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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

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それから3日が経った。

一向に戻る気配の無い状況にいい加減苛立ちが増してくる。

幼い銀時達と交流を重ねて行くうちに情が移っていると気付いてからは尚更だった。

「・・・マズイですねぃ・・・あっちに帰ったら、桂を見かけてもひっ捕らえようとか思えなくなってるかもしれやせんぜ?」

「・・・高杉もな」

「うぅ・・・旦那に会ったら、銀時君とか呼びそうです・・・ってか、もう3人とも疑えないっていうか・・・」

居間から庭で遊ぶ銀時達を眺め、真選組という組織として攘夷浪士を追う立場にある土方達が唸り、頭を抱える。

「フン、しがらみの多い大人はコレだからダメヨ。自分の気持ちに素直になったら良いアル」

「いや、神楽ちゃん・・・自分の気持ちに素直になった真選組とか、有り得ないから・・・っていうか、警察としての機能がまったく無くなっちゃいそうな気がするのは僕だけ?」

そんな大人達に神楽は呆れたような視線を向け、新八がいつもの調子でツッコミを入れる。

「神楽~、新八~、遊ぼうぜ!」

そこに、庭から高杉が駆け寄ってきて、2人に声をかける。

「何して遊ぶアルか?」

神楽が訊ねれば、高杉はフフン、と笑って胸を張った。

「かくれんぼだ!」

((なに、この可愛い生き物!胸張ってかくれんぼとか、ちょー可愛いんですけど!!))

あの高杉を見たことがある神楽と新八は、目の前のチビ高杉に思わずほろりときてしまった。

この頃の可愛い高杉を返せ。

なんなの、あの高杉は。世界を壊すとかすっごくおっかないんですけど!!

「・・・ナニ?俺の顔に何か付いてる?」

「・・・何でも無いネ・・・ただ、時の無情さを知っただけアル」

「そうそう・・・時間って、ときに残酷なことをするよね・・・」

思わずたそがれる2人に、高杉は不思議そうに首を傾げる。

「何この子達!!なんでこんな悟りをいきなり開いちゃってんの!!」

本来ツッコミ役の新八までたそがれているため、唯一のツッコミ属性である土方が思わず口を出す。

「あはは、晋助ェ、お前どんだけ変わったんだよ?」

2人の反応を見ておおよその見当がついたのか、銀時がケタケタと笑う。

「はァ?」

「ホラ、聞いたんだろ?こいつらが未来から来たんだって」

「ああ~・・・まぁな」

つい昨日のことだった。銀時が体調を崩したこともあり、心配した高杉と桂が松陽の家に泊まりに来ていた。

夜になり、子ども達が寝静まった頃、松陽と真選組の面々が、未来に戻れない場合どうしようか、的な話し合いをしていたところに高杉と桂が乱入して来て、どういうことかと問いただされ結局この2人にも話すことになってしまったのだ。

もちろん後で高杉と桂は立ち聞きをしていたということを松陽に叱られたのだが。

「ふむ、つまりは、神楽ちゃんと新八君が知る高杉と、この時代の高杉は全くの別人のように見えるということだろうか」

桂が問えば、銀時は頷く。

「じゃねェのォ?・・・じゃなかったら、時の無情さとかなんとかって言わねーだろ?」

「おお、ナルホド」

「・・・てか、時の無情さを感じるくらい俺って変わるのか?」

高杉が不安そうな表情をうかべて土方達を見つめる。

「あー・・・未来に関することは一切教えられねーって言ったろ?」

つい教えたくなってしまうような高杉の視線から目を逸らし、土方が答えると小さく舌打ちする銀時。

「チッ、使えねェな」

「・・・ほんッとに可愛くねェなッ!!」

「ふーんだ。年下になんか可愛いって思われたくないっつーの!」

「テメッ・・・」

「ま、まぁまぁ、副長、落ち着いて・・・」

思わず腰をあげた土方を宥めながら、山崎は苦笑をうかべる。

「本性むき出しの銀時君も良いじゃないですか、いつも通りで。・・・副長は元々こういう銀時君を望んでいたんでしょう?」

あの後、復調した銀時は猫を一切被っていなかった。

本来持っていたらしいドSっぷりを見事にさらけ出し、土方達を翻弄し始めたのである。

「・・・でも、ムカつく」

自分が望んだこととはいえ、己の半分も生きていない子どもの姿で上手(うわて)を取られると、これ程にムカつくことはない。

「まったく、土方さんはワガママですねィ」

「オメェに言われたくねェよッ!!」

やれやれと肩を竦める沖田に怒鳴り、土方は恨めしげに銀時を見つめた。

「・・・なんだよ?」

「どうしてこうも捻(ひね)くれちまったんだ?」

「さぁ?・・・物心ついた時から戦場にいたし、生きてくのに必死だったし」

あまりにも衝撃的な銀時と松陽の出逢い。

それを聞けば、銀時が松陽に心を許しまくっていることも理解できる。

が、なんであの松陽の傍にいるのに、こんなドSに育つのか不思議でたまらない。

「ハッ・・・まさか、吉田さんもドSとか・・・」

「「「・・・・・・・・・あー」」」

「先生な~・・・」

「確かに、怒る時はドSかも・・・」

「というか、笑顔で怒るとか、すっごい怖いし・・・」

冗談のつもりで言ったのに銀時達からまともな反応が返ってきて、土方達は思わず笑顔で怒る松陽を思い浮かべてしまった。

「・・・そんなに怖いとは思えないですねィ」

沖田がポツリと呟く。

「バッカ言え!!」

「あの笑顔で、すっごいどす黒いオーラ背負うんだぞ!!」

「そんなに怖いんですかィ?」

「怖いも何も、地獄の閻魔さまだって逃げ出す・・・」

銀時と高杉の剣幕を見て、キョトンとして問い返した沖田に答えた桂が、途中で言葉を止める。

「ほう・・・それは興味深いことを聞きました」

「「「「「!!!!!!」」」」」

ギギギィ・・・と音が鳴りそうなほどぎこちなく振り返る子ども達の視線の先には、笑顔の松陽。

「さて、地獄の閻魔さまが逃げ出すとは、一体何のことでしょう?」

「「「~~~~~~~~~~~~ッ!!!」」」

声にならない悲鳴をあげ硬直してしまった3人に、笑顔の松陽。

松陽にズルズルと引き摺られていく3人を見送り、土方達は顔を見合わせる。

「・・・ま、まぁ・・・あの3人の先生なんだしな」

何というか、その一言に尽きる、らしい。


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