Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
懐かしい夢を見た。
あの頃の夢はいつだって戦っている時のものだったのに、友と談笑する姿ばかりがそこにはあって、ああ、あんな風に自分は笑えていたのかと安堵する。
ぽたり、と雫が布団を握りしめていた手に落ちる。
「・・・ハハ。なんで、忘れてたんだろ・・・」
辛くて、苦しい。そんな記憶ばかりを思い出していた頃が嘘のようだ。
その時、シパーン!!と障子戸が開けられる。沖田が起こしに来たのだろうと銀時はそちらに顔を向ける。
「銀兄ィ、朝だよ・・・って、泣いてンの!?何?!どうしたんでィ!?」
「総悟・・・別に、どうもしねぇって」
「・・・銀時が泣いてるだとォおおお!!?」
ただ、昔の夢を見ただけと言おうとした銀時の言葉を遮って、オカン近藤が突っ込んできた。
「え、あ・・・あれ?近藤さん??」
「誰だ!?誰が銀時泣かせたぁあああ?!」
「ち、ちげーから!!ちょ、落ち着けって、近藤さん!」
あの“お銀ちゃん”お披露目以来、扱いが微妙に甘やかす方向に行っている気がするのは、銀時の気のせいではないと思う。
「銀時が泣かされただとぉおおお!?泣かせた奴ァ誰だぁ!!?出てこいコノヤロー!!」
「と、十四郎?!・・・お、お前もかよ・・・」
「「「「俺達の癒し、お銀ちゃんを泣かせたの誰だぁあああ?!」」」」
土方のキレっぷりにどん引いていた銀時の前に、さらに門下生達まで集まって騒ぎ始める。
「・・・って、お銀ちゃんじゃねェから!!どこに目ェつけてンだ!テメェらは!!!ただ夢見ただけだっつの!!泣かされたワケじゃねェよ!!!」
騒ぐ面々の頭にげんこつを落とし、銀時は仁王立ちして叫んだ。
「・・・い、痛い・・・」
涙目でげんこつを落とされた場所を撫でながら銀時を見上げる近藤。
「ったく、アンタは真選組の長になるんだぞ!?率先して場を混乱させてどうすんだ!!」
「・・・だってさァ・・・」
「でももだってもない!!・・・ハァ・・・一体、俺はお前等の中でどういう扱いなワケ?」
溜息をついて訊ねた銀時に、その場にいた面々は即答した。
「「「「「「みんなの癒しのお銀ちゃん」」」」」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いっぺん死ぬか?」
口元を引き攣らせて銀時は枕元に置いておいた木刀に手を伸ばす。
「まぁ、落ち着きたまえ坂田くん。近藤さんには徐々に自覚を持ってもらうように、僕も力を尽くすよ。・・・しかし、近藤さん達がここまでご執心のお銀ちゃんとやらを見たい気もするな」
割り込んで宥める伊東に、銀時は肩を落とした。
「・・・勘弁して・・・俺は、お銀ちゃんを好きでやったワケじゃねェんだからな・・・」
「あのさ、だったらなんで、銀兄ィは泣いてたンでィ?」
一人殴られずに済んだ沖田が問えば、銀時は苦笑をうかべた。
「・・・いや、あの頃でもちゃんと笑えてたんだなって思ったら、自然と涙が出てきたんだよ」
「あの頃・・・戦争中のことかい?」
「あぁ」
そう確認してくる伊東に、銀時は頷く。
「・・・終戦間際の戦いはかなり一方的でひどい有様だったと聞くが・・・」
「後援者っての?・・・藩の方も幕府から圧力かけられて財政的にも厳しくなっちまってさ、いわゆる兵糧攻めだよな。支給が止まっちまって、刀もボロボロで防具だってあちこち傷だらけでいつぶっ壊れてもおかしくなかったし、食い物も底を尽き始めてて・・・まぁ、気力だけで戦ってたんだよなぁ」
「そんなに・・・」
近藤がショックを受けた様子で呟く。
「・・・容赦ねぇな」
土方が肩をすくめる。
「そんな中、銀兄ィ達は戦ってたんだ・・・」
沖田が俯く。
強さばかりを求めて銀時に稽古をねだって追い回していた時の自分を殴りたい気分だった。
「・・・事実上終戦したのは、藩が降伏したからだと松平公から聞いた」
「そう。俺達より先に藩が降伏しちゃって、しばらくは抵抗続けてたんだけど・・・でもやっぱり、限界があるだろ?そうしているうちに廃刀令が出て、残党狩りが始まって・・・でも、みんな諦めてなくて。俺の存在が希望だって言われて・・・俺のせいで・・・」
「お前のせいじゃねェよ・・・勝手に頼って希望にしてた連中なんて、仲間でもなんでもねェだろ」
あまりにも勝手すぎるかつての銀時の仲間達に憤りを覚えて、土方が荒い口調で告げる。
「・・・十四郎・・・」
「仲間ってなんだ?たった一人に頼りきってる連中のことを仲間っていうのかよ。違うだろ?・・・力を合わせて共に戦うのが仲間だろ!」
「土方と意見が合うってのは気に食わねェけど・・・俺もそう思う」
土方の訴えに、沖田が賛同する。
「うん、俺もそう思うな」
近藤までもがそう言って、銀時は喉の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「・・・坂田くん、僕も君が責任を感じる必要はないと思う。君はただ強かっただけだ。強いからこそ頼られてしまったんだろう」
「・・・四天王って呼ばれてたうちの一人がさ、俺より先に除隊したんだよ。その時に一緒に宇宙に行かないかって誘われた・・・やっぱさ、同じ立場にいたから気づいてたんだろなァ、アイツ。・・・俺だってわかってたんだ。頼られすぎてるって・・・引き時は心得てたはずなんだけど・・・なんだかんだ言って、付き合っちまったのが悪かったんだろうなァ~」
銀時が隊を離れる頃には白夜叉を神格化しようとする輩まで現れて、高杉や桂の言葉すらも聞き入れない状態になっていた。
「じゃあ、どっちかって言うと・・・残党狩りじゃなくて、かつての仲間から逃げてたのか・・・」
近藤が眉間にしわを寄せる。
「・・・だから、とっつぁんの申し出って、結構ありがたかったんだ」
頷いた銀時はそう言って微笑み、近藤達の顔を見回す。
「でも、お前等なら・・・そんなことにはならないって、信じてる」
「当たり前だろう!」
「そうだぜ、銀時」
「銀兄ィ、心配しなくても、そういう連中は俺がバッサリ斬ってやらァ」
口々に言う面々に、銀時は声を詰まらせ、何度も何度も頷く。
「・・・絆の方は問題ないようだ。ということは、やっぱり問題は近藤さんの長としての自覚だね。・・・厳しくするから、そのつもりで」
一人冷静だった伊東の言葉に、近藤はギョッとする。
「え、びっくり!!今、超いいところだったよね!?感動するとこだったよねェ?!」
周囲の人間に同意を求めた近藤だったが、それとこれとは話が別だ。
「・・・いや、近藤さん・・・わりィけど伊東の言うとおりだと思うぜ」
土方が言えば、沖田を含めた門下生全員がこっくりと頷いた。
「え、えぇえええ?!」
「さァ、近藤さん。さっそく幕府の組織についての勉強を始めようか。おバカな君でもわかるように説明するから安心してくれ」
「ちょ、待って、伊東くん!?ぃいやぁああああ~~~~!?」
首根っこを掴まえられて引きずられて行く近藤を見送っていた銀時達は、一斉に吹き出した。
「プッ!あはははッ!!・・・ホント、締まらねェなぁ~」
こんなにも心穏やかに過ごしているから楽しかった記憶を思い出して夢見たのだろう。
今は宇宙にいる朋友に伝えたい。
「(俺はこいつらがいてくれるから大丈夫だよ、辰馬・・・)」
いつか、再会できる日を信じて、友の無事を祈った。
***
数日後、銀時は伊東と共に真選組の組織編成をしていた。
近藤や土方達がそういう方面には向いておらず、銀時自身が攘夷志士として組織を率いて戦っていた経験を買われてのことだった。
「・・・欲って怖いなー」
ボソリと呟いた銀時に、名簿を作っていた伊東が顔をあげた。
「坂田くん?」
「あー、いや・・・最初は例え真選組っていうモンに入ることになっても、幹部は断ろうと思ってたんだよ」
流れからしてそうなるだろうとは思っていた。“白夜叉”を旗頭にしない手はないだろうから。
だがそれならば形だけの幹部でなくても良いだろうと断るつもりだった。
「しかし、あの説明の時に君は何も言わなかっただろう?」
「・・・先生の遺骸を真選組管理にできるって話にぐらっときた。平隊士じゃ中々自由にゃできねぇだろ?」
「まぁ・・・そうだろうね」
「あのさ、伊東もとっつぁんもちょっと勘違いしてるみたいだから訂正しておくけど、俺はダチを護りたかったから戦争に参加したんであって、先生の遺骸を取り戻そうって戦ったわけでも、攘夷思想に共感したわけでもない。ましてや、お国の為だなんて思いもしなかった」
「・・・・・・矛盾してるね」
「そう、矛盾してんだ・・・俺は先生の遺髪が戻って来たときに悲しくは思ったけど、皆ほどショックは受けなかった。先生が江戸に連れて行かれる前に死ぬ覚悟をしていたのを知ってたから。・・・それに本当は首のねェ先生の遺骸なんて見たくなかったし、それが天人に追従した幕府のせいだとも思わなかった」
それなのに・・・と呟いて俯いた銀時に、伊東は苦笑をうかべた。
「いざ目の前にぶら下げられたら、欲しくなるのは当然だろう」
「・・・だよなぁ・・・もしかしたら、俺ァ・・・自分にすらも嘘ついてたのかもな・・・」
本当は幕府が憎かった。高杉の怨嗟の声を聞く度にそれに共感していた。
天人に頭が上がらず、先生や自分達に妙な言いがかりをつけてきた幕府へ喝を入れてやると息巻いていた桂に、激しく同意していた。
そもそも、それぞれの考えを否定したことは一度も無かった。お前はどう思うと訊ねられて、曖昧な答えしか返せなかったのに対して、薄情だと罵られることはあっても言い返したことは無かった。
それは、自分の中の荒れ狂う感情を見ないようにしていたからだった。そう、今更ながらに気付いた。
「・・・なら、問おう。・・・このまま、真選組に加入しても良いのかい?」
伊東の真剣な眼差しの中に戸惑いと不安を見つけて、銀時はゆるく笑って頷いた。
「ああ。きっと俺みたいな奴も必要だろ?・・・お前も近藤さん達とは違う種の人間だし・・・とっつぁんも良くわかってるよなァ」
「確かに、彼等は良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐ過ぎる・・・僕みたいなひん曲がった根性を持つ人間と、君みたいな絶望の深淵を垣間見てしまった人間がいた方が、組織は上手く回るだろうね」
伊東はホッと安心したように微笑んでから、近藤達や自分達をそう評した。
「組織、ねェ・・・またこんなモンに関わるとは思いもしなかったけど・・・昔の知識が役立つってンなら協力するぜ?」
「助かるよ・・・攘夷志士達の組織図を拝借して、素案をまとめてみたんだけど・・・どうかな?」
名簿を見せられた銀時は、キョトンとした。
「アレ?・・・俺、副長?・・・副長、二人?」
「そう、表の副長と影の副長を作るって松平公が言っていてね・・・どうやら、君には幕府内部の方へ入り込んでもらいたいみたいだね」
「あぁ・・・まぁ、それとなく(お銀ちゃんで)誑し込めとは言われたけど・・・本気なのか?とっつぁん」
「本気だったように見えたけど・・・危険だとは言ったんだよ?君の立場は危うすぎる」
伊東が渋い表情をうかべる。
「まぁ、大丈夫だろ・・・白夜叉を抱え込もうってンだ。アレコレ言いはするだろうが、手放すとか殺すとか、そんな発想にはならねェよ・・・しかし、隊長格は覚悟してたけど、まさか副長とはなぁ・・・」
銀時が困ったように笑う。
幹部でも上の方だろうとは思っていたが、副長とは思わなかった。
「まぁ、表の副長は彼に任せておけば大丈夫だろう。あの警戒心は組織の大きな盾になる」
「うん、それは同意するけど・・・これ、一番隊隊長・・・荒れるよ?」
「そこは坂田くんの力の見せ所だろう。上層部も納得させて、本人にも納得させてくれるとありがたいな」
「・・・それ、決定なわけ?」
「まだ素案だと言っただろう?・・・ただ、松平公はこれでいきたいみたいだよ」
伊東はクツリと笑う。
この組織図を松平に見せた時、サラサラと名前を書き込み、これでいきたいと言われて本当に驚いた。
局長や副長二人には納得がいったものの、他の面々についてはかなり適当だったような印象があったのだ。
「あー・・・とっつぁん、このひと月ちょい、いろんな連中と話してたもんな・・・幹部を選定してたわけか」
「ああ、この道場を母体にするつもりではいたようだからな・・・だから幹部候補生を連れ込んでいるんだろう」
「・・・・・・ナルホド」
ついこの間もコイツを鍛えてやれ、と連れ込まれた青年を思い出して苦笑いをうかべる。
「総悟が先輩風吹かせるのがおもしれェよな」
「今はおもしろいで済んでいるから、まだ良いけれどね」
「・・・総悟に難ありって?」
「いや・・・彼はその境遇もあるんだろうが、優秀だと思うよ。ただ、若過ぎる」
「そこはそれ、こっちで補助してやれば良い話だろ?・・・それに、俺達だって幕府のオッサン達から見たらまだガキだろ?」
「・・・まぁ、坂田くんの言う通りだね。こんな若輩でもひとつの組織を動かせるということを証明してやろうじゃないか」
クイ、と眼鏡を持ちあげ、伊東はニヤリと笑う。
「うわ、悪そうな顔~・・・伊東って腹黒?」
「面と向かってそう言う君は、毒舌だね」
はた、と顔を見合わせ、銀時と伊東は意味もなく握手をした。
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あの頃の夢はいつだって戦っている時のものだったのに、友と談笑する姿ばかりがそこにはあって、ああ、あんな風に自分は笑えていたのかと安堵する。
ぽたり、と雫が布団を握りしめていた手に落ちる。
「・・・ハハ。なんで、忘れてたんだろ・・・」
辛くて、苦しい。そんな記憶ばかりを思い出していた頃が嘘のようだ。
その時、シパーン!!と障子戸が開けられる。沖田が起こしに来たのだろうと銀時はそちらに顔を向ける。
「銀兄ィ、朝だよ・・・って、泣いてンの!?何?!どうしたんでィ!?」
「総悟・・・別に、どうもしねぇって」
「・・・銀時が泣いてるだとォおおお!!?」
ただ、昔の夢を見ただけと言おうとした銀時の言葉を遮って、オカン近藤が突っ込んできた。
「え、あ・・・あれ?近藤さん??」
「誰だ!?誰が銀時泣かせたぁあああ?!」
「ち、ちげーから!!ちょ、落ち着けって、近藤さん!」
あの“お銀ちゃん”お披露目以来、扱いが微妙に甘やかす方向に行っている気がするのは、銀時の気のせいではないと思う。
「銀時が泣かされただとぉおおお!?泣かせた奴ァ誰だぁ!!?出てこいコノヤロー!!」
「と、十四郎?!・・・お、お前もかよ・・・」
「「「「俺達の癒し、お銀ちゃんを泣かせたの誰だぁあああ?!」」」」
土方のキレっぷりにどん引いていた銀時の前に、さらに門下生達まで集まって騒ぎ始める。
「・・・って、お銀ちゃんじゃねェから!!どこに目ェつけてンだ!テメェらは!!!ただ夢見ただけだっつの!!泣かされたワケじゃねェよ!!!」
騒ぐ面々の頭にげんこつを落とし、銀時は仁王立ちして叫んだ。
「・・・い、痛い・・・」
涙目でげんこつを落とされた場所を撫でながら銀時を見上げる近藤。
「ったく、アンタは真選組の長になるんだぞ!?率先して場を混乱させてどうすんだ!!」
「・・・だってさァ・・・」
「でももだってもない!!・・・ハァ・・・一体、俺はお前等の中でどういう扱いなワケ?」
溜息をついて訊ねた銀時に、その場にいた面々は即答した。
「「「「「「みんなの癒しのお銀ちゃん」」」」」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いっぺん死ぬか?」
口元を引き攣らせて銀時は枕元に置いておいた木刀に手を伸ばす。
「まぁ、落ち着きたまえ坂田くん。近藤さんには徐々に自覚を持ってもらうように、僕も力を尽くすよ。・・・しかし、近藤さん達がここまでご執心のお銀ちゃんとやらを見たい気もするな」
割り込んで宥める伊東に、銀時は肩を落とした。
「・・・勘弁して・・・俺は、お銀ちゃんを好きでやったワケじゃねェんだからな・・・」
「あのさ、だったらなんで、銀兄ィは泣いてたンでィ?」
一人殴られずに済んだ沖田が問えば、銀時は苦笑をうかべた。
「・・・いや、あの頃でもちゃんと笑えてたんだなって思ったら、自然と涙が出てきたんだよ」
「あの頃・・・戦争中のことかい?」
「あぁ」
そう確認してくる伊東に、銀時は頷く。
「・・・終戦間際の戦いはかなり一方的でひどい有様だったと聞くが・・・」
「後援者っての?・・・藩の方も幕府から圧力かけられて財政的にも厳しくなっちまってさ、いわゆる兵糧攻めだよな。支給が止まっちまって、刀もボロボロで防具だってあちこち傷だらけでいつぶっ壊れてもおかしくなかったし、食い物も底を尽き始めてて・・・まぁ、気力だけで戦ってたんだよなぁ」
「そんなに・・・」
近藤がショックを受けた様子で呟く。
「・・・容赦ねぇな」
土方が肩をすくめる。
「そんな中、銀兄ィ達は戦ってたんだ・・・」
沖田が俯く。
強さばかりを求めて銀時に稽古をねだって追い回していた時の自分を殴りたい気分だった。
「・・・事実上終戦したのは、藩が降伏したからだと松平公から聞いた」
「そう。俺達より先に藩が降伏しちゃって、しばらくは抵抗続けてたんだけど・・・でもやっぱり、限界があるだろ?そうしているうちに廃刀令が出て、残党狩りが始まって・・・でも、みんな諦めてなくて。俺の存在が希望だって言われて・・・俺のせいで・・・」
「お前のせいじゃねェよ・・・勝手に頼って希望にしてた連中なんて、仲間でもなんでもねェだろ」
あまりにも勝手すぎるかつての銀時の仲間達に憤りを覚えて、土方が荒い口調で告げる。
「・・・十四郎・・・」
「仲間ってなんだ?たった一人に頼りきってる連中のことを仲間っていうのかよ。違うだろ?・・・力を合わせて共に戦うのが仲間だろ!」
「土方と意見が合うってのは気に食わねェけど・・・俺もそう思う」
土方の訴えに、沖田が賛同する。
「うん、俺もそう思うな」
近藤までもがそう言って、銀時は喉の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「・・・坂田くん、僕も君が責任を感じる必要はないと思う。君はただ強かっただけだ。強いからこそ頼られてしまったんだろう」
「・・・四天王って呼ばれてたうちの一人がさ、俺より先に除隊したんだよ。その時に一緒に宇宙に行かないかって誘われた・・・やっぱさ、同じ立場にいたから気づいてたんだろなァ、アイツ。・・・俺だってわかってたんだ。頼られすぎてるって・・・引き時は心得てたはずなんだけど・・・なんだかんだ言って、付き合っちまったのが悪かったんだろうなァ~」
銀時が隊を離れる頃には白夜叉を神格化しようとする輩まで現れて、高杉や桂の言葉すらも聞き入れない状態になっていた。
「じゃあ、どっちかって言うと・・・残党狩りじゃなくて、かつての仲間から逃げてたのか・・・」
近藤が眉間にしわを寄せる。
「・・・だから、とっつぁんの申し出って、結構ありがたかったんだ」
頷いた銀時はそう言って微笑み、近藤達の顔を見回す。
「でも、お前等なら・・・そんなことにはならないって、信じてる」
「当たり前だろう!」
「そうだぜ、銀時」
「銀兄ィ、心配しなくても、そういう連中は俺がバッサリ斬ってやらァ」
口々に言う面々に、銀時は声を詰まらせ、何度も何度も頷く。
「・・・絆の方は問題ないようだ。ということは、やっぱり問題は近藤さんの長としての自覚だね。・・・厳しくするから、そのつもりで」
一人冷静だった伊東の言葉に、近藤はギョッとする。
「え、びっくり!!今、超いいところだったよね!?感動するとこだったよねェ?!」
周囲の人間に同意を求めた近藤だったが、それとこれとは話が別だ。
「・・・いや、近藤さん・・・わりィけど伊東の言うとおりだと思うぜ」
土方が言えば、沖田を含めた門下生全員がこっくりと頷いた。
「え、えぇえええ?!」
「さァ、近藤さん。さっそく幕府の組織についての勉強を始めようか。おバカな君でもわかるように説明するから安心してくれ」
「ちょ、待って、伊東くん!?ぃいやぁああああ~~~~!?」
首根っこを掴まえられて引きずられて行く近藤を見送っていた銀時達は、一斉に吹き出した。
「プッ!あはははッ!!・・・ホント、締まらねェなぁ~」
こんなにも心穏やかに過ごしているから楽しかった記憶を思い出して夢見たのだろう。
今は宇宙にいる朋友に伝えたい。
「(俺はこいつらがいてくれるから大丈夫だよ、辰馬・・・)」
いつか、再会できる日を信じて、友の無事を祈った。
***
数日後、銀時は伊東と共に真選組の組織編成をしていた。
近藤や土方達がそういう方面には向いておらず、銀時自身が攘夷志士として組織を率いて戦っていた経験を買われてのことだった。
「・・・欲って怖いなー」
ボソリと呟いた銀時に、名簿を作っていた伊東が顔をあげた。
「坂田くん?」
「あー、いや・・・最初は例え真選組っていうモンに入ることになっても、幹部は断ろうと思ってたんだよ」
流れからしてそうなるだろうとは思っていた。“白夜叉”を旗頭にしない手はないだろうから。
だがそれならば形だけの幹部でなくても良いだろうと断るつもりだった。
「しかし、あの説明の時に君は何も言わなかっただろう?」
「・・・先生の遺骸を真選組管理にできるって話にぐらっときた。平隊士じゃ中々自由にゃできねぇだろ?」
「まぁ・・・そうだろうね」
「あのさ、伊東もとっつぁんもちょっと勘違いしてるみたいだから訂正しておくけど、俺はダチを護りたかったから戦争に参加したんであって、先生の遺骸を取り戻そうって戦ったわけでも、攘夷思想に共感したわけでもない。ましてや、お国の為だなんて思いもしなかった」
「・・・・・・矛盾してるね」
「そう、矛盾してんだ・・・俺は先生の遺髪が戻って来たときに悲しくは思ったけど、皆ほどショックは受けなかった。先生が江戸に連れて行かれる前に死ぬ覚悟をしていたのを知ってたから。・・・それに本当は首のねェ先生の遺骸なんて見たくなかったし、それが天人に追従した幕府のせいだとも思わなかった」
それなのに・・・と呟いて俯いた銀時に、伊東は苦笑をうかべた。
「いざ目の前にぶら下げられたら、欲しくなるのは当然だろう」
「・・・だよなぁ・・・もしかしたら、俺ァ・・・自分にすらも嘘ついてたのかもな・・・」
本当は幕府が憎かった。高杉の怨嗟の声を聞く度にそれに共感していた。
天人に頭が上がらず、先生や自分達に妙な言いがかりをつけてきた幕府へ喝を入れてやると息巻いていた桂に、激しく同意していた。
そもそも、それぞれの考えを否定したことは一度も無かった。お前はどう思うと訊ねられて、曖昧な答えしか返せなかったのに対して、薄情だと罵られることはあっても言い返したことは無かった。
それは、自分の中の荒れ狂う感情を見ないようにしていたからだった。そう、今更ながらに気付いた。
「・・・なら、問おう。・・・このまま、真選組に加入しても良いのかい?」
伊東の真剣な眼差しの中に戸惑いと不安を見つけて、銀時はゆるく笑って頷いた。
「ああ。きっと俺みたいな奴も必要だろ?・・・お前も近藤さん達とは違う種の人間だし・・・とっつぁんも良くわかってるよなァ」
「確かに、彼等は良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐ過ぎる・・・僕みたいなひん曲がった根性を持つ人間と、君みたいな絶望の深淵を垣間見てしまった人間がいた方が、組織は上手く回るだろうね」
伊東はホッと安心したように微笑んでから、近藤達や自分達をそう評した。
「組織、ねェ・・・またこんなモンに関わるとは思いもしなかったけど・・・昔の知識が役立つってンなら協力するぜ?」
「助かるよ・・・攘夷志士達の組織図を拝借して、素案をまとめてみたんだけど・・・どうかな?」
名簿を見せられた銀時は、キョトンとした。
「アレ?・・・俺、副長?・・・副長、二人?」
「そう、表の副長と影の副長を作るって松平公が言っていてね・・・どうやら、君には幕府内部の方へ入り込んでもらいたいみたいだね」
「あぁ・・・まぁ、それとなく(お銀ちゃんで)誑し込めとは言われたけど・・・本気なのか?とっつぁん」
「本気だったように見えたけど・・・危険だとは言ったんだよ?君の立場は危うすぎる」
伊東が渋い表情をうかべる。
「まぁ、大丈夫だろ・・・白夜叉を抱え込もうってンだ。アレコレ言いはするだろうが、手放すとか殺すとか、そんな発想にはならねェよ・・・しかし、隊長格は覚悟してたけど、まさか副長とはなぁ・・・」
銀時が困ったように笑う。
幹部でも上の方だろうとは思っていたが、副長とは思わなかった。
「まぁ、表の副長は彼に任せておけば大丈夫だろう。あの警戒心は組織の大きな盾になる」
「うん、それは同意するけど・・・これ、一番隊隊長・・・荒れるよ?」
「そこは坂田くんの力の見せ所だろう。上層部も納得させて、本人にも納得させてくれるとありがたいな」
「・・・それ、決定なわけ?」
「まだ素案だと言っただろう?・・・ただ、松平公はこれでいきたいみたいだよ」
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「あー・・・とっつぁん、このひと月ちょい、いろんな連中と話してたもんな・・・幹部を選定してたわけか」
「ああ、この道場を母体にするつもりではいたようだからな・・・だから幹部候補生を連れ込んでいるんだろう」
「・・・・・・ナルホド」
ついこの間もコイツを鍛えてやれ、と連れ込まれた青年を思い出して苦笑いをうかべる。
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