Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・完全捏造設定です!
・原作かなり無視しています!
・オリジナルキャラクターがわんさか出ます
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
その夜、一行は紅桜の事件の際に鬼兵隊の船が停泊していた港にいた。
「・・・ここで、初めてアイツに会ったネ」
神楽が銀時の袖を握り、呟く。
「・・・そうか。確か、ヅラを探して乗り込んだんだっけか?」
「うん」
頷く神楽は、わずかではあるが怯えているようなそぶりを見せた。
「・・・神楽、高杉が怖かったら、銀さんの後ろに隠れてな」
「大丈夫ネ!いざという時のために、銀ちゃんの傍にいるアル!!」
銀時の袖から手を放し、神楽はギュッと愛用の傘を握り締めた。
そんな神楽の様子に、桂や坂本は目を細める。
「リーダーが護衛とは、心強いじゃないか銀時」
「せんばん(ずいぶん)と可愛い護衛じゃの~」
「るせェ・・・オメェら、気ィ抜いてんじゃねぇぞ。これは賭けなんだからな」
高杉が味方となるか、銀時達が集まっているのをこれ幸いと殲滅しにかかってくるか。
たぶん大丈夫とは思いつつも、高杉の心中を全て理解しているわけではないのだから絶対とは言い切れない。
真選組も念の為幹部以外は至る所に潜ませ、奇襲に備えた。
「間もなく、月が登りきるぞ」
土方が囁くように言う。
その言葉につられるように丁度真上に来た月を全員が見上げた時だった。
「船じゃ」
坂本が最初にそれを見つけた。
「・・・アレは間違いなく鬼兵隊のものだ」
桂が双眼鏡を覗き込んで確認する。
「さァて・・・アイツはどう出てくるかねェ」
銀時は腰に佩いた愛刀“雪月花”の柄に手をかけた。
丁度銀時達のいる真上まで来た鬼兵隊の船は静かに港に停泊し、その中から幹部達が姿を現した。
「・・・アレが」
「高杉、晋助」
近藤や土方、沖田に山崎がその派手な出で立ちに視線を奪われていた。
「よォ、銀時ィ・・・ヅラも坂本も久しぶりだなァ」
ニィ、と笑い高杉は、やや間合いを取って銀時の前に立った。その後ろには万斉やまた子、武市の姿がある。
「・・・氷柱は?」
銀時が短く訊ねると、高杉は肩を竦めた。
「途中で降ろした。行くとこがあるんだとよ」
「高杉・・・貴様のしたことは忘れてはおらん・・・が、今回は事が事だ。今までの事は一時措いておくことにする」
桂が言えば、高杉はクツリと笑う。
「へェ・・・随分と心が広くなったじゃねェか、ヅラ」
「あっはっはっ!仲良くやろうやか、ここでいがみあっていてもなんも始まらんのやき」
坂本がいつもの調子で言えば、高杉は目を細めた。
「あァ・・・そうだなァ」
ゆらり、と高杉の身体が揺れた。その瞬間、銀時は横にいた神楽を後ろに突き飛ばし愛刀を抜いた。
高杉の持つ刀が銀時の胴を狙うように振られ、銀時は“雪月花”を縦に構える。
ギィン!
刀が交わる音が辺りに響き、周りにいた者達が気色ばむ。
「“雪月花”久々に見たぜェ?どこに隠してた?・・・紅桜ン時は使ってなかったなァ?」
「・・・夏霧に預けてたんだよ」
「へェ・・・それで、こっちにあの木刀を寄越したワケか」
「・・・まァな。つか、テメェが氷柱に甘味を所望したんだろうが」
「ククッ・・・そうだったなァ」
クツリと笑った高杉を、銀時はジッと見つめる。
「・・・晋助、テメェの答えは」
「銀時ィ・・・ウデは落ちちゃいねェだろうなァ?」
銀時の言葉を遮り、高杉が問う。
「・・・嫌でも思い出すさ・・・“ヤツ”の顔を見たらな」
その身体に眠る、戦いの記憶。
数多の天人達を切り伏せた“白夜叉”の降臨。
「・・・そりゃァ、楽しみだ」
そう言って刀を鞘に収めた高杉の背後に気配無く何者かが立つ。
「・・・あ」
目の前にいた銀時だけがその存在に気付いた。
スゥ、とその人物は息を吸い、一気に吐き出すように高杉の耳元で叫んだ。
「・・・この、大たわけぇええええええ!!!!」
ゴィンとかドカッとかゲシッとか・・・いろんな音が耳に届く。あの高杉が何者かに暴行を受けているのだ。
その場の全員があまりの光景に何も言えずに突っ立っていた。
「ハッ!!・・・し、晋助様ァ!!」
我に返ったまた子が、慌てて高杉に暴行を加えていた者を押さえた。
「お、落ち着くっス!つか、晋助様に暴行とか有り得ないっス!!」
双銃をぶっ放さないのは、それが高杉の友人であり以前から仲間に引き入れたいと願っていた人物であるからだ。
「放してくれ、また子ちゃん!もっと殴る蹴るの暴行を加えないとダメだって、天のお告げが!!」
「天のお告げって何スか!ダメッス、これ以上は晋助様が危ないッス!!」
「・・・痛ェ・・・これが医者のすることかよ、玄」
ボロボロにされた高杉がむくりと起きあがり、腹の辺りを押さえて呻く。
「煩い!バカ晋ッ!手加減してやっただろうが!・・・とにかく、銀に謝れ!!!」
“彼”はビシッと銀時を指さし、高杉に命じた。
高杉はチラリと銀時を見上げ、口をへの字に曲げた。
「・・・冗談でも刃を向けて・・・悪かった」
そう言うと、高杉はフイッと銀時から顔を背けた。
銀時は一瞬目を丸くし、それからホッとして泣き笑いのような表情になる。その場にいた高杉以外の全員がその表情を視界に入れ、思わず見惚れる。
次の瞬間。
「・・・まぎらわしいんだよッッ!このチビ助!!」
銀時はそう叫び、高杉の頭を思いっきり叩いた。
「い゛ッ!!・・・てめッ、こんな力一杯叩かなくてもいいだろうが!!」
頭を押さえて立ちあがった高杉が、銀時に詰め寄る。
「フン、テメェが最初に刀抜いたんだろうが!!このチビッ!」
「チビ言うな!クソ天パ!」
「天パ馬鹿にすんな!!」
ガルガルと威嚇し合う銀時と高杉。
こんな高杉を見たことがない鬼兵隊の幹部達は目を丸くし、真選組の幹部達も高杉のイメージがガラガラと崩れていくのを感じていた。
「・・・よしっ、そこまでー」
ガシッと銀時と高杉の頭を押さえて間に割り込んだ“彼”がニカリと笑った。
「・・・玄」
「玄ちゃん・・・」
「ケンカするほど仲が良いってな・・・まぁ、先生はケンカを好まれなかったが」
「「・・・」」
“彼”が苦笑すると、銀時と高杉は言葉を詰まらせて俯いた。
「久坂!」
その時、ようやく我に返った桂がその傍に走り寄った。
「ああ、久しぶりだな。小太郎」
そう言って爽やかな笑顔をうかべた“彼”久坂玄火。自分達と同じ村塾で学んだ学友の登場に、桂はいささか戸惑っていた。
「どういう、ことだ?鬼兵隊と共に来るなんて」
「ん?ああ・・・元々、鬼兵隊に参加しろって散々声はかけられてたんだが、晋や小太郎だけでなく俺まで参戦したら、銀はどう思うだろうってずーっと渋ってたんだ。そうしたら、銀と一緒に先生の仇を討つことになったって話を聞いてな、銀に会うきっかけになると思って・・・着いてきちゃったんだ」
「着いてきちゃったんだって・・・お前、文さんは・・・」
「うん、文ちゃんは行って来いって言ってくれたから」
桂の出した名前に、高杉や銀時がギクリと身体を揺らし、久坂は苦笑いをうかべた。
「・・・文さんって?」
新八が傍にいた坂本に訊ねる。
「うん?・・・ああ、アイツらの先生の妹で、久坂の嫁じゃったかぇ」
「妹!?」
「嫁!?」
近藤や土方が目を丸くする。
その時、鬼兵隊の船からひょこっと2人の男性が顔をのぞかせた。
「・・・おーい、俺等はいつ出れば良いんだよ~?」
「そもそも、隠れている必要があったのか?」
2人連れ立って鬼兵隊の船から出てくるのを見て、桂や銀時、坂本はギョッとした。
「十一!?」
「麿ちゃん!?」
「おんしらまで来とったがか!?」
困ったように笑っているのは入江十一、機嫌悪そうに眉間にしわを寄せているのが古田稔麿。久坂と同じく銀時達の学友だった。
「・・・晋助、懐かしい面々を揃えといてやるって・・・こいつ等のことだったのか?」
銀時が訊ねると、高杉はコクリと頷いた。
「ああ・・・ずっと鬼兵隊に参加しろって声はかけてたんだが、銀も参加してねェのに自分達が参加できるわけが無いって断られてたんだ。・・・だから、今回は耳を貸すかもしれねェって声をかけた」
揃いも揃って銀時バカだからな、と高杉が言えば、久坂達3人がニヤリと笑う。
「1番の銀時バカが何言ってんの~」
「全くだよ。子どもの時分から銀にばっかりちょっかい出して」
「相変わらず素直ではないな」
「・・・・・・フン」
幼馴染達の言葉に、高杉は言い返すでもなくキセルを咥えた。
「えーと・・・とりあえず、すっごい置いてきぼりな気がする」
「ぱっつあん、意見が合うネ・・・私もそう思うヨ」
賑やかな集団を遠巻きに眺めながら、新八と神楽が悔しそうな表情をうかべる。
あの独特の空気感の中に入っていけない。万事屋の従業員として家族以上の濃密な時間を過ごしてきた2人でさえも、だ。
「攘夷戦争の後半はそりゃひでェモンだったって話だ。そんな中で同じ釜の飯を食って文字通り命懸けで戦ってた仲間なら・・・しょうがねェだろ」
土方がそんな子ども達を慰めるように言葉をかける。
「それは、そうですけど」
「銀ちゃんは、仲間外れはしないって言ったアル・・・」
ムスッとしている2人の様子に気付いたらしい銀時が視線をこちらに向けて来た。
「新八、神楽」
忘れてないよと言うように微笑み手招く銀時に、途端に2人の機嫌が良くなる。
「銀ちゃん、紹介するアル!」
「仲間外れは無しですよ!銀さん!!」
そう言いながら嬉しそうに手招く銀時に駆け寄る2人。
「・・・まァ、あの2人の機嫌の良し悪しは銀時にかかってるってコトで」
「ですねィ」
近藤と沖田が苦笑する。
「はぁ・・・ったく、ガキ共の扱いなんて野郎はちゃーんと心得てるってコトか」
慰めがまったく意味をなさなかった土方は思わず深い溜息をついたのだった。
新八と神楽を幼馴染達に紹介し終えた銀時は、次に近藤達の前に彼等を連れて来て簡単に紹介をする。
「でェ、こっちが武装警察真選組の局長のゴリラと、副長のニコ中マヨと、一番隊隊長のドS王子と監察の死の呪文(ザキ)ジミーね」
「「「「ヒドッ!」」」」
さすがにその紹介はないんじゃないかと思う。
近藤達が恨めしげな視線を銀時に向けた時だった。
「あ~、未だにそういう紹介の仕方するんだ~」
クツクツと笑いながら、入江が懐かしそうに言う。
「・・・塾生達にも妙なあだ名をつけて回っていたものだが、戦争時にも新しく部隊を組まれる度にやっていた気がするぞ」
それに対して呆れた様子で溜息をつく古田。
「そう言えば最初に小太郎のコト、ヅラって言い出したのって銀だったか?」
そして、久坂が首を捻れば桂がハッと息を呑み、銀時を睨んだ。
「そうだ!銀時!そもそもお前がヅラとか言い出さなければ・・・!!!」
「・・・しまいにゃ、先生までヅラ呼びだったしな」
桂が銀時の胸ぐらを掴んだその時、高杉がトドメとばかりにボソリと呟いた。
「それを言うなぁあああああッ!」
桂が最も思い出したくない黒歴史である。
松陽が面白がって銀時と高杉と共にヅラヅラと言って来た日には、さしもの桂もツッコミ返すことすらも出来ずに撃沈した。
「へー、先生がな~」
「まぁ、あの人もお茶目な所があったからねェ」
入江と久坂が訳知り顔で頷けば、古田が渋い顔をする。
「お茶目で済まない時もあったけどな」
クソが付くくらい真面目な桂と古田は、反応が面白いと良く皆からからかわれていた。
だからだろう。幼馴染達のまとめ役というか、ツッコミ役というか、いつもそんなポジションについていた。
そんな2人を松陽もたまに面白がってからかうことがあった。
本人は手を抜いているつもりでも、“大好きな先生”にからかわれた日には立ち直れないんじゃないかと子どもながらに思ったものだ。
「まぁ、それは措いといて・・・銀がそういう紹介をするってコトは・・・」
「ああ、奴らは銀時の“お気に入り”だ」
久坂が視線で問えば、桂が重々しく頷いた。
銀時の“お気に入り”というのは、周りが思う以上に、銀時バカの集団である幼馴染達には重きを置く言葉なのだ。
「そーかぁ・・・じゃあ、晋助って銀時の“お気に入り”に手ェ出しちゃったんだァ~」
入江の言葉に、高杉がギクリと身体を強張らせた。
「聞いたぞ、晋助。真選組の内乱を煽ったそうだな」
冷たい視線を古田が向けてくる。
「・・・俺ァ、ヤツ(伊東)の背を押しただけだ。立派な牙が見えたからなァ」
フィと顔を彼等から背けた高杉が言えば、真選組の4人が顔をわずかに曇らせた。
「・・・晋ちゃーん、源外のじーさんの時もそんなコト言ってなかったァ?あ~、そういやあの時も俺に殺気をバリバリと向けてくれたような気がするんですけどォ」
「う゛っ」
銀時がゆるく笑いながら告げれば、高杉が小さく呻いた。
「まぁ、謝れって言ったって謝りゃしないんだろうけどな・・・コイツ等の神経を逆撫ですんのはやめろよ?せっかく協力してくれるってんだから」
「・・・フン」
顔を背けたままの高杉に、銀時は苦笑をうかべる。
「あの~旦那ァ、源外のじーさんって・・・例のカラクリ技師ですかィ?」
この微妙な空気を読んでか、沖田が銀時に訊ねる。
「ん?ああ・・・まぁ、今となっちゃ未遂だし、高杉が許されてんだからイイか」
「あのじーさん、あの時、何をやろうとしてたんですかィ?」
「うん、カラクリ使って将軍の暗殺?」
「へェ・・・そうなんですかィ」
銀時はあっさりと答え、沖田はそれをサラリと流した。
「・・・って、納得したらダメだろ!!」
思わずツッコミを入れた土方に、沖田はニヤリと笑った。
「イイじゃねーですかィ。そもそも、俺達は高杉達を見逃せって将軍直々に命じられてるんですぜィ。それに未遂なうえに高杉が煽ったってコトなら、その命令に含まれてるってことでやしょう?」
「そ、それはそうだが・・・」
「あ~、安心しなって、もうじーさんは微塵もそんなコト考えてねーよ」
渋る土方に、銀時があと一押しと言葉を重ねる。
「それなら、不問ってコトで良いよな。な?トシ」
「・・・・・・・・・近藤さんがそう言うなら」
懇願するような近藤の言葉で、渋々頷いた土方に、銀時は苦笑をうかべた。
「ワリィな、土方」
「・・・明日は槍でも降ってくるのか?テメェが俺をまともに呼ぶ日が来るなんざ思ってもみなかったな」
「あ~、悪かったねェ。多串君って呼ばれる方が良かったァ?」
「うぐッ」
気にするなと言う代わりにからかったつもりが、からかい返されて、土方は言葉を詰まらせた。
「へ~、君、“あだ名持ち”なんだぁ~」
「銀が相当気に入っている証拠だねェ」
「・・・まぁ、わからなくもないな・・・晋助と同類の匂いがする」
「麿ちゃん・・・同類って。イヤイヤ、無いってソレ。だって、テロリストと警察よ?まったく正反対じゃん」
「正反対ということは、裏と表ということだろう?」
「あ~、そういうこと?・・・まぁ、確かに晋助は先生の為にこんな超が付くほどの過激派テロリストになっちゃって?多串君はゴリラの為ならえらく高ぁーいプライドとか放り投げて命懸けになっちゃうしねー、似てるっちゃ似てるかァ」
「似てるといえば、お前にも似ている気がするな」
銀時が古田の言葉に納得したその脇で、何事かを考えていた桂が不意に口を開いた。
「え~、そうかァ?」
「ああ、似ている」
「小太郎がそう思うなら、そ~なんじゃん?小太郎って昔から人の特性を見分けるの得意だったし~」
「ん~似てるかァ?」
高杉と土方という組み合わせはまだ納得がいったものの、己と土方となるとまったく納得がいかない。
「・・・似ているぞ、特に汚れ役を買って出るトコロなどは、な?」
「「「「「「あぁ~」」」」」」
今度は両陣営から納得の声があがった。
「え、納得しちゃうのォォオ!?」
「おいコラ、総悟ッ!近藤さんも、山崎までなんで納得してやがる!!」
「「「「「「だってェ・・・ねェ?」」」」」」
「ナニ!?お前達、何なの!?なんでいきなり息が合っちゃってんの?!」
2人が慌てる姿を見てますますこれはと頷きあう面々に、土方は肩を落とし、銀時は深い溜息をついたのだった。
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以上、同意できる方のみ↓へ・・・
その夜、一行は紅桜の事件の際に鬼兵隊の船が停泊していた港にいた。
「・・・ここで、初めてアイツに会ったネ」
神楽が銀時の袖を握り、呟く。
「・・・そうか。確か、ヅラを探して乗り込んだんだっけか?」
「うん」
頷く神楽は、わずかではあるが怯えているようなそぶりを見せた。
「・・・神楽、高杉が怖かったら、銀さんの後ろに隠れてな」
「大丈夫ネ!いざという時のために、銀ちゃんの傍にいるアル!!」
銀時の袖から手を放し、神楽はギュッと愛用の傘を握り締めた。
そんな神楽の様子に、桂や坂本は目を細める。
「リーダーが護衛とは、心強いじゃないか銀時」
「せんばん(ずいぶん)と可愛い護衛じゃの~」
「るせェ・・・オメェら、気ィ抜いてんじゃねぇぞ。これは賭けなんだからな」
高杉が味方となるか、銀時達が集まっているのをこれ幸いと殲滅しにかかってくるか。
たぶん大丈夫とは思いつつも、高杉の心中を全て理解しているわけではないのだから絶対とは言い切れない。
真選組も念の為幹部以外は至る所に潜ませ、奇襲に備えた。
「間もなく、月が登りきるぞ」
土方が囁くように言う。
その言葉につられるように丁度真上に来た月を全員が見上げた時だった。
「船じゃ」
坂本が最初にそれを見つけた。
「・・・アレは間違いなく鬼兵隊のものだ」
桂が双眼鏡を覗き込んで確認する。
「さァて・・・アイツはどう出てくるかねェ」
銀時は腰に佩いた愛刀“雪月花”の柄に手をかけた。
丁度銀時達のいる真上まで来た鬼兵隊の船は静かに港に停泊し、その中から幹部達が姿を現した。
「・・・アレが」
「高杉、晋助」
近藤や土方、沖田に山崎がその派手な出で立ちに視線を奪われていた。
「よォ、銀時ィ・・・ヅラも坂本も久しぶりだなァ」
ニィ、と笑い高杉は、やや間合いを取って銀時の前に立った。その後ろには万斉やまた子、武市の姿がある。
「・・・氷柱は?」
銀時が短く訊ねると、高杉は肩を竦めた。
「途中で降ろした。行くとこがあるんだとよ」
「高杉・・・貴様のしたことは忘れてはおらん・・・が、今回は事が事だ。今までの事は一時措いておくことにする」
桂が言えば、高杉はクツリと笑う。
「へェ・・・随分と心が広くなったじゃねェか、ヅラ」
「あっはっはっ!仲良くやろうやか、ここでいがみあっていてもなんも始まらんのやき」
坂本がいつもの調子で言えば、高杉は目を細めた。
「あァ・・・そうだなァ」
ゆらり、と高杉の身体が揺れた。その瞬間、銀時は横にいた神楽を後ろに突き飛ばし愛刀を抜いた。
高杉の持つ刀が銀時の胴を狙うように振られ、銀時は“雪月花”を縦に構える。
ギィン!
刀が交わる音が辺りに響き、周りにいた者達が気色ばむ。
「“雪月花”久々に見たぜェ?どこに隠してた?・・・紅桜ン時は使ってなかったなァ?」
「・・・夏霧に預けてたんだよ」
「へェ・・・それで、こっちにあの木刀を寄越したワケか」
「・・・まァな。つか、テメェが氷柱に甘味を所望したんだろうが」
「ククッ・・・そうだったなァ」
クツリと笑った高杉を、銀時はジッと見つめる。
「・・・晋助、テメェの答えは」
「銀時ィ・・・ウデは落ちちゃいねェだろうなァ?」
銀時の言葉を遮り、高杉が問う。
「・・・嫌でも思い出すさ・・・“ヤツ”の顔を見たらな」
その身体に眠る、戦いの記憶。
数多の天人達を切り伏せた“白夜叉”の降臨。
「・・・そりゃァ、楽しみだ」
そう言って刀を鞘に収めた高杉の背後に気配無く何者かが立つ。
「・・・あ」
目の前にいた銀時だけがその存在に気付いた。
スゥ、とその人物は息を吸い、一気に吐き出すように高杉の耳元で叫んだ。
「・・・この、大たわけぇええええええ!!!!」
ゴィンとかドカッとかゲシッとか・・・いろんな音が耳に届く。あの高杉が何者かに暴行を受けているのだ。
その場の全員があまりの光景に何も言えずに突っ立っていた。
「ハッ!!・・・し、晋助様ァ!!」
我に返ったまた子が、慌てて高杉に暴行を加えていた者を押さえた。
「お、落ち着くっス!つか、晋助様に暴行とか有り得ないっス!!」
双銃をぶっ放さないのは、それが高杉の友人であり以前から仲間に引き入れたいと願っていた人物であるからだ。
「放してくれ、また子ちゃん!もっと殴る蹴るの暴行を加えないとダメだって、天のお告げが!!」
「天のお告げって何スか!ダメッス、これ以上は晋助様が危ないッス!!」
「・・・痛ェ・・・これが医者のすることかよ、玄」
ボロボロにされた高杉がむくりと起きあがり、腹の辺りを押さえて呻く。
「煩い!バカ晋ッ!手加減してやっただろうが!・・・とにかく、銀に謝れ!!!」
“彼”はビシッと銀時を指さし、高杉に命じた。
高杉はチラリと銀時を見上げ、口をへの字に曲げた。
「・・・冗談でも刃を向けて・・・悪かった」
そう言うと、高杉はフイッと銀時から顔を背けた。
銀時は一瞬目を丸くし、それからホッとして泣き笑いのような表情になる。その場にいた高杉以外の全員がその表情を視界に入れ、思わず見惚れる。
次の瞬間。
「・・・まぎらわしいんだよッッ!このチビ助!!」
銀時はそう叫び、高杉の頭を思いっきり叩いた。
「い゛ッ!!・・・てめッ、こんな力一杯叩かなくてもいいだろうが!!」
頭を押さえて立ちあがった高杉が、銀時に詰め寄る。
「フン、テメェが最初に刀抜いたんだろうが!!このチビッ!」
「チビ言うな!クソ天パ!」
「天パ馬鹿にすんな!!」
ガルガルと威嚇し合う銀時と高杉。
こんな高杉を見たことがない鬼兵隊の幹部達は目を丸くし、真選組の幹部達も高杉のイメージがガラガラと崩れていくのを感じていた。
「・・・よしっ、そこまでー」
ガシッと銀時と高杉の頭を押さえて間に割り込んだ“彼”がニカリと笑った。
「・・・玄」
「玄ちゃん・・・」
「ケンカするほど仲が良いってな・・・まぁ、先生はケンカを好まれなかったが」
「「・・・」」
“彼”が苦笑すると、銀時と高杉は言葉を詰まらせて俯いた。
「久坂!」
その時、ようやく我に返った桂がその傍に走り寄った。
「ああ、久しぶりだな。小太郎」
そう言って爽やかな笑顔をうかべた“彼”久坂玄火。自分達と同じ村塾で学んだ学友の登場に、桂はいささか戸惑っていた。
「どういう、ことだ?鬼兵隊と共に来るなんて」
「ん?ああ・・・元々、鬼兵隊に参加しろって散々声はかけられてたんだが、晋や小太郎だけでなく俺まで参戦したら、銀はどう思うだろうってずーっと渋ってたんだ。そうしたら、銀と一緒に先生の仇を討つことになったって話を聞いてな、銀に会うきっかけになると思って・・・着いてきちゃったんだ」
「着いてきちゃったんだって・・・お前、文さんは・・・」
「うん、文ちゃんは行って来いって言ってくれたから」
桂の出した名前に、高杉や銀時がギクリと身体を揺らし、久坂は苦笑いをうかべた。
「・・・文さんって?」
新八が傍にいた坂本に訊ねる。
「うん?・・・ああ、アイツらの先生の妹で、久坂の嫁じゃったかぇ」
「妹!?」
「嫁!?」
近藤や土方が目を丸くする。
その時、鬼兵隊の船からひょこっと2人の男性が顔をのぞかせた。
「・・・おーい、俺等はいつ出れば良いんだよ~?」
「そもそも、隠れている必要があったのか?」
2人連れ立って鬼兵隊の船から出てくるのを見て、桂や銀時、坂本はギョッとした。
「十一!?」
「麿ちゃん!?」
「おんしらまで来とったがか!?」
困ったように笑っているのは入江十一、機嫌悪そうに眉間にしわを寄せているのが古田稔麿。久坂と同じく銀時達の学友だった。
「・・・晋助、懐かしい面々を揃えといてやるって・・・こいつ等のことだったのか?」
銀時が訊ねると、高杉はコクリと頷いた。
「ああ・・・ずっと鬼兵隊に参加しろって声はかけてたんだが、銀も参加してねェのに自分達が参加できるわけが無いって断られてたんだ。・・・だから、今回は耳を貸すかもしれねェって声をかけた」
揃いも揃って銀時バカだからな、と高杉が言えば、久坂達3人がニヤリと笑う。
「1番の銀時バカが何言ってんの~」
「全くだよ。子どもの時分から銀にばっかりちょっかい出して」
「相変わらず素直ではないな」
「・・・・・・フン」
幼馴染達の言葉に、高杉は言い返すでもなくキセルを咥えた。
「えーと・・・とりあえず、すっごい置いてきぼりな気がする」
「ぱっつあん、意見が合うネ・・・私もそう思うヨ」
賑やかな集団を遠巻きに眺めながら、新八と神楽が悔しそうな表情をうかべる。
あの独特の空気感の中に入っていけない。万事屋の従業員として家族以上の濃密な時間を過ごしてきた2人でさえも、だ。
「攘夷戦争の後半はそりゃひでェモンだったって話だ。そんな中で同じ釜の飯を食って文字通り命懸けで戦ってた仲間なら・・・しょうがねェだろ」
土方がそんな子ども達を慰めるように言葉をかける。
「それは、そうですけど」
「銀ちゃんは、仲間外れはしないって言ったアル・・・」
ムスッとしている2人の様子に気付いたらしい銀時が視線をこちらに向けて来た。
「新八、神楽」
忘れてないよと言うように微笑み手招く銀時に、途端に2人の機嫌が良くなる。
「銀ちゃん、紹介するアル!」
「仲間外れは無しですよ!銀さん!!」
そう言いながら嬉しそうに手招く銀時に駆け寄る2人。
「・・・まァ、あの2人の機嫌の良し悪しは銀時にかかってるってコトで」
「ですねィ」
近藤と沖田が苦笑する。
「はぁ・・・ったく、ガキ共の扱いなんて野郎はちゃーんと心得てるってコトか」
慰めがまったく意味をなさなかった土方は思わず深い溜息をついたのだった。
新八と神楽を幼馴染達に紹介し終えた銀時は、次に近藤達の前に彼等を連れて来て簡単に紹介をする。
「でェ、こっちが武装警察真選組の局長のゴリラと、副長のニコ中マヨと、一番隊隊長のドS王子と監察の死の呪文(ザキ)ジミーね」
「「「「ヒドッ!」」」」
さすがにその紹介はないんじゃないかと思う。
近藤達が恨めしげな視線を銀時に向けた時だった。
「あ~、未だにそういう紹介の仕方するんだ~」
クツクツと笑いながら、入江が懐かしそうに言う。
「・・・塾生達にも妙なあだ名をつけて回っていたものだが、戦争時にも新しく部隊を組まれる度にやっていた気がするぞ」
それに対して呆れた様子で溜息をつく古田。
「そう言えば最初に小太郎のコト、ヅラって言い出したのって銀だったか?」
そして、久坂が首を捻れば桂がハッと息を呑み、銀時を睨んだ。
「そうだ!銀時!そもそもお前がヅラとか言い出さなければ・・・!!!」
「・・・しまいにゃ、先生までヅラ呼びだったしな」
桂が銀時の胸ぐらを掴んだその時、高杉がトドメとばかりにボソリと呟いた。
「それを言うなぁあああああッ!」
桂が最も思い出したくない黒歴史である。
松陽が面白がって銀時と高杉と共にヅラヅラと言って来た日には、さしもの桂もツッコミ返すことすらも出来ずに撃沈した。
「へー、先生がな~」
「まぁ、あの人もお茶目な所があったからねェ」
入江と久坂が訳知り顔で頷けば、古田が渋い顔をする。
「お茶目で済まない時もあったけどな」
クソが付くくらい真面目な桂と古田は、反応が面白いと良く皆からからかわれていた。
だからだろう。幼馴染達のまとめ役というか、ツッコミ役というか、いつもそんなポジションについていた。
そんな2人を松陽もたまに面白がってからかうことがあった。
本人は手を抜いているつもりでも、“大好きな先生”にからかわれた日には立ち直れないんじゃないかと子どもながらに思ったものだ。
「まぁ、それは措いといて・・・銀がそういう紹介をするってコトは・・・」
「ああ、奴らは銀時の“お気に入り”だ」
久坂が視線で問えば、桂が重々しく頷いた。
銀時の“お気に入り”というのは、周りが思う以上に、銀時バカの集団である幼馴染達には重きを置く言葉なのだ。
「そーかぁ・・・じゃあ、晋助って銀時の“お気に入り”に手ェ出しちゃったんだァ~」
入江の言葉に、高杉がギクリと身体を強張らせた。
「聞いたぞ、晋助。真選組の内乱を煽ったそうだな」
冷たい視線を古田が向けてくる。
「・・・俺ァ、ヤツ(伊東)の背を押しただけだ。立派な牙が見えたからなァ」
フィと顔を彼等から背けた高杉が言えば、真選組の4人が顔をわずかに曇らせた。
「・・・晋ちゃーん、源外のじーさんの時もそんなコト言ってなかったァ?あ~、そういやあの時も俺に殺気をバリバリと向けてくれたような気がするんですけどォ」
「う゛っ」
銀時がゆるく笑いながら告げれば、高杉が小さく呻いた。
「まぁ、謝れって言ったって謝りゃしないんだろうけどな・・・コイツ等の神経を逆撫ですんのはやめろよ?せっかく協力してくれるってんだから」
「・・・フン」
顔を背けたままの高杉に、銀時は苦笑をうかべる。
「あの~旦那ァ、源外のじーさんって・・・例のカラクリ技師ですかィ?」
この微妙な空気を読んでか、沖田が銀時に訊ねる。
「ん?ああ・・・まぁ、今となっちゃ未遂だし、高杉が許されてんだからイイか」
「あのじーさん、あの時、何をやろうとしてたんですかィ?」
「うん、カラクリ使って将軍の暗殺?」
「へェ・・・そうなんですかィ」
銀時はあっさりと答え、沖田はそれをサラリと流した。
「・・・って、納得したらダメだろ!!」
思わずツッコミを入れた土方に、沖田はニヤリと笑った。
「イイじゃねーですかィ。そもそも、俺達は高杉達を見逃せって将軍直々に命じられてるんですぜィ。それに未遂なうえに高杉が煽ったってコトなら、その命令に含まれてるってことでやしょう?」
「そ、それはそうだが・・・」
「あ~、安心しなって、もうじーさんは微塵もそんなコト考えてねーよ」
渋る土方に、銀時があと一押しと言葉を重ねる。
「それなら、不問ってコトで良いよな。な?トシ」
「・・・・・・・・・近藤さんがそう言うなら」
懇願するような近藤の言葉で、渋々頷いた土方に、銀時は苦笑をうかべた。
「ワリィな、土方」
「・・・明日は槍でも降ってくるのか?テメェが俺をまともに呼ぶ日が来るなんざ思ってもみなかったな」
「あ~、悪かったねェ。多串君って呼ばれる方が良かったァ?」
「うぐッ」
気にするなと言う代わりにからかったつもりが、からかい返されて、土方は言葉を詰まらせた。
「へ~、君、“あだ名持ち”なんだぁ~」
「銀が相当気に入っている証拠だねェ」
「・・・まぁ、わからなくもないな・・・晋助と同類の匂いがする」
「麿ちゃん・・・同類って。イヤイヤ、無いってソレ。だって、テロリストと警察よ?まったく正反対じゃん」
「正反対ということは、裏と表ということだろう?」
「あ~、そういうこと?・・・まぁ、確かに晋助は先生の為にこんな超が付くほどの過激派テロリストになっちゃって?多串君はゴリラの為ならえらく高ぁーいプライドとか放り投げて命懸けになっちゃうしねー、似てるっちゃ似てるかァ」
「似てるといえば、お前にも似ている気がするな」
銀時が古田の言葉に納得したその脇で、何事かを考えていた桂が不意に口を開いた。
「え~、そうかァ?」
「ああ、似ている」
「小太郎がそう思うなら、そ~なんじゃん?小太郎って昔から人の特性を見分けるの得意だったし~」
「ん~似てるかァ?」
高杉と土方という組み合わせはまだ納得がいったものの、己と土方となるとまったく納得がいかない。
「・・・似ているぞ、特に汚れ役を買って出るトコロなどは、な?」
「「「「「「あぁ~」」」」」」
今度は両陣営から納得の声があがった。
「え、納得しちゃうのォォオ!?」
「おいコラ、総悟ッ!近藤さんも、山崎までなんで納得してやがる!!」
「「「「「「だってェ・・・ねェ?」」」」」」
「ナニ!?お前達、何なの!?なんでいきなり息が合っちゃってんの?!」
2人が慌てる姿を見てますますこれはと頷きあう面々に、土方は肩を落とし、銀時は深い溜息をついたのだった。
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