Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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・W副長設定です!
・カップリングはありません
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・新しい業者だァ?」
あの報告を聞いたあと会計係と購入する兵器(笑)を選び、松平に問い合わせた土方は訝しげに問い返した。
『そうなんだよォ。ついこないだ入札があってさァ~・・・いつもと違う業者もいるなぁ~って思ってたらそこに決まっちゃってェ。もう、オジサンびっくりィ。あ、というわけでェ・・・明日そっちに直接挨拶と商談しに行くことになってるからァ・・・近藤とトシと銀ちゃんは必須ね?』
松平の声がやけにご機嫌なのに首を傾げつつ、土方はその業者の連絡先を聞いて通話を終えた。
そのことを近藤と銀時に伝えれば、二人揃って同じように首を傾げた。
「とっつぁんがご機嫌だとろくなことないからなァ・・・」
近藤が言えば、銀時は苦笑する。
「まぁ、不機嫌よりはマシなんじゃねェ?・・・それに、明日になりゃわかんだろ」
自分でそんなことを言っておきながら、銀時は妙に嫌な予感がして身震いした。
***
翌日、真選組内は新しい業者が来るということを聞きつけた隊士が興味津々でその業者の到着を待っていた。
「・・・ったく、落ち着きがねェな」
局長室で業者を待っていた土方が溜息をもらす。
「まぁ、そう言うなトシ。新しい業者っていうことは新しい武器も手に入るってことだからな。・・・こう言っちゃなんだが、前の業者は質は良いんだが・・・いかんせん最先端の物のルートを持ってなくて、中々手に入らなかったからなァ」
近藤がそう宥めるように言えば、その隣で刀の手入れをしていた沖田が頷く。
「そうでさァ。むしろ攘夷志士や攘夷浪士の連中の方が良い武器を使ってらァ・・・ここは思いきって新しい業者を入れることにした幕府を褒めてやらにゃあいけやせんねィ」
「・・・総悟、お前何様だ?」
上から目線で告げる沖田に、土方は呆れたような視線を向ける。
「沖田様でさァ・・・第一、幕府の半分はもうこっちの手の内でさァ。あと半分は中々堕ちてこねェんで、そろそろ実力行使も考えねェとってとっつぁんが言ってやしたぜィ」
「とっつぁんんん!?一番危険な奴に何吹き込んでんのォおお!!」
「何事だい?土方くん。・・・うるさいよ」
土方があらぬ方向に叫んでいると、伊東が銀時と神楽を引き連れて局長室にやって来る。
「伊東・・・いや、何でもねェよ」
幕府への浸食は銀時に聞かせられないことなので、土方は口を閉ざす。
「・・・ところで、伊東さん・・・なんでソイツまで連れて来てるんでさァ」
沖田が平静を装って訊ねる。
実際は、ぴっとりと銀時にひっついている神楽に嫉妬心がメラメラと燃えあがっている。
「あァ、彼女の隊服を注文しようと思ってね。どこかの誰かさんが“御古”を貸すのを嫌がったから、合うサイズがないんだよ」
嫌味交じりに伊東が言えば、沖田はその嫌味を聞き流して目を細めた。
「・・・おい、チャイナ『沖田様、どうぞ隊服の“御古”をください』って言って頭下げやがれ。そしたら考えてやっても良いぜィ?」
「総悟・・・」
最近サドっ気にますます磨きがかかってきたような弟分に、銀時は苦笑をうかべる。
「嫌ヨ、なんでお前のいろんなモノがしみ込んだ隊服なんかを着るために頭を下げなきゃならないネ。お前こそ『神楽様、僕の隊服の“御古”を着てください』って頭下げるヨロシ」
「んだと、コラァ!」
「ああん!?やるアルカ!!」
「ちょ、待て待て、ケンカするなって!!」
「銀兄ィ、止めねェでくだせェ!!」
「そうヨ、銀ちゃん!!」
「「コイツ、一度はっ倒さないと腹の虫がおさまら(ねェでさァ/ないネ!!)」」
見事にハモった二人の言葉に、銀時達はいっせいに噴き出した。
「「「ぶはッ!!」」」
「がはは!いやぁ、総悟とここまで息が合うなんて、トシや銀時以来だなァ」
「・・・銀兄ィはともかく、土方さんと息が合った例なんてありやしたかねィ」
豪快に笑う近藤にムッとしつつ沖田が訊ねる。
「戦ってる時とか、結構息合ってるよ」
笑う近藤の代わりに銀時が答えれば、げー、という顔をして土方と沖田は顔を見合わせる。
「・・・そうかァ?」
「さァ?身に覚えはありやせんねィ」
そう言う沖田だが、土方や銀時と戦う時が一番やりやすいと感じているのは確かだ。
「まったく、お前達は素直じゃないなぁ・・・」
困ったものだ、と近藤が肩をすくめたときだった。
「局長!業者の方がいらっしゃいました!!」
山崎が局長室に業者を案内してくる。
「おぉ、来たか!・・・入ってくれ!」
「はい!さ、どうぞ!」
山崎に促されて入ってきた業者に、近藤達が感じた印象は“若いな”だった。
その近藤達で隠れていた業者の姿を目にした銀時は、驚きに目を瞠った。
「お~!まっことに久しぶりじゃなあ!」
局長室に案内されてきた業者の男は突然そんなことを口走って、大きな足音をたてて銀時に近づこうとした。
「・・・何者でさァ?」
その男を止めたのはやはりというか沖田だった。
いつの間にか抜き放った刀を男の首元へと突きつけ、警戒心を露わにして男をにらみつける。
「ひょー・・・おっとろしや(恐ろしい)、兄ちゃんじゃのー・・・」
降参のポーズをしながら男は呟き、銀時に視線を向けた。
「金時ィ~、刀を下ろすようにゆうてくれんか~?」
「金じゃねぇから!銀だから!!・・・はぁ、そーちゃん。一応、そいつ知り合いだから・・・許したげて」
「・・・銀兄ィの知り合い?」
沖田は復唱し、刀を下ろす。
が、
「・・・テメェは攘夷志士か?」
今度は土方が刀を突きつけて詰問した。
「あはは~、元・攘夷志士じゃあ。ほがに心配しなくとも、金時に危害を加えたりはしやーせんよ」
ふざけた調子で答える男の瞳がサングラスの奥で真剣な光を帯びたのに気づいて、土方は刀を下ろす。
「ほらみたことか、頭。そんなナリでは信用されるどころか怪しまれるとゆうたじゃろう?」
男の背後から女が現れて呆れたように告げる。
「そうはゆうがなぁ、陸奥・・・わしはこれが正装やき」
「どこがじゃ」
「あはは~・・・陸奥~、最近いやに冷たいぜよ~・・・」
力なくうなだれた男を見て、銀時は苦笑をうかべた。
「・・・辰馬も陸奥も変わんねェなぁ・・・」
「銀時も息災なようじゃな」
フッと笑った陸奥はやけに男前に見えた。
***
「・・・はい、というわけでぇ・・・攘夷志士時代の仲間で坂本辰馬と陸奥ね。辰馬は俺より先に攘夷から足洗って、宇宙で商売始めるって言ってた四天王の一人」
銀時の紹介を聞いていた伊東が肩をすくめる。
「まさか、あの快援隊の社長が四天王の一人とはね」
「あっはは~、意外と知られておらんのちや・・・金時もそうじゃったのう?」
「だからぁ、金じゃなくて銀!・・・まぁ、俺も名前だけが一人歩きしてた時期はあったなぁ。今は結構メディアにも出てるし・・・二つ名と顔をちゃんと知ってる連中の方が多いけどな」
「あはは~、そのせいで妙な動きがあるのも確かやか・・・ちっくと、控えた方がええ」
「!・・・それって、白鬼党のことか!?」
坂本の言葉に、土方が食いつく。
「なんじゃあ、知っておったかぁ。・・・わしのトコにも情報しか入ってこんきに、よっぽど深い所におるに違いないがで」
「深い所・・・か」
近藤が眉を顰めると、陸奥が頷く。
「白鬼党を含む攘夷志士側の情報についてはこっちの方もわかり次第、真選組に連絡するようにするぜよ」
「あー、助かるわ。・・・さすがに俺がヅラや晋助と直接連絡取るわけにはいかないもんなァ」
銀時が言えば、近藤達が微妙な表情をうかべる。
「・・・なんじゃ、副長とは名ばかりでお飾りというのは、まっことのことかや?」
その雰囲気に、坂本が近藤達を睥睨する。
「・・・だったら、幕府との交渉の一切を銀時に任せたりしねェよ・・・“そういう噂がたってる”から、困ってんだ」
溜息交じりに土方が言えば、坂本は納得したように頷いた。
「なるほどのう・・・じゃったら、その噂を消してしまえばええがじゃ」
「消すって・・・どうやって?」
「そがなこと、きまっちょるじゃろう。・・・銀時に部隊の指揮を任せて、攘夷志士を捕まえさせればえいがじゃ。その間、おまんら幹部は屯所で報告を待つ。これでバッチリぜよ~」
坂本が胸を張ってそう言うと、近藤が机をバン!と叩いた。
「そんなコト、うちの銀時にはさせられないってぇ!!もし怪我でもしたら、どーすんのぉおお!!」
「はぁ・・・オカンな近藤さんのスイッチが入ってしまったな」
伊東が呆れた様子で溜息をもらす。
「とにかく!!ダメ!絶対!!」
「って、なんかの標語みてェになってるし!!・・・もう!どんだけ過保護なんだよ!!」
銀時が反論すると、今度は沖田が近藤を援護する。
「それだけ銀兄ィが大切なんでさァ・・・銀兄ィが狂った攘夷志士に利用されねェために、嫌々幕府の連中に頭下げて真選組を作ったんでィ。銀兄ィがさらわれるとか、本末転倒な状況にしねェためにも幹部が最低一人は側にいるべきなんでさァ」
「・・・そーなんだけどォ・・・」
「テメェは確かに強ェよ?・・・だがな、多勢に無勢、なんてことになったら・・・一人でさばけねェだろうが」
「うぅ~・・・」
さらに土方が追い打ちをかけ、銀時はがっくりとうなだれる。
「・・・というわけで、坂本さん。アンタの策は却下だ」
土方がまとめれば、坂本は思わず苦笑をうかべた。
「なんじゃあ、金時。愛されちょるの~」
「・・・金じゃなくてぇ銀・・・も~・・・ナニ、この人達!ちょー恥ずかしいんですけどォ~」
両手で顔を覆った銀時の耳が赤くなっている所からすると、激しく照れているのだろう。
思いの外大切にされているらしい銀時に、坂本と陸奥はホッと胸を撫で下ろした。
「・・・それで、商談をそろそろ始めてもいいのかな?」
ああでもないこうでもないと銀時の噂を止める計画を練っていると、呆れた様子で伊東が本来の目的を口にし、全員がハッとする。
「あ、ああ・・・そうだったなぁ・・・すっかり坂本さんの話と銀時の件で頭から抜けてたよ」
がはは、と笑う近藤に溜息をもらしつつ、伊東は坂本に視線を向けた。
「それで、新兵器を納入してくれるという話でしたよね?」
「おお、持ってきちょるよ。じゃけんど、運ぶのに手間がかかるきに・・・港までついてきてくれんか?」
「それはもちろん・・・あと、彼女の隊服も作ってもらいたいんですが」
坂本が伊東を見て、首を傾げた。
「隊服?この嬢ちゃんのか?・・・女性用で作るんか?ほれとも男性用で?」
「神楽くんはどうしたい?」
「動きやすければなんでもいいネ!」
「・・・というわけなので、お任せしますよ。彼女は・・・あなたなら見てわかると思いますが夜兎族です。地球人仕様では“もろい”かもしれません・・・」
そう、伊東がわざわざ呉服屋ではなく坂本に任せようとしたのは、神楽の夜兎故の戦闘力に隊服が耐えられるかどうかが心配だったためだ。
「あぁ、そういうことかぁ。わかったぜよ。任せてくれえ!」
ドン、と胸を叩いた坂本に、神楽がしゅたっと手をあげた。
「おう、よろしくナ、黒もじゃ」
「あはは~・・・“黒もじゃ”じゃのうて、坂本やか・・・」
とんでもないあだ名をつけられてしまい、坂本がガックリと肩を落とす。
「じゃあ頭、わしはこの嬢ちゃんのサイズを測るきに別室に行きゆうが・・・妙なことをゆうてたら、ハッ倒す!」
陸奥が無表情でそう告げ、神楽を別室へと連れて行く。
「・・・アンタ、どんだけ信用ないんだ?」
「十四郎、コイツ等はいつもこんな感じだって」
いぶかしむように坂本を見つめる土方に、銀時がケタケタと笑って告げる。
「・・・で、桂や高杉とも繋がりがあんのか?」
土方が声のトーンを落として訊ねる。
「ない、とは言えんな。けんど、真選組のお抱え商人になったことは“オフレコ”じゃあ。ヅラにも今回の商談はどこと行うのか訊かれたが、黙っとったが」
「・・・ヅラに会ったのか?」
「そうじゃ、呼び出されてのぉ・・・『白鬼党と商談をするのではないだろうな!』・・・そういって訊かれたがやき、旧友に武器を売るっちゅうてやった」
桂の口調の真似を披露した坂本がニヤリと笑う。
「・・・まあ、間違っちゃいないけどな」
今は攘夷志士ではないが銀時も坂本の旧友であることに違いはない。桂も旧友と言われれば安心するだろうし、なかなかに良い答えであると思う。
「はァ・・・本来なら攘夷志士や浪士共と繋がりのある商人はしょっぴかなきゃならねェんだが・・・上の連中は百も承知でアンタのトコを入札に参加させたんだろうし、攘夷側の情報を貰えるのも悪くねェ・・・だがな、こちらの情報を流されるのは困るぜ?」
「あはは~!敵の情報は欲しいが自分の情報は流すな、かァ。正直じゃの~。・・・やき、真選組お抱え商人になった件は“オフレコ”じゃとゆうたじゃろう?」
つまり、真選組との商談で聞いたり見たりしたことは“オフレコ(=黙っている)”ということだ。
坂本の言わんとしていることを理解した土方は、ニヤリと笑った。
「・・・じゃあ、末永くよろしく頼む」
「話のわかるヤツは嫌いじゃないきに。・・・こちらこそ“銀時”を頼むぜよ」
今度は銀時の名前を間違えずに言う坂本。それだけ真剣なのだとわかると、近藤達の表情が緩んだ。
「てゆーか・・・辰馬が情報源って・・・どんだけチートか、わかってんの?」
「ん?チート?」
呆れた様子で土方達を見ていた銀時が呟けば、それを耳にした近藤が首を傾げる。
「・・・辰馬が攘夷志士や攘夷浪士の情報をどんだけ持ってるか知ってる?・・・それを全部横流ししてくれるわけ?・・・辰馬、お前まで裏切り者扱いされるんじゃねェの?」
「・・・あっはっは!わしは金時に堂々と会えるんならなんでもやるちや!・・・それに“銀時”を困らせちょる連中の情報を渡すがやき、抵抗はないぜよ」
どことなく笑顔が黒いのは気のせいだろうか?いや、昔からこういうところがあった気がする。
坂本はよく馬鹿っぽく見える行動をするし、実際に馬鹿なのかと思うこともある。が、無能ではない。
それに、銀時を含めた四天王の中で、本気で怒った時に一番手に負えなかったのは坂本だ。
「・・・近藤さんと同じ匂いがしまさァ・・・」
ぼそりと沖田が小さく呟くのを耳にして、確かに似ていると銀時は苦笑した。まぁ、坂本はオカンではないが。
「これで情報面に関しては心配いらないね。やれやれ、助かったよ。これで僕の出張も減るだろう」
伊東はこの半年、その情報収集能力が買われて真選組の外に出されることが増えていた。
伊東が真選組を離れれば幕府との交渉は銀時一人になるし、些細なことで銀時に過保護な幹部が暴走するしでいつも出かけるときは気が気ではなかったのだが、これで安心できるというものだ。
「あはは~!任せておきぃや!」
そう言って笑い、胸を張る坂本が妙に頼もしく感じて、伊東はホッと息をはいた。
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あの報告を聞いたあと会計係と購入する兵器(笑)を選び、松平に問い合わせた土方は訝しげに問い返した。
『そうなんだよォ。ついこないだ入札があってさァ~・・・いつもと違う業者もいるなぁ~って思ってたらそこに決まっちゃってェ。もう、オジサンびっくりィ。あ、というわけでェ・・・明日そっちに直接挨拶と商談しに行くことになってるからァ・・・近藤とトシと銀ちゃんは必須ね?』
松平の声がやけにご機嫌なのに首を傾げつつ、土方はその業者の連絡先を聞いて通話を終えた。
そのことを近藤と銀時に伝えれば、二人揃って同じように首を傾げた。
「とっつぁんがご機嫌だとろくなことないからなァ・・・」
近藤が言えば、銀時は苦笑する。
「まぁ、不機嫌よりはマシなんじゃねェ?・・・それに、明日になりゃわかんだろ」
自分でそんなことを言っておきながら、銀時は妙に嫌な予感がして身震いした。
***
翌日、真選組内は新しい業者が来るということを聞きつけた隊士が興味津々でその業者の到着を待っていた。
「・・・ったく、落ち着きがねェな」
局長室で業者を待っていた土方が溜息をもらす。
「まぁ、そう言うなトシ。新しい業者っていうことは新しい武器も手に入るってことだからな。・・・こう言っちゃなんだが、前の業者は質は良いんだが・・・いかんせん最先端の物のルートを持ってなくて、中々手に入らなかったからなァ」
近藤がそう宥めるように言えば、その隣で刀の手入れをしていた沖田が頷く。
「そうでさァ。むしろ攘夷志士や攘夷浪士の連中の方が良い武器を使ってらァ・・・ここは思いきって新しい業者を入れることにした幕府を褒めてやらにゃあいけやせんねィ」
「・・・総悟、お前何様だ?」
上から目線で告げる沖田に、土方は呆れたような視線を向ける。
「沖田様でさァ・・・第一、幕府の半分はもうこっちの手の内でさァ。あと半分は中々堕ちてこねェんで、そろそろ実力行使も考えねェとってとっつぁんが言ってやしたぜィ」
「とっつぁんんん!?一番危険な奴に何吹き込んでんのォおお!!」
「何事だい?土方くん。・・・うるさいよ」
土方があらぬ方向に叫んでいると、伊東が銀時と神楽を引き連れて局長室にやって来る。
「伊東・・・いや、何でもねェよ」
幕府への浸食は銀時に聞かせられないことなので、土方は口を閉ざす。
「・・・ところで、伊東さん・・・なんでソイツまで連れて来てるんでさァ」
沖田が平静を装って訊ねる。
実際は、ぴっとりと銀時にひっついている神楽に嫉妬心がメラメラと燃えあがっている。
「あァ、彼女の隊服を注文しようと思ってね。どこかの誰かさんが“御古”を貸すのを嫌がったから、合うサイズがないんだよ」
嫌味交じりに伊東が言えば、沖田はその嫌味を聞き流して目を細めた。
「・・・おい、チャイナ『沖田様、どうぞ隊服の“御古”をください』って言って頭下げやがれ。そしたら考えてやっても良いぜィ?」
「総悟・・・」
最近サドっ気にますます磨きがかかってきたような弟分に、銀時は苦笑をうかべる。
「嫌ヨ、なんでお前のいろんなモノがしみ込んだ隊服なんかを着るために頭を下げなきゃならないネ。お前こそ『神楽様、僕の隊服の“御古”を着てください』って頭下げるヨロシ」
「んだと、コラァ!」
「ああん!?やるアルカ!!」
「ちょ、待て待て、ケンカするなって!!」
「銀兄ィ、止めねェでくだせェ!!」
「そうヨ、銀ちゃん!!」
「「コイツ、一度はっ倒さないと腹の虫がおさまら(ねェでさァ/ないネ!!)」」
見事にハモった二人の言葉に、銀時達はいっせいに噴き出した。
「「「ぶはッ!!」」」
「がはは!いやぁ、総悟とここまで息が合うなんて、トシや銀時以来だなァ」
「・・・銀兄ィはともかく、土方さんと息が合った例なんてありやしたかねィ」
豪快に笑う近藤にムッとしつつ沖田が訊ねる。
「戦ってる時とか、結構息合ってるよ」
笑う近藤の代わりに銀時が答えれば、げー、という顔をして土方と沖田は顔を見合わせる。
「・・・そうかァ?」
「さァ?身に覚えはありやせんねィ」
そう言う沖田だが、土方や銀時と戦う時が一番やりやすいと感じているのは確かだ。
「まったく、お前達は素直じゃないなぁ・・・」
困ったものだ、と近藤が肩をすくめたときだった。
「局長!業者の方がいらっしゃいました!!」
山崎が局長室に業者を案内してくる。
「おぉ、来たか!・・・入ってくれ!」
「はい!さ、どうぞ!」
山崎に促されて入ってきた業者に、近藤達が感じた印象は“若いな”だった。
その近藤達で隠れていた業者の姿を目にした銀時は、驚きに目を瞠った。
「お~!まっことに久しぶりじゃなあ!」
局長室に案内されてきた業者の男は突然そんなことを口走って、大きな足音をたてて銀時に近づこうとした。
「・・・何者でさァ?」
その男を止めたのはやはりというか沖田だった。
いつの間にか抜き放った刀を男の首元へと突きつけ、警戒心を露わにして男をにらみつける。
「ひょー・・・おっとろしや(恐ろしい)、兄ちゃんじゃのー・・・」
降参のポーズをしながら男は呟き、銀時に視線を向けた。
「金時ィ~、刀を下ろすようにゆうてくれんか~?」
「金じゃねぇから!銀だから!!・・・はぁ、そーちゃん。一応、そいつ知り合いだから・・・許したげて」
「・・・銀兄ィの知り合い?」
沖田は復唱し、刀を下ろす。
が、
「・・・テメェは攘夷志士か?」
今度は土方が刀を突きつけて詰問した。
「あはは~、元・攘夷志士じゃあ。ほがに心配しなくとも、金時に危害を加えたりはしやーせんよ」
ふざけた調子で答える男の瞳がサングラスの奥で真剣な光を帯びたのに気づいて、土方は刀を下ろす。
「ほらみたことか、頭。そんなナリでは信用されるどころか怪しまれるとゆうたじゃろう?」
男の背後から女が現れて呆れたように告げる。
「そうはゆうがなぁ、陸奥・・・わしはこれが正装やき」
「どこがじゃ」
「あはは~・・・陸奥~、最近いやに冷たいぜよ~・・・」
力なくうなだれた男を見て、銀時は苦笑をうかべた。
「・・・辰馬も陸奥も変わんねェなぁ・・・」
「銀時も息災なようじゃな」
フッと笑った陸奥はやけに男前に見えた。
***
「・・・はい、というわけでぇ・・・攘夷志士時代の仲間で坂本辰馬と陸奥ね。辰馬は俺より先に攘夷から足洗って、宇宙で商売始めるって言ってた四天王の一人」
銀時の紹介を聞いていた伊東が肩をすくめる。
「まさか、あの快援隊の社長が四天王の一人とはね」
「あっはは~、意外と知られておらんのちや・・・金時もそうじゃったのう?」
「だからぁ、金じゃなくて銀!・・・まぁ、俺も名前だけが一人歩きしてた時期はあったなぁ。今は結構メディアにも出てるし・・・二つ名と顔をちゃんと知ってる連中の方が多いけどな」
「あはは~、そのせいで妙な動きがあるのも確かやか・・・ちっくと、控えた方がええ」
「!・・・それって、白鬼党のことか!?」
坂本の言葉に、土方が食いつく。
「なんじゃあ、知っておったかぁ。・・・わしのトコにも情報しか入ってこんきに、よっぽど深い所におるに違いないがで」
「深い所・・・か」
近藤が眉を顰めると、陸奥が頷く。
「白鬼党を含む攘夷志士側の情報についてはこっちの方もわかり次第、真選組に連絡するようにするぜよ」
「あー、助かるわ。・・・さすがに俺がヅラや晋助と直接連絡取るわけにはいかないもんなァ」
銀時が言えば、近藤達が微妙な表情をうかべる。
「・・・なんじゃ、副長とは名ばかりでお飾りというのは、まっことのことかや?」
その雰囲気に、坂本が近藤達を睥睨する。
「・・・だったら、幕府との交渉の一切を銀時に任せたりしねェよ・・・“そういう噂がたってる”から、困ってんだ」
溜息交じりに土方が言えば、坂本は納得したように頷いた。
「なるほどのう・・・じゃったら、その噂を消してしまえばええがじゃ」
「消すって・・・どうやって?」
「そがなこと、きまっちょるじゃろう。・・・銀時に部隊の指揮を任せて、攘夷志士を捕まえさせればえいがじゃ。その間、おまんら幹部は屯所で報告を待つ。これでバッチリぜよ~」
坂本が胸を張ってそう言うと、近藤が机をバン!と叩いた。
「そんなコト、うちの銀時にはさせられないってぇ!!もし怪我でもしたら、どーすんのぉおお!!」
「はぁ・・・オカンな近藤さんのスイッチが入ってしまったな」
伊東が呆れた様子で溜息をもらす。
「とにかく!!ダメ!絶対!!」
「って、なんかの標語みてェになってるし!!・・・もう!どんだけ過保護なんだよ!!」
銀時が反論すると、今度は沖田が近藤を援護する。
「それだけ銀兄ィが大切なんでさァ・・・銀兄ィが狂った攘夷志士に利用されねェために、嫌々幕府の連中に頭下げて真選組を作ったんでィ。銀兄ィがさらわれるとか、本末転倒な状況にしねェためにも幹部が最低一人は側にいるべきなんでさァ」
「・・・そーなんだけどォ・・・」
「テメェは確かに強ェよ?・・・だがな、多勢に無勢、なんてことになったら・・・一人でさばけねェだろうが」
「うぅ~・・・」
さらに土方が追い打ちをかけ、銀時はがっくりとうなだれる。
「・・・というわけで、坂本さん。アンタの策は却下だ」
土方がまとめれば、坂本は思わず苦笑をうかべた。
「なんじゃあ、金時。愛されちょるの~」
「・・・金じゃなくてぇ銀・・・も~・・・ナニ、この人達!ちょー恥ずかしいんですけどォ~」
両手で顔を覆った銀時の耳が赤くなっている所からすると、激しく照れているのだろう。
思いの外大切にされているらしい銀時に、坂本と陸奥はホッと胸を撫で下ろした。
「・・・それで、商談をそろそろ始めてもいいのかな?」
ああでもないこうでもないと銀時の噂を止める計画を練っていると、呆れた様子で伊東が本来の目的を口にし、全員がハッとする。
「あ、ああ・・・そうだったなぁ・・・すっかり坂本さんの話と銀時の件で頭から抜けてたよ」
がはは、と笑う近藤に溜息をもらしつつ、伊東は坂本に視線を向けた。
「それで、新兵器を納入してくれるという話でしたよね?」
「おお、持ってきちょるよ。じゃけんど、運ぶのに手間がかかるきに・・・港までついてきてくれんか?」
「それはもちろん・・・あと、彼女の隊服も作ってもらいたいんですが」
坂本が伊東を見て、首を傾げた。
「隊服?この嬢ちゃんのか?・・・女性用で作るんか?ほれとも男性用で?」
「神楽くんはどうしたい?」
「動きやすければなんでもいいネ!」
「・・・というわけなので、お任せしますよ。彼女は・・・あなたなら見てわかると思いますが夜兎族です。地球人仕様では“もろい”かもしれません・・・」
そう、伊東がわざわざ呉服屋ではなく坂本に任せようとしたのは、神楽の夜兎故の戦闘力に隊服が耐えられるかどうかが心配だったためだ。
「あぁ、そういうことかぁ。わかったぜよ。任せてくれえ!」
ドン、と胸を叩いた坂本に、神楽がしゅたっと手をあげた。
「おう、よろしくナ、黒もじゃ」
「あはは~・・・“黒もじゃ”じゃのうて、坂本やか・・・」
とんでもないあだ名をつけられてしまい、坂本がガックリと肩を落とす。
「じゃあ頭、わしはこの嬢ちゃんのサイズを測るきに別室に行きゆうが・・・妙なことをゆうてたら、ハッ倒す!」
陸奥が無表情でそう告げ、神楽を別室へと連れて行く。
「・・・アンタ、どんだけ信用ないんだ?」
「十四郎、コイツ等はいつもこんな感じだって」
いぶかしむように坂本を見つめる土方に、銀時がケタケタと笑って告げる。
「・・・で、桂や高杉とも繋がりがあんのか?」
土方が声のトーンを落として訊ねる。
「ない、とは言えんな。けんど、真選組のお抱え商人になったことは“オフレコ”じゃあ。ヅラにも今回の商談はどこと行うのか訊かれたが、黙っとったが」
「・・・ヅラに会ったのか?」
「そうじゃ、呼び出されてのぉ・・・『白鬼党と商談をするのではないだろうな!』・・・そういって訊かれたがやき、旧友に武器を売るっちゅうてやった」
桂の口調の真似を披露した坂本がニヤリと笑う。
「・・・まあ、間違っちゃいないけどな」
今は攘夷志士ではないが銀時も坂本の旧友であることに違いはない。桂も旧友と言われれば安心するだろうし、なかなかに良い答えであると思う。
「はァ・・・本来なら攘夷志士や浪士共と繋がりのある商人はしょっぴかなきゃならねェんだが・・・上の連中は百も承知でアンタのトコを入札に参加させたんだろうし、攘夷側の情報を貰えるのも悪くねェ・・・だがな、こちらの情報を流されるのは困るぜ?」
「あはは~!敵の情報は欲しいが自分の情報は流すな、かァ。正直じゃの~。・・・やき、真選組お抱え商人になった件は“オフレコ”じゃとゆうたじゃろう?」
つまり、真選組との商談で聞いたり見たりしたことは“オフレコ(=黙っている)”ということだ。
坂本の言わんとしていることを理解した土方は、ニヤリと笑った。
「・・・じゃあ、末永くよろしく頼む」
「話のわかるヤツは嫌いじゃないきに。・・・こちらこそ“銀時”を頼むぜよ」
今度は銀時の名前を間違えずに言う坂本。それだけ真剣なのだとわかると、近藤達の表情が緩んだ。
「てゆーか・・・辰馬が情報源って・・・どんだけチートか、わかってんの?」
「ん?チート?」
呆れた様子で土方達を見ていた銀時が呟けば、それを耳にした近藤が首を傾げる。
「・・・辰馬が攘夷志士や攘夷浪士の情報をどんだけ持ってるか知ってる?・・・それを全部横流ししてくれるわけ?・・・辰馬、お前まで裏切り者扱いされるんじゃねェの?」
「・・・あっはっは!わしは金時に堂々と会えるんならなんでもやるちや!・・・それに“銀時”を困らせちょる連中の情報を渡すがやき、抵抗はないぜよ」
どことなく笑顔が黒いのは気のせいだろうか?いや、昔からこういうところがあった気がする。
坂本はよく馬鹿っぽく見える行動をするし、実際に馬鹿なのかと思うこともある。が、無能ではない。
それに、銀時を含めた四天王の中で、本気で怒った時に一番手に負えなかったのは坂本だ。
「・・・近藤さんと同じ匂いがしまさァ・・・」
ぼそりと沖田が小さく呟くのを耳にして、確かに似ていると銀時は苦笑した。まぁ、坂本はオカンではないが。
「これで情報面に関しては心配いらないね。やれやれ、助かったよ。これで僕の出張も減るだろう」
伊東はこの半年、その情報収集能力が買われて真選組の外に出されることが増えていた。
伊東が真選組を離れれば幕府との交渉は銀時一人になるし、些細なことで銀時に過保護な幹部が暴走するしでいつも出かけるときは気が気ではなかったのだが、これで安心できるというものだ。
「あはは~!任せておきぃや!」
そう言って笑い、胸を張る坂本が妙に頼もしく感じて、伊東はホッと息をはいた。
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