Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「・・・というわけで吉原の利用許可は取ってきたから、傾城大作戦を決行します!どぉ?」
「どぉ?っていうか・・・」
屯所に帰って来た銀時と土方があまりにも対照的だったため、銀時に理由を尋ねた近藤は突如提案された作戦に目を丸くした。
「しかし、いいのかい?・・・君、あれだけ嫌がっていたのに」
「ん~?いやさぁ・・・もう、突き抜けたよ。うん」
伊東が訊ねれば、フッと遠い目をして笑って見せる銀時。
どうやら“お銀ちゃん”関係で何かあったらしいとは察せられたが、ツッコミを入れた瞬間に100倍返しをされそうだったので止めておいた。
「ま、まぁ・・・銀時がいいなら俺は何も言わないけども・・・トシと総悟までやらせるのか?」
近藤がそう言えば、銀時は頬を膨らませて答える。
「だって、俺だけじゃ不公平じゃん!」
「うーん・・・それもそうだよなァ・・・」
「納得しないでェええ!!近藤さぁあああん!!」
思わず納得してしまった近藤に、灰になっていた土方がガバリと顔をあげて叫ぶ。
「うるさいですぜィ、土方さん。・・・俺ァ、銀兄ィがやれってんならやりやす」
「わーい、ありがと~そーちゃん♪絶対、そーちゃん別嬪だよ。だんだん姉ちゃんにそっくりになってきたしさァ~」
ご機嫌の銀時に沖田が側に寄ってピットリとくっつく。
「その辺りには自信がありまさァ・・・ね、銀兄ィ、俺ァイイ子でしょ?」
「うん、イイ子イイ子」
銀時に頭を撫でられて満足そうな沖田を見やり、その場にいた全員が心の中でツッコミを入れた。
((((自信があるって、いいのかそれでッ!!))))
「・・・しかし、よく吉原の許可が取れたなァ」
近藤が感心したように言えば、銀時はなんてことのないように答える。
「いつも使ってるお得意さんだからなー・・・つかさ、ちょっとした事件に巻き込まれちゃって以来、あそこの遊女達と仲良くなっちゃって」
「事件?」
首を傾げた伊東を見て、銀時は盛大に溜息をもらした。
「やっぱ説明しないとマズイか~・・・いいか、ここだけの話だからな?」
近藤と伊東だけでなく、黙って事の成り行きを見守っていた山崎と新八、そして銀時の隣にいる沖田を射殺さんがばかりに睨んでいる神楽にも視線をやり、念を押す。
「わかりました、坂田副長」
「はい、誰にも言いません」
「わかったヨ、銀ちゃん!」
神楽は我慢ができなかったのか、沖田とは反対側の銀時の隣に座ってひっつく。
銀時はそれらを確認して声のトーンを落とした。
「実は・・・」
―――回想―――
「(あ゛ー・・・今日の接待はやたらとしつこくて疲れた・・・)」
散々幕府高官の相手をさせられた銀時は、ぐったりとしながら屯所へ帰るために吉原の表通りを歩いていた。
「・・・やめて!!」
「!?」
あともう少しで吉原の出口というところで女性の悲鳴が裏通りから聞こえ、銀時は踵を返した。
裏通りに入ると一人の女性が数人の男に囲まれていた。
「・・・いいじゃねぇか、どうせこの吉原にいるんだから遊女か何かだろ?ちょっとくらい付き合えよ」
「確かに私はこの吉原で働いてるけど、今日は休みなんだ。しかも金も払わないで遊女と遊ぼうなんていう連中の相手をするつもりなんてないよ!」
「フン、気の強い姉ちゃんだ・・・だがな、そんな細っこい体で男に敵うと思ってんのか?」
「ッ・・・百華に見つかったら、たたじゃ帰れないってわかってんだろうね?」
吉原の警備を担当している百華の名を出すが、男達にひるんだ様子は見えない。
「(うーん・・・助けに入るべきか?でもなー・・・吉原で目立つとまずいよなー)」
治外法権の吉原で真選組副長が暴れるわけにはいかないだろうと、ひとまず様子を見ることにした銀時。
だが、状況が一変する。
「百華?結局は吉原で働けなくなった女共が集まってできた自警団だろ?・・・そんなもん、怖くなんかねぇよ」
「百華をなめてると、痛い目見るよ!」
「さて、痛い目見るのはどっちだ?」
すっかり男達に囲まれた女性は銀時のいる位置から見ることができなくなる。
「(ありゃ・・・ヤバくね?マジでヤバくね?・・・これアウトじゃね?百華間に合ってねェよな???)」
辺りを伺うが、百華が駆けつけた様子はない。
「あんまり強情だと、商売道具の顔と体に傷がついちまうぜ?」
「きゃっ!?」
「(うぁ~~~、やっぱダメ!我慢は無理!!)・・・テメェら!!何やってんだ!!」
傍観していることが出来ずに銀時が飛び出すと、男達は胡乱げに見つめてくる。
「なんだァ、テメェは」
「邪魔すんなよ、兄ちゃん」
「あ~、俺もさ、百華来る前に暴れるのは嫌なわけよ、だからおとなしく引いてくんない?」
一応忠告めいたことをしてみるが、百華の名ですら恐れない男達だ。よほど自分達の腕に自信があるのだろう。
「・・・妙な正義感を持つと、長生きしねェぜ?」
どうやら邪魔者(銀時)を始末する方向に思考を切り替えたらしい。
「やっぱ、そう来るよね~・・・」
嘆息した銀時は、腰に佩いた木刀に手をかける。
一応吉原だから、と真剣を置いてきたのは正解だった。百華の獲物を横取りした挙句に真剣で戦いましたなんて言ったら、誅殺されるのは銀時の方になりかねない。
「「「死ねやぁああ!!!」」」
「えー、それは嫌だなー・・・」
のんびりと答え、銀時はぐるりと肩を回す。
「ちょっと、アンタ!!」
女性が危機を感じて叫んだとき―――。
「ぐあぁ!」
「がっ!?」
「ぐふっ!!」
銀時の超手加減されたひと振りで吹き飛ばされる男達。
唖然とする女性の前で、銀時は男達を見下ろして溜息をもらした。
「・・・はぁ・・・そうだよね、弱い犬ほどよく吠えるって言うもんね?百華を馬鹿にしてるから、強いのかな~とか、期待した俺がバカだったね~・・・」
とは言うが相手が銀時だったからこうも簡単にやられたわけであり、真選組の一般隊士であれば少し手こずったであろう。
「・・・お兄さん、アンタ強いんだね」
複雑な表情をうかべて銀時を見つめた女性。
改めてその顔を見た銀時は、目を丸く見開いた。
「うえっ!?日輪太夫!?」
「あら、私を知ってるのかい?」
「知ってるもなにも・・・」
吉原最高の花魁・日輪。吉原に通っている者で知らない者はいないし、遠目ではあるが何度か見たことがある。
通りで男達にも怯えることなく言い返していたわけだと納得した銀時は、ふと疑問を感じてそれを口にした。
「護衛も付けねぇで、危なくね?」
「・・・たまの休みくらい、自由でいたいじゃない?」
「・・・うーん、わからなくもないけど・・・やっぱ、ダメでしょ」
「やっぱり?・・・ハァ、帰ったら月詠に怒られそうだね」
「安心しなんし、今、怒るでありんす」
溜息混じりに呟いた日輪の言葉に返答がある。振り向いた二人は全く違った反応をそれぞれに見せた。
「月詠!」
「・・・・・・げ、百華」
嬉しそうに叫んで彼女に駆け寄った日輪と、思いっきり顔をしかめた銀時。
両極端な二人を見比べ、月詠はくつりと笑った。
「ぬしは百華の恐ろしさをよく知っているようじゃなァ?・・・さて、これはどういうことか、説明してもらおうか?」
「・・・えーと、俺はぁ・・・通りすがりの通行人Aですから!!気にしないでくださーい!!」
とりあえず逃走を試みた銀時だったが、ガッチリと月詠に腕を掴まれてしまって冷や汗を垂れ流す。
「・・・よく見れば、ぬし、度々吉原を接待で利用している真選組の副長でありんすね?」
「真選組の・・・副長?」
月詠が言い当て、日輪が目を丸くして銀時を見つめる。
「エ、ダレノコトデスカ?」
カタコトになって知らぬふりをするが、月詠の目はごまかされないぞとばかりに煌めいた。
「治外法権の吉原で真選組が暴れまわる。どういう意味かわからんわけは、ないじゃろう?」
「うぐっ・・・」
充分すぎるほどにわかっているからこそ逃げようと思ったのだが、そのタイミングを逸した銀時はとりあえず五体満足で帰ることを諦めた。
「・・・月詠、その人は私を助けてくれたんだよ」
「それでも、じゃ。日輪・・・なんの罰も無しに帰すわけにはいかないのでありんす」
月詠が厳しい視線を銀時に向けたときだった。
日輪がポン、と手を打った。
「じゃあ、罰を与えればいいのよね?」
「ん?・・・ああ」
「なら、噂の“お銀ちゃん”で遊ばせてもらいましょう」
「!!?」
日輪の口から飛び出した名前に、銀時は驚愕した。
「あぁ、そうか。真選組の副長の片方とは聞いていたが・・・容姿から察するにこっちの方でありんすね」
「!!!!」
月詠も納得したようにそう言って、銀時に向かって意地悪そうな笑みを向けた。
「何をそう驚いておるんじゃ?・・・遊女達の間では有名でありんす。幻の傾国“お銀ちゃん”の話を寝物語に聞いて、会ってみたいと思っていた者は多い」
「うぇええ!?」
「さて、下のマゲをもぎ取られるのと、“お銀ちゃん”で遊ばれるのと、どちらがイイでありんすか?」
「ッ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“お銀ちゃん”でオネガイシマス」
葛藤の末そう告げた銀時は大きな茶屋に連れて行かれ、散々遊女達に着せ替えられて遊ばれた。
「・・・何を騒いでいるんだ」
しかも、なんともタイミングが悪く、その茶屋に吉原の主たる鳳仙が来てしまう。
「あぁ、鳳仙様」
日輪がニッコリと笑って銀時の背を押す。
「この子が例の“お銀ちゃん”だそうですよ」
「・・・・・・“お銀ちゃん”?」
首を傾げた鳳仙に、銀時はわずかな希望を持つ。
「(どうか知りませんように!!!)」
「ッ・・・ぶわっはっはっはっは!!そうか!これが“お銀ちゃん”か!!・・・なるほど、幕府高官共も少しは見る目があるではないか!」
大爆笑しながらそう告げた鳳仙に、銀時はがっくりと肩を落とした。
「なんで、吉原で広まってんの~・・・」
「クク、幕府高官の間では吉原最高の花魁である日輪と並んで酌をしてもらいたい女性らしいからなァ?」
「女性じゃねーから!!男だから!正真正銘男!!」
相手が夜王鳳仙と知りつつも、反論せずにはいられなかった。
「クックック・・・よし、このワシに酌をしろ。うまく注いだらこの吉原で自由に動き回る権利をやろう」
このとき鳳仙はとても機嫌がよかったのだ。通常ではありえない褒美を口にして銀時の酌を受けた。
ここぞというときの度胸がぴか一の銀時はそつなく鳳仙に酒を注いでみせ、吉原内での自由行動の許可を得て、晴れて無罪放免となった。
―――回想終了―――
「・・・というワケでさァ・・・いやぁ、死ぬかと思った。あの時ばかりは“お銀ちゃん”の噂をばら撒いた幕府高官に感謝したね」
「いやいやいや・・・・夜王鳳仙とつなぎを持ったとか、凄すぎだろ、君は」
説明を終えてどこか清々しい表情をうかべる銀時に、伊東がすかさずツッコミを入れる。
「ま、悪運だけは強いんだよねェ~俺」
むしろ幸運の女神様がついてるだろ!というか幸運の女神様自身じゃね?とはその場にいた全員の意見だったが、銀時が全力で否定するとわかっていたので口には出さずに深く頷くだけに留めたのだった。
***
一方、真選組あげての接待、そう声をかけられた幕府高官のほとんどが最近粛清されている“仲間”を思いうかべた。
粛清しているのは見廻組だが、同じ警察組織である真選組がやっていないとも限らない。警戒心も露わに断りの連絡を入れようとしたものの、同時に流されてきた噂に踏み止まる者が続出した。
―――真選組あげての接待で“お銀ちゃん”が酌をしてくれるらしい。
これに食い付かない幕府高官は少ない。なぜならば、“お銀ちゃん”は傾国と言っても遜色ないほど美女だからだ。食い付かない幕府高官は“お銀ちゃん”を見たことがない者ばかり。
そんな者達も“お銀ちゃん”ファンクラブを通じて会わなければ損だと説得されて、結局声をかけられた幕府高官全てが参加の意思を示した。
「・・・アホだ・・・正真正銘のアホばっかりだ・・・」
言い出しっぺではあるが、ここまで素直にハマられると薄気味悪くなるのは当然だろう。
「あっはっは・・・いやァ、銀ちゃんも思い切ったよねェ」
「ええ、ぜひとも私も参加させていただきたいものです」
ガックリと肩を落とす銀時の目の前には、松平と佐々木の二人が揃っている。
「とっつぁんはともかく、佐々木さんはダメだろ・・・」
「よし!じゃあ、オジサンも参加しちゃお~っと」
「うーん・・・やっぱりそうですよねェ。じゃあ、松平公・・・ビデオ録画と写真よろしく」
「おう任せとけェ~」
「請け負うなぁああッ!!!何度も言ってるよねェ!!俺の肖像権は!!?許可取れよ!テメェ等!!」
「「え~・・・」」
「ッッ!!」
声を揃えてブーイングする松平と佐々木に、銀時はイラッとして拳を固める。
「ま、まぁまぁ、坂田くん・・・落ち着いて」
それを宥めたのは伊東だ。
伊東にとっては確かに久々の登城の仕事なのだが、銀時のブチギレっぷりを見るに、松平・佐々木ペアに困らされているのはここ数回という感じではなさそうだ。
自分がいない間、一人でコレに耐えていたのかと思うと、さすがに可哀想になってくる。
「鴨ちゃん・・・コレ、落ち着けって方が無理!!」
息を荒げながら叫ぶ銀時にさもありなんと頷きながらも伊東は粘った。
「わかってる・・・わかってるから!この作戦が終わった後でならいくらでもボコボコにして良いから!そもそも、この計画で見廻組の力を借りたいって言ったのは坂田くんだろう?」
「見廻組全体じゃなくて、信女ちゃんを借りたいのッ!!ヤツ等子飼いの暗殺部隊を相手にするのに、俺と十四郎とそーちゃんが動けないんじゃ、手が足りねェだろ!!」
「ええ。ですから、信女と私が見廻組から出ますよ。大丈夫、陰で動くのは得意です・・・というわけで、報酬は“お銀ちゃん”の映像と生写真でお願いしますよ」
「ッッッ!!コイツ、ぶっこrむぐッ!」
「坂田くん、まぁまぁ・・・わかりました、それで手を打ちましょう」
「んむ―――!!!」
ブチキレた銀時の口を塞ぎ、伊東はニッコリと笑う。その返答に佐々木もわずかに笑みをうかべた。
「はっはっは・・・貴方とは良い関係が築けそうですね、伊東参謀(食えない人ですね、ギザウザス)」
「いえいえ、名門佐々木家のご長男と懇意にさせていただくなど、とんでもない(誰がアンタみたいな奴と仲良くするか!)」
この状態を表現するならタヌキとキツネだろうか。それとも虎と竜か。
副音声がバリバリ聞こえた気がして、ブチギレていたハズの銀時ですらどん引いた。
「・・・まぁ、吉原の許可も得てるなら、オジサンは反対しないしィ・・・まぁ、好きにやって頂戴よ」
珍しく空気を読んだ松平が話をまとめれば、伊東と佐々木は睨みあうのを止めて頷いた。
「信女と私の配置は後で知らせてくださいね」
「ええ、では予定通り明日、決行します」
準備は整い、いよいよ作戦決行の日を迎える。
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「どぉ?っていうか・・・」
屯所に帰って来た銀時と土方があまりにも対照的だったため、銀時に理由を尋ねた近藤は突如提案された作戦に目を丸くした。
「しかし、いいのかい?・・・君、あれだけ嫌がっていたのに」
「ん~?いやさぁ・・・もう、突き抜けたよ。うん」
伊東が訊ねれば、フッと遠い目をして笑って見せる銀時。
どうやら“お銀ちゃん”関係で何かあったらしいとは察せられたが、ツッコミを入れた瞬間に100倍返しをされそうだったので止めておいた。
「ま、まぁ・・・銀時がいいなら俺は何も言わないけども・・・トシと総悟までやらせるのか?」
近藤がそう言えば、銀時は頬を膨らませて答える。
「だって、俺だけじゃ不公平じゃん!」
「うーん・・・それもそうだよなァ・・・」
「納得しないでェええ!!近藤さぁあああん!!」
思わず納得してしまった近藤に、灰になっていた土方がガバリと顔をあげて叫ぶ。
「うるさいですぜィ、土方さん。・・・俺ァ、銀兄ィがやれってんならやりやす」
「わーい、ありがと~そーちゃん♪絶対、そーちゃん別嬪だよ。だんだん姉ちゃんにそっくりになってきたしさァ~」
ご機嫌の銀時に沖田が側に寄ってピットリとくっつく。
「その辺りには自信がありまさァ・・・ね、銀兄ィ、俺ァイイ子でしょ?」
「うん、イイ子イイ子」
銀時に頭を撫でられて満足そうな沖田を見やり、その場にいた全員が心の中でツッコミを入れた。
((((自信があるって、いいのかそれでッ!!))))
「・・・しかし、よく吉原の許可が取れたなァ」
近藤が感心したように言えば、銀時はなんてことのないように答える。
「いつも使ってるお得意さんだからなー・・・つかさ、ちょっとした事件に巻き込まれちゃって以来、あそこの遊女達と仲良くなっちゃって」
「事件?」
首を傾げた伊東を見て、銀時は盛大に溜息をもらした。
「やっぱ説明しないとマズイか~・・・いいか、ここだけの話だからな?」
近藤と伊東だけでなく、黙って事の成り行きを見守っていた山崎と新八、そして銀時の隣にいる沖田を射殺さんがばかりに睨んでいる神楽にも視線をやり、念を押す。
「わかりました、坂田副長」
「はい、誰にも言いません」
「わかったヨ、銀ちゃん!」
神楽は我慢ができなかったのか、沖田とは反対側の銀時の隣に座ってひっつく。
銀時はそれらを確認して声のトーンを落とした。
「実は・・・」
―――回想―――
「(あ゛ー・・・今日の接待はやたらとしつこくて疲れた・・・)」
散々幕府高官の相手をさせられた銀時は、ぐったりとしながら屯所へ帰るために吉原の表通りを歩いていた。
「・・・やめて!!」
「!?」
あともう少しで吉原の出口というところで女性の悲鳴が裏通りから聞こえ、銀時は踵を返した。
裏通りに入ると一人の女性が数人の男に囲まれていた。
「・・・いいじゃねぇか、どうせこの吉原にいるんだから遊女か何かだろ?ちょっとくらい付き合えよ」
「確かに私はこの吉原で働いてるけど、今日は休みなんだ。しかも金も払わないで遊女と遊ぼうなんていう連中の相手をするつもりなんてないよ!」
「フン、気の強い姉ちゃんだ・・・だがな、そんな細っこい体で男に敵うと思ってんのか?」
「ッ・・・百華に見つかったら、たたじゃ帰れないってわかってんだろうね?」
吉原の警備を担当している百華の名を出すが、男達にひるんだ様子は見えない。
「(うーん・・・助けに入るべきか?でもなー・・・吉原で目立つとまずいよなー)」
治外法権の吉原で真選組副長が暴れるわけにはいかないだろうと、ひとまず様子を見ることにした銀時。
だが、状況が一変する。
「百華?結局は吉原で働けなくなった女共が集まってできた自警団だろ?・・・そんなもん、怖くなんかねぇよ」
「百華をなめてると、痛い目見るよ!」
「さて、痛い目見るのはどっちだ?」
すっかり男達に囲まれた女性は銀時のいる位置から見ることができなくなる。
「(ありゃ・・・ヤバくね?マジでヤバくね?・・・これアウトじゃね?百華間に合ってねェよな???)」
辺りを伺うが、百華が駆けつけた様子はない。
「あんまり強情だと、商売道具の顔と体に傷がついちまうぜ?」
「きゃっ!?」
「(うぁ~~~、やっぱダメ!我慢は無理!!)・・・テメェら!!何やってんだ!!」
傍観していることが出来ずに銀時が飛び出すと、男達は胡乱げに見つめてくる。
「なんだァ、テメェは」
「邪魔すんなよ、兄ちゃん」
「あ~、俺もさ、百華来る前に暴れるのは嫌なわけよ、だからおとなしく引いてくんない?」
一応忠告めいたことをしてみるが、百華の名ですら恐れない男達だ。よほど自分達の腕に自信があるのだろう。
「・・・妙な正義感を持つと、長生きしねェぜ?」
どうやら邪魔者(銀時)を始末する方向に思考を切り替えたらしい。
「やっぱ、そう来るよね~・・・」
嘆息した銀時は、腰に佩いた木刀に手をかける。
一応吉原だから、と真剣を置いてきたのは正解だった。百華の獲物を横取りした挙句に真剣で戦いましたなんて言ったら、誅殺されるのは銀時の方になりかねない。
「「「死ねやぁああ!!!」」」
「えー、それは嫌だなー・・・」
のんびりと答え、銀時はぐるりと肩を回す。
「ちょっと、アンタ!!」
女性が危機を感じて叫んだとき―――。
「ぐあぁ!」
「がっ!?」
「ぐふっ!!」
銀時の超手加減されたひと振りで吹き飛ばされる男達。
唖然とする女性の前で、銀時は男達を見下ろして溜息をもらした。
「・・・はぁ・・・そうだよね、弱い犬ほどよく吠えるって言うもんね?百華を馬鹿にしてるから、強いのかな~とか、期待した俺がバカだったね~・・・」
とは言うが相手が銀時だったからこうも簡単にやられたわけであり、真選組の一般隊士であれば少し手こずったであろう。
「・・・お兄さん、アンタ強いんだね」
複雑な表情をうかべて銀時を見つめた女性。
改めてその顔を見た銀時は、目を丸く見開いた。
「うえっ!?日輪太夫!?」
「あら、私を知ってるのかい?」
「知ってるもなにも・・・」
吉原最高の花魁・日輪。吉原に通っている者で知らない者はいないし、遠目ではあるが何度か見たことがある。
通りで男達にも怯えることなく言い返していたわけだと納得した銀時は、ふと疑問を感じてそれを口にした。
「護衛も付けねぇで、危なくね?」
「・・・たまの休みくらい、自由でいたいじゃない?」
「・・・うーん、わからなくもないけど・・・やっぱ、ダメでしょ」
「やっぱり?・・・ハァ、帰ったら月詠に怒られそうだね」
「安心しなんし、今、怒るでありんす」
溜息混じりに呟いた日輪の言葉に返答がある。振り向いた二人は全く違った反応をそれぞれに見せた。
「月詠!」
「・・・・・・げ、百華」
嬉しそうに叫んで彼女に駆け寄った日輪と、思いっきり顔をしかめた銀時。
両極端な二人を見比べ、月詠はくつりと笑った。
「ぬしは百華の恐ろしさをよく知っているようじゃなァ?・・・さて、これはどういうことか、説明してもらおうか?」
「・・・えーと、俺はぁ・・・通りすがりの通行人Aですから!!気にしないでくださーい!!」
とりあえず逃走を試みた銀時だったが、ガッチリと月詠に腕を掴まれてしまって冷や汗を垂れ流す。
「・・・よく見れば、ぬし、度々吉原を接待で利用している真選組の副長でありんすね?」
「真選組の・・・副長?」
月詠が言い当て、日輪が目を丸くして銀時を見つめる。
「エ、ダレノコトデスカ?」
カタコトになって知らぬふりをするが、月詠の目はごまかされないぞとばかりに煌めいた。
「治外法権の吉原で真選組が暴れまわる。どういう意味かわからんわけは、ないじゃろう?」
「うぐっ・・・」
充分すぎるほどにわかっているからこそ逃げようと思ったのだが、そのタイミングを逸した銀時はとりあえず五体満足で帰ることを諦めた。
「・・・月詠、その人は私を助けてくれたんだよ」
「それでも、じゃ。日輪・・・なんの罰も無しに帰すわけにはいかないのでありんす」
月詠が厳しい視線を銀時に向けたときだった。
日輪がポン、と手を打った。
「じゃあ、罰を与えればいいのよね?」
「ん?・・・ああ」
「なら、噂の“お銀ちゃん”で遊ばせてもらいましょう」
「!!?」
日輪の口から飛び出した名前に、銀時は驚愕した。
「あぁ、そうか。真選組の副長の片方とは聞いていたが・・・容姿から察するにこっちの方でありんすね」
「!!!!」
月詠も納得したようにそう言って、銀時に向かって意地悪そうな笑みを向けた。
「何をそう驚いておるんじゃ?・・・遊女達の間では有名でありんす。幻の傾国“お銀ちゃん”の話を寝物語に聞いて、会ってみたいと思っていた者は多い」
「うぇええ!?」
「さて、下のマゲをもぎ取られるのと、“お銀ちゃん”で遊ばれるのと、どちらがイイでありんすか?」
「ッ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“お銀ちゃん”でオネガイシマス」
葛藤の末そう告げた銀時は大きな茶屋に連れて行かれ、散々遊女達に着せ替えられて遊ばれた。
「・・・何を騒いでいるんだ」
しかも、なんともタイミングが悪く、その茶屋に吉原の主たる鳳仙が来てしまう。
「あぁ、鳳仙様」
日輪がニッコリと笑って銀時の背を押す。
「この子が例の“お銀ちゃん”だそうですよ」
「・・・・・・“お銀ちゃん”?」
首を傾げた鳳仙に、銀時はわずかな希望を持つ。
「(どうか知りませんように!!!)」
「ッ・・・ぶわっはっはっはっは!!そうか!これが“お銀ちゃん”か!!・・・なるほど、幕府高官共も少しは見る目があるではないか!」
大爆笑しながらそう告げた鳳仙に、銀時はがっくりと肩を落とした。
「なんで、吉原で広まってんの~・・・」
「クク、幕府高官の間では吉原最高の花魁である日輪と並んで酌をしてもらいたい女性らしいからなァ?」
「女性じゃねーから!!男だから!正真正銘男!!」
相手が夜王鳳仙と知りつつも、反論せずにはいられなかった。
「クックック・・・よし、このワシに酌をしろ。うまく注いだらこの吉原で自由に動き回る権利をやろう」
このとき鳳仙はとても機嫌がよかったのだ。通常ではありえない褒美を口にして銀時の酌を受けた。
ここぞというときの度胸がぴか一の銀時はそつなく鳳仙に酒を注いでみせ、吉原内での自由行動の許可を得て、晴れて無罪放免となった。
―――回想終了―――
「・・・というワケでさァ・・・いやぁ、死ぬかと思った。あの時ばかりは“お銀ちゃん”の噂をばら撒いた幕府高官に感謝したね」
「いやいやいや・・・・夜王鳳仙とつなぎを持ったとか、凄すぎだろ、君は」
説明を終えてどこか清々しい表情をうかべる銀時に、伊東がすかさずツッコミを入れる。
「ま、悪運だけは強いんだよねェ~俺」
むしろ幸運の女神様がついてるだろ!というか幸運の女神様自身じゃね?とはその場にいた全員の意見だったが、銀時が全力で否定するとわかっていたので口には出さずに深く頷くだけに留めたのだった。
***
一方、真選組あげての接待、そう声をかけられた幕府高官のほとんどが最近粛清されている“仲間”を思いうかべた。
粛清しているのは見廻組だが、同じ警察組織である真選組がやっていないとも限らない。警戒心も露わに断りの連絡を入れようとしたものの、同時に流されてきた噂に踏み止まる者が続出した。
―――真選組あげての接待で“お銀ちゃん”が酌をしてくれるらしい。
これに食い付かない幕府高官は少ない。なぜならば、“お銀ちゃん”は傾国と言っても遜色ないほど美女だからだ。食い付かない幕府高官は“お銀ちゃん”を見たことがない者ばかり。
そんな者達も“お銀ちゃん”ファンクラブを通じて会わなければ損だと説得されて、結局声をかけられた幕府高官全てが参加の意思を示した。
「・・・アホだ・・・正真正銘のアホばっかりだ・・・」
言い出しっぺではあるが、ここまで素直にハマられると薄気味悪くなるのは当然だろう。
「あっはっは・・・いやァ、銀ちゃんも思い切ったよねェ」
「ええ、ぜひとも私も参加させていただきたいものです」
ガックリと肩を落とす銀時の目の前には、松平と佐々木の二人が揃っている。
「とっつぁんはともかく、佐々木さんはダメだろ・・・」
「よし!じゃあ、オジサンも参加しちゃお~っと」
「うーん・・・やっぱりそうですよねェ。じゃあ、松平公・・・ビデオ録画と写真よろしく」
「おう任せとけェ~」
「請け負うなぁああッ!!!何度も言ってるよねェ!!俺の肖像権は!!?許可取れよ!テメェ等!!」
「「え~・・・」」
「ッッ!!」
声を揃えてブーイングする松平と佐々木に、銀時はイラッとして拳を固める。
「ま、まぁまぁ、坂田くん・・・落ち着いて」
それを宥めたのは伊東だ。
伊東にとっては確かに久々の登城の仕事なのだが、銀時のブチギレっぷりを見るに、松平・佐々木ペアに困らされているのはここ数回という感じではなさそうだ。
自分がいない間、一人でコレに耐えていたのかと思うと、さすがに可哀想になってくる。
「鴨ちゃん・・・コレ、落ち着けって方が無理!!」
息を荒げながら叫ぶ銀時にさもありなんと頷きながらも伊東は粘った。
「わかってる・・・わかってるから!この作戦が終わった後でならいくらでもボコボコにして良いから!そもそも、この計画で見廻組の力を借りたいって言ったのは坂田くんだろう?」
「見廻組全体じゃなくて、信女ちゃんを借りたいのッ!!ヤツ等子飼いの暗殺部隊を相手にするのに、俺と十四郎とそーちゃんが動けないんじゃ、手が足りねェだろ!!」
「ええ。ですから、信女と私が見廻組から出ますよ。大丈夫、陰で動くのは得意です・・・というわけで、報酬は“お銀ちゃん”の映像と生写真でお願いしますよ」
「ッッッ!!コイツ、ぶっこrむぐッ!」
「坂田くん、まぁまぁ・・・わかりました、それで手を打ちましょう」
「んむ―――!!!」
ブチキレた銀時の口を塞ぎ、伊東はニッコリと笑う。その返答に佐々木もわずかに笑みをうかべた。
「はっはっは・・・貴方とは良い関係が築けそうですね、伊東参謀(食えない人ですね、ギザウザス)」
「いえいえ、名門佐々木家のご長男と懇意にさせていただくなど、とんでもない(誰がアンタみたいな奴と仲良くするか!)」
この状態を表現するならタヌキとキツネだろうか。それとも虎と竜か。
副音声がバリバリ聞こえた気がして、ブチギレていたハズの銀時ですらどん引いた。
「・・・まぁ、吉原の許可も得てるなら、オジサンは反対しないしィ・・・まぁ、好きにやって頂戴よ」
珍しく空気を読んだ松平が話をまとめれば、伊東と佐々木は睨みあうのを止めて頷いた。
「信女と私の配置は後で知らせてくださいね」
「ええ、では予定通り明日、決行します」
準備は整い、いよいよ作戦決行の日を迎える。
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