん!?」

「も、もう話は済んだんでィ?」

「び、びびび、びっくりしましたよ~、先生」

「ああ、驚かせてしまいましたか、すみません」

ニコニコとこちらを見やってくる松陽に、土方は鋭い視線を向けた。

「・・・なぁ、吉田さん・・・アンタ、どこから聞いてた?」

「どこからって・・・山崎さんがこのまま十数年一緒に暮らすって言ってた辺りからしか聞こえてませんでしたよ?」

松陽が嘘をついているそぶりは無かったために、3人はホッと息を吐く。

「いや、聞いてなかったんならイイ。・・・すまねぇな」

「・・・私に聞かれたらマズイ話でもしていたんですか?」

「ちょっと、な」

「そうですか・・・」

言葉を濁した土方に、松陽は苦笑をうかべる。

「あー、気にしねェでくだせェ・・・ただ、ちょっと未来の話をしてただけでさァ」

「ええ、わかりました・・・早く、戻れると良いですね」

そう言って微笑む松陽にバツの悪さを感じながら、3人はそれぞれに頷いたのだった。


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